■プロローグ:クリッパー
 オールドアースに、クリッパーという船があった。
 いや、船といっても宇宙船の事ではない。海をゆく水上船だ。しかも動力は風。これを帆に受けて進む、帆船というタイプだ。
 クリッパーは積載量よりも速度に重きを置いていた。理由は簡単で、密輸をやったり阿片を運んだりと法に触れる仕事が多かったからだ。官憲の持つ船よりも逃げ足が速いことが重要だったのだ。
 そして現代。
 クリッパーの名前は宇宙を行き交う快速宇宙船に受け継がれている。
 この俺、ゼロ・カツラギの乗る宇宙船シャルオーネ号も、そんなクリッパーの一隻だ。

[中継ステーション9S/繁華街]
「まあ、そう気を落とすなゼロ」
 がはははとのんきに笑いながら大ジョッキに入ったビールを飲んでいるのはダルシム・グレン。すでにかなりできあがっている。ひげ面の大男で豪傑タイプ。こう言えばまず間違いなく酒豪を想像するだろうがダルシムはほとんど酒が飲めない。すでに一時間近く経過しているのに、まだ一杯目が半分以上残っている。すでにまずくて飲めたもんじゃないだろうに、ダルシムは気にする様子もなくちびちびと気の抜けたビールを舐めている。
「俺たちの仕事には、そういうはずれもある」
 ダルシムも俺と同じクリッパー乗りだ。
「あんたはいいよ。楽な仕事だったんだろ?」
「おう、積み荷は抗老化薬でな。軌道保安庁から税関からなにまで、ヤン大人がなんもかも手配してくれていたよ。大人はよほど急いでたらしいな。何せ噂じゃ200才が近いそうな。薬が切れたらえらいことになる。ボーナスまでもらったよ。いや、ボロ儲けだ」
「まったく、あやかりたいね」
「兄さん、しゃべりすぎよ」
 やんわりとダルシムの傍らの美女がたしなめる。名前はシンシア・グレン。
 ダルシムの“弟”である。本名はシグノス・グレン。
「仕事の選び方、教えてあげてもよくってよ、ゼロ。なんだったら今夜これから……」
「いや、実は人と会う約束があるんだ」
 俺はあわてて断った。
 俺はシンシアが嫌いではない。兄はきっぷがよくて腕の良い船乗りだが、細かい事が苦手なので彼が何かとフォローしている。
 男の時は気さくないいやつだったのだが……
 女になってからはなんかこう、距離の取り方というのが微妙で。シンシアは外見だけは胸がどーん、尻もどーん、腰がきゅっ、という震いつきたくなる美女だ。だが俺としては奴とはこれまでもこれからも友情だけをはぐくみたいと思っている。
「そう、しかたないわね」
「うん、まったくだ」
「じゃあ、今度――」
「いやいやそれはこう、置いておいて」
 つまんない、という風にシンシアが肉感的な唇をとがらせる。
 こいつが男だった頃のことを知らなかったらなー。俺もここまで煩悶することもなかったのだろうが。
「おいシンシア、あんまり“殿下”を困らせるもんじゃない」
「そうね」
 割とあっさりとシンシアは引き下がり、席をたってトイレに行った。
「ふぅむ。おい、ゼロ」
「なんだ?」
「一度、シンシアとデートしてみろ」
「ぶはっ」
 俺は飲んでいたライスワインを吹きだした。
「とつぜん何を言い出すんだ、あんたはっ」
「いや真面目な話、お前があんまりつれなくするからシンシアの奴もムキになってるんだよ」
「どういうことだよ」
「ほら、あいつはどーしても女になりたいってああいう身体にしてもらったが、やはり今ひとつ、女である自分に自信がないんだよ」
「そりゃ分からないでもないが。別に俺でなくてもいいだろう」
「いや、おまえでないとダメなんだよ。男の頃のあいつのことを知らない奴なら、あんな美女が言い寄ってみろ、ほいほいついてくる。だがそれじゃあ魅力があるのはあくまで身体だけってことになっちまう」
「それで?」
「その点、おまえは男の頃のあいつをよく知っている。そのおまえを落とすことができるかどうかが、あいつなりの自分への評価につながってるみたいなんだな」
「言いたい事は分かったし、気持ちも分からなくもないが、ごめんこうむる。だいたい、デートしたところで俺があいつを好きでない以上、ばれたらよけいにこじれるだけだ」
「そりゃそうなんだがな」
 そこでシンシアが戻ってきたのでこの会話はここまでとなった。
「しかし、ちゃんと保険……じゃないが修理代は出たんだろ?」
「まあな。そのへんは今のエフタルもしっかりしているよ」
 エフタルは俺が最近仕事を請け負っているトレーダー族のひとりだ。この前、代替わりしたのでちびっちゃくなったがトレーダー族はトレーダー族だ。呼吸をするように商売をする。それに目先の利益よりも、信用を育てる方を大事にする点などは立派なもんだと思う。
「だが、先代のエフタルならそもそも俺がこんなトラブルに巻き込まれちゃいない。ヤバイ仕事の時にはそれなりの情報をよこしてくれたもんだ」
「いくらトレーダー族だといっても、経験がなけりゃそんなもんだろ」
「ねぇゼロ。取り引き相手を変えたら? 前にカークスさんとこの若頭が、あなたとシャルオーネ号を誉めてたわよ。なんなら口をきいてあげてもいいんだけど」
「うーん。だけどなぁ」
 先代のエフタルからは、新しいエフタルを頼むとたっぷりと念を押してお願いされている。それに俺は今のエフタルも嫌いじゃない。無口で無表情で、びっくりするほどに人間社会の常識に欠ける点があるが、なにをするにもひたむきで一所懸命なのだ。そう、ダルシムの言うように経験を積んでゆとりができるようになれば、立派なトレーダー族になれるだろう。
「まあ無理にとは言わないけどね。ところで時間いいの?」
「ん? ああっ」
 やばい、すっかり忘れていた。
「いけねぇ、じゃあ俺はこれで」
 支払いをしようとした俺を、ダルシムが大きな掌でさえぎった。
「いいってことよ。ここの払いは俺がもつから、おまえさんはさっさと行け」
「すまない、恩にきる」
「じゃあ、代わりに私とデートを――」
「それじゃっ!」
 俺は大あわてで店から飛び出した。

[中継ステーション9S/ドック]
 雑踏をかきわけながら路面電車に飛び乗るまで5分。
 時速30kmほどの、がたがたと揺れる電車で『宇宙船ドック3番ゲート』まで10分。
 全体的に小汚いというか、あか抜けないというか、手入れが行き届いてないというか。
 とにかく、広さだけは十分なゲート前のホールに出る。
 ホログラフでごまかしてないのに、ここがステーションの中だというのを忘れるくらい高い天井がはるか頭上にある。待合や乗船手続きをする区画だけは、カラフルなパネルが貼ってあるが、ほとんどは構造材の鈍い灰色がむきだしになっている。
 遙か昔にこのステーションを建造した“城主”は見かけにこだわる性格ではなかったし、その後、ここを管理していた帝国艦隊も乏しい予算を美観に費やす余裕はなかった。それどころかとうとう、このステーションそのものの維持費すら払えなくなって民間に売却することとなる始末だ。
 最後にここにやってきた宇宙商人や星域政府が出資した共同管理会社は、さすがにここへやってくる客のことを考えてか見栄えをよくしようとあれこれと試している。俺やグラハムのようなクリッパー乗りはそれが無駄な努力に終わる事を確信しているが、管理会社は今なおたゆまぬ努力を続けている。
 とはいえ、あまり成功しているとは言えない。とにかく広すぎるのだ。帝国艦隊の主力艦を全部まとめてつっこんでもまだ余裕のある空間である。いくらフォールド・ラインが集中する一級航路の港といっても、数隻の商船が入った程度では寒々とした感じがするのはどうにも否めない。
 こう広いと、人間心理としてつい人が大勢いるところにひかれるのか。
 太い葉巻型の船体の宇宙船の昇降口に、百人ばかりの集団がたむろしていた。
「どうですか、兄さん。今夜の宿をお探しなら――って、なんだ“殿下”か」
 顔見知りの客引きがやれやれという顔をする。
「その“殿下”ってのやめろ」
「あいよ」
「おい、こいつがデルタクィーン号だよな?」
「ああそうだ。はるばるカツラギ星から星域をまたいでやってきた。どした、故郷が懐かしくなったか?」
「いやそんなんじゃないが……立派な船だなぁ」
「おう。見てくれはちょいアレだが、中身はどうしてどうして、豪華客船にもひけをとらないね。乗員128人、乗客630人。20000トンの貨物を搭載して、3速でフォールド・ラインを飛べる。中央星域でも立派にやってける船だよ」
「そいつをこっちに回してきたってことはあれか、やっぱりこないだ見つかったショートカットのせいか」
「おう、新規航路が整備されたらこんなのがどんどんやってくるぞ」
「ここもにぎやかになるな」
「まあな。ところでどうしたんだ。船をながめに来たわけじゃないんだろ」
「ああそうだ。この船でやって来るはずの人を捜しているんだ」
「女か」
「仕事だよ。女かもしれないが中身は夜叉だぞ」
「仕事?」
「ああ。シャルオーネ号の船主がはるばる代理人を送ってきたんだ」
「カネミ商会だったか。100光年も彼方に船を送るたぁ豪気だと思っていたが、こいつが来た事を思うと意外と先を見る目があったのかな」
「さてね」
 本当を言うと、俺とシャルオーネ号が100光年離れたここまで来たのは、もっと単純な理由である。このくらい遠ければ、故郷にいる誰かさんも俺の事を気にしたりしないのではないかという。
 だが、新航路の発見でカツラギとの距離は一気に短くなった。ひょっとしたら、カネミ商会から送られてきた代理人は、俺にもっと遠くへ行くように指示するつもりなのかも知れない。
「ま、会ってみない事にはなんとも判断のしようがないんだが」
 俺は船に先立って届いたメールをみた。カネミ商会の金のエンブレム(下品だ)が輝くメールは、カネミの爺さんからのものだ。
『ゼロへ
 お前さんのところへ、わしの代理人を送る。カツラギ運輸のデルタクィーン号でそちらに向かっておるはずだ。9Sで出迎えるように』
 単純にして明快。
『追伸
 何があってもわしはお前達の味方じゃ』
 単純にして意味不明。
「爺さん、ぼけたか?」
 カツラギの財界において辣腕をふるったゴウゾウ・カネミも今年で80才。医療の進んだ現代では老齢という年齢ではないが、若い頃からぶいぶい言わせている人間ほど、あっけなく呆けたりするとか聞いた事がある。
「それにしても、この代理人というのは誰だろう」
 3年前に出奔するまでもそれからも、カネミの爺さんや商会の人たちにはいろいろとお世話になった。感謝しているし、主立った人とは面識もある。名前も何も書いてないということは、その中のひとりという可能性もあるが……
「もし知らない人だったらまずいぞこれは」
 客引きに言われて気が付いたが、これだけでは男か女かも分からない。というか、そもそも顔が分からない。
「……ちょっと待て」
 俺ははたと気が付いた。これではどうやっても俺の方から相手を見つけることはできない。ここにあほのように突っ立って、向こうがこちらを見つけてくれるのを待つしかないのだ。
「まさかとは思うが、向こうもこちらを知らないなんてことはないよな」
 だとしたら、爺さんは完全にぼけてやがる。
 俺は想像してみた。船から降りた客が全員いなくなるまで、俺と代理人のふたりがうろうろと相手を探している光景を。

『やあ、もしかしてアナタでしたか』
『気が付きませんでしたよ』

「……ま、間抜けだ」
 頭が痛くなってきた。かといって帰るわけにはいかない。相手は俺を捜しているのだろうから。誰かは知らないが。
 デルタクィーン号から降りてくる人の流れがとぎれた。ここで降りるか城塞であるステーションをのぞいてみようという酔狂な観光客はこれで全部だろう。
「この中にいるんだよな」
 ざっとみて100人から200人ぐらいか。俺は思案した。人混みの中に入ってうろつくべきか。それともちょっと外で様子を見るべきか。
 ひょこひょこ。
 はて?
 何か今、見慣れたモノが視界の隅を動いたような気がする。
 ひょこひょこ。
 まただ。
 すごく、重要で。
 すごく、場違いな。
「ちょっと、ちょっと通してくれ」
 俺は人混みの中に分け入っていった。
 相手は背が低い。だから間に人がいるとすぐに見えなくなる。それでも俺は何人かにぶつかりながら追いかけた。
 ひょこひょこ。
 ひょこひょこ。
 ぴたり。
 あ、停まった。
「おい――」
 声をかけようとして俺は人混みの中に、丸く輪ができているのに気が付いた。
 輪の中心にいるのはひとりの少女である。
 栗色の髪の毛をポニーテールにしている。あれがひょこひょこと動いて俺の目をひいたのだ。手には巨大な自走式ボストンバックを握っている。
 少女の明るい碧色の瞳が少し蔭っている。瞳に映っているのは2メートルをこえる大柄の爬虫人だ。
 爬虫人は興奮した様子で、ポニーテールの少女に向かって怒鳴っている。
「ぎぅ、ぎっぃ、ぎゃーっ」
『何をしやがりますかこのアマ』
 ずらりと牙がならび、人語を話すには向いていない口からぎぃぎぃと何か軋むような声が出る。それを、傍らにあるマスコットロボットが人語に変換している。
「ぎぎぎぃ。ぎゃおぎゃお。ぎぃ。ぎーっぎっぎっ」
『神聖なる僧正のしっぽを踏んだ罪、万死に値するのデスよ』
 騒いでいるのはどうやら戦士階級らしい。その後ろには何やらごてごてと着飾って達磨さんのようにふくらんだ老齢の爬虫人がいる。
「ですから、ごめんなさいって謝ってるじゃないですか」
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーっ」
『ええいうるさいうるさい。そこへなおりなさい、メイスの錆びにしてあげちゃいます』
 言うなり、マスコットロボットの頭部がぱかりと開いた、伸びている柄を爬虫人の戦士がつかむと一気に引き抜く。
 どどん。
 30sはありそうなとげとげのついたメイスが爬虫人の手に握られた。
「ぎーっぎっぎっ、ぎぉぉぉぉぉっ!」
『神の御名において、峰打ちで勘弁してあげましょーっ!』
 うわあっ、という悲鳴とも歓声ともつかぬ声がして周囲の人だかりが前後に動いた。前列のやつは後ろに下がろうと、後ろのやつはよくみようと前に出ようとする。
 だが、どいつもこいつも少女を助けようとはしない。
 ちっ、カツラギの連中はいつからこんなに人気(じんき)が悪くなりやがった。
 俺は躊躇せずに邪魔な男の肉体を蹴り飛ばして輪の中に入った。
 そしてとうなりをあげて振りおろされるメイスが少女のポニーテールを捕らえる寸前、俺は少女に飛びついて軌道から逃れた。
「ぎぎっ?!」
『は、速いっ?!』
 一回転して起きあがる。腕の中の少女が驚きに目を見開く。
 瞳の色がくるくると変わる。ポニーテールが少女の気持ちを反映してぴょん、と跳ねる。
「――兄様っ!!」
「やあミオ。元気だったか」
「はいっ!」
 元気いっぱい、満面に笑みを浮かべてミオが答える。
「ぎゃおぎゃおぎゃおっ!」
『神罰を邪魔するようでしたら、あなたにもお仕置きをしちゃいますよ!』
「やってみろ、このトカゲ野郎」
 俺はミオの身体を傍らに置いて爬虫人に向き直ると、うそぶいた。
「ぎゃっ。ぎゃあぅぎゃあっ?!」
『トカゲっ?! トカゲ言いましたかこのモンキー野郎?!』
「おうとも。この卵の殻も破れないできそこないが」
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃがぎゃぎゃがぎゃおぎゃおっ!!」
『ななななな、なんと罰当たりな事を言うのでしょうか**ピピー**』
 どうやら翻訳が追いつかなくなったらしい。マスコットロボットが警告音を出して押し黙る。
 もはやこうなると爬虫人は止まらない。暴風のようにメイスを振り回しながら突進してくる。今度こそ、見物客の連中が悲鳴をあげて逃げ散っていく。
「下がってろ、ミオ」
「はい、兄様」
 落ち着いた、満腔の信頼をこめた声でミオが言う。
 突進する爬虫人戦士の後ろには、大僧正。
 迎え撃つ俺の後ろには、ミオ。
 どちらの支援効果が大きいかは言うまでもない。
 爬虫人は重いメイスをむちゃくちゃに振り回しながら迫って来る。一見すると恐ろしげであるが、実はまるでなってない。爬虫人は自分達の星では最強の生物で、誕生以来、食物連鎖の頂点に長らく立っていた。
 一方のこちら。ホモサビエンスは霊長類などと自称してはいるものの、はっきりいって誕生するまでも誕生してからも、個体戦闘力という点ではオールドアースでもあまり誉められたものではなかった。
 だから。
 ごう、とメイスが俺の頭をかすめる。当たれば頭蓋骨をぐずぐずに陥没させるだろう一撃は、ただ風を巻いて通り過ぎる。そもそもが儀礼用のメイスはバランスが悪い。俺はさっと足を踏み出し、爬虫人の懐に飛び込んだ。
「ぎゃっ?」
 爬虫人がとまどったように目をぱちくり(やつらのまぶたは下から上がる)させた。持ち上げたメイスが所在なげに宙をふらつく。ぴったりはりつくような位置にあってはメイスは意味を持たない。
「ぎゃぎゃああっ!」
 だがここですぐに爬虫人の狩猟者としての本能が目覚めた。奴らの最強の武器は腕でもむろん牙でもない。その太いしっぽだ。しっぽを振ろうと身体をくるん、と回転させて――
 そいつを待ってたんだ。
「ほらよっ」
 俺が素早く爬虫人の下に身体を潜り込ませると、ぐい、と長いあごをつかんだ。
「ぎむむっ?!」
「でりゃああっ!」
 気合いをこめて腰を持ち上げる。ふわり、と150sをこえる爬虫人の身体が浮かび、そのまま頭から床に落ちる。
 どどーんっ。
 受け身という概念を知らない爬虫人はそのまま床に激突して目を回した。放り出されたメイスがごいん、と音をたててマスコットロボットのボディにぶちあたる。
『きゅぴーっ?!』
 マスコットロボットが火花と煙をあげて爆発する。
 騒動が大きくなる前に退散した方がよさそうだ。ちょうどよい具合に黒い煙が煙幕のかわりになってくれそうである。
「ミオ!」
「はい兄様!」
 見るとすでにミオは自走式トランクの上にちょこん、と小さなお尻を載せている。
「逃げるぞ、ついてこい!」
「はい!」
 大きくなる騒ぎ、悲鳴と怒号。駆けつけようとする宇宙港警備員をそれとなく回避しながら、俺とミオはゲートへむけて駆けだしていった。