ギア・アンティーク〜ルネッサンス〜用シナリオ

「アクジスキー大佐と多脚多砲塔戦車」


■シナリオ概要(プレイヤー募集時に読み上げる):

「このシナリオはコミカルな冒険活劇です。  舞台は山岳と森林に囲まれた小さな都市国家で、時代は1970年代以降の適当 な年代となります。  悪者が古代トーラー文明の遺産を求めて大暴れをし、PCはその魔手からひたす ら逃げ回り、最後に反撃に転ずるという展開になります。  世界のリアリティは、子供向けの漫画映画を想像してください。つまり、殴られ たり大怪我をすることはあっても人死には出ないレベルです。プレイヤーもそのこ とを念頭においてPCの行動を決めてください。  PCは少年/少女と軍人、技術者とその他──家庭の主婦から秘密結社の一員ま で──の4人でチームを構成します。PC間の関係などについては、互いのログブ ックを見ながらプレイヤー間で相談して決めてください。必要に応じて、ログブッ クの内容を書き換える(スキルや生年など)必要があるかも知れませんので、あら かじめご了承ください。  プレイ時間は、キャラクター作成やそのすりあわせをのぞくと、3時間から4時 間くらいを想定しています」


■登場するPC:

●少年/少女PC(10代)
 事件に巻き込まれ、最初から最後までひたすらアクジスキー大佐に追いかけられ
る。
▼必要な技能や能力:特になし
▼シナリオ目的:
 導入で、謎の人物から不思議な文様が描かれた手帳サイズの黒い石板を受け取る。
 これを持って大佐から逃げることが本シナリオでの目的である。

●軍人系PC(20代から40代)
 アクジスキー大佐と多脚多砲塔戦車の侵略を受けた小国家の軍人。
▼必要な技能や能力:コンバットスキルや軍事知識。
▼シナリオ目的:
 多脚多砲塔戦車を撃破し、国家に平和を取り戻す。

●技術者系PC(20代から40代)
 少年/少女と保護者(兄貴分など)の関係にある。具体的な関係は少年/少女P
Cのプレイヤーと相談して決めること。
 あるいは軍人系PCの部下(整備兵など)という関係にあることにしても良い。
具体的な階級その他は軍人系PCのプレイヤーと相談して決めること。
▼必要な技能や能力:運転や操縦関係の技能
▼シナリオ目的:
 少年/少女PC、または軍人系PCの手助けをし、彼らのシナリオ目的達成を助
ける。

●その他系PC
 記者や探検家など。家庭の主婦なども面白いかもしれない。または、裏で魔術結
社などに関与しているというのも興味深い。
▼必要な技能や能力:特になし
▼シナリオ目的:
 シナリオ側からは直接にはなし。事件に積極的にからみたいのであれば、他のプ
レイヤーと相談して決める。アクジスキー大佐と旧知の間柄であるという設定も良
いかも知れない。

■登場する主なNPC:

●ヴァルモン軍人、アクジスキー大佐(40代)
 鼻の下に髭をたくわえ、サングラスをかけている。所属はヴァルモン軍の特殊工
作班。目立つのが大好きで、多脚多砲塔戦車を指揮して登場する。
 性格はおっちょこちょいで間抜け。
▼能力値:
 多脚多砲塔戦車のマップを参照
▼シナリオ目的:
 フィラムの密偵が盗んだ黒い石板を奪回し、それを使ってトーラー文明の遺跡を
動かして皇帝陛下に献上する。
▼GMに一言:
 間抜けな悪役として演出することで『憎めない奴』とPCに思わせること。秘密
の任務のはずだが、何か問われると大いばりで答えたりするのが大佐らしい。

●双子の工作員、ミリアとメリア(20代)
 アクジスキー大佐の部下で、普段は多脚多砲塔戦車の戦車兵(装填手)をしてい
る。正体は隠密行動を得意とする工作員である。武器は警棒。
 性格は姉のミリアがボケ役で妹のメリアがツッコミ役。
▼能力値:
 多脚多砲塔戦車のマップを参照
▼シナリオ目的:
 フィラムの密偵に色仕掛けで騙されたので、その復讐(ボコボコにする)。つい
でにアクジスキー大佐に怒られないように仕事を適当にする。
▼GMに一言:
 腕はたつが、やはり間抜けな大佐の間抜けな部下として演出すること。ちょっと
お人好しにすると良いかも。

●フィラムの密偵、ジョン・ブラケット大尉(20代)
 シナリオ冒頭、アクジスキー大佐に追われて少年/少女PCの家に訪れる。
 トレンチコートに黒い帽子という、いかにも怪しい格好をしているが、甘いマス
クと女心をくすぐる声の持ち主。
 性格は無類の女好き。夜中でも歯が光る。
▼能力値:
 20(容姿のみ30)
▼シナリオ目的:
 トーラー文明の遺産を、アクジスキー大佐(ひいてはヴァルモン)に渡さない。
▼GMに一言
 序盤で大怪我を負って舞台から降りるので、女ったらしなところを強調して演出
してキャラをたてること。

●占い師(10代前半?)
 フード付きのローブを着、常にタロットカードを持っている。シナリオ内のあち
こちで登場し、(そこが戦場だろうが)タロットカードを並べて占いを始め、あれ
これと助言をしてくれる。
▼能力値:
 全部15(ただしどうしても成功する必要がある場合は、サイコロを振らずに成
功となる)
▼シナリオ目的:
 彼女は亜神であり、今回の事件を最低限の介入で(可能であれば人の子だけで)
解決したいと考えている。そのため、最悪の事態をのぞけばできるだけ助言をする
にとどめる。
▼GMに一言:
 銃弾飛び交う中で占いをして「落とし物に注意と出ています」などとのとまう、
意味不明にミステリアスな少女として演出する。

●トーラー文明遺跡〔正式名称は第28砲兵大隊所属レーザー砲戦車スミス軍曹〕
 町はずれの丘陵地帯にある直径80m、高さ20mの円形の遺跡。町の学者は昔
の権力者の墳墓であると考えている。実は、この遺跡は降魔との戦争において衛星
軌道に進入した降魔核を迎撃するために建造されたレーザー砲戦車である。地面の
下に隠れて見えないが、丸い身体の下には無数の足があって、どたどたと走り回る
ことが可能。降魔戦争の末期には衛星上の反射衛星を使って汚染された地上をそこ
に住む生き物ごと焼き払う任務にもつき、深い精神外傷を負って退役いる。
 図体の威圧感に似合わない、のんびりとした性格の持ち主。
 今の趣味は詩を作ること。
▼能力値:
 考えるだけ、むだ
▼シナリオ目的:
 現在、朗読するだけで1年はかかるという長大な叙事詩を作っており、この推敲
を続けたいと思っている。しかし、兵器として作られたため起動キー(アクジスキ
ー大佐が追っている黒い石板)を持っている人の命令には逆らえない。
▼GMに一言:
 長い間一人きりだったため、黒い石板を持っていればPCたち訪問者を暖かく迎
えてくれる。ただし、もし砲撃をさせようとした場合は頑なに抵抗し、不満をもら
す。


■シナリオの流れ:

●「起:真夜中の訪問者」

▼真夜中の訪問者)その1
 少年/少女PCの家に、怪我を負った男(フィラムの密偵:ブラケット大尉)が
やって来る。ブラケット大尉はすぐに気絶し、懐から黒い石板が落ちる。
※PCがこの黒い石板を(とりあえず)持っておくよう、GMは指導すること。

▼真夜中の訪問者)その2
 国境沿いの森を踏みしだいてアクジスキー大佐の多脚多砲塔戦車が少年/少女P
Cの家にやってくる。外部拡声器を使って、大佐が黒い石板とブラケット大尉を渡
すように命令する。

▼真夜中の訪問者)その3
 領主の城に詰めている軍人系PCのところに、でかい怪物(多脚多砲塔戦車)が
国境の森を突破して町へ向かっているという通報がある。(通報してきたのは、炭
焼き小屋の老人で、戦車を化け物と勘違いしている)

▼真夜中の訪問者)その4
 出動した軍人系PC(おそらくそうなるはず)と、大佐の多脚多砲塔戦車との間
に戦闘が繰り広げられる。その間に、少年/少女PCが脱出するというのが、一般
的な展開になるだろう。

※GMへ一言
 とにかくこの「起:真夜中の訪問者」の中でPC全員を登場させること。少々強
引でも、登場しさえすれば物語は動き出すものである。

●「承:多脚多砲塔戦車、大暴れ」

 ここから先は、PCの行動や能力によってゲームの展開は大きく変動する。
 特に「その他系PC」が魔術師だったり、異能者だったりすると、GMにも予測
不可能である。
 よって、このパートでは主立ったNPCの行動指針について述べる。

▼アクジスキー大佐
 迷惑なことに、フィラムの黒い石板とそれを持っている(と大佐が思っている)
密偵ブラケット大尉を追って、どこまでも多脚多砲塔戦車で追いかける。町中だろ
うと大佐はまったく意に介さない。(もっとも、障害が多いとよく故障する)
 町にも城壁を砲撃して突入し、あちこちの建物を破壊しながら突進する。
 黒い石板を入手したら、今度は脇目も振らずに丘の上の古墳(シナリオ地図参照)
へと向かう。

▼ミリアとメリア
 通常は多脚多砲塔戦車の中で装填手として行動している。
 PCおよびブラケット大尉を見失った場合は、戦車からおりて間諜として捜索に
あたる。大佐と違って最大の目的は黒い石板ではなく自分たちを色仕掛けで騙した
ブラケット大尉の方である。見つけたらニコニコ笑いながら警棒でタコ殴りである。
 ブラケット大尉をボコボコにしたら、次は黒い石板の捜索である。

▼ジョン・ブラケット大尉
 「色男、金と力はなかりけり」を地でいく密偵。何とかミリアとメリアに見つか
らないように逃げ出したいと考えている。そのためにはPCを囮にすることもいと
わない。スパイは非情なのである──仕事とは何の関係もないような気がするが。

▼占い師の少女
 どさくさにまぎれて黒い石板を入手し、始末してしまおうと考えている。黒い石
板を持っているPCのところに現れていいかげんなタロット占いをしてみせ、むち
ゃくちゃ強引な解釈で「あなたが持っている黒い石板が、諸悪の根元です。これが
あると大凶、厄年、呪いがふりかかってきて人生ダメダメ。だから黒い石板ちょう
だい」と脅しまくる。

※GMへ一言
 上のどのNPCからでもかまわないが、丘の上の古墳(この国の住人はそう考え
ている)がトーラー文明の遺産で、黒い石板がその起動キーであることを知らせる
こと。

※GMへもう一言
 このパートは、とにかく香港アクション映画のごとく、ノンストップで動かし続
けること。何かある度に多脚多砲塔戦車が走り回って町を瓦礫と化し、戦車が故障
したらミリアとメリアを登場させてPCを追いかけ回すこと。戦車砲は他の戦車や
車、建物を攻撃するためのものであり、間違ってもキャラクターを狙ったりしない
こと。キャラクター(PC/NPCを問わず)を攻撃する場合には、機関銃を使う。
そして、ルールブックには機関銃のデータがないので、これでダメージを受けるこ
とは絶対にありえない。……ところで、やはり機関銃はスチームパンクには似合わ
ないのだろうか。確かに、雨のように弾丸をばらまき人を殺傷する兵器は戦車や飛
行船なんかよりよっぽど『リアル』で、夢がないのは間違いない。

●「転:スミス軍曹の目覚め」

 黒い石板を持ったキャラクター(PC/NPCを問わない)が丘の上の古墳に到
達したら、いよいよクライマックスである。
 黒い石板を利用するには、「感応」の判定に成功する必要がある。判定は1回だ
けで、成功したキャラクターは以後、レーザー砲戦車とコミュニケーションをとる
ことができる。
 黒い石板に反応して、レーザー砲戦車のスミス軍曹が目覚め、動き始める。二千
年の間に、レーザー砲戦車の表面には土がつもり草木が生い茂って丘のようになっ
ているが、その下の黒い石にも似た装甲には傷一つ存在しない。
 ちなみに、レーザー砲戦車のビジュアルは伏せたお椀にどた靴を履いた4本の足
がはえているのを想像してもらえればよろしい。お椀部分にはレーザー砲の発射レ
ンズがあり、これが目のような感じに見える。長い年月の間に、スミス軍曹はこの
レンズを動かして「横目」「ジト目」「びっくり目」などの感情表現が可能となっ
ている。──兵器としてはまったく役に立たない機能であるが。

▼レーザー砲戦車スミス軍曹
 趣味である詩作を中断させられたので、はなはだ不機嫌である。
 コミュニケーションを取ろうとした場合、黒い石板がないとうまくおだてない限
り(たとえば自作の詩を誉めるとか)スミス軍曹はまったく応答しない。
 逆に、黒い石板を持つキャラクターの命令には完全に服従する。もっとも、常に
一言か二言、文句をつけた後であるが。
 スミス軍曹のレーザー砲は、きわめて強力であり(元々は衛星軌道上の降魔核を
攻撃するものなのだから当然なのだが)地上に向けて攻撃するような代物ではない。
 ただし、黒い石板の持ち主に強く命令された場合は、威力を最低限におさえて発
射する。それでも、森が一つ焼き払われることになるが。

▼レーザー砲戦車の内部
 巨大なレーザー砲戦車の中は、複雑に入り組んでいる。また、内部には整備用の
苦力虫が何体も存在しており、故障した部分の修理や侵入者(と黒い石板の持ち主
が判断した相手)の排除を行う。

※GMへ一言
 黒い石板をPCが持っている状態で多脚多砲塔戦車とスミス軍曹の戦いになった
ら、勝負は一瞬で終わる。(砲撃せずとも、蹴飛ばすだけで多脚多砲塔戦車は壊れ
る)
 むしろ、黒い石板をアクジスキー大佐が手に入れるか、または奪回するためにス
ミス軍曹の中にアクジスキー大佐とミリアとメリアが潜入するか、あるいはジョン・
ブラケット大尉がいらない茶々を入れて事態を混迷化してしまうかする方が、クラ
イマックス場面としては盛り上がるだろう。

●「結:戦いすんで日が暮れて」

 アクジスキー大佐とその部下を捕まえるか、追い出すことができればシナリオは
ハッピーエンドとなる。
 逆に、アクジスキー大佐とその部下にレーザー砲戦車スミス軍曹を奪われてしま
った場合は、シナリオはアンハッピーエンドということになる。
 どちらの場合でも、プレイヤーが楽しく遊ぶことができれば、シナリオは成功と
いうことになる。

▼亜神の介入
 アクジスキー大佐がスミス軍曹を盗んでヴァルモン領へ戻ろうとした場合。ある
いはPCがスミス軍曹を使って大暴れするようになった場合、亜神の介入が発生す
る。占い師の少女が亜神である正体を明かし、アクジスキー大佐たちとPCたちを
眠らせてしまう。そして、彼らが気がついた時にはスミス軍曹も亜神も姿を消し、
二度と現れない。

▼スミス軍曹の願い
 PCが黒い石板と感応し、アクジスキー大佐とジョン・ブラケット大尉の両方を
追い払うことに成功したら、スミス軍曹は再び詩作にふけりたいという希望をPC
に述べる。そして、二度と邪魔されないように、黒い石板を自分の中に置いておい
て欲しいという。
 PCがその意見に首肯した場合、スミス軍曹は元の場所に戻って、再び古墳のご
とく腰をすえてしまう。
 翌日、PCたちはスミス軍曹の身体は動き出す前と同じように土と草木に覆い尽
くされているのを見ることになる。(これは亜神のお節介である)

※GMへ一言
 気分よくゲームを終わらせるには、やはりハッピーエンドが一番である。
 ちょっとヘンテコな亜神兵器と、近所迷惑な悪役大佐と、間抜けな密偵の物語は
これでおしまいである。
 ギア・アンティーク〜ルネッサンス〜はどんなPCが登場するかGMにも分から
ないところがあるので、展開はプレイする度に違ってくるだろう。面子を変えてプ
レイしてみるのも面白いはずだ。


 これでこのシナリオは終わりです。では良いプレイを!

					  (BGM:DUAL! & REAL)
 作成者:銅 大(アカガネ ダイ)

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