『ジオン独立戦争顛末記』

 このレポートは、プレイステーション用ゲーム『ギレンの野望 ジオンの系譜』
(バンダイ)のプレイの記録です。一応は事実(プレイ記録)に基づいております
が、ほとんどは記憶に頼っているため不確実な部分があることもご了承ください。
 また、当然のことながらまだプレイ途中の方にとってはネタバレな箇所があるか
も知れません。ご注意ください。

1)開戦〜南極条約締結まで

 私はジオン総統、ギレン・ザビである。
 総統というのは、ジオンで一番エライ人のことである。少なくともそのはずであ
る。
 ……時々、自信がなくなるのだが。

 さて、南極条約締結までのプレイであるが、はっきり言って、この間にできるこ
とは何もない。何しろプレイが始まっていないのだから。

 私としては『毒ガス作戦を実施しなかったら?』とか『ブリティッシュ作戦を実
施しなかったら?』とか、極端な話『ミノフスキー粒子の軍事利用がなされなかっ
たら?』や『ジオン・ダイクンが長生きしたら』などのIFを楽しみたいと思うの
だが、残念ながらそこまでの自由度は得られない。ガンダムのゲームである以上、
ある程度はTVシリーズの一年戦争に従った展開になるのはやむをえないか。

2)地球降下作戦の開始

 というわけで、私が総統として戦争指導できるようになるのは、地球降下作戦か
らである。

 まずはルールブックを読む。
 読もうとする。

 …………

 斜め読みで30秒ながめた後、ルールブックを放り出す。
 このルールブック、わざと読みにくく書いてあるんじゃないのか?
 まぁいい。私とて高校時代から20年間もウォーゲームとつきあってきた男だ。
ルールブックなぞ読まなくとも試行錯誤しているうちに何とかなるだろうて。

 ということで、軌道上の部隊をすべて地球上のあちらこちらに降下させてみる。
 オデッサやら、アフリカやら、インドやらアメリカやらオーストラリアに部隊が
降下していく。さすがにモビルスーツ・ザクの威力は絶大で、各エリアにいた連邦
軍をボコボコにしていく。なかなか気持ちがいい。

 気持ちがいいついでに資金5000が必要な『演説』を2回もやってしまう。
 部下の士気も上がったようだが、何より私の士気が盛り上がった。

 その代わり、一気に貧乏になってしまったが。

 まぁいい。『外交』に予算を投入しなければいいだけのことだ。

 ところで、『外交』って何のためにあるんだ?



3)ソロモン攻略戦

 オデッサを攻略してやれやれ一安心と思っていると、いつの間にかソロモン要塞
が連邦に占領されている。
 ソロモン司令官のドズルに文句をつけようとするが……おい、ドズルはどこだ?

秘書「ニューヤークで連邦軍と戦っております」

 まったく、なんでそんなところで……あ、送ったのは私か。宇宙はヒマそうだっ
たからな。
 それにしても困った、困った。
 『演説』をしたせいで資金が足りなかったので、部隊を生産してなかったからな
ぁ。しかたない、『技術開発』の予算を削って代わりにザクを生産しよう。せっか
くだから、アナベル・ガトーを乗っけて、と。

ガトー『ソロモンよ、私は帰ってきたぁ!!!』

 との雄叫び(実話)と共に、連邦のサラミスを沈めるガトー。いやあ、戦艦相手
の戦いでモビルスーツの強いこと強いこと。射撃はたいしたことないが、格闘戦で
一方的に相手を沈めてしまう。
 かくして、ソロモン奪還にも成功。

 なんとなく無駄な戦いだったよーな気もするが。勝ったから良しとする。



4)ハワイは後回し

 その間に、北アメリカの制圧にもほぼ成功。
 いろいろとモビルスーツを作って試してみたが、やはり一番効率がいいのは、陸
戦型ザク(ザクJ)をドダイ爆撃機に載せて空中を移動させるやり方のようである。

キシリア「総統、ハワイを攻めましょう」

 でもなぁ、なんとなくアフリカの方がいいよーな気がするんだよ。

キシリア「なぜです? 地球表面の7割は海です。海洋を支配することが地球支配
の要であることはお分かりでしょう」

 19世紀のパックス・ブリタニカの例なら私も知ってるよ。だけど、ハワイって
ほとんど海だろ?

キシリア「当たり前です」

 いろいろ理由があって水中用モビルスーツの開発が遅れているんだよ。ユーコン
1隻ではどーにもならんだろ?

キシリア「ムダに金を使い過ぎましたな、総統」

 うるさいんだよ、お前は。



5)連邦大攻勢

 そうこうしている内に、連邦があちらこちらで攻勢をかけてくる。
 最初は宇宙で、ルナ2から発進した艦隊が地球上空を制圧している我が宇宙軍に
攻勢をかけてきた。
 次にヨーロッパ、そしてアメリカ大陸である。もちろん、まだ敵にモビルスーツ
はないが、うっとうしいことこの上もない。
 とりあえず地球上空では遅滞戦術をとり、その間に地上の敵部隊を一つずつつぶ
して回る。

 これで水中モビルスーツの生産がまた遅れてキシリアに怒られる(ため息)
 あいつに睨まれるとどうも額のあたりがムズムズするんだよなぁ。

 イヤな気分を忘れるために、もう一回『演説』しようと考えるが、さすがに金が
ないのであきらめる。

 ところで『外交』って本当に何のためにあるんだ?



6)アフリカ制圧――すると?!

 連邦の攻勢も何とかしのぎ、ようやくキリマンジャロを制圧する。
 長らく止まっていたモビルスーツの開発にも着手し、ゴッグの開発に成功する。

キシリア「これでようやくハワイに――」

ドズル「兄貴ぃ!」

 うわっ、びっくりした。お前の顔は心臓に良くないんだから、もうちょっと静か
に登場してくれないか。

ドズル「そんな事を言っている場合じゃない! 連邦のV作戦を察知した。すぐに
シャアをサイド7に向かわせる。いいな!」

 いや、シャアにはゴッグに乗ってハワイ攻略を……って、人の話を聞けよ、お前
は。何もエースパイロットのシャアを向かわせなくても、そーゆー諜報作戦なら、
シュナイダーとかアカハナとかがいるだろうに。

 とりあえず、シャア抜きでハワイに軍を進める。ゴッグの水中格闘戦闘能力は素
晴らしく、連邦の潜水艦を次々に沈めてくれる。
 そうこうしているうちに、当のシャアから通信が入る。

シャア「連邦のモビルスーツは予想以上です。補給ください、補給」

 ……いや、こう見えても私、TVの『機動戦士ガンダム』は全話見てるんだよ。
 ここでお前に補給送ると、史実(TV)通りの展開になりそうでどーもイヤな感
じなんだが。

 とりあえず補給はなし。シャアが恨みがましい目つきでこちらを見るが、キシリ
アと違ってあまり気にならない。



7)ハワイ、ペキン制圧

 量産されたゴッグは期待以上の出来であった。ハワイを制圧し、そのまま一気に
日本列島を確保する。
 加えて、空中輸送機のファットアンクルもミノフスキー粒子を散布する能力が高
く、有用であることが判明。
 その一方、陸戦型ザクの後継機として期待を一心に背負ったグフA型が、ドダイ
に搭載できないことが判明。役立たずの烙印を押してヨーロッパ方面に投入する。
 まぁ、全体として順調にいっているか。

ドズル「兄貴ぃ!!!」

 またかよ。今度はなんだ?

ドズル「V作戦を追っていたシャアがやられた! 奴は行方不明だ!」

 うーん。あいつは性格はともかくパイロットとしては超一流だったからなぁ。
 残念。

ガルマ「V作戦の戦艦――木馬は北アメリカに降下した模様です。私が追撃します」

ドズル「それはいいが、無理はするなよ。お前こそは俺すらも使いこなしてくれる
将軍になってくれると期待しているのだから」

 それって、つまり。私ではお前を使いこなせていないという意味か?
 ドズル。お前、ペキン最前線送り。決定。

ガルマ「大丈夫です。ドズル兄さんは心配性だなぁ」

 で、その舌の根も乾かないうちに、ガルマは木馬に敗北して負傷。
 ええい、どいつもこいつも。役立たずどもめが。



8)ランバ・ラル追撃

 ペキンを制圧し、そのまま部隊を転用してインドはマドラスの攻略を敢行する。
 疲労が蓄積しているようだが、知ったことか。

 その後、戦線の整理をしているとガルマが負傷から回復。同時に、行方不明だっ
たシャアも月面で保護される。

ドズル「兄貴、いずれにせよ木馬は放ってはおけん。ランバ・ラル隊を送って木馬
を追撃しよう」

 うーん、気は進まない――TVシリーズ知っているから――が、まあいいだろう。

 が、しかし。この決断を私は後でむちゃくちゃ後悔することになる。

 ランバ・ラル隊、壊滅。

 ランバ・ラルだけでなく、ハモン、アコース、コズン、クランプの合計5名のパ
イロットが戦死。

キシリア「しかたありません、総統。ここは黒い三連星を――」

 却下! 絶対に却下!!

 これ以上、貴重な部下を失ってたまるか。それに私はマチルダさんのファンなの
だ。



9)オデッサの戦い

 ついに連邦もモビルスーツの開発と量産に成功したようで、あちこちでガンタン
クだのガンキャノンだの、宇宙ではボールだのと遭遇する。

 まぁ、こいつらはまだ良いのだが問題はガンダムである。
 強い。鬼のよーに強い。こちらの主力である陸戦型ザク(J型)ではお話になら
ない。(まだ大事にとっておいたのである)
 グフB型をぶつけてみるが、やはり分がわるい。しかたあるまい。金はかかるが
ドムの生産に踏み切るか。

 しかし、相手の拠点を落としているはずなのに金が増えんなぁ……(ため息)

 と、家計簿を前に悩んでいると諜報部から、敵部隊がオデッサ侵攻を狙っている
との情報が入る。TVシリーズ通りだとすると……相手はアムロの乗ったガンダム
に、レビルの乗ったビッグトレーか?

 そりゃ、えらいこっちゃ。

マ・クベ「大丈夫です。私に考えがあります。この水爆を使えば……」

 誰かこのバカを監禁しろ。

 とにかく大車輪で部隊をオデッサに集結させていく。ドズル、ガルマ、シャア、
黒い三連星、シン・マツナガ、ジョニー・ライデン、シュタイナーらエース級を根
こそぎオデッサに送り込む。

 そしていよいよオデッサに連邦部隊が“出現”(本当にどこからともなく現れる)
する。こちらも待ち構えており、コンスコン指揮下(笑)のファットアンクルで偵
察とミノフスキー粒子の散布を行いつつ、ドムとザクの混合部隊で連邦軍とぶつか
りあう。

 激闘2ターン。勝利したのは我々であった。
 殊勲賞はアムロ=ガンダムを撃破したドズルと、ブライト=ホワイトベースを撃
破したガルマ、そしてレビル=ビッグトレーを破壊したシャアである。

 それにしても連邦の戦力がこれほどに充実しているとは。
 しかも、諜報部は連邦がソロモンを狙っていると……



10)第二次ソロモン攻防戦

 ソロモン侵攻の情報が入ってからというもの、オデッサのHLV基地は目の回る
ような忙しさとなった。何しろ、今の今まで連邦と激戦を繰り広げていたのだ。
 モビルスーツの補給拠点として最適であったHLVは、また、連邦軍の目標とも
なりやすかった。6機あったHLVは2機しか残っていない。
 足りない。ピストン輸送しても間に合わない。
 どうしたものかと頭を悩ませているとハゲの親衛隊長がやってきた。

デラーズ「ギレン閣下。良い方法がございます。HLVを使わず、直接モビルスー
ツを打ち上げてしまえば良いのです」

 正気か? そりゃ、そういうアニメ(機動武闘伝Gガンダム)もあったが、もの
すごく物理法則に違反しているよーな気がするぞ。

ガトー「我らが崇高なる志さえあれば、蒙昧な物理法則なぞ問題ではありません!」

 年中、脳内麻薬が耳からどぷどぷあふれ出しているかのよーな言動を繰り返すア
ナベル・ガトーが、相変わらず意味不明の言葉を自信たっぷりに断言する。
 こんな風に生きていければ、人生楽しいだろーなー。
 高血圧で、ぽっくりいきそうだが。

 背に腹は変えられない。しょうがないので宇宙に直接モビルスーツごと打ち上げ
る。
 ツィオルコフスキーやゴダード、フォン・ブラウンには見せられん姿である。全
員死んでいるからいいけど。

 で、再び戦力の過半を宇宙に持ち上げたのだが……連邦がやって来ない。
 と思っていたら、いつの間にやらサイド1の残骸に連邦軍が隠れていた。
 待っているのも馬鹿馬鹿しいので、こちらから攻める。
 連邦軍、あっさり壊滅。さすがにオデッサの敗北がきいているらしい。

 えーい、無駄に戦力とターンを使わせおって。



11)『外交』に開眼する

 久しぶりに父上がやってくる。

デギン「喜べ、ギレンよ。ワシが連邦のレビル将軍と話しをつけて、和平を結んで
きたぞ」

 は?

デギン「これでジオンも安泰だな」

 老いたな、父上。ジオンがすでにご自分の物でないことに気づいていらっしゃら
ないとは。
 しかし、父上がいらんことをしたせいで前線の兵士たちが軒並み士気喪失。
 ソーラー・レイでやっぱり焼き払っちゃおうかなぁ。火葬の手間もはぶけるし。

 それはともかく、なんか外交交渉でも出来ないか『外交』コマンドをもう一回見
直して見る。すると月やサイド6が物資を援助しろと言ってきているではないか。
 はっきり言って、物資は余っている。金はないが物資ならうなるほどある。
 捨てるぐらいなら、とあげてみる……すると次のターン。

秘書「中立勢力との貿易収支が上昇しました」

 なんと、物資の代わりに金が入ってきたのである。
 おい! これは、通常は『外交』ではなくて貿易とかそーゆーのではないのか?
 とりあえず、以後はこの方向で外交を使いまくることにしよう。



12)ベルファスト攻略

 そうこうしているうちに、地上ではドムとズゴックの配備が完了する。
 いよいよナポレオンもヒトラーも出来なかったヨーロッパからのイギリス侵攻作
戦の開始である。ズゴックさえあれば、制海権は我々のものだ。
 空中を囮役のドップで埋め尽くし、ファットアンクル輸送機に搭載したドムと、
水中を進むズゴックの大部隊でベルファストを目指す。
 敵の主力はガンダム系とガンタンク系の陸上モビルスーツだが、なんの、ズゴッ
クは地上の格闘戦にも強いのだ。
 激戦ではあったが、危ういところはなく戦いは終了した。

 ……なんか物足りないなぁ。



13)ルナ2侵攻

 戦線に全体的に余裕があるせいで、モビルスーツの開発計画が順調に進む。
 貿易収支が『外交』……なんかこの言葉には抵抗があるなぁ……によって目に見
えて改善され、資金に余裕があるせいもあるだろう。
 宇宙ではついにリックドム2が実戦配備。たちまちリックドムは二軍に格下げで
ある。
 さて、いよいよルナ2攻略である。

ガトー「閣下、核兵器を使いましょう! 核の炎によってルナ2を焼き尽くすので
す!」

 ガトー、お前もしばらくマ・クベと一緒に謹慎ね。
 なんで、うちの連中はこうも核兵器を使いたがるかね。ララァやシャリア・ブル
のようなニュータイプもそろったことだし、通常戦力で十分に勝てるだろうが。

 よし、では私もそろそろ前線に立つことにしようか。
 グワジンに乗り、モビルスーツ部隊を満載してルナ2へと侵攻。さすがに連邦の
抵抗も激しく、ヤザンやアムロの乗るガンダムが立ちふさがる。
 しかし、パイロットならこちらも負けてはいない。

ガイア「オルテガ、マッシュ、ジェットストリーム・アタックをかけるぞ!」

 おい。それはただのパブリク突撃艇だろーが。

シャア「戦いは非情さ」

 そら、非武装のHLVを攻撃するのは非情以外の何者でもないよな。

キシリア「総統のやり方には正直、疑問を感じることもあります。私は私のやり方
でやらせていただきます」

 やだなぁ。こいつ、子供の頃に自分のおやつを私が取った時のことをいまだに恨
んでやがる粘着気質だからなぁ。

 まぁとにかく。優秀な兵士の活躍によってルナ2は陥落したのである。



14)ジャブローをいかに攻めるか?

 さて、いよいよ残るは連邦の本拠地、ジャブローだけである。
 難攻不落を誇るジャブローを制圧するために、参謀本部は幾つかの作戦を提案し
てきていた。

 曰く──

 ■第二次ブリティッシュ作戦を発動し、再びコロニーを落とす。
 ■超巨大粒子ビーム砲搭載型のモビルアーマーを開発し、砲撃で破壊する。
 ■ジャブローの地形に合わせた特殊モビルスーツを開発し、潜入して破壊する。

 とりあえず、最初のコロニー落としは効果がさっぱり不明なので後回しとし、残
り二つに予算を投入してみる。

 超巨大粒子ビーム砲モビルアーマーの開発は“ジオン軍一病弱な男”ギニアス・
サハリンが妹のアイナと一緒に行う。ついでにテストパイロットとしてノリスを引
き抜かれる。
 アニメ『第08MS小隊』通りなら、この3人と会うことはもーないだろーなー。

 続いて、特殊モビルスーツの開発である。ジュアッグ、アッグガイ、ゾゴッグの
水陸両用モビルスーツと、ドリルで地中を掘りまくるというアッグの4種類である。
 こちらは問題なく完成。しかし──

参謀「ジャブローに侵攻できるのは、この4種類のモビルスーツだけです」

 は? いや、私はてっきりこいつらが血路を開いて、そこを通常のモビルスーツ
がなだれ込むという展開を予想していたんだが。違うの?

参謀「はい」

 ……何のためにこいつら作ったんだ。私は。

秘書「総統、落ち込んでいるところを申し訳ありませんが、連邦のMS小隊との交
戦でアプサラス計画を進めていたギニアス閣下とノリス中佐が戦死。アイナ様が行
方不明になったとの連絡がありました」

 そうか、やはりそーなったか。アイナの奴、連邦の男と逃げやがったな。
 まぁいい。アプサラスそのものは高価だが性能は良さそうだ。開発だけはしてお
け。

 しかし、そうなると残る方法はやはり……



15)第二次ブリティッシュ作戦

 時は来た。
 ついにその時がやって来たのだ。

キシリア「ついに90ターンですか」
ドズル「確か、100ターンでおしまいじゃなかったか?」

 いやまったく。時間がたつのは早いものだ。
 行く川の流れは絶えずして……って心境だな。

ガルマ「序盤に『演説』を2回もやって資金を枯渇させたりするからですよ」
ドズル「俺のいないソロモンを勝手に連邦にくれてやったりもしたしな」
キシリア「50ターン以上、一回も『外交』コマンドを実行せず中立勢力との交易
に支障を来していたこともありましたな」

 うるさいな、おまえら。少しは長兄を敬う気持ちはないのか?
 いーんだよ。私が楽しければ。
 とはいえ、このままでいいはずはないよな。
 しかたない、気は進まないがコロニーを落とすか。

 地上の部隊を『大西洋2』と『南米2』に集結させ、その一方で第二次ブリティ
ッシュ作戦を実行する。今度落とすコロニーはサイド7である。

ドズル「兄貴、前から疑問だったんだがなんで“コロニー”落としなんだ?」

 どういう意味だ?

ドズル「いや、俺は無学で良く分からないんだが、力学的に安定した軌道にあるコ
ロニーをわざわざ使わなくても、運動エネルギーが必要なら、小型の隕石あたりを
長時間加速させて高速でぶつけた方が簡単で迎撃も難しいんじゃないかと思うんだ
が」

 やめておけ。それを言うとモビルスーツの推進剤はどーなってるんだ、とかいう
疑問が出てきてきりがなくなる。
 いいではないか。絵的に壮大で。

 というわけで、コロニーは地球へと落下した。
 時に宇宙歴0079。91ターン目のことである。



16)ジャブロー攻防戦

 連邦軍本部、ジャブロー。
 コロニー落下の衝撃により基地機能を失ったとはいえ、今なおそこは50近い部
隊が駐留する、一大軍事拠点であった。

ドズル「なんだ、兄貴? このけったいなモビルスーツは?」

 ゾゴッグだ。格闘戦オンリーの水陸両用モビルスーツ。とりあえずお前にやるか
ら、サケのごとく川を逆上ってジャブローを攻め落とせ。配下にはアカハナをつけ
てやる。

ドズル「シャアの奴は自分専用のゲルググをもらっているのに、俺はこれかい……」

 まぁ、そういうな。ガトーのゲルググ(専用機)もそうだが、あの機体はエネル
ギー消費が激しくてな。継戦能力に乏しい。ファットアンクルの支援がなければ戦
えん機体だよ。(ガウやギャロップは結局開発しなかった)

ガルマ「そうですよ、ドズル兄さん。私もドム部隊を指揮して支援しますから、一
緒に頑張りましょう」

 いつも前向きだな、お前は。よし、私もゲルググ(初期生産型)で出撃しよう。

ドズル&ガルマ「ええーっ」

 なんだ、そのイヤそうな声は。こう見えても私の能力値は優秀なんだぞ。

 かくして連邦50部隊、ジオン60部隊、両軍合わせて100部隊を越える大軍
が密林の中で激突した。まず最初に航空部隊同士が激突する。こちらのファットア
ンクルが索敵を行い、ミノフスキー粒子を散布。(この順番が逆だと目もあてられ
ないことになる)さらにドップ部隊が1部隊ずつ周囲に散って囮の役目を果たす。
 連邦はうかうかとこの策にはまり、部隊を前進させてくる。
 しかも、こちらには秘策があった。
 ドップ部隊の後方にずらりと特殊モビルスーツ部隊を配備していたのである。
 それは一見するとただのザクC型に見えた。旧式で、ジオン本国でも訓練用の機
体としてしか使われていない二線級の部隊である。

 だが、彼らが手にしている武器は――核バズーカ!!

 どうせこれで戦争は終わるのだ。今さら南極条約もなにもあるまい。
 ふはははっ! 連邦軍め、核の威力の前にひれふすがいいっ!!
 核バズーカ、発射ぁ!!

 ……
 …………
 ………………
 なんで何もしないんだ?

兵士「いや。この兵器、宇宙専用なんです……」※注※

 し、知らんかった。それではザクC型は単なる障害物ではないか。
 しまった。20部隊もこんな部隊を連れてきてしまった。戦力はこれで連邦50
部隊対ジオン40部隊。こっちが一気に不利になってしまった。

シャア「ご安心を。私とララァが敵陣を切り開いて見せます」

 赤い彗星。シャア・アズナブルはこの戦いにおいて、まさにその言葉にふさわし
い獅子奮迅の働きを見せた。彼と彼の率いるニュータイプ部隊は優先的に最新鋭モ
ビルスーツ(シャア専用ゲルググ、ドム・トローペンなど)を有し、圧倒的なパワ
ーで連邦のモビルスーツを次々に血祭りにあげていったのである。

 が、最新鋭の機体はその分、燃料消費も早い。一機、また一機。彼らの動きが止
まる。
 補給が必要だ。だが、序盤の航空戦で補給の要であるファットアンクルの被害が
大きく、後退もままならない。

シュタイナー「お困りのようですね、総帥」

 サイクロプス隊のシュタイナーではないか。何を……おおっ、戦線を迂回してジ
ャブローの中核都市の一つを占領したのか! これで補給ができる!
 それにしても、敵陣営のど真ん中で、よく補給線を保持できているなぁ。
 よく見るとガルシアやミーシャが1部隊ずつ分散して補給路を確保している。
 まったく、無茶をするものである。

シュタイナー「無茶をやるのがサイクロプスです。おまかせください」

 それにしても、大西洋から川沿いに侵攻してくるはずのドズル部隊が遅いな。

ドズル「すまない、兄貴。レビルの潜水艦隊がいて遅くなった」

 おお、そうか。で、レビルはどうした?

ドズル「潜水艦は沈めたが、河口の浅いところだったからな……生死は不明だ」

 まぁいい。とにかく早く合流して――

スレンダー「ガ、ガンダムだぁっ!」

 これが最後のご奉公ということで物見に出ていたアッガイ部隊が悲鳴をあげて通
信途絶となった。
 見ると、そこにいるのは――ヤザンのガンダムと、アムロのG3ガンダムという
最強スタック。アッガイごときでは反撃もままならずに鎧袖一触である。

ドズル「噂に聞く連邦の白いヤツか。よし、ランバ・ラルの仇だ」

 ドズルのゾゴッグとズゴック部隊がガンダムに挑むが――

ドズル「ぬぅ! つ、強い!」

 ろくにダメージを与えることもできずに大損害を受けて後退する。遠距離攻撃能
力が高いゾックらを投入するが、これもダメ。たかが2機のモビルスーツを前にし
て、水陸両用モビルスーツの残骸ばかりがうず高く積み上がっていく。

 だが、そこへ――

ガトー「志半ばにして散っていった英霊たちに導かれ、私は再び帰ってきた!!
(補給を終えて)」

 補給をすませたアナベル・ガトー、シャア、そしてララァたち最新鋭機部隊が前
線に復帰したのである。

アムロ「赤いモビルスーツ? ザクじゃないけど……シャアか!」
シャア「あの時の屈辱(シャアはガンダムに破れて行方不明になったことがある)
今こそ返させてもらう!」

 激突する白いモビルスーツと赤いモビルスーツ。
 密林を爆炎と煙が覆う。
 そしてしばらくの後。
 煙の中から白いガンダムの頭部がぬっ、と突き出た。
 様子をうかがっていたジオン軍の兵士たちが思わずあとずさる。
 だが、その白い頭部に胴体はなく。
 煙が晴れた時、そこにいたのは討ち取ったガンダムの首級を誇らしげに掲げる赤
いゲルググの姿があった。

 この戦闘により、戦局は一変した。
 守りの要であるガンダムを失った連邦は総崩れになり、ついにジャブローは陥落。

 我がジオンは地球連邦相手の独立戦争に勝利したのである。

 だが……平和(ゲームエンド)はまだまだ遠かった。

※注※
 これは私の勘違いで、核バズーカなどの『砲撃』扱いの武器は、移動後の射撃が
できないだけで、地上でも使用可能である。



17)地球圏統一戦争の始まり

 ジャブローを陥落させ、圧倒的な勝利によって連邦に代わって地球圏の覇者とな
った我がジオン公国。
 もちろん、このまま全てがうまくいくはずがない。つもりつもった恨みが噴出し
て粛清の嵐と内戦となるのは目に見えている。

 まぁ、そこまでは予想の範疇だったのだが……

参謀「浮かない顔ですね、閣下」

 連邦の右翼勢力であるティターンズが反旗を翻したのは計画通りだ。

参謀「何しろ、さんざん挑発しましたからね」

 赤い彗星のシャアが、実はジオン・ズム・ダイクンの息子であったのは驚いたが
旧ジオン派が決起するのも分かっていた。

参謀「シャアに関してはキシリア閣下が情報を隠されていたという噂もあります」

 で、問題なのは……なんで、そこまで分かっていて我が軍の配備がムチャクチャ
なんだ? あん?

参謀「はぁ、それに関しましては。敵の決起場所や戦力が不明だったため、全ての
防衛拠点に均等に部隊を配置したのですが……」

 戦力は集中して使ってこそ、意味があるのだろうが!
 それに、ドップをサイド3に1個中隊も配備してどうしろというんだ?

参謀「それにつきましては本ゲームの“仕様”ですのでいたしかたありません」

 あ、開き直りおったな。
 どうせなら、全部隊を本拠地(サイド3)に集めちゃうとか徹底してくれれば全
てエリアを一から見直したりする面倒もなかったんだがなぁ。

 で、人事やら再配置やらで、なんだかんだと3ターンが経過する。



18)月軌道攻防戦

 ま、とりあえずは手近にある月面都市グラナダを本拠地とするシャア率いるネオ・
ジオンを始末してくれようか。
 シン・マツナガとリック・ドム−2の部隊を月軌道に送り込んで侵攻路を確保しろ。

シン「了解しました」

 1ターン後。

参謀「月軌道に侵攻したシン・マツナガ少佐の部隊が壊滅しました。マツナガ少佐
も重傷です」

 なにぃ? リックドム−2を2個中隊(18機)送り込んだんだぞ? それに指揮
官は名にし負う『白狼』だ。相手はたかが1個小隊(3機)ではないか。それがな
ぜ敗北したんだ?

参謀「いえ、それが……」

 負傷したマツナガの報告によると、敵はすべて足のないモビルスーツ(モビルア
ーマー?)で、腕を飛ばして不可思議な方向から攻撃をかけてきたという。

参謀「おそらく、我が軍では計画のみ行われたニュータイプ用モビルスーツ、ジオ
ングではないかと思われます」

 確か、あの機体はむちゃくちゃ高価だったので開発を差し控えた記憶がある。
 というか、私の好みからわが軍ではモビルアーマーはほとんど開発していない。

秘書「そういえばそうですね、なぜです?」

 このゲームは巨大な人形ロボット兵器が戦うところに趣があるからな。
 飛行機だか戦艦だかよく分からない兵器が活躍したんでは、興がそがれる。それ
だけだ。

 まぁ、それはともかく。
 シン・マツナガのようなエース・パイロットが手もなくひねられた所から考えて
も、ネオ・ジオンのモビルスーツの性能は並々ならぬものがあるようだ。
 まずは、自軍の編成を見直すところから始めるとするか。



19)次期主力モビルスーツの選定

 独立戦争において圧倒的な強さを示した主力モビルスーツ、ドム。
 この機体がなければ、我がジオン軍が連邦のV作戦が生み出した強力なモビルス
ーツ達に対抗できたかどうか疑わしい。
 だが、その神通力にもどうやら陰りが見えてきたようだ。

ガルマ「ドムを主力とした我がユーラシア方面軍も苦戦しています。特に連邦のジ
ム・クゥエルというモビルスーツを相手にした時の損耗率はこれまでの3倍近い値
を出しています。ペズン・ドワッジなら何とか互角に戦えるのですが」

 あれは生産に4ターンもかかる、いわばドムの中でも特注品だからなぁ。次期主
力にするにはちょっと……

キシリア「我が潜水艦隊は、大西洋を制圧することに成功しました。ただ、ネオ・
ジオンのズゴッグE(エクスペリメント)に対抗する関係上、こちらもゴッグ、ズ
ゴッグ部隊を順次ズゴッグEに変えていきたいと考えています」

 そいつは、しかたあるまい。コストもそれほどかからないしな。

キシリア「加えて連邦には、優れた水中用モビルスーツが存在しません。海洋方面
に関しては、数さえそろえることができれば心配は不要かと」

ドズル「となると、やはり宇宙だな。俺は最新鋭のガリバルディαを推す。装甲、
火力、機動力、どれをとっても一級品だ。この機体が量産の暁には、シャアも連邦
の残党も、恐るるに足らん!」

 ふむ。性能は確かに優れているがな……これも生産に4ターンかかる機体だから
な。加えて価格も高い。

ドズル「だからといって、量産型のゲルググではグフの二の舞だぞ。中途半端な性
能では、前線の兵士が苦労するだけだ」

 かといって、いかに高性能とはいえ少数の機体では広がり過ぎた戦線を支えるこ
とができんよ。連邦だけを相手にしていれば良かった時とは事情が異なるのだ。

ドズル「ならばどうする?」

 しばらく悩んだ後。私は2つの機体を主力モビルスーツとして選択した。

 まず戦列を支える主力として、ゲルググM(マリーネ)を。
 ゲルググ・シリーズ中でも機動力と火力に優れた機体である。豪華主義のドズル
としては不満なようだが、量産性を考えるとこの機体が一番であると私は判断した。

 そして指揮官用に、ケンプファーを。
 ゲルググを上回る機動力を誇り、かつ指揮官用ゲルググMよりも高性能の機体で
ある。エース・パイロットを搭乗させるにはふさわしい機体だ。何より耐久力が高
い点が良い。シャアの反乱により優秀なパイロットが不足している。生残性の高い
機体を使うに越したことはない。

ドズル「ゲルググMはともかく、ケンプファーはいい機体だ。さっそく俺も使わせ
てもらう」

 その後、ドズルは対ティターンズ最前線である『宇宙2』においてケンプファー
に乗って陣頭指揮を続け、サイド3に戻ってくることはなかった。
 粗暴ではあるが、将兵には絶大な人気を誇るドズル配下の突撃宇宙軍は、波状攻
撃をしかけるティターンズ軍とよく戦い、一機たりとも地球圏へ進ませなかった。

 そして――
 私とドズルが会って話をしたのは、この時が最後となった。



20)ユーラシア大陸の黄昏

 一度、トップの方針が定まると我がジオン軍の動きは早い。連邦のような衆愚政
治では不可能なことだ。

 私は、まずユーラシア大陸――ティターンズの生産拠点――の制覇を目指した。
 戦い方は、いわゆる電撃戦である。各地には最低限の守備隊を置くにとどめ、か
き集めた戦力でインド洋からマドラスに攻め込む。
 マドラスを制圧した後はすぐさま中国に侵攻、周辺地域には目もくれず一気に北
京を攻め落とすというのが骨子である。
 いわば、敵の生産拠点を破壊することで継戦能力を奪うという作戦である。
 この電撃作戦の指揮官に任命したのはガルマである。
 私にも意外であったが、ガルマは電撃戦に非凡な才能を示した。というより、若
く物怖じしない性格が電撃戦に向いていたのだろう。一々後方を気にしていては、
敵陣深く切り込む電撃戦は成り立たない。

 ガルマのユーラシア方面軍はマドラスを制圧した後、休むことなくインド、中国
と連戦を続けた。拠点制圧に時間をかけることなく、補給と整備はファットアンク
ルで移動しながら行い、一気に敵部隊へと攻め込む。

 こうして、6ターンの後にはユーラシア大陸主要部は我がジオンの占領下に置か
れることとなった。



21)太平洋を越えて

 ユーラシア大陸を制圧したガルマのユーラシア方面軍が整備と機種転換を行って
いる間に、キシリアの潜水艦隊はズゴッグEの量産を完了していた。部隊を率いる
のはキシリア子飼いのマ・クベ大佐である。
 どちらかというと謀略家として知られるマ・クベに、こうした実戦部隊配備は不
適切ではないかとの危惧もあったのだが、本人はこの任務を楽しんでいるようであ
った。

マ・クベ「知っているかね? かつて中国や日本で作られた陶磁器の多くが、海を
わたってヨーロッパにもたらされたことを?」

ドアン「はぁ、初耳です」

 いつの間にやらマ・クベの副官のような立場にされてしまったククルス・ドアン
が困ったような顔で答える。

マ・クベ「当時の航海技術はお世辞にも優れたものではなく、陶磁器を運ぶ船はよ
く遭難したという」

ドアン「はぁ」

マ・クベ「インド洋やフィリピン、インドネシアで作戦をする時には海底にも注意
を払うことだ。思わぬお宝が沈んでいることがある」

ドアン「は……それは……」

 どう答えていいか分からず、ククルス・ドアンが困った顔をする。冗談を言って
いるのだろうか?

 悩むな、ドアン。マ・クベは壺のコトになるといつもマジだ。

 とはいえ、この二人はけっこう良いコンビであった。切れ者のマ・クベが作戦を
指揮し、朴訥で叩き上げの下士官上がりであるククルス・ドアンが部下を統率する
やり方でハワイを、そしてマドラスを制圧したのである。



22)親友との訣別

 大西洋、ユーラシア大陸、太平洋と制圧を続けた我が軍の次なる目標は北アメリ
カ大陸である。
 海洋からの上陸作戦となるため指揮官はキシリアを任命しようとしたのだが……

ガルマ「兄上、ぜひ私に北アメリカ制圧作戦をおまかせください!」

 そういや、こいつはニューヤークに恋人がいたんだよな。ち、こないだまでガキ
だったくせに色気づきやがって。
 人類史上最大規模の殺戮をやってのけた私だ。平和に孫に囲まれて畳の上で死ね
るとは毛頭思っていないが、馬に蹴られて死ぬのだけは勘弁だからな。許可しよう。

ガルマ「ありがとうございます! つきましては……」

 ん? アメリカ制圧の暁には結婚したいとでもいうのか? まぁ、それもいいだ
ろう。キシリアがどーゆー反応を示すか楽しみでもあるし――

ガルマ「もし、私が北米大陸でシャアを捕らえることができましたら、その処遇を
私に一任させていただけませんでしょうか」

 ガルマが真摯な顔を私に向けて言った。
 そう、こいつもいつの間にか男の顔をするようになっていたのだ。

 それゆえに、私もこう答えるしかなかった。

 『否』と。

 その後、キャリフォルニアでケンプファーに搭乗したガルマはパーフェクト・ジ
オングに乗ったシャア・アズナブルと遭遇した。
 その時、二人にどのような会話が交わされたのか。
 それとも何も話すことなく終わったのか。

 それは、誰も知らない。



23)夫婦喧嘩は犬も食わない

 北アメリカの戦いは一進一退を続けた。
 とにかく、相手は名にしおうニュータイプ部隊である。
 シャア・アズナブルを始めとしてララァ・スン、シャリア・ブル(裏切りやがっ
た)がパーフェクト・ジオングに搭乗して攻めて来るのだ。ちょっとした不注意で
前進しすぎたファット・アンクルなど、一撃で爆砕である。
 誰か、こいつらを止めてくれ。
 などと思っていたら、ドップの壁の向こうから強力な粒子ビームが!
 不幸な(?)ドップごとジオングを焼き払ったのは──アプサラス−3!!
 それにしても、なんというもったいない……あ、いや。冷酷な戦法であろうか。
 誰だ? パイロットは?

秘書「アイナ・サハリン様です」

 サハリン? 確か第一部で全員死亡したはずじゃ……ああ、そういやギニアスの
妹だけ、生き残っていたな。
 ん? ちょっと待て。確か、不確定情報では連邦軍のモビルスーツ・パイロット
と手に手を取って駆け落ちしたんじゃなかったっけ?

秘書「それなのですが……確認しましたところ……すっごく冷たい目でにらまれて
しまいまして……」

 馬に蹴られるのも勘弁だが、犬に食われるのもイヤだな。まぁ、ここは暖かい目
で見てやるとしよう。

 周囲6ヘクスを常にドップに囲まれたアプサラス3に搭乗したアイナは、味方を
巻き込む事を恐れず……というか嬉嬉として味方ごと敵ユニットを砲撃で吹き飛ば
していく。この、なんとも合理的だが悪魔のよーな戦いぶりによって、北アメリカ
大陸のネオ・ジオンは制圧されたのである。

 なんか、サイド3のお昼のTV番組で『姑をアプサラスで殴る鬼嫁』とかやって
そうだな。

 くわばら。くわばら。



24)第一次グリプス2攻防戦

 激戦であった北アメリカ大陸の制圧と比べると、南アメリカ大陸、旧連邦本部の
あるジャブローでの戦いはあっさりとしたものだった。
 第二次ブリティッシュ作戦によってジャブローがほぼ壊滅状態にあったという点
を差し引いても、ティターンズの弱体化に疑念の余地はなかった。

参謀「というよりは、むしろ内紛が原因でしょう」

 聞くところによると、最近になってティターンズに参加した木星船団の勢力が、
ジャミトフを追い落としにかかっているらしい。
 となれば、これは好機である。
 私は麾下の宇宙軍を取りまとめてティターンズ本拠地のグリプス2へと攻め込ん
だ。ケンプファーとゲルググMを中心とする60部隊、約150機のモビルスーツ
が宇宙を埋め尽くす。

 さすがに、ここを突破されると後がないティターンズは必死に抵抗を繰り返した。
 戦線によっては、こちらが押され気味になることもしばしばである。

参謀「モビルスーツの性能はあがっているのですが……」

 参謀が口をにごす。が、もちろん私には原因が分かっていた。パイロットの練度
が落ちているのだ。
 一般に、軍隊の練度というものは平和な時代の方が上昇する。フリードリヒ大王
やナポレオンが、その戦争の初期においてまさに芸術的なまでの戦術の冴えを見せ
たのは、彼らの指揮に応えるだけの熟練兵がいればこそであった。七年戦争末期、
あるいは諸国民戦争やワーテルロー戦役の泥臭さを見ればそれが分かるだろう。
 そして、それと同じ事がグリプス2でも行われていた。
 一週間戦争からルウム戦役にかけて華々しく活躍した熟練パイロットの多くは戦
場から消え、その代わりを埋めるのは学徒動員の若い少年たち。

 だが、後一押しでグリプス2を陥落させられる。
 その時、一本の通信が入った。

秘書「ギレン閣下! 補給部隊のガデム少佐から緊急連絡です!」

 結局、グリプス2を陥落させることはできなかった。
 シロッコ率いるティターンズの別働隊──というより、それはシロッコの私兵と
もいうべき部隊であったが──によって、戦線後方のガデム少佐の補給・支援部隊
が撃破されたためである。
 実のところ、被害はそれほどでもなかった。だが、敵に囲まれたという心理的衝
撃に、若年兵を中心とする我が軍が耐えられなかったのである。
 親衛隊が最後まで踏みとどまり、撤退を援護しなければどれだけの被害が出たか
想像もつかない。
 惨敗、というよりはあまりに無様な戦いぶりであった。
 まるで一年戦争初期の連邦軍を見ているかのような。



25)グラナダ陥落

 部隊を再編成した私は、ティターンズ(あの後ジャミトフは暗殺され、シロッコ
が全権を掌握したらしい)との戦いの前に、シャア率いるネオジオンへ矛先を向け
ることにした。
 ……実は、部隊がサイド3に集結しているせいでもあるのだが。

参謀「本当によろしいので? 我が軍がティターンズと戦っている間に、グラナダ
には約80部隊もの敵が集結しておりますが」

 ガトルやジッコも混じっているではないか。しょせんは烏合の衆だ。

キシリア「総帥、それは短慮ではないかと。シャアが我が軍を抜ける時にニュータ
イプ部隊を引き抜いております。シン・マツナガの部隊がたった2機のジオングに
撃破された事をお忘れか?」

 忘れてはいない。
 だから、こちらも奥の手を使わせてもらう。

キシリア「この機体は……核装備ガンダム!」

 親衛隊に奪取させたティターンズの秘密兵器だ。一年戦争初期に使用した核バズ
ーカ搭載型のザクとはけた違いの破壊力を持っている。
 しかも、ちゃんとルール(移動後は砲撃不可)を確認したからな。今度は大丈夫
だ。パイロットもちゃんと決めてある。
 前回の雪辱ということで白狼に──

ガトー「おまかせください!! 裏切り者の赤い彗星を私が撃破してごらんにいれ
ます!!」

 ………
 いや、なんとなくそーなる気はしてたんだ。ま、奪取したのも君だから、いいだ
ろう。

ガトー「はっ!!」

 いざ実戦に投入してみると、核装備ガンダムの戦略核バズーカの威力はすさまじ
かった。これまで我が軍をさんざんに苦しめていたニュータイプ部隊が、まるで朝
露のように蒸発し、消えていく。

 戦いが終わった時、グラナダという名前は、大きなクレーターをさす地名となっ
ていた。
 この武器、封印ね。



26)第二次グリプス2攻防戦

 グラナダを消滅(文字通りの意味で)させた後、地上で再び蜂起した地球至上主
義者を殲滅した私は、再度、グリプス2に対する攻略を指示した。
 さすがに、今度は補給部隊に対する守りも万全である。
 大軍にくくたる戦術は必要ない。ひたすら平押しに押し続ける。
 シロッコという男、戦略家としてはたいした事はないがモビルスーツの設計に関
しては優れた素質を持っているらしい。ジオなどという、強力なモビルスーツが少
数ではあるが我が軍を苦しめる。
 だが、しょせんは多勢に無勢。
 シロッコは自らの乗るモビルスーツと共に滅び、ティターンズは消滅したのであ
る。



27)エゥーゴの登場と消滅

 戦乱の時代というのは、人の意識を狂わせるものらしい。
 本来であれば金勘定をしていれば幸せという大財閥と、連邦のやり方に反発を抱
く(だから私が滅ぼしたのだが)スペースノイドが結託して、我がジオンに反旗を
翻したのである。名前はエゥーゴ。反地球連邦組織である──なんか、語義学的に
存在理由が矛盾しているよーな気がするのは私だけではあるまい。
 とにかく、こいつらについて語るのはばかばかしい上にもったいない。
 あっさりと滅亡した事だけをここに記しておく。



28)アクシズの帰還

 ネオジオンは滅びた。
 ティターンズも(半ば内紛の結果)自壊した。
 エゥーゴも壊滅した。
 もはや我がジオンに仇なす存在はなくなった。私はそう思った。
 だが──

参謀「小惑星アクシズが地球圏に帰還しました!」

 確かあそこはマハラジャ・カーン──なんともトミノ的な名前の付け方だが──
が治めていたはずだが。ああ、そういや娘に代替わりしたんだっけな。

ハマーン「我々は、宇宙パワーを手に入れた! この力で世界を征服する!」

 …………はぁ?
 これは何かの冗談か?

参謀「いや、大まじめのようです」

 なんだかなぁ。どーも、私はZガンダムやZZガンダムが苦手なもので、内容を
詳しくは知らないのだが、これってそういう話なのか?

参謀「おそらく」
秘書「ところで総帥。ZガンダムやZZガンダムが苦手とおっしゃるのでしたら、
いったいどんな作品ならよろしいのでしょうか?」

 そら、映像作品なら『機動戦士ガンダム』か『機動武闘伝Gガンダム』だな。
 コミックなら『Gの影忍』か『魔法の少尉ブラスター・マリ』だ。

秘書「……」
参謀「それはともかく、どういたしましょう?」

 どういたしましょうったって、すでに意識が因果地平に飛んでしまっている連中
を相手に、道理が通用するわけがなかろう。ドズルの部隊がソロモンで再編成して
いるはずだから、鎮圧に向かわせろ。

キシリア「総帥。その件なのですが──」

 なんだ?

キシリア「ドズル中将が、麾下の部隊を率いてアクシズに亡命しました」

 なんだとぉっ?!



29)ドズルの裏切り

 私にとって、ドズルの裏切りは驚天動地の出来事だった。
 まったく。キシリアならともかく。あの政治に無縁なドズルが、な。

キシリア「兄上もなかなかお甘いようで」

 どういう意味だ?

キシリア「ハマーンが私に調略の手を伸ばしていなかったとお思いか?」

 ふむ。それもそうだな。では、なぜ誘いにのらなかったのだ?

キシリア「失敗すると分かっている計略に荷担するほど私は甘くないつもりですが」

 それはそうだ。連邦やティターンズなき今、地球圏はすでに我がジオン公国の手
中にある。今更戦乱を起こして権力を奪取するぐらいなら、内部から権力を切り崩
す方が効率がいい。お前ならそう考えるだろう。

キシリア「ドズル兄さんにも本当は分かっているはずです。この戦いに勝利は得ら
れないということが」

 ミネバを人質に取られていたから、ではないのか?

キシリア「単に人質の救出をするだけなら、他にいくらでも手があります」

 そうだな。レビルの例もある。最悪、スコルツェーニ……じゃなかったシュタイ
ナー当たりに潜入させてもいい。

キシリア「ドズル兄さんは、ギレン総帥のやり方に反発を抱いているジオン内部の
勢力の旗頭を自らに任じたのでしょう」

 ……私に自分ごと滅ぼさせるためだけにか。愚かな。
 あいつには他にもやってもらいたいことが山ほどあったというのに。

デギン「それはどうかな?」

 父上。どういう意味ですかな?

デギン「戦乱の時代は終わろうとしている。これからの時代に必要なのは、キシリ
アのような政治的な才覚。ガルマのようなカリスマ。そしてお前のような強烈な意
志に裏付けられた指導力だ。ドズルには、分かっておったのだよ。自分が不要な存
在になるということが」

 では、どうせよと? 連邦の時のように公王みずから和平交渉にでも行きますか?

デギン「いや。あれ(ドズル)の望むようにしてやってくれ」

 分かりました。
 全軍に通達。アクシズとハマーン一党を殲滅する。
 一人たりとも逃がさず、根切りにせよ!


30)始まりの終わり

 かくして。
 ジオン独立戦争は地球圏の覇権を争う戦いにまで拡大し、ついには我がジオン公
国の勝利に終わった。
 だが、これで終わりなのではない。

 これからが、すべての始まりなのだ。

《おしまい》

							銅大(あかがね だい)

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