ローマ:トータル・ウォー プレイレポート:ユリウス編
■ローマ:トータル・ウォーその1)戦争の犬
紀元前3世紀。
地中海世界は波乱の時代を迎えていた。
「そういうわけで、我がユリウス一門は北のガリアを担当する」
「スキピオ一門が南のカルタゴ、ブルトゥス一門が東のギリシアですか」
「カルタゴは象がいるし、ギリシアには鉄壁のファランクスがある。それに比べれば
こっちは蛮族ばかりで楽なもんだ」
ガリアの歩兵部隊は上半身裸で入れ墨をした男達が突っ込んでくるのだが、見てくれ
通り防御力は弱いので前線の兵がしばらく支えていれば勝てる。
「北イタリアも制圧したし、フランス侵攻だ」
「お、こっちにおそれをなしたのか敵が森の中へ退却しますぞ」
「追撃だ、追撃。む、ドルイド部隊とな」
「何やら不思議な踊りでこちらを挑発してきますな」
「ええい、蹴散らせっ?!」
わあああああっ!!
「な、なんだ?!」
「伏兵ですっ! 森の陰にガリア兵士が隠れていましたっ!」
この戦いで、ユリウス一門の武将3名が戦死する。
「うわー、きっつー」
「子供はそれなりに生まれていますが、元服するまでまだ何年もかかりますよ」
「しょうがないから休戦だ」
ガリアと休戦し、しばらく内政に専念する。
「北イタリアの山岳地帯に山賊がこもっています」
「めんどうだな、暗殺者を送って始末しろ」
だが、暗殺者がヘボなのか山賊の親玉が用心深いのか、次々と暗殺者は返り討ちに遭う。
「いったいどんなヤツなんだ」
「こういうのです」
都合10人ばかりの暗殺者が返り討ちにあった後で、しょうがないので正規軍を動かす。
「山狩りなら犬だろう。猛犬連隊を出せ」
猛犬連隊は育成に時間がかかるが、たいへんお手軽な部隊である。通常、戦って消耗
した部隊は金を払って再編成しないといけないのだが、犬はしばらくたつと自動で回復
するのである。
このように、最前線で犬を戦わせ、その後ろから槍を投げる。人命第一である。
そうこうしていると。
「元老院から命令です。北フランスのガリア都市を海上封鎖しろと」
「むー、となるとまたガリアと戦争だな。武将は?」
「3人ほど元服しました。ですが、まだ若くて能力は低いですよ」
「しょうがない。どっちにしろ実戦経験を積まないとろくに成長しないんだ。ガリアへ
送れ」
こうして、猛犬連隊と共に若いユリウス一門の武将がガリアとの最前線に送られる。
彼らの行く手には何が待ちかまえているのだろうか?
■ローマ:トータル・ウォーその2)凄腕の暗殺者
ぱぱらぱー!
突然ですが、ここで歴史イベントです。
マリウスの軍制改革が発生しましたー!
「まだ3世紀だつうのに早いな」
「マリウスって、美青年のような名前なのにオヤジキャラですよね」
「なぜ美青年……」
「ところで、軍制改革って、何がどーなるんです?」
「うむ。これまでの我がローマ軍はギリシアなんかと同じ市民軍なのだ。有産市民
(ほとんどは中堅自作農)が、交代で軍役につくわけだな」
「パートタイムの軍隊ですか」
「戦争があると、市民が武器持参で集まって軍隊を編成する。終わったら家に帰って
畑を耕す」
「あー、でも私ら四六時中戦争してますが?」
「それだ。ローマが覇権国家になって地中海のいたるところで戦争をするようになると、
パートタイムの兵隊ではうまく機能しなくなる」
「クリスマス休暇になってもお父さんが帰ってこないのですな」
「それが何年も続けば畑は荒れ、人手にわたってしまう。ガイウス・マリウスはこれでは
まずいと考え、無産市民――武器も自弁できず、これまでは兵隊にならなかった貧乏人
――に給料を払って専業兵士にしたてあげたのだ」
「で、ゲームシステム的にはどう変わるんですか?」
「編成できるユニットの種類が変わる。それだけ」
「そんなもんですか」
「そんなもんだ。で、前の市民軍ユニットはもう補充できなくなるから……」
「この半減した弓兵部隊とかどうするんですか」
「維持費だってタダじゃないんだから市民軍は解散。奥さんや子供のところに帰して
やろう」
「家に帰ると新しいパパもいたりして」
「笑えねぇよ」
「しかし一気に兵隊が少なくなっちゃいましたよ、どうするんです」
「しばらくは防衛だな。外交攻勢に出るぞ」
外交攻勢。
これは読んで字の通り、外交官による攻撃である。
外交官が銀貨のたっぷり詰まった袋を、敵の将軍にこっそり渡す。
そうすると、その軍勢は雲散霧消してしまうのである。
顔グラフィックありの将軍に通用するかどうかは賭けだが、顔グラフィックなしなら、
まず成功する。
「えげつないですねー」
「わははは。金は力なりだ。よし次は暗殺者を送り込むぞ」
暗殺者は、暗殺に成功すると経験を積み、能力が上昇する。
いきなり敵の将軍を暗殺するのは難しいが、そこらへんを歩いている敵国の外交官を
ばしばし殺せば数人にひとりは成功してレベルアップするのだ。
「凄腕の暗殺者が誕生しました」
「おお、お供に猿、美女、美少年がついた暗殺者か。これは凄いな」
さっそく、山賊の暗殺を試みさせる。
「確率100%。まず成功ですよ」
「よしよし」
暗殺者はトゲのついた棍棒(!)を手に山賊の親玉に忍び寄り、ぼごんっ、と一撃。
「?!」
「……殺してきたぞ」
「ど、どこの撲殺天使だおまいはっ?! まさかそいつはエスカリボルグっ?! つうか、
ローマの暗殺者ってみんな棍棒使うのかっ?!」
「棍棒はいいぞ……これぞ男の武器だ。陥没する頭蓋骨。飛び出す眼球。はみ出す脳髄。
プリミティブな官能の世界がそこにある」
「やな官能の世界だな。まあ、邪魔者を処分してくれたなら文句はない」
だが、次のターン。
山賊部隊は変わらずそこにいた。
「どういうことだ?」
「あー、ほら。山賊だけに、親玉が殺されてもすぐ次のに代わるようです」
「意味ねーっ?!」
結局、再び猛犬連隊(マリウスの改革の影響を受けない)が送り込まれて山賊を討伐
したのである。
■ローマ:トータル・ウォーその3)ローマ軍の戦い方
ローマ:トータル・ウォーでは、まず戦略マップで軍隊を移動させる。
編成は時期や予算によってまちまちだが、基本はコンバインド・アームズ、諸兵科連合
である。
歩兵、騎兵、弓(投げ槍)兵。
この3種類がバランス良く編成されていることが望ましい。
後、一門の将軍がいると指揮能力が戦闘力に加算されるのでできれば連れて行きたい。
成人したての若い将軍は指揮能力が低いので、山賊討伐などの軽い戦闘で経験を積ませて
おこう。
「御屋形様、ベルギカ(現在のベルギー)でガリア人が反乱を起こしました。その数は
約400」
「近くには誰がいる?」
「ウィルギカクス将軍がいます」
「確かブリトン人の降将だったな。使えるのか?」
「老練で(55才)堅実な用兵をする男です」
「よし、補助軍団兵3個(81人*3)に騎兵1個(54騎)をつけて討伐させろ」
こうして、冬の大地で戦いが始まった。
「よし補助軍団兵(投げ槍)を前進させよ。わしと騎兵は左翼に回る。敵に弓兵はいない
ようだな」
戦いはまず、投射兵器(弓、投げ槍)の攻撃で始まる。
敵に弓兵がいないならば、距離を置いて一方的に攻撃できる。大きなアドバンテージと
なるのだ。
だが、反乱軍はその不利を補うべく、射程に入るやいなや突撃を敢行した。
どどどどどど。
雪煙をあげ、馬蹄を鳴らして反乱軍騎兵が突撃をしかける。
投げ槍で、数騎が傷つくがすぐに距離がつまり、肉弾戦に移行する。
となると、軽装の飛び道具兵は不利だ。細長く広がった戦列がたちまち踏みにじられる。
「残りの補助軍団兵を出して支えよ!」
「ふぉわーどっ!」
ざっざっざ。
鎧をつけた軍団歩兵が前進して敵騎兵の突撃を食い止める。
こうして歩兵部隊が支えている間に――
ローマ軍の騎兵部隊が、敵の背後へと回り込んでいた。
「よし、突撃ぃぃ!」
「あたぁああっく!!」
背後からの騎兵の突撃により、たちまち反乱軍は崩れ立った。
反乱軍指揮官が乱戦の中で騎兵の槍にかかるや、反乱軍は逃走を開始する。
「逃がすなっ、皆殺しにしろっ!」
冷酷なようだが、古代世界に情けは無用である。反乱を起こせば死刑。これが徹底
してこそ平和は保たれるのだ。
「平和、か」
「どうなさいましたか?」
(このままではいつまでたっても反乱はいっこうに収まらぬ。ローマには強い指導者が
必要なのだ)
■ローマ:トータル・ウォーその4)謀略と政略
ガリアとブリタニア、そしてスペインを制圧し、広大な後背地を手に入れたユリウス
一門。
だが、ローマの藩屏として粉骨砕身するユリウス一門に、元老院はしだいに高圧的な
態度に出るようになる。
「なんと、ダキアを攻めろと?」
「はっ。元老院に置かれましてはダキアのパンノニア属州を攻略せよとの指示にてござい
ます」
「解せぬ。ダキアとは対ゲルマニア戦での盟友。我がユリウス一門とはその縁
浅からぬ仲じゃ。その方、ローマで何を説明しておったのか」
「は、ダキア王との同盟を説明申し上げましたところ、それはユリウス一門による私的な
パトロネージに過ぎぬ、そのような同盟を偉大なるローマが認めるわけにはいかぬ。
そう元老院議員の方々はおおせでした」
「なんとっ! 我がユリウス家の約束を反故にせよと?」
「実は……マケドニアを降したブルトゥス家が、ダキアの地を狙って元老院を動かした
との情報がございまする」
「ぬぅ、それではローマを私(わたくし)しているのは我が一門ではなくブルトゥス家
ではないか!」
ユリウス家は、すぐさま密使をダキア王の元へと送った。ブルトゥス家がダキアを
狙って軍を動かしているとの情報を携えて。
「おう。さすがユリウス家の頭領は律儀でござる」
「それに対して元老院のなんと節操のないことよ」
「そのような軟弱な文明人に我らダキアの民が屈すると思うてか。皆の者、戦の準備
じゃっ!」
「おう!」
ダキア王は軍勢をまとめ、ブルトゥス家を迎撃する。
が――
「ふぁらーんくす・ふぉぉめぇぇしょんっ!」
「おうっ!!」
ダキア王の軍勢はギリシア、マケドニアを制圧し、ホリプタイ傭兵を傘下におさめた
ブルトゥス家の軍勢に鎧袖一触、打ち破られたのである。
「退け、退けぃ!」
敗走するダキア軍。なんとか城塞に逃げ込もうとするが、そこはすでに、ローマ軍に
よって十重二十重に囲まれていた。
「王、あの旗印を!」
ダキアの城塞を囲むのは、ユリウス家の旗印であった。
「ど、どういう事でござるっ?」
「どうもこうもなぁ……おまえら、弱すぎ」
「なっ?!」
「せめてブルトゥス軍に大損害を与えてくれれば領土のひとつくらいは安堵してやろうと
思っていたんだが、こうも見事に負けるとはなぁ」
「ま、まさか」
「せっかく情報をリークして戦の準備を整えさせてやったというのに……無能め」
「は、謀ったなぁっ!!」
激高するダキア王が突進する。
そこへ一斉に投擲される無数の槍。
ダキア王は無念の形相もすさまじく、戦場に散ったのであった。
こうしてダキアの領土は、ユリウス家とブルトゥス家によって分割された。
これは東に向かったブルトゥス家と、西に向かったユリウス家がついに国境――
名目上はどちらもローマの領土なのだが――を接したという事である。
ローマの覇権は、新たな段階を迎えつつあった。
■ローマ:トータル・ウォーその5)永遠なるローマ
いつしか――
ゲーム開始より、150年が経過していた。
「我が家門も5〜6世代目になってきたのぉ」
「ユリウス一門の成人男子60人。そのうちの10人はガリア、ブリトン、ゲルマン、
ギリシアの人間です」
「何しろ指導者からしてブリトン人で入れ墨つきだからな」
スペイン、ガリア、ブリテン、ゲルマン、ダキア。
ヨーロッパの西から東にかけてを自らのクリエンテスとしたユリウス一門は、ローマ
最強、そして地中海世界最強であった。
2位が、ブルトゥス家。
3位が、スキピオ家。
その3つの勢力の仲介をする元老院の力は最近とみに衰えつつあった。
ハイパーボリアに攻め込めなどという、夢のような話が舞い込んだのはそんな時で
あった。
「ハイパーボリア? どこだそりゃ?」
「なんか、蛮人王コナンかクトゥルフ神話みたいになってきましたが、ちゃんとロシアの
奥地にありましたよ」
深い森に閉ざされた小さな集落へは、ゲルマンにある前線基地からでも5年はかかる
距離にあった。
「遠いなぁ、つうか、広いなぁ……」
「ロシアの平原ですからね」
「ん? 向こうから砂埃が近づいてくるぞ」
「全軍に警戒態勢をとらせます」
「あれは戦車だぞ……しかも、乗っているのは……」
「女……ですね」
「うわっ、しかも強いっ?!」
ローマ:トータル・ウォーにおいて戦車兵は強力な存在である。
1部隊あたりの数は少ないのだが、何より高速で走り回り、歩兵の隊列などたちまち
蹂躙してしまう。しかも弓兵が乗っているからそうやって隊列が崩れたところを射抜かれて
しまう。普通の歩兵部隊ではそれがローマ軍団兵であってもとても太刀打ち出来る相手では
ない。
ましてや、はるばるゲルマン前線基地からの遠征部隊は補助軍団歩兵が主力。
平原でのアマゾン戦車軍団により、将軍が討ち取られ、全軍の8割を失う大損害を受けて
遠征部隊は退却をよぎなくされた。
「くっそぉ、おい。イタリア本土防衛部隊を出せ」
「ほ、本土防衛部隊ですか? 精鋭中の精鋭ですよ?」
「かまわん。あんな辺境の女どもに苦杯を喫したままではローマの名折れだ。伝説だか
神話だか知らないが、ローマ人の面子に泥を塗ってそのままでいられると思うなよ」
イタリア本土防衛部隊から、さらに快速の騎兵部隊を選りすぐり、はるばるロシアの
奥地へと送り込む。金と人材の無駄遣いではあるが、圧倒的な兵力でアマゾンの町
テミスキュラ(THEMISKYRA)を包囲し、殲滅する。
アマゾン軍団は必死に抵抗するが狭い町の中に押し込められては得意の機動戦もできず、
もみつぶされるようにして壊滅した。
「生き残りのアマゾン達はどうします?」
「奴隷として各都市に移送しろ。これがローマのやり方だ」
アマゾンの多くは剣闘士奴隷として好まれたが、中には貴婦人の護衛となり、その働き
によって解放奴隷となった者も多く存在している。
後にローマ皇帝となった者の何人かは、そうした解放奴隷となったアマゾンの子孫で
あったという。
「さて……恥辱もそそいだことだし、いよいよローマを攻めるか」
「何しろもう攻めるところがなくなりましたからね」
古代地中海世界を割拠していた大勢力のあらかたがすでに滅び去っていた。エジプトは
スキピオ一門が支配し、ファラオを名乗る一族はキプロスに押し込められていた。
ギリシア世界はブルトゥス一門が押さえ、ポリスを名乗るのはロードスだけであった。
「騎兵部隊はアマゾン討伐に行ったのでまだ帰って来てないが、どうせ城攻めだ。歩兵
部隊と攻城兵器が主力でいいだろう」
「しかしさすがに兵を動かすとなると、名目が――」
その時、天災がローマを襲った。
疫病である。
ばたばたと人々が倒れ、さらには多くの人間、特に元老院議員などがローマを逃げ出した。
ローマはまさに無政府状態となったのである。
「お屋形様、好機ですぞ!」
「うむ。近衛軍団を集めよ!」
ずらりと整列するユリウス近衛軍団。
鍛え抜かれた精鋭中の精鋭である。彼らはユリウス家が持つ莫大な富で仕立てた武具を
身に帯び、それは陽光を反射してまばゆく輝いていた。
「親愛なる兵士諸君。これより我らはルビコン河を渡り、
フラミニア街道とカッシア街道を南下、王城ローマへと進軍する」
規律においても忠誠心においても選りすぐりの男達は、国法を犯す命令にもしわぶき
ひとつたてない。
「ローマの城壁を破壊し、城門を打ち壊し、七つの丘に
我らユリウスの旗印をかかげる」
一呼吸。
「敵は、フォロ・ロマーノにありっ!」
「おうっ!」
電光石火のユリウス軍の動きにブルトゥス家もスキピオ家も反応が遅れた。
実際、両家は辺境において発生した大規模な反乱にその軍の主力を送り込んでおり、
イタリア本国にはほとんど兵力がなかった。
ましてや、元老院には固有の兵力などほとんどなく、堅牢な城壁も守るべき兵士が
いなければただの障害物でしかない。
ほとんど兵を損なうことなく、ローマはユリウスの軍門に降った。
そして、同時に動いた別動隊によって、ブルトゥス家、スキピオ家もその主要メンバー
を拘束されたのである。
紀元前106年。ローマ帝国、ユリウス王朝の始まりであった。
(おしまい)
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)
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