【はじめに】 ガンダムネットワークオペレーションとは何か? それは、インターネット上で行われるガンダム一年戦争のコンピュータゲー ムである。 プレイヤーは連邦かジオン公国の士官となり、部下のモビルスーツ(巨大ロ ボット)部隊を率いて戦い、自軍の勝利のために戦うのである。 一回の戦争の期間は3ヶ月。プレイヤーの人数は1つのサーバにつき約20 00人。プレイヤーの部隊同士の戦いももちろんある。 戦闘は基本的にオートで行われる。戦場(地上と宇宙がある)に部隊を配置 しておけば、ランダムで敵と遭遇し、戦闘になる。戦闘はどちらかのモビルス ーツが全滅するか、どちらかの母艦が撃破されれば終了となる。もちろん、全 滅ないし撃破された方が負けである。この戦闘そのものにプレイヤーが介入す る余地はない。プレイヤーがインターネット経由でアクセスしてなくても自動 で行われる。 ではプレイヤーは何をするのかというと、戦闘で貯まる補給を使ってモビル スーツを購入し、経験値を使って部下のパイロットを育成し、モビルスーツの 初期配置や戦術の設定を行うのである。そして、どこの戦場で戦うかを決め、 後は見ているだけでよろしい。気が向けばチャットをして同じエリアやチーム のプレイヤーとおしゃべりをしてもいいし、特殊任務の申請をして、普段と違 う大規模戦闘をこなしてもいい。極端な話、一日二日、ほったらかしにしとい ても何の問題もないのである。気になるならちょっと一日に一回ほど様子を1 0分ほど見るだけでもいい。部下がちゃんと仕事をしているかどうかはそれで 分かる。 【開戦】 2002年4月1日。ゲーム発売と同時に開戦である。さっそく私もソフト ウェアをインストールして戦争に参加する。 まずは自分の分身である部隊指揮官の士官を作る。といっても所属する陣営 と顔と名前を決めるだけであるが。かくして連邦軍の新米士官、アカガネ・ダ イ少尉が誕生したのである。 麾下の部隊は、セイバーフィッシュ3機。これは何かとゆーと、戦闘機であ る。モビルスーツ(ロボット)ではない。ガンダム世界において、連邦軍は敵 であるジオン公国に比べてモビルスーツ開発において後れをとっていたという 設定である。それが序盤の苦戦につながったわけである。とはいえここはゲー ム世界。戦闘機では手も足も出ないというバランスではゲームにならない。性 能的には敵の2線級のモビルスーツ、ザク1(いわゆる旧ザク)とであれば互 角に戦える。 ガンダムの一年戦争をそのままリアルに再現するのであれば、これから2ヶ 月、セイバーフィッシュと61式戦車だけで戦う事になるのであるが、さすが にそれはどうよ、というわけで幾つかの特殊任務をこなすと、褒美としてプロ トタイプジムがもらえる。1機だけだけど。後は時間が経過して技術レベルが 向上するのを待つしかない。 ともあれ、前衛にプロトタイプジム、後衛にセイバーフィッシュという布陣 でまずは戦いを始める。 開戦時のイニシアティブはジオン公国側にある。ユーラシア降下作戦が発動 され、黒海沿岸のオデッサで激戦が繰り広げられる。最前線のオデッサはやば そーなので、私はドイツや地球衛星軌道で戦うことにする。 【赤い彗星のシャア】 なお、サイド7(スペースコロニー)では我が軍の最新鋭戦艦ホワイトベー スがジオン公国のエースパイロット、赤い彗星のシャアの襲撃を受け、史上初 のモビルスーツ戦闘が行われたという。きっとガンダムが大暴れしたのだろう。 いいなぁ。こっちのプロトタイプジムの性能はセイバーフィッシュとあまり変 わりがないのに。 そんな事を考えながら宇宙で戦っていると、なんと赤い彗星のシャアと戦場 で相まみえることになってしまう。その名の通り赤く塗ったモビルスーツ、ザ ク(指揮官型)にバズーカを構えて突撃をかけ、我が母艦をあっさりと沈めて くれたりなんかした。こっちの攻撃はよけまくるし、手に負えない。しばらく 宇宙で戦うのはやめにして地球に降りる事にする。 【パイロットの補充】 最初にプレイヤーが補給を貯めてするのが、パイロットの補充であろう。最 初に部隊に配属されているパイロットは、言ってはなんだが素人に毛のはえた ような存在である。三ヶ月の長い戦いを続けるためにもまずは優秀なパイロッ トを集める必要がある。私は世界各地を回って、有望そうなパイロットを捜し てまわった。パイロットにはそれぞれスキルがあり、得意分野も決まっている。 射撃が得意なやつ、格闘戦が得意なやつ、回避が得意なやつ、弱っている奴を 集中して狙うやつ、逆に強そうな奴に向かっていくやつ、後方で砲撃をしてい るモビルスーツが許せないやつ、などなどである。 ……なんかこう書くとパイロットって性格が破綻してる連中ばっかりのよう な気もするが気のせいである。 で、私は主に戦艦を狙うスキルを持ったパイロットを集めて回った。ウォー ゲーマーでもある私の得意技は一点集中突破である。戦艦狙いは私の嗜好にき わめて合っていた。 しかしながら、この方法はあまり効果的でない事が後に判明した。母艦を沈 めて敵を降伏させるやり方は、モビルスーツを全滅させるやり方よりもはるか に得られる経験値が少ないのである。しかも、後にパッチがあたり母艦の耐久 力が上昇するというおまけつきである。 【アフリカ降下作戦】 私がドイツの街を廃虚にしながらジオンと戦っているうちに、我が連邦軍は 負け続けていた。私のようにとっぽい人間が多いからであろうか。最前線では 常にジオン側が連邦側よりも多数のプレイヤーをそろえて戦っている。戦力の 集中は作戦の基本である。 まぁ、それはともかく、オデッサからロシア、中央アジア、インドとジオン の勢力範囲はがんがん広がっていった。 そしてついに、4月8日にジオンによるアフリカ降下作戦が開始されたので ある。中東がまたたくまにジオンの支配下におかれる。 言っとくがなー。そんなところ支配しても、民族紛争に巻き込まれるだけで、 ろくな目には合わないと思うぞー。 などと遠くドイツから言っていても迫力がないので、私も嫌々ながら最前線 に出る事にする。最前線に出るのであるから、今までのセイバーフィッシュ戦 闘機ではさすがに心許ない。ロールアウトされたばかりの連邦の新型モビルス ーツ、ジムを3機購入して部隊を編成する。ジムはプロトタイプジムよりも 「心持ち」強いモビルスーツである。前線ではさぞ活躍してくれるだろーと期 待しての配備である。 結論。 やはり弱いものは弱い。 なお、他のプレイヤーのがんばりのおかげで連邦軍はアフリカ降下作戦の阻 止に成功した。さらに、どうでも良い事であるがホワイトベースの活躍で、ジ オン地球攻撃軍司令官ガルマ・ザビ大佐が戦死して国葬になったそうである。 【オデッサ作戦】 敵の作戦を失敗させたので、イニシアティブは連邦に移った。連邦軍のレビ ル将軍はこの機を逃さず、4月15日にオデッサ作戦を発動。まずはインドに 侵攻する。 が、しかし。 連邦がジムだのボールだのを量産している間に、ジオンはついにグフを前線 に投入してきたのである。プロトタイプグフというやつで、TVではアムロの 乗るガンダムと互角に戦ったという強者である。 はっきりいって、ジムごときでは勝負にならない。戦う前から負け決定であ る。こんな事ならジム陸戦型でも買っていれば良かったと後悔してもはじまら ない。 インドの最前線で戦うのはあっさり諦め、ドイツで側面援護に専念する事に する。 ところが、ドイツも安住の地ではなかった。 ここにはジオンの秘密工場があり、そこで開発していたアプサラスというモ ビルアーマーの試験飛行にでくわしたのである。それも2度も。 ボコボコにされました。えー、もう。これ以上はないというくらいに。 パイロットは女の子なのだが、「死にたいのですか?!」とか言いながら凶 悪なビーム攻撃をかけてくるのは人としてどうよ、と思わなくもない。 いつか復讐してやると思いながらじっと雌伏の時をすごしつつ、4月19日 を迎える。 そしてっ。 ついにっ。 「おおうっ、これはっ!」 ガンダムである。 ……頭に『陸戦型』とつくが。 しかし、パチモンであろうがなんだろうが、ガンダムはガンダムである。涙 を流しつつ、2機導入して部隊編成を行う。 さすがに強い。ジオンのグフを相手にまったくひけをとらない。 ……って、グフ4機ってなんじゃい、そりゃ。 とかなんとかまぁ、思っていたほどには圧倒的な戦力にはならなかったので あるが、これでようやく最前線で戦うことができるようになったのである。 ちなみに連邦は他にもガンタンクとかガンキャノンとか、後にはジムスナイ パーカスタムとか優秀なモビルスーツを生産するのであるが、なぜかどういう わけか、どいつもこいつも2機制限がついて回るのである。この2機制限、陸 戦型ガンダムが2機まで、というだけなら納得がいくのだが、なぜか他の機種 のモビルスーツも一緒に制限に入ってしまうのである。つまり、陸戦型ガンダ ムが2機ある部隊は、ガンキャノンもガンタンクも配備できないのである。理 由はゲームバランスか何かであろうが、そんなもん犬にでも食わせてしまえと 思う連邦の士官は私だけではあるまい。 この陸戦型ガンダムの登場をもって、それまで前線で猛威をふるっていたグ フを食い止める手段を連邦は手にした。 の、だが。 時期が遅すぎた。翌4月20日、オデッサ作戦中止。連邦は再び守勢に回る のである。 【第二次アフリカ侵攻作戦】 4月22日。再び中近東からアフリカへかけてジオンが進撃を開始した。つ いにというかなんというか、重モビルスーツのドムまで登場である。が、グフ ほどには怖くないのはどうしてかね。 一方の連邦は遠距離支援の花形、ジムスナイパーカスタムの登場である。 でも2機制限。 これでは、陸戦型ガンダム2機を主力とする我が部隊に加えることはできな い。 しかたがないので、前衛に陸戦型ガンダム2機、後衛にジムとセイバーフィ ッシュという今一つ迫力のない布陣で戦うことにする。一時はジムではなく量 産型ガンタンクを使っていた時もあるのだが、ドムの支援機狙いやグフの低h p狙いなどが増えてきたため、足が遅く耐久力の劣る量産型ガンタンクの生残 性が低くなってきたのである。 前のアフリカ侵攻作戦の失敗を取り戻すべく、ジオンは激しい攻撃をしかけ てきた。中東が、北アフリカが、次々にジオンの支配下に置かれていく。 その間、同じチームを組んでいるメンバーがドイツにジオンの秘密工場があ るというので、その破壊任務にヨーロッパへ出かける事にする。出てきたのは、 以前にも出くわしたにっくきアプサラス2の改良型、アプサラス3。しかし今 度はこちらもジムではなく陸戦型とはいえガンダムである。 激戦の末、工場を破壊して、アプサラス3にもとどめを刺す事ができ、私は おおいに溜飲を下げたのである。 その後、再びアフリカに戻りキリマンジャロ基地防衛線で戦う。ロンメル中 佐の率いるドム4機編成部隊に遭遇して全滅させられたりとか、まぁ、負ける 事もあるが全体としては善戦したように思う。 だが、ジオンの猛威を食い止める事はできず、ついに4月28日、アフリカ からの撤退命令が下ったのである。 【北京攻略戦】 なんだかんだいいながらもレベルが上がり、中尉に昇進する。さすが戦時。 昇進が早い。 昇進すると、部隊の搭載量が増える。都合のよいことに、技術レベルも上昇。 新しくジムコマンド(地上用)とGファイターがロールアウトする。Gファイ ターというのは重戦闘機で、ガンダムのパワーアップパーツである。TVでは 合体も可能だ。……が、ガンダムもないのにGファイターだけ量産してどうし ろというのか、連邦軍参謀本部は。 とはいえ、地上でしか使えないジムコマンド(地上用)に比べると機動力も あるし、火力もまあまあ。セイバーフィッシュの代わりとしては十分であろう と判断して補給を消費して部隊に編入。部隊の強化をはかる。 一方でジオンは格闘に特化したモビルスーツ、イフリートを前線に投入。そ れまでのグフに代わり、モビルスーツ殺しの役目を担う。うーん、どう考えて も連邦に不利だよなぁ、この状況は。 実際、前線においても北京はあっさりと攻略され、戦場は日本。私の部隊も 大阪などで抵抗を続けるものの、衆寡敵せず、ついに東アジアからも撤退。 これでユーラシア&アフリカ大陸で残ったのは西ヨーロッパだけとなったの だが……。 【ガンダム登場】 東アジアで必死の抵抗を続ける我々の部隊にその噂が流れてきたのは5月の はじめの事である。 ガンダムを量産する計画があるらしい。 それも陸戦型とかそういうのではなく、まじにRX−78−2をである。 しかし、参謀本部では、あくまで簡易型であるジム系列の量産を押す声も大 きいと聞く。 冗談ではない。 ガンダムが使えるからこそ、わざわざ連邦軍に志願しているのである。ガン ダムが使えないならジオンでプレイしているわい。 さっそく投票でガンダム量産化計画を推進するように意見具申する。 同じような要望は多く、圧倒的多数の意見をもってガンダムの量産化が決定 したのである。 そして5月7日。 ついに量産ガンダムが配備される日がやってきた。 開戦から一ヶ月。数々の苦労もこれで報われた気分である。 しかしながら、そこはゲーム。ガンダムには二つの大きな弱点があった。 一つは必要とされる補給ポイント。とにかく陸戦型ガンダム2機分よりもま だ多いのである。本来は試作機であるから整備がむちゃくちゃたいへんなので はないかと思われる。 そしてもう一つは回避能力である。実はガンダム、あまり回避能力は高くな い。TVでは(特に後半は)ひょいひょい避けているように見えるが、あれは アムロ・レイという卓越したエースパイロットが乗っていたせいで、ガンダム の基本コンセプトは回避ではなく装甲にある。いわゆるガンダリウム合金(ル ナ・チタニウム)の装甲とシールド装備によって、「ザクマシンガンくらいな ら物ともせずに跳ね返す」ところにガンダムの本領はある。ゲームでいえば、 ようはヒットポイントが大きいのである。 とはいえ。 すでにジオンもドムやらイフリートの時代である。ドムのジャイアント・バ ズ、イフリートのヒートサーベルはガンダムといえども無視できぬ脅威である。 そこで、各地のガンダム配備部隊では、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムを従来 通りに最前線に配置して戦列を組み、背後からガンダムが「戦艦並の威力があ る」ビームライフルで援護射撃をするという戦術が使われるようになった。 が、私のところのエースパイロットは格闘重視で育てていたので、陸戦型ガ ンダムを1機下げ、ガンダムを最前線で戦わせることにする。この戦い方だと 消耗は激しいがけっこー確実に相手をしとめることができたのである。 【反撃開始】 ガンダムが前線に行き渡ると同時期に──それはもう、すごい勢いで配備さ れていったのだが──破竹の勢いであったジオンの侵攻にかげりが見えてきた。 5月11日、ジオン軍、ベルファスト攻略作戦失敗。 そして連邦軍の反攻が始まったのである。 ガンダムのおかげ、と言いたいところではあるが、実際にはゲームバランス を調整するパラメータがいろいろといじられたおかげのようである。しかしま ぁ、せっかくフィクションを楽しんでいるのだから、ここはやっぱりガンダム のおかげということにしておこう。 なお、一時期、鬼のようにNPC(コンピュータ制御)の部隊が強かったの だが、これはさすがにプレイヤーにとって不評だったらしく元に戻される事に なる。やはりストレスは軽い方が気楽に楽しめる。 ガンダムを手にした連邦軍の勢いはすさまじく、東アジアを取り戻し、アフ リカを奪還。 私も戦功(レベル上昇)をあげて大尉に昇進する。 これでさらに搭載に余裕ができたので、倉庫にしまっていた陸戦型ガンダム を取り出し、ガンダム、陸戦型ガンダム×2機の夢のガンダムトリオを結成す る。上空支援はGファイターだ。 プレイヤーの中にはがんばってガンダム、ガンキャノン、ガンタンクのホワ イトベース部隊を結成した人もいるが、あまりはやらなかった模様。みんな 「勝ち」にいってる。 そして5月28日、第二次オデッサ作戦発動。 ここを落とされたら後がないジオンも、量産化が実現した(!)アプサラス 3や、対ガンダムの切り札、ゲルググを全面に押し出して抵抗を試みる。 一方の連邦も、ガンダムだけではない。いわば簡易版ガンダムといっても良 い傑作モビルスーツのパワードジムを投入。ジムコマンドやジム改、ジムスナ イパー2などジム系列を充実させてガンダムをバックアップする。 そして技術レベルも着実にアップしていた。マグネットコーティング技術に よって回避力など機動性をアップしたG3ガンダムが完成。ジム開発プランを (またもや)押しのけて量産されたのだ。 とはいえ、次に控えるGPシリーズ(ニュータイプ用ガンダム、アレックス は開発中止となった)もあるので、G3ガンダムの部隊導入は見送る事にする。 かわりに、陸戦型ガンダムを処分してパワードジム(+1)とジム改を編入。 これはオデッサ作戦終了後の宇宙での戦いを想定しての事でもある。パワード ジムにはニュータイプとして覚醒したパイロットを搭乗させて切り込み隊長と し、ジム改とGファイターには射撃が得意なパイロットを搭乗させて後方支援 をさせる。 そしてガンダムは相変わらず全力攻撃で、ヒットポイントをがしがし削られ ながらも相手も生かして帰さぬという肉を切らせて骨を断つ戦法を採用。 6月2日、オデッサ制圧。 戦場は、地上から宇宙へと上がった。 【星一号作戦失敗】 ジャブローから次々に、マゼランが発進する。ルウムの戦いで壊滅した宇宙 艦隊がついに再建されたのである。これらのマゼラン後期生産型には、モビル スーツ搭載能力があり、ミノフスキー粒子下での戦闘能力を大幅に強化されて いた。 「これでジオンと互角に戦えるようになった」 連邦将兵の多くがそう考えたのも無理はなかろう。 だが、宇宙には我々の想像もつかない脅威が待ちかまえていたのである。 モビルアーマーである。 ニュータイプ用モビルアーマー、ブラウ・ブロ、エルメス、ジオング。 要塞攻略用モビルアーマー、ビグザム。 これらの大火力、重装甲のモビルアーマーは、宇宙という慣れない環境で戦 う連邦軍にとって単なる脅威ではすまされなかった。 特にあまりにも圧倒的なビグザムの威力を前に、連邦軍はなすすべもなく、 母艦を撃破されていくのであった。 TVでドズルが「ビグザム量産の暁には連邦など一撃で」と言っていたのは、 あれはウソではなかったのである。 また、さすがにスペースノイドであるジオン軍。宇宙の防衛線にはエリート 部隊、ジョニー・ライデン率いる「キマイラ隊」がいて連邦軍艦艇を次々にそ の餌食としていった。 あまりの被害の大きさに、6月9日、地球連邦軍は星一号作戦の中止を発令 した。 ここに地球連邦の勝利の芽はなくなったのである。 【オデッサの戦い三度……いや四度め?】 すでに鉱山も瓦礫の山と化しているオデッサで、再び三度、いや四度、戦闘 が行われる事となった。 6月11日、ジオン軍ユーラシア降下作戦の発動である。 地上であれば連邦有利かと思われたのだが、なんと。 ビグザムは地上を歩くのである。 ウソだと思われるかも知れないが本当の話である。あの二本の足は伊達では ないのだ。ビームを弾くIフィールドも健在。頼むからあのバケモノをなんと かしてくれ。 また、ゲルググが主力モビルスーツになった腹いせだろうか。 ジオン軍のマ・クベ大佐がギャンだけの部隊を編成して連邦軍の前線に吶喊 してくるというお茶目な真似をしてきたのもこの頃である。 かくして、中央アジア一帯はまたしてもジオンの勢力圏となったのである。 【コロニー落とし】 さらに、ジオン軍は北米侵攻作戦を発動してきた。6月18日のことである。 この頃から、すでにどちらの軍にも勝利の芽はないであろう事は明らかにな ってきた。少なくとも、前線の兵士にとっては。 確かに、連邦はガンダムを中心とした優秀なモビルスーツを生み出した。 しかし、その戦争指導は行き当たりばったりで、結局地球全土をジオンから 取り戻す事に汲々として戦機を逃し、ジオンに宇宙での防衛線を固めさせる事 となった。 今さら言ってもせんのない話であるが。 アフリカやアジアなど、後から取り戻せば良かったのである。 先にまず、ソロモンかグラナダを落とし、ア・バオア・クーを抜いてジオン 本土に攻め込めば戦争は終わったのだ。 一方のジオンはというと、これはもう国力の限界にきていた。 ガンダムをのぞけばジム系列に生産を一本化してきた連邦に対し、ゲルググ、 ドム、各種モビルアーマー、果てはケンプファーやガルバルディなど手当たり 次第に生産ラインを増やしたジオンは、前線でこそ健闘しているかのように見 えても、その経済システムはとっくに破綻していたのである。 実際、一部のモビルスーツ、モビルアーマーを除くと、ジオン軍はさほど怖 い相手ではなくなってきていた。 だが、ここで両軍の戦争指導力の差が出てくる。 いや、あくまで文民統制の建前を崩せない連邦軍首脳部と、ザビ家独裁のギ レン総帥の権力の差と言うべきであろうか。 6月20日、サイド3のコロニー、マハルに核パルスエンジンを取り付けた ジオンは、これを地球への落下軌道へと向かわせたのである。 まさか自国の大地をこのような方法に使うとは。 連邦軍の初動は遅れ、ルナ2からの迎撃部隊が落下するコロニーに向かった 時、すでに時間は残されていなかった。 この後におよんで、核兵器の使用を禁止した連邦軍首脳部が何を考えていた のか、前線の兵士としては判断に苦しむ。 この時のために、核搭載型ガンダム(GP02)を極秘開発していたのでは なかったのか。 前線の噂によると、マハルは巨大なレーザー兵器であるという情報も流れて いたらしく、落下軌道にあるのはあくまでフェイクだという観測も、軍上層部 にはあったらしい。 それが本当かどうかはもう、どうでも良い事であった。 6月21日未明、コロニーはジャブローに落着した。 連邦軍本部ジャブローは、壊滅した。 【終戦】 指揮系統の要であるジャブローを失った連邦軍に、組織的な戦闘を行う能力 は残されていなかった。 最前線において、ただ生き残るためだけの苦しい戦いが続いた。 戦争が始まってからこっち、ジオンと戦い続けた我々である。いまさら降伏 したところでまともに捕虜として扱ってもらえるとは思えない。そもそも、相 手は南極条約を無視してコロニーを落とすような輩である。 勝つためではなく、生き延びるためにも戦いをやめるわけにはいかなかった。 それが、逆にジオン本国に恐怖を感じさせたようである。 ジャブローさえ落としてしまえば、戦争は終わる。ジオンはそう考えていた のだ。だが、このままでは延々と地球全土で焦土戦を繰り広げる羽目になるの ではないか。 そしてそれは地球連邦政府にとっても同じであった。 地球連邦政府と、ジオン公国は、秘密裏に交渉を始めた。 ジオン公国を、独立国家として正式に承認する。その代わりに地球本土は、 連邦政府の統治下に置く。 このラインで両政府は同意に達した。 6月27日。 戦争は、終わった。 終戦の連絡を、私はトリントン基地で受け取った。 ようやく終わったか、という安堵の気持ちがまず先にたち。 続いて、この戦いはなんだったのだろうかという疑問がきた。 だが、それに答えるのは兵士の仕事ではない。歴史家の仕事であろう。 ともあれ、私はこの喜ばしい知らせを伝えるために部下の所へ向かったので ある。 【我が部隊のパイロット】 マリス・メイ 最終レベル:30 最終搭乗機:ガンダム試作1号機 GP01 ひたすら最前線でよく戦ってくれた。ガンダム系のモビルスーツに乗るまで の戦績はぱっとしなかったけど、ガンダムに乗ってからは見違えるほど活躍し てくれた。 ミューズ・レイ 最終レベル:28 最終搭乗機:パワード・ジム(+1) ニュータイプパイロット。常に前線を支える盾の役割を果たした。それだけ 敵のダメージを受ける事も多かったが、よくぞ最後まで生き延びてくれた。 アル・ブレッド 最終レベル:28 最終搭乗機:パワード・ジム(+1) 狙撃を得意とするパイロット。これといって特徴や優れた所があるわけでは ないが、確実に敵のヒットポイントを削り取る仕事を黙々とこなしてくれた。 ターリア・スン 最終レベル:26 最終搭乗機:Gファイター おさげ髪の、まだあどけないパイロット。チームのムードメイカー。決して 強いわけじゃなく、どちらかというと敵から逃げ回る事が多かったけど、それ でも大事な仲間だ。 そして、すべての連邦軍兵士諸君に、感謝の意を。
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)