インペリウム(GDW/HJ)は、現在は絶版ですが日本語版も出たことが ある、傑作SFウォーゲームです。 背景となるのは現代から100年ばかり未来の宇宙。 星々の海に飛び出したばかりの人類が出会ったのは、ヴィラニ人(先祖は、 太陽系人類と同じ)による巨大な星間帝国でした。 帝国に隷属することを良しとしない太陽系連邦は、数百対一の圧倒的に不利 な国力差にもかかわらず、総力をあげて戦うことを決意します。 一方の帝国は、歴史的には斜陽を迎えていました。中央政府はろくな関心を 示さず、現場の総督にすべてを委ねています。そのくせ、予算は削るわ、大型 艦の建造には制限をつけるわ(内乱を心配しているのです)、ロクなことをし てくれません。 結局、(正史においては)太陽系連邦は帝国を少しずつ侵食する形で戦争を 進め、ついにはヴィラニ帝国を打倒することに成功します。 しかしながら、まだ幼い太陽系連邦に、巨大な銀河帝国を維持することはで きませんでした。帝国は崩壊し、長い暗黒時代が到来するのです…… そして、その中から生まれ出たのが「第三帝国」。 傑作SF−RPG「トラベラー」シリーズの世界なのです。 しかしながら…… 実際にプレイをすると、その逆の現象がしばしば見受けられます。 たとえば───
[星々の帝国(ジル・シルカ):ソル総督府]
私が、ここソル系の総督として赴任してからもう10年になる。一昔前までは 銀河辺境の蛮族扱いされていたソル系のソロマニ人たちであるが、今は立派な 帝国の一員である。進取の気性に富むソロマニ人は帝国のいたるところに商船 団を進出させており、その経済成長には目をみはる物がある。 こうしたソル系の繁栄の基礎となったのが、我が帝国によるソル系の併合に あることは疑う余地はない。強大な軍閥支配から解放されたソロマニ人たちは、 もてる資源のすべてを経済分野に集中させることができたのだ。 だが、そこにいたる過程は、決して平坦な物ではなかった。
第一次ソロマニ戦争(2113年〜2125年/6ターン)
帝国はアジッダに前哨基地を置き、ここを対ソロマニの最前線として位置づ
け、初期配備の砲台や兵員を集中配備します。(砲台は設置後も再配備可能と
いたしました)戦争開始時にタンカーを持たない連邦に、シリウスを越えた侵
攻は不可能だからです。艦隊も、モニター艦を含む全艦をアジッダに配備しま
す。連邦もバーナード・スターに砲台や兵員を置き、ここを死守する構えを見
せます。
連邦「正面からアジッダに突っ込んでも勝てる見込みはあんまりないのぅ。し
ゃあない。プロキオンとミラビリスに基地を設置して終わりじゃ」
帝国「自分から宣戦布告しておいて、それはちと弱腰でないかね」
連邦「やかましい! くぅぅっ……それにしてもこの初期戦力って、問題あり過
ぎじゃのぅ。軽巡洋艦と駆逐艦の代わりに、タンカーとミサイル・ボート
をくれぇ!」
帝国「ふっふっふ。宇宙に出たばかりの若い種族が、1000年の歴史を持つ我が
ヴィラニ帝国に勝てるはずがないのだよ──ちゅうことで、偵察艦と駆逐
艦、戦闘機を量産する」
連邦「ええのぅ。コストの安い船がそれなりに戦力になる帝国は。連邦の偵察
艦なんか、数合わせにしかならんけぇのぉ」
展開は、アジッダ=バーナード・スターでのにらみあいと、シリウス-プロキ
オンの制宙権の取り合いという形で推移します。しかし、小型艦による消耗戦
なら、帝国が有利なのは自明の理。いつしか戦力に大きな差がつけられ、つい
に打撃巡洋艦を中核とした帝国艦隊がバーナード・スターを強襲します。
帝国「よぉし。巡洋艦3隻による集中ミサイル射撃でモニター艦を攻撃。失敗
したら撤退すりゃええ……(コロコロ) よし、落ちた」
連邦「反撃できん〜」
プロキオンを通して連邦の心臓部になだれこんだ帝国艦隊は、ソルとアルフ
ァ・ケンタウリで通商破壊作戦を敢行。連邦の経済はガタガタになります。
帝国「うひょひょひょ。好況、好況。予算が10ルー増えたわい」
連邦「納得いかんのぉ。不都合な出来事が何も起こらんのは」
帝国「その代わり、2ターン目には直訴禁止になっとるし、ええやんか」
少ない予算をやりくりして何とか建造した戦艦(B)も、打撃巡洋艦と相討ち
(帝国「じゃ、次のターンの補充で復活ね」)になり、連邦にはイイところが
ありません。
あげく、帝国は──
帝国「うむ。この戦争はお前らの勝ちで、わしらの負けじゃ」
連邦「……この戦況で? しかも、予算半分?」
帝国「わしは貯金も合わせて56ルーある。やぁ、最後のターンでまた好況
が出たしのぉ」
連邦「…….」
帝国「偵察艦と駆逐艦、戦闘機に打撃巡洋艦、陸軍も大幅増員しようかの」
連邦「…….」
帝国「第一次戦争は負け戦だったからなぁ。雪辱を晴らさんといかんな」
第2次ソロマニ戦争(2137年〜2143年) 帝国「直訴! おお、10ルー臨時予算でもらえたわい。じゃ、バーナード・ スターを攻めて、陸軍を上陸させるね」 連邦「……好きにしてくれ」 積み上げられた帝国のハイスタックが、連邦を蹂躪。もはや、この時点で 勝負は見えていました。 2143年、連邦の要であったバーナード・スターが陥落し、帝国の前哨基地 が建造されます。ここにいたりついに連邦は帝国に屈伏。帝国が提示した無 条件降伏を受諾したのです。
[戦い終わって] 連邦にとっては、ひたすらフラストレーションばかりたまる展開でした。 重巡洋艦にせよ戦艦にせよ、小型艦のスクリーンがなくては帝国による、 「巡洋艦で集中ミサイル射撃。相討ちしても(補充のある)こちらが有利」で 攻撃されてしまいます。しかし、予算には限りがあります。大型艦艇を作れ ば小型艦艇は建造できません。 その上、帝国の直訴やイベントが良い結果ばかりでは手も足も出ません。 とはいえ、反省材料もあります。戦力が一時的にせよ帝国を上回る、第一 次戦争の第二ターンにアジッダの帝国主力艦隊を攻めなかった事です。ここ は果敢に敵戦力を削り、少しでも優位に立つべきでした。
** 改良点(提案) ** 初期配置の戦力から、モニター艦(M)*1、軽巡洋艦(CL)*1、駆逐艦(DD)*2 を取り除きます。代わりにタンカー(AO)*1、空母(MS)*1、戦闘機(F)*3、ミ サイ艇(MB)*2を追加します。こうすることによって、帝国は最低でも2つの 星系に初期戦力を分散する必要があり、連邦が有利になります。
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)