※これはJGC(JAPAN GAME CONVENTION)2002の参加レポートです。いつ ものように脚色や演出を加えて書いてありますので、事実と異なる部分が多々 あります。資料としてではなく軽い読み物としてお楽しみください。
【自己紹介にかえて】 簡単に自己紹介をしておこう。 私の名前は銅大(あかがね だい)。いわゆる副業として文筆に精を出す、 自称『ウィークエンド・ライター』である。最近は病弱で『寝たきり(ベッド ファスト)ライター』となりつつある。人間やはり健康が一番であるとつくづ く感じる今日このごろである。 【承前】それは7月にはじまった 7月はのっけから暑い日々が続いた。 ぐってりとしているところに電話がかかってきた。 「もひもひ」 「あ、ゲーム・フィールドの山本です」 「はべはべ」 「……大丈夫ですか?」 「あんまり」 「実はお願いがありまして。JGCでやるシナリオを作っていただきたいんで すよ。ドラゴンアームズの」 「らじゃ」 ぶっ倒れていない時の私は仕事が早い。かき集めた体力でパソコンの前に座 った私は、しぱぱぱとシナリオを一本書き上げた。 どんなシナリオを書いたかというと──JGC2002で販売されていた 『ULTIMATE STORIES(アルティメット ストーリーズ):JGC2002 45時間耐久RPGシナリオ集』に掲載されている『ランツドルフ病原体』と いうタイトルのシナリオである。 PC達の母艦、バハムートが旧ヴァイツグラード帝国のランツドルフ地方を 通りかかった際に艦内で伝染病が発生、瞬く間に広まって人々や乗組員が倒れ ていく。半身不随となったバハムートは、果たしてMISTの襲撃を防ぐ事が できるか──というシナリオである。機会があれば是非遊んでいただきたい。 書き上げてまた再びぶっ倒れた私のところに、再び電話が。 「もへもへ」 「ゲーム・フィールドの中島です。お体は大丈夫ですか?」 「WESTの時より悪化しておりますです」 「やはり、頭痛で?」 「はい」 「JGC、大丈夫ですか?」 「参加したいところではあります」 「じゃあ、名前は入れときますんで」 「ありがとうございます」 そして8月になり、なんとか体力を回復させようとしながら、元気がある時 は小説(富士見のファンタジア長編小説大賞に投稿用)を書いたり、冬コミの ための同人ソフトの企画を友人と考えたりしながら過ごしたのである。 【上京】 8月の最後の週、小学2年になる甥と幼稚園きりん組の姪がお泊まりにやっ てくる。 洗脳は早い方がいいという事で、「モンスターメーカー学園」(女の子が可 愛いので姪は気に入ったようである)や「ガンダム デジボードミッション」 で大人げなく本気で勝ちにいったり、アニメの「長靴をはいた猫」や「宝島」 を見せたりする。 しかし、この年頃の子供というのは家で遊ぶだけでは収まらない。公園にも 連れていく。鉄棒があるので、逆上がりができるか聞いてみるとできないとの 返事。 「小学2年にもなって逆上がりができんとは情けない。どれ、わしが手本を見 せてやろう。とぉっ!」 ぐぎり。 あたたたたた…… 我ながら何をやってるんだか。 痛む足をひきずりながら、8月30日の朝、JR広島駅へ。WESTの時は 大阪に行くのになぜか岡山で降りるというお茶目をしたが、今回は終点までで ある。なので安心して寝る。ぐぅ。 のぞみで4時間。昼過ぎに東京に到着する。 JR有楽町駅でFEARの中島社長と待ち合わせ。 いっしょにご飯を食べながら近況の話などをする。 「この時期になると、外で食事が大変なんですよ何にでもキノコが入ってて」 「ああ、そういえばキノコは駄目でしたね」 話題の一つになったのが、そのごろ、trpg.netのアルシャード掲示板で騒ぎ になっていた『初プレイレポート』と『首輪と犬ぞり』であった。 「まぁ、言うなればあれです。銅さんは反アルシャード派の尖兵と目されたわ けですよ」 「そうなんですか?」 そういや、まだパソコン通信時代、私が初めてネットに書き込みをした時も 「設定オタクの馬鹿が」という反応が返ってきたものである。 何かをして万人に好かれるというわけにはいかない。かといって、何もしな くともそれが非難の対象になるという事もあるわけで。とかくこの世は難しい。 他にも仕事とかの打ち合わせをすませて、3時過ぎに会場であるホテル浦島 へ到着。遠藤さんや菊池さんら、FEARの方々に挨拶をすませてチェックイ ン。 足を楽にするために、サンダルを買いに近くのコンビニエンスストアへ。 レジの隣りに、山盛りの焼き鳥が置いてあるのを見て、目を丸くする。確か 去年はこんな大量の焼き鳥は置いてなかったと思うのだが。 コンビニも、JGCに合わせて臨戦態勢ということか。 一瞬、焼き鳥を買おうかとも思ったが、肝臓の具合も悪く、医者に酒は止め られる、尿酸を抑える薬は処方される、といいところなしのためやめておく。 代わりにLG21をぐびぐび。 さて、いよいよ45時間耐久RPGの準備である。 【45時間耐久RPGセッション1st】 ちょうど開会式が始まっていた頃。 45時間耐久RPGセッションでGMをする面々が、会場に集っていた。 点呼と諸注意事項の確認のためである。 この45時間ぶっ通しでRPGをやり続けるというイベントは、中島社長 が安田均さんに「正気か?!」と言われたほどの難事である。 なぜか? タイムスケジュールの問題があるからである。 RPGをプレイした人間であれば誰しも、予定した時間内にRPGのセッ ションが終わらずに長引いた経験があるだろう。場合によってはそれでセッ ションを終わらせる事ができず、打ち切ったりした苦い記憶もあるかも知れ ない。 だが、45時間耐久ではそのような無様は許されない。 5時間ずつ9サイクル。きちんとプレイを終わらせなくてはいけないのだ。 前後の人の出入りや挨拶、余裕を見て、1回のセッションに与えられた目 標時間は3時間。この3時間でプレイ終了までもっていき、なおかつ、お客 様を満足させてあげなくてはならないのだ。 そのためにシナリオを厳選し、何度もテストプレイを繰り返して注意点や 問題点を洗い出し、すべてのGMにそれを徹底させる。 もちろん必要な小物やシート類はすべて事前に用意しておく。 GMが飲み物や食べ物が必要になったら、スタッフが買い出しに行く。 だが、そうしたサポートがあっても、なお最終的には1サイクル10を超 える各テーブルのGM一人一人の技量にすべてがゆだねられるのである。 コンベンションと同じであるから、どんなプレイヤーがやってくるのかも 分からない。もしかしたらRPGは初めて、といったプレイヤーが集まって くるかも知れない。 それでも1セッション3時間。 いや、実にわくわくする展開ではないか。私はこういうのは大好きである。 その栄えあるトップバッターの一人を任されたのだ。いやがおうでも気分 は盛り上がる。 システムはドラゴンアームズ。シナリオは7月に自ら作成した「ランツド ルフ病原体」。プレイヤーは5人。遠くは北海道から来た方や、GMはやっ た事はあるがプレイヤーは初めてといった方などが集まってきている。 私は手製のキャラクター駒や、MIST用のガチャポン人形などを使って 雰囲気を盛り上げつつ、シナリオを進めていく。 ドラゴンアームズのセッションが盛り上がっているかどうかの目安の一つ は、エーテリックがたまったかどうかで判断できるが、見事に6レベルまで 到達。 最後の戦闘でも無事全員が活躍をし、プレイヤー諸氏は大いに楽しんでゲ ームを終了したのであった。 【井上純弌吼える 1st】 8月31日、深夜1時過ぎ。 「ここに饅頭屋があると思ってください。いいですか、饅頭屋ですよ。ゲー ム会社じゃありませんからね」 井上純弌さん、相変わらず、深夜にも関わらず飛ばしまくり。 「俺の心の底で、幾重にも鉄の鎖で厳重に封印されていた記憶がっ、今っ、 解き放たれる時が来たのだぁっ!」 菊池たけしさんも、実に生き生きとしておられる。 そしてそれらをホワイトボードにイラストにしていく金澤尚子さんも、や はり楽しそう。 JGC恒例の、井上純弌吼えるの時間がやって参りました。 ちなみにこのトークショウの会場では、セッティングをする前にタイムス ケジュールで言えば、約2時間遅れのイベントがまだ続いていた事を付記し ておく。 で、会場セッティングをしている時に隣の部屋でSNEの友野さんがマイ クで、 「この中で、『ルーンマスカー』を知っている人ぉ!」 と言ったのに対し、机をかたしていた井上純弌さんが間髪を入れず 「はーい!」 と手をあげたのには思わず笑ってしまった。いや、私も知ってるけどね。 しかし古いネタだなぁ。いったい何の前フリだったのだろうか、あれは。 ちなみに饅頭屋のくだりについては以下の通りである。 むかしむかし、あるところに一件の饅頭屋がありました。 饅頭屋は、海外の大きな饅頭屋と提携して饅頭を売っておりました。 それまで饅頭屋は、サンドイッチも売っていたのですが、 「サンドイッチは儲けにならないから、もう“二度と”売らない」 そういってサンドイッチ職人とそれまで売っていたサンドイッチを全部処 分してしまいました。 サンドイッチ職人が、その海外の饅頭がいくら美味しくても、やはりサン ドイッチを求める客はいるし、サンドイッチは売れるのだと言っても、饅頭 屋は聞き入れてくれませんでした。 そして歳月が流れ。 饅頭屋から放り出されたサンドイッチ職人はそれなりに自分達でサンドイ ッチを作り、それを求めるお客に売って生計をたてていました。 その頃、海外の大きな饅頭屋は饅頭だけでなくサンドイッチも商品として 店に並べるようになりました。そして日本の饅頭屋にもそのサンドイッチを 一緒に売るように言ってきたのです。 日本の饅頭屋はそのサンドイッチを売る事に決めました。 しかし、どことなく決まりが悪いのか、自分達が売るのは『パンに具をは さんだ食品』であって、サンドイッチではないと言い張るのでした。 それを聞いたサンドイッチ職人はたいそう愉快がったそうです。 とっぺんぱらりのぷう。 【45時間耐久RPGセッション5th】 トークショウが終わった時点で時計は午前3時を示していた。翌日のGM のためにも、ここはしっかりと睡眠をとっておくべきであろう。 宿泊部屋に戻った私は薬をぼりぼりとむさぼり、ペットボトルの麦茶をぐ びぐびと飲み干す。 「さて、睡眠薬、睡眠薬……うぉ、しまった。ない」 間抜けな事に自宅に睡眠薬を忘れてきてしまったのである。一瞬だけ、起 きて遊ぶという誘惑にかられたが、仕事の方が優先である。そうでなくとも 健康な肉体を持っているわけではないので、休める時に休んでおかなくては。 ぬるめのお湯に入っておくと寝やすいというので、風呂をいれてぬるーい お湯で30分ぐらいちゃぷちゃぷする。 で、寝る。 まぁ、薬がなくとも旅やGMの疲れがあるので寝る分には問題はなかった。 もっとも夢見は悪かったが。バイクを盗まれる夢であった。やけにリアル。 正夢ではあるまいな。 起きたのはとうに日も高くなってからであった。 シャワーを浴びて、汗を流してさっぱりとする。 さて、再び45時間耐久RPGセッションである。シナリオは同じ、「ラ ンツドルフ病原体」。このように同じシナリオを使うというのには良い点と 悪い点がある。良い点としては言うまでもなく、GMの負担が減るという事 で、悪い点としては、同じシステムに同じプレイヤーが2度参加する事がで きないというのがあげられるだろう。 また、GMとしても連続して参加、となると 「……そういや、このシーンは/NPCの台詞はやっただろーか?」 なんて事になりかねない。 まぁ、私はほぼ1日間が開いているのでそういう事もなく無事に2回目の セッションを行う事ができた。ドラゴンアームズはじめてー、とかいう人も いたが、そういう人には隣りに座ってもらって。 そういえば、私は比較的大きい声を出せる方なので、RPGをプレイする 時には、端っこに座ってプレイする事が多いのであるが、今回のようにプレ イスペースが限られている場合には、両隣にもプレイヤーに座ってもらう事 になる。これが案外にいい具合で、初心者や声の小さいプレイヤーさんには 優先的に隣りに座ってもらうのもいいかなぁ、なんて思ったりもした。 さて、もちろん今回もプレイ時間は3時間が目標であったわけであるが、 ドラゴンアームズの場合はプレイ時間内におさめるのは実は簡単である。 最後の手段として、終了1時間前になったら、 「おおう、その時、MISTの大群がバハムートに襲撃をかけてきたぞっ!」 なんてやってファイナルバトルに持ち込むのである。 まぁ、これは文字通り最後の手段であるが、そんなどうしようもなくなる 前に、時計をきちんと見ていればGMはいくらでもプレイ時間を調整する事 ができるのである。 ・シーンの状況を説明する。 ・PCを登場させる。 ・必要な情報をNPCなどから伝える。 ・ロールプレイを楽しんでもらう。(ここが可変。GMは時間に注意) ・適当な時間になったら、「じゃあそろそろこのシーンは終了するけど、 何かやっとく事はない?」とプレイヤーに確認。 ・次のシーンへ。 ポイントは、初心者のプレイヤーさんなど、なかなかおしゃべりに参加で きない人にGMから水を向ける事である。 こういう点に注意しておけば、ドラゴンアームズのGMというのは案外に 楽にできるものである。 さて、こうして5周目のセッションも無事に終了した。エーテリックも、 6レベルを振り切ったし、よかったよかった。 【井上純弌吼える 2nd】 45時間耐久のお仕事も無事終了したので、あちゃらこちゃらを歩いて見 て回る。みんな楽しそうに遊んでいる。中には徹夜をしたのか、そうとうに ハイテンションな人もいたりして。 こういうお祭りの雰囲気が私は嫌いではない。 私自身はどちらかというとはしゃいだり羽目をはずしたりしないタイプな のだが(若い頃はちがった)、他人がそうしているのを見るのは好きなので ある。 そうやってうろうろしていると、速水螺旋人さんや藤浪智之さん、桂令夫 さんらと出会う。速水さんに、ワールドタンクミュージアムを箱買いした時 に余ったT−34/85を4両プレゼントしましょうと持ちかけたらたいへ ん喜ばれた。相変わらずソ連スキーな人である。 藤浪さんからは、国際通信社(コマンドマガジン日本版を発行している所) が、今度、新しくRPGの雑誌を作るという話を聞く。 「それで、編集にRPGのライターとして銅さんを紹介しようと思うのです がよろしいでしょうか?」 もちろん私に否やはない。そういえば、私はあまり同人活動というものに 縁がない人生を送ってきたのであるが数少ない同人の記事の一つが、中黒さ ん(コマンドマガジン日本版の編集)の本での『エル・アラメインの戦い』※ であったなぁ。あれはもうかれこれ15年以上前だろうか。 ※『エル・アラメインの戦い』 第二次世界大戦における北アフリカの戦いのうち、戦局を決定づけたもっ とも重要な戦いとして知られる。エル・アラメインの地において、ドイツア フリカ軍団(DAK)とイタリア軍は、イギリス軍が守る堅牢な陣地を前に 退却を余儀なくされたのである。 まぁ、私がその新しい雑誌に記事を書く事になるかどうかは別として、そ ういう雑誌が出るのは喜ばしい事である。 さて、深夜になり、再び井上純弌トークショーの第二弾の時間となった。 今回はアルシャードの開発話などが語られる。 ゲームの開発においてテストプレイが重要なのは、電源あり/電源なし、 ウォーゲーム/RPGを問わない。 アルシャードでは、そのテストプレイを専門学校の生徒とかにやらせたそ うである。20才前の学生が「ファンタジーのRPG」としてプレイさせた アルシャードに、どのような反応を示すか、デザイナーの井上さんは興味津 々で見ていたそうである。 アルシャードを持っている人はご存じだろうが、このゲーム、ファンタジ ーと名前はついていても現代のテクノロジーなどがごろごろ出てくる。 GM「君たちが酒場にいると、スーツを着てネクタイをしめたサラリーマン 風の男が入ってきた。男はノートパソコンを取りだし、君たちに向けて 開いて言った。『あなた方に依頼したい事があります』」 さて、プレイヤーはどういう反応を示したか? プレイヤー「ふーん、それで?」 まったくの『スルー』、素通しだったのである。ようするに彼らにとって は、ファンタジー世界にコンピュータがあろうが銃があろうが、そんな事は ちっとも不思議でもなんでもないのである。 整合性がどうとか、余剰生産力がどうとか、人口比率がどうとか、そうい うのは実際に遊ぶかどうかにあまり影響しない、というのはなかなか興味深 い話であった。 他にも、「RPGのルールブックは最初に表紙をめくったところで、どん な遊びをするゲームなのか読者に分からせないといけない」などの話が出て たいへん興味深かった。 もちろん、いつものように軽妙洒脱な笑い話や、業界こぼれ話なども色々 と飛び出したのである。 【燃え尽きる】 井上さんのトークショーで、私がFEARから請け負った仕事は最後であ った。後はまぁ、JGCの終了まで自由時間という事になる、 ので、 ある、 が、 ぷしゅー。 ああっ、体力メーターがレッドゾーンにっ。 なんだかんだいいながら、だましだまし動かしていた肉体の方へ先に限界 がきてしまう。 気持ちとしては遊びたかったのであるが、この状態では、一緒に遊ぶ人に 迷惑をかけてしまう危険が大きい。 大学時代、お茶目をしていた頃は健康というのはデフォルトだと思ってい たのだが、四捨五入すると私も40。いつまでも若い時のようには……いや いや、こんなこっちゃ、鈴木銀一郎先生に笑われてしまうぞ。 そういうわけで、ぼちぼちと休みながら、会場を見て回る。 さすがに三日目ともなると、一部のフリー卓をのぞくと、皆、疲労の色が 濃い。 45時間耐久RPGの部屋をのぞいてみると、こちらは当日参加者を多く 入れているせいか、けっこう元気な様子。 9周目も無事に終了したようで、まずは重畳。 喫茶店で金澤さんらとおしゃべりをしたり(私は主に聞き役)、のんべん だらりと過ごす。 「ニョルド!」 「ニョルド!」 ……ああ、意味不明だ。 とかなんとかやっているうちに、閉会式の時間である。 この後、欠食児童が群がる慰労会などがあったのであるが、私は烏龍茶だ け飲んで過ごす。 さて、つらつらと書きつづったレポートもそろそろおしまいである。 JGC2002に参加したすべての人に。 どうもありがとう。 また、遊ぼうね。 ★ おしまい ★
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)