| 06月01日 |
■本日の読書:『仮面ライダーSPIRITS 9』原作/石ノ森正太郎 漫画/村枝賢一
仮面ライダー。
当時、小学生であった私達にとって一番身近なヒーローが彼であった。
むろん、ウルトラマンやマジンガーZ、ゲッターロボなどもヒーローであったが、なんといっても仮面ライダーは「等身大」である点が違う。
「等身大」といっても哲学的な理由ではない。もうちょい即物的で物理的な理由である。
ぶっちゃけ、サイズ的に。
小学生のロールプレイ(ごっこ遊び)にとり、このへんはかなり重要なのだ。いかに「空を飛んでいるつもり」とか「ロケットパンチを出しているつもり」と言っても、やはり限界はある。
その点で、初期の仮面ライダーは空は飛ばないし、飛び道具も使わない。
ヒーローになりきる点で、仮面ライダーは実に良い感じであったのだ。
なお、『超人バロム1』などもごっこ遊びでは人気であったように思う。たぶん、今放映されたらショタ好きのお姉様方に大人気であるに違いない。
さて、村枝さんのSPIRITSは昔懐かしの仮面ライダーが一同に会して戦うというものである。
この漫画での仮面ライダーはヒーローであるから、そりゃもう強い。
しかしスペックが高い、パワーが大きい、という理由で強いわけではない。
仮面ライダーが強いのは、弱いからなのだ。
SPIRITSに登場する仮面ライダーはみな、弱い心を持っている。(一号ライダーの本郷だけは大先輩ゆえちょっと別格っぽいが)
彼らは悩みや苦しみを抱えているからこそ、強くあろうとする。
弱い自分を知っているからこそ、強くあろうとする。
スペックでもパワーでもない。本当の強さは、そこにあるのだ。
SPIRITSでは多くの市井の弱い人間が登場する。巨大な悪の組織を前にして、彼らは無力であり、戦う術も持ちはしない。彼らはしばしば仮面ライダーの足を引っ張ったり、罵ったりもする。
それでも――人間は弱さを克服できる。
この9巻においても、不良高校生の村上や、教師である“アライグマ”など、弱さに負けていた人が立ち上がっている。
そして、自分の過去の罪と未来の恐怖に悩む10人目のライダー、ゼクロス=村雨良にスカイライダー=筑波洋が語りかける。
「この……
この俺の身体は……
いずれJUDOのものとなる!!」
「その時……
俺はまた人間を殺して……
そしてキサマらも!!」
「だから
いいんじゃないか それでも……」
「それでも 戦っていいんだぜ」
「村雨良、君は……
人間のために戦っても いいんだ」
『仮面ライダーSPIRITS 9』p43〜44
SPIRITSで滝やがんがんじいが仮面ライダーと並んでメインを張る理由も、こうした弱さを自覚するところから生まれる強さを描くためだろう。
誰でも――そう、私や、あなたでも――強くなれる。
『仮面ライダーSPIRITS』はそうした「等身大」のヒーローの物語なのだ。
| 06月02日 |
■本日の読書:『中世倭人伝』村井章介
『朝鮮王朝実録』を元に、15〜16世紀の朝鮮半島と日本との交流と交易について紹介した本。
中華帝国である明は、モンゴル帝国による支配の後、海禁をもって諸国との政策となした。その背景にあるのは交易の統制であり、冊封と朝貢による公的な取り引きのみを正規の交易とする方針であった。
中国の文化的、軍事的な影響をもっとも強く受ける朝鮮王朝もまた、そうした統制とは無縁ではない。本書にみられるように、倭国、つまり日本との交易は日本国王の使節に限るのが建前となっていた。
もっとも、当時の日本は室町幕府による、どちらかというとかなりゆる〜〜〜い封建体制である。日本国による勘合貿易といっても、室町幕府が仕立てたものあり、守護大名の大内氏や、対馬の宗氏なんかが適当にやっちゃってるのもある。
この時期、日本では戦国時代にかけて朝鮮から伝来した灰吹法などによる銀生産量の急造を迎え、海外貿易への圧力がぐんと高まるようになる。
興味深いことに地球の反対側、西洋ではスペインがアメリカから大量の銀を持ち出していた。これらにより世界中に新たに大量の銀が流通してインフレを発生させ、それはこれまで狭い範囲で閉じていた貿易と経済を一気に拡張する。
日本が銀で購ったものは、朝鮮の綿布であった。
保温性が高い朝鮮の綿布は、戦争に明け暮れる戦国大名にとりきわめて貴重な戦略物資となる。
朝鮮から輸入した木綿のコンバットスーツを着用した足軽達は、ポルトガルから伝来した最新鋭火器である火縄銃を持ち、明国から輸入した硝石を使った火薬(最近の研究では、国内でも土硝法などで硝石は生産していたらしい)でもって戦ったわけだ。
中華帝国的な思想として、朝鮮王朝としては日本との交易というのは文化的に劣る蛮夷の国への施しとしての一面を持っていた。実利よりも形式を重んじていたわけで、そこに長き戦乱によって実利のみを追求する合理主義者な日本の商人がずかずか乗り込んでくれば、これはもううまくいかない。
また、儒教的にお役人は清貧をもって旨とするようなやり方では、上はともかく下が修まらない。倭人のもたらす賄賂や利権に目がくらみ、役人でありながら倭人のエージェントとなる朝鮮の役人はそうとうに多かったようだ。
そうした役人による密貿易について紹介している部分が、『庫直・通事・辺将』(p172〜174)である。
庫直は、港湾の倉庫を管理する役人。
通事は、通訳である。
辺将は、海上の警護をする軍人だ。
『朝鮮王朝実録』では、辺将は密輸船や海賊船を取り締まり、摘発した船の積み荷を京の商人に売りさばいているらしいが、このへん、イギリスと比較するとちょっと面白い。
世界一周するついでにスペインの商船を襲撃してまわって大量の財宝を国庫に納めた海賊貴族ドレークは有名だが、イギリスではその後も正規の王国海軍であっても敵国の商船や密輸船を拿捕した場合、そこから得られる利益は国家と軍人とで折半している。
がんばって国のために働けば、名誉だけでなく金も手に入るわけで、外聞は悪いが具合はよろしい。
一方で朝鮮の辺将は、本書を読んだだけではそのあたりが今ひとつはっきり書いていないが、その利益を還元するシステムがなかったようである。
これでマジメに働けというのは酷であろう。
やがて日本の戦国は終わりを迎え、強大な軍事力を手にした秀吉による朝鮮出兵が行われる。それは斜陽の帝国である明を破滅に導き、同時に日本人の血の気を抜いてすっきりと平和な江戸時代への幕を開いた。
こうして、こすっからい倭人が活躍していた東シナ海交易圏もまた、明と秀吉の後をついだ清と徳川による統制の時代に入る。とはいえ、もはやそこには冊封と朝貢のシステムでは管理しきれない市場経済への流れが存在していたのだ。
| 06月03日 |
■本日の読書:『ミリタリークラシックス 13号』
今回の特集記事はふたつ。
『天空の闘神 二式単座戦闘機 鍾馗』
『北海のおてんば双子姫 シャルンホルスト級巡洋戦艦』
前者のあおり文句はともかく、後者はかなり実情と異なる気がしないでもないが、まあ良し。
さて、高速重戦闘機である鍾馗は性能がそこそこであったにも関わらず(少なくとも駄作ではない)戦争漫画や架空戦記などフィクションでの活躍はあまりない。
内田弘樹さんが『仮想戦記の中の鍾馗』というタイトルで『修羅の波濤』、『超・空挺砲艦 『火龍』』、『灼熱の翼』を紹介されているので、ここに1冊追加することにしよう。
谷甲州さんの『覇者の戦塵1942 激突シベリア戦線』である。
上巻では主に屠龍、下巻では鍾馗が大活躍する。
本書に登場する鍾馗は、エンジンにせよ武装にせよ特に改変されてはいない。技術的に改変されているのは弱電関係で、屠龍に搭載した電波警戒機(レーダー)と鍾馗の電波反照機(レピータ)を組み合わせた空中指揮が標準化されている。
なお、鍾馗が戦う描写があるのがシュツルモビク(3回)だけというのが面白い。
▼1回戦
屠龍の空中指揮で偵察にきたシュツルモビクを迎撃。重装甲のシュツルモビクに手を焼いて、着陸した後で強引に銃撃して撃破。
▼2回戦
地上攻撃のために奮進砲(ロケット)搭載で出撃した鍾馗が、今度はシュツルモビクの不意打ちを食らう。あわや撃墜されそうになるところをかろうじて逃げるが、機体はボロボロになる。
▼3回戦
イマンの町を攻略する日本軍に、ソ連航空隊が阻止攻撃。
鍾馗の奮進砲でシュツルモビクを攻撃し、これを撃破。
架空戦記における三種の神器で『大和・零戦・山本五十六』というのがある。
架空戦記が「歴史に対する脳内リベンジ」である以上、知らない何かが活躍されても読者としてはリベンジした気分にならない。
零戦を知らない読者(架空戦記を読んでみようという気になる読者)は皆無であろうが、鍾馗を知らない読者はそれなりにいるのである。
むろん、広い目で見れば第二次世界大戦で日本が活躍するだけでも、リベンジになるといえばなる。だが、全体としての感情移入度は低下すると見るべきだ。
織田信長が活躍する歴史改変は数多くあっても、北条氏康だか氏照だか氏綱だかが活躍する歴史改変がほとんどないのも同様だ。
キーワードさえ合致すれば、後は魔改造されていても(ジェット零戦など)なんとかなるわけで、わざわざ知名度の低い鍾馗を主人公にすることはない。
それでもあえて鍾馗を出すのであれば、やはり作者の思い入れと、それを伝えるための演出やストーリーが大事であろう。ただ漫然と筆を進めただけでは、読者に伝わりはしないのだ。
| 06月04日 |
■本日の読書:『ゲームジャーナル19号』
付録ゲームは『スターリングラード強襲』。
市街地をエリアで区切り、争奪戦を行なう、いわゆる『アーンエム強襲』システムである。
この『アーンエム強襲』を最初にプレイした時の感動は今も忘れられない。
ウォーゲームの多くは六角形のヘクスマップにコマを並べるものである。
ヘクスマップそのものは戦況が一目瞭然で悪くない。
だがコマの数が多くてスタックという積み重ねがあり、さらにずらりと戦線を張るような場合、コマを動かすのはかなり神経を使うようになる。へたに指でつつくと、スタックがくずれたり戦線が乱れたりしちゃうわけだ。
そこで指ではなくピンセットを使ってコマを動かすこともあるわけで、そういうのが楽しくないわけではないのだが、やはりプレイアビリティという点であまりよろしくない。
ところが、エリア方式となるとそのへんのコマを動かすのはかなり楽になるし、コマそのものもヘクスの大きさに制限されないので他のゲームより一回り大きくできたりするのだ。
そういうわけで、エリア式と大きなコマはたいへん良いものであるのだ。
その一方で、同じ『アーンエム強襲』システムであるゲームジャーナル17号の『関ヶ原強襲』が、わざわざ扱いが難しい関ヶ原にせんでも山崎の合戦とか姉川の戦いだったらエエんじゃないかとか、ゲームジャーナル10号の『旅順港強襲』がこれまた司馬遼太郎史観が嫌いなのは分かるが、あまりにそこにこだわりすぎやしてないかとかというのがあったので、コマを切らずにながめていたりする。
とはいえ、東部戦線の、さらにターニングポイントであるスターリングラードの戦いというのは、ゲーマーにとって特別の存在なのだ。
地獄のような戦いと、悪夢のような日々を共通体験として持つ(もちろん脳内妄想である)我らゲーマーにとり、スターリングラードとは過去に封印された忌まわしい記憶(繰り返すが脳内妄想である)であると同時に、いつか再びあの地に戻りそこで果てることが定められている約束の地(しつこいようだが脳内妄想である)なのだ。
| 06月05日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 ノア、尭・舜・禹ほか』
朝日百科世界の歴史シリーズ130冊のうち、展望、焦点、生活、技術の4分野を読破。
いよいよ最後の人物シリーズへ。
タイトルからも分かるように、最初は歴史だか神話だかよくわからない中間な人々がメイン。
ノアに関しては、『イスラーム世界のノア』が面白かった。
イスラムは、ユダヤやキリストの神話を受け継いでいるので、イスラムの神話にもノア(アラビア語ではヌーラ)はいるのである。
もちろん、ノアが啓示を受けるのはアッラーの神である。いや、アッラーの神様はそんな昔にはいなかったじゃんなどと言ってはいけない。神話であり神様であるからして、時間をさかのぼって過去を改変するぐらい簡単なのである。
しかし、そうはいっても箱船に乗ったノア達洪水見学ツアーご一行様が、途中メッカ(水没している)の上を通りかかった時に「アッラーは偉大なり」と水没したカーバ神殿(歴史改変により存在することに)の上をぐるぐる回るという場面ではくらくらと目眩にも似た感覚を覚えた。
ちなみに、イスラムでは禁酒であるからして、ノアが泥酔して寝てしまう場面は神話からは削除されている模様。
SFだなぁ。
さて、一方でこちらは明らかに歴史上の人物であるところのハムラビ王(ハンムラピ王)である。
『目には目を』のハムラビ法典は小学生でも知っているくらいたいへん有名であるが、ハムラビ王は正義の人であったらしい。建築における安全基準にも厳しく、『もしも家が手抜き工事ゆえに倒壊して家主が死んだら、大工を殺せ。家が倒壊して家主の息子が死んだら、大工の息子を殺せ』とハムラビ法典(229条と230条)にはある。
一方で中国古代の王様、尭・舜・禹についてはその事績が史書に明らかであるが、おおむね架空の王様であろーということで決着している。
ノアのように神話として創作されたわけではないが、儒教的な「聖王」であるから、宗教的な理由だと言えなくもない。
これらの古代中国の聖王は、血筋によってではなくいずれも禅譲という形で前王から王位を受け継いでいるところが興味深い。というのも、それぞれの王の息子はあまり出来がよろしくないのである。
今からさらに5000年ぐらいして。
未来の歴史学者が、古代中国(つまり我々の知る現代中国)の歴史を調べて、共産党王朝における禅譲の歴史をどのよーにまとめて研究結果となすか。
考えてみると、これはこれで面白い。
| 06月06日 |
■本日の読書:『デュマレスト・サーガ 嵐の惑星ガース』E.C.タブ
復刊なったのを記念して本棚から引っ張り出す。
このシリーズがどんな話かは、読書万歳の コチラ をご参考までに。
この1巻を読んだ時(1982年)、まだ私は高校生であった。なかなかに長い付き合いというものである。
本書を読み直して思うのは、実に優れた構成であるという事だ。
●冷凍睡眠
冒頭は二等船客として冷凍睡眠されていたデュマレストが目覚める場面である。
そして基本食(ベイシック)をすする。ずるずる。
●どん詰まりの惑星
到着したのは最初の予定とは違う『嵐の惑星ガース』。
人も住まず、産業もない。金がない流れ者にとってはどん詰まりの惑星である。
●女帝とサイクラン
場面はうってかわってガースにやってきた女帝とその後継者、そしてサイクランである。
シリーズ通しての悪役の登場はえらく早い。やはりこうでなくては。
彼は喜びも、憎しみも、欲望も、苦痛も感じることができない。彼は血と肉でできた冷たく倫理的な機械であり、超絶的で公平な人間ロボットであった。彼の唯一の喜びは、推論の正しさが判明した時の、知的満足感だった。
『嵐の惑星ガース』p21
●死の恐怖
さてその一方。
どん詰まりの中でアールは魚を捕って食うために流れ者仲間とボートで海に出る。
そしてデカイ獲物に船をひっくりかえされ、仲間は逆に溺れて食われてしまう。
●宇宙友愛協会
ここでサイクランと並ぶシリーズきっての巨大組織だ。アールにとっては味方ではないが、サイクランと敵対する関係上、しばしば手助けをしてくれる。
浄福灯と濃縮ウェハース。
サイクランと坊さんが出会う。サマチャジの相だーっ。
おおむねここまででわずか50頁であり、そのテンポの良さと計算された無駄のない内容には脱帽するしかない。シリーズの第1話、それもSFともなると、紹介するべき設定やら何やらで普通はもたついているものである。
未読の方は、この機会にぜひぜひっ!
| 06月07日 |
■本日の読書:『日本軍小失敗の研究』三野正洋
ぱっと表紙を見ると、字面が似ているせいで『日本軍小手先の研究』と読めたりして愉快。
なんで小失敗の研究かというとまえがきで三野さん曰く、
そもそもアメリカに戦争ふっかけたのが大失敗なのだが、それを言ってしまうと他の小さな失敗が全部『どうせダメなんだから』で免罪されちゃうので
というような意味合いである。
このへんのスタンスはなかなかに面白い。
一方で内容はというと、やや首をかしげるようなモノも多くある。
たとえば日本の空母にカタパルトがないという部分(p210〜216)であるが、偵察機射出用の火薬式カタパルトをはじめとして、ないこたぁ、ないのである。開戦前はフライホイール型カタパルトだって研究してたし、その便利さについて盲目であったわけではないのだ。
こうした、いかにも当時の人間が勉強不足であったという書き方には、読者への扇情的効果を狙ったものとはいえやや危険な感じがある。
仕事などで『失敗したプロジェクト』に関わった経験のある人(というか、その経験がないという幸運な人はまずおるまい)ならば同意していただけると思うが、失敗する仕事の現場というのは「ダメな流れ」に呑み込まれているものなのだ。
『失敗したプロジェクト』というのは、昔からビジネス雑誌などの題材としても扱われている。意志の疎通とか、情報の共有とか、スケジュール管理とか、外の目から見ると明らかにダメだろと分かるような事がたくさんある。
ここまでダメなのが明らかなのに、中にいる人間はなぜ何もしないのか?
気づいていないのか? そんな事がありえるのか?
ありえるのである。
ありえるし、気づいていても目をつぶっちゃうのである。
どれだけ有能で頭のいい人間が参加していても、組織やプロジェクトがダメになる時には、やはりダメになるのだ。
ではどうすればイイのかというと、やはり外部からの視点と指摘が有効であろう。
外から「ちょっとおかしいんじゃないかな?」と言ってもらう。
そして、それを虚心坦懐に聞く。「ダメな流れ」に支配されていて、聞けない時には、強制的に聞かされるようにする。
外部からの声である。指摘の中には、もちろん的はずれなものとか、どうでもいいものもあるはずだ。あるいは有害なものもあるだろう。
しかし、外部の声を遮断してしまえば、もはや「ダメな流れ」になった時に仕事やプロジェクトを救う方法はなくなる。
失敗は誰でも、どんな組織でもありえる。
ならば、そこからのリカバリが可能な環境こそが必要なのだ。
だから、皆が自由にモノを言える環境はそうでない環境に比べて優れているのである。
そういう意味で、日本軍をはじめとする枢軸側は「閉鎖的」であった。
指導者も、軍部も、外部からの声を聞かない、聞けない環境にあった。
彼らは失敗をリカバリできない/しにくい環境であったわけだ。
元より国力や戦力で劣る側であり、失敗を許容できる範囲が狭いはずの枢軸側が敗北を喫したのも、むべなるかなと言えよう。
| 06月08日 |
■本日の読書:『小あくま天使 桃色系 1』むつきつとむ
最初にお断りしておくが、18禁マークがないだけでエロい描写のある漫画である。
購入と読書と使用には十分にご注意いただきたい。
使用後にそこらに放り出しておくのもダメ。お子様の手の届かないところに置いておきましょう。
……って、将司さんのそれは、すごくよくできてるけどよつばちゃんじゃないからーっ!!
失礼。
さて、本書の主人公の克也はいわゆるダメ人間である。
それなりに頭もよく、ちゃんと大学も出て、親は不動産関係の事業やってるのだが、就職もせず親のマンションの1室をあてがってもらってひとりでぶらぶら暮らしている。
明らかにダメ人間である。
そんな彼には大学時代からの3つ年上の恋人がいる。おっとり天然なお姉さんで、デートの待ち合わせに行くと、ティッシュを山のように抱えて立っている。
さらに隣の部屋にはかつてのあこがれの幼なじみのお姉さん(出戻り)が娘(中学生>高校生)と一緒に引っ越してきたりしている。
恋人はぶらぶらしている克也クンを叱るでもなく、ただあるがままに受け入れ、愛してくれる。母性愛の塊のような女性だ。
幼なじみのお姉さんで今はキャリアウーマンな女性はけっこうきつい事も言うが、そこに陰湿なものはかけらもなく、出来の悪い弟を笑って叱る感じだ。
そしてその娘のチビちゃんは、ぎゃいぎゃいとやかましいものの、克也クンを兄貴分として慕っている。
そんな環境は素直にうらやましいが、ダメ人間はダメ人間である。
だが、そのダメ人間である克也クンは、決して不愉快な青年ではない。
むしろ、好感を抱くべき存在だ。
その理由は、ひとえに彼が自分に向けられる好意や愛情を正面から対峙しているせいだろう。
好意や愛情を克也クンは素直に受け取る。
この手のダメ人間な主人公の場合、自分に自信がなかったりするせいで、好意や愛情にひねくれた反応をして周囲と自分を傷つけることがよくある。
そうした、マイナスな反応は克也クンには無縁だ。
彼はダメ人間であるにもかかわらず、堂々と自分へ向けられる好意と愛情を当然のように受け止めるのである。そして素直にうれしく思い、それを相手に返す。
ただそれだけで。
そのそれだけが、いかに難しく。また貴重であるか。
この漫画を読んでいると、そういうことも考えてみたりもするのである。
| 06月09日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 ブッダ、孔子ほか』
「ぶっだ」と入力して「仏陀」と出る。
もっかい変換して「ブッダ」となる。
「ブッダ」は、歴史上の人物ぽいが、「仏陀」はどっちかというとお釈迦様な感じである。
字面というのも、こう見えてなかなか侮れない。
さて、相変わらず神話と歴史の境界線が続く。
まずはゾロアスター(ザラスシュトラ)。
光の神アフラ・マズタから啓示を受けた預言者である。
キリスト教と同じように、預言者の名前をとって彼の宗教はゾロアスター教と呼ばれている。
神殿で火を焚くので、「拝火教」という呼び名もある。同じ宗教でもこう書くと字面的に蛮人王コナンなファンタジーっぽい。
ペルシア、今のイランに根付いた宗教であるがイスラム教のおかげで信者は激減し、今はインドに逃れた人々と合わせても世界で15万人ほどだそうな。
なお、キリスト教とギリシア文明に絶望した哲学者ニーチェは、神を殺して「永遠回帰」という思想を、このゾロアスターに託して語らせている。それが『ツァラトゥストラ(ゾロアスター=ザラスシュトラのドイツ語読み)かく語りき』だ。
なお、神殺しの哲学で「永遠回帰」とか書くと、すごく字面的にクトゥルフというかデモンベインだよなっ!
神を語り来世を語るのが宗教であるとするならば、中国の孔子は宗教家というわけでは絶対にない。彼はあくまで現世における国家運営のノウハウを伝授し、あるいは実現しようとしたわけである。
東に孔子といえば、西はソクラテス。
どちらも、人生そのものは今ひとつぱっとしない。孔子は流浪の浪人生活が長かったし、ソクラテスは最後には刑死している。
ぱっとしない理由はやはり、どちらも現実と妥協をしなかったせいだろう。
妥協しない非寛容ゆえに、周囲との折り合いが悪くなる。だが、その非寛容は己の欲望のためではなくあくまで人々のためを思ってのことであるから、教え子をはじめとして、多くの支持者を生んだ。
そして、師匠が死んでも、支持者によってその思想は語り継がれ、普及し、現代に至る。
これもまたひとつの不死の形であろうか。
| 06月10日 |
■本日の読書:『興国の楯 通商護衛機動艦隊』林譲治
先日の『日本軍小失敗の研究』で、失敗をリカバリできるようにするには外部からの視点と声を取り入れるのが良いと書いた。
我が敬愛する谷甲州さんの『覇者の戦塵』における尽瞑さんなどはその代表格か。こちらの歴史を知る尽瞑さんは、戦塵世界に介入して歴史を変革している。
あの作品での最大のファンタジーは、尽瞑さんという外部因子がいることではなく、正体不明の坊主の言葉に、多くの技術者や少壮士官が影響されていることか。
さて、人外協つながりで林譲治さんである。
架空戦記ではおおむねヒドイことにしかならない辻参謀が大活躍することで知られる林譲治さんの『興国の楯』シリーズの1巻が本書だ。残念ながら辻参謀はまだ出ない。
本書で尽瞑さんの役割を果たすのは、逓信省や内務省などの官僚が作った護衛専門の海軍における北島正則であろう。
もっとも、その暴れぶりは尽瞑さんというよりは、どっからどーみてもハスミ大佐である。
林さんはバカが嫌いと公言することもある人だが、これは林さんの優しさから来るのではないかと私は勝手に思っている。
バカが嫌いといっても、本当に能力がない人を嫌うというわけではない。能力や経験があるにもかかわらず、その力を生かしていない、あるいは害になる使い方をしているのが悲しくてそういう言い方になるのだろう。
人類最強のお言葉を借りると、『人間っつうのはもっとスゲエ生き物なんだからよ。ちゃんとしろ、ちゃんと』である。
だから『興国の楯』では、すごい新兵器とか、画期的な新戦術というのはそれほどない。(少なくとも1巻は)
あるのは人間や組織が全力を尽くせるような環境作りである。
戦前と戦中の日本は階級社会、差別社会であった。それが国家という組織全体での効率をはなはだしく損なっていた。当たり前だが、人間が仕事をちゃんとするのは、自分が正しく評価されていると思った時だけである。
そんな日本社会で、評価の外に放り出された人間を集めて作り出された『通商護衛機動艦隊』。
彼らはみ出し者がもたらす外部の視点は日本を変革するか?
ぎゅりんぎゅりん。タイガー計算機を全力で回してもまだその答えは出ていない。
| 06月11日 |
■本日の読書:『旭日の傭兵団 欧州動乱1947』陰山琢磨
超々々巨大戦車駆逐機械マンムート再びーっ!!
かの『欧州動乱1947』の続編。
今回は、ソ連軍のドイツ領ポーランド侵攻とノルウェーの原爆研究施設争奪戦の二本立て。
どちらもかなり盛り上がるが、北と南で遠く離れており直接リンクはしていない。そのへんはやや寂しい。
とはいえ、裏では核兵器とマンムートの間には、強いつながりが存在しており、それが明らかになる第二章『春の嵐』のp111〜119の会話はすごいゾクゾクくる。
ソ連軍の侵攻を明日に控え、戦車駆逐機械マンムートに乗る梅宮のところへ、技術士官の五藤がやってくる。
明日の戦いを控えて、五藤はこれまでじっと隠していたマンムートの秘密を語る。
マンムートには、あちこちに奇妙な部分がある。
鉄量の瀑布となって押し寄せるソ連戦車軍団の脅威。
その津波を押しとどめるためにのみ作られたマンムート。ドイツの東国境でなければ、満州でしか使えない、地域限定の超兵器。
だが、バランスだけで言えばマンムートはあまりに高価すぎた。そして、強力で高価であるにしては、脆すぎた。
いかにマンムートがアウトレンジの帝王といえども、ソ連戦車軍団だってただのやられ役ではない。スターリン重戦車の122ミリ砲を何発もくらえば、装甲が貫かれなくとも、無理がくる。
表面に重ねた発泡パーステ。
厚さ30ミリの天蓋は人力だけでは開けることもかなわず。
ベンチレータか吸いこんだ外気は何枚も重ねた濾過器を通す。
しかも戦闘室の気圧は外より0.1気圧高い。
外部消火装置は車体すべてを水で洗うが、焼夷弾の油脂火災は水などで消えはしない。
マンムートの過剰な装甲と装備は、対戦車戦闘だけを考えた作りでは――ない。
マンムートとは、核爆弾が投下された戦場において、なおも戦うことを求められた兵器であったのだ。
核の炎が燃え上がった時。
強烈な放射線を受けて発泡パーステが蒸発。気化して熱を奪う。
それでも残る放射線は、最低30ミリの装甲によって吸収される。
放射能を帯びた大量の塵を含む外気は濾過されて戦闘室には入ってこず。
外に積もった放射能の塵を、放水機能によって洗い流す。
さらにマンムートの平たい車体は、核爆弾の衝撃と爆風によって転覆することを防いでいる。
何もかもが焼けただれ、地形すらも変わった荒野で。
なおも戦い続けるさだめを持ったウォーマシン、マンムート。
暗い夜の森。偽装をほどこされたマンムートの上に座り、五藤と梅宮は語り合う。
静かに会話しているだけなのに背筋が寒くなるような破滅と狂気。
この巻における屈指の名場面である。
| 06月12日 |
■本日の読書:『乃木坂春香の秘密 4』五十嵐雄策
普通の立ちグラでパンツが見えるイラストは健在。
相変わらずぬるま湯のような萌え小説で、実のところソコがいい。読者をイイ気持ちにさせるという目的と、小説内で発生する事件やイベントはすべて合致している。合目的な小説なのだ。無理をしているところや軋みを上げるところは一箇所たりとも存在しない。
ポイントは、「主人公は悪くない」である。
今回は文化祭をからめて主人公とヒロインの春香がすれちがったりもするが、そうした誤解やすれ違いも、「主人公は悪くない」。
むろん、主人公は悩んだり後悔もするが、読者には分かる。明らかに「主人公は悪くない」。発生しているのは強制イベントであり、主人公は選択肢を間違ってはいない。
このへんの、主人公に与えられる選択肢がはっきりしているのも良い。ただ「優しい」選択肢を選べばいいのだ。好感度を上げる選択肢だけをしらみつぶしに選んでいけばヒロインのフラグが立つという、フラグ管理はきわめてシンプルにできている。これもまた、読者に安心感を与える。
まさしくオーガスト系の『月は東に日は西に』や『送り雛は瑠璃色の』……じゃない、『夜明け前より瑠璃色な』と同じタイプの小説である。
これこそ、職人芸というものであろう。
| 06月13日 |
■本日の読書:『一杯の珈琲から』エーリッヒ・ケストナー
本書は軽妙洒脱なユーモア小説だ。
悪いヤツはおらず、嫌な事件は発生せず、無情で無念な現実のつらさは出てこない。あからさまにハッピーで幸せで、読者を不愉快にさせないよう、すべてが入念に計算されている。
昨日の『乃木坂春香の秘密』と同じく、合目的なストーリーラインとキャラクターの小説だ。
この話を読んでまず思ったのが、川原泉さんの『笑う大天使』で、ヒロイン3人組が『源氏物語』ではなくてこの本を読んでいたら、さぞ辛辣な意見が並べられたであろうということだ。
さて、それではどういう話なのかというと。
……そうだな、嘘はつかないように紹介してみるか。
この作品の時代は、ヨーロッパ全土で古代ローマ帝国のディナリウス銀貨が使われていたよりは後で、ユーロによってヨーロッパの通貨が統合するよりは前である。
この通貨に関する問題は、本書に大きく関係する。
もうちょい絞ると、1937年のオーストリア。ドイツ国境に近いザルツブルグが舞台となる。
すでにドイツはヒトラーのナチス政権下にあって、再軍備宣言が行われている。
ドイツの資産家である主人公は、ドイツ国境の町に投宿する。
彼はこれから1ヶ月、朝になれば宿を出てオーストリアとの国境を抜け、夜になればまたドイツに戻る日々を過ごす。
彼には、そうまでしてザルツブルグへ行く、ある目的があった。
彼はオーストリアで友人と名乗るある人物と落ち合って行動を共にしていたが、ある日、手違いによりふたりは邂逅に失敗する。
当時のオーストリアは社会情勢がたいへん不安定で、各国の諜報員がしのぎをけずっていたことを参考までに申し添えておこう。
苦難に陥った主人公は、そこである若い女性に救われる。美しく魅力的な女性は、だがしかし、その身分を偽っていた――
そして1ヶ月の物語は終わる。
翌1938年。ドイツ軍は国境をこえてオーストリア領内へと移動。ナチスドイツはオーストリアを併合し、ふたつの国を遮っていた国境線は消滅する。
さらに1939年。ドイツ軍のポーランド侵攻によって第二次世界大戦が勃発。世界は再び戦火に包まれることになるのだ。
……よし。
嘘はついていないぞ。
なお、本書は我が敬愛する物書き仲間のchitaさんがのマイフェイバリット小説である。面白い本を薦めていただいて、感謝。
| 06月14日 |
■本日の読書:『火星縦断』ジェフリー・A・ランディス
記憶に新しいマーズ・パス・ファインダーによる火星無人探査(1997年)。
そこではローヴァーという車両が活躍しているが、この本の著者、ジェフリー・A・ランディスはNASAでそのローヴァーの太陽電池パネルの開発を担当している。いわば、現実の火星探査のスペシャリストであり、その知識と経験は本書にもいかんなく発揮されている。
本書は2028年、第三次有人探査隊が火星に到着する場面からスタートする。
そう、第三次なのだ。
第一次と第二次は、いずれも失敗に終わっている。第一次有人探査はブラジルが行ったものの到着まもなくして全滅。
アメリカがはじめた第二次有人探査も、地球へ帰還する途中に壊滅している。
そしてもはや人類にとって後のない第三次有人探査隊もまた、火星に到着後まもなく悲劇にみまわれる。
ところで、古き懐かしきバイキング計画をはじめとして、人類は何度も火星に無人探査機を送り込んでいる。
だが、人間は一度も送っていない。なぜだろうか?
理由は「帰ってくるのがたいへん」だからである。
ロケットの打ち上げをみれば分かるが、衛星や人間を宇宙にもってあがるには、たいへんなエネルギーが必要となる。
火星へ到着した後で、再び地球に戻ってくるにはもう一回そのエネルギーが必要である。いわば、宇宙ロケットをまるごと火星へ運ばないといけないのだ。
そこで、最近の有人火星探査計画では、「なんとか現地調達できないものだろうか?」と考えている。もちろん、火星にロケット工場はないから、ロケットエンジンは火星まで運ばないといけない。
なに? ロケットを火星に運ぶのであれば、現地調達ではないだと?
いやいや。もう一度宇宙ロケットの打ち上げを見てみよう。宇宙ロケットは、ロケットエンジンそのものよりも、燃料の方がたくさんある。90%以上は燃料だと思っていい。
その90%を、火星で調達する。
ロケット燃料となるのは、酸素と、そして水素だ。酸素と水素は水さえあれば手に入るし、火星に水があることは確実だ。
そういうわけで、まず火星へ帰還用のロケットと、水からその燃料を作るプラントを届ける。続いて人間を乗せた探査用宇宙船も送り出す。
もちろん、人間が1年やそれ以上の生活に必要な物資などを搭載するわけだから火星行き宇宙船はものすごく大きくなるが、それでも片道であればだいぶ建造は楽になる。
火星へ到着した探査隊は、そこですでに到着している帰還用ロケットにプラントで合成した燃料を注入し、火星から打ち上げられる。そして地球への帰還の途につくわけだ。
『火星縦断』に話を戻そう。
到着した第三次有人探査隊は、さっそく帰還用のロケットに燃料をいれようとする。
ところがここで不慮の事故が発生。帰還用のロケット燃料は失われ、燃料合成プラントも壊れてしまう。
もはやこれまでか? いやいや、火星にはもう1箇所、帰還用のロケットと燃料がある場所がある。到着後すぐに壊滅したブラジルの第一次探査隊だ。
ところがブラジルの第一次探査隊は水を得やすいという理由で、火星の北極に帰還用ロケットを置いていた。(アメリカ探検隊は、帰還用ロケットの燃料のうち、水素だけは運んでいった。軽いからだ)
南半球に着陸した探査隊は、北極へ向かうことを決意する。
その距離、6000キロメートル。
火星を縦断する旅が、はじまった。
とまあ、こういう感じで、実に良い。
私自身は、もうちょい、こー、『月は地獄だ』みたいな、トラブルが次々と発生してそれを知恵と経験でクリアしていく」展開を期待していたのではあるが、本書はどちらかというと人間ドラマに基調がおかれている。
それでも本書は『赤い惑星への航海』などと同様に火星探検の傑作であり、宇宙SF好きなら読んで損はない。
オススメの作品である。
| 06月15日 |
■本日の読書:『世界戦艦大和列伝 下』吉田親司
「世界各国で戦艦大和を作って、ヤマトファイトをしよう」というアレな架空戦記の下巻。
イロモノやバカ話が好きな私はたいへん期待して本書をめくったわけであるが……
結論から言うと、えらくおとなしい結果になった。はっちゃけが足りない。
世界中でヤマトを作って互いに戦わせるというトンデモ設定が、なぜに実際の戦闘をはじめたとたんにマトモになってしまったのだろうか?
これは、逆説的ではあるが全部ヤマトにしてしまったせいではないかと思う。
Gガンダムを見てほしい。全部ガンダム同士のバトルがはっちゃけていたのは、「こんなのはガンダムじゃねぇ」と旧来のファンを嘆かせるほどに、顔だけガンダムな連中だったからだ。
中身も戦い方も、まるで違う。そこに面白さがあった。
しかし、本書で登場する各国の超ヤマト級は、全部46センチ砲を備えた大艦巨砲な戦艦である。
戦い方など、どいつもこいつも同じなのだ。
思えば上巻の日本とオランダのヤマトファイトを盛り上げたのは『波動魚雷』であったし。
下巻のゲルマンヤマトが華々しかったのは『煙突ミサイル』のおかげである。
46センチ砲同士の殴り合は確かに派手だが、1回見れば十分である。
話を盛り上げるには、あまりに1発の威力がでかすぎるのだ。
下巻もおしまいになったヤンキーヤマトと本家ヤマトの戦いで、次の描写があるが、まさにその通り。
勝負は大概の場合一撃で決まる。どれだけ対弾防御を施そうと、目指すところは「取りあえず沈まない」という一点に集約される。何しろ破壊力が半端ではないのだ。一発でも殴られれば、あちこちに弊害が生じて当然だ。
『世界戦艦大和列伝 下』p228
となると、ガンダムファイトと同じように1対1で世界各国のヤマト同士をヤマトファイトさせたのは戦闘の演出という点ではまずかったのではないかと考えられる。
バトル物の盛り上げの基本は不利な状態からの逆転である。
1対1でそれがかなわぬのなら、少々力業を使ってでも、世界中のヤマトを太平洋にもっていって、それこそ1943年ぐらいの時点で、ハワイ沖か沖縄近海で殴り合いをさせた方が良かったのではないか。
まあさすがにゲルマンヤマトを太平洋に運ぶのは難しいが、イタリアやフランスは降伏後に連合国軍に編入され、イギリスやアメリカと一緒に戦うことは可能なはず。
もちろんこの場合、日本の大和はただ1隻で世界中のヤマトと戦うことになるし、あまり勝ち目はない。
しかしその圧倒的不利な戦場にこそ、話を盛り上げる原動力があるのではないかと考えるしだいである。
| 06月16日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 アレクサンドロス 始皇帝ほか』
表紙は、アルトドルファーの描く『アレクサンドロス大王の戦い』の絵(部分)である。
リンク先の絵を見てもらえば分かるが、実に細密で壮大な戦いが描かれている。まあ、武装がどう見ても紀元前4世紀には見えぬとかはあるが、そんなもん現代のTVや映画だって同じである。
くわえて、逃げるダリウス帝の戦車に、きっちり「DARIVS」と名前が書いてあるのが愉快だ。
この当時の絵画の多くは王侯貴族が依頼して描かれるため、こうした見る人間の理解を手伝う記載や、依頼主を喜ばせる描写も数多く使われている。
こうした過去の歴史絵巻であれば、古代の英雄の顔を、依頼主の顔に似せるとか。
さて、本文の方ではアレクサンドロス大王を父のフィリッポス2世と、そしてハンニバルをその父ハミルカルと組み合わせて、その境遇などを対比して書いている。(秀村欣二)
どちらも古代地中海世界に名だたる軍事の天才であり、その一生は武勲に輝いている。しかし、アレクサンドロス大王が短い一生の後でも彼の業績がヘレニズム世界に長く残ったのと比べると、ハンニバルの業績は興隆するローマによって吹き消されて影響はほとんどなかった。
歴史の女神が微笑んだ者と、あえてそれに逆らった者の違いだろうか。
さて地中海からはるか東に行くと、そこにはマウリヤ朝などの大帝国が存在する。
その名前が愉快なので大学入試などで一度覚えればまず忘れることのないチャンドラグプタ王の建てた王朝である
現代の日本において織田信長が英雄であるように、現代のインドでもやはりチャンドラグプタ王やその子孫であるアショーカ王は英雄であるようだ。
実は本書にはインドの漫画の写真が紹介されているのだが、タイトルが「CHANAKYA」(チャーナキヤ:チャンドラグプタ王の謀臣)とか「ASHOKA」で、カラーなアメコミ調の漫画には、戦車にのって進軍する青年王チャンドラグプタと、彼を見送るチャーナキヤがいたりする。
“THE TIME IS RIPE NOW, CHANDRAGPTA.
YOU SHULD ATTACK NANDA'S KINGDOM.”
(訳:機は熟しましたぞチャンドラグプタ王。
さあ、ナンダ王国へ攻め込むのです。)
おお、なんか完全にアメコミ調というか、うわ、そうかっ、インドだから英語もアリなのかっ!
やあ、なんか面白そうだなぁ。
さらに東に行くと、ほぼ同じ頃には中国で戦国時代が終わり、秦の始皇帝による統一がなされている。ただ、急激な改革には反動がつきもので、秦はすぐに滅び、項羽と劉邦の争いをへて漢帝国へと流れるのである。
ちょうど2000年ちょいの昔。
世界のあちこちで、巨大帝国が誕生しつつあったのである。
| 06月17日 |
■本日の読書:『絶対可憐チルドレン 5』椎名高志
この巻の一押しは、コメリカ合衆国のグリシャム大佐。
彼の持ち味はテレパシーによる心理戦という、一歩間違えるとけっこうやばいネタである。それを、『かわいそうな象』の朗読とか『大きな古時計』の熱唱(テレパシーでこぶしをきかせる)でやっちゃうあたりは、実に愉快。
後は巻末のおまけについていた、企画段階での『絶対可憐チルドレン』のボツ案がよろしい。
こちらでは、皆本が元特務エスパーで任務中の事故で能力を失って……というもの。
設定が微妙に兵部と混ざってるあたり、兵部が本シリーズにおける皆本と対を成すキャラだなあと再認識。
ただ、こちらだと椎名さんも書いているように『皆本の復活がテーマになるわけで』、皆本クンは超能力をもたない普通の人間になっちゃったのだな。
ただ……私としてはこのラインを全面的に支持するものの……
……
……たぶん、皆本が高校生で力を失ったエスパーで、生意気なツインテールのクラスメイトか下級生の女の子がヒロインとゆー方が
雑誌的にも合ってたんじゃないかとは思っちゃうよなぁ……
いやもちろん、今の『絶対可憐チルドレン』の設定やストーリーコンセプトは蝶ブラボーだぞっ?!
でも……ねぇ……?
正直、打ち切りだか尻切れトンボだかの恐怖は今もついてまわっておるのである。
| 06月18日 |
■本日の読書:『興国の楯 通商護衛機動艦隊 南海死闘編』林譲治
護衛および補給業務の外部委託業者である『通商さん』が活躍する『興国の楯』シリーズの2巻。タイトルからはわかりにくいなぁ。
今回のキモは、魚雷艇駆逐艇である。
魚雷艇というのは小型で高速であるが、運用まわりを考えると使い方は難しい。航続距離や、乗員の疲労などがあるため、基地かあるいは母船のバックアップがあってこその兵器なのである。
史実においては地中海のような狭い海域か、ニューギニアやソロモン海などの多島海域で魚雷艇が活躍したのも、そうした背景がある。
史実における日本海軍は、意外なことにこの魚雷艇を活用できていない。
一般に日本海軍といえば高速・重武装を好むという感じなのだが、魚雷艇については建造も利用もさほどでない。イタリア海軍から購入したMASを元に第一号魚雷艇など生産してはいるが、数は少ない。
このへん、史実ではエンジンまわりの不具合があったと言われているがさて、『通商さん』ではどないな具合にされておるのだろうか。
●エンジンの熱問題
史実での日本の魚雷艇は、一般に航空機用エンジンを改造して搭載している。
日本はそのほとんどが空冷であり、空冷エンジンを冷やすには当たり前だが空気の取り込みが必要である。ところが、空気を入れるように設計すると抵抗が増えるし、高速にすると今度は空気が入らない。
そこで『通商さん』では、DB601系統(ドイツ)の三式戦飛燕などで使った水冷エンジンを陸軍からちょろまかしている。
●出力軸問題
プロペラをぶんぶん回すので、航空機用の発動機は高速回転するように設計されている。こいつを伸ばしたり、減速ギアをかませたりと、史実の魚雷艇の設計ではえらく苦労をしているのだ。
『通商さん』はあっさり、減速ギアなどの複雑な構造を無視して、そのまま使用している。
本当にコレでうまくいくのか、大丈夫なのかとかいろいろ心配なところはあるのだが、林さんが書くからにはたぶんうまくいくのだろう。
三割なら、それはそれでよしっ!
さらに、こうして作った魚雷艇駆逐艇であるが、『通商さん』はこれを連合軍の魚雷艇を駆逐するだけではなく、戦闘がないときは漁船として利用している。というか、本来の目的はそっちである。
戦場となる海で漁業たあ、かなりムチャであるが、史実の日本軍でも自給自足のためのこうした屯田兵みたいな真似はよくやっていたのだ。こちらはその点であまり無理のない歴史改変であろうか。
さて1942年から43年というのは、いわば消耗戦という形での太平洋戦争の天王山であった。ミッドウェイの戦いは確かに派手ではあったが、本当の意味で日本が敗北を喫したのは南太平洋での消耗によってであった。
消耗戦を耐えきるには、正面戦力だけではなく後方支援、なかんずく補給が重要である。
いわば『通商さん』が一番活躍できる場所と時期がこの時期の南太平洋であり、そのへんの見極めはさすが林さんである。
というわけで、南太平洋の戦いは次の『興国の楯 通商護衛機動艦隊 ソロモン機動作戦』へと続くのである。(相変わらずタイトルからはシリーズの前後がわかりにくいなぁ)
| 06月19日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 イエス、ハドリアヌス、光武帝ほか』
おおっ、「こうぶてい」で「光武帝」が一発変換。
ATOKは意外と中国の人名に詳しい、っつうかもしかして歴代天皇は全部一発変換できやせんかと思ってみたり。誰か試してみた人はいるかな。
さて、表紙ではイエスとか言っておきながらキリストネタでは「ペテロとパウロ」だったり。まあ、『ダ・ヴィンチ・コード』が映画化で有名にはなっているが、そもそもキリストに関してはロクな史料が残ってやしないのである。同時代の史料では、ローマ人が残したものぐらいで。
宗教がらみで信者がナニ言おうが……ねぇ?
後漢の光武帝といえば、王莽(さすがにこっちは一発変換できんかったな)とセットである。
反逆者であり簒奪者であり、最後には敗北した王莽と、それを打倒して漢帝国の復興をなしとげた光武帝ではまあ、当たり前ながら評価が極端に違う。
しかし、光武帝の施策の多くは、儒者である王莽と親しいのもまた事実。違いは、光武帝はうまくやったが、王莽は失敗した。ただこれだけであるが、専制君主であればこの違いは天と地ほどに大きい。専制君主の失敗は皆が迷惑をこうむるからである。
そしてはるか西のローマ帝国。こちらは五賢帝の時代であるが、その結果という点ではトラヤヌス帝とハドリアヌス帝のふたりはみごとである。しかも、軍人皇帝らしく攻めて攻めて攻めまくったトラヤヌス帝と違い、その後を継いだハドリアヌス帝は戦争を避けた。もはや帝国がこれ以上の拡張に耐えられぬと知ってのことであるが、有能な軍人であってもなかなかこうした戦略的判断は難しい。戦えば勝つというトラヤヌス帝について帝国中を戦い続けた軍人ならではの判断であろうが、この一点をもってしても、ハドリアヌス帝の非凡さがうかがえる。
孫子の兵法では「戦わずして勝つ」を最上とするが、ハドリアヌス帝も孫子の言葉に賛意を示すだろう。
そして南アジアのインド。第二クシャーナ朝のカニシカ王の時代。
この西アジアだか中央アジアだかの遊牧系王朝の流れを汲む王も、戦には強かった。おおむね古代帝国の王というのは戦争に強いものである。まあ弱かったら歴史に名前が残らぬわな。
なお、カニシカ王は仏教の守護者として知られる。で、ある時、カニシカ王は西のパルティアと戦って、9億人の民を殺したそうな。
さすがになんぼなんでも殺しすぎ(あるいはホラを吹きすぎ)ではないかと家臣が諫言すると、カニシカ王はしれっとして、「でも仏教徒は2人と半分しか殺してないもーん」(半分というのは、1人どうも信仰があやしげなのがいた)などと答えたそうである。
まあ、あれだ。
信仰心に厚い人というのはおおむねそんなものということで。
| 06月20日 |
■本日の読書:『MC☆アクシズ VOL1』
名付けてハイパー美少女系ミリタリーマガジン。
アレでソレな話がてんこもりである。
ワタシも実は『放課後ワールド・ウォー』という連載記事をひとつ書いております。
イラストはとんぷうさん。むっちり系。
内容についてはまた週末にでも。
| 06月21日 |
■本日のBGM:"Baba Yetu"
我が友人のメルトダウン君が遊んでいる『シビライゼーション4』オープニングテーマ曲なのだが、これが、すごくイイ。
コチラにある > http://www.civfanatics.net/downloads/civ4/music/BabaYetu.mp3
BGMとしてエンドレスで流しているほどである。
歌詞はさっぱり意味不明なのだが……と思ったら、なんでも『主の祈り』の黒人霊歌をスワヒリ語に翻訳して歌っておるらしい。アメリカのファンサイトで、ヒアリングでスワヒリ語に変換して単語を逐次変換してみたそうな。
たいしたものだなー。
"Baba Yetu"は“我らの父よ”という意味だそうな。
私自身は信仰心に乏しい人間であるし、キリスト教に対しては歴史上では負の側面が多かったことも認識してはいるが、それでも人の心のありようとして信仰を抱くのは当たり前であろうと思うし、何よりこういういい音楽のひとつでもあれば、自分に無関係なたいていの事は許してしまうものだ。
芸術ってすごいなぁ。
ばーばーいぇついえっつ、みぇんびー……
| 06月22日 |
■本日のゲーム:『ガジェットトライアル体験版』
工画堂スタジオのくまさんチームによる美少女兵器による大戦略ゲーム。
体験版が出たのでさっそくダウンロード、ダウンロード。
最近のPCゲームは、重いのが多いので動作確認は必要不可欠である。我が友人のめるちゃんことメルトダウン君も、海外ゲームの雄、『シビライゼーション4』ではえらく苦労しているようだ。
……わーっ、マップちっちぇーっ!
たいへんプレイアビリティは悪いが、キャラの声としゃべくりはなかなか面白いので、そのうち遊んでみようと決意。
いや、ゲーム部分はともかくとして、第一話冒頭で主人公のミハラ少佐が女の子兵器を集めての教練で、
「今日は人を殺す七つの方法について教える」
などと分かる人間にしか分からないピンポイントなギャグをかましたので購入を決めたのである。
ちなみに、上のセリフはジョー・ホールドマンの『終わりなき戦い』で掴みに使われており、ネタでもなんでもなくベトナム戦争に送り込まれた青年時代のホールドマンが軍の教練で教えられたやつをもってきたそうである。
なお、七つの方法そのものについては針金使ったりスコップ使ったりで、さほど面白くはない。やはり七という数字の魔力や、なんというか、うらびれた場末な雰囲気がこの言葉を有名にしたのだと思う。
私は『終わりなき戦い』でしか知らないが、これが初出かしらん?
| 06月23日 |
■本日の読書:『灼眼のシャナS』高橋弥七郎
今回は短編集。
アニメは序盤あんなに良かったのに、なんでわざわざ駆け足飛びまくりの超展開にするかなぁ……1巻を丁寧に24話かけてやるだけですごい良作になったはずなのだが。
『マイルストーン』
20世紀初頭のニューヨークが舞台。
ちっともニューヨークじゃねえし、肝心の話も今ひとつである。
何がよろしくないといって、シャナシリーズにおけるバトルの悪い面が出ている。
フレイムヘイズのバトルは、戦闘力そのものは『遊戯王』のごとく「実はこういう奇策/特殊効果が」とかやっちゃうのであまり関係ない。
だから盛り上げるにはいわゆる哲学戦闘よろしく煮えたセリフとか演出が必要なのだ。
なのに今回は過去エピソードということで、大物ゲストであるマージョリーもシュドナイもその点で小揺るぎひとつしない。
揺るがないのが分かっていては、盛り上がりようもないではないか。
『セレモニー』
こちらは外伝の王道(みょうな表現だな)のラブコメバトル。
吉田ちゃんの弟クンを主軸にイイ話っぽくしようとしてるが、どう考えても一歩間違えればヒドイ展開になってたはず。
こんなのが日常では、メガネマンの胃に穴があくぞ。
『キープセイク』
中世ドイツでの激戦ちょい前エピソード。
美女も美少女も美少年も出やしないが、3作の中で一番萌えるし、ラブな話。
痩せ牛宰相は相変わらず秀逸なキャラだし、不器用なチェルノボーグもほほえましい。
なんかこう、前2作での不完全燃焼が嘘のようである。
シリーズの中で作者の意図とは無関係にキャラが確立されてしまったレギュラー陣よりも、こうした脇のキャラの方が高橋さんものびのびと語ることができるのではないかと思ってみたり。
| 06月24日 |
| 06月25日 |
■本日の読書:『月刊ボディビルディング』
私が週末に通っているフィットネスプラザは、広島総合体育館の中にある。ここはアリーナの他にも武道場や弓道場もあり、広島アジア大会のメイン会場にもなった施設である。
県内のスポーツ選手のための良いトレーニング施設が必要であるという、広島県のスポーツ振興策にのっとって、いわゆるちょいと硬派な感じの施設であった。
広島市民球場の裏手という地理的要員もあり、清原などのプロ野球選手の顔を見ることもけっこうあった。
が、この4月より運営会社も変わり、合わせて方針もあれこれ変わって、スタジオレッスンと称するエアロビやらダンスやらの教室が開かれるようになったり、入れ替わりにフリーウェイトのスペースはえらく狭くなっている。
まあそういうわけなので、国体なんかのスポーツ選手には今ひとつ不評であったりするようだが、私のようにダイエットと健康維持をかねた人間には居心地は決して悪くはない。
がっきょんがっきょん。
こういうトレーニングマシンもリースが更新されたのか、3月から新しいやつになっている。これまたスポーツ選手向けのハードなマシンから、リハビリにも使える動きもウェイトも柔らかいマシンだ。
だが、軟派になれば置かれている雑誌もたぶん変わってくるんじゃあるまいか。
そういうわけで、これまで置かれていた雑誌の中でこれは消えるかも知れないとちと心配な、『月刊ボディビルディング』をトレーニングしながらぱらぱらとめくってみる。
やあ、なんというか。
筋肉、筋肉。
ひたすら筋肉。
特集記事は『アーノルドクラシック』という1万人をこえるボディビルダーが集まったという筋肉世界大会である。
カラーページには優勝者をはじめとして世界トップレベルの筋肉が、むっちょむきむきと並んでおる。
いずれも、私の目には格闘漫画の筋肉がこの先リアルに見えるくらい、頭身とかバランスが異様である。
……やあ、人間って現実にココまで自分の肉体を改造できるんだなぁ。
実にこう、ディープな世界である。
なお、連載記事やコラムもぺらぺらとめくってみたが、背中に関する記事が2本あった。
どうも、ボディビルダーにとって背中の筋肉を育てるのは難しいらしい。腕やら胸やらと比べて、今ひとつ「効いてる」感じに乏しいらしい。
確かに、自分でやってても確かに背筋周りは難しい。
私がフィットネスプラザに通うようになった理由のひとつが慢性的な肩こりで、サウナやら針灸やらマッサージやらいろいろやったあげく、やはり筋肉を動かして鍛えるのが一番という結論に達したからだ。
だから、肩から背中にかけての筋肉についてはそれなりに興味もあるのだが、もちろんボディビルダーの方々にとっての筋肉というのは生き様であるからして、内容も半端ではない。
具体的に言うと、さっぱりわからんかった。
そういうわけで、世の中には無数の趣味があり、無数の人生がある。
自分の人生や趣味はその中の小さな小さなひとつでしかない。我らは皆、胃の中の蛙である。どれが優れているとか、意味があるとかないとか、そんな事はまったく些細な事なのだ。
自分の人生や趣味を大事に思うのであれば、意味不明であろうが理解不能であろうが、隣人の人生や趣味もまた、大事にするべきなのだ。
それでこそ、趣味人としての筋が立つというものであろう。
| 06月26日 |
■本日の読書:『エマ ヴィクトリアンガイド』森薫&村上リコ
『メイドに恋をしては いけない時代がありました』
ある意味で正当派すぎるほどに正当なメイド漫画であるエマ。
これの背景となり、シャーロックホームズもいた頃の19世紀末ロンドンについてのガイドブック。
主にメイドの仕事とメイドを雇う上流階級の暮らしの二本立てである。
たいへん丁寧でツボを押さえ、しかも分かりやすい作りとなっており、エマやメイド好きだけでなく、この時代について知りたい人への格好の入門書となっている。
まさに森薫さんと村上リコさんの、この時代とそこで暮らす人々への愛が感じられ、読んでいてとても気持ちが良い。
ところで、ふと考えさせられたのが「歴史の章」を読んでだった。
p124〜125に、20世紀におけるふたつの戦争がイギリスの階級社会に与えた影響が書いてある。
このふたつの戦争のうち、特に最初の第一次世界大戦は、イギリス上流階級の人材プールに致命的打撃を与えたことで知られている。
ヨーロッパの軍隊というのは歴史が古い分、母体となる社会階級が軍隊の上下にも大きく影響する。おおむね将校は貴族などの上流階級で、兵士は労働者階級出身だと思えば良い。
第一次世界大戦の総力戦において、大勢の若者が根こそぎ動員のような形で戦場に送られたのだ。
『エマ』のジョーンズ家で言えば、末っ子のコリンが危ない。ちょうど20代前後のコリンはほぼ間違いなくジェントリとしての義務から将校として従軍し、ヨーロッパへ送り込まれたであろう。(運が悪いとガリポリ上陸作戦か)
言うまでもなく、第一次世界大戦は塹壕戦である。毒ガスと機関銃と大砲がお出迎えする、命の危険にことかかない戦場がコリンを待ちかまえている。
どちらかというと苛烈な性格の兄ふたりと比べて、どうもこうコリンは……運がなさそうというか、幸が薄そうというか……
第一次世界大戦当時、イギリスには2000万人の成人男子がおり、このうちの500万人が戦争に動員され、死者はおよそ70万人にも登った。
絶対数において少ないイギリス上流階級の子弟は、この戦争で人材プールに致命的な打撃を被った。彼らが19世紀にもっていたような力を維持することはもはや不可能になってしまうのだ。
しかもこの後、二度目の世界大戦が控えていたりなんかするのである。
エマが第二次世界大戦が終わった後まで長生きするとしたら、
彼女がふりまわされた階級社会の変遷と、人々の心や生活の変わりように
はたしてどのような思いを抱くだろうか。
| 06月27日 |
■本日のゲーム:『ガジェットトライアル』戦術教則
『ガジェットトライアル』は工画堂スタジオくまさんチームによる美少女兵器による大戦略ゲームである。
この週末にさっそく序盤戦をこなしてみた。
難易度はそう高くないが、行動順番がわかりにくく、かつ操作性がよろしくない。
しかも美少女兵器とはいえ、しょせんは兵器。
スーパーロボット大戦のように必殺技があるわけでもないので、戦闘そのものはきわめて地味である。
漫然と行動順がきたユニットで敵を攻撃しても勝てないことはないだろうが、時間がかかるし、楽しくもないだろう。
そこで、「なんとなく興味はある」という人向けに簡単な戦術教則について紹介しようと思う。
以下を読む前に 公式サイト で概要をつかみ、後はできれば体験版をダウンロードして1面を遊んでみて欲しい。
●目標
敵のHQ(司令部)を占領するか、敵軍を全滅させれば勝利。
敵HQの占領には歩兵(アイゼン)を敵の中枢に運び、さらに群がる敵から歩兵(アイゼン)を数ターン守ってやらねばならない。
それぐらいならいっそ周囲の敵をまるごと撃破した方がよほど簡単であるから、基本は敵を全滅させるつもりでかかればよろしい。
●基本戦略
このゲームは消耗戦である。
削り削られであるから、危機におちいった味方ユニットを後方に下げるよりは、囮として使い捨てるぐらいのつもりで戦うこと。
全体としてこちらの損害よりも敵の損害を増やすように戦っていけば良い。
そのためには戦力の集中利用と、兵器の特性についておさえておくことが必要である。
●兵器の特性
『ガジェットトライアル』では自軍兵器は5人の少女からなる。
▼アイゼン(歩兵)
歩兵ユニットであるアイゼンは戦闘力では最弱である。
しかし歩兵であるアイゼンには地図上の都市や工場を占領する能力があり、それゆえこのゲームはアイゼンをいかに前線に送り届けるかが勝敗を決めると言っていい。
むろん攻撃をくらうと情けないほどにぼろぼろ削れていく上、移動力も低いので他の味方ユニットとの連携が必要不可欠である。
▼ネイ(車両)
ネイは車両系ユニットである。
戦車、偵察車、兵員輸送車の3タイプがある。
戦車は戦闘の要である。集中攻撃をくらわないかぎり、まず破壊されないので安心感もある。
偵察車は視界を広げ、敵を見つけ出すことができる。砲兵のためにも各前線に1両は置いておきたい。
兵員輸送車は歩兵であるアイゼンを運ぶことができる。アイゼンの低い機動力をサポートできる。しかし機動力を考えるとソウカの輸送ヘリの方がよほど役に立つので今ひとつ使い勝手はよろしくない。
▼ユーリ(大砲)
ユーリは砲兵ユニットだ。
地上攻撃専門の自走砲とロケット砲、対空攻撃専門の対空砲がある。
射程が長く、攻撃力も大きい。
実に頼もしいはずなのだが、マップがテクニカルなせいで自在に運用というのはなかなか難しい。
▼ソウカ(航空)
ソウカは航空ユニットである。
戦闘機と爆撃機、輸送ヘリがある。
輸送ヘリは歩兵であるアイゼンのみを運べる。
本ゲームにおける、最重要ユニットと言っていい。
現代戦であるからして、何はなくともまず制空権。
敵の航空ユニットを壊滅させれば勝利は確実である。
▼ヒソカ(水上)
ヒソカは水上ユニットだ。
戦艦と潜水艦、輸送艦がある。
たいていのマップでなぜか海が広がり、輸送艦がないと移動が難しいので制海権の取り合いが発生するが、そんなめんどくさいことをするぐらいなら、制空権をとって輸送ヘリでアイゼンだけ運び、アイゼンが制圧した工場でネイ(戦車)やユーリ(大砲)を生産した方が簡単である。
●作戦
消耗戦では、後方支援能力が勝敗の鍵を握る。
つまり敵と戦っている前線に戦力を送り続ける事がポイントになる。
そこでまずは地図である。
例としてあげるマップは第7章の『激突! ホワイト対ブラック』だ。
7章なのは週末にちょうどそこまで遊んだのと、おおむね全ユニットが使えるようになるのがこのへんだからである。
下にある黄色が自軍領域。
右上にある赤色が敵軍領域である。
白色は中立で、歩兵(アイゼン)によって占領すれば自軍のリソースとして使用可能だ。
工場は地上兵器(歩兵、戦車、大砲)を生産できる。
港は水上兵器(戦闘艦、輸送艦)を生産できる。
空港は航空兵器(戦闘機、爆撃機、輸送ヘリ)を生産できる。
☆マークは都市で、これは生産はできないが生産に必要なお金を供給してくれる。
このマップは基本的に海で、青色の部分は水上兵器か航空兵器のみ移動可能である。
輸送船による上陸が可能なのは矢印で指定した3箇所のみだ。
こちらの初期戦力が敵に優越しているならば、いきなり司令部近くに全軍を送り込んで電撃的に勝利もできるだろうが、ガジェットトライアルではおおむね初期戦力ではプレイヤーへのハンディキャップとして自軍側が不利になっている。
最初にすることは、制空権の確保である。
敵の戦闘機や爆撃機を、こちらの戦闘機と対空砲で迎撃するのだ。
それと右側の島にある港と空港は、敵に取られるとそこから際限なく爆撃機が飛んでくるだろうから面倒を避けるためにも輸送ヘリでアイゼンを送り込んで制圧しておこう。
そうこうしているうちに敵の海軍ユニットも発見できるだろうから、ヒソカ潜水艦バージョンと連携して沈めておこう。
続いて損害覚悟で輸送ヘリにアイゼンを乗せて、対岸にある都市を制圧しておく。
こうすると敵の主力が都市とアイゼンを目指して群がってくるので、その間に左上の陸地に上陸して都市や工場、空港を制圧してまわるのだ。ただ、山越えでも爆撃機は飛んでくるので上陸班にはユーリの対空砲バージョンを運ぶのを忘れないように。
とにかく序盤から中盤は待ちかまえて、殴る。
来た敵を生かして帰してはいけない。来たら必ず殲滅する。そうやって殲滅していけば収支決算でこちらが黒字になる。
飛んでくる航空機にはソウカ戦闘機バージョンとユーリ対空砲バージョンで攻撃。
地上ユニットにはソウカ爆撃機バージョンとユーリ大砲バージョンで攻撃である。
このように、反撃の主力はソウカ(航空機)とユーリ(大砲)だ。
ネイ(戦車)とアイゼン(歩兵)は攻撃に使うというよりは、やってきた敵に殴られるという損害吸収の役割を担ってもらう。適度にアイゼンの看護兵バージョンを混ぜておけば、そう簡単には全滅しないだろう。
そうこうしているうちに、敵は消耗に生産が追いつかなくなる。このように敵の収支決算をマイナスにすれば天秤はこちらに傾いている。
いよいよ攻勢開始である。
広い視界を持つソウカ戦闘機バージョンを偵察で送り出し、続いてソウカ爆撃機バージョンでなぎ払う。一緒にネイ戦車バージョンとユーリ大砲バージョンも前進させよう。
敵を駆逐したら最後はアイゼンを運ぶか歩かせるかして進め、工場や空港、都市を占領していく。これらは生産拠点としても補給拠点としても重要なのでアイゼンを忘れてはいけない。
ただ、操作がめんどくさいようなら、後方でひたすらソウカ爆撃機バージョンを量産しておいて、問答無用で絨毯爆撃していっても勝利はできる。
とにかく、制空権のある側に勝利が微笑むという事実を忘れないようにすれば間違いはないだろう。
| 06月28日 |
■本日の読書:『興国の楯 通商護衛機動艦隊 ソロモン機動作戦』林譲治
海上護衛および補給業務の外部委託業者である『通商さん』が活躍する『興国の楯』シリーズの3巻。
相変わらずタイトルからは順番がわかりにくい。せめてどこかに通し番号をっ!
昨日の日記に書いた『ガジェットトライアル』戦術教則ではないが、大戦略系のゲームというのは、ひたすら前線に戦力を送り続けて使い潰していく点で、1042〜43年の南方戦線によく似ている。
となると生産力に劣る側に勝ち目はないように思えるが、そこはそれ、歴史を見ても常に大国で数が多い側が勝利をおさめているわけではない。
劣勢なりの戦い方というのはあるのだ。
『通商さん』の戦い方はその点で実にいやらしい。今回のキモは、オーストラリア本土のクックタウンへの砲爆撃である。
実態は『通商さん』の商船改造空母による陽動であるが、オーストラリアとそれを支援する米軍を心理的にイヤな気分にさせる良い戦い方だ。
そもそもなんで日本軍がニューギニアのような遠い場所で戦っているかというと、すべてはオーストラリアが敵として存在するからなのだ。
日本が中国で泥沼の戦争しながらアメリカやイギリスにまで戦争をふっかけたそもそもの理由が対日禁輸で手に入らなくなった石油などの資源を手に入れるためである。
インドネシアにある資源を確保するにはフィリピン(アメリカがいる)やマレー半島(イギリスがいる)が邪魔。
そこでフィリピンやマレー半島を占領したが、海路の安全のためには今度はニューギニアが邪魔になる。そしてその背後にはオーストラリアがいるという案配だ。
ならまあ、いっそオーストラリアを占領しちまえという考えも海軍を中心になくはなかったが、いくらなんでも国土が広い上に自前の軍隊を保有しているオーストラリアを占領するのは不可能だった。
けれど、占領して無条件降伏に追い込まねば勝てないかというとそんなことはない。
史実における第二次世界大戦の結果がアレだったもので、どうもあの戦争は「どちらかが倒れるまで続く」ように感じることが多いが、戦争というのはどっかで条件をつけて外交交渉で決着させるのがスジなのだ。
それができなくなったのは、あれが正義の戦いになっちゃったせいもある。正義と悪であれば、正義が勝つまで続くのが普通だし、国民の理解も得られやすい。
むしろ、それ以外だと敵=悪とうかつな妥協をしたら政権が倒れる。
多くの架空戦記における最大の歴史改変は、(どっちにとっても)正義の戦争という側面を排除しているところにあるだろう。
| 06月29日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 ユリアヌス、サムドラグプタ、曹操ほか』
紀元3〜4世紀。
西のローマ帝国と、東の漢帝国。
古代世界の横綱が、そろって退場したのがこの時代である。
ローマ帝国は塩野七生さんの言葉を借りれば、『溶解』してばらばらに蛮族の海に溶けていき、そこから中世のビザンチン帝国が誕生する。
漢帝国は機能不全からやはり四分五裂とばらけていったが、三国鼎立を経てそれなりに中華帝国としての形状を保っている。
このへんの違いは、『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド)によると複雑に入り組んだヨーロッパの地勢と中国のまあ、海岸線だけ見ればえらくシンプルというか総延長で言えば日本よりも短い形なんかも関係しているらしい。
そんなどことなく『心理歴史学』っぽい部分も魅力的であるが、歴史とは人の物語(his story)であるという人間中心の史観で言えば、古代帝国末期に登場した男達の違いとも言える。
『背教者』ユリアヌス。
名前だけ書くと、どっかの大作RPGに登場するボスキャラじゃないかという感じのこの男は、『溶解』を続けるローマ帝国をなんとか建て直そうとした悲劇の人物である。
貴人でありながら半ば幽閉に近い形で半生を送ってきた男が歴史の表舞台に立つやいなや輝きはじめるという例は他にもあるが、ユリアヌスもまたその一人である。
コンスタンティヌス大帝の死後、異母兄弟とその一族を殺戮した(らしい)コンスタンティウス2世は、遺児である幼いユリアヌスを監視つきで幽閉した。
世間から切り離されたユリアヌスにできるのは書を嗜むだけであった。
平和であればそれで彼の一生は終わっただろう。
だが、崩れゆくローマ帝国は動乱や反乱には事欠かない。
コンスタンティウス帝は反乱鎮圧の軍を率いる部将を必要とし、白羽の矢が立ったのがユリアヌスだった。
軍を率いるどころか、ろくすっぽ人と会ったこともない文学青年のユリアヌスは、だがしかし天性とも言うべき将としての才能を持っていた。
彼は勝利を続け、やがて皇帝である従兄に叛旗をひるがえす。
多くの書を読み、歴史についての造詣も深いユリアヌスにとって、ローマ帝国の凋落はキリスト教によるものであると考えられた。
ユリアヌスも古代な人間であるからして、そこには「古来からの神の恩寵を失った」という意味もむろんあったろうが「ローマ帝国の中に帝国とは別のルールで動く組織が存在する危険」という意味もあったろう。
「神のものは神に カエサルの物はカエサルに」
とはキリスト自身の言葉であるが、キリスト教会が組織化されていけばカエサルの仕事を教会が侵食していくのは当然である。
最近の例で言えば、外資系ファンドが株を買い占めて自分とこの役員を送り込んだようなもので、良い悪いは別としてそれで組織が混乱しないわけがないのである。
ユリアヌスの伯父であるコンスタンティヌス大帝は組織の一本化をキリスト教会を皇帝権力に組み込むことで実現しようとしたが、ユリアヌスはこれを失敗と断じ、キリスト教会を皇帝権力から切り離そうとした。
しかし、これはうまく機能しなかった。
なぜならキリスト教会が伸張したのは、原因ではなくて結果だったからだ。
ローマ帝国が弱体化し、機能不全を起こしていくなかで、キリスト教会は帝国の仕事を肩代わりするような形で勢威を拡大した。
その中で、ローマ帝国の『溶解』を後押しするようなところがキリスト教会になかったわけではないだろう。
しかし、帝国が弱くならなければキリスト教会がそのように動くことはなかったのだ。
そしてユリアヌスが生きた4世紀には、すでに帝国はもはやどうにもならないところまで弱っていたのだ。これに先立つ帝国の東西分割や、さらに正帝副帝あわせて4人でひたすら蛮族や反乱と戦い続けてようやっと平和を維持できたのだ事からもそれが分かる。
滅び行くローマ帝国の持つ巨大な歴史の慣性を、ユリアヌスひとりで支えることなどできようはずもない。
すべてに絶望したユリアヌスはローマ皇帝としての最後の仕事とでも言うふうに、ペルシア戦役に向かい、そこで死んだ。まだ30代になったばかりであった。
この人生すべてが陰鬱たるトーンで塗りつぶされたユリアヌスに比べると、曹操をはじめとする『三国志』の男達は実に明るい。
乱世の姦雄たる曹操はむろん、漢帝国の再興を目指す劉備にしたところで、悲壮感はかけらもない。どいつもこいつも野心満々で生き生きとしている。
そして、彼らと同じ時。
さらに東にある島国がようよう歴史に名前を残すことになる。
邪馬台国と、女王卑弥呼の時代である。
| 06月30日 |
■本日の読書:『帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!? 2』石田あきら
平和な萌え軍学校四コマ漫画だと思っていたのだが、2巻になるとストーリー漫画の割合が増えてきて、しかもそっちは微妙にシリアス混じり。
まあ、シリアスといっても、基本はほのぼのほえほえなので、安心して読むことができる。
クリスという脳天気に明るい女の子を主役にもってきたのは、そのあたり正解だったと思える。
この巻でミリタリ的に愉快だったのは、学生の演習で魔法科の女の子ニキが、水汲みの後で水の浄化魔法を使っていた点。(p108)
野外での活動に、きれいな水の確保は欠かせない。食い物は後方から運べるが、水は使用量が多くて重いから原則として現地調達である。
よくない水を飲めば、たちまち下痢や腹痛、はなはだしくは病気にもなる。
最近の国産RPGでは水の浄化魔法というのはお目にかかることも少なくなったが、むかしはたいてい低レベルでも浄化の魔法が使えた。系統としては僧侶や神官などの魔法である。
ファイアーボールのような高レベル魔法がばしばし使えるような魔法使いが軍隊にそんなに多いはずもなく。
だいたい、戦争っつうてもそのほとんどは移動やら包囲やらで戦闘行為は少ないのだから。
毎朝1レベルの魔法使い新兵が覚えるのは、スリープやマジックミサイルなどではなく、浄化の魔法であったに違いないと思ったりしたものなのである。
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