| 01月01日 |
■本日の読書:『女王陛下のユリシーズ号』アリステア・マクリーン
新年早々から何を読んでいるのだと思われるかも知れないが、つい手に取って読み始めたのが運の尽き。読み終わるまで止まらないのがユリシーズ号の苦難の航海だ。
苦難の旅と言ったが、徹頭徹尾その通りで、この物語に救いはない。荒れた北の海の下には幾隻ものUボートが潜み、空からはノルウェー沿岸より飛来したルフトヴァッフェが襲いかかり、そして、水平線の向こうからはビスマルク級戦艦ティルピッツの影が襲いかかる。
そしてその全てがなくとも、いつでも氷雪と、波浪と、寒風がある。
四六時中敵の気配におびえ、夜は眠ることもできず、暖かい食事すらめったにありつけず、疲労と寒さにいためつけられる日々。
それがユリシーズ号の航海であり、ムルマンスク輸送船団の真実であった。
そしてそれらの苦難のすべてが報われずに終幕を迎える。ユリシーズ号は北の海に沈み、かの船と共に男達は北の海に散る。
だが、だからこそ――
ユリシーズ号の航海は読む人間の胸をうつ。結末が無駄で、結果が無意味であったとしても、それは努力を放棄する理由にはならないのだと。
誰に理解をされずとも、決して救いがなくとも、ただ己の本分を果たす。
限界を超えてなおも戦いを諦めなかった男達の姿がそこにはある。
| 01月02日 |
■本日の読書:『マッカンドルー航宙記 太陽レンズの彼方へ』チャールズ・シェフィールド
今年のSFはじめはこの本である。
私にとってのベストSFを10本出せと言われればとりあえずその中には確実に入ること請け合いが、前作の『マッカンドルー航宙記』である。書評は読書万歳に。→こちら
そのシリーズ続編であるからこれも実に面白いっ!!
……と言いたいところだが、去年の秋に翻訳が出てすぐ読まずに今まで私がとっていた事からも分かるように、実はさほどでもない。
マッカンドルーやジーニーなどのキャラクターはいい感じだし、ストーリーや設定も悪くはない。
しかし悲しいかな、前作のような「底抜けホラ話」ではない。つまり、センス・オブ・ワンダーが少ないのだ。
特に今回は、ストーリーと科学ネタ(法螺ネタ)が別々である事が多く、また、科学ネタそのものも最後まで突っ込まずに途中で打ち切りになっている事もあり、隔靴掻痒な感じは否めない。
単品としては決して悪くないのだが、傑作であったシリーズ前作と比較してしまうとちょっとツライ――そういう感じである。
| 01月03日 |
■本日の読書:『スター・キング』エドモンド・ハミルトン
SFに超兵器数は数多あれど、本書に出てくる『ディスラプター』ほどにインパクトがでかいシロモノはそうはない。
威力がすごいとか、そういうわけではない。確かに時空を破壊する超兵器ではあるが、それだけなら他の作品にだってある。『レンズマン』などでは、毎章のように超兵器がぞくぞく登場する。『ペリーローダン』でも同じだ。
だから本書における『ディスラプター』のインパクトは、本書のストーリーのすべてがその兵器の存在にかかっている事から生み出される必然なのである。
とにかく、銀河中の人間が、具体的には本書に登場するキャラクターのほぼ全員が、ディスラプターの名前を知り、それが超兵器であると知って畏怖している。
そして物語は徹頭徹尾、ディスラプターがらみで進む。
主人公が誘拐されたりするが、これはディスラプターの秘密を盗もうとする敵、暗黒星雲連合の陰謀である。なぜなら、銀河帝国と暗黒星雲連合の戦いが迫っており、それをかろうじて食い止めているのは帝国皇室に伝わる秘密兵器ディスラプターの存在だけであるからだ。
誰もがディスラプターを恐れているが、誰もその正体を知らない。
皮肉なのは、主人公だけは『ディスラプター』の存在そのものを知らないということである。彼は物語の20万年前の地球、つまり現代社会(主人公は太平洋戦争に従軍していたから1950年以前)から精神だけが転移した存在だからだ。
ところが、その主人公の肉体は銀河帝国の王子のもので、銀河系の誰よりも『ディスラプター』に詳しいはずの主人公は、その件について誰にも聞く事ができないのだ。
よって、主人公と読者は共に、このなぞめいた『ディスラプター』に引きずり回されることになる。
こうして考えてみると本書の主役は青年ジョン・ゴードンではなく『ディスラプター』だと言える。なぜなら久しぶりに読み返した私もジョン・ゴードンという名前はすっかり忘れていたが――『ディスラプター』を忘れることなど、誰にできようか。
あの、『宇宙の破壊者』という呼び名と共に。
| 01月04日 |
■本日の読書:『スター・キングへの帰還』エドモンド・ハミルトン
なんとなく続いて読む。
ちなみに私が持っているスター・キングの2冊は最近の復刊ではなく20年以上前に買ったものなのだが、表紙絵が真鍋博さんである。創元文庫SFとは切っても切れない絵描きさんで、どちらかとゆーと抽象的な絵なのだがなんとなく味がある。
さて、前作はまぎれもなく傑作であるが、やはり今作は蛇足とゆーか、やはりアレである。主役である『ディスラプター』が前作で退場してしまって今作では脇に退いているせいでインパクトは薄い。
かといって、ゴードン青年に代わりが務まるわけでもなく。
せめてもの救いは、前作の悪役であるショール・カンが今回は味方として、また信用ならぬ友として大活躍してくれている事であろうか。
こういうキャラが薄い話の場合、むしろ主人公以外に味が出るというのはあり、ショール・カンはまさしくそういうキャラである。
敵に追いつめられて「また逃げるつもりか?」と聞かれて、「いまさら逃げてもしかたがない」とうそぶくショール・カンであるが、いよいよとなって自分の腰のベルトの武器を見て
「雄々しく死ぬというこの仕事がせまってくればくるほど、ますますわびしく見えてくるなあ」
情けなさそーに言う彼はなんとも愉快。
| 01月05日 |
■本日の読書:『キャプテン・フューチャー全集6 彗星王の陰謀』エドモンド・ハミルトン
さらになんとなく。
『彗星王の陰謀』は原題も“THE COMET KINGS”で、舞台もハレー彗星と、彗星づくしの作品である。
キャプテン・フューチャー世界における彗星というのは周囲を電荷された粒子の幕で囲まれているので、太陽に近づかなくても尻尾(箒)ができる。
この電荷された彗星というのが今回の大ネタである。
ハレー彗星に住む帚星人が、周囲のコマから電気を直接生命エネルギーとして受け取って電気人間になり、不死となっているというのもそうだし。
その帚星人に触れると感電するというのもそうだ。
帚星人の祭りが、広場に雷を誘導して電気を浴びて活力を得て酩酊するというのもその流れにあるし。
そして、これらすべての陰謀を影であやつっていた異次元からの侵略者が、この宇宙からエネルギーを盗もうと――つまり、この宇宙にある質量やエネルギーを電磁波にして自分達の宇宙に運び込もうという狙いだというのも、すべてこの電荷された彗星というネタから来ている。
ハミルトンに限らず、上手いSFの基本は無制限にネタをぶちこむ事ではない。
むろん、ワイドスクリーン・バロックと呼ばれるネタ満載型も面白いには面白い。だが、読んでいて思わず膝をぽん、と叩くような感嘆を覚えるのはやはり全てがひとつのネタに収束するタイプの物語である。
個人的にはかなりお気に入りの一作。
| 01月06日 |
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 ワットと仲間たち』
機械というと、歯車とゼンマイな――たとえば時計のような。
蒸気機関が誕生する前にも、そういう機械はあった。
日本では明治まで続いた不定時制と違い、ヨーロッパではかなり前から時計による定時制が使われていたのだが、これはおそらく緯度による夏と冬の昼間の時間差と無関係ではあるまい。
そうした、時計が指し示す時間の流れに沿った効率化は、初期の力不足な蒸気機関よりはよほど当時の生産力や技術力、科学などの向上に寄与したとも考えられている。
だがしかし、時計という“指し示す機械”はそういう意味では2000年前からあった。
しかし蒸気機関は、熱機関は、たとえ非力であっても人間がはじめて己の意志と都合で作り上げた“生み出す機械”であった。それまでの人間社会におけるエネルギーはあらかたが人力と蓄力で、そして幾つかのお天道さん任せの風力や水力であった。
蒸気機関は自然を人間が克服した、自然の流れを人間が支配した偉大なる一里塚なのである。あるいはそれは幻想であるかも知れないが、人の心にそういう傲慢ではあると同時に強い自信を与えたのも間違いはない。
その証拠に、古い蒸気機関は原題の人間の心にもなにか訴えかけるものがある。
幕末の日本人であれば、誰もが納得するだろう。大砲や後装銃は確かにすごいし、西欧文明が持つ資本力も政治力も立派なものだ。
しかし幕末の日本人に、純粋に畏れと憧れをもたらしたのは、蒸気船であり蒸気機関車の存在だった。人々は、もくもくと煙を上げて走る船や機関車に「人間が、何かそれまでと違う存在になった」という気持ちを植え付けるのだ。
だからやはり、産業革命の主役は蒸気機関であると私は思うのだ。
| 01月07日 |
■本日の読書:『歴史群像75号』
●『マリアナ航空決戦』田村尚也
1944年、日本はサイパンなどのマリアナ諸島に侵攻してきたアメリカ軍に対して虎の子の空母部隊をはじめとする主力艦隊でもって決戦をいどみ、そして敗北した。
この戦いは戦術や技術力のレベルで有名である。
日本空母部隊は敵の航空機が届かない遠距離から攻撃隊を発進させて一方的に攻撃する「アウトレンジ攻撃」を仕掛けた。
しかし、レーダーと通信機で柔軟にそして大規模に展開されたアメリカ軍の堅陣によって「マリアナの七面鳥撃ち」とまで言われるほどの一方的な大損害を被り、さらにVT信管“マジックヒューズ”によってばたばたと撃ち落とされ、航空部隊は壊滅した。
しかし――と、この記事では視点を別のところに向けている。
日本軍の本来の決戦の予定では主力は空母航空隊ではなく、決して沈むことがない島の上にいる基地航空隊であったはずなのだ。
なぜ、日本軍はこの乾坤一擲ともいえる最後の決戦で(この後のレイテは決戦ではなく単純に嫌がらせである――日本軍にとっても)基地航空隊ではなく空母航空隊で戦わざるをえなかったのか。
結論を簡単に言うと戦力が足りなかったのである。
少ない戦力しか持たない内線側が優勢な敵に周囲を取り囲まれて戦う場合、手持ちの戦力をあちこちに集中して各個撃破するしかない。この内線側の基本戦術は、たとえば東部戦線におけるドイツ軍の機動防御でしばしば見られる。
しかし、日本は太平洋戦争で守勢に回った時にそれができなかった。
捨てていい戦場を捨てることができず、戦力を逐次投入し、あたら戦力を消耗して使いつぶし、決戦を戦うことができなかった。
マリアナ航空決戦での敗北は、戦術や技術力という問題に帰因するのではなく――
戦力を必要な時に必要な場所に集中できなかったという戦略レベルでの敗北が原因なのだと――
単純ではあるが明快な結論で本記事は終わっている。
なお、このマリアナに至る前の“2年間の長い決戦”については、『歴史群像57号』の『ラバウル航空戦』(佐藤俊之)がきわめて良いテキストになると思う。いずれも視点は似通っている。
| 01月08日 |
■本日の読書:『歴史群像75号』
●『文禄大乱』河合秀郎
意外と日本史ファンにも知られていない、なぜかとゆーとあまり日本ではこれに関係した娯楽本やアニメや映画やゲームがないからという朝鮮の役、その前半戦を概略まとめた記事である。
これを読んで思ったのが、私の長いゲーム歴でも朝鮮半島を遊んだことはほぼ皆無だなぁ、という思いである。つまり、記事の地名を見てもいちいち添付の地図と見比べる必要があるのだ。私はそれだけ朝鮮半島の地理に弱い。
ゲーマーは、ゲームのマップで地理を把握する。ゲーマーに世界の白地図を渡して主な地名を書き込ませればそれが分かる。
旧ソ連の大都市、レニングラード、キエフ、モスクワ、スターリングラード、ミンスク、ハリコフなどのおおまかな場所は独ソ戦ゲームをやったほぼ全員がすぐに当てるだろう。島根と鳥取を勘違いするうっかりなゲーマーは大勢いるだろうが、レニングラードとスターリングラードを勘違いする寸足らずは存在しないと断言してもいい。
逆に意外と知らないのがアメリカの地理。日本では南北戦争ゲームはあまりメジャーではないのである。一方で中国は三国志などの関係もありそれなりに知られている。こちらは、ボードゲームではなくコンピュータゲームで学んだ人も多かろう。
そういう関係で言うと、朝鮮はゲーマーにとって地図上の空白である。私も思い出せる限りで20年以上前にエポックの『朝鮮戦争』で一度遊んだ記憶があるだけだ。しかも国連軍側でサドンデス負けした。
そういうわけなので、朝鮮の役の架空戦記あたりを考えてみるのも楽しいかも知れない。歴史群像新書的なノリでは、そうだなァ……
『滅 朝鮮の役1 釣り出された秀吉』
小西行長謀反!
緒戦の大勝によって勝利が確定したと確信した秀吉は自ら漢城へと乗り込む。
そこに待ち受けていたのは朝鮮に内応した小西行長による謀略だった。
秀吉を捕らえられ、混乱する日本軍に明国と手を組んだ韃靼騎馬軍団が襲いかかる!
| 01月09日 |
■本日のアニメ:『魔法少女リリカルなのはA's 第7話〜8話』
相変わらずきちんとした作りのアニメである。
主人公が砲撃戦型魔法少女というなんかイロモノっぽい内容であるにもかかわらず、その物語構成はあくまで基本に忠実で、演出は手堅い。
ちなみに正月にうちに来た姪もなのはちゃんのファンで、楽しく見ている。
面白いものというのは、やはり世代を超えて伝わるものである。いや、伝えているのだが。英才教育。
ところで、7話まで仮面の男はグレアム提督だとばかり思っていたのだが、8話を見て感心してしまった。いや、そうきますか。すっげー、きちんとした伏線の張り方しているのでひょっとしたら罠かも知れぬと思ったが、この作品でそれはないからな。
ちょうどこの7〜8話あたりはミドルフェイズの情報収集。よって、バトルでは活躍が制約されるかわいそうなフェレット、ユーノくんの本領発揮である。こういう、個々の見せ場を全体の流れで作るというのもすごく重要なのだ。
えーと、残りはタイトルから想像するに……9話と10話がミドルフェイズの収束シーンで、11話と12話がクライマックスフェイズ、んで13話がエンディングフェイズか。
| 01月10日 |
■本日のアニメ:『魔法少女リリカルなのはA's 第9話〜10話』
いや、正当派アニメだとは思っていたが、まさかここまでとはっ!
9話の盛り上がりは(ある意味で盛り下がりは)、これ見たら姪とか泣き出すんじゃないかなぁ、と心配になるほど。
クリスマス・イブ。ついに守護騎士と出会ってしまったなのはとフェイト。
管理局に主であるはやての存在を知られてしまえば、もはやすべての願いは断たれる。
守護騎士達は、望まぬままになのはとフェイトを――殺す決意をする。
泣きながらヴィータはなのはを攻撃する。だが、彼女の渾身の一撃を無傷で耐えきってしまうなのは。
燃え上がる炎の中から傷一つない純白のバリアジャケットを着て現れるなのはを見てヴィータは言う――
「悪魔め!」
悲しみと決意をこめたまなざしを向けてなのはは答える。
「悪魔でいいよ――悪魔らしいやりかたで、言うことを聞いてもらうから」
一方のシグナムに対峙したフェイトはソニックフォーム。
防御力を極限まで削り、フェイトが唯一シグナムに勝っている機動力を限界まで上げたバリアジャケット。
「正気か?」
「強いあなたに勝つためです。これしかないと――思ったから」
迷いのない、強い心にシグナムは運命の皮肉を嘆く。
「このような出会いをしていなければ――我らはどれほどの友になれただろうか」
「まだ、間に合います」
「だめだ。主のためならば騎士の誇りすら捨てると決めた。もう、止められぬのだ」
「止めます――私と、バルディッシュが」
いやもう、この部分は本シリーズの白眉と言っていい。すげー、泣けるっ!
しかも戦いの決着はまたもや仮面の男×2の邪魔によって止められ――さらに、仮面の男の手によって、守護騎士達はリンカーコアを奪われ、闇の書を完成させる材料にされてしまう。
そして、なのはとフェイトに変身した仮面の男達ははやての目の前でヴィータ達を消滅させる。はやての絶望が、闇の書を起動させて――10話へっ!
10話は一部マスターシーン――事件を影であやつっていた黒幕である、管理局のグレアム提督を前に、クロノが謎解きをする。
まあ、クロノが指摘したようにグレアム提督のやり方はかなり無理があるのは事実。
それに、ストーリー的にも、ここでいきなりグレアム提督の狙いが「闇の書の発動直後、暴走前に強力な凍結魔法であるじごと永久封印」とか言われてもそういう前フリはないのでちとツライのは事実。ここは姪とかだとわかんねーだろうなー。
だから、この謎解きを、なのはとフェイトというヒロイン2人とはまったく無関係に(それこそマスターシーン的に)やっちゃってるのは、ベストではないがベターであると言えよう。
で、なのはとフェイトはその間もせっせと闇の書と戦うことになるのだが、逆にフェイトが闇の書に吸収されて――11話へっ!
| 01月11日 |
■本日のアニメ:『魔法少女リリカルなのはA's 第11話〜12話』
怒濤のクライマックスフェイズ!
クライマックス前半は、登場キャラをなのはとフェイトとはやての魔法少女3人に絞って、それぞれに見せ場を提供。
単身で闇の書と戦うなのはは、ついにレイジングハート、エクセリオンモードを起動!
「ひとつ覚えの砲撃が、通ると思ってか」
「通す!」
ACS起動、槍のようにレイジングハートを構えて突進するなのは。先端が闇の書のバリアとぶつかって火花を散らす。
「届いて!」(さすがに「ぶち抜けぇっ!」ではなかった。小学3年生の女の子だしね)
がきょん、がきょん! 3連続でカートリッジを排莢してフルパワーになったレイジングハートの先が、バリア内部に潜り込む!
そしてそのまま砲撃!
「ほぼ零距離……バリアを抜いてのエクセリオンバスター直撃……これで……ダメなら……」
ぼろぼろになって荒い息をつくなのは。
「マスター」
なのはに呼びかけるレイジングハート。見上げると爆煙の中から平然とした顔で現れる闇の書。
「……もう少し、がんばらないと、だね」
「イエス」
いや、零距離砲撃まではまあ、やるだろうというレベルだが――その後のセリフはしてやられた。さすがだっ!
闇の書に取り込まれたフェイトは、前シリーズから見ているファンにはよく分かる『幸せな夢』を見続ける。優しい母親や姉に囲まれ、愛されながら送る穏やかな日々。
雨宿りをしながら、フェイトは姉のアリシアに語りかける。
「これは夢……なんだよね」
「ん……」
「母さんは、私にはあんなに優しくなかった」
「優しい人、だったよ……優しいから壊れちゃったんだ。死んだ私を生き返らせるために」
優しいがゆえに、狂った哀れなプレシア。
「ねえ、夢でもいいじゃない。ここでなら、私も生きていられる。フェイトのお姉さんでいてあげられる」
フェイトは首を振る。
「ごめんねアリシア。でも私は行かなくちゃ」
「そう」
その答えが分かっていたように、アリシアはにっこり笑ってフェイトにバルディッシュを差し出す。
「……ありがとう。ごめんね、アリシア」
「いいよ。私はフェイトのお姉さんだもん」
悲しい過去を捨てるのではなく、忘れるのでもなく、それを認めた上で未来を望む。
フェイトもまた、立派な本作のヒロインである。
そして、闇の書とはやても――
「名前をあげる――もう闇の書とか、呪いの魔導書とか、言わせへん。あたしが呼ばせへん」
「夜天の主の名において。汝に新しい名前を送る。強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール……リインフォース」
こうして、三人のヒロインが強い心で闇を追い払う。
リインフォースから切り離されたかつての闇の書防御プログラムがいよいよ暴走を開始して――12話へっ!
クライマックス後半は、全キャラ登場して、それぞれ必殺技をぶちかますという、サービス精神あふれまくりの全編バトル。むろん、気力150でマックスである。
9話で闇の書に喰われた守護騎士が修復され、はやて(ちゃんと変身シーンあります)と一緒に登場する場面は、素直に感動。とゆーか、ヴィータちゃんと一緒に号泣。
だってあなた、もうすぐ防御プログラムの暴走が始まって最終決戦になるという場面。はやてのためによかれと思ってやった事がとんでもない結果になって恐縮する守護騎士達に対するはやてちゃんのセリフがだぞ?
「そやけど細かい事はあとや。今は――」
にっこりと笑って。
「おかえり、みんな」
そりゃ泣く。泣きますとも。
守護騎士はこれまで敵だったのが味方に。
これがスーパーロボット大戦なら能力値が下方修正されて萎えるのだが、リリカルなのはでは、むしろパワーアップ。封印解除のようなもんで、それぞれ初お目見えの必殺技を披露。サービス満点っ!
この最後の戦いはここまでがんばった皆へのご褒美のようなものなので、徹頭徹尾、なのは達ペースで進む。どのぐらい徹底しているかというと、敵(闇の書から切り離された暴走する防御プログラム。むろん人格なし)に1回も攻撃のチャンスがないという。
ここまで割り切ったコンテもなかなか切れるもんじゃない。
そして最後は、
なのはの
「全力全開!! スターライト――」
フェイトの
「雷光一閃!! プラズマザンバー――」
はやての
「響け終焉の笛!! ラグナロク――」
三人の魔法少女による
「「「 ブレイカーっ!!! 」」」
トリプルブレイカー(合体攻撃扱い)でとどめ。
ええもう、今までの鬱憤が全部晴れるというそういう爽快なバトルでございます。
| 01月12日 |
■本日の読書:『小さな国の救世主 なりゆき軍師の巻』鷹見一幸
広島弁を監修したので、サイン入りと合わせて2冊いただく。
内容は、中央アジアにある架空の国、セリカスタンの内戦に日本人の少年が巻き込まれるというもの。
悪役は大統領で、その下に内務大臣、陸軍の将軍、空軍の司令官、海軍の提督がいて互いに足の引っ張り合いをしている……といえば「ああ、アレか」と思い当たる方もおられるだろう。
そう、バナナ共和国を扱ったボードゲーム「フンタ」だ。
このゲーム、バランスについては今ひとつなところもあるが、プレイしていて「役になりきる」度合いはきわめて高い。ついつい、ダメな悪役のロールプレイしながら遊んでしまうのである。
私腹を肥やす事と、他のプレイヤーを蹴落とす事のふたつしかできないというふざけたデザインは、実に秀逸。
終盤ともなるとスイス銀行に集まる大統領や将軍達。それを狙って集まる殺し屋の群れ。たちまち銃弾が飛び交い、ナイフがきらめき、爆弾が破裂する。そして運良く生き残った者が、フロアに飛び散る札束をその場でかき集めて窓口に駆け込むという光景がしばしば見られる。勝ったプレイヤーも負けたプレイヤーもげらげら笑いながらその様子を楽しめるという、たいへん優れたゲームである。
なお、私がサラサのセリフを広島弁に修正した初稿の段階では海軍提督はいなかった。だから本書を読んで提督キシトンのキャラにはうならされた。いや、このキシトンはいい具合に話に絡んでくれそうだ。
一読者としても、続きは楽しみである。
| 01月13日 |
■本日の読書:『密偵ファルコ 砂漠の守護神』リンゼイ・デイヴィス
紀元1世紀のローマ帝国を舞台にした歴史ミステリ。
この頃のローマは帝政初期の、もっとも強力で華やかな時代である。だから、主人公のファルコはローマの町だけではなく、帝国のあちこちにも旅をして読者とそして間違いなく作者を楽しませてくれる。
口ではハードボイルドな事をいいながらも、けっこう根はいいヤツなのだ。
さて、タイトルからも分かるように、今回は砂漠――東方(オリエント)である。
皇帝の命を受けたファルコは今で言うシリア、パレスティナのあたりを旅して回る。
ありがたいことに、このへんの地図は古代ゲームやら中東戦争のウォーゲームで何度か見ているのでおおむね分かる。
この乾燥した土地でファルコは恋人(元老院議員の娘で離婚歴あり)のヘレナと一緒に旅をする。このへんもファルコがハードボイルドになれないところで、彼は恋人にぞっこんまいっているので、1話限りの情事とか、そういうふしだらなマネはしない。いちゃつくのは恋人とだけだ。
このシリーズはファルコの一人称なので行間から想像するしかないのだが、ファルコは密偵でありながら、けっこう周囲の人間から心を許されている。
いつも側にいる(殺人事件の現場でも!)ヘレナをファルコが心から愛し、ファルコもヘレナに愛されているのが丸わかりであるためだ。
人への評価というのは、自分とのコミュニケーションだけでは必ずしも決まらない。その人が他人とどう接し、他人からどう接されているか。そこがポイントになる。
他人をバカにする言動が多い人とは、どうしても本気で付き合う気にはなれない。自分もまた、同じようにバカにされるのではないかと考えてしまうからだ。
逆に、他人を大事にし、そして他人から大事にされている人にはプラスの方向性が向けられる。自分もまた、そのなかに含まれると期待できるからだ。
この巻では、ファルコとヘレナは旅芸人の一座の中にまぎれこんで乾燥した大地を旅している。自分がその旅芸人のひとりだと想像して、彼らの視点でファルコとヘレナをながめてみるといい。
なんとも……彼らを好きにならずにいるのは難しい。
そして、それこそがこのシリーズが長く続いている理由なのだろう。
| 01月14日 |
■本日のアニメ:『魔法少女リリカルなのはA's 第13話』
しんみりと最終話。
前のシリーズでも全13話で最終話はエンディングフェイズであった。ひとつの物語としてみた場合、やはりきっちり「それからどうなった」があるのとないのとでは余韻が違う。
ゲームだってそうだ。唐突に「完」とだけあって、クレジットだけで終わるのはストーリー主体ではちとさみしい。まあ、海外のウォーゲームなんかだとたいていそういうラストなのだが。このサイト的には、『Hearts of iron』や『ローマ:トータル・ウォー』などがそうだ。
RPGでもしばしば、ゲームが時間内に終わらなくてしょんぼりという事がある。それまでがどれだけ盛り上がっても、きちんと終わらないとやはり、気分はがっくりくるものだ。
その点でなのはA'sは、順当な終わり方をしている。6年後、中学3年生で魔法少女も続けているなのは達を描いているのはファンサービスか、はたまた、中学編をやるつもりがあるのか。ここまできちんとキャラが立ってきたのであれば、このまま放っておくのももったいないという気はしないでもない。
また出会う事があれば素直に喜ばしい、良いアニメであった。
ハナマル進呈。にじゅうまるである。
| 01月15日 |
■本日の読書:『大西洋横断トンネル、万歳!』ハリイ・ハリスン
1212年のナバス・ド・トロサの戦いでキリスト教徒が敗れていたら――という、架空の歴史(Alternate history = もうひとつの歴史)を元にしたSF。
といっても、日本人にはマイナーな変更点(レコンキスタ関係)である。イベリア半島がイスラム教国家のまま現代まで残り、スペインやポルトガルがないために大航海時代以後の歴史が変化しているわけだ。
アメリカ大陸にはアステカやインカなどの原住民国家が残り、北アメリカにあるイギリスの植民地は今なお、属州として王室直轄領となっている。
そして物語は20世紀半ば。
かつて失敗に終わったアメリカ独立戦争の指導者、ワシントンの子孫であるワシントン大尉は、大西洋横断トンネル会社に勤めている。ヨーロッパとアメリカ大陸とを結ぶ長距離鉄道は、今なお飛行機械が未発達のこの世界では重要な存在だ。
物語の終盤に登場するインヴィンシブル号というイギリス軍の最新鋭機などはワシントンの親友曰く
「あらゆる点で、こっちのほうが10年は現代的にできているね。ぼくの機関室は火夫が10人配属されているが、これで自動装置が故障しても手で缶が炊ける。両翼に7つずつ、合計14個の蒸気タービンがあって、これでプロペラを回すんだ」
なんか、宮崎駿のアニメに出てきてもおかしくないようなレトロででかい機体である。
レトロなのは、列車の方も同じ。
ボーイがいて手でドアを開けるわ、ピアノが置いてあって人間が演奏するわと、機械ではなく人間のサービスが行われている。
町に自動車はあまりなく、蒸気機関で動く辻馬車が走っている。いやコレはコレで立派に自動車なのだが。
コンピュータはハムと歯車による「バベッジ・エンジン」で、これでコントロールされた大陸間郵便ロケットの運航にアーサー・C・クラークが携わっているという次第。
そのくせ、大西洋横断列車は原子力で、真空のチューブの中をリニアで走る。まあ、典型的なレトロ・フューチャー世界である。
物語の内容も、そこで活躍するキャラクターも、そういう古めかしくも懐かしい雰囲気が満載である。主人公のワシントンは好漢で、鋼の肉体と優れた知性、そしてヴィクトリア朝なモラルを兼ね備えている。
ワシントンは大西洋横断トンネルを妨害しようとする悪人を捕まえる時、その正体を知って驚く。
「しかし、なぜだ! どうして君のような、ちゃんとした、尊敬されている社会人が、こんなひどいことをやったんだね?」
まあ、全編こういう感じで、ロマンスから何から、すべてがレトロな「古き良き時代風」になっている。
たいへん面白い本なのだが……今となっては手に入れるのはちと難しいか。
| 01月16日 |
■本日の読書:『キャプテン・フューチャー全集6 惑星タラスト救出せよ!』エドモンド・ハミルトン
『彗星王の陰謀』は、異次元侵攻ネタであった。
本書はその続きで時系列的にもつながっている。そこで、前作で顔見知りになった火星人の科学者が、異次元からの侵略者の技術を利用して別の次元と連絡をとる事に成功――というところからスタート。
本書では当時の科学技術というかハミルトンの知識に基づいているので微妙に謎設定が加わっており、これが意外に良いミスリーディングになっている。
この宇宙の大きさが2億光年で、異次元の宇宙が20億光年離れた場所にある、というものがそれだ。
この明らかに間違っている設定のせいで、設定そのものにはつっこまないで放置して読むため、本書の最後に明かされる真実が不意打ちになるのだ。
どういうことかというと――次元ネタの次は時間ネタであったというわけなのだ。
なお、表紙にも出てくる怪しげな骸骨人間であるが、こいつらが今回の敵である。前の彗星王の敵は異次元の存在であるがこの宇宙からエネルギーをすべて奪おうという分かりやすい悪であった。今回の骸骨どもも、まことに冷血でそのうえ身内でも争うという非情な連中。このへんの、話や設定に凝った時には敵を単純明快にするという作りは、参考にしても良いと思う。
この作品が最初に出版されたのは『キャプテン・フューチャー誌』1942年秋号。日本では昭和17年。もうちょっと具体的に言うと、当時は太平洋戦争まっただ中でミッドウェイの戦いがあったのがこの年の6月である。ドイツ軍はソ連領奥深く侵攻しているがスターリングラードまで到達したところで攻勢限界点になる。
そんな時代によくもまあ、こんなシロモノが出せたものである。日本とは国力がどうこう以前にスケールが違う。とはいえ、さすがにアメリカでもこの頃の雑誌の紙質は最低になったらしい。
| 01月17日 |
■本日の読書:『絶対可憐チルドレン 3』椎名高志
『GS美神』は全部買った。(そして人にあげた。だって長いんだもの)
『MISTERジパング』は全部買った。(そして従弟にあげた後、買い直した)
『一番湯のカナタ』は全部買った。(さすがにこれを誰かにあげようとは考えなかった)
そして『絶対可憐チルドレン』である。
1巻は、パイロット用の短期集中連載分。
2巻は、週刊連載スタート分。
そしてこの3巻は、いよいよストーリーが動きはじめた感がある。
この巻から登場の兵部少佐(80才の少年)がイイ感じに主人公の皆本と対になっている。
超能力を持たない皆本に対し、彼は現時点でチルドレンを凌駕する超能力の持ち主だ。おそらく彼がシリーズ通しての悪役であろう。
即座の打ち切りが回避されたせいであろう。今後の物語を大きくするために、この巻からちまちまとキャラが増えている。
一番手のお姉さん(お嬢さん)キャラも、その次のウルフガイなふたりも、最初はもうちっとダークかと思ったら意外にひょうきんで、一安心。いや、今の時点で重い話はたぶんきっとダメだと思うし。
それにしても、バベルの男どもってろくでなしか苦労性の2パターンしかないのかしらん。
| 01月18日 |
■本日の読書:『密偵ファルコ 新たな旅立ち』リンゼイ・デイヴィス
原題は“TIME TO DEPART”。すなわち『旅立ちの時』。
さて、これまでにもブリタニア、ゲルマニア、シリアとローマ帝国を西へ東へと旅を続けたファルコであるが、今回はどこに旅立つのか?
と、思いきや今回はどこにも行かない。
では旅立ちとは無縁で限りなく透明なブルーなのかというとそんなことはない。
物語の冒頭で、ローマの犯罪組織の首領(ドン)が追放刑を受けてローマから旅立つのである。
……って、そっちかよっ?!
そういうわけで今回もローマ帝国1世紀なハードボイルドである。
家族も増えた(手始めに犬)ことだし、ついにエレベーターなしの7階から転居したし、(今度の建物は強度偽装で崩壊しなかった)さてこれからどうなるやら。
| 01月19日 |
■本日の読書:『ツバメしんどろ〜む 4』茜虎徹
相変わらずツバメ姉さんのチチシリフトモモがてんこもりの一冊。
今回は、宇宙から来たメイドロボのカクテルが登場。
精巧なロボットに見えて実は量産型ロボがオリジン・ハートの影響で変化したものという事が判明。
……つまり、タイガくんの正体も?
などと、デンジャラスな感じで次巻へと続く。
それにしても、ドキドキしたら危険なタイガくんの前であそこまで無防備にサービス過剰なツバメ姉さんは、自分の魅力に気が付いていないのかどうなのか。
気づいていたら、ミミック・コートのような変身用アイテムのある世界だから、やはり気づいていないのだろうなぁ……ヒドイ話だ。
| 01月20日 |
■『Hearts of iron2:ゲームの中の第二次世界大戦 ふたたび!』 ドイツ編その1
●1936年:戦争方針決定
実を言うと、ドイツで勝つのは難しくない。
ドイツ軍は初期状態における戦車なしの歩兵師団で十分に強い。その強い歩兵師団を流れ作業でだらだら量産して前線に投入するだけでいいのだ。(難易度を上げないなら)
エヴァ:アドルフ! あなた!
総統:どうしたんだい、エヴァ?
エヴァ:なんですか、この戦争計画は? 歩兵師団ばかり増設して、恥ずかしいとは思わないの?
総統:それが一番効率がいいんだ。
エヴァ:あなた、それでも偉大なるドイツの総統なの? 戦車を量産しなさい!
総統:えー? うちの戦車って、今は1号戦車とか2号戦車だよ? チハ(日本の97式戦車)より弱いよ?
エヴァ:なら、開発しなさい。ドイツの科学力は世界一です。
総統:でも、戦車だけでは戦線が張れないよ。歩兵も必要なんだ。
エヴァ:自動車化師団なら許してあげます。(歩兵をトラックで運ぶ)
総統:高いよ、それはっ?!
エヴァ:いきなり機械化師団と言わないだけありがたく思いなさい。(歩兵を装甲車で運ぶ)
かくして、エヴァの一言でドイツは機械帝国として誕生する事になったのである。
●1939年:白の場合
ラインラント進駐からはじまるオーストリア併合、ズデーデンランド要求などの歴史イベントをとりあえずそのまま進めていき、ついに1939年の夏を迎える。
総統:うう……
エヴァ:どうなさったの、アドルフ?
総統:いよいよ戦争かと思うと、胃が痛くて。
エヴァ:しっかりなさい! だいたい、ポーランドにケンカをふっかけても英仏は動かないと言ったのはあなたでしょ!
総統:そりゃ、歴史上の私だ。このゲームだと、ダンツィヒ要求はたいていポーランドとの戦争になるし、そうなると英仏も宣戦布告してくる。それが分かっていたら歴史上の私だって戦争したかどうか怪しいものだよ。
エヴァ:じゃ、やめる? イベントだからダンツィヒ要求はしなくてもいいわよ?
総統:それはそれで問題の先送りだ。このゲームでのドイツの優位は初期設定にあるわけだから、時間が経過すればするほど差はなくなっていく……ああ、いっそ36年に開戦していればっ!
エヴァ:今更手遅れよ。さ、覚悟を決めなさい。
オーストリア併合などで歩兵師団は増えているものの、全体的にドイツ軍の数は少ない。
ドイツ軍は3個師団ずつまとめて軍団を編成している。ほとんどのエリアは歩兵1軍団だけで戦線を維持しており、敵陣に突っ込むエリアだけ集中して戦車や自動車化師団をまとめて配備している。
どどーん! どどどどーん!
総統:うぉ?!
エヴァ:はじまったわっ! 戦争よ! この世の終わりよ! 神々の黄昏、ラグナロクが今はじまったのよぉぉぉぉっ!!!
総統:……テンション高いなぁ、キミ。
●1940年:黄の場合
ポーランドを占領し、ソ連と分割しても戦争は終わらない。
むしろこれからが本番である。ドイツ軍は休む間もなく西へと向きを変える。
エヴァ:あら? ノルウェー侵攻作戦(ウェーゼル演習)はどうなさったの?
総統:無理だよエヴァ。今回は海軍増強してないからね。
エヴァ:U-boatは作ったのじゃなくて?
総統:潜水艦で、輸送船の護衛はできないって。
それに、ノルウェーの港がなくてもスウェーデンの鉄鉱石は手に入る。中立国や同盟国との貿易は、戦争がどれだけ激しくなっても影響を受けないからだ。
総統:とにかくフランスが本格的に兵力を増強しはじめたらえらいことになる。今のうちに何とかしないと。
エヴァ:やはりマンシュタイン・プランかしら?
総統:もちろんだとも。さあ、ベルギーに宣戦布告だ! ……戦力が足りないからオランダは後回し。
エヴァ:びみょ〜
グデーリアンやマンシュタインの戦車師団がアルデンヌの森を突破して北フランスへ侵攻! 意外にもろいフランスだったが……
総統:あれ? なんか、包囲できた敵の兵力が少ないな。
エヴァ:というか、あまりいませんわ。
総統:ああっ?! マジノ要塞から大量のフランス軍があふれだして、ドイツ南部に攻め込んできたっ?!
その数40個師団。戦車も混ざっている。ドイツ南部の戦線を支える歩兵3個師団ではどうしようもない。
総統:い、いかん! すぐに増援を南ドイツに送らないと。
エヴァ:あ、バカっ!
戦車師団を含む戦略予備が南ドイツに派遣され、戦線は安定する。
しかし、予備をここで使ったために北フランスでの進軍も停滞してしまい、戦争は膠着状態になる。
エヴァ:……何やってるのよ、まったく。
総統:面目ない。
エヴァ:しょうがないわね。ちょっと行ってくるわ。
総統:どこへ?
エヴァ:スペイン。マドリードよ。
総統:??
マジノ線を攻略拠点として、そこから南ドイツに積極的に打ってでることで膠着状態を生み出したフランスでは、なんとかこのまま戦争を第一次世界大戦型の消耗戦に持ち込めるのではないかと考えていた。
しかし、その予想は裏切られる。
ピレネー山脈をこえて、スペイン軍が侵攻を開始したのだ。
フランコ将軍:やあやあ、総統。お困りのようだね。
総統:……うん。
フランコ将軍:こっちも内戦の時にドイツにはいろいろとお世話になったからね。ここで恩返ししたいのだが、どうかな?
総統:……ありがとう。
フランコ将軍:はっはっは。まあ、任せてくれたまえ。
無防備だった背後を突かれ、フランス軍は総崩れになった。ドイツ軍はかろうじてパリを押さえ、ヴィーシー政府イベントを発生させてフランス戦役に勝利する。
エヴァ:ね、怒ってる? 勝手に同盟工作なんかして。
総統:いや、別に。
エヴァ:ごめんなさい。イタリアじゃフランスの不意は打てないと思ったの。それならいっそ、スペインを味方につけた方がいいと思って。
総統:そうだろうね。
エヴァ:やっぱり怒ってる?
総統:いや、元々は私のミスだからね。感謝している。
エヴァ:じゃあなんで不機嫌なのよ。
総統:不機嫌なのはキミに尻ぬぐいをさせてしまったからだ。怒っているのは自分自身にだ。キミのせいじゃない。
エヴァ:……
こうして西部戦線はなんとか安定したものの、強敵ソ連が東に控えている。
夫婦げんかなんかしている場合じゃないぞ、総統!
(続く)
| 01月21日 |
■『Hearts of iron2:ゲームの中の第二次世界大戦 ふたたび!』 ドイツ編その2
●1941年:赤髭の場合
史実における第二次世界大戦の最終的な勝者はソビエトとアメリカである。
そのため、このゲームにおいてソビエト連邦はドイツを上回る経済力と、アメリカさえも上回る人的資源、そしてそれらを情け容赦なく戦争へと駆りたてるスターリンAIを備えており、放置しておくとろくなことにはならない。
総統:史実では私の命取りになったのが、このソ連との戦いだな。
エヴァ:ユーゴスラビアやギリシアに行って時期が遅れたのがまずかったのかしら? それとも、途中で南方旋回したのが?
総統:実はどっちもあまり関係ない。最近の研究では開戦時期が早くなろうが、モスクワを攻めていようが、やはりドイツは勝てなかっただろうと考えられている。
エヴァ:日本のミッドウェイの戦いみたいなものね。それならどうするの?
総統:まずは地図を見てくれ。
総統:当座の占領目標として、ソ連の中核都市がある。
エヴァ:首都であるモスクワ、古都であるレニングラード、南方のキエフにスターリングラード。いずれも史実における激戦地ね。
総統:これらの都市の確保が最初の目標となる。しかし、本当の目的はそうじゃない。
エヴァ:じゃあ何なの?
総統:ナポレオンと一緒さ。敵野戦軍の撃破。ソ連に勝つには、とにかく敵の戦力を削って削って削りまくる。このレポートを読んでごらん。
エヴァ:諜報部が調べた、ソ連軍の戦力ね。歩兵174師団、騎兵17師団、自動車化歩兵38師団、戦車&軽戦車16師団、山岳歩兵11師団、司令部ユニット6……こっちの倍近いわよ。
総統:しかも戦争がはじまるとどんどん増える。戦争しなくても増える。
エヴァ:手に負えないわよねー。なんか、こう、分裂増殖するアメーバーと戦っているみたいで。
総統:だが、キミのおかげで我々には史実よりも豊富な機械化軍団がある。これが我々のアドバンテージだ。
エヴァ:ほえ?
1941年3月、ドイツはソ連に宣戦布告。独ソ戦がスタートする。
ドイツ軍は独ソ国境に100個師団を集中していた。主力は装甲師団12個(4個装甲軍団)と、自動車化歩兵師団48個である。
2個の司令部ユニットに率いられ、集中して投入されたこれらの部隊は易々とソ連軍の戦線を突破して後方に回り込んだ。
そして、ソ連軍が対応できないでいるうちにこれを包囲、殲滅していったのである。
エヴァ:へぇ、意外とやるじゃない。
総統:ふふふ。史実では「電撃的に戦って冬までに勝利する」つもりでやって失敗したからね。今回は最低でもアルハンゲリスク=アストラハンのAAラインまでは行くつもりさ。2年でも3年でも続けようじゃないか。
戦略目標のうち、年内に制圧できたのはキエフとレニングラードの2都市だけであるが、もうひとつの狙いであるソビエト野戦軍の殲滅は順調にすすんだ。
12月末の時点で、ソ連軍は開戦前と比べて次のように数を減らしていた。師団の種類 3月 12月 歩兵師団 174 123 自動車化歩兵師団 38 11 戦車師団 16 7 騎兵師団 17 14 山岳歩兵師団 11 3
もちろん、大損害を受けつつもソ連の生産ラインもフル稼働している。モスクワのあるヨーロッパ・ロシアのあたりは占領されるのも覚悟の上だ。
東に疎開した工場施設では戦車師団(BT戦車。T-34/76は開発中)を5個、自動車化歩兵師団を2個、歩兵師団を4個、騎兵師団を2個、そして高価な司令部ユニットを4個並列で生産していた。これに加えて空軍の迎撃戦闘機1、戦術爆撃機2、襲撃機(ドイツにストゥーカあればソ連にシュトルモビクありと言われる名機)3飛行隊も編成中だ。とにかく、これらが生産される端から包囲して殲滅していくしかドイツには道は残されていないのだ。
総統:な、なんだか「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」(byモロボシ・ダン)な気分になってきたぞ?
エヴァ:ウルトラセブンは悲観主義者よ。こっちが血を吐くなら、あっちには血反吐を吐いてもらえばいいだけ!最後まで諦めない者が勝利者になるのよ!!
(続く)
| 01月22日 |
■『Hearts of iron2:ゲームの中の第二次世界大戦 ふたたび!』 ドイツ編その3
●1942年:バトル・オブ・ドーバー
ドイツ軍の敵は東のソ連だけではない。
西には老いたりとはいえ大英帝国があり、大西洋のはるか向こうには巨人、アメリカ合衆国が控えている。
総統:地続きのソ連と比べると海が間にあるだけマシだけどね。
エヴァ:逆に言うと、海に面している所はどこであってもつながってるわけよね?
総統:イヤな事を言うなぁ……
エヴァ:何を言ってるのよ。あなただって、林子平の『海国兵談』ぐらい知ってるでしょう?
総統:いや、それってドイツ人が知るはずもないだろ。つうか、日本人だって普通知らない。
林子平は江戸時代の軍学者で、海防の重要性を次の言葉で訴えた。
「江戸の日本橋より唐、オランダまで、境なしの水路也」
慧眼と言うべきであろう。
総統:とりあえず1941年末の時点での海軍戦力を比較してみようか。国 空母 戦艦 補助艦艇 潜水艦 ドイツ 0 0 2 28 イギリス 7 11 54 10 アメリカ 5 10 68 15 日本 6 10 83 11 イタリア 0 3 44 8
エヴァ:あからさまに不利ね。っていうかU-boat以外の海軍艦艇を生産しなかったのはともかく、初期配置のヤツも消えてる気がするんだけど?
総統:41年夏頃にアメリカ海軍がバルト海まで入ってきてぼこぼこにされた。
エヴァ:そこまでするの?!
総統:うちが弱いからだよ。
エヴァ:ともあれ、放置しておくとろくなことにはならないわね。誰か、デーニッツ提督を呼んで来て!
デーニッツ提督:それには及ばないでござる、ニンニン。
総統:ど、どっから湧いて出たっ?!
デーニッツ提督:隠れて不意打ちは潜水艦の得意技でござるよ、ニンニン。
エヴァ:さすが海の忍者ね、頼もしいわ。お前に頼みがあるの。ドーバー海峡に潜んで、ドイツに近づく敵艦隊を沈めてまわって。
デーニッツ提督:お任せください!――と言いたいところでござるが、できれば手助けが欲しいでござる。
総統:追加の潜水艦ならないぞ? 今はソ連との戦いで手一杯だからな。
デーニッツ提督:船ではござらん、戦闘機でござる、ニンニン。
エヴァ:……つまり、制空権が欲しい?
デーニッツ提督:はい。潜水艦の天敵は航空機でござる。逆に言えば空からの攻撃さえなければ我らドイツ海狼忍軍は無敵でござる、ニンニン。
エヴァ:いいでしょう。期待しているわよ。
こうして出撃したドイツ海狼忍軍はこの年の終わりまでにイギリスの戦艦6隻、空母5隻をはじめ多数の艦艇を沈めまくった。
だが、それでもイギリス海軍は新造の艦を加えて空母9隻、戦艦11隻を保有していた。
総統:うーむ。どう考えてもこれは現状維持が精一杯だなぁ。
エヴァ:でしょうね。潜水艦はあくまで待ち伏せと不意打ちで戦うから。機動力のある水上艦隊に止めを刺すには難しいわ。
U-BOATだけでは勝利を掴めぬと知ったドイツでは、翌年、新たな戦力の投入を決意するのである。
●1942年:青の場合
レニングラードを制圧したドイツ軍は1942年の夏にはモスクワを占領。スターリンは自らの名前を冠するスターリングラードへと撤退した。
総統:ええい、やはりモスクワを落としたぐらいではびくともせんか。
エヴァ:あら、これは想定内なのじゃなくて?
総統:想定内だけど少しは期待してた。しゃあない、次の目標行こうか。
エヴァ:スターリングラードね。
総統:それとバクー油田だ。
総統:おお? なんかソ連軍の密度が低くなっているぞ?
エヴァ:ひたすら包囲殲滅を繰り返したものね。師団の種類 41年12月 42年11月 歩兵師団 123 38 自動車化歩兵師団 11 1 戦車師団 7 3 騎兵師団 14 10 山岳歩兵師団 3 1
総統:おお! 減ってる!
エヴァ:主戦力である歩兵師団の減少が著しいわね。これなら、これ以上戦力を増強しなくてもいけるのではなくて?
総統:いやいや、戦線が広がっている分だけ、戦力の増強は不可欠だよ。ここで手を抜くと後で痛い目にあうよ。
エヴァ:それもそうね。
こうして独ソ戦開始より2年でドイツ軍は初期目標であるモスクワ、レニングラード、キエフ、スターリングラードを制圧する事に成功した。
だが、スターリンはさらに逃走を続け、世界中を巻き込んだ戦争はいまだ終わる気配すらなかった。
(続く)
| 01月23日 |
■『Hearts of iron2:ゲームの中の第二次世界大戦 ふたたび!』 ドイツ編その4
●1943〜4年:ゼーアドラー
スターリングラードやバクー油田まで奪われてもなおも戦い続けるソ連とスターリン。ドイツ軍の主力はドイツ本国から遠く東方にあって、西方はほとんど空っぽも同然である。一朝事があっても、本国に戻るには2ヶ月はかかる計算である。
総統:ここでイギリスやアメリカがノルマンディ作戦なんかやろうものならたちまちベルリンまで落ちるな。
エヴァ:なら、英国の海軍力を削る必要があるわ。
総統:ああ。そのための海鷲(ゼーアドラー)がこれだ!
フォッケウルフFw2000コンドル
総統:史実の第二次世界大戦においてはチャーチルから「疫病神」とまで呼ばれた攻撃機だ。U-BOATの活躍の影にも、この機体の洋上哨戒があった。
エヴァ:……うーん。
総統:どうしたんだい、エヴァ? この機体に何か問題でも。
エヴァ:この機体については問題ないんだけど……なんかさっきから、忘れているような気がしてるのよ。
エヴァの不安をよそに、北海へと繰りだしたFw2000コンドルは大活躍であった。
前年のバトル・オブ・ドーバー(ドーバー海峡の戦い)の結果、イギリス空軍は洋上に釣り出されて壊滅しており、ゼーアドラー隊は思う存分に暴れまくった。
8個飛行隊のゼーアドラーによって、イギリス海軍は壊滅的打撃を受けたのである。国 空母 戦艦 補助艦艇 潜水艦 ドイツ 0 0 0 0 2 2 28 32 イギリス 7 1 11 1 54 15 10 5 アメリカ 5 0 10 1 68 58 15 102 日本 6 5 10 6 83 85 11 6 イタリア 0 0 3 1 44 36 8 1
アメリカ海軍も大打撃を被っているが、これは主に太平洋戦線における日本軍の戦果である。後、どういうわけかヴィシー・フランス海軍もアメリカの戦艦3隻を沈める殊勲をあげた。
1942〜44年の2年間にわたる海空戦によって、大英帝国の誇る海軍力はほぼ壊滅に等しい打撃を受け、ドイツは西方を気にせずに対ソ戦に専念ができたのである。
●1943〜4年:ウラル戦線異状なし
総統:……
エヴァ:どうしたの、アドルフ?
総統:いや、そのね。我がドイツ軍の精鋭はついにカスピ海まで到達したわけだが。
エヴァ:キャビアが食べられるわね。
総統:私は酒は飲まない。とまれ、史実における攻勢限界ははるかに突破している。
エヴァ:史実ではスターリングラードから敗走している頃ね。
総統:ここで、次の目標を決めなければいけない。地図を見てくれ。
エヴァ:うわー……すごいわねー。
総統:最大縮尺のマップでこれだ。シベリアはさらに東にある。
エヴァ:え? ソビエトのIC(生産力=工場の数)って、まだ203もあるのっ?!
総統:あるんだ、これが。工場が中央アジアのへんまで疎開しているからね。
エヴァ:じゃあ、そこまで行きましょ。
総統:行きましょって……そんな簡単に。
エヴァ:赤軍の戦力はガタガタなんだから、後は平押しに押していけばいいじゃない。
総統:そりゃそうだけどね。この先は道路(インフラ)も悪いし、補給も届きにくい。
エヴァ:諦めちゃダメよ、アドルフ。とにかく前進、前進、前進あるのみなんだから!
かくしてドイツ軍は、進撃を再開した。中央アジアへ、そしてシベリアへ。ウラル山脈を踏み越えツンドラ地帯を踏破して、ただひたすら東へと向かったのである。
(続く)
※今回のアイコンは、アイコン&お絵描き工房のフリー素材を利用させていただきました。
| 01月24日 |
■本日の読書:『密偵ファルコ8 オリーブの真実』リンゼイ・デイヴィス
オリーブ油の生産者達によるパーティーの帰り道、ファルコの仇敵である皇室の密偵頭が頭をかち割られかける。
この謎を解くため、身重になったヘレナを連れてファルコはスペインへ。
……正気かファルコっ?!
かつて一度ヘレナが流産している事を考えればファルコとしては気が気でない。
読者としても、犯人捜しなどより、よほどそっちの方が気がかりである。
まあめでたくこの巻のおしまいでは女児誕生となるわけであるが、オリーブ油のカルテル問題からはじまったこの事件、最後もオリーブ油でオチがつく。
ローマに帰る途中の村。他のお産と重なって産婆がいないという危機的状況に、ファルコは自ら我が子を取り上げる事を決意する。
そして、ヘレナの友人の女性を呼び――
「オリーブ油だ、それも大量に」それからちょっと考えて、静かに言いそえた。
「ほんの少し暖めてくれるとありがたい」
さてさて、この新しいファルコの家族が事件で活躍する日はいつになるだろう?
| 01月25日 |
■本日の謎:アンケート項目だけのSF短編
ふとした事でとあるSF短編を読んだという記憶が脳内に浮かぶ。
普通の短編ではなく、アンケートの質問事項だけが並んでいる作品だ。(回答などは書かれていない)
ただ、その質問事項を追っていくにつれ、なんかこのアンケートの背景にある社会のデストピア具合がかいまみえて、なかなかエグイ作品であったと記憶している。
掲載されていたのはたぶん、SFマガジン。
時代は1970年代(後半)から80年代だと思う。
四半世紀も前の記憶なのでどうも、はっきりとは思い出せない。
「翻訳アンソロジー/雑誌リスト」というサイトで該当する時代のタイトルと作者名をながめてみたのだが、いまひとつピンとこない。
どなたか情報があれば教えてください。
| 01月26日 |
■昨日の謎:アンケート項目だけのSF短編
ステラ(Stella)さんから昨日の作品は
J.G.バラードの『尋問事項に答える』(『第三次世界大戦秘史』収録)ではなかろうかとの情報が寄せられる。奥さんに感謝。
ただ、残念なことにこちらはどうやら質問事項ではなく回答だけが羅列してあるという逆パターンのようである。
引きつづき情報求む。
| 01月27日 |
■Hearts of iron2:4gamer掲載の『世界ふしぎ大戦』でドイツ編レポート
リンク先はこちらに。
アトリエサードの徳岡正肇さんによる連載で、毎週楽しみにしている。
ちょうど、私もプレイしているドイツ編だったのでたいへん楽しかった。
私のレポートの方は、年末からぼちぼちやってたのをまとめて先週末にアップしたので、続きはもうちょっと先。
第二次世界大戦という歴史ドラマの主人公であるドイツ。
Hearts of iron2はドイツが侵略者として動くことが前提になっているので、最近の架空戦記でありがちな外交の入れ替えはできない。
たとえばイギリスとドイツが同盟して、ソ連とフランスの同盟と戦うとか。
あるいは1936年の時点でドイツはまだヒトラー政権が樹立しておらず、ポーランドがドイツに侵攻するとか。
そういう第二次世界大戦の前提を台無しにしてしまう設定は存在しない。(MODではあるかも知れない)
おかげで、ちぃとばかりスレちまったゲーマーだと、そのへんが不満で「このゲームはなるようにしかならない」と考えてしまうのだ。ドイツが世界を支配しても、満州国がソ連を打倒しても、アルゼンチンが南米を統一してアメリカ合衆国に攻め込んでも――なんかフツーのありがちな展開に思えてしまうわけである。
むろん、それはその通りなのだが、私としては脳内ドラマで十分に補いがつく問題ではないかと思うのである。逆に言えば、現象だけを取りだしてみても奇想天外な結果になるわけがないのだ。
このゲームの楽しみ方は、ディスプレイ上の結果から脳の中でどれだけドラマを膨らませることができるか。
そこにかかっていると思うのである。
| 01月28日 |
■本日の読書:『二重螺旋の悪魔』梅原克文
チャットで話題になったので引っ張り出す。
実際のところ、この作品の第一部『封印』は今読んでもぞくぞく来る、傑作と呼ぶに相応しい作品だと私は思っている。
遺伝子操作監視委員会のC部門に所属する政府職員である「おれ」が、とある民間バイオ企業の専務と面会するところから物語はスタートする。
この日記でも何度も書いているが、一人称とは騙る語り方だ。たとえ嘘を書いていないとしても、語り手の情報操作があると考えて間違いはない。
読者は「おれ」と専務のセリフを聞いていくにつれ応接室での会話が、ナニかおかしな事件へと進んでいるのが分かる。
事件――バイオ企業であれば、いろいろなトラブルが考えられる。P3レベルの研究室ともなれば、バイオハザードなども想定される。
だが、「おれ」が動き始めた時、その謎はさらに深くなる。
とにかく動きが乱暴なのである。スタンロッドで脅して中に入るわ、気密など気にせずP3区画に足を踏み込むわ――
《まるで、それがバイオハザードではない事を知っているかのように》
そして、明らかになる“C”の正体。
ここまでの描写が、先端の生物科学っぽく描かれているからこそ、そこに出てくる1冊のペーパーバックの破壊力はでかい。
残りの話についてはまあ、イロイロと言いたい事もあるのだが。
それでも、この第一部の盛り上がりについては文句のつけようがない。
| 01月29日 |
■本日の読書:『ミリタリークラシックス12号』
特集は『烈火の獅子 九七式中戦車チハ』。
また、なんつう無謀な……
ライター陣も苦労したようで、異口同音に「九七式戦車は歩兵支援戦闘車で、装甲車の重火力型と考えるべき。これで対戦車戦闘をやる(特に戦争後半の進化した敵戦車を相手に)のが間違いであって、それは九七式のせいではない」と書いている。
また、この問題に解決策と言えるようなものはない。ようは当時の日本に九七式を進化させるだけの工業力、技術力、経済力がそもそもなかったわけなのだから。
あえて言うのならば「あの時期にアメリカやソビエトと戦争した事がが間違い」となる。
……まあ、しょうがないか。
愉快なのは九七式と各国戦車の能力比較。レーダーチャートで性能を表しているのだが、その項目が笑える。
攻撃力・防御力・機動力・信頼性……これはいい。後ひとつ、戦車ごとに違う項目が(それはすでにレーダーチャートではない)ついているのだが。
九七式戦車改(日本):不撓不屈の志
M3スチュアート軽戦車(アメリカ):日本戦車の体当たりにビビる度
M4シャーマン戦車(アメリカ):パンター・ティーガーには歯が立たないくせに度
クルセイダーMk.3(イギリス):英戦車のデザインは本当に理解しがたい度
T−34/76(ソ連):自軍が掘った対戦車壕にハマる度
どうしろと言うのだ、これは。
このへんの身も蓋もない愉快評価がなかなかに良い。
| 01月30日 |
■本日の読書:『《ドミニク・フランドリー》地球帝国秘密諜報員』ポール・アンダースン
原題は“Agent of the Terran Empire”。初出はえらく昔で、1951年1月。半世紀も前である。あとがきにもあるが、同じく斜陽の老大国の敏腕美形エージェントとして著名なジェームズ・ボンド氏の『カジノ・ロワイヤル』よりも古い。
その昔、SFマガジンに何度か掲載されていた短編を私も読んだことがある。このたび文庫で出て、しかも人気がよければ(つまりそれなりに売れれば)続きも出してもらえるという事である。
これはもう、プッシュするしかあるまい。
本書の主人公ドミニク・フランドリーの魅力は、“退廃”である。
彼は地球帝国の貴族で、優秀な士官であると同時にきわめて享楽的な人間でもある。
あまりに享楽的すぎるため、辛くて惨めで苦しい決断をあえて選ぶのがフランドリーという男である。
彼の時代、地球帝国は絶頂期を過ぎ、斜陽と爛熟を迎えつつある。やがて地球帝国はゆっくりと倒れるのがフランドリーのような男の目には明らかで、それでも彼はその退廃を愛している。
このドミニク・フランドリーがあと何本かの銘酒を味わい、あと何頭かの名馬に乗り、数多くの若い女たちとキスを交わし、もう一、二曲のバラッドを歌うあいだだけ、この文明世界がつづいてくれればいい、それだけでじゅうぶん。すくなくとも、その程度の希望しか持てない。
(p196)
シリーズ1作目『虎口を逃れて』がそうであるように、彼の活躍はどことなく『タイムパトロール』の無任所職員マンス・エヴァラードを思わせる。
フランドリーはエヴァラードと同じく搦め手で物事を進める。最初の内、それらは敵手にとって有利にしか思えない。しかし、彼の謀略が一度動き始めたら、それは歴史の奔流のように、誰にも止めようがないのだ。
フランドリーの謀略は柔道や合気道の技のようなもので、相手が強ければ強いほどに、逆に相手自身を打ちのめすのだ。
スパイ物としても面白いし、なんといってもアンダースンらしい作品である。
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