01月01日

 新年あけましておめでとう。
 今年の最初の野望は、ローマ帝国の建国である。
 ようは、『ローマ:トータル・ウォー』を遊ぼうというのだ。
 このゲームは、紀元前270年からの地中海キャンペーンがプレイでき、最初はこれでローマ共和国の名家のひとつを率いて各地を征服してパトロネージ(領土)を広げ、ゆくゆくは他の名家を打倒してローマ帝国を築きあげようというのである。
 とりあえず、カエサルに敬意を表してユリウス家一門でプレイを開始する。

■本日の読書:『オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ ローマ軍カエサルからトラヤヌスまで』マイケル・シムキンズ著/ロナルド・エンブルトン彩色画
 ローマ:トータル・ウォーをプレイするにあたっての、雰囲気作りのために資料本をひっぱりだす。
 彩色画で表現されているローマ軍団の兵士ひとりひとりはさすがに中世の騎士に比べると見劣りする。暗黒時代という表現がしばしばされるヨーロッパ中世ではあるが、個々の軍装については決して性能が悪いわけでも質が劣るわけでもない。
 馬には鐙がついているし、甲冑は見事だし、剣も槍も洗練されている。

 戦場でカエサルの軍団兵と、十字軍のヨハネ騎士団を同数で戦わせた場合、他の要素が同じならばヨハネ騎士団が勝利するだろう。

 だが、システムとしてみた場合――ローマ軍ほどに柔軟な運用が可能な軍隊は、ヨーロッパではやはり中世が終わるまで登場しなかった。それは指揮能力や後方支援能力を含めた総合的な意味での戦力なのである。

01月02日

 初夢を見た。

 場所は古代地中海。
 クレタ島周辺海域である。
 島をぐるりと囲む大軍があった。
 艦隊ではない。それらの軍は、イルカに乗った緑色の髪の軍勢だった。
 いずれもギリシア風美形ぞろい。
 わけても美形なのが、中央に位置する白いイルカに乗った青年王である。
 この包囲戦は、彼ら『トリトン族』に反抗する、『ポセイドン族』討伐のための戦いであった。
 トリトン族の青年王が、オリハルコンの剣を掲げる。
 それに合わせて包囲網を敷く兵士達も、小振りのオリハルコンの剣を掲げる。
 剣が緑色に輝き――

 そこへ突然、ひとりの人魚の少女が青年王を止めるために駆けつける(いや泳いでだが)。

 という夢である。
 おおっ、『海のトリトン』(アニメ版準拠)のアナザー・ストーリーですよっ。
 いやあ、あの主題歌やもの悲しいラストは今でも覚えている。きっと、『ローマ:トータル・ウォー』と混ざって何かぷかぷかと浮かんだのであろう。
 新年早々、良い夢をみた。

■本日の短編:『くまたんとお餅』
 ローマ軍で情け容赦なく殲滅戦をプレイし続けていると、どうしても気分がささくれだってくるので、いつもの構想3分、執筆1時間でひとつ執筆。
 『くまたんとお布団』に続く、くまたんシリーズの4話である。
 今回の視点人物は祐介君の幼馴染み、香澄ちゃんである。

01月03日

■本日の読書:『撲殺天使ドクロちゃん 2』おかゆまさき

 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪

 ああっ、ふと気が付くとドクロちゃんの2巻を手にしている?!
 しかも読んでる? 笑ってるよっ?
 僕はどうしちゃったんだろう? はっ、これは罠っ? 危険でデンジャラスなトラップゾーンっ?!

 というわけで、なんともかんともバカでよろしい。

01月04日

■本日の読書:『透明惑星危機一髪』エドモンド・ハミルトン
 キャプテン・フューチャー全集4が出たのでさっそく。
 今回は『太陽系七つの秘宝』で冥王星は衛星ケルベロスにある刑務所に放り込まれたウル・クォルン博士が脱獄する場面からスタートである。
 この刑務所は、太陽系の犯罪者の中でもとびっきりのワルを入れるところとして、シリーズ内でもしばしば登場している。

 それにしても『冥王星』+『ケルベロス』+『刑務所』というのは実にいい組み合わせだ。我々の感覚で言うと、『網走刑務所』であろうか。

 それにしてもウル・クォルン博士が登場する話というのは、キャラも道具立ても実に生き生きとしている。

 ウル・クォルン博士と一緒に脱獄する犯罪者の中にはこれまでの物語でカーティスにとっつかまった犯罪者がいて楽しませてくれるし、キャプテン・フューチャーの側では、ニューヨークに住む悪たれのジョニー・カーク少年がフューチャーメンに憧れてコメット号に密航してくる。

 ギミックも、遠隔大脳操縦装置(ようするに、相手を操り人形にする装置だ)やら、異次元にシフトする次元転換装置、そして静電指先放射線(読んで字の通り)など、イカスものばかり。
 異次元の二重太陽系では、燃え尽きた太陽によって蝕になると動物が凍り付いて、彫像のようになる。(むろん、カーティスがそこに着いた時に蝕は終わり、暖かい陽光を浴びた怪物どもが動きはじめるのである)
 さらに、その燃え尽きた太陽の上を歩いて鉱物資源を掘り出すというエキサイティングな場面もある!

 ……なのだが。
 前回もそうであったが、ウル・クォルン博士が「スゴイお宝だ」というシロモノは、いざ登場してみると盛り上がりが今ひとつなのである。
 これはもう、ウル・クォルン博士の性格的な問題なのではないかと思う。この火星の魔術師は、自分自身の発明や行動は外連味たっぷりなせいか、他人の物を欲しがる場合はその趣味が常人とはちょっと違う方向へ走り出しているようなのだ。

01月05日

■本日の読書:『時のロストワールド』エドモンド・ハミルトン
 キャプテン・フューチャー全集4続く。
 さてキャプテン・フューチャー屈指の名場面の連続となるのがこの『時のロストワールド』である。
 新米のロケット乗りが、とある小惑星で1億年前の過去からの助けを求める声を聞く――というオープニングから始まり、月面で野球もどきをやるフューチャーメン(グラッグが月の軌道速度を出す特大ホームランを打つ)、そして1億年の時を超え、火星と木星の間にある失われた惑星カタインへと旅立つ――という、まさにSFの王道的な展開。

 1億年前の太陽系では、後わずか数ヶ月後に迫った惑星カタインの滅亡を前に、カタイン人と火星人の争いが一触即発に迫っている。
 あまりに木星に近すぎる惑星カタインは、木星が大接近するたびに軌道がねじまげられ、ついに数ヶ月後には潮汐力によって惑星が引きちぎられて大爆発を起こすというのだ。

 さらに、1億年前にはなンと地球にもすでに人類の祖先が住んでいて、草食恐竜を飼い慣らしていたりティラノザウルスに襲われたり……。
 そして、これらの謎もむろんのことちゃんと作品内で説明があるのだ。

 名場面続く本作でも一番イイと私が感じる場面は、まだ海が干上がっていない、繁栄する火星を訪れたカーティスが、火星の王を相手に予言をする部分である。

「一億年後のこの星の光景がはっきりと見えまする」
「見わたすかぎり生きるものとてない砂漠でございます。大洋も枯れ果てました。血のように赤いその砂漠にも水はなく、ただ北の極よりほそぼそと、運河を流れてくる雪解け水に望みを託してその日その日を贈るのは、わずかばかりの生き残りたるまずしい子孫たちにすぎませぬ。
 首都オタールをはじめとして、栄華をきわめた数々の町にあふれるあのはなやかなさんざめきも今は昔、ただ、ただ、そこにあるのは流砂に埋もれた瓦礫の山にございまする。棲もうものとて砂猫に月梟、肌を刺す夜空の中に吹きすぎる氷のような風のむせび泣きは、おそれながら国王陛下とここにおいでの皆さまがたの亡霊のささやきを思わせるかのようにございます」

 惑星カダインの人々は滅びの運命から逃れるために最後の願いをその月に託すのだが、それを実現するには大量のウラニウムが必要なのである。未来の科学に助けを求めたのは、そのウラニウムを合成する方法を知るためだった。
 さすがのキャプテン・フューチャーもウラニウムの合成方法は知らない。
 重い放射性元素であるウラニウムは、時間と共に崩壊し、鉛へと変化していくのだ。

 ならば――
 そのウラニウムが大量に存在するのは――

 というわけで、フューチャーメンの活躍によって問題が解決した後は、本書のクライマックス、惑星カダインの崩壊と人々のエクソダスである。
 これがまた、イイんだ……

01月06日

■ローマ:トータル・ウォーその1)戦争の犬
 紀元前3世紀。
 地中海世界は波乱の時代を迎えていた。
紀元前3世紀の地中海
「そういうわけで、我がユリウス一門は北のガリアを担当する」
「スキピオ一門が南のカルタゴ、ブルトゥス一門が東のギリシアですか」
「カルタゴは象がいるし、ギリシアには鉄壁のファランクスがある。それに比べればこっちは蛮族ばかりで楽なもんだ」

 ガリアの歩兵部隊は上半身裸で入れ墨をした男達が突っ込んでくるのだが、見てくれ通り防御力は弱いので前線の兵がしばらく支えていれば勝てる。

「北イタリアも制圧したし、フランス侵攻だ」
「お、こっちにおそれをなしたのか敵が森の中へ退却しますぞ」
「追撃だ、追撃。む、ドルイド部隊とな」
「何やら不思議な踊りでこちらを挑発してきますな」
「ええい、蹴散らせっ?!」

 わあああああっ!!

「な、なんだ?!」
「伏兵ですっ! 森の陰にガリア兵士が隠れていましたっ!」

 この戦いで、ユリウス一門の武将3名が戦死する。

「うわー、きっつー」
「子供はそれなりに生まれていますが、元服するまでまだ何年もかかりますよ」
「しょうがないから休戦だ」

 ガリアと休戦し、しばらく内政に専念する。

「北イタリアの山岳地帯に山賊がこもっています」
「めんどうだな、暗殺者を送って始末しろ」

 だが、暗殺者がヘボなのか山賊の親玉が用心深いのか、次々と暗殺者は返り討ちに遭う。

「いったいどんなヤツなんだ」
「こういうのです」
暗殺者ぞろぞろ
 都合10人ばかりの暗殺者が返り討ちにあった後で、しょうがないので正規軍を動かす。
「山狩りなら犬だろう。猛犬連隊を出せ」

 猛犬連隊は育成に時間がかかるが、たいへんお手軽な部隊である。通常、戦って消耗した部隊は金を払って再編成しないといけないのだが、犬はしばらくたつと自動で回復するのである。
わんわん大行進
 このように、最前線で犬を戦わせ、その後ろから槍を投げる。人命第一である。

 そうこうしていると。
「元老院から命令です。北フランスのガリア都市を海上封鎖しろと」
「むー、となるとまたガリアと戦争だな。武将は?」
「3人ほど元服しました。ですが、まだ若くて能力は低いですよ」
「しょうがない。どっちにしろ実戦経験を積まないとろくに成長しないんだ。北フランスへ送れ」

 こうして、猛犬連隊と共に若いユリウス一門の武将がガリアとの最前線に送られる。
 彼らの行く手には何が待ちかまえているのだろうか?

01月07日

■ローマ:トータル・ウォーその2)凄腕の暗殺者
 ぱぱらぱー!

 突然ですが、ここで歴史イベントです。
 マリウスの軍制改革が発生しましたー!

「まだ3世紀だつうのに早いな」
「マリウスって、美青年のような名前なのにオヤジキャラですよね」
「なぜ美青年……」

「ところで、軍制改革って、何がどーなるんです?」
「うむ。これまでの我がローマ軍はギリシアなんかと同じ市民軍なのだ。有産市民(ほとんどは中堅自作農)が、交代で軍役につくわけだな」
「パートタイムの軍隊ですか」
「戦争があると、市民が武器持参で集まって軍隊を編成する。終わったら家に帰って畑を耕す」
「あー、でも私ら四六時中戦争してますが?」
「それだ。ローマが覇権国家になって地中海のいたるところで戦争をするようになると、パートタイムの兵隊ではうまく機能しなくなる」
「クリスマス休暇になってもお父さんが帰ってこないのですな」
「それが何年も続けば畑は荒れ、人手にわたってしまう。ガイウス・マリウスはこれではまずいと考え、無産市民――武器も自弁できず、これまでは兵隊にならなかった貧乏人――に給料を払って専業兵士にしたてあげたのだ」

「で、ゲームシステム的にはどう変わるんですか?」
「編成できるユニットの種類が変わる。それだけ」
「そんなもんですか」
「そんなもんだ。で、前の市民軍ユニットはもう補充できなくなるから……」
「この半減した弓兵部隊とかどうするんですか」
「維持費だってタダじゃないんだから市民軍は解散。奥さんや子供のところに帰してやろう」
「家に帰ると新しいパパもいたりして」
「笑えねぇよ」

「しかし一気に兵隊が少なくなっちゃいましたよ、どうするんです」
「しばらくは防衛だな。外交攻勢に出るぞ」

 外交攻勢。
 これは読んで字の通り、外交官による攻撃である。
 外交官が銀貨のたっぷり詰まった袋を、敵の将軍にこっそり渡す。
 そうすると、その軍勢は雲散霧消してしまうのである。
 顔グラフィックありの将軍に通用するかどうかは賭けだが、顔グラフィックなしならまず成功する。

「えげつないですねー」
「わははは。金は力なりだ。よし次は暗殺者を送り込むぞ」

 暗殺者は、暗殺に成功すると経験を積み、能力が上昇する。
 いきなり敵の将軍を暗殺するのは難しいが、そこらへんを歩いている敵国の外交官をばしばし殺せば数人にひとりは成功してレベルアップするのだ。

「凄腕の暗殺者が誕生しました」
ゴルゴ並み
「おお、お供に猿、美女、美少年がついた暗殺者か。これは凄いな」

 さっそく、山賊の暗殺を試みさせる。
「確率100%。まず成功ですよ」
「よしよし」

 暗殺者はトゲのついた棍棒(!)を手に山賊の親玉に忍び寄り、ぼごんっ、と一撃。

「?!」
「……殺してきたぞ」
「ど、どこの撲殺天使だおまいはっ?! まさかそいつはエスカリボルグっ?! つうか、ローマの暗殺者ってみんな棍棒使うのかっ?!」
「棍棒はいいぞ……これぞ男の武器だ。陥没する頭蓋骨。飛び出す眼球。はみ出す脳髄。プリミティブな官能の世界がそこにある」
「やな官能の世界だな。まあ、邪魔者を処分してくれたなら文句はない」

 だが、次のターン。
 山賊部隊は変わらずそこにいた。

「どういうことだ?」
「あー、ほら。山賊だけに、親玉が殺されてもすぐ次のに代わるようです」
「意味ねーっ?!」

 結局、再び猛犬連隊(マリウスの改革の影響を受けない)が送り込まれて山賊を討伐したのである。

01月08日

■本日の読書:『恋風 5』吉田基己
 妹に恋をしてしまった兄と。
 兄に恋をしてしまった妹の。
 切ないラブ・ストーリーの最終巻。

 お兄ちゃんはいろいろと悩んだあげく、妹に手を出さない(キスはする)事を決意。

「いつもおまえのそばにいるから」
「だから七夏――」
「おまえはもっと自由になればいいんだよ」

 妹もいろいろと悩んだあげく、兄と妹なのだから、決して離れることはないのだと気づく。

「いつか――ちゃんと私もお兄ちゃんの妹になれるよね」

 それでも。
 いずれ人の心は移ろいゆくのだとしても。
 今ここにある想いはやはり、本当なのだ。

 この恋する気持ちは、嘘ではないのだ。

01月09日

■本日の読書:『うさ恋。 1』野村美月
 この本を読むことを決めたのは、彬兄殿とのチャットが原因であった。

 ヒロインは月の世界のお姫様。
 月の住人だから、ウサギになる。
 ウサギだから、さびしいと死んでしまう。
 お姫様が悲しいと地球に災害が発生する。

 だもので。
 私はわくわくと期待に胸をふくらませて『うさ恋。』を読み始めた。

 ところがどっこい。

 私は大いに不満を抱いてこの本を閉じることになるのである。
 確かに本の内容は彬兄殿の言う通りである。
 さらに小説としての本書の出来は、決して低いものでも悪いものでもない。
 似たような話として昨年10月に読んだ『乃木坂春香の秘密』があるが、あちらと比較すればはるかに洗練されている。

 だのに『乃木坂春香の秘密』を私は不満に思わず、『うさ恋。』を不満に思う。なぜなら、『乃木坂春香の秘密』はどういじったところであれ以上にもあれ以下にもならないが、『うさ恋。』はやろうと思えばもっともっと(私にとって)面白くなるはずだからである。

 なんともったいないっ!
 もっともっとはっちゃけた。
 もっともっとバカで愉快な話になれる要素がいくらでもあるのに。

 たとえばヒロインが、設定そのままで『ミザリー』のようなサイコな少女だったらっ!

 あるいは主人公が、諸星あたるか、横島忠夫のような性格だったら!

 破綻だらけで八方破れの、ムチャクチャでパワフルな物語が――そこには開けていただろう。

 むろん、これは野村美月さんにとっては言いがかりに等しいだろうし、この人の他の作品もやはり本書同様にほえほえとした展開を楽しむようであるから、読者の多くもこれで満足しているはずだ。
 私の言ったような展開では、むしろ読者も困惑するだろう。

 しかしそれでも。
 私としては理不尽きわまりないとは承知の上で、もったいないという気持ちを抱かざるを得ないのである。

01月10日

 フィットネスプラザで年初のトレーニングである。
 体重と体脂肪を測定。

  前回(12/11)   今回(1/10)
 ・身長167cm     ・166cm
 ・体重70.7kg    ・70.3kg
 ・脂肪率24.9%    ・23.8%
 ・脂肪量17.6kg   ・16.7kg
 ・標準体重61.4kg  ・60.6kg
 ・肥満度15.2%    ・16.0%

 グラフも修正しよう。

 年末年始をはさんで、トレーニングは2週間ぶりなので、少ししんどい。
 週2回のペースを守るようにしたいものだ。

■本日の読書:『歴史群像69号』
 面白かった記事を紹介。

●中国通貨を偽造せよ! 日本陸軍の経済謀略作戦 文=内藤洋介
 このところ偽札のニュースをよく見かけるので、たいへん楽しめた。
 内容は日中戦争〜太平洋戦争における日本陸軍の偽札造り。
 国家をあげての偽札といえば、カリオストロ公国におけるゴート札が有名であるが、日本もけっこうがんばって偽札造りをしていたのである。

 そもそも銀の保有量が多い中国では(江戸時代にも大量の日本の銀が中国に流れた)銀本位制をとっていたが、これを利用して日本は中国の銀を海外に流出させて通貨の信用下落を狙う。

 これに対して、中国への日本進出を防ぎたいイギリスは、1935年、中国の銀行券を当時の世界通貨であるポンドとリンクさせて信用を持たせた法幣として通貨制度を安定させる。

 日本は横浜正金銀行が為替市場で中国通貨を売り浴びせして対抗するが、今度はアメリカが中国の銀を大量に購入して中国の為替安定化基金の原資を提供する。

 太平洋戦争も、いや日中戦争すらも始まる前から、すでに日本と英米は中国市場をめぐって熾烈な経済戦争を行っていたのだ。だが経済戦争で勝てるようなら最初から無理をして中国市場に食い込んだりはしない。

 まともなやり方では欧米の大資本力に太刀打ちできないので、日本は謀略として中国紙幣の偽造を決意。

 だが、中国の高額紙幣はイギリスやアメリカで高い技術で印刷されており、生半なことでは偽札は作れない。日本軍は内閣印刷局の人間もスタッフに入れて透かしの技術を再現しようとするが、なんぼなんでも国家ぐるみの組織犯罪には印刷局のスタッフが難色を示し、結局終戦まで透かしの技術を自ら明らかにすることはなかったという。

 とはいえ、太平洋戦争が始まると香港で本物の紙幣を印刷している工場を占領したりして技術的な問題はかなりクリアされるようになる。

 が――

 戦争によるインフレが何もかもを吹き飛ばしてしまった。
 日中戦争開戦の1937年、中国の法幣の流通額は約15億円。
 これが太平洋戦争開戦の1941年になると、約150億円。
 太平洋戦争も終盤の1944年になると、約1900億円。

 日本が国をあげて取り組んだ偽札は、気が付くとその貨幣価値が激減していたのである。
 世の中そんなもんである。

 しかし、このインフレは戦後もおさまることなく続き、気が付くと蒋介石の国民政府すら打ち倒してしまうようになるのである。
 つるかめつるかめ。

01月11日

■本日のアニメ:『サブマリン707R mission:02』
 凡作である。
 いろいろと思わせぶりな台詞や演出を入れておいて、どうも続きを出すつもりもなさげなところとか。
 エヴァンゲリオン以降、顕著になった『オチなくても引っ張れ』つう傾向が私はどーも好きになれない。むろん、エヴァほどに愉快に破天荒にぐいぐい引っ張ってくれるならそれでもいいのだが、制作者の底が透けて見えるのは不愉快である。

 だますなら、本気でだませ。

 まあ文句は山のようにあるのだが、メインである潜水艦戦は面白かったので良しとしよう。『ドクター秩父山』のあの話のよーな事にはならなくてすんだ。
 特に最後の

「俺が合図したら前部魚雷発射管を、全て開け」
「で、ですが、本艦にはもう魚雷は残っていません」
「敵は知らんよ」
「――それがこちらの、最後の一発だ」

 潜水艦戦の基本だよなぁ、これは。うれしくなっちゃったよ。

 超テクノロジーによる敵潜水艦UX(組み合わせて表記してあるので凶と読めるのがいい)と戦う日本のディーゼル(だろう、たぶん)ドン亀潜水艦707。
 最後に決着をつけるのが知恵と勇気とハッタリというのはたいへん好感がもてる。

 それにしても、私にはこの戦いの場面を見ながら思わずにはいられなかった。

「ああ、『沈黙の艦隊』もきっとこういうクライマックスだったんだろうなぁ……」

 海江田が指揮する原子力潜水艦「やまと」は、魔王のごとき強さで列強の最新鋭潜水艦をなぎはらっていく。これを止められるのは、スペックでいえばはるかに劣る深町のディーゼル潜水艦「たつなみ」のみ。

「強いは弱い 弱いは強い」

 無敵を誇った「やまと」は、かつて「やまなみ」が沈んだのと同じ海底へと沈んでいく。
 だが、世界の軍事関係者を震撼させたこの事件は結局は公表される事なく、歴史の闇に葬られる。
 潜水艦はその戦いも、その滅びも、共に沈黙の中で行われるのだ。

 最初の数巻を読んだ時にはそーゆープロットが私の脳内にくっきりと刻まれたのであるがっ。

01月12日

■本日の読書:『撲殺天使ドクロちゃん 3』おかゆまさき
 日記の途中ですが、ここで質問です。
 「おかゆまさき」「おかゆまさき」だと思っていた人は正直に名乗り出なさい。

 なに?
 そんな脳内アルジャーノンはかけらも考えた事はないだとぉ?
 ……うそだっ!
 キミだって、「おかゆまさき」の方が語呂がいいと内心では思っているはずだっ!
 さあ、正直に言えっ! 言うんだっ!!

 どごっ! ずばぶちゃぁっ! ぴちょ、ぴちょん、ぴちょん……

 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪

 そういうわけで、ドクロちゃんの3巻目です。
 決してうまい小説というわけではないのですが、なんなんでしょうか、この中毒になりそうなばかおもしろさは。
 なんだか『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)に気脈を通じるものを感じるのですが。

 しかし、ナンセンスギャグ系は作者の体力知力精神力、おまけにSAN(正気度)をどんどん低下させていきます。
 そうでなくとも、人の入れ替わりが激しいライトノベル業界。おかゆまさゆきさんは大丈夫だろうかと他人事ながら心配になります。できれば阿智太郎さんのように無理なく続けるスタイルを確立していただきたいものです。

01月13日

 なまった身体を鍛えるためにフィットネスプラザに行く。12月からの週2回ペースは、年末年始をのぞくと順調である。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 19世紀の世界1』
 歴史も大詰めである。
 さすがに19世紀生まれの人はもうほとんど生きていないが、19世紀は感覚的に「おじいちゃんのおじいちゃんが……」とかという感じで、我々と直接つながっている感じがする時代である。
 盆や法事で墓に参るとその19世紀を生きたご先祖様にも手を合わせるわけで、18世紀などのように「なんか教科書の中にだけある記録」というのとはまた違った感じがしてくる。

 さて、ヨーロッパではフランスが革命の後、ナポレオンの台頭を経て、再び王政復古するもやはり旧来に復するわけにはいかず、ウィーン体制は崩壊してしまう。
 ロシアでもデカブリストの乱など、知識階級が革命を企画するもこちらはうまくいかない。社会の成熟度の問題であろうか。それともロシアという風土の問題かも知れない。結局、その後のロシアの改革が何もかもを破壊する赤色革命であり、現代になってのゴルバチョフの失敗を顧みると後者の気が強くしないでもない。

 かつて東のローマ、ビザンチン帝国を滅ぼしたイスラム世界の雄、オスマン・トルコは土台からがたがたと崩れていく。豊かで文化的な背景も違うエジプトは半ば独立し、お膝元のギリシアは英仏などの列強の力を借りて反旗を翻す。黒海からはロシアが南下という具合である。

 中国も清が斜陽を迎える。阿片貿易を何度も取り締まろうとしてできなかったあたり、政府の統制が取れなくなってきているのがうかがえる。

 東南アジアやインド、アフリカ方面では、ヨーロッパ列強のスタンスが微妙に、だが決定的に変化していく。それまで、貿易で利潤をあげようとしていたのが、制圧し、経営して利潤をあげようという方向へ変わってきたのである。ヨーロッパの仲間内で四六時中戦争をして高めた軍事力と技術力の優越は、距離と人数の差をくつがえしてこれらの国々を植民地のくびきへとつなぐことになる。

 この号の北アメリカの記事は猿谷要さんが担当であるが、黒人やインディアンに関する表現がどうも気に入らない。彼らが差別を受けた事実について記述するのはいいが、そこに善悪の判断を持ち込むのはやめていただきたい。

 ラテンアメリカでは、ナポレオン戦争のごったごたが原因で、植民地生まれの白人および白人混血のクリオーリョが主導してスペインやポルトガル本国からの独立を果たす。が、彼らは彼らで「わしらの好きにさせてもらうで」というラテンな考えで政治もやっちゃうからこれらの国々がきれいに治まることは決してないのであった。

 なお、この号の裏表紙『絵のなかの女たち10』は、かの宮廷萌え絵画家フランソワ・ジェラール描くフランス美人代表『レカミエ夫人の肖像』である。
 人妻でサロンの女主人である。27才年の離れた銀行家の旦那は、彼女の母親の恋人でもあり、一説によると、彼女自身の実の父親でもあるという。
 なお、この裏表紙を飾る萌え絵は、本人にではなく、彼女に求愛したプロイセンの王子アウグストのところへ贈られたものだそうだ。

01月14日

■ローマ:トータル・ウォーその3)ローマ軍の戦い方
 ローマ:トータル・ウォーでは、まず戦略マップで軍隊を移動させる。
 編成は時期や予算によってまちまちだが、基本はコンバインド・アームズ、諸兵科連合である。
 歩兵、騎兵、弓(投げ槍)兵。
 この3種類がバランス良く編成されていることが望ましい。
 後、一門の将軍がいると指揮能力が戦闘力に加算されるのでできれば連れて行きたい。成人したての若い将軍は指揮能力が低いので、山賊討伐などの軽い戦闘で経験を積ませておこう。

「御屋形様、ベルギカ(現在のベルギー)でガリア人が反乱を起こしました。その数は約400」
「近くには誰がいる?」
「ウィルギカクス将軍がいます」
「確かブリトン人の降将だったな。使えるのか?」
「老練で(55才)堅実な用兵をする男です」
「よし、補助軍団兵3個(81人*3)に騎兵1個(54騎)をつけて討伐させろ」

 こうして、冬の大地で戦いが始まった。
戦闘初期配置
「よし補助軍団兵(投げ槍)を前進させよ。わしと騎兵は左翼に回る。敵に弓兵はいないようだな」

 戦いはまず、投射兵器(弓、投げ槍)の攻撃で始まる。
 敵に弓兵がいないならば、距離を置いて一方的に攻撃できる。大きなアドバンテージとなるのだ。

 だが、反乱軍はその不利を補うべく、射程に入るやいなや突撃を敢行した。
戦闘開始
 どどどどどど。
 雪煙をあげ、馬蹄を鳴らして反乱軍騎兵が突撃をしかける。
 投げ槍で、数騎が傷つくがすぐに距離がつまり、肉弾戦に移行する。
 となると、軽装の飛び道具兵は不利だ。細長く広がった戦列がたちまち踏みにじられる。

「残りの補助軍団兵を出して支えよ!」
「ふぉわーどっ!」

 ざっざっざ。
 鎧をつけた軍団歩兵が前進して敵騎兵の突撃を食い止める。
 こうして歩兵部隊が支えている間に――
包囲直前
 ローマ軍の騎兵部隊が、敵の背後へと回り込んでいた。

「よし、突撃ぃぃ!」
「あたぁああっく!!」

 背後からの騎兵の突撃により、たちまち反乱軍は崩れ立った。
 反乱軍指揮官が乱戦の中で騎兵の槍にかかるや、反乱軍は逃走を開始する。

「逃がすなっ、皆殺しにしろっ!」
掃討戦
 冷酷なようだが、古代世界に情けは無用である。反乱を起こせば死刑。これが徹底してこそ平和は保たれるのだ。

「平和、か」
「どうなさいましたか?」
(このままではいつまでたっても反乱はいっこうに収まらぬ。ローマには強い指導者が必要なのだ)

01月15日

■本日の読書:『終わりのクロニクル 4下』川上稔
「そういうわけで、4th-Gと5th-Gの全竜交渉も終わったんだけど……」
「どうかしたのかね?」
「んー。ヒオのひいおじいちゃんは、なんであんなよく分からない委任状を残したんだろうって思って」
「うむ。いろいろと考えられるが、このアニメが参考になると思うね」
「ジャイアントロボ? それって、半ズボンの少年が操縦するロボットだっけ?」
「うむ。ひとつだけでなく28号まで存在するらしい。で、この作品では世界がひとりの男の復讐のために破滅しかけるのだが、その復讐のきっかけとなったのが壮大な勘違いなのだ」
「勘違い?」
「詳しくは作品を見て確かめればいいが、父親がちゃんとした遺言を残さなかったために息子は勘違いで復讐を誓い、世界は破滅しかけた」
「……うわー」
「それだけなら悲劇で終わったのだが、息子は最後に父親の真意を知ってしまう。息子が『どうしてちゃんと教えてくれなかったんですかぁぁ?』などと泣きを入れる場面は、アニメ界きっての爆笑シーンとして名高いね」
「そ、それって笑っていいのかなぁ」
「笑う以外にどうしろというのかね。息子は自分のためではなく、父親のために復讐しようとした。己の意志を捨てて、すべてを死んだ父親に委ねようとした。彼の正義も、彼の憎しみも、すべては紛い物だった。そういう存在を表わす言葉はただひとつだ」
「人形?」
「いや、人形ですらないし、そんな言い方をしては3rd-Gの自動人形達が怒るだろう。彼は、“道化”だったのだよ。ならば、その道化の踊る様は笑いをもって評価するしかないだろう」
「つまり、リチャードさんは自らの全権を米国UCATに委ねることで――」
「そうだ。委ねたのはもはや存在しない権利。虚構の権利だ。もしも米国UCATが賢明であるのならば、それでよし。そうでないならば――」
「そうでないなら?」
「道化となって恥をかき、そして学ぶだろう」
「いろいろと深く考えていたんだ」
「いや、ひょっとしたら単純にアメリカンジョークのつもりだったのかも知れないが。うん、きっとそうだ。モンティ・パイソンみたいなノリで。画面の脇から笑い声が聞こえてくるんだ」
「いろいろな意味でそれって間違ってるよっ!」

01月16日

■ローマ:トータル・ウォーその4)謀略と政略
 ガリアとブリタニア、そしてスペインを制圧し、広大な後背地を手に入れたユリウス一門。
 だが、ローマの藩屏として粉骨砕身するユリウス一門に、元老院はしだいに高圧的な態度に出るようになる。

「なんと、ダキアを攻めろと?」
「はっ。元老院に置かれましてはダキアのパンノニア属州を攻略せよとの指示にてございます」
「解せぬ。ダキアとは対ゲルマニア戦での盟友。我がユリウス一門とはその縁浅からぬ仲じゃ。その方、ローマで何を説明しておったのか」
「は、ダキア王との同盟を説明申し上げましたところ、それはユリウス一門による私的なパトロネージに過ぎぬ、そのような同盟を偉大なるローマが認めるわけにはいかぬ。そう元老院議員の方々はおおせでした」
「なんとっ! 我がユリウス家の約束を反故にせよと?」
「実は……マケドニアを降したブルトゥス家が、ダキアの地を狙って元老院を動かしたとの情報がございまする」
「ぬぅ、それではローマを私(わたくし)しているのは我が一門ではなくブルトゥス家ではないか!」

 ユリウス家は、すぐさま密使をダキア王の元へと送った。ブルトゥス家がダキアを狙って軍を動かしているとの情報を携えて。

「おう。さすがユリウス家の頭領は律儀でござる」
「それに対して元老院のなんと節操のないことよ」
「そのような軟弱な文明人に我らダキアの民が屈すると思うてか。皆の者、戦の準備じゃっ!」
「おう!」

 ダキア王は軍勢をまとめ、ブルトゥス家を迎撃する。
 が――

「ふぁらーんくす・ふぉぉめぇぇしょんっ!」
「おうっ!!」

 ダキア王の軍勢はギリシア、マケドニアを制圧し、ホリプタイ傭兵を傘下におさめたブルトゥス家の軍勢に鎧袖一触、打ち破られたのである。

「退け、退けぃ!」

 敗走するダキア軍。なんとか城塞に逃げ込もうとするが、そこはすでに、ローマ軍によって十重二十重に囲まれていた。

「王、あの旗印を!」

 ダキアの城塞を囲むのは、ユリウス家の旗印であった。

「ど、どういう事でござるっ?」
「どうもこうもなぁ……おまえら、弱すぎ
「なっ?!」
「せめてブルトゥス軍に大損害を与えてくれれば領土のひとつくらいは安堵してやろうと思っていたんだが、こうも見事に負けるとはなぁ」
「ま、まさか」
「せっかく情報をリークして戦の準備を整えさせてやったというのに……無能め」
「は、謀ったなぁっ!!」

 激高するダキア王が突進する。
 そこへ一斉に投擲される無数の槍。
 ダキア王は無念の形相もすさまじく、戦場に散ったのであった。

 こうしてダキアの領土は、ユリウス家とブルトゥス家によって分割された。
 これは東に向かったブルトゥス家と、西に向かったユリウス家がついに国境――名目上はどちらもローマの領土なのだが――を接したという事である。

 ローマの覇権は、新たな段階を迎えつつあった。

01月17日

■本日の読書『密偵ファルコ 青銅の翳り』リンゼイ・デイヴィス
 ローマな気分なのでローマな本を読む。
 この密偵ファルコというシリーズは、紀元70年のローマ帝国を舞台にした作品である。
 登場人物のキャラクターはどこからどこまでも現代ハードボイルドなのだが、舞台設定や情景描写はあくまできっちりローマ帝国である。このへんのバランス感覚の見事さが本書を面白くしている。

 さて、前の巻でローマ帝国でのクーデター騒ぎを未然に防いだファルコであるが、この巻はその騒ぎの続きである。
 時代背景的には、この紀元70年というのは実にびみょーな時代である。
 何しろ、ちょっと前まで皇帝がぼこぼこ代替わりしていたのだ。ようやくヴェスパシアヌス帝になって安定し、後の五賢帝の時代につながるというわけで。

 ファルコは、そのヴェスパシアヌス帝の密偵として働くが、ファルコ自身は共和主義者を広原してはばからない。別に彼に何かビジョンがあるわけではなく、まあ、反骨精神の現れであろうか。ちゃんとブリタニアで軍役もつとめた立派なローマ市民だ。

 さて、本巻でファルコは謎を追ってポンペイの町に向かいそこで捜査を行なう。なお、我々はよく知っていることであるが後10年もしたらポンペイの町はヴェスヴィオ火山がどかんと噴火して火山灰に埋もれてしまうのだ。なんか読んでいて「志村〜後ろ後ろ〜」状態である。
 何せ恋人と一緒にヴェスヴィオ火山に登ってむかし大暴れしたスパルタカスなんかに思いをはせるシーンが入っていたりするのだ。そんな事をしている暇があったらさっさと事件を解決してローマに帰れ。

 めでたく事件は解決するのだが、最後の方でファルコの甥の少年(なかなか良いアシスタント役である)が、将来設計でこのポンペイの町で絵描きをやるとか言い出すので、読者としてはファルコと同じく

「悪い事は言わないからやめておけ」

 と忠告したくなる。
 ハードボイルドとしても、歴史小説としても良い本である。既刊は全部そろえているのでこれからぼちぼち楽しむことにしよう。

01月18日

■本日の読書『シミュレイター13号』
 温故知新。
 つうわけで、新年なので今より20年前の同人誌を引っ張り出す。
 後に関連メンバーの手で同名の雑誌が出るので『旧シミュレイター』とも呼ばれる同人誌である。

 『1985年ゲーム会はどうなるか?!』というタイトルで、座談会をやっているのだが、大貫昌幸さんや、まだお若いヒゲの大佐こと鈴木銀一郎さんやらがいて、ちょっとしばし懐旧の念を呼び覚まされてしまいましたよ。

 RPG関係では、こういう話題が出ている。

大野さん:ロールプレイングゲームを分かって出しているのは『トラベラー』だけ。
 日本にはファンタジーに関するバックグラウンドがないからこのまましぼんでしまうのではないか。(『D&D』や『ロード・トゥ・ロード』に関してと思われるが)

大貫さん:『トラベラー』は買った人は多いだろうが、プレイできない人も多い。ボクもそうだ。ロールプレイングゲームの面白さはキャラクターの成長で、『トラベラー』にはそれはなく『D&D』にはある。

 ううむ、さすが視点が鋭い。

01月19日

■本日の読書『朝日百科世界の歴史 19世紀の世界2』
 まず最初の記事である『列強の条件』というのが良い。
 まとめるとこうだ。

 列強とは次の条件を満たす国である。
 自国の船で世界のどこへでも行き、商売ができる。
 その自国の船団を守る海軍を保有している。

 簡潔にして明瞭である。

 さて、その列強のヨーロッパであるがナポレオン以降、革命の波が何度も押し寄せては返している。はっきりいって、革命のほとんどはその目指す方向に社会を変革する役に立ってなさそうなのがよろしい。
 世の中そう甘いもんではないのだ。

 かといって、上からの改革がうまく機能するかというと、ロシアはアレクサンドル2世の改革も大貴族の抵抗があってなかなかうまく機能しない。

 インドではセポイの反乱が発生するが、鎮圧される。そしてイギリスの直接統治時代を迎えるのだ。

 中国ではアヘン戦争に敗北するが、決してヨーロッパ列強も一方的に勝利できたわけではなかった。けっこう苦戦はしているのだ。だが、容赦のない効率的な戦争のやり方を学んできたヨーロッパは、最終的な勝利をものにする。
 中国は、改革開放路線にシフトするがやはりうまく機能しない。

 日本もついに開国。だが、国内の反発は大きく内戦状態になる。日本も一歩間違えれば他の国々と同じダメダメな展開になる可能性は大きかったのだ。
 だが、日本は――成功する。これは確かに興味深い。

 アメリカでは南北戦争。南軍は善戦するも最後は戦力の差から敗北。ここもやはり、成功した改革、革命のひとつと言えるだろう。

 ラテンアメリカでも革命やら独立やらが盛んであるが、さすがというかなんというか。
 ぐだぐだである。もう、何が何やら。

01月20日

■本日の読書『すぱすぱ1〜3』三宅大志
 『すぱすぱ』というのは『すぱ』+『すぱ』ではない。
 『SPAS』+『PA』である。
 ぶっちゃけ、ヒロインの女の子が使うのが、フランキ スパス12というショットガンなのである。

 絵はあまり上手ではない。
 キャラはありきたりである。
 設定はどっかのギャルゲではないかと思われるほどで。
 ストーリーだって、決して誉められた出来ではない。

 だが、私はこの作品が好きだ。
 なぜならば、この作品には魂が感じられるからである。

 そういう作品が私は好きだ。
 技量など大きな問題ではない。へたに擦れているよりは、情念がほとばしってどうにもこうにも暴走しているくらいのほうが、やはり楽しめるのである。

01月21日

■本日の読書:『撲殺天使ドクロちゃん 4』おかゆまさき

 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪

 やあもう、この特徴あるフレーズもすっかり脳内に定着してしまいましたよ。なんかこう、すっかりダメな人間みたいですなぁ。

 ドクロちゃんの方も、最初は少しはまともだった桜くんが、話が進むにつれて他のキャラに合わせるかのように妄想爆裂型のおバカちゃんになっていくのがいい感じでありんす。

 まあ、ひとり交換日記とか書いてる時点ですでに引き返せないよなぁ。

 さらに今回は脇のキャラもどんどらはっちゃけていて、

 脳内名探偵おうムル「なに、簡単な事だよ」をはじめ
 エゾ鹿になった木下くん「メーメー」(……メーメー?)や
 最初に猿にされた松永くん「ウキィー!」などが大騒ぎをして、
 フィックの方程式のごとく状況は混迷の一途をたどっています。
 が、その意気や良し。
 骨はひろってやるので、ドクロちゃんにはがんばってこの調子で続けて欲しいものです。

「うん、ボクがんばるよ! おとなりを、守り続けて400年――」

 って、それは違うでしょーっ?!

※もちろん、これは“骨”と“ドクロ”をひっかけたハイソな言葉遊びです。
 ……そんな目で僕を見ないでーっ?!

01月22日

■本日の読書:『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』長谷川裕一
 まず、今。自分がやれる事を――やる。
 原作がガンダムだろうが、ダンバインだろうが、鉄人28号だろうがハイスピード・ジェシー(覚えてる?)だろうが。
 長谷川さんが描くのは常にそういうキャラである。

 このクロスボーン・ガンダムの外伝においてもそうした作品作りは一緒である。
 いつも通りということで、たいへん安心できる作品だ。

 さて本書に収録された作品の中でもやはり面白いのはウモンじいさんの若かりし頃の武勇伝、『バカがボオルでやってくる!』と末尾の『猿の衛星』であろうか。

 ボールで(リック)ドム6機を撃墜したという自称ニュータイプのウモンじいさんは、『第二次スーパーロボット大戦α』というゲームでは、本当にニュータイプである事が明らかになったのであるが、実はこのじいさんが私のチームで一軍に入っている理由はニュータイプだからでも、その能力が高いからでもない。

 つうか、ニュータイプとしてはたいしたことがないし、パイロットとしても(スーパーロボット大戦に出てくるバケモノのような連中からすれば)平均以下でしかない。
 だが、ウモンじいさんは精神コマンドで『脱力』を覚えているきわめて稀なキャラなのだ。相手の気力(やる気)を下げるこのコマンドは、ウモンじいさんにぴったりと言える。

 で、『バカがボオルでやってくる!』でのウモンじいさんの活躍はまさにこの『脱力』コマンドの効果とぴったり符号するのだ。
 やー、さすがだ。最後にきる啖呵もじいさんらしいし。

 そして『猿の衛星』は、宇宙で生体実験を繰り返した猿がニュータイプになって人間に反抗するという、まことにもってホロ苦い話。
 長谷川さんにとってのニュータイプというのは、あくまで人間が宇宙に適応して得た能力に過ぎないというのが従来からの主張であるが、こうして猿までニュータイプにしちゃうのは、見事というかなんというか。

01月23日

■ローマ:トータル・ウォーその5)永遠なるローマ
 いつしか――
 ゲーム開始より、150年が経過していた。

「我が家門も5〜6世代目になってきたのぉ」
「ユリウス一門の成人男子60人。そのうちの10人はガリア、ブリトン、ゲルマン、ギリシアの人間です」
「何しろ指導者からしてブリトン人で入れ墨つきだからな」

 スペイン、ガリア、ブリテン、ゲルマン、ダキア。
 ヨーロッパの西から東にかけてを自らのクリエンテスとしたユリウス一門は、ローマ最強、そして地中海世界最強であった。
 2位が、ブルトゥス家。
 3位が、スキピオ家。
 その3つの勢力の仲介をする元老院の力は最近とみに衰えつつあった。
 ハイパーボリアに攻め込めなどという、夢のような話が舞い込んだのはそんな時であった。

「ハイパーボリア? どこだそりゃ?」
「なんか、蛮人王コナンかクトゥルフ神話みたいになってきましたが、ちゃんとロシアの奥地にありましたよ」

 深い森に閉ざされた小さな集落へは、ゲルマンにある前線基地からでも5年はかかる距離にあった。

「遠いなぁ、つうか、広いなぁ……」
「ロシアの平原ですからね」
「ん? 向こうから砂埃が近づいてくるぞ」
「全軍に警戒態勢をとらせます」
「あれは戦車だぞ……しかも、乗っているのは……」
「女……ですね」
アマゾン戦車兵
「うわっ、しかも強いっ?!」

 ローマ:トータル・ウォーにおいて戦車兵は強力な存在である。
 1部隊あたりの数は少ないのだが、何より高速で走り回り、歩兵の隊列などたちまち蹂躙してしまう。しかも弓兵が乗っているからそうやって隊列が崩れたところを射抜かれてしまう。普通の歩兵部隊ではそれがローマ軍団兵であってもとても太刀打ち出来る相手ではない。
 ましてや、はるばるゲルマン前線基地からの遠征部隊は補助軍団歩兵が主力。
 平原でのアマゾン戦車軍団により、将軍が討ち取られ、全軍の8割を失う大損害を受けて遠征部隊は退却をよぎなくされた。

「くっそぉ、おい。イタリア本土防衛部隊を出せ」
「ほ、本土防衛部隊ですか? 精鋭中の精鋭ですよ?」
「かまわん。あんな辺境の女どもに苦杯を喫したままではローマの名折れだ。伝説だか神話だか知らないが、ローマ人の面子に泥を塗ってそのままでいられると思うなよ」

 イタリア本土防衛部隊から、さらに快速の騎兵部隊を選りすぐり、はるばるロシアの奥地へと送り込む。金と人材の無駄遣いではあるが、圧倒的な兵力でアマゾンの町テミスキュラ(THEMISKYRA)を包囲し、殲滅する。
 アマゾン軍団は必死に抵抗するが狭い町の中に押し込められては得意の機動戦もできず、もみつぶされるようにして壊滅した。

「生き残りのアマゾン達はどうします?」
「奴隷として各都市に移送しろ。これがローマのやり方だ」

 アマゾンの多くは剣闘士奴隷として好まれたが、中には貴婦人の護衛となり、その働きによって解放奴隷となった者も多く存在している。
 後にローマ皇帝となった者の何人かは、そうした解放奴隷となったアマゾンの子孫であったという。

「さて……恥辱もそそいだことだし、いよいよローマを攻めるか」
「何しろもう攻めるところがなくなりましたからね」

 古代地中海世界を割拠していた大勢力のあらかたがすでに滅び去っていた。エジプトはスキピオ一門が支配し、ファラオを名乗る一族はキプロスに押し込められていた。
 ギリシア世界はブルトゥス一門が押さえ、ポリスを名乗るのはロードスだけであった。

「騎兵部隊はアマゾン討伐に行ったのでまだ帰って来てないが、どうせ城攻めだ。歩兵部隊と攻城兵器が主力でいいだろう」
「しかしさすがに兵を動かすとなると、名目が――」

 その時、天災がローマを襲った。
 疫病である。
 ばたばたと人々が倒れ、さらには多くの人間、特に元老院議員などがローマを逃げ出した。ローマはまさに無政府状態となったのである。

「お屋形様、好機ですぞ!」
「うむ。近衛軍団を集めよ!」

 ずらりと整列するユリウス近衛軍団。
 鍛え抜かれた精鋭中の精鋭である。彼らはユリウス家が持つ莫大な富で仕立てた武具を身に帯び、それは陽光を反射してまばゆく輝いていた。

「親愛なる兵士諸君。これより我らはルビコン河を渡り、フラミニア街道とカッシア街道を南下、王城ローマへと進軍する」

 規律においても忠誠心においても選りすぐりの男達は、国法を犯す命令にもしわぶきひとつたてない。

「ローマの城壁を破壊し、城門を打ち壊し、七つの丘に我らユリウスの旗印をかかげる」

 一呼吸。

「敵は、フォロ・ロマーノにありっ!」
「おうっ!」

 電光石火のユリウス軍の動きにブルトゥス家もスキピオ家も反応が遅れた。
 実際、両家は辺境において発生した大規模な反乱にその軍の主力を送り込んでおり、イタリア本国にはほとんど兵力がなかった。
 ましてや、元老院には固有の兵力などほとんどなく、堅牢な城壁も守るべき兵士がいなければただの障害物でしかない。
 ほとんど兵を損なうことなく、ローマはユリウスの軍門に降った。
 そして、同時に動いた別動隊によって、ブルトゥス家、スキピオ家もその主要メンバーを拘束されたのである。
ローマ皇帝
 紀元前106年。ローマ帝国、ユリウス王朝の始まりであった。

01月24日

■本日の読書:『メイドなります!〜彼女は幼なじみ〜』青橋由高
 メイド小説である。
 これ以上はないというくらいメイド小説である。

 何しろ親が仕事で海外に行ってしまい、大きな屋敷でひとり暮らしをすることになった高校生の主人公のところへ、ハタチぐらいの若い巨乳のメイドさんがやってきて、「ご主人様、ご主人様」と尽くしてくれるお話なのである。

 しかも、主人公のとなりの家には勝ち気で美少女な幼馴染みがいて、それまで文句を言いながら主人公の食事を作ったりしてなんやかやと世話を焼いていたのだが、美人のメイドがやってきて危機感を抱いた彼女は自分も賭けに負けたフリをしてメイドになって主人公に尽くすのである。

 すごいなぁ。

 夾雑物のない、目的とニーズのために純化したこの物語構造に、私はいっそ感動すら覚えるほどである。

 友人に勧められて買ったのだが(いや、メイドスキーな彼ではない。別のだ)、世の中というのはなかなかどうして奥が深い。

 ところで、この作品には続きがあるらしい。タイトルは同じで、副題が『すくみず』である。
 『すくみず』って……『すくみず』だよな?

 なお、本書には18才未満禁止の指定はないが(小説だから)、立派にエロ本に分類される内容であるからして購入と読書と使用には十分に注意されたし。

01月25日

■本日の読書:『ゲームジャーナル13号』
 収録ゲームは、かつてTACTICS7号に掲載された『ドイッチュラントウンターゲルト』と、STRのミニサイズで出た『ロンメルアフリカ軍団』である。懐かしいはずで、21年前と16年前の作品だ。どっちも楽しく遊んだ記憶がある。

▼『ドイッチュラントウンターゲルト』
 “プロフェッサー”高梨俊一さんの作品である。
 高梨さんはその言葉の選び方が実に巧みな人で、この作品につけられた煽り文句がまた良いのだ。

『諸君は戦争経済をご存じない!』

 これは独ソ戦の時、あくまでモスクワ攻略を主張する将軍達に、南方に旋回しキエフ侵攻を命じるヒトラーが言ったとされるセリフである。
 タイトルと煽り文句から想像されるように、これは第二次世界大戦のヨーロッパ戦役を戦争経済という視点からとらえたゲームである。
 いや、ゲームというにはやや差し障りがある。
 一種のシミュレーターと考えた方がいいかも知れない。ヨーロッパ戦役の流れを、幾つかの大きな分岐点を用意し、通して流してみるわけである。分岐点にはサイコロの出目という不確定要素も含まれる。
 フランス侵攻が長期戦になっていたら――?
 イギリス侵攻が成功していたら――?
 独ソ戦が史実とは違う展開を見せていたら――?
 そうした、歴史におけるifを、小説のようにきちんと考証して出すのではなく、イメージとして素材だけを提出する作品なのである。このゲームを楽しめるのは、だからそういう脳内妄想の得意なプレイヤーに限られると思う。ソロプレイもいいだろう。
 高梨さんらしく、実際の展開はまことに散文的なのであるからして。

▼『ロンメルアフリカ軍団』
 鈴木銀一郎“大佐”の作品である。
 プロフェッサー高梨とは逆に、鈴木大佐のデザインするこのゲームは、いかにプレイがその場で楽しく盛り上がるかを焦点に作られている。
 ロンメルアフリカ軍団というタイトルだけではそれが北アフリカキャンペーンのどのあたりか想像しにくいだろうが、イギリス軍のクルセイダー(十字軍)作戦を扱った作戦級ゲームといえば、なるほどと理解される人も多いだろう。

 『砂漠の狐』ロンメル将軍に対抗するため、イギリスがなけなしの予備戦力を投入してはじめたクルセイダー作戦は、お互いに勘違いやミスが連発したものの、通してみるとなかなかに『良い試合』だったのである。
 戦力で勝り、作戦レベルでの奇襲に成功したイギリス軍に対し、ロンメルの陣頭指揮による軽いフットワークで反撃をするドイツ軍。どちらにもそれなりの見せ場があり、しかも状況は流動的で息つく暇を与えない。
 実際に戦っていた両軍の兵士や、神出鬼没のロンメルを相手にしていた(これまた両軍の)指揮官にとっては胃がきりきり痛むような戦いであったろうが、机の上で友人と小一時間ほど頭をひねらせながら遊ぶ分にはこれ以上の娯楽はあるまい。

 両軍どちらのどの部隊が次に動くのか分からないというチット引きを利用したコマンドコントロールも、何度も遊んで飽きさせない工夫のひとつである。

 いずれも優れたゲームでありながら、なんとも対照的なこのふたつのゲームを付録にもってきたあたりに編集部のウィットが感じられて楽しい。

01月26日

 私の、ローマ皇帝になるという野望は果たされた。
 さて次の目標であるが。

 Hearts of ironで、今度はイタリアでプレイ。ムッソリーニとなって、彼がぶちあげたローマ帝国の再興を成し遂げる。

 あるいは

 そう、皇帝の次は神になるというのは悪くない。
 つまり、ローマ:トータル・ウォーでエジプトをプレイし、ファラオになるというわけである。

「ファラオの呪いをくらえ〜」

 などと愉快セリフが使えるのもこのプレイの魅力であろう。

01月27日

■本日の読書:『ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル:ルビコン以前』&『ローマ人の物語V ユリウス・カエサル:ルビコン以後』塩野七生
 ローマな気分を出すためにいろいろと本を読み返していたりなんかしていたのであるが、愉快描写があったので紹介しておこう。

『しかも、クレオパトラの乗船する旗艦アントニア、つまり「アントニウス号」にいたっては、一本の櫂を操る漕ぎ手の数は十人にもなる十段櫂船で、』(5巻の464頁)

 わははははは。

 古代の多段櫂船がどのような構造であったかについては、一昔前までは塩野さんが書かれていた内容の考察が主流であったと思う。
 理由はおそらく、中世のガレー船から類推したのであろう。これより1000年後のガレー船では、一本の櫂が大きくて重く、数人で漕ぐ方式であったのだ。そういえば、塩野七生さんの出世作とも言うべき『海の都の物語』などは、このガレー船が主流であった。

 だが、現在では古代の三段櫂船とか五段櫂船とかは、櫂の数が実際に3本とか5本であったと考えられている。
 こんな感じである。

 三段櫂船
 五段櫂船

 十段の場合は、さて、どうだろうか。実際に櫂が十本あったのか、それとも五段櫂船を少し大きくして、オール1本に2人がついていたのか。

 さてカエサルについて読んで、私なりに少し思うところがあったのでここに記しておこう。
 カエサルが軍事でも政治でも非凡な才能を示した万能の天才であるのは間違いない。
 しかし、彼には専制君主としては重大な欠点があったのではないかと私は思う。
 後に、カエサルに匹敵する天才ぶりを示す人物としてはナポレオンがいるが、あのナポレオンにも同じような欠点があった。

 部下が、ダメになるのである。

 ナポレオンの部下の将帥達は、いずれもひとかどの武人である。武勲の誉れが高く、戦場においてはまことに頼りになる。
 ――ナポレオンの監督の下にあれば。

 諸国民戦争においても、ワーテルロー戦役においても、ナポレオンの指揮範囲から出た将軍達はまるで活躍できていない。むしろ、その無能ぶりがクローズアップされるほどである。

 同様に、ガリア戦争、ポンペイウスとの内乱、そしてカエサル死後の内戦――これらの戦いで、カエサルのコントロール下にいない部下達は、これが同じ人間かというほどに稚拙な行動に終始している。

 むろん、それが彼らの実力であり、カエサルの人使いが上手かったせいだという指摘もあるだろうが、私はそれだけではないと思う。
 なぜならカエサル死後に最終的にカエサルの後を継いだのが、アウグストゥスであったからだ。カエサル暗殺時に18才であったアウグストゥスが、権力闘争を勝ち抜いて勝利者となったのには理由があると思えるのだ。

 もちろん、アウグストゥスには能力があった。でなければカエサルは後継者としてアウグストゥスを選ばなかっただろう。ではなぜ、アウグストゥスには後継者としての才能があり、カエサル配下の大勢の部下にはそれがなかったのか?
 彼らは経験も積んでいる。
 年齢だって30代のまだ若い連中が多い。
 だが、彼らはカエサルの下で仕事をするのに馴れてしまっていたのだ。

 繰り返す。
 カエサルは天才である。軍事においても政治においても、カエサルほどの才能を持つ人間は他にはいなかった。

 それゆえに、カエサルの下で仕事をする人間はカエサルの判断に依存してしまう。

 自分より圧倒的に優れた人がいるのだ。その人の判断に従って行動すれば間違いはないのだ。
 ならば、なぜ自分で考える必要があるだろうか。
 それは確かに、カエサルは細かい部分まで指示を出さなかっただろうし、実務の細々とした事に関してはそれなりに知識や判断、経験を必要としただろう。
 しかし、グランド・ストラテジーの部分における大局的な判断や決断は必要ない。否、むしろ有害ですらある。

 こうして、カエサルの部下は、それが長くカエサルの元で手足のごとく働けば働くほどに、指揮官として、指導者として最も重要な部分をスポイルされていく。

 反論はあるだろう。有能な人間の元で働くからには、そこから学び取る事もできるではないか、と。
 だが、その学ぶべき相手がカエサルという天才では、ナポレオンと同様、逆に作用したのではないかと私には思える。人間としての規格が違いすぎたのだ。

 カエサルは不思議に、残念に思ったかも知れない。これぞと思い、手塩にかけてきた若者達が、すべからく『この程度か』になっていくのを。自分と同等にはならなくとも、せめて後継者になれるぐらいの素質はあったと思っていたのに――と。

 だからこそ、カエサルの非業の死の後を継いだのは、カエサルに才能は見いだされたが、幼くてカエサルの下ではほとんど働くことなく、自らの手で試行錯誤を繰り返しながら成長せざるをえなかったアウグストゥスであったのだ。

 であるのならば。
 もしも、カエサルが暗殺されることなく、もう10年かそこらを生き続けて。
 大往生を遂げた後にカエサルを継ぐのは――アウグストゥスではなかったのではないかと、私には思える。アウグストゥスもまた、カエサルによって『最適化』されてしまい、一官僚としての能力しか持ちえなくなっていたのではないか。

 アウグストゥスがその後のローマ帝国興隆のために成し遂げた事から考えると。
 カエサルがあそこで死ぬのは、ローマ帝国にとって、カエサルの夢にとって、一番良かったと言えるかも知れないのだ。

01月28日

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 19世紀の世界3』
 パリ・コミューン、第一、第二インターナショナル。
 アフガーニーによる革命的大衆運動。
 ナローニドキ運動。
 インド人協会。
 義和団、東学党。
 圧政に立ち向かう、民衆の自由と尊厳を求める、社会的な正義を目指す、これらの運動は――
 そのほとんどが失敗に終わっている。
 昨日まで読んでいたカエサルの言葉を借りるのであれば、

「どれほど悪い結末でも、それがはじめられたそもそもの動機は善意によるものであった」

 ではなぜそうなったかというと、これまたカエサルの言葉であるが、

「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」

 ……思うに、カエサルが憎まれて暗殺されたのもよく分かる気がするな。
 こんな人間が身近にいては、頭が良くて自負心のある人間ほどむかつくに違いない。

 そしてむろん、こうした失敗に終わる改革運動というのはおおむね現代の歴史家からは好意的に解釈されるのである。おそらく、その善意と挫折に親近感がわくのであろう。

01月29日

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 20世紀の世界1〜3』
 まとめて斜め読み。
 理由は面白くないから。
 『生活』編とかは20世紀になっても面白かったのになぁ……。
 この『展望』編の現代史における読み物としての失敗は明らかである。(いやひょっとしたら、執筆者には歴史は娯楽だという意識がないのかも知れない……まさかとは思うが)
 何度も繰り返すが、歴史に善悪を持ち出すんじゃねぇ。
 唯一面白かったのは、末尾のいしいひさいちの四コマ漫画『コミカルヒストリーツアー』と、清水義範さんのコラムである。
 執筆者の方々にはこのおふたりを見習っていただきたい。

01月30日

■ローマ:トータル・ウォー ファラオ編その1)神は舞い降りた
 ユリウス編ではマップの西側メインで戦ってきたので、気分を変えるためにも東側に移動する。
 象を使えるセレウコス朝シリアも悪くはないのだが、ここは悠久のナイル、プトレマイオス朝エジプトでいってみよう。

 エジプトの書記による、因果律を逆転したデスノートみたいなオープニングを見てからスタート。

 ……うーん、エジプトだからいきなり豊かというわけではないのだな。初期戦力はたいしたことはない。期待していたナイルワニ部隊も存在しない。うう、期待して副読本として『バナナワニプリンセス』も用意しておったのに……

 ナイルワニの代わりに序盤でエジプト軍の主力となるのが『ヌビア槍兵:Nubian Spearmen』である。ヌビア人というのはエジプトの南に住む黒人で、腰簑だけ付けた半裸の野蛮人である。だが同じ野蛮人といっても、西でさんざん戦ってきたガリア人とはひと味違う。

 なんとこいつら、ファランクス隊形が可能なのだ。

 ファランクス隊形というのは、いわゆる槍ぶすまである。厳正な規律と訓練がなくてはできることではない。すごいぞ、さすがはヘレニズム国家!

 ここでもうちょっと背景について説明すると、ピラミッドを建造したエジプト古王朝とこのローマ:トータル・ウォー開始時点の紀元前3世紀のプトレマイオス朝エジプトはまるで違う。そもそもファランクス隊形は、エジプトではなくギリシア由来の物である。

 ゲーム開始より2世代ほど前、紀元前334年。
 こないだ映画にもなったアレクサンドロス大王(前の聖杯戦争ではサーヴァントとして召喚された)は、エジプトの北、マケドニアの王子であったが乳王父王のフィリポス2世が横死したので二十歳そこそこで王になり、そのわずか2年後、オヤジの鍛え上げた軍を率いて宿敵アケメネス朝ペルシアとの決戦を挑んだのだ。

 国力では圧倒的に差があったが大王には勝算があった。彼の率いるマケドニア=ギリシア連合軍はとても戦争が得意だったのである。とにかくまとまるという事を知らないギリシア人は飽くことなく内輪で戦争していたし、戦争がなかったら傭兵として件のペルシアにも出向いていっていたほどだ。
 実戦で鍛え上げられたギリシア兵法に、アレクサンドロスの天才(彼は間違いなく自分の才能を自覚していた)が加わるのである。少々の兵力差などは物の数ではない。

 結果としてアレクサンドロス大王は勝って勝って勝ちまくり、ペルシアどころか中近東一帯、さらにははるばるインド北部まで遠征したあげく、あっけなく32才の若さで死んでしまった。

 その後さんざんもめたり流血したりしたあげく、アレクサンドロスの帝国はばらばらに分解した。その中で有力だったのが、アンティゴノスのマケドニア、セレウコスのシリア、プトレマイオスのエジプトの3国である。いずれも、ローマ:トータル・ウォーの時代にはそれなりに強国として残っている。
 彼らはいずれもアレクサンドロスの後継者であり、その文化的な背景には征服者であるギリシア文明が根強く残っていた。だからこれらの国はヘレニズム諸国と呼ばれるのである。

 特に、軍事技術のような優劣がはっきりしている分野においては伝統よりも何よりも、アレクサンドロスの遺産が色濃く影響していた。手元に資料がないのでエジプトのヌビア兵が現実においてもファランクス隊形を運用できたかどうかは知らないが、いかにもありそうな話ではないか。

 だがファランクス隊形はどちらかというと防御的な戦法である。敵を打ち砕く破砕力が別に必要だ。ゲーム序盤でそれを提供するのが『大弓兵:Bowmen』である。火力としてはそんなに強力というわけではないのだが、射程の長さが魅力である。

 さて、それでは戦略をたてよう。
紀元前3世紀の地中海
 エジプトはマップの南東の端にある。西には北アフリカ沿岸地帯が広がり、北にはシリアやパルティアが待ちかまえている。
 そして海の向こうにはギリシアやローマがいるのだが、そこまではまだ考えなくていい。

 まず、やたらと広くて移動だけで時間を食う北アフリカ方面はほうっておこう。誰かが攻めてくるにしても迎撃の時間は十分にある。
 となると、北のシリアとパルティアである。

 そこでまず、パルティアに外交官を送り、誼を結んだ。感触もいいので、同盟にまで持ち込む。パルティアは史実では騎馬弓兵の国であった。序盤の、優秀な騎兵がいない状態のエジプトでは対処に困る事も考えられる。

 狙いをセレウコス朝シリアに絞り、地中海沿岸を北へ驀進する。地続きだし、海軍の整備には金がかかるのであくまで歩いて進軍である。
 シリアには恐るべき戦象部隊もいたが、数をそろえられる前に各個撃破していく。

 意外と順調な展開には、新たなファラオの存在があった。
 シリア戦線で20才になるやならずやで頭角を表し、その後30才の若さでファラオとなったメリュレである。
 内政能力はてんでお話にならないメリュレであるが、指揮能力に関してはまさにアレクサンドロスの衣鉢を継ぐに相応しい名将であった。彼が率いれば金目当ての傭兵ですら最後のひとりが倒れるまで戦いを放棄しなかった。

 メリュレの戦い方は多くの名将と呼ばれる人物と同じく、少数の精兵を切り札として持っておき、ここぞという時に戦線の要所に投入した。特に、ダマスカスで雇った象傭兵部隊はメリュレのとっておきであった。

 そのメリュレの最後の戦いとなったのは、アッシリアの都市ハトラ(Hatra)郊外であった。頑丈な城塞都市を落とすために、メリュレはハトラのすぐそばでシリア野戦軍に攻撃を仕掛けた。ハトラの守備隊が敵の増援として出撃してくるのを見越してである。ハトラ守備隊を敵野戦軍もろともに撃破できれば、損害の大きい攻城戦なしで都市を落とせるのだ。

 戦いの経過は次の通りである。
メリュレ最後の戦い
 メリュレはシリア野戦軍とハトラ守備隊が合流する前に各個撃破しようと考えた。このふたつは合計するとメリュレの軍より多数になるが、別々であればさほどに脅威ではなかったからである。
 そこでまず、歩兵部隊を敵にぶつけ、その間に騎兵は右翼に展開した。
 敵が歩兵と戦っている間に、右翼から後方に回り込んだ騎兵部隊は半包囲で敵を蹂躙した。
 その間、ファラオ直属戦車部隊と象傭兵部隊は少し離れた位置で敵を射撃していた。
 敵が壊滅状態となり、敵将が逃げ出した時、メリュレはすぐにそれを追撃した。だがここで命令伝達の齟齬が発生する。ファラオは麾下の騎兵部隊にも追撃するように命令を出したのだが、騎兵部隊はその命令を受け取っていなかったのだ。
 ファラオの後ろをついてきていたのは象傭兵隊だけであった。そして、象は戦車や騎兵ほどには早くない。

 敵の増援=ハトラ守備隊が見えてきたとき、メリュレはすぐに追撃を中止した。そして騎兵にハトラ守備隊へ突撃するように命令を下そうとした。

 戦車の巻き上げた砂塵がおさまる。後ろが視認できるようになる。

「!!?」

 ファラオの目に、必死になって駆けて来ている味方がはるか遠くに見えた。視線を転じれば、敵の増援はこの千載一遇の好機に脇目もふらず突進して来ている。
 メリュレはすぐさま後方に転進しようとした。
 そしてその判断がメリュレの運命を決めた。
 部隊が方向転換するために隊列が乱れたまさにその時、ハトラ守備隊の騎兵が突っ込んできたのである。さらに、弓が頭上から降り注ぐ。
 ファラオの戦車をひく馬に矢が当たり、動きの止まったところへ敵騎兵が体当たりしてきた。
 享年35才、あまりに若すぎるファラオの死であった。

 ファラオ死す――凶報はすぐさま首都メンフィスに届いた。
 後継者のラムファトスは50代半ば。大臣、そして神官として後方に勤務を続けていた人物で、メリュレのような将器もカリスマもなかった。

 そして悪い知らせはそれだけではなかった。
 エジプトの伸張を快く思わない黒海沿岸のポントスと、ギリシア連合が宣戦布告してきたのである。

01月31日

■本日の読書:『メイドなります! 〜すくみず』青橋由高
 シンプルで合理的な前作はそれなりに人気があったようで(当然とも言える)こうしてちゃんと続編が存在する。
 前作のアレをソレ以上どうするのかたいへん興味があったのであるが、本作ではなるほど、という展開になっている。

 つまり、新キャラを登場させたのだ。

 今度は妹(従妹)で、はかなげで、健気で、子供の頃から「いつかお兄ちゃんの恋人になりたい」などと考えていた女の子がメイドさんになるのである。
 ちゃんと副題にあるように、スクール水着も着用である。前作のメイドさんは巨乳であるし、幼馴染みもプロポーションが良いが、今回の妹キャラは微妙なふくらみ加減なので、スクール水着もたいへんよく似合うというわけである。
 さらに頭にはメイドの証であるカチューシャをのっけて

 ……すごいなぁ。

 誰だったかが、SFの根幹をなすセンス・オブ・ワンダーをして『目眩にも似た感覚』と言っていたが、こういうのもセンス・オブ・ワンダーというのだろうか。

 となると、スクール水着でカチューシャというのも、やはりSFとして分類すべきかも知れない。

 なお、言うまでもないことであるが――
 本書には18才未満禁止の指定はないが(小説だから)、立派にエロ本に分類される内容であるからして購入と読書と使用には十分に注意されたし。

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