12月01日

 ふときがつくと、12月。
 一年というのは本当に早い。

■本日の読書:『QUEEN1313 クィーン・ダブルサーティーン』新谷かおる
 新谷かおるさんのスペオペ漫画である。
 連載は確かアニメ雑誌で、あまり人気はなかったようだ。
 だが、それはそれとして序盤、あまり展開を急いでない部分は実によい具合である。
 主人公は両親が死別して士官学校を中退、職安コンピュータの指示で自由貿易船に乗り込むところからスタートである。

 ……やあ、アンドレ・ノートンの『太陽の女王号シリーズ』だと思った人はその通りである。そういやあっちはイラストを松本零士さんがやってたな。

 新谷さんはちゃんと心得た人なので、惑星(の交易品)の競売もやってくれる。
 このあたりのくだりで、私はうれしくてにやにやしてしまうのだ。

 他にも、クイーン1313が、外見はオンボロ宇宙船でありながら、中身はクルーザークラスの出力と武装を持っている場面があって、後ろのコンテナ部分を切り離して戦闘に突入するのだ。
 うんうん。ツボを心得ておられるよなぁ。

12月02日

 昨夜、サウナからバイクで帰っておもいっきり冷えた。風邪はひかなかったが。
 うう、神田川な気分じゃ。

12月03日

 先々週に脳卒中で倒れた友人の見舞いに行く。
 意外と元気そうでほっとする。
 しばらくは田舎に帰って、リハビリに専念するとのこと。

■本日の読書:『よつばと! 3』あずまきよひこ
 1巻最初に引っ越してきたのが「明日から夏休み」の日なので7月末。
 3巻ではお盆の日とかもあるので、まだ1ヶ月も経過してない。
 でも、きちんと時間は過ぎているんだよなぁ。すごいなぁ。
 よつばの日々是大冒険が丁寧に描かれており、面白くもあり、感心もする。
 たいしたもんだ。

12月04日

 ざばざばざばざば。
 大雨である。
 この雨のなか、甥はうちの近所でサッカーの試合だそうで、風邪ひかなきゃいいが。
 で、姪や妹夫婦がその間うちでまったりする。
 義弟は赤ペンで競馬のチェックに余念がない。うちの家系は伝統的に賭け事をしないのだが、義弟はするのだ。むろん、ちょっとした刺激程度である。
 姪と一緒に、友人から借りた『魔法少女リリカルなのは』を2話みる。
 おお、町とか家とか、アレと一緒だ。ああでも、お父さん生きてますよ?
 姪がそのへんの真実を知るには、後10年は必要なのである。
 
 ……いざというときのために、パソコンのユーザー設定で甥や姪はいけないモノは見えないよーにしておくべきだろうか。

12月05日

 週末恒例のトレーニングである。
 ふむ、年末年始の休みは12/29〜1/3までか。
 トレーニングを終えた後、少し具合を確認する。乳酸はたまっているが、トレーニング当初のように筋肉が張ったりする様子もない。心肺機能も強化されたようである。
 何より、こうして運動することによるストレスの発散は心理面においてもたいへん効果的であるようだ。
 これは、トレーニングの回数を増やしてみるのも手かも知れない。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界1』
▼東アジア
 康煕帝の治世より、清国はいよいよ盛んになる。
 古くからの統一帝国としての武威だけでなく、統治や文化の面でも優れた業績を残している。
 たとえば1766年の清国の税収は、塩の専売による塩税11.8%、物品にかけられる関税11.1%に対し、土地1畝あたりいくらという地丁銀が67.8%である。それまでの成年男子1人あたりの丁銀が土地への税金に統一されたことで、貧者への負担が軽減されている。
 だが、1世紀続く繁栄の影では宮廷闘争などの側面もあった。またダイナミックに進化する欧米列強の工業、技術、軍事に遅れをとることにもなるのである。
▼南アジア
 ムガル帝国ますます衰える。
▼西ヨーロッパ
 イギリスにおいて、議会制度が発展。その過程で軍隊への予算は議会が握ることになる。これは、国王の軍隊から国家の軍隊への進化である。この進化により、政治の道具としての使い勝手がよくなったイギリス軍は世界のあちこちで活躍する事になる。
 軍隊は強いだけではやはり意味がないのだ。目的に応じて柔軟に運用できること。これが大事なのである。
 さて、そのイギリスであるが議会の重要性が高まるにつれて選挙も金まみれになり、さらには暴力沙汰も日常的に行われるようになる。風刺画家ホガースによる『選挙』テーマの絵画が掲載されているが、当選した候補者をみこしのようにかかえて練り歩く支持者が、落選した候補者の支持者とぶつかり、ケンカになる様が描かれている。みこしになっている候補者そっちのけで元気よくどつきあいをする庶民の図がなんともほほえましい。むろん、画家は風刺のつもりなのだろうが私にはこの猥雑なエネルギーあればこその大英帝国と思えるのである。
 さて、当時のイギリスでは他にも競馬では騎手は鞭を馬の尻ではなくライバルの騎手にふるい、フットボールではコートの大きさも人数制限もなく、ひたすらぼこすかと蹴り合い、格闘士が見せ物の興行をやり、死刑には家族そろって弁当持参で見物に行くというありさま。
 そうだ。
 下品で猥雑であることは、上り調子である民族や国家には必要不可欠な要素ではないかと思えるのだ。

12月06日

 そうそう。
 先週読んだ『クィーン・ダブルサーティーン』にはもうひとつ私の大好きなシーンがある。
 先代クイーン号が沈んで、新品ぴかぴかの船をもらうのだが、夜、どうにも寝付けない。
 新米の主人公が「運動不足かな」と船内をランニングするのだが古株の兄貴分が「船乗りはみんなこうだ」と言う。

「その船には特有の臭いや響き……いや振動というものかな。あるんだよ。エンジンの音や空調装置の音や……」
「以前のボロ船だとガチャガチャ機械音で騒々しかったろ」
「前のは寝てても枕を伝わって機械の音が正常作動か異常作動かわかるぐらい聞こえたさ。だから安心して寝てられた」

 ボロ船バンザイ。

■本日の読書:『魔界都市〈新宿〉』菊池秀行
 久しぶりに読み直す。
 本作は菊池秀行さんの代表作である。Dも良いし、妖神グルメも悪くはないが、菊池秀行の原点といえばやはりこの魔界都市に尽きるであろう。
 この作品を最初に読んだときの衝撃は今でも覚えている。SFには“ワイドスクリーン・バロック”という言葉があるがまさにそれで、『虎よ、虎よ』とか『キャッチワールド』などのように、とにかくいろんなアイディアをごった煮にしてある。最近では、『ハイペリオン』がその傾向の強い作品であったか。日本では古橋秀行さんの『ブラックロッド』がそうであろう。
 いずれも、めくるめくイメージの奔流で読者を押し流すのが“ワイドスクリーン・バロック”の面白さだ。
 ポイントは決して出し惜しみしないことで、使えるネタはなんでも調理せずにぶちこむのである。「それは矛盾がある」とか「そいつは整合性がない」などと考えては負けである。気にせず走り抜けることだ。ネタを切り売りするようでは“ワイドスクリーン・バロック”とは言えない。
 贅沢に、豪華に――一夜の夢を、楽しもうではないか。

12月07日

■本日の読書:『我が家のお稲荷さま。』柴村仁
 一読して、頭の中を「?」マークが乱舞してしまった。
 本書はいわゆる日常ほのぼのファンタジーという分類になるのだろうか。まあ、ごく普通の子供達が、オカルトな出来事に遭遇し、オカルトな奴らが日常生活に入り込んできてどたばたを繰り広げるというお話である。

 それはいい。
 それはいいのだが。
 どうも腑に落ちないというか、納得がいかないのだ。

 章ごとにオムニバス形式で進む本書の基本コンセプトになっているのが、若くして死んだ主人公兄弟の母親の魂送りというのがある。
 母親は三鎚=ミヅチ=水の霊を祭る家系の最後の司祭という設定で、この司祭は代々、30前後で若死にしているのだ。だが、母親が産んだのはふたりの息子で、女系である三鎚はここで血筋が途絶えてしまったのである。母親は息子達には祭事に関する知識は伝えないで死んだので、兄弟は1章で妖怪に狙われてびっくりするのだ。
 妖怪には妖怪ということで、封印されていた狐の妖怪が解放されて兄弟を守り、妖怪を撃退した後も兄弟を守るためについてくるのである。

 それはいい。
 それはいいのだが。
 ここで大いなる疑問というか、謎が登場する。

 この妖怪騒ぎにより、三鎚家はお役目である水の霊の祭事をやめることになるのである。
 これを読んで、私は頭をひねらざるをえなかった。
 それでいいのか?
 むろん、社会的な側面で言えば、いまさら地方で水の霊を祭らなくとも現代社会はあまり困らない。日照りで米が不作であろうが飢え死にが出るわけではないのだ。
 だが、そうだとするのなら――
 母親は、その母親は、代々の三鎚の司祭達は、なんのために寿命を削ってまで水の霊を祭ってきたのだろう?
 そりゃ、現実問題としては慣習とか惰性とかで意味のないしきたりが続いているというのは周囲を見回せばいくらでも存在する。しかし、これは現実の話ではない。娯楽読み物である。
 娯楽読み物であれば、そういう無意味な設定はとりあえずナシにするものではないだろうか? ほら、水の霊を祭るのをやめたらなんかこー、祟りがあるとかなんとか。

 いや、分かってる。単純にこれはひとつの設定ミスなのだ。『祭事の負担のため、三鎚の司祭は若死にする』という、まあ、お母ちゃんのキャラに特徴を出すために適当にくっつけた設定が、他の部分とうまく整合していないだけの。
 しかし、内容がほのぼの系だけに、どうもこう、そういう部分が座りが悪くて、まあ、ここに限らず本書ではあちこちそういうのがあるのだが。
 どうもね、読後感がよろしくないのだ。

12月08日

 愉快なニュースがある。

 米インターネット競売大手イーベイに出品されていた「おじいちゃんの幽霊と杖(つえ)」に6日、インターネット・カジノのゴールデンパレス社が6万5000ドル(約663万円)の入札価格を提示した。

 おじいちゃんの幽霊というのは、まあ、ごく普通に世の中には存在する話である。
 しかし、ネットオークションで売りに出すというのはこれまであまりなかった。ましてやそれがニュースネタになり、たちまち世界中に伝わるというのは現代ならではである。

 夜、IRCのチャットでこの話を聞いたとたん、私の脳裏にぽん、とアイディアがひとつ浮かんだ。
 構想3分、執筆1時間。
 星新一風にまとめてみた。

 『魂買います』

 ある朝、大量のスパムの中にまじっていた一通のメールが――というお話である。

12月09日

■本日の読書:『キャプテン・フューチャー全集3 太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪団』エドモンド・ハミルトン
 ふたつあるうち、『太陽系七つの秘宝』を読む。
 さて、この話はウル・クォルン博士登場の回である。シリーズを通してキャプテン・フューチャーのライバルをつとめるこの人物は、カーティス・ニュートンを光とすると、いわば影。優れた知性と行動力を持つアンチ・ヒーローである。
 彼の情婦のヌララも、ジョオンと対になる存在といえよう。
 この話は、他にもいい仕掛けがごまんとある。
 たとえば、ウル・クォルン博士は『太陽系大サーカス』を隠れ蓑に太陽系を飛び回り、『七つの秘宝』を探し求める。これでついでに金も稼ぐし、芸人の『大耳』やら『カメレオン男』やら『うなぎ男』などは、彼が改造を施した手下である。いわば、一石三鳥というわけだ。むろん、ここに我らがフューチャーメンは変装して潜り込み、クォルン博士の野望を暴こうとするのである。
 さらに、〈歓楽の星〉。小惑星ひとつが丸ごと歓楽街なのだが、ここに太陽系政府の法の手は届かない。なぜならば太陽系憲章には法の及ぶ範囲を『太陽をめぐる軌道にあるすべてに――』とあるが、この小惑星は、ロケットを噴射することで、太陽に対し静止しているというしだい。その無法の星に『七つの秘宝』への手がかりがあると知ったウル・クォルンとキャプテン・フューチャーは共に乗り込む。いかさま博打で星ごと巻き上げようというのだ。
 ふたりは〈ラジウム・ルーレット〉をはさんで対峙する。このルーレットは、ラジウムの塊に中性子をぶつけ、アルファ粒子が飛び込んだ先で“当たり”を決めるというシロモノなのだ。アルファ粒子の軌跡は磁力でねじ曲げられるから、ふたりは強烈な磁力線を放出する装置を服の下に隠してイカサマ対決をするのである。
 かように、うれしいギミックがてんこもりなのだが、残念、最後の『秘宝』の正体とは――というあたりから、ちょっと展開がしょぼくなってしまう。
 大サーカスで登場した博士の手下たちも後半は登場しないし、消化不良な感じはどうしてもするのだ。良いネタが多いだけに、惜しい、惜しい。

12月10日

 Paradox社のゲーム『Hearts of iron』を購入。……なぜマニュアルがふたつも入ってますかね? このあたりのアバウトさは海外ゲームっぽくてよろしい。
 『Hearts of iron』は第二次世界大戦を扱った戦略級ゲームである。
 プレイヤーは国家元首となり、自分なりの勝利を目指すのである。
 で、さっそく夜せこせことプレイしてみた。

 記念すべき初戦で選んだ国家はポーランドである。

 プレイレポートはこちらに。

■本日の読書:『ガンズ・ハート4』鷹見一幸
 連発銃から始まった技術の再発見は、それを利用するための地下資源の奪い合いという方向へと歴史を動かしはじめる。
 鉄をもたない東域国と銅を持たない西域国。
 イニシアティブ奪回を狙う教団の教唆や、齟齬や錯誤が重なり、両国のいさかいはついに軍事衝突へと突き進む。

 というわけで、今回の見所はふたつ。
 『電撃戦』と『渡河作戦』である。

 『電撃戦』は敵の防衛線を迅速に突破、あるいは迂回して後方に進出。後方に存在する、通信、指揮、補給などの前線部隊が戦うための支援を行なう機能を破壊することで敵を麻痺させるという戦いである。
 これを、主人公の部隊が演習という形でやってみせるのはなかなかに面白い。面白いのだが……あれだ。分かりやすいかというとちょっと分かりにくいんでないかなぁ、と思うのである。いつもの私のセリフではないが地図をよこせ地図を
 まあしかし、せっかくなのでここはひとつ自分で図にまとめよう。


「大演習」青軍布陣

電撃戦の顛末

 こういう演習の後、いよいよ本巻のおしまいで東域国の軍による『渡河作戦』がスタートする。正直、私はライトノベルの文法で国家間の利害が原因による戦争を描くのはいかがなものかという気もしないでもなかった。
 むろんライトノベルにも戦争もあれば、殺人もある。だがそれらはたとえて言うのならばアムロがガンダムで戦っているようなもんである。ララァ曰く「なぜあなたはこうも戦えるの?あなたには守るべき人も守るべきものもないというのに」である。
 序盤あれだけへたれなアムロが後半ああも強くなったのは、彼なりにホワイトベースとその仲間を守るという立場がはっきりしたせいであろう。
 で、本書では。
 めでたく、守るべきものが出てきました、はい。ヒロインの女の子と、彼女の故郷の町です。一兵士である彼にとってのこの戦争は防衛戦争であり、祖国を、何より自分の好きな女の子と、自分を好いてくれる町の人々を守るという大きなよりどころができているのである。

 そういうわけで戦争開始。孫子の兵法では、渡河作戦についてかような表現がある。

 敵が川を渡って攻撃してきたときには、敵軍がまだ川の中にいる間に迎え撃ったりせず、敵兵の半数を渡らせておいてから攻撃するのが有利な戦法である。
 渡河してくる敵と戦闘しようとする場合は、川岸まで出かけて敵を攻撃してはならない。

 さて、それでは我らの主人公はどうしたかというと――

 なんと、河のど真ん中にある中洲に陣取って、渡河中の敵を攻撃しやがったのである。孫子はお怒りだぞ。

 しかし、これで良いのだ。何しろ兵力で圧倒的に負けている上に、籠城しようにも敵には大砲があって都市にこもっても勝ち目はない。
 そこでやはり孫子のお言葉をいただこう。

 善く戦う者は、人を致して人に致されず。

 うまく戦うには、自分が主導権をにぎり、相手には主導権を与えない。これである。
 そして、防御側の持つただひとつの主導権は『どこで戦うか』を決める力なのである。主人公はその一枚しかないカードを最大限に利用したのだ。
 とはいえ、相手の意表を突いても圧倒的な不利は不利。果たして援軍は間に合うのか否か。最終巻の展開が待たれる。

12月11日

 フィットネスプラザでのトレーニングの日である。今週は木曜日にも行ったので2回目。
 私はベンチプレスを51kgで15回を2セットやっているのだが、こないだチャットで「わしはむかし70kgをやっとった」とえらそうに言われたので、64kgにチャレンジ。

「ぬぅぅぅぅ〜〜〜」

 4回がやっとでしたよ。
 今月の体重と体脂肪を測定した。

  前回(11/14)   今回(12/11)
 ・身長166cm     ・167cm
 ・体重70.9kg    ・70.7kg
 ・脂肪率28.0%    ・24.9%
 ・脂肪量19.9kg   ・17.6kg
 ・標準体重60.6kg  ・61.4kg
 ・肥満度18.4%    ・15.2%

 グラフも修正

 そう突然には下がったりしないものである。
 病院で血液検査の結果ももらったので合わせて記す。

 GOT:54→43(基準10〜40)
 GPT:77→69(基準5〜45)
 γGTP:108→110(基準16〜73)
 中性脂肪:129→134(基準50〜149)
 尿酸:6.3→今回はなし(基準7.0以下)

 こちらも地道に改善。

■本日の読書:『なぜ彼らはプロペラ機を愛するのか?』藤森篤・桜井健雄・神谷直彦
 副題が“USAリノのエアレーサーたち”。
 エアレースというと、日本ではあまり一般的ではない。これは知識として知っているかどうかではなく、体感的なものである。バイクや車のレースに関しては知名度はともかく、一般の人でも車を運転するから「どんなものなのか」のイメージがつかみやすい。
 だがエアレースとなると話は別だ。
 日本の民間人パイロットの数は1万人ぐらいと聞いたことがある。
 対するアメリカの民間人パイロットの数は200万人だとか。
 この数の差が、エアレースに対する意識の差にもなっているのではなかろうか。

 リノの数あるエアレースの中でも、本書では〈アンリミテッド〉にまつわる機体と人々のエピソードが中心になっている。
 〈アンリミテッド〉とは、プロペラ機&レシプロエンジンという制約だけで、後は自由になんぼでも改造してやってくれという豪快なレースである。

 ここで飛ぶ機体の多くは、レシプロ時代の最高峰であった機体が使われている。
 人間の一生と比べても決して長くはないレシプロの最高峰は、第二次世界大戦だった。重い、かさばる荷物を運ぶ必要もなく、ただひたすらに速度と運動性を追い求めた機体。
 戦闘機(Fighter)がその頂点に達した時代である。

 現代の戦闘機はジェットである。彼らレシプロの次の世代は、すでに第二次世界大戦の末期には誕生していた。
 それゆえに第二次世界大戦の末期に誕生した戦闘機は今なお、レシプロ最高峰に位置している。それを現代の技術でリファインしたものが、リノの空を飛んでいるのだ。

 だから本書でふんだんに使われているカラー写真には、P51ムスタングや、F8Fベアキャットといった、その筋では有名な戦闘機が今なお現役で空を飛ぶ姿が写し出されている。まあ、だいぶ改造されているので別物にしか見えないのもあるが。

 2000馬力のエンジンをぎっちぎちにチューンして倍の4000馬力を引き出し。
 それらに耐えるよう機体やプロペラを作り直した彼らは、最高速度で時速500マイルをたたき出す。キロに直すと時速800km!
 第二次世界大戦初期の戦闘機が時速500km台で、末期に作られた彼らの原型ですら時速700kmであったというのに、さらにそこに100kmを上乗せするのである。

 むろん、それぞれのパーツが良いからといってレースで勝てるわけではない。パーツを換えて、具合を見て、それに手を加えて……といったことを繰り返していくことで、機体もレーサーもさらに強くなるのだ。

 リノのエアレースの最大のポイントは、それがまったくの道楽であるという点にあると思う。
 はっきり言って、リノのエアレースは時間と金と技術の無駄遣いである。1920年代や30年代であれば、技術を磨くという現実的なフィードバックもあっただろう。しかし現代ではそんなものはない。徹頭徹尾、これは道楽でしかないのだ。

 無駄や非効率を悪いこととする思想からはエアレースは無意味そのものである。
 だから無駄を楽しもう。
 意味のない物に価値を見いだそう。
 そこにこそ、“人間らしさ”というものがあるのだと、私はそう思うからだ。

12月12日

 ポーランドプレイで『Hearts of iron』のだいたいのイメージがつかめたので、今度はいよいよ大国でプレイする。東ではなく今度は西。
 大陸軍(ラ・グランタルメ)の栄光に輝くフランスである。

 どうなったかは、こちらを参照。

 ……がんばったのになぁ。

■本日の読書:『終わりのクロニクル 4上』川上稔
 鬱屈したものを腹に抱える各ギアの連中をぶん殴って仲良くなる話もこれだけ続くとさすがにアレだ。そろそろ毛色の違う話をしたいじゃないかというわけで、今回はUCAT同士の争いをアレンジしている。
 そこで米国UCATの登場である。主力は機竜という可変モビルアーマー部隊ということになっているが、やつらがただの前座であるのは言うまでもない。どうでもいいが、こんな愉快なものがあるなら、イラクをいじめたりする前に他にすることがあるんじゃなかろうか。

 下巻では「やったかっ?!」から「なにぃっ?!」へ続くやられ役コンボを見せてくれるに違いない。

 本書では新たな仲間として同級生と少女が登場しているが、上巻での行動は最初から最後まで事件の外周でうろうろするのに終始している。キャラがどんどん増えているせいで、どうしても新キャラがワリを食らうのはいたしかたない。

 また、旧キャラもレギュラー陣は健在であるがそれ意外は徹底してデフォルメをくらっている。前の巻の飛場少年はおまぬけなもてあそばれキャラに成り下がっているし、2ndの軍神は決まって奥さんとでれでれしている。

 なお話の本筋たる全竜交渉であるが世界の命運をかけた交渉なのに、それをやっているのが高校生チームで、しかも世界中のほとんどすべての人が自分の命がこれに賭けられているのを知らない。しかも交渉相手に関する情報は常に制限がかけられていて、知っている人間はその知識を高校生に与えてはならないのだ。「私には語る資格がない」とかなんとか言って。いや、理由は簡単で、読者と主人公達との間に情報の格差を生じさせないためなんだが。

 これでは米国UCATならずとも心配になろうというものである。しかし、コトが世界の命運をかけた交渉であれば、これはいたしかたないと言える。そも、世界の意見を代表できる人間は我々の世界には存在しないからだ。
 こちらの世界の代表者が存在しないのだから、全竜交渉は実は交渉でもなんでもない。アレは暴力を利用した「カウンセリング」である。各ギアの生き残りは、自分自身の心の中を見つめ、未来をどうするか、自分で決めなくてはいけない。だからこそ、主人公の佐山はああまでアクが強く、相手の心の中にあるものを誇張して写し出す鏡になっているわけなのだ。

 さて、米国UCATの実質的な主力である大佐とロジャーの本気はまだ見えていない。下巻で見せる彼らの本気がどれだけ破天荒か、たいへん楽しみである。

12月13日

 せこせこ

12月14日

 きこきこ

12月15日

 同人誌の日。

■本日の読書:『KITTEHATTE 露日友好』速水螺旋人
 タイトルであるが、日露友好の間違いではなく露日友好で正しい。主体はあくまでもロシア。さすが魂のロシア人、速水さんである。
 今年の5月にロシアを訪問された時の四方山話を中心に、たくさんの愉快系イラストとその間をびっちりと埋めつくすおバカ系エッセイで構成されている。
 面白い人には面白く。
 興味がない人にはそれなりに。
 嫌いな人にはごめんなさい。
 そういう同人誌である。私は大好きだ。

 ロシア色も濃いが、同時にマスケット銃の比率も高い。黒色火薬のもうもうたる煙と臭い(実際には知らない)が漂ってきそうである。
 日本人にとって、銃は火縄銃の後、すぽーんと飛んで幕末のゲベール銃とかミニエー銃とかになるのである。だから『マスケット』とだけ言って銃の事だと分かる人はかなり少なかろう。

「ぶどう?」「それはマスット」
「NBA?」「それはスケット」

 ちなみにまったくの余談であるが、私はミニエー銃はフランス製のものだけを差すのだと思ってやはり幕末に日本に入ってきたエンフィールド銃(イギリス)はミニエー銃とは呼ばないと思っていたのだが、こちらもミニエー銃で良いのだとか。

 やはりこう、銃は前から弾をこめてしゃこしゃこ棒で押し込むのが萌えであると思うのだがどうか。

 それにしても新旧取り混ぜてごっちゃな銃がどんどら入ってきた幕末の頃の日本には、きっとブラックゴースト団がいたに違いないと思っているのだが誰かそういうネタで何か書かないかしらん。

■本日の読書:『despacio 2(ですぱしお)』うしまる
 こちらの『eso aprte』に『ぱえりあ』というほのぼのまったり兄妹漫画があり、私はいつも楽しみにしている。
 同人誌もあるのだが、いかんせん広島在住では入手できず残念に思っていた。
 それがこのたび通販をされるというので、お願いしたのだ。ありがたやありがたや。

 タイトル通り“のったりのったり”なお話で、これもまた好きな人にはたまらない感触である。サイトの方の漫画を見て、いいなと感じた人なら読んで損はない。
 インターネットの普及によって、こういう一昔前なら決して知ることがなかった作品を見ることができるようになったのは、たいへんめでたい事である。

 内容は、魔女の女の子3人組によるどたばた楽屋落ち風味の漫画と、ミキマキ兄妹の変わらぬ日常風味の漫画の二本立てである。
 テンションは魔女の女の子の方が高く、同時に不条理度も高い。
 兄妹の方は兄の友人で“妹萌え”な少年が暴走。おまえは本当に中学生か。で、人見知りするというか、パーソナルな距離感がすごく大事な実樹ちゃんはそういう人がスゴク駄目なのである。
 でもおかげでお兄ちゃんがクラスメイトの女の子にラブではない事が判明。
 最後のページの――

「ガールフレンドって、『ガール』の『フレンド』って意味だよね」

 という意味不明にうれしげなセリフと、勝ち誇ったかのような笑みがいい感じ。

12月16日

 長らく遊んでいた、オンラインゲーム、GNO(こちらにプレイレポート)を引退することを決意する。
 1日10分でも遊べるし、何より後方の指揮官気分になれるという私にとってはきわめて気分のいいゲームであったが、まあこれだけ繰り返せば飽きもくる。
 連邦でもジオンでも大佐にまで昇進したことであるし、これを機会に退役するのも悪くはあるまい。
 GNO2を遊ぶかどうかは今のところ不明。まあ、引き継ぐのも未練ぽいのでここは素直に一度、すっぱり辞めることにしよう。

12月17日

■本日の読書:『海で暮らす気もち』いくたまき
 今から20年前になる。
 まだ大学生であった私が友人に(こっそり)借りて愛読していたとある雑誌にいくたまきさんの漫画があった。
 『アブナーズ』という漫画で、ボロアパートに住むことになった青年が、そこの破天荒な住人達(エスパー・サラリーマンやら女エロ漫画家やらトラウマ持ちの根暗)の巻き起こす数々のトラブルに巻き込まれるというお話である。
 超能力光の名刺『わたしはこーいうものですー』など、ちょっとばかりというかすさまじくディープな不条理劇であった。

 ……ああ、ちょっと脳裏にこー、今は亡きかがみあきらさんの漫画とか、藤原カムイさんのエロ漫画(エロくない)とか、寄生虫(増田春彦)さんのエロ漫画のふりをしたSFモノとか(触手多し)、I.N.Uさんの大まじめに骨太のスペオペ漫画とか、中田雅喜さんのつきぬけたエロパロとか、外園昌也さんの退廃的な雰囲気の漫画とか、走馬燈のよーにかけぬけていきましたですよ。
 あの猥雑な活気に満ちた青春の日々……やー、みんな若かった。

 まあそういう中でも、いくたまきさんのちょっと斜めに傾いた漫画は私のお気に入りのひとつであったのだ。

 で、本当に久しぶりにそのいくたまきさんの漫画を読む。子供向けの雑誌に掲載されている漫画なので毒はないが、作品からうかがえるピントのずれた面白さは健在。
 主人公はウミウシのフレディ君で、彼と珊瑚礁に住む彼らの仲間のすっとぼけた物語である。
 フレディと仲間達のどうにもかみ合わない会話とかを読むと、いくたまきさんだなぁ、とうれしくなってしまうのだ。

12月18日

■本日の読書:『キャプテン・フューチャー全集3 太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪団』エドモンド・ハミルトン
 後ろ半分の『謎の宇宙船強奪団』を読む。
 前半の『太陽系七つの秘宝』が、ネタもキャラも大仕掛けである一方、今ひとつまとまりにかけていたのに対し、『謎の宇宙船強奪団』は良くも悪くもこぎれいにまとまっている。これには、ハミルトン氏も前の作品を書き上げた後で何やら心に思うものがあったのではないかと私はそういう風に想像してみたりする。

 水星。
 金属資源が豊富なこの惑星には太陽系の宇宙船工場が集中している。だが、新造の宇宙船がテスト中に次々と盗まれるという事件が発生した。
 盗まれた宇宙船のテストパイロットは、気が付くと宇宙服のまま外にほっぽりだされており、何が起こったのかは誰にも分からない。
 この奇っ怪な事件を解決するためキャプテン・フューチャーの出動を依頼するガーニー司令だったが、敵はなんと先手を打って、その秘密兵器でもってコメット号を奪ってしまう! どうするキャプテン・フューチャー! てなオープニングである。
 なお、この話からフューチャーメンに大きな変化が訪れる。かの生きている脳髄ことサイモン教授が、自在に動いたり物を操作したりできるようになるのである。こいつはなかなかの仕掛けで、サイモン教授がこの後のシリーズで単身活躍する場面が増えてくる。
 しかし、図書館とかでひとりで調べ物をしているサイモン教授の図というのは、子供が見たら悪夢にうなされるのではなかろうか。むきみだし。
 しかし、それをのぞくと実は今回のギミックはひとつだけなのである。加速装置。人よりも速く動くことができるアレだ。それがすべてであり、また、シンプルでありながら物語にきれいにオチをつけている原因でもある。

 余談であるが、ビジュアル的には加速装置というとサイボーグ009のあの石森正太郎さんの独特の表現技法を思い出す。まったくもって、あれは実に画期的で素晴らしいものであった。

12月19日

 Hearts of ironも3回目のチャレンジになる。
 今度こそドイツをぎゃふんと言わせてやる、というので選んだのは赤い大国ソ連。
 どうなったかはこちらのプレイレポートを参照のこと。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界2』
 18世紀のヨーロッパは啓蒙専制君主の時代である。
 ルイ14世のような「朕は国家なり」という絶対専制君主の思想では王権は神より授かった絶対的なものであったが、そこまで絶対的な価値観はさすがにこの時代になると影を潜る。その代わりに出てきたのが人間の理性に対する意識である。人間は人間自身の力によってよりよき高みに上れるというわけだ。
 この啓蒙思想をバックボーンとした専制君主の代表が、プロイセンのフリードリヒ大王、オーストリアのマリア・テレジア、ロシアのエカチェリータである。おお、女性が多いな。

 さて、アジアは清国の最盛期。第6代、乾隆帝の時代である。史書において特筆すべき記載のないこの時代は、その特筆すべき何物もないことが実はすごいことだったのである。
 この平和な時代に清の人口は激増した。清初の1億弱の人口は、この世紀を通して増加の一途をたどり、19世紀には4億へと膨れあがるのである。
 この人口の増加にはいろいろな原因がある。前にも触れた税制の改革により人手が増えても負担にならなかった事や、トウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモといった新大陸由来の新しい農作物がいよいよ大々的に普及した事、手工業や商業の発展と商業作物の増加などである。
 一方で西のヨーロッパにおいてもイギリスの囲い込みや家畜の品種改良などで生産性がアップしている事を考えても、人類の文明がそういう時期に来たのだと言えるかも知れない。

 この中国の人口爆発は、当然周辺諸国にも影響を与える。日本では中国貿易が盛んになり(ナマコとかな)、中国米の2割の価格というタイ米は、1722年で3万キロリットル(えーと……約2万5千トンか)の量が輸出されたという。日本も米不足の時にタイ米を輸入したが、なるほど、昔からそういうお国柄であったのだな。
 その膨れあがる中国市場を満たすためにアジア各国で交易が盛んになる。その運び手となったのが、今でも中国船の代表のように扱われているジャンク船である。欧米の技術も取り入れて進化したこのジャンクは、その信頼性においても積載量においてももはや陸上交易路――シルクロードなどでは太刀打ちができないほどに大量の物品を運んだのである。
 こうして中国を中心としたアジアに一大経済圏が誕生したわけであるが、海外に進出した中国人によって社会も大きく揺さぶられる。権益を侵されることを嫌った事が原因でオランダの根拠地バタヴィアで中国人の虐殺事件などが発生している。

 それにしても、膨大な人口を持つ巨大市場の動向に周辺国が巻き込まれてどたばたするなど、なんとも現代との相似が感じられて面白い。

 さて太平洋をはさんでラテンアメリカではスペインの植民地支配が斜陽を迎えていた。官吏は汚職まみれだし、貿易の独占はできないしでもはやスペインにとって植民地は重荷でしかなかった。それでも英傑であるカルロス3世は有能な人材をとりたて、法を整備して大スペイン帝国をなんとか維持しようとする。しかし彼のその努力は皮肉なことに「なんか本国の奴らがうるさいのぉ。わしらも独立しようか」という方向に植民地の肥え太った権力者を動かすのである。

12月20日

■本日の読書:『荒野に獣慟哭す 1』原作/夢枕獏 漫画/伊藤勢
 夢枕獏さんと伊藤勢さんのタッグである。これは強力だ。
 内容はというと……おお、さすがだ。
 原作に、伊藤勢さんの独特のおかしみが追加されていい感じに仕上がっている。
 「ああこいつら。まったくもってしょうがねぇよなぁ」という感じなのだ。
 たとえば、ヒロインが麻酔なしで主人公の傷口を縫合する場面。
 痛がると、ヒロインは手を休めず顔色も変えず、主人公のどたまをポッドでぶん殴る。

「じっとしてる!」
「傷の痛みはうすらいだでしょ?」
「ヒトの脳は何ヵ所も同時に痛みを感じるようにはできていないのよ」

 わははは。さすが伊藤勢さんのヒロインだなぁ。

12月21日

■本日の読書:『アークマ・デテクール 地下室の悪魔』阿智太郎
 タイトル通り、地下室で悪魔が出てくる話。
 んーむ。後はいつもの阿智太郎さんだなぁ。
 盛り上がらないが、だからといって退屈なわけではない。
 緊迫感はないが、だからといってつまらないわけではない。
 良くもなく。悪くもなく。
 悪魔が出てこようが、阿智太郎ワールドの日常はそんな事では壊れたりしないのである。

12月22日

 不惑を迎える。

「ところでこー、悪役には二種類あると思うんですが、ですが」
「いきなりだな。えーと、殺していい悪役と、改心させる悪役?」
「ちゃいます、ちゃいます」
「んー、敵になる悪役と、味方になる悪役?」
「それでもないです。ようはですね、読者(or視聴者orプレイヤー)がなれる悪役と、なれない悪役だと思うんですよ、ですよ」
「よくわからんぞ」
「つまりですね。たとえば、大金持ち。権力者。人格異常。そういう悪役は、まあ読者はなろうったってなれないんですよ、ですよ」
「いや、人格異常の読者だっているだろ」
「そら大金持ちだって権力者だって、いるっちゃーいますが。例外です、例外」
「んむ。まあそこは置いておいて。で、なれる悪役というのは?」
「こちらは普通の人間です。悪役になる理由が、たとえば怠惰、嫉妬、無能。そういうのが原因なのです。悪役つうか、障害ですね。邪魔者です」
「そのみっつがない人間を捜す方が難しいよな」
「でしょ、でしょ」
「で、それがどうかしたのか」
「なれない悪役はいいのですが、なれる悪役はいけません。ダメです」
「なぜに」
「読者が、自分が責められている気分になるじゃないですか。嫌味です、不愉快です」
「いくらなんでも考えすぎだろー、それは」
「それがそうでもないんですよね。人間、善意には鈍感ですが悪意には異様なまでに敏感なのです。考えてもみてください、なんで水戸黄門では代官やら大商人やら家老やらが悪役になると思うんですか、ですか」
「あーなるほど。なれんわな、確かに」
「そうです、そうです。自分では絶対にありえない悪役を黄門様が懲らしめるから安心してみんな見るんです、楽しめるんです」
「そういや、『銀河英雄伝説』でも敵はおおむねそういうのだったよな。大貴族とか地球教徒とか」
「田中芳樹さんがメジャーになった理由のひとつだと私は確信しています。疑いなく、疑念なく」

 なかなかに興味深い意見ではあった。

■本日の読書:『星界の戦旗IV 軋む時空』森岡浩之
 やあ、久しぶり。
 戦争はまだ続いていたりなんかするのである。
 で、いつものフレーズを。地図をよこせ地図を。

 この巻において、戦争は新たなる局面を迎える。
 平たく言えば、アーヴが負けそうになるのである。
 いやいっそ負けてくれ。頼む。アーヴの余裕ぶっこきは、負け戦でこそかっこよいが、勝ち戦ではただの嫌味である。
 負け戦はいい。ぼろぼろと死ぬレギュラー陣。敗走する味方。混乱と苦難の中で生まれるロマンス。
 燃える。
 最後はこー、生き残ったアーヴをラフィールが率いて未知宙域のかなたへとエクソダスするのだ。そうでなくてはいかん。

 しかし、理解に苦しむ点がひとつだけある。
 ラブラブもなければ猫なしの三角関係もないのはいったいどういう事か?

12月23日

 トレーニングの前と後には血圧をはかる。
 機械で計るとどういうわけか私の血圧はけっこう高いのだ。
 今日はトレーニング前で最高162で最低97とか。どういうこった。
 具合は悪くないんだがなー。

■本日の読書:『トリポッド1 襲来(When the TRIPODS came)』ジョン・クリストファー
 ポップなイラストが目印である。
 内容はポップどころではないが。
 火星人のウォーマシンのようなトリポッドによる地球侵略を、少年の視点からながめたお話だ。
 トリポッドそのものではなく、トリポッドの虜にされてしまった人々に焦点を当てることで、日常が崩壊していく恐怖というものをうまく描いている。
 少年を追いつめていくのはトリポッドに洗脳されてしまった『幸せ』な人々である。この1巻では最後までトリポッド(この機械そのものが異星人の本体かも知れない。あるいは機械を操る情報のような存在かも)の正体も目的も明らかにはされない。

 トリポッドに対する反撃は2巻からのお楽しみである。

 こういう物語の基本パターンとしては、トリポッドは善意、あるいは誤解、あるいは規定の命令に従って地球人を洗脳しているというのが考えられる。だから少数の少年達がトリポッドの考えを変える事ができれば地球は救われる――というのが考えられる展開のひとつ。
 または最後までトリポッド自体は謎のままにしておくというのもいい。こういうのは迂闊に正体を語ると読者がさめてしまう危険があるからである。特にSFではマニアに受けるには『同じネタを使うからには前より面白くなくてはいけない』という危険なインフレ法則がある(今作った)ので、たいへんなのだ。

12月24日

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界3』
 この世紀は革命の世紀である。
 アメリカでは、アメリカ独立戦争。フランスではフランス革命。ヨーロッパ全土では産業革命。
 このうち、あってもなくても1000年後の歴史に関係なさそーなのはアメリカ独立戦争とフランス革命である。

 一方、1000年後も関係があるのが産業革命である。

 こいつが関係がなくなるようなら、歴史そのものがなくなってるだろうからこの予言はまずはずれまい。我々の生活も自由も束縛も、すべては科学技術の進歩が生んでいる。啓蒙思想もヒューマニズムも、それが大衆にまで適応されるようになったのは科学技術の進歩が余剰生産を生んだからである。

 まあそれはそれとして、人間ドラマの集合としてみた場合にはアメリカ独立戦争もフランス革命も興味深いといえば興味深い。だが、本書でも見られるが「独立戦争の限界として、黒人奴隷やインディアンに対する〜」などとゆー、ポリティカルな部分は興ざめである。手前勝手な倫理でなんもかも測ろうとするのはどうかと思うのだ。

 さて、ポーランドを分割したりトルコやスウェーデンと戦争したりとけっこう気を吐いているのがエカチェリーナのロシアである。このエカチェリーナ、元はドイツ人でロシア皇帝の妻となったが夫がろくでなしであったので愛人とクーデターを起こして専制君主になったのである。はるばるシベリアから沿海州へとその勢力を拡大し、日本人の漂流民とまで出会った女傑だ。そのうちこの女帝に関する歴史小説でも読んでみようと心に留めておく。

 さらに東、乾隆帝の盛世も、60年の歳月の後についに終わる。
 その中に、私が好きなエピソードのひとつがある。

 イギリス政府の特命大使マカートニーが乾隆帝の治世の晩年、1793年に帝に謁見している。

「はるばる西の果てよりよくぞまいった」
「手厚い歓迎いたみいります。皇帝陛下、我がイギリスと通商条約をむすび、交易を盛んにするのは貴国にとっても利のあることでございます」
「ふむ……交易とな」

 ここで、乾隆帝は次の言葉を伝える。
『地大物博』(地、大きく 物、博(多)い)

「我が国は、豊かな国であるから交易を必要としない。だが、恩恵としての朝貢貿易は、これを承認しよう」

 すでに人口4億近い清国はそのような愉快な戯れ言ができる閉ざされた国家ではなかった。中国人は次々に海外へと雄飛し(どうせ本国では満州族がえばっているのだ)、ジャンク船による交易は盛んになる一方である。

 しかるに、このいかにも尊大な台詞は、私の好みである。大中華帝国の支配者たるもの、このぐらいふかしをこいてなんぼであろう。
 だが、マカートニーも居住性は悪い、食い物はまずいの帆船で何ヶ月も旅を繰り返してここまでやって来た英国人(ライミー=壊血病予防で船ではライム果汁を飲んだので)である。性格の悪さでは乾隆帝とだって張り合える。
 翌年、帰途につくマカートニーはこの清の盛世にもかげりがあるのをはっきりと認識していた。官の腐敗や民衆の不満などをしっかり見聞して報告している。

 やがてインドをイギリスが実効支配し、とぎれることのない戦争によって進化した優れた軍事技術をもって再び清国に挑戦する時が、もう迫ってきていたのだ。

12月25日

■本日の読書:『ローマ人の物語XIII 最後の努力』塩野七生
 年に一冊の楽しみ。
 今年はなんとクリスマスプレゼントである。
 それでいて本の内容が、ローマへキリスト教が浸透してローマをローマでなくしていくのだからなかなかに皮肉が効いていてよろしい。

 崩壊するローマ帝国をなんとか救おうとする努力について、本書ではふたりの皇帝に焦点を当てている。
 ひとりは帝国を四分割して「四頭政(テトラルキア)」を敷いたディオクレティアヌス。
 もうひとりは、その「四頭政」の崩壊を見て帝国を建て直すには唯一神の権威を背景にする改革しかないと判断したコンスタンティヌス。

 まず「四頭政(テトラルキア)」であるが、帝国の東と西に正帝(アウグストゥス)を置き、さらにその下にひとりずつ副帝(カエサル)を置いたのである。

 その目的は、国境線の常時監視である。

 3世紀になると帝国は外側からの異民族の侵入、内側での集団化した山賊たちの跋扈により国内がどんどん荒らされていた。

 国が守るべき最大の責務は、治安の維持である。これは現代でもそうで、民主化も自由経済もなんもかも、まず治安が維持されていなくては始まらない。
 そこでディオクレティアヌスは広大で国境線も長いローマ帝国の治安維持のためにはひとりの皇帝では足りず、4人の皇帝が常になんやかやと自分の担当エリアに気を配っていないとダメだと思ったのである。

 この方式は、治安の維持という点では成功したが、それ以外の点では幾つもの失点を重ねた。ひとつには、必要とされる軍事力が倍増してしまい、その結果として国内に重税を課すことになったというものである。
 そして最大の失敗は4人も皇帝がいてはまとまるものもまとまらないというある意味で当然の結果であった。ロボットではないのだ。

 そして、ディオクレティアヌス退位後に発生した皇帝同士の内紛の結果、最後に勝ち抜いたのがコンスタンティヌスである。コンスタンティヌスは我が身を省みて「四頭政」はダメだと強く思ったのであろう。

 かといって、3世紀の混乱をもう一度繰り返すのもよろしくない。皇帝には何か重要な権威が必要なのだ。その権威は、今や有名無実となった元老院や、これまでローマを守護してきたローマの神々、そしてローマ自身といってもいい法ですらない。
 それらを越える何か――そう、それは絶対権威である唯一神を祭る宗教にこそ求められるのではないか。

 かくして、コンスタンティヌスは当時はえー、今の日本でいえば創価学会ぐらいにマイナーでありながらそこそこ力も握っていたキリスト教に目を付けたのである。キリスト教の元であるユダヤ教は排他的にすぎたし、ほかの一神教は言ってはなんだが世俗的な影響力がなさすぎた。

 唯一神の絶対権威を背景に、その現世における管理者としての皇帝という形である。

 これが結果として良い具合に機能したのはこの後に続く時代において、キリスト教の権威が世俗的な権威をバックアップする方式が長く用いられた事からも分かるだろう。これまでローマ皇帝にはなかった戴冠式というセレモニーは、唯一神が王の即位を認めるというところから始まっているのだ。

 しかしそれは、コンスタンティヌス自身も、そして当時のキリスト教徒も意識していなかった方向へとキリスト教をねじ曲げる。世俗権力と結びつくことによって、キリスト教はかつてキリスト自身の言った「神のものは神に。カエサルのものはカエサルに」という精神を失ってしまうのである。
 後の歴史を書いたキリスト教徒はコンスタンティヌスを大帝として褒め称えるが、私のような部外者に言わせると、彼はキリスト教を変質させてキリスト自身の思いからほど遠いえげつない存在にした大悪人ではなかろうか。

 むろん、現実主義者であるコンスタンティヌスはそんな後世の事まで知ったこっちゃなかろう。彼はローマ帝国を維持するための権威付けに必要だからキリスト教を保護したのであって、その教えが素晴らしいと思ったわけでは(おそらく)ないのだから。

 そういう事もあって、コンスタンティヌスはそれまでのローマの神々や権威が強いローマから遠く東へ離れた、黒海から地中海への入り口である場所に新しい都、コンスタンティノポリスを建設する。
 もはやローマ帝国はローマそのものを重荷に感じるようになったのだ。

 こうして、ローマ帝国はいよいよ最後の百年あまりを迎えることになる。

12月26日

■本日の読書:『陰からマモル 4』阿智太郎
 今月2冊目の阿智太郎である。
 やー、笑った笑った。
 『アクーマ・デテクール』は笑ったといっても「ふ」ぐらいだったのだが、こちらは「ぶはははははははははははははは!」である。『陰からマモル』では1巻の筋肉おしくらまんじゅう以来の大ヒットである。ツボにはまったともいう。

 ポイントは、副題にもなっている甲賀最強の忍びだ。

 今はどうか知らないが、かれこれ30年ほど前には少年雑誌でも忍者漫画というのがけっこうあった。他にも戦旗漫画……じゃない戦記漫画がけっこうあって、『紫電改の鷹』とかたいへん面白く読ませていただいたりなんかしていた。グラビア部分に、女の子じゃなくて兵器の写真やイラストなんかあったりしてだな。
 で、その頃に少年時代を過ごした男の子であれば、甲賀忍者最強といえば、文句なしに猿飛佐助の名前が挙がるだろう。
 ちなみに私は当時から博覧狂気……じゃない博覧強記で大量の本を手当たり次第に読んでいたので猿飛佐助の令名は実は後から作られたというのも知っていた。
 そしてクラスメイトに得々と語ってきかせたものだ。

「実は猿飛佐助は、小牧長久手の戦いの時に秀吉から命じられて家康を暗殺しようとして失敗、殺されたのだ。だが、猿飛佐助の名前を利用した伊賀の服部半蔵によってその後もニセモノの猿飛佐助が作られて、大活躍したんだ。それで今も名前が残っているというわけだよ」

 それが、少年向け忍者本を書いた誰かが適当に面白そうだからというのででっちあげた記事だと知るのは、10年後のことである。

 そういうわけで甲賀最強の忍びとして今回登場するのが、猿飛音吉である。

 甲賀の里の山奥で、ひっそりと生き続ける忍びの一族。その正体は甲賀忍者の長しか知らない。
 猿飛音吉が受けるのは普通の忍びの仕事ではない。奴がたずさわる任務はただひとつ。
 里を抜けた抜け忍の始末である。つまり――抜け忍殺し。

 やー、実にオーソドックスな忍者物の最強パターンですよ?
 何せ、忍者を殺すための忍者ですからね?
 マモルはこの猿飛音吉とさんざん激しい戦いを繰り広げたあげく、必殺技を使ってしとめた――と思った瞬間、その必殺技を返されてしまう。

「なんて奴だ……」
「たった一度見ただけで、逆さ人柱落としを完璧にやってのけるなんて。あいつ人間じゃねえ」

 どんな強い忍術であろうが、それを返す事ができるのである。
 ますますもって、最強パターン。
 で、その正体はとゆーと。

「ウッキ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 白日にさらされたその顔は、何だかとっても毛むくじゃらだった。
 そして顔は赤っぽかった。
「人間じゃねえ」
「おさるだ!」

 こうして。
 夜更けの静かな住宅街に。
 私の笑い声が響きわたりましたですよ。

 猿飛だから猿。
 そのまんまかっ!

 得意技は猿まねの術。
 そりゃそうだっ!

 いや、してやられた。これは見事に一本取られた。

 でもって、皆さん、後は分かりますね?
 1巻からずっと承知のことですが、ヒロインのゆうなちゃんが大好きなのはなんでしたっけ?

 そう、バナナです。

 どっとはらい。

12月27日

 昨日は広島のRPGサークルTGCの忘年会であったのだが、そこで現在放映中のガンダムSEEDですてぃにーの話題になる。

「ところで、今回のPC1だが、あれはダメだな」
「PC1といいますと、アスランですか?」
「違うだろっ! 妹フェチだよっ!」
「PC1が悪いというよりは、プレイヤーに問題がありますね。アレ、ちゃんと他のPCとコネクション結んでませんよ?」
「キャラクターシート見たら因縁は妹に全部割り振ってあるんだぞ、きっと」
「そのうえ、他のPCのシーンに登場してもやることがないとか言って、そもそも登場しやがらないのはどういうワケか」
「自分のシーンにしか登場しませんからねー」
「登場回数が少なすぎますよ」
「いや、それはゲームマスターにも問題があると思うぞ。つい前のキャンペーンのPCを登場させたくなるのは人情として俺も分かるが、さすがにやりすぎだろう」

 ヲタの会話というのは楽しいなぁ。

■本日の読書:『ゼロの使い魔』ヤマグチノボル
 どっかで読んだようなと思ったら、あの作品のライターさんだったか。

「いいか。三次元の女はやめとけ、あいつら呼吸するんだぞ、呼吸」

 それはさておいて本書の内容は和製ハリー・ポッターである。
 主人公は現代の普通の高校生。こいつがハリーだ。
 ハリーは突然、ファンタジーな世界の魔法学校へ召喚される。ホグワーツだと思えばよろしい。
 だが、魔法使いとしてではない、魔法使いの使い魔としてだ。
 召喚したのは魔法成功率ゼロに限りなく近いダメ魔法使いの女の子である。この子がハーマイオニー……にしてはつんつんしてるな。
 召喚されたハリーはあらゆる武器を使いこなす特殊能力が付与される。剣を持てば剣の達人になり、銃を持てばガン=カタを使いこなす。だがどうやら素手では特技は発動しないようである。なお増えるのは攻撃力と回避力だけで防御力やヒットポイントは増えないので戦闘には注意が必要である。
 ハリーとハーマイオニーは、ホグワーツの宝物庫から奪われた『破壊の杖』を取り戻すために学院長、つまりダンブルドア校長相当から特命を受けてゴーレムを使う盗賊を追う。
 盗賊の正体はあっと驚く(わけではない)意外な(と言えなくもない)人物で、ハリーとハーマイオニーはその盗賊の操るゴーレムに襲われる。
 ところがなんと、『破壊の杖』は携帯式M72ロケットランチャーで、現代の普通の高校生だがどんな武器でも使える能力を手にしたハリーによってゴーレムは一撃で撃破されるのである。

 ナニ? 信じられない?

 本当にそういう展開なんだってば。

12月28日

 ローマの準備をする。

■本日の読書:『ゼロの使い魔 2』ヤマグチノボル
 前の巻はまんまハリーポッターだったので、そういうのを想像しながら本書を読むとかなり仰天する。私は仰天した。
 何しろ今度は戦争だっ!
 前回はどちらかとゆーと愉快系の犯罪者でオチもそういうノリだったのだが、今度は他国とはいえ内乱である。戦争でマジでヒトが死ぬ。ばんばん死ぬ。

 そういう内乱中の国へヒロインと主人公はお姫様の密命を受けていく。むかしお姫様が王子様に送ったラブレターを回収しに行くのだ。お姫様は政略結婚で隣国に嫁ぐので、そういうスキャンダルのネタがあってはまずいのである。

 王子様はウェールズ。プリンス・オブ・ウェールズである。内乱中の国の名前はアルビオン。つまりイギリス。ここは浮遊大陸である。
 なお、魔法学院があるヒロインの母国はトリステインでフランス。隣国はゲルマニアでドイツ。分かりやすくてよろしい。

 本書ではファンタジー世界らしく、飛空戦艦とかが出てくる。ロイヤル・ソヴリン、反乱軍に乗っ取られてレキシントンと名前が変わっている。第二次世界大戦のR級戦艦というよりは、おそらくは帆船時代の(トラファルガー海戦などの)一等艦であろう。108門艦とか書いてあるし。

 で主人公のサイトとヒロインのルイズの関係であるが物語の展開と同じく波瀾万丈である。

・サイト、ルイズが自分に惚れていると勘違いして夜ばいをかけ、ぎたぎたにされる。
・お姫様から密命。同行する騎士ワルドはなんとルイズの幼馴染みで婚約者(正式ではない)。
・ワルドとサイト、腕比べ。サイトぼろぼろに負ける。「君では彼女を守れない」などといい気になってぬかすワルド。
・しょんぼりサイト。ルイズがなぐさめようとするが逆効果。「あいつに守ってもらえよ」などと負け犬な台詞をはく始末。
・なんだかんだあった後。ワルドがルイズと結婚しようとする。ルイズは押し切られそうになるが、誓いの台詞を言う土壇場になって結婚できないときっぱり宣言
・ワルド、仮面をかなぐり捨てて悪役の本性を剥き出しに。そばにいたウェールズ王子を殺し、ルイズも殺そうとする。
・そこへサイトが駆けつける。ワルド対サイトの二戦目。相棒の剣デルフリンガーが覚醒した事もあってサイトの勝利。腕一本取られてワルドは退散。
・陥落したアルビオンの城から飛竜で故国へ帰る途中、サイトはルイズにキス。

 つうわけで密命うんぬんはともかく、戦争はまだまだ続いたまま3巻へ続くのである。
 いやー、まさか戦争になるとはなー。

12月29日

■本日の読書:『ゼロの使い魔 3』ヤマグチノボル
 1巻と2巻はまるで毛色の違う話だったが、3巻は2巻の後日談から始まる。
 まず、王制を打倒したアルビオンであるが新しくトップに立ったのはオリヴァー・クロムウェルである――って、護国卿っ?!
 彼がリーダーである『レコン・キスタ(国土回復運動)』は、その名が示すように東方のエルフ族によって追い出されている聖地に帰還する事を目的としている。そのために残る2国、トリステインとゲルマニアを征服しようというのだ。

 ナニやらこー、えらく話がでかくなってきましたですよ。

 その一方で、サイトとルイズは生煮えの関係を続けている。最初はご主人様と使い魔という関係そのままだったのだが、ルイズの方がサイトを意識しはじめて優しくする一方で、サイトの方はもしかしたら自分はもう必要ないのではなかろうかといらない気を回したりするからぎくしゃくの度合いはどんどん大きくなる。

 あげく、メイドの女の子シエスタがサイトに惚れてアプローチしたりしたため、ついにルイズがキレてしまい、サイトは使い魔をクビにされてしまう。
 その後、すったもんだあった後でサイトは仲間と宝探しに出て、空を飛ぶ『竜の羽衣』を発見する。それはシエスタのひいおじいちゃんの持ち物だった。

 全長9m。全幅11m。
 中島「栄」二一型空冷複列星形14気筒、1100馬力のエンジンで時速550kmを出すその機体は――三菱零式艦上戦闘機である。

 ひいおじいちゃんは遠くからシエスタの村にやって来て、そこで燃料切れで不時着し、そのまま帰る方法も分からないで村に住み着いたのである。鉄の塊である『竜の羽衣』=零戦が飛ぶとは誰も信じなかったが、ひいおじいちゃんはわざわざ魔法使いに頼んで『固定化』の呪文をかけてまで劣化しないようにし、大事に大事に保管していたのである。

 サイトはひいおじいちゃんの墓に参る。墓石にはこの世界の誰にも読めない文字で、だが日本人であるサイトには読める文字でこう書いてあった。

『海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル』

 ひいおじいちゃんの遺言は、この文字が読める人間に『竜の羽衣』を譲って欲しいというものだった。そして、伝えて欲しい言葉があるとシエスタは言う。

「それで、その人物にこう告げて欲しいと言ったそうです」
「なんて言ったの?」
「なんとしてでも『竜の羽衣』を陛下にお返しして欲しい、だそうです。陛下ってどこの陛下でしょう? ひいおじいちゃんは、どこの国の人だったんでしょうね」
「俺と同じ国だよ」

 帰りたかったけれども、帰ることができなかった人の望郷の思い。
 いつもはバカな騒ぎばかりしているサイトも、この時ばかりはしんみりとしてしまう。

 で、こじれていたルイズとサイトの関係はどーなったかというと。

 ルイズが泣いちゃったのである。
 手放しで、わんわんと。

 この最強兵器を使われては男に太刀打ちする方法はありはしない。
 しかし、べたべたなラブコメをしている間にも、アルビオンを支配したクロムウェルの野望がトリステインを狙う。いよいよ始まった二国間の戦争に零戦に乗って飛び出したサイトとルイズ。

 ルイズが手にした零の――虚無の魔法がついに発動する!

 …………って、ティルトウェイト?!

12月30日

■本日の読書:『スクールランブル 7』小林尽
 この巻にも、烏丸クンは登場せず。
 そろそろ本気で心配。
 彼が出てくれないと天満ちゃんの恋が進まないし、それが進まないということは、播磨の今後がはっきりしないからである。

 そういうわけでこの巻では完全に天満ちゃんは脇役になっている。

 逆に出ずっぱりになっているのがもう一方の主役である播磨で、彼を巡って『お嬢』こと愛理ちゃんと『妹さん』こと八雲ちゃんがナニやらきな臭い関係になりつつある。
 しかし播磨自身は天満ちゃんに変化がない以上、天満ちゃん一筋なんだよなー。そこだけはきっちり筋が通っているので、話が浮ついたりしないのだが。
 それにしても『お嬢』の存在が前の巻以降、えらく大きくなっている。最初に登場した時は天満の友人三人娘のひとりでしかなかったのだが。
 出世魚?

12月31日

■本日の読書:『撲殺天使 ドクロちゃん』おかゆまさき
 本年度最後の読書日記は、『撲殺天使 ドクロちゃん』である。
 この作品を今年の最後にもってきたのは、娯楽作品のボーダーレス化についてつくづく感じ入るところがあったからである。
 漫画があり、ゲームがあり、小説がある。アニメがあり、映画があり、演劇がある。
 これらの娯楽が今や『小説だからこう書く』ではなく、
『こういうニーズがあるから、小説ではこういう形式で書く』に変わっているその証左であろうと思うのである。
 良い悪いの問題ではなく、市場が求めているものがそういう方向なのだとここは理解すべきであろう。
 そういう意味で、実に勉強になるし模範にもなる作品であろうと思うのだ。

■今年度の読書リスト(読書日記に記載したもののみ)
 というわけで、並べてみた。

『罠にかけろ』 C.N.パーキンソン
『海からきたスパイ』 C.N.パーキンソン
『火の船』 C.N.パーキンソン
『地中海の黒い雲』 C.N.パーキンソン
『南海の秘密基地』、『インド洋の落日』 C.N.パーキンソン
『ダウンビロウ・ステーション 上』 C・J・チェリイ
『ファースト・レンズマン』 E.E.スミス
『三惑星連合』 E.E.スミス
『宇宙賃貸サルガッ荘 4』 TAGRO
『変態生理ゼミナール』 TAGRO
『まんがサイエンス IX』 あさりよしとお
『るくるく 3』 あさりよしとお
『よつばと! 3』 あずまきよひこ
『グッドラック』 アレックス・ロビラ/フェルナンド・トリアス・デ・ベス
『コミック新旭日の艦隊 8、9』 飯島祐輔/原作:荒巻義雄
『コミック新旭日の艦隊 17』 飯島祐輔/原作:荒巻義雄
『コミック新旭日の艦隊18:黒き巨兵の森』 飯島祐輔/原作:荒巻義雄
『海で暮らす気もち』 いくたまき
『despacio 2(ですぱしお)』 うしまる
『キャプテン・フューチャー全集1 恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近!』 エドモンド・ハミルトン
『キャプテン・フューチャー全集3 太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪団』 エドモンド・ハミルトン
『脅威! 不死密売団』 エドモンド・ハミルトン
『挑戦! 嵐の海底都市』 エドモンド・ハミルトン
『撲殺天使 ドクロちゃん』 おかゆまさき
『ハニハニハッ! 1』 がぁさん
『トリポッド1 襲来(When the TRIPODS came)』 ジョン・クリストファー
『パナマの死闘』 セシル・スコット・フォレスター
『燃える戦列艦』 セシル・スコット・フォレスター
『エレニア記1 ダイアモンドの玉座(上・下)』 デイヴィッド・エディングス
『フューチャー・イズ・ワイルド』 ドゥーガル・ディクスン&ジョン・アダムズ
『無頼船長トラップ』 ブライアン・キャスリン
『魔術探偵スラクサス』 マーティン・スコット
『アンタレスの夜明け』 マイクル・マッコーラム
『祖父たちの戦争』 マレイ・ラインスター
『遙かなる賭け』 メリッサ・スコット
『ゼロの使い魔 2』 ヤマグチノボル
『ゼロの使い魔 3』 ヤマグチノボル
『ゼロの使い魔』 ヤマグチノボル
『降伏の儀式 上』 ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル
『白銀の誓い』 リンゼイ・デイヴィス
『光の王』 ロジャー・ゼラズニィ
『アークマ・デテクール 地下室の悪魔』 阿智太郎
『いつでもどこでも忍2ニンジャ 6』 阿智太郎
『陰からマモル 4』 阿智太郎
『陰からマモル! 3』 阿智太郎
『ツバメしんどろ〜む 1』 茜虎徹
『ツバメしんどろ〜む2』 茜虎徹
『荒野に獣慟哭す 1』 伊藤勢/原作:夢枕獏
『ねこだらけ物語』 一条理希
『旭日の鉄騎兵』 陰山琢磨
『旭日の鉄騎兵西へ』 陰山琢磨
『ローマ人の物語XIII 最後の努力』 塩野七生
『ムシウタ1』 岩井恭平
『斎藤道三 1』 岩井三四二
『アリアンロッド・リプレイ』 菊池たけし
『魔界都市〈新宿〉』 菊池秀行
『火星の土方歳三』 吉岡平
『金星のZ旗』 吉岡平
『恋風1〜3』 吉田基已
『血闘絶対国防圏 邀撃の章』 吉田親司
『大唐帝国』 宮崎市定
『ゆらゆらと揺れる海の彼方 3』 近藤信義
『ゆらゆらと揺れる海の彼方』 近藤信義
『蟲忍』 古橋秀之&前嶋重機
『斬魔大聖デモンベイン 機神胎動』 古橋秀之(原作:鋼屋ジン)
『乃木坂春香の秘密』 五十嵐雄策
『プラネテス 4』 幸村誠
『ブラック・ラグーン1〜3』 広江礼威
『神風隊長 恐怖の火星鉄仮面』 江戸門晴美
『鋼の錬金術師 7』 荒川弘
『鋼の錬金術師 8』 荒川弘
『鋼の錬金術師 9』 荒川弘
『灼眼のシャナ VII』 高橋弥七郎
『灼眼のシャナ VIII』 高橋弥七郎
『灼眼のシャナVI』 高橋弥七郎
『皇国の守護者8』 佐藤大輔
『おねがいツインズ1 一人と二人』 雑破業
『おねがいツインズ2 二人と一人』 雑破業
『地中海の戦い』 三野正洋
『アリソン3下』 時雨沢恵一
『アリソンII 真昼の夜の夢』 時雨沢恵一
『アリソンIII<上>』 時雨沢恵一
『見敵必戦』 鹿内靖
『我が家のお稲荷さま。』 柴村仁
『妖怪ハンター』 諸星大二郎
『日本沈没 上・下』 小松左京
『導きの星1〜4』 小川一水
『スクールランブル 4』 小林尽
『スクールランブル 5』 小林尽
『スクールランブル 6』 小林尽
『スクールランブル 7』 小林尽
『桶狭間の戦い』 小和田哲男
『国産ロケットはなぜ墜ちるのか H−IIA開発と失敗の真相』 松浦晋也
『アフリカを食べる』 松本仁一
『カラシニコフ』 松本仁一
『QUEEN1313 クィーン・ダブルサーティーン』 新谷かおる
『星界の戦旗IV 軋む時空』 森岡浩之
『シャーリー』 森薫
『ヴぁんぷ!』 成田良悟
『デュラララ!!』 成田良悟
『バッカーノ!』 成田良悟
『ムーン・ロスト 1、2』 星野之宣
『TWD EXPRESS 1〜4』 聖悠紀
『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新
『クビキリサイクル』 西尾維新
『クビシメロマンチスト』 西尾維新
『クビツリハイスクール』 西尾維新
『サイコロジカル 上・下』 西尾維新
『ヒトクイマジカル』 西尾維新
『魔界転生 上下』 石川賢/原作・山田風太郎
『5001年 ヤクザ・ウォーズ』 石川賢/原作・高円寺博
『Alice』 川崎康宏
『終わりのクロニクル1下』 川上稔
『終わりのクロニクル2 上下』 川上稔
『終わりのクロニクル3中』 川上稔
『終わりのクロニクル3下』 川上稔
『終わりのクロニクル 4上』 川上稔
『ぎゃるかん 7』 倉上淳士
『ガンスリンガー・ガール 3』 相田裕
『ガンスリンガー・ガール 4』 相田裕
『こちらITT』 草上仁
『KITTEHATTE 露日友好』 速水螺旋人
『ガンズ・ハート1、2』 鷹見一幸
『ガンズ・ハート3』 鷹見一幸
『ガンズ・ハート4』 鷹見一幸
『でたまか 純情可憐編』 鷹見一幸
『でたまか 奮闘努力編』 鷹見一幸
『でたまか 問答無用編』 鷹見一幸
『ネオクーロンA』 鷹見一幸
『覇者の戦塵1942 激突シベリア戦線 上下』 谷甲州
『覇者の戦塵1944 ラングーン侵攻 上』 谷甲州
『覇者の戦塵1944 ラングーン侵攻・下』 谷甲州
『剣客商売』 池波正太郎
『剣客商売8 狂乱』 池波正太郎
『剣客商売9 待ち伏せ』『剣客商売10 春の嵐』『剣客商売11 勝負』 池波正太郎
『特命高校生』 竹内桜
『スカーレット・ストーム 第二海軍物語』 中岡潤一郎
『龍神の艦隊 1』 中里融司
『爆撃聖徳太子』 町井登志夫
『鉄人28号:皇帝の紋章 1』 長谷川裕一/原作:横山光輝
『鉄人28号〜皇帝の紋章 2』 長谷川裕一/原作:横山光輝
『GSホームズ極楽大作戦』 椎名高志
『ナマコの眼』 鶴見良行
『空ノ鐘の響く惑星で』 渡瀬草一郎
『空ノ鐘の響く惑星で 2』 渡瀬草一郎
『空ノ鐘の響く惑星で 3』 渡瀬草一郎
『空ノ鐘の響く惑星で 4』 渡瀬草一郎
『空ノ鐘の響く惑星で 5』 渡瀬草一郎
『イエスタデイをうたって 4』 冬目景
『なぜ彼らはプロペラ機を愛するのか?』 藤森篤・桜井健雄・神谷直彦
『本格推理委員会』 日向まさみち
『銀河乞食軍団外伝1 木枯郡山猫街道8番地』 野田昌弘
『新書英雄伝:「疾風」衛青・霍去病伝3〜6』 有坂純
『歴史群像64号』よりフリードリヒ大王の7年戦争 有坂純
『塩の街』 有川浩
『戦国15大合戦の真相』 鈴木眞哉
『武装錬金 1〜3』 和月伸宏
『武装錬金 4』 和月伸宏
『武装錬金 5』 和月伸宏
『ゲームジャーナル11号 特集:レイテ湾決戦』
『ゲームジャーナル12号 特集:日本史の宴』
『ミリタリークラシックス Vol.1、Vol.2』
『ミリタリークラシックスVol.3』
『ミリタリー・クラシックス 5号』
『朝日百科世界の歴史 紀元前の世界2』
『朝日百科世界の歴史 紀元前の世界3』
『朝日百科世界の歴史 1〜2世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 3〜4世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 5〜6世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 7〜8世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 9〜10世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 11世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 12世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 13世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 14世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 15世紀の世界』
『朝日百科世界の歴史 16世紀の世界1』
『朝日百科世界の歴史 16世紀の世界2』
『朝日百科世界の歴史 17世紀の世界2』
『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界1』
『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界2』
『朝日百科世界の歴史 18世紀の世界3』
『朝日百科世界の歴史 町と村』
『朝日百科世界の歴史 革命と反乱』
『朝日百科世界の歴史 災害と人口』
『朝日百科世界の歴史 宗教と異端』
『朝日百科世界の歴史 商品と物価』
『朝日百科世界の歴史 植民地と貿易』
『朝日百科世界の歴史 世紀末と予言』
『朝日百科世界の歴史 税と貨幣』
『朝日百科世界の歴史 戦争と平和』
『朝日百科世界の歴史 土地と身分』
『朝日百科世界の歴史 民族と移動』
『朝日百科世界の歴史 理性と差別』
『名将と合戦シリーズ 豊臣秀吉 疾風の機動戦』
『歴史群像63号』
『歴史群像64号』
『歴史群像66号』
『歴史群像67号』
『歴史群像68号』

 ここに記載しなかった本も多くあるが、まあそれはさておき。
 せっかくなので賞を決めよう。

■2004年度銅大賞

◎SF部門:『導きの星』小川一水
 オチがしょぼいとか、展開にサプライズがないとか、そういうマイナス面は確かにある。 しかし、逃げたりごまかしたりせずに真正面から堂々とSFらしいSFを読ませてくれたその心意気や良し。

◎歴史部門:『朝日百科世界の歴史』
 言うことなし。質・量ともにみごと。
 去年週刊誌だったのを古本屋でまとめ買いしたのだが、これは我ながら良い買い物をした。特に一冊が薄いので、フィットネスプラザでトレーニングをしながら読めるのが良い。

◎インパクト部門:成田良悟&西尾維新
 以前から名前だけは知っていたが、読んだのは今年になってから。
 たいへん面白い上に、わくわくさせてもらった。

◎架空戦記部門:『コミック新旭日の艦隊』飯島祐輔/原作:荒巻義雄
 まさかあの原作がここまで面白くなるとはっ!
 漫画の力、恐るべし。

[戻る]

この日記は簡単ホームページ日記で作成されました。