今日はエイプリルフールである。
それでは友人と製作している同人ゲームについて語ろう。
鳴き交わす蝉の声。
あれから……もうすぐ一年が過ぎようとしていた。
夏。8月。
東北の小さな田舎町に、俺は来ていた。
『民話の故郷』などと大層な名前がついた町に。
志貴「で、どこの別荘だって?」
秋葉「? ですから遠野の別荘だと」
明治より続いた、古い契約。
志貴「オクナイ様?」
翡翠「そう、呼ばれています」
時が満ち、人が集う。
志貴「俺に何を求める」
遥佳「求めるのではない。解放してやろうというのだ」
封じられた、直死の魔眼。
志貴「線が──見えない?」
人を動かすのは恨みか、それとも愛か。
志貴「もう手遅れなのか、秋葉」
秋葉「兄さんを殺すのは、私です」
交差する思い。
錯綜する想い。
秋葉「『遠野物語』という本があるのをご存じですか?」
すべてに決着をつけるため。
今ひとたび、俺は刃を手にする。
志貴「今宵だけは魔眼の殺人鬼の通り名は返上させてもらう」
影「ただの遠野志貴ということか。それで勝てるとでも?」
琥珀「もちろんですわ」
翡翠「当然です」
影「ふん。根拠のない自信だな」
志貴「教えてやろう。俺の大事な人が俺を信じてくれている限り──」
SE(ちゃき、と眼鏡をはずす音)
志貴「遠野志貴は、無敵だ」
『月姫』アナザー・ストーリー、『遠野の里』2004年夏、公開。
ごりごり。
ごりごり。
……ふと思いついたこと。
宇宙では空気がない。だが、日本軍の誇る酸素魚雷であれば、たとえ空気も酸素もなくても宇宙で使えるのではないか。
名付けて、宇宙酸素魚雷。
1番から4番まで装填。発射っ!
からからからから……
……ああっ?! スクリューがっ?!
ごりごり。
……はふぅ。
朝。
ホテルをチェックアウトし、見慣れた神田明神の桜を最後に拝む。
こちらに来たときはまだ花などつけておらず。
いつしか満開となり、そして、風とともに散りゆく桜を。
季節とはこうして移り変わるのだろう。
かくして広島に帰り、慣れたFILCOのキーボードをかちゃかちゃと打つ。
うむ、この感触である。
明日は久しぶりに本屋にでも行こう。
久しぶりに本屋に行く。
本当に久しぶりなので、ろくごまるにの新刊でも出てりゃせんかと期待したのだが、残念ながら出ていなかった。
その代わりに、佐藤大輔の新刊が出ていたので買う。
買ったが、まあ、ほれ?
どうせ続きは何年後かわからないのだ。慌てて読むこともあるまい。
長らく活字絶ちの生活をしていたので、軽いところから読もうかね。積んでおいた雑誌とか。
■本日の読書:『歴史群像64号』よりフリードリヒ大王の7年戦争(有坂純)
フリードリヒ大王は、言うまでもなく歴史上の偉人である。
何をもって偉人とするかはいろいろあるだろうが、たとえば同じドイツ系で言うと、かの鉄血宰相ビスマルクは悪辣な偉人であった。性格はむちゃくちゃ悪く、だがきわめて合理的で現実主義者であった。国家戦略をたてる上では必要とされるタイプのスケールの大きな悪党である。
対して、フリードリヒ大王はなんというか、たぶん、おそらく、理想主義者だったのではないかと思われる。しかし、その理想ゆえに彼はきわめて分の悪い賭けにプロイセンという新興国を巻き込んでしまう。オーストリア、ロシア、フランス。いずれの1国でさえ、当時のプロイセンとは比肩すべくもない大国である。これを3国まとめて敵に回したのだから戦争を始める前の外交のレベルで大失策をおかしている。
しかし、フリードリヒ大王の偉人としての働きはここからである。とにかく彼は不利であればこそ、内に閉じこもっていてはじり貧であると判断した。そして積極的に攻勢に出たのである。良いか悪いかは置いておいて、その決断力だけでも偉人にランクインされるであろう。
1年目:先手必勝。ケンカは売られる前に買え。不意打ちで勝利。
2年目:殴り続ける。負けもするが、大勝もする。おらおらおら。
3年目:まだ戦いは終わらない。終わる様子もない。精鋭の兵士もほとんどが失われた。
4年目:ついに主導権が敵側に奪われる。ぼこぼこに殴られる。
5年目:それでも諦めずに戦いを続ける。きっとどこかに明日があるはずだ。
6年目:もはや満身創痍。立っているのがやっと。
7年目:ロシアが、ついでフランスが停戦へ動く。オーストリアもそれに追随。これで戦争は終わった!
7年戦争を箇条書きにするとこんな感じであろうか。とにかく最後のあたりはフリードリヒ大王の不屈の(そうとしか言いようがない)意志力だけがプロイセンをして、凄惨な戦いのリングに立たせていたのである。言うなれば、『Fate/stay night』のアーチャー戦における士郎? あれを演出でもなんでもなく、素でやってしまう人間は偉人としか言いようがないではないか。
むろん、その臣下として仕えるのは全力でごめんこうむりたいものであるが。
昨日、ろくごまるにの新刊がないことを嘆いていると、友人が連絡してきた。
「ネットで愉快な話を見つけましてね。封仙娘娘追宝録のこの後の展開なんですが」
「まったく何年待たせる気だ。おかげで、akagane-基準の保管年限を切ってしまって、既刊は全部捨てちまったぞ。残ったのは永久保存にランクインした『食前絶後』だけだ」
「もったいない。そういう時は連絡してください。取りに行きますから。それでですね――」
殷雷「なんて数の宝貝だ――!」
迂闊「どうした雑種。我におそれをなしたか」
ついに登場した最強の敵。あらゆる宝貝をその手に握る宝貝王。
和穂と殷雷はこの金ぴかの敵に勝てるだろうか。
殷雷「身体は刀で出来ている――」
和穂「何言ってるのよ殷雷。そんなの当たり前じゃない」
あらゆる宝貝を使えるというアドバンテージ。
だが、それゆえにこそ、宝貝王に唯一勝てるのは殷雷のみ。
殷雷「行くぞ、宝貝王――武器の貯蔵は十分か?」
「――というわけです」
「わはははは。Fate/stay nightネタか。そいつはいいや」
ともあれ、心身共に健康でないといかんということであるよな。そういや、一ヶ月近く、フィットネスプラザでトレーニングもしていない。今週末は久しぶりに鍛えるとしよう。
■本日の読書:『歴史群像64号』
●真・電撃戦(佐藤俊之)
1940年のフランス戦役において、なぜかくも見事にドイツは勝利したのか。
これを、ドイツの側ではなく主にフランスの側から見た記事。
第一次世界大戦で怖気を振るうほどの被害を受けたフランスは、戦いは攻撃した側が負けであると思い、攻められた時にいかに相手に出血を強いるかを第一に考えた軍を整えた。マジノ線が有名であるが、戦車にせよ大砲にせよ、そういう第一次世界大戦のような戦いを効率的に進めるために軍備を整えてきたわけである。
一方で、方針定まらぬ政府も、戦争はなんとか避けたいと妥協を繰り返していくうちに周辺諸国が「フランスは頼りない」と思うようになってしまって結局、戦わないで外交でドイツを封じ込めることに失敗してしまう。何が何でも戦争を避けようとした結果が、戦争せざるを得ない結果になったわけである。
なるほど、あの見事なまでの負けっぷりには、ちゃんと伏線があったわけだ。
●カポレットの戦い(瀬戸利春)
第一次世界大戦では、イタリアは連合国側について参戦した。いわば、勝ち組についたわけで(第二次世界大戦も結果的にはそういう事になっている)あるが、どうにもその戦いぶりというのはしまりがない。
本稿においても、
『ところがオーストリアの足元を見て参戦したものの、イタリアには戦争準備ができていなかったのである』
などという、実にイタリアらしい表現が。
それでも、こないだまで味方だと思っていたイタリアが攻めてきたわけで、枢軸国は対応に苦慮する。しかしまあ、しょせんはイタリアというべきか、浸透戦術を使ってドイツやオーストリアの山岳師団がすりぬけてくると、たちまち大いに崩れてしまうのである。戦死者1万、捕虜29万人という比率に、戦争に対するイタリア人の真剣さがうかがえて楽しい。
『第三帝国興亡記』というタイトルのゲームを買う。
パッケージにはグデーリアンとかロンメルとかマンシュタインとかの強面のおじさんがぞろぞろと描いてあり、いやがおうにも気分をもり立てる。
ところがどっこい。
「第一次世界大戦で敗北したドイツは失意のどん底にあった」
そりゃそうだよな。
「今こそ誇りを取り戻すのだー」
ほいほい。
「では、ゲーム開始です」
ちょっと待て。
「なんでしょう?」
再軍備宣言とかラインラント進駐はわかるが、さっきから一言も『ナチス』という言葉を聞けないのだが。
「はて? なんのことですかな? ナチス? はぁ?」
あ、しらばっくれやがった。じゃあおい、プレイヤーである私の立場はなんだ。ドイツ全軍を指揮する私の立場は。
「陸軍総司令官です」
どこの陸軍総司令官が、ポーランド侵攻を決めたり、石油の輸入を指示したりするんだ。これはどうみてもヒトラーの仕事だろうがっ!
「何をおっしゃいますやら。ヒトラーって誰です? あなたはドイツの陸軍の司令官なんですよ。脳内でみょ〜ちくりんな設定を付けるのは勝手ですが、ゲームにまで押しつけないでいただきたいですなぁ〜」
というわけで、ナチスもヒトラーも存在しないドイツで、それでいて目的はヨーロッパ全土の征服という、どう考えてもあまり倫理的でないプレイの開始である。
それにしてもなんというか、奥歯に物がはさまったようなゲームだなあ。
ほげほげ。
■第三帝国興亡記:「ポーランド侵攻」
第三帝国興亡記を始めてみる。
ゲーム開始日時は1939年9月。
「ダンツィヒ回廊はドイツ国民の悲願です。ぜひポーランド侵攻を」
「そりゃドイツ国民はそうかも知れんが、ポーランド独立だってポーランド人民の悲願だったろう」
「けっ。あんな三流民族がどうしたってんですかい」
強気な参謀長に言われるままに、ポーランドに宣戦布告をする。
そうすると次のターン。
「大変です! イギリスとフランスが宣戦布告してきました!」
「慌てるな。そういうことは事前に想定できていただろうが」
「だって、西部戦線には1個師団すら存在しないんですよ。どーするんです」
「このターンでポーランドを制圧したら、まんま西に移せばよかろう」
ポーランド侵攻は6個師団で行なう。
このゲームでは、師団は師団長をまず選び、麾下の3個連隊に、それぞれ最大3個大隊の兵力を配備し、さらに後方支援3個大隊を合わせて合計12個大隊で師団を編成する。
まずは、最優秀のグデーリアンに装甲師団を持たせる。
といっても、1939年であるから、そうたいした装備はない。
チェコ製の35(t)戦車3個大隊に、2号戦車6個大隊で主戦力を。後方支援に、補給トラック、偵察車両、対空砲を配備する。
それと忘れてはいけない特殊戦術の取得である。師団長が持つ特殊能力の中から「砲撃支援」とか「急降下爆撃」といった支援オプションを取得しておくことで、戦場において敵に優位に立つのである。このゲーム、空軍や海軍はプレイヤーの指揮下にはないが、こういう間接的な手法で、立体的な戦術を再現している。
グデーリアンの他に、ロンメル、マンシュタイン、モーデルら有能な師団長が率いる部隊は、たちまちのうちにポーランド軍を撃破。1ターンでポーランドは陥落したのである。
「フランスは攻めてこないな」
「そうですね。ではこの機会に、ウェーゼル演習はどうでしょうか」
「演習?」
「作戦名称です。ようは、デンマークを落として、そこからさらに北のノルウェイを占領するのです」
「やらなかったら?」
「間違いなく、イギリスがノルウェイを占領して、重要な鉄鉱石の供給源であるスウェーデンににらみをきかせるでしょうね」
「しゃあない。鉄が不足しては戦車も作れない。ウェーゼル演習を行うぞ」
デンマークもノルウェイも、鎧袖一触。あっというまに占領する。
「ソ連がフィンランドに侵攻しました」
「援助しろ。敵の敵は味方だ」
こちらの支援の甲斐もあってか、ソ連は圧倒的な戦力をもちながらフィンランドに苦戦。
「フィンランド善戦中です。……ところで私にいい考えがあるのですが」
「なんだ?」
「せっかくですのでフィンランドにもっと軍隊を送り込んで、そのまま属国にしましょう」
「えげつないなぁ。……ふむ」
フィンランドは戦力としてはたいしたことがないが、地理的にソ連の北方を脅かす場所にあるし、人材としてはマンネルハイム元帥は得難い将帥である。
「よし、承認だ。フィンランドを併合しよう」
フィンランドはドイツに併合された。だが、マンネルハイム元帥はドイツに仕えるのを良しとせず、野に下ったのである。
そしていよいよ1940年。西部戦線がきな臭くなってきた……
シアトルズ・ベストでエスプレッソ分を補充する。
ここは単価は高いが、とにかく大量のエスプレッソをくれるのである。いわゆるトリプル。ぐびぐび。
■第三帝国興亡記:「黄作戦」
ポーランド侵攻、スロバキア併合(チェコはとっくに併合してある)、デンマーク&ノルウェイ占領、フィンランド進駐と向かうところ敵なしのドイツ軍。
いよいよ次は西部戦線である。
「どうでもいいがウォーゲームをやっていると」
「良心回路でも痛みますか?」
「わしはキカイダーか。いや、地理に詳しくなるなあ」
そういえば、今から20年近く前にアフガニスタンの地理を学んだのは、アド・テクノスの『レッドサン・ブラッククロス』によってであった。
「さて、西部戦線だが。マンシュタイン・プランはどうした?」
「なんですかそれは。フランス侵攻といえばシェリーフェン・プランの焼き直しに決まってます。ベネルクス三国を制圧して、北フランスへ侵攻しましょう」
「いや、それ効率悪いし」
とはいえ、よくよく考えてみると、その効率の悪い作戦の方が良いのである。
このゲーム、実戦を経験すると師団長がレベルアップする。レベルアップした師団長は攻撃修正などの能力が上昇するのだが、何より『編成ポイント』が上がるのが大きい。というのも、師団はこの編成ポイントを消費して部隊をそろえるのだが、1個大隊あたりの編成ポイントは装備が良くなると大きくなるのだ。たとえば、2号戦車は1ポイント/大隊だが、35(t)戦車は2ポイント/大隊という具合に。
今はいいが、将来5号戦車(パンテル)とか6号戦車(ティーガー)とかが実戦配備されたら編成ポイントが足りなくなる。少しでも師団長を成長させておくに越したことはない。
つまりは、より多くの敵と戦うであろう正面からの殴り合いの方が、結果的に将来のためになるというわけだ。
1940年1月。さっそく作戦『黄』を発動する。ベネルクス三国へ侵攻である。
「3号戦車(初期型)もまだですが、よろしいんですか?」
「どうせ初期型では対装甲火力はたかが知れておる。それよりは敵の準備が整う前に殴れ殴れ」
このゲーム、戦闘単位は師団である。3個師団が集まって軍団。1エリアに配備できるのは3個軍団までなので、ユニットは最大でも9個。操作は実に快適である。こんなもん、30も40もあってもゲームにならん。雰囲気が楽しめればそれでよしである。
フランス軍のシャールB1戦車や、イギリス派遣軍のマチルダ戦車が相手である。装甲は厚いが戦術『集中射撃』や88ミリの『支援砲撃』などを駆使して撃破する。
続いて北部フランス、ノルマンディ、南部フランスと連戦。むろん損害は補充しながら戦うが、基本的には主力は35(t)である。
こうして春にはフランス全土を制圧に成功する。
だが、不安材料がひとつ。
「南部フランスもそろそろ終わりだな」
「たいへんです! イタリアが! イタリアが参戦してきました!」
「敵か? 敵なんだな?」
「残念ながら味方です」
「ちっ」
同盟国イタリアが参戦。しかも味方として。これは大きな不安材料である。
案の定、よせばいいのにイタリア軍がエジプトに侵攻して大損害を被ったり、タラント軍港を爆撃されたりとイタリア軍らしいお茶目を連発してくれる。
……いっそ、アメリカが本腰を入れる前に、イギリスを殴るか?
一ヶ月ぶりに、フィットネスプラザへ行く。
おお、筋肉がなまっておる。ひぃひぃ。
さらにおそるおそる体脂肪も測定する。
前回(3/6) 今回
・身長166cm ・同じ
・体重73.8kg ・72.5kg
・脂肪率25.9% ・25.5%
・脂肪量19.1kg ・18.5kg
・標準体重60.6kg ・同じ
・肥満度21.7% ・19.6%
……ああ良かった。この一ヶ月、運動らしい運動しなかったんでさすがに心配だったのであるが、そう悪くはなっていない。
実際、東京にいた時分は食が細くなっていたからなぁ。カプセルホテルで体重を計量したときは(サウナの後で汗をかいていたとはいえ)70kgだった。
なんにしても、これからはきちんと運動しよう。
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 戦争と平和』
こちらも久しぶりであるよな。
●一体化する世界と戦争
15、6世紀の大航海時代。ヨーロッパはユーラシアの辺境であり、その文化も富も、言うに足るほどのことはなかった。
しかるに、彼らは後に世界を『ヨーロッパ的な物』で覆い尽くすにいたる。
何が彼らをして、その地位に立たしめたか。
それは軍事技術であった。
猫額の地で互いに相争う争乱の日々が、ヨーロッパの人間をして世界に冠たる軍事技術者に育て上げていたのである。
高度な文明と巨大な人口を背景にしたインドのムガル帝国すら、その軍事技術の前に膝を屈した。ムガル帝国が内包する権力闘争にうまく乗じたとはいえ、そこで強力な発言権を持つことができたそれ自体が、ヨーロッパの軍事技術の優越を示している。
さすがに東アジアの大国、明・清ともなると兵站線の長さから思うようにはその軍事技術を行使できなかったが――そう、それも時間の問題だったのである。
●常備軍と鉄道
三十年戦争。中部ヨーロッパを荒廃せしめたこの戦争は、傭兵の戦争でもあった。新教側も旧教側もその戦力の中核は傭兵部隊であった。その中で史上名高い企業傭兵家、ヴァレンシュタインが登場するわけであるが、それはさておき。
その後、特にフランスを中心として傭兵に代わる常備軍制度が模索されるようになる。それは最終的には報酬ではなく、ナショナリズム、民族意識によって戦場へと赴く国民軍の創立へとつながる。革命後、周囲すべてが敵となったフランスを救ったのがこの新しい軍隊、国民軍であった。それはナポレオンの登場と、ナポレオン戦争と呼ばれる戦いを通して、ヨーロッパ各国にも広まっていく。
さらに、ふくれあがった軍隊を養うための補給線として、鉄道の存在が大きい。1825年にイギリスで最初の鉄道が敷設されて1世紀もたたないうちに、軍隊はこの鉄道にその補給線の多くを依存するようになるのである。
なお、このページには『南北戦争において鉄道が広く使われた』という記述があり、そのついでで映画、『風とともに去りぬ』の1シーンが写真で紹介されている。線路沿いに累々と南軍の負傷者が横たわっていて、そこをスカーレット(ヒロイン)が恋人を求めて歩いているというのだが――
正直、感心した。
薄汚れたねずみ色の兵士たちがごろごろと画面いっぱいに転がっている中を、赤いドレスのスカーレットがひとりさまよっているのだ。
ううむ。なんというか、実に絵になる。すばらしい。
この映画は見ていないのだが、これには感服した。
●イスラーム帝国の戦争と平和
オスマン帝国は、ヨーロッパよりも早くに強大な常備軍を編成した。また、地中海の東側を支配することにより、ヨーロッパへの文物の流れを支配することもできた。このふたつのアドバンテージにより、長らくオスマン帝国はヨーロッパに対し優位に立っていたのであるが、1571年のレパントの海戦以後、その優位は少しずつ崩れてゆく。
17世紀には第二次ウィーン包囲も失敗し、ハンガリーを失う。
18世紀にはロシアの南進により、北方から圧迫を受けるようになる。
その後、西欧の優れた制度や技術を取り入れようという動きが、特に指導者側からしばしば起こるのだが、守旧派の抵抗もあり、なかなか思うようには進まない。また、西洋化されていくということは西洋の視点からは『一段遅れた、劣った国』という目で見られるという屈辱をも受けることになるのである。
●朝貢関係から条約関係へ
18世紀半ばの時点で、中国で歴代出版されてきた書物の総数は、中国以外の世界すべてで印刷された書物の総数を上回っていたという説がある。
中国は、まさに世界史の中においても傑出した存在であり、自らをして『中華』、すなわち文明の中心と自負していたのもあながち夜郎自大というわけではないのである。
が、それはそれ。これはこれ。
ヨーロッパは中国の文物、茶、絹織物、陶器などを欲してはるばる海を越えてやって来て交易を求めた。それに対する中国の回答はというと、
「冊封してやるから、朝貢しなされ」
というものであった。つまり、あくまで中国が宗主国であり、たとえ西の彼方のヨーロッパであろうが、中国に臣従するという点ではアジアの他の国と変わることはないというわけである。
朝貢貿易においては、中国に朝貢した品々より価値のある物を中国が贈ることになる。別に贅沢をしているわけではなく、こうして利を与えておけば、中国に刃向かうこともないだろうし、中国としても軍備を低く抑えて国境を安定させることができるというきわめて現実的な政治手法だったのである。
だが底なしの欲望に支配された自由貿易主義者にそのような中国的腹芸が通用するはずもなく。まずイギリスが自由貿易を求めて皇帝に謁見した。
「自由貿易は互いに利益が拡大して大もうけです」
「我が国には必要ない。我が国は地大物博(土地が広大で物産が豊富)であるから、本来貿易など必要ないのだ。そちの国と貿易しておるのは、あくまではるばる海をわたってきた苦労をねぎらって恩恵として許可しているに過ぎない」
見事なまでのすれ違いっぷりである。これで将来戦争にならないわけがなく、実際に戦争になるのであるが、まあ、どちらもどちらだと思わざるをえない。
そして戦争になると強い弱いは倫理も文化も関係なしに物理的に決まる。
列強諸国にぼこぼこにされ、あげく同じ東アジアの子分(中国的な視点)であった日本にまで負け、清もいよいよこれはいかんと思うようになるのであるが。
なんとかするまでは、またさらに長い苦しみの時期が続くのである。
なお、日清戦争の後に「このままではいかん」という文化人の論調のひとつに、『進化論』の流行がある。この進化論、決してダーウィンのそれではなく、当時流行っていた社会学に進化論を適用しようという物である。科学的には根拠などまるでないのだが、なんといってもわかりやすいので民衆へのアプローチに適していたようである。つまり、文明は競争を通して淘汰が行われていく。ヨーロッパはその淘汰によって進化した社会体制を築き上げたが、中国は長らく中華思想によって淘汰を行わず、進化が行われていなかった。このままでは進化したヨーロッパ文明によって中国は淘汰されてしまうだろー、というのである。
すっかり初夏の陽気である。
ぽかぽか
■本日の読書:『ガンズ・ハート1、2』鷹見一幸
私としては珍しいことに、特に文句はない。なにやらこー、早送りで物語が進行している気がしないでもないが、さほど欠点というほどではない。
物語は遠い未来、忘れられた植民地(ロストコロニー)となった惑星で始まる。SFでは定番のネタである。
植民地となった惑星には知的生命体の猿人が住んでいたので、住人は彼らを絶滅させないように注意して暮らしていた。文明もある程度制限して、銃は前装(後ろからではなく前から弾丸を詰める。火縄銃なんかもこの一種)式のライフルまで。
主人公はいわゆる親分肌の少年で、身分制度もからんだ大げんかのあげく、辺境の愚連隊に隊長として放り込まれる。その辺境の都市にいるヒロインの少女は鉄砲鍛冶(ガンスミス)で、亡くなった父親から後装式の銃とその製造法を受け継いでいた。この銃は惑星のテクノロジーを制限する教団にとって禁忌といえるものであった。
だが、増えすぎた猿人のスタンピードによって辺境の都市が襲撃された時、少女は少年に父親の銃を託す。それによって都市は救われたのだが――
と、2巻はここまで。
つまりは、アレである。ミニエー銃(前装施条式)をみんなが使っているところへスナイドル銃(後装施条式)があるよん、という話になって、なら今のミニエー銃も『元込め(後装)』にしてしまおうという話なのである。実際、明治維新の頃の日本はそうやって来たのだ。
ところで、わしゃわしゃと猿人に囲まれているところへ援軍がきて助かるのであるが、そこのシーンがまるっきり省かれている事に不満がある人もおられるとか。まあ気持ちは分かるというか、全体的にストーリーが早足だからそこいらへんで「なにやらはしょられた気分」になるのもうなずける。
私としてはそれよりもむしろ、銃の改良が引き金になって戦争になった時に主人公やヒロインのメンタリティが大丈夫かと、そっちの方が心配である。暗い話は似合わないと思うのだがどうか。
■第三帝国興亡記『アシカ作戦』
よせばいいのにイタリア軍が枢軸側で参戦。このままほうっておけばヨーロッパの柔らかい下腹部で火事ぼうぼう。
そうなる前にここはイギリスを始末するに限ると、アシカ作戦を発動する。
「我が空軍にお任せください。イギリス空軍を始末して制空権を取ってさしあげましょう。つきましては鉄と石油をください」
このゲームでは資源は3種類。
●鉄:おそらくは工業生産力を示すものと思われる。
●石油:これはそのまま石油であろう。
●食料:これは民生力全般を表わすものと思われる。
「無駄遣いするなよ」
かくしてバトル・オブ・ブリテンは始まった。
次のターン。
「イギリス空軍はなかなか手強いです。ここは手軽な都市夜間爆撃に切り替えてはどうでしょうか?」
「……却下だ」
勝つ気あるのか、おまえら。
渋る空軍元帥の尻を叩いてついでにイギリスの空軍基地も地道に叩いたのが功を奏して、ついにイギリス本土の制空権を確保する。50%だが。
さらに、北海の制海権も少しばかり増える。30%だが。
「これでアシカ作戦の準備は万全です」
「本当かー? 本当にそうなんだなー?」
すごい、不安。
「おまかせください。2個軍団(6個師団)をイングランドに上陸させてごらんにいれます」
「提督、なぜ3個軍団でないんだ?」
「1/3は沈みますから」
「――作戦中止」
「あ、いやジョークですよ。イッツ、ジョーク。HAHAHAHAHAHA!」
「笑えないよっ! だいたいおまえ、ドイツ人だろうがっ!」
ものすごく不安だが今更中止してもいいことはなさそうなので6個師団にドーバー海峡を渡らせる。
そして。
……意外とあっさり、イングランドは陥落した。
むろん損耗はあったが、1ターンかけて補充すれば済むレベルである。
「これなら次のターンはスコットランドに進撃できるな」
ところがどっこい、スコットランドに立てこもったチャーチルは即座に反撃に出てきた。再び消耗するイギリス遠征軍。
「しゃあない、また補充か」
ところがところが。今度は宣戦布告してきたアメリカ軍がスコットランドから雲霞のごとくなだれ込んできた。
「なんじゃこりはーっ」
とにかく物量のアメリカ軍である。半数は歩兵師団だが、だからといって甘くみてはいけない。上空からは爆撃機の群れが爆弾を雨あられと降り注いでくるのである。
それを乗り切って敵を撃破してもすぐ次が来る。そうこうしているうちに弾薬が尽きる。そうなるともはやサンドバック状態である。
ようやくアメリカ軍を撃退した時には2個歩兵師団と、モーデル指揮の1個装甲師団が壊滅していた。事前に3個師団の増援を送っていなかったら、イギリス遠征軍は壊滅していたところである。
「さ、さすがにもう1回今のが来たらイングランドから追い出されるぞ」
おかげで師団長の経験値はどかどか貯まったが、このゲームではドイツ本土に戻らないと部隊の再編成ができないので(損耗した兵力の補充はできる)装備の更新はできないままである。
そしてそのころ、北アフリカでは順調にイタリア軍がボロ負けを続けていた。
エジプト侵攻するも補給が続かずに停止。イギリス軍の反撃を受けて雪崩をうって退却するが、ベダ・フォムでイギリス機甲部隊にとっつかまり、降伏。ついに北アフリカは連合軍の支配するところとなった。
それだけではない。
さらによせばいいのにイタリア軍はギリシアに攻め込み、ここでも大苦戦。
「援軍を用意した方がいいですね。オーストリアに最低1個軍団」
「おまえね、状況分かってる? こっちの主力はイギリスでぼろぼろになりながら戦ってるんだよ? 補充も送らないといけないし、壊滅した3個師団の再編成もしないといけない……ああそれで思い出した。モーデルの容態はどうだ?」
「このゲーム、戦死はありませんからね。3ヶ月も養生すれば戦線に復帰しますよ」
「第2軍団で生き残ったのはマンシュタインの第4師団だけか……とりあえず第2軍団は本国に召還して再編成だ。代わりに第5軍団を送ろう」
「第1軍団はどうします? 歩兵師団が壊滅しましたから2個装甲師団だけですよ」
「といっても、マンシュタインを下げた上にグーデリアンとロンメルのエース2人まで下げたらそれこそイギリスから撤退するしかないぞ。とにかくあの2人にはイングランドを死守させる。補充と第5軍団が到着するまで英米がおとなしくしてくれたら、今度はこっちの番だ。スコットランドを落とす」
「そうこうしているうちに1941年ですぞ。ソ連侵攻の準備は?」
「できてるわけねーだろーっ?!」
ドイツ軍の明日はどっちだ?
広島の桜はピンクの花を散らせ緑が萌え始めている。
旧市街、平和公園や100m道路にある桜をみていて、ふと気が付いた事。
――小さい。
ほとんどが高さ5mほどである。
今になってなぜそのように感じたのかしばし考えてようやく合点がいった。
ついこないだまで見ていた神田明神の桜と比べたのだ。
神田明神の桜は高さ10mはある。大きければ良いというものではないが、やはり見栄えが違う。
今頃はあの桜の木も緑になっているのだろう。
■第三帝国興亡記:『大英帝国の落日』
グーデリアンとロンメル。
ふたりの師団長は1941年をロンドンで迎えた。
「どうかね」
「補充は届きました。いつでも行けます」
ふたりともやる気満々である。ここでマンシュタインがいればやんわりと補給などの不備について指摘するのだろうが、グーデリアンもロンメルも、師団長としてはドイツに並ぶ物がない有能な人物だが――どちらも後方や側面を気にしなさすぎる点がある。
「よし、総統に作戦開始を進言しよう――ああ陸軍総司令官殿だったな」
「私もよく間違えます。というか、あなたならともかく、ユンカーでもなく、参謀教育も受けていない私が装甲師団の師団長に抜擢されるにはあの伍長殿がいないと無理な気がするのですが」
「キミはまだそれでも前の戦いで武勲をあげているではないか。新しく来た増援の師団長、まだ26才だぞ」
「はあっ?!」
「ヴィットマンとか言ったな。やたらと戦車の扱いがうまい」
史実におけるヴィットマンは戦車大隊の指揮官である。彼は100両を超える装甲車両を撃破したという武勲の持ち主であるが、むろんのこと師団長になるほど出世はしなかった。
「グーデリアンとロンメルの連名で、ゼーレーヴェ第2段作戦開始の要望が出ています」
「スコットランドは要塞となっているらしい。時間を置けばおくほどこちらに不利だ」
「では」
「作戦発動だ」
補充と増援を手にしたイギリス遠征軍は、進撃を再開した。
2度の逆襲によってドイツ軍も被害を被ってはいるが、イギリス軍も多大な損害を受けているに違いない。そう思っての攻勢である。
だが、イギリス軍はこれまで以上の大軍を擁していた。
「おおう、なんて数だ。というか、こいつらイギリス人じゃねぇ」
「インド。オーストラリア。ニュージーランド。カナダ。南アフリカ……イギリス連邦から根こそぎ集めてますな」
「しかも装備は全部アメリカ製ときた。おのれチャーチル。やはりこいつの息の根を止めないとこの戦争は終わらんな」
「あ、後フランスとかポーランドとかの亡命政権の連中もいるみたいです」
「ええい。まとめてなぎ払え」
どかどかどかん。
3号初期型でM3戦車の相手は正直つらい。そこで活躍するのがロンメルとグーデリアンの2人である。電撃戦能力『S』は伊達ではない。相手に反撃を許さずに一方的に屠る。
エディンバラ、グラスゴーを落とし、アバディーンへと向かう。
「よし、あそこを押さえたら勝ちだ」
「イギリス本国艦隊が脱出していきます!」
「なにっ?!」
持ちこたえられないと知ったのか、チャーチルは王室を抱えてイギリス本土から撤退を始めたのである。目的地はカナダ。つまりまだ諦めていないというわけだ。とことんしぶといブルドッグである。
1941年1月末。イギリス本土はドイツの手に落ちた。
朝は雨。
昼は晴。
ときどき豚。
■本日の読書:『爆撃聖徳太子』町井登志夫
聖徳太子が隋にケンカを売って、気球で爆撃をする話。
いや本当に。
これだけ書くと、何かたちの悪い冗談のように思えるかも知れない。いや実際、たちの悪い冗談のような作品なのだが、一番たちが悪いのは、それでいてごくごくまともな話だという点であろうか。
いや本当に。
倭王朝の描写も、そこで暮らす人々も、いかにも当たり前で、ごくごく普通に描かれている。彼らの暮らしぶりや身の回りの描写は、地に足がついた内容となっている。
この話の中で狂っているのはただひとり、聖徳太子だけである。
とにかく、何かあると叫ぶのだ。
「うるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁぁぁぁい」
この人が出てくると、もうわけがわからん展開になる。だが、驚くべきは、そのわけのわからん行動にもきっちり理由やら背景があるという事であろう。
困ったことに、本当にまっとうな小説で筋が通っているのだ。とても信じられない話だが。
だるい。
■本日の読書:『皇国の守護者8』佐藤大輔
クーデター勃発。
――したのやらしてないのやら。
そして。
――次が出るのはいつになるのやら。
さて、この巻でひとつの謎が明らかにされた事はまことに喜ばしい。
水軍における『駆逐艦』の呼称である。
むろん、いまさら言うまでもないことであるが、我々の世界で駆逐艦という艦種が登場したのは戦船(ウォーシップ)の歴史では比較的最近の事である。
これは小学生レベルの常識であるからくだくだ説明する必要もないのだが、魚雷、すなわち水中を進む爆弾は原理的には中国で発明された(伏龍である)のだが、とりあえず南北戦争の頃、実用的な潜水艦(その割には沈んだきり浮かばないヤツとかもあったが)と一緒に考案された。
その後、技術の進歩と共にまあまあ使えるレベルになったので魚雷を搭載した小型艦が造られることになった。これが水雷艇である。
初期の水雷艇は小さいために航続距離は短い上に海が荒れると役に立たない。搭載する魚雷だって速度は遅いし射程も短い。いわば闇夜で使う奇襲兵器か海戦が終わった後の事後処理兵器であったわけだが、技術の進歩に合わせてそれなりに使える兵器に成長するようになる。
こうして大型戦闘艦にとって水雷艇が邪魔になってきたわけだが、だからといって大型戦闘艦の大砲をいちいち水雷艇に向けていては本来の目的、すなわち敵大型戦闘艦の撃破が果たせない。そこで水雷艇より大きくて、水雷艇よりも運用の幅が広く、水雷艇よりも強い軍艦が登場することになった。
これが、水雷艇を駆逐する艦――駆逐艦である。
だから、イギリス海軍ではこの艦種をTorpedo Boat Destroyer、TBDと呼んだ。直訳すると水雷艇駆逐艦。仕事そのまんまである。
ひるがえって、皇国の守護者の世界では魚雷は開発されているとしてもまだ未知数の兵器である。何しろ、熱水機関、すなわち蒸気機関で動く軍艦がようように登場している時代だ。技術的にはナポレオン戦争よりちょと後ぐらいである。
であるからして、水雷艇なる艦種が存在するはずもなく、それを駆逐する必要もない。
ならば、駆逐艦の呼び名はいったいどこから生み出されたのか――これは、本作品における、大いなる謎のひとつとして多くの読者(一説によると全体の8割)が頭をひねっていた。
だが、本巻のp121においてその謎は明らかになったのである。少し長くなるが引用しよう。
『海賊船を駆逐する艦、というわけだった』
すばらしい!
■第三帝国興亡記:『独ソ開戦』
1941年10月6日、午前3時。
独ソ国境の東側に、大軍が集結していた。
「時間だな」
「部隊の準備はできております」
「よろしい、おおいにやりたまえ」
「バウバウ!」
パヴロフ上級大将は鷹揚にうなずいた。そばでは犬が吠えている。
ソ連が誇る火砲が一斉に火を吹き、快速のBT戦車が前進を開始する。
こうして、独ソ戦はソ連軍の攻撃により幕を開けたのである。
さて、一方の主役であるドイツ軍ははたしてどうしていたのだろう?
この年の1月にはすでにイギリス本土上陸作戦はほぼ終結し、国境の西側に敵はすでに存在しなかった。北アフリカやエジプトにアメリカ軍がいたが、そのアメリカもイギリス本土での損害を回復させるには至っていなかった。
つまり、ドイツの敵はこの時点で(一応中立条約が結ばれてはいるが)ソ連一国と言って良かった。にもかかわらず、ドイツ軍は東へと向かう事はなかった。
ヒトラーは、あいや、ドイツ陸軍総司令官はスターリンをそれほどまでに信用していたのだろうか?
「……んなわけねーやな」
「でしょうねぇ。3月には部隊を編成しなおし、4月にはすでに独ソ国境に兵を配備してたわけですから」
「まあ、燃料が不足していたのは事実だがな。アシカ作戦では燃料をたんまり使ったからなぁ」
「それでも8月には宣戦布告できるだけの燃料は貯まってましたよ。なんでこっちから手を出さなかったんです? 4号戦車も3号戦車も生産ラインが軌道にのって順調に量産されてますが」
「それだ、問題は」
「は?」
「ソ連軍のT−34を相手にするにはまともな戦車がいる。で、ドイツ軍にとってのまともな戦車というと、せめて長砲身の3号戦車だ。史実ではT−34と殴り合ってからようやく短砲身の3号ではあかんという事が分かったわけで、私としてはその轍は踏まないつもりでいた」
「分かっております。それで3号の生産ラインを長砲身に統一して生産性を上げようとしたのですな」
「そうだ。こうして戦車はできた。だがな……」
前にも述べたように、このゲームでは師団長がポイントを消費して師団を編成する。
一部の師団長をのぞき、1レベルの師団長は25ポイントを持つ。
3号戦車後期型は1個大隊3ポイント。3個大隊=1個連隊で9ポイント。
これが3個連隊だと……そう、27ポイントである。
25<27
「うわ」
「他にも補給のための補給トラックは必要不可欠だし、偵察大隊だって必要だ。空軍の支援などの戦術オプションでもポイントは消費する」
「全然足りませんな」
むろん、これまでの戦いでレベルアップした師団長もいる。だが、どうしても有能で強力な師団長がまず突破して――という戦いを繰り返すので、成長には偏りが生じていた。
つまり――
「人材不足ですな。というかこの時点でほとんど1レベルというのはいかがなもんでしょうか」
「まったくもってその通り。だがなぁ、システムにも問題があると思わんか? 歩兵師団しか都市は占領できんのに、その歩兵師団は攻撃力はほとんどないんだぞ? そして歩兵師団はいくら都市を占領しても経験値は1点も入らないんだ」
「今更そんな事を言っても始まりますまい。経験値を稼がないと――ああなるほど。アシカ作戦の後、北アフリカのアメリカ軍と戦ったり、ユーゴスラビアにわざわざ進軍したり、ギリシアを占領したりして燃料と時間を無駄にしたのは」
「そうだ、1レベルの師団長を1人でも多くレベルアップさせるためだ。でなきゃわざわざそんな無駄な事をするか」
「で、成果はあったのですか?」
「……あんまり」
「で、無駄な戦いをしているうちに1941年の夏は過ぎたわけですな。しかも、生産ラインを停止していた2号戦車を今頃になって再生産開始したりとか……」
「とりあえずバルバロッサ作戦は1年延期のつもりでいたんだがなぁ」
こうしてなし崩し的に始まった独ソ戦。怒濤のごとく押し寄せるソ連軍。それを防ぐのはごく少数のエリート師団と、装備も古ければ練度も低い1レベル師団である。
なんぼなんでもここで負けるともう後なんかないぞ。
がんばれ僕らのドイツ軍!
古本屋から本が5冊届く。
買って読んで捨ててまた買って。
それはともかくひゃっほー。
■本日の読書:『罠にかけろ』C.N.パーキンソン
『海軍将校リチャード・デランシー物語り』の1巻である。
実はこれと2巻は持っている。だが、3〜6巻がなかった(つまり捨てていた)ので、このたび古本屋でまとめて再購入したのである。
さて序盤をぱらぱらとめくってみようかね。おお素晴らしい。
何が良いかといって、テンポが良い。
デランシー登場。
デランシーは不遇な状態にある事が判明。
極秘任務を受ける。
故郷の島へ行く。
フランスへ海兵隊少佐を上陸させる事となった。
自分が指揮する小型船を手に入れる。
海兵隊少佐と仲良くなる。
出港する。
フランス上陸。なにやら雲行きが怪しい。
罠だっ!
脱出する途中、海兵隊少佐が死亡。
故郷の島に戻る。
実は極秘任務すべては敵をだますためのトリックだった。
以上で52ページである。無駄がないというのは美しい。
すでに初夏の陽気である。
明日は雨だというが、少しは涼しくなるだろうか。
■本日の読書:『罠にかけろ』C.N.パーキンソン
ついでなので続きを読む。
帆船時代の海洋冒険小説の多くは、ちょうどフランス革命前後を扱っている。資料も多いし、何よりドラマチックである。デランシー物語『り』もちょうどその頃である。デランシーは英国の海軍将校というわけだ。
余談であるが、私はこの頃の帆船の戦いを扱った『Enemy in sight!』というAHのカードゲームを持っているが、まだプレイした事はない。いずれ何かの機会に遊びたいものである。
さて、序盤の50ページでデランシーが特殊任務に就く事からその失敗、実は元から敵をひっかける罠で失敗するように仕組まれていた事が分かる――のであるが、これで終わってはタイトルは『罠にかけろ』ではなく『罠にかかった』になる。
デランシーは、一緒に特殊任務について命を落とした海兵隊少佐の仲間の将校から、
「あいつは少佐を見捨てて逃げた」
などといういわれのない誹謗を受ける。そして決闘をする羽目になる。決闘そのものはなんとかしたものの、海兵隊連中はいまだデランシーへの復讐の機会を狙っている。この状態では、そのまま任務に就くわけにもいかないので、デランシーは本土へと戻る。
が、形の上とはいえ任務には失敗しているし、平民出のデランシーにはコネもない。つまり仕事がない。いわゆる待命将校として陸でくすぶる事になる。
これからどーなるのだろー。
というところまでで+30ページ。
それからしばらくして。
ひょんな事からデランシーは、税関監視船の船長が大けがをした場面に出くわす。
「チャンスだっ!」
デランシーはその足で素早く税関長のところまで行って自分を売り込む。この身も蓋もないところが、私がデランシーが好きな理由である。男というものはかくあるべきだろう!
そして監視船の船長の地位をせしめたデランシーは、正式に船長になる前にさっそく密輸をやっている連中がたむろしているところへ行って、連中からいろいろと噂話を仕入れてまわる。
そしてその情報を元に、密輸船の動きを知りまず1勝をあげる。このときの相手が、サム・カーターというシリーズを通して後々まで登場する男である。密輸業者であるが気性のさっぱりした快男児だ。
さらに港などでいろいろと情報を集めて回ったり、偽の情報を流したりしてデランシーは密輸業者を罠にかけようとする。ねらいは大物のひとりであるサム・カーターだが、さすがに出会い頭にやられているのでサムはそう簡単にはひっかからない。代わりに小物を船ごと捕らえ、ついでに税関の職員で密輸業者に情報を流していた男を突き止める。
こうして名をあげたデランシーに、密輸業者の大元締めで地元の名士(こう書くと腹黒い人物っぽいが、こいつらはイギリス人である。悪党と紳士を同時に演じる事ができる奴らなのだ)は一計を案じる。
「手強い敵なら味方にしてしまえ」
こうして、デランシーは密輸業者の元締めから自分が所有している私掠船の船長の地位を提案され、それを受ける事になるのである。
というわけで1巻はこれで終わり。
次はいよいよ私掠船の船長としての仕事がデランシーを待っている。
フィットネスプラザへ行き、ウェイトトレーニング。
まだ7割というところか。しかし先週よりはましである。
■本日の読書:『海からきたスパイ』C.N.パーキンソン
デランシーの2巻。
さて、私掠船の船長となったデランシーであるが、そも私掠船とはいかなる船か。
私掠船とは、簡単にいうと政府公認の海賊である。
大航海時代を迎え、海上輸送とその技術が向上していくにつれ、戦争における海軍が占める役割というのも大きくなってきた。だが、海軍は常備軍としてはたいへん金がかかるし育成にも時間がかかる。そこで、民間にも海軍の仕事の一端、すなわち通商破壊戦に携わってもらおうというのが私掠船の発端である。
ようは、敵国の船舶に対する海賊行為を認める代わりに、儲けの一部を国に納めよという物である。ひどい話もあったものであるが、ある意味戦争というものに正直と言える。
その私掠船『ネメシス』の船長になったデランシーであるが、船長と船主は別である。また船主もひとりではなく複数で出資している。危険分散という意味では当然であろう。
船長になったデランシーは、さっそく大きな獲物をねらい始める。デランシーがそうした野心を抱き始めた理由のひとつが振るっている。
「この船の連中を見ていて気が付いたんだよ。私はこのネメシス号で最高の船乗りだってことがね」
どうやらデランシー、いろいろと経験値を積んで自信がついてきたようである。
私掠船で大暴れをして名をあげるデランシーであるが、出港から38ページ後にはフランスの軍艦に追いつめられて船を座礁させて脱出する事になる。さようなら『ネメシス』号。
で、フランスに上陸したわけだがここからがタイトルにもある『海からきたスパイ』つまりデランシー一行の事である。
船を失ったくせにポジティブシンキングなデランシーはフランスの公用使からフランス海軍の動向を探り出してお国のために働こうとする。ついでにこれで海軍に戻れたらなおいっそうハッピーというわけである。
山賊よろしく隘路に待ちかまえ、公用使を待ち受けるデランシー達。そこへ通りかかった公用使の馬車。
パンパンパンパン。
「よし、死体は穴を掘って埋めろ」
しかし手にした情報はカスばかりである。ち、役に立たねぇ奴らだ。
だがまぁ、持っていた金と軍服は活用させてもらうデランシー達。これではスパイではなくれっきとした山賊に他ならないと思うのだがどうか。
途中、1巻で好敵手であった密輸業者のサム・カーターの部下に会う。ちょうど良かった。脱出の船便をサムに頼もう。デランシーはサムに『スペインに脱出するから拾いに来てくれ』と手紙を書く。くだくだしい泣き言などは書かない。困っているから助けろというわけである。
そして手紙を受け取ったサムはまるで金にならない危険だらけのこの頼みをすぐに受ける事にする。
男同士の友情の描写とはこうでなくてはいかん。ぐだぐだと情緒過多の描写などうっとおしいだけである。困っている友を何も言わずに助けるのが男だ。それで良い。
サムは密輸船をスペインへと向ける。
むろん、そんな船長の友情など知ったこっちゃないサムの部下は反乱を起こして船を故郷に帰そうとするが、そこは人の心の機微に通じた密輸業者。反乱を起こした連中を言葉巧みに反目させて地位を取り戻し、再びスペインを目指す。
スペイン領内に入ったデランシーは、田舎町の守備隊のくせに切れ者の大佐に正体を見破られて捕まるが、すぐに脱走に成功する。ちなみに大佐はチェスの名手でもあり、なかなかに殺すには惜しい男なのでふんじばって放り出すだけにする。
そして前回の失敗から学び、今度は公用使を見つけても殺さずに夜中にこっそりと忍び込んで運んでいる文書を盗み出す事にし、これには成功する。ついでに金も手に入れる。
どうやら今度はあたりだったらしい。そこそこの価値の情報を手にしてサムと落ち合う事にしている港へ到着する。
そこでも一悶着があって最後は撃ち合いをしながら逃走。サムが援軍として連れてきたイギリス海軍のフリゲート艦が援護射撃。町に大砲をぶち込む。家が破壊され、火事が起こる。後は野となれ山となれ。
こうして見事に敵中横断に成功してスパイ活動の成果もあげたデランシーは、晴れて海軍に復帰する事になるのである。ちなみに最後の脱出を支援した艦長はこう言う。
「これは、昨日の戦闘でのわがほうの死傷者リストだ。将校1名、水兵4名、海兵隊員2名戦死(中略)これに私は、私の意見として次のように書きくわえておきたい。これ以上の損害を受けても、キミの救出には代えられぬとな」
とても現代日本人には言えないセリフである。だが、これで良しとするからこその大英帝国であろう。
先週の月曜日は筋肉があちゃらこちゃらと痛かったのだが、今日は別にどうというほどの事もない。むろん、若干の痛みはあるが動きが阻害されるような事はない。
すばらしい。人間の肉体は機能的だ。
■本日の読書:『火の船』C.N.パーキンソン
デランシー物語りの3巻。
1巻、税関の監視船。
2巻、私掠船。
と風変わりな船に乗っていたデランシーであるが、海軍に戻ってきてもその宿命に変わりはない。
むろん、デランシーはまだ将校艦長(マスター・アンド・コマンダー)になっていない。その上の正規艦長(ポスト・キャプテン)はむろんのこと。
であるから、艦長ではなくてその下の将校として勤務する事になる。
まずはグラトン号(大砲56門)である。元東インド会社の船舶で、海軍が買い取ってフリゲート艦にしたのだ。しかしこの艦のトロロープ艦長はひとかどの人物で、こいつを全部カロネード砲にしてしまったのだ。
カロネード砲というのは、接近戦用の大口径砲である。射程は短いので、うまく操船できなければ目標を捕らえる事ができない。だが、弾丸は重くて威力があるから、みごと敵を捕らえれば――ズドン! 相手はあっという間にずたぼろというわけだ。作中でも、デランシーが一度に発射できる弾丸重量を計算して、3層甲板の100門クラスよりも大きいと感心している。
だが、このカロネード砲はもうひとつ、重量があるという問題もある。船の上側に大砲などの重い物がたくさんあると復元性その他、船にとってはいろいろとやっかいな問題が発生する。実際、嵐の海ではデランシー達はひどい目に遭うのである。
その後、トロロープはさらに大きいラッセル号(大砲74門)の艦長となり、それに一席将校代理のデランシーが一緒についていく。そして、彼らは北海艦隊の1隻として、オランダ艦隊との戦いに赴く事になる。この戦いはイギリスの大勝利に終わり、提督を始め艦長達ものきなみ叙勲され、一席将校はみな将校艦長に昇進したのだが――デランシーは違った。
彼は一席将校代理であり、トロロープは部下を1人しか昇進させられないと聞いて悩んだあげく、今は陸に上がっている長年の部下の一席将校を将校艦長に昇進させたのだ。
ごく普通の海洋冒険小説の主人公であれば、こういう場合地位に拘泥せず、友人の昇進を素直に喜ぶ(または喜ぶ振りをする)のであるが、あいにくデランシーは能力もあれば野心もある男である。
デランシーはトロロープに文句をつけ、しょんぼりした艦長に辞表をたたきつけて陸に上がってしまうのである。
デランシーの次なる任務はなんと、焼き討ち船スピットファイアー号(大砲14門)の艦長である。とはいえ昇進はしてないので彼の立場は将校指揮官(レフトナンド・コマンダー)である。
焼き討ち船というのは、そのものずばり焼き討ちをする船である。燃えながら体当たりをかまして相手も焼くわけであるが――さすがに船と大砲の能力が上がったこの時代になるとそうそう成功するものでもない。実際、どうしたものかとデランシーは図書館に行って過去の時代の焼き討ちの記録を調べるのである。
その結果、焼き討ちはあくまで奇襲戦法であり、相手の不意をついて、港にいる敵艦を狙うものだという事が分かる。
だが、そう都合のいい場面というのはあるだろうか?
むろん、物語であるから発生するのである。でなければ作者だって別の艦に彼を乗せているだろう。お茶目にアイルランド上陸作戦を敢行したフランス海軍の戦列艦の1隻が干潮によって座礁して身動きがとれなくなってしまったのである。
デランシーは即座に焼き討ちを計画してこれを実行。
体当たりするが――燃えない。火が消されたか?
デランシー、こっそりと接近して火薬樽で敵艦の舵を吹き飛ばす事に成功。
さらに、混乱に乗じてもう一度スピットファイアー号に乗り込んで火を付け直して脱出。
ついにスピットファイアー号は大爆発。敵艦も巻き込んで沈んだわけである。
この最後まで諦めない不屈の(往生際が悪い)精神がデランシーの持ち味であろう。
だるだる。
やる気〜でろ〜。
ちょっとやる気を出す。
せこせこ。
■本日の読書:『白銀の誓い』リンゼイ・デイヴィス
俺はしがない密偵だ。
アパートは7階。むろん歩いて上り下りしている。トイレもなければ水も暖房もない。ワイン入れ(空だ)。クズ箱(いっぱいだ)。そしてガタのきた机と椅子。表札はあるが、これはわざわざ7階までセールスに来た表札屋が哀れに思って買ってやっただけだ。
ある日俺は、怪しい男達に追われている少女と出会った。それがこの事件の始まりだった……
で。
この『俺』の名前はマルクス・ディディウス・ファルコ。
ここはローマ。時代は紀元70年。そう、ローマ帝国直球ど真ん中の時代である。
ローマ皇帝とか元老院議員とか、第2アウグストゥス軍団とか、とにかくそういうローマ帝国だよーん、というのがてんこもりでありながら、話とキャラは、典型的なハードボイルドという実に愉快というか人を食っているというか、そういう話である。
なかなかに面白い。
今日は『スターレジェンド』の発売日である。
楽しく遊んでくれるといいなぁ。
■発売記念:本サイトに掲載してある小説のキャラをスターレジェンドで
『龍の守護者』シリーズの主役3人でいってみよう。
●天梁有樹(17)
魔術師であるが、彼の魔術の腕前はどうかというと、いろいろな意味であまりたいしたことがないのではないかと思われる。派手なのはたいてい風龍、雷龍の宝貝だし。
ただ肉弾戦はかなり得意そうである。また、叔父から数百億の資産とでかい屋敷(とメイドさん)を相続している。
▼クラス
スリンガー&テラナー&マーチャントプリンス。
▼主な特技
待ち望まれた血統の後継者である《救世主》を。
風龍、雷龍の宝貝は《天龍炮》相当で。
多芸多才な友人が多いので《変わった人》を。
メイドさんは《従者》で再現可能なのだが、本人のたっての希望によりこれは取得せず。
数値的にはさほど強くないが、REVも多いことだし後は自分でなんとかしたまえ。
●紫苑(18)
天梁家のメイドさん。スカートの下には鴛鴦鉞というバトルメイド。それだけではなく屋敷の仕事から天梁家の資産運用までなんでもこなす。
魔術は使えないことはないが、攻撃の主体はあくまで白兵戦闘である。有樹とは有樹が天梁を継ぐ前からの幼なじみでもある。
▼クラス
スリンガー&ネゴシエーター&クリスタルシンガー
▼主な特技
メイドさんだから《言霊》を。
愛用の鴛鴦鉞は《自在剣》相当で。
守りは《ディフレクション》を。
とどめはご主人様の仕事だからREV特技は《共感》で。
●ソフィア・プラグノヴァ(11)
元気いっぱいのロシア娘。はちきれんばかりのエネルギーを体の中にためこんでいる。
わがままで強気な少女だけに、時折みせるけなげな様子にコロリとやられる男も多い。
第3話の『北の国の少女』で初登場するなり、レギュラーに居座ってぐいぐいと存在感を増し、ついにはヒロインの座を紫苑と争うようになる。
▼クラス
エスパー&エスパー&エスパー
協会の生え抜きの血統であるからクラス3つ固め取り。
▼主な特技
問答無用の《念動空間》3Lv。
実は作品中は使ったことがないが《光の剣》相当の魔術は使える。
防御は《亜空間フィールド》で。
切り札ともいうべきREV特技の《異次元接続》を持つ。
朝、フィットネスプラザへ向かう。寒いので1枚羽織って行く。
ぶるぶる。この寒さはどうしたことか。
トレーニングをしながら、かつて新人研修で面倒をみた後輩同士の結婚式が今日あるという話を聞く。
彼らに、幸あらん事を。
昼からは暖かくなるが、夕方からまためっきり寒くなる。
■本日の読書:『妖怪ハンター』諸星大二郎
妖怪ハンターという名前からは、何か呪術か秘技かなんかそんなモンを使って妖怪を退治するというものを想像される方も多いと思うが、この話はそういう浮ついたところのまるでない作品である。
そういう超常パワーのぶつかり合い妖怪物語のひとつの極が『デモンベイン』であるとしたら、『妖怪ハンター』は伝統的1920年代の『クトゥルフの呼び声』である。
何しろこのシリーズの主人公である稗田礼次郎は学者である。それも異端の咎で学会追放(なんというか、正統的だよなー)になった流浪の学者である。間違いなくEDUは高い。
まさにまさに! そのまま探索者としてキャラクターシートが書けそうではないか!
そして彼は自説を証明する物を求めて日本各地を旅し、さまざまな奇怪な出来事に遭遇するのである。どちらかというと各話の主人公はそういった奇怪な出来事に巻き込まれた一般人であり、そこに稗田礼次郎が登場して怪異を解き明かすのである。
その稗田礼次郎にしたところで、知識はあっても力は持たないから必ずしも怪異を解決はしない。もうなるようにしかならず、その一部始終をながめるだけというのもしばしばである。そのへんも『クトゥルフの呼び声』っぽいと言えるだろう。
シリーズの白眉となるのが、『生命の木』である。この東北のかくれキリシタンを題材にした作品は、現代ではとても書けないようなヤバイ話であるのだが、その驚くべき迫力は、この作品が描かれて30年が経過した今もまるで衰えていない。
『みんな、ぱらいそさいくだ!』
『おらといっしょにぱらいそさいくだ!!』
鳥肌がたつような場面である。誰だったかが諸星さんの作品をして「決して流麗ならざる絵柄であるが、この絵柄あってのこの作品なのだ」と評していたが、私もこれに全面的に同意する。
寒い
だるい。
■本日の読書:『地中海の黒い雲』C.N.パーキンソン
デランシーの4巻。
今度の舞台は、地中海である。
先のアイルランドにおける任務で、焼き討ち船スピットファイヤー号で戦列艦を葬るという殊勲を上げたデランシーは、念願かなって艦長になり、スループ艦を任される事になる。
スループ艦というのは小型帆船で大砲は20門以下、乗員は100人そこそこである。その主な任務は船団護衛で、とりあえず安くていいから数をそろえるのが大事な船だ。
デランシーが艦長として赴任したマリーン号(大砲18門)は典型的なスループ艦である。
地中海で船団護衛の任務に就いたデランシーは、フランスのやはり同サイズ(フランスではコルベットと呼ぶ)の敵艦と戦ったりして腕を磨く。
さらに地中海の要衝マルタ島における海上封鎖作戦でフランス輸送船団の突破を阻止したり、他にも細々とした作戦で部下を鍛え上げるのに余念がない。
そしてある時、北アフリカの町を訪れたデランシーは、奴隷市場が開いているところに出会わす。むろん、当時のクリスチャンであるデランシーは、黒んぼがいくら売られていてもかあいそうにと思うだけで何もしないのであるが、いざイタリアの血が混ざっているらしい12才ほどの少女が売りに出されるとこれは捨ててはおけないとがぜんやる気を出す。
つまり、自分で買っちゃうのだ。
少女の名前はソラヤという。もちろん、紳士であるデランシーにやましいところは何もない。買い取った少女はつてを頼って心優しい婦人に引き取ってもらうのであるが、周囲の口さがない人の間ではイロイロと噂が広がったりするのである。もっとも好意的なのはデランシーの艦の連中で、あれは実は異教徒のお姫様なのだとかなんとか、ファンタジーを逞しくするのである。
まあそれは良い。
良くないのは、次の巻、5年の後に40代になったデランシーはようよう結婚するのであるが――
どこの誰とも知らない娘と結婚しやがるのである。これまでただの一行も登場してなかった娘がいきなりデランシー夫人でございますよ?
私はてっきり、きれいな娘っこになったソラヤが再登場してロマンスがあるんじゃなかろうかと思ったのですが、見事にはずれました。
午後から雨。
ひときわ寒く感じる。
元気を出すための『爆撃聖徳太子』。
聖徳太子「憲法第一条!」
小野妹子「『和をもって貴しとなせ』」
聖徳太子「意味は?」
小野妹子「……まさか、和を乱すやつはぶち殺せ、なんて言わないでしょうね」
聖徳太子「やれぇぇぇぇっ!!!」
いやぁ、いいなぁ。
■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 植民地と貿易』
●工業化・貿易・植民地支配
産業革命発祥の地であるマンチェスター。この地が選ばれたのは水力を生み出す手頃な傾斜と豊富な水があったからだというのが加藤祐三先生の説。
イギリスというと毛織物が中世以来有名であるが、インド製の綿布の需要が伸びるにつれ、イギリスはどこからか綿花を調達する必要がでてきた。最初はアフリカ西海岸で試されたものの十分な農地が得られず、アメリカが産地となった。そのための労働力はアフリカからの黒人奴隷が担ったわけである。
そうなってもインド産、中国産の綿布の需要はなかなか減らなかったが、やがて自国の産業を育成する名目でさまざまな政策がとられ、イギリスの綿布が海外へと輸出されるようになる。
▼イラスト:ブランズウィック・ドック
イギリス東インド会社の持ち船を修理・製造するためのドックのイラストが掲載されている。実に壮麗。実に見事。
●ヴァージニア植民地と黒人奴隷
イギリスでタバコがブームになると、アメリカの植民地でもタバコ栽培が盛んになった。そのための労働力として当初は年期奉公人が当てられた。これは文無しの若者を4年間(標準で)ほどの労働契約でアメリカに連れてきて過酷な労働条件(売り買いも主人の自由)で働かせるというものである。
だがこの年期奉公人が今ひとつふるわなくなると、続いて黒人奴隷に白羽の矢が立った。
やがて、タバコ栽培から綿花栽培へと主力が移ると、黒人奴隷もまた南部諸州へと取り引きされていくことになる。
●戦艦バウンティ号の積み荷
ブライ船長とバウンティ号といえば、有名な海上での反乱事件である。
で、そのバウンティ号の艦内をちょいと覗いてみよう。
ぎっちりと半分に切った樽が並び、そこに植物の苗が植えられている。銅のストーブも置かれ、温室さながらである。
実はバウンティ号はパンの木を西インド諸島へと運ぶ仕事についていたのだ。
パンの木というとクック船長がタヒチ諸島で「パンのような味わいの木の実がなる」と報告したあれである。
当時西インド諸島は砂糖プランテーションで、黒人奴隷を使ってひたすら砂糖キビの生産をしていた。結果、食べ物は北アメリカからの輸入に頼っていたのである。そのアメリカが独立したというので、イギリス政府としては自給自足はできんだろうかと考え、パンノキを試験的に導入することにしたというわけである。
ちなみに、ブライ船長は反乱から帰還してから再び命令を受け、今度は無事にパンノキの苗木600本を西インドへと送り届けた。
だが、結果としてパンノキが食料として使われることはなかった。根付かなかったのではない。奴隷たちがパンノキの味わいを嫌ったからである。
まこと食文化というのは根強い。
●アジア三角貿易の展開
イギリス、インド、中国。この三者における貿易をアジア三角貿易と呼ぼう。
イギリスからインドへ:綿製品
インドから中国へ:アヘン
中国からイギリスへ:茶
まあ、時代によって変遷はするが当初はこんなもんであった。
で、ポイントはイギリスが茶が欲しいが、代金として銀を支払うのはイヤだからアヘンを売りさばいた、というのでまあおおむね正しいのであるが。
そも、イギリスはなぜに地球を半周してまで茶が欲しいのか?
という疑問が生じる。
これには、18世紀から19世紀にかけてのイギリスの国内事情というのがある。
イギリスでは産業革命後、人口の都市への集中が進んだ。が、都市化によって飲料水が汚れるようになった。上下水道、特に下水道の不備は汚染を深刻な物とし、水はそのままでは飲めないので煮沸して飲む、ということになる。この煮沸と紅茶はたいへん関係が深く、そも紅茶のおいしい入れ方は煮沸した湯を使って数分むすわけで、もしかしてこれは卵が先か鶏が先かの問題かしらん。
もひとつおまけに当時の庶民の日々の食事は、固いパンあるいは小麦粉を煮た粥。それに肉類が1人1日あたりベーコン1片(約15g)とたいへん貧しい物であった。これを補助するために牛乳で栄養を、西インド産の砂糖でカロリーを補ったわけである。そう、紅茶にミルクと砂糖を入れるミルクティーである。
イギリスでは今でも紅茶といえば例外なくミルクティーである。(本文より)
自信満々に言い切る加藤祐三先生。そうなのでしょうか?
でまあ、茶を買うための商品としてアヘンなわけであるが、つまり英国人が紅茶中毒になる代わりに中国人をアヘン中毒にしてしまおうという、どう考えても性格が悪い取り引きである。中国の清王朝もこれはよろしくないと関税をかけるか、それとも厳禁するかで政策論争となり、厳禁派の林則除が広州(当時の海外貿易の窓口となった町)任務となり、アヘンを没収したことからイギリスはアヘン戦争を起こすのである。
昼には雨もやみ、少し暖かくなる。
■本日の読書:『ゆらゆらと揺れる海の彼方』近藤信義
友人から借りたファンタジー戦記物。
物語は連邦と帝国の会戦から始まる。
連邦軍3万。帝国軍1万。
だが帝国軍の伏兵があり、会戦は帝国の勝利に終わる。
この会戦において主人公陣営は連邦側の一軍の将として登場する。
しかる後。
連邦の8つの州のひとつ。主人公達の州において。
帝国が調略の手を伸ばしてくるが、主人公達はこれをはねのける。とはいえ、先の会戦で殿を任されたこともあって、州兵の損耗は大きい。隣の州に援軍を求めることになる。
だが、隣の州はすでに帝国に誼を送っており、離反するつもりであった。逆に言いがかりをつけられて攻められる始末。
苦戦の末、主人公達は自州の防衛に成功する。
こうして流れをだけをみるとさほど悪くはない。
悪くはないのだが――面白くもない。
そもそもこの世界を特殊な物にする必要がどこにあったのか大いに疑問である。ファンタジー的な色合いを付けるために海獣という存在を用意した点は決して悪くはない。だが冥海という存在については、読者の理解を妨げるだけで決して作品にとってプラスには働いていない。
ヒロインの設定もこれだけでは何のことやらさっぱりである。文章も硬く言葉の選び方も稚拙である。
田中芳樹さんほどに、いやそこまでは行かずとも渡瀬草一郎さんほどであれば、次に期待できるのであるが、これでは不安材料の方が大きい。
とはいえ、決して不愉快な作品ではないあたりがせめてもの救いであろうか。
東京へ向かう。
明日は秋葉原のイエローサブマリンでスターレジェンドの発売記念コンが開催されるのである。
■本日の読書:『終わりのクロニクル2 上下』川上稔
主人公を始めとする連中のもってまわったくどい言い回しと展開を楽しむゆとりが身に付いたため、読むのが苦にならなくなった。
ちょっと得意。
どういう話かというと、とにかく落ち込んでいたりイヤな事があったり誰かに強制させられていたりして対立する相手と交渉して仲良くなるという話である。
むろん、地道に交渉しても読者は面白くないので、基本はお互いに無理難題をふっかけることになる。特に主人公は「佐山の姓(かばね)は悪役を任じる」と言い切っているので、まともには進まないし進めるつもりもない。
彼はとにかく、膿を摘出するための外科手術が己の役目だと任じている風である。交渉にかこつけて、相手が心の中にためていた鬱屈をすべてさらけだし、これを徹底的に粉砕するのである。
だから、相手とは最後は戦うことになる。鬱屈の晴れた交渉相手は己の持つ最大の力を振り絞り、これを全竜交渉部隊(チームリヴァイアサン)がさらなるパワーで叩き伏せ、そして仲良くなるというわけだ。
この男塾方式はどんどん味方が増えるので後になると「なに、××が倒されただとぉ?!」とかいうので新たな敵の強さも表現でき、お買い得である。
スターレジェンド発売記念コン。
来てくださった皆さん、どうもありがとう。
楽しく遊んでください。
終わった後、スタッフやGMをしてくれた人たちと一緒に打ち上げ。焼き肉を食べる。
中島さんや青柳さんは、向かいの私と久保田さんがおなかいっぱいになってからも3皿は食べ、実に満足そうであった。
あんな風に幸せそうに食べてもらえると、見ているこっちがうれしくなる。
ちなみに焼く係は久保田さんでした。どうもお手数をおかけしました。
リプレイのためのセッションの収録を行なう。
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