11月01日

 新聞に掲載されている三谷幸喜さんのコラムを読んで微笑ましい気分になる。
 内容はごくもうありふれたもので、「飼っている犬の夢を自分もみる方法」というのを試してみたところ、月餅がくるくる回る夢をみたというのである。
 そういえば、もらいものの月餅をしまうのを犬が見ていた──
 そんなにも月餅が気になったのか。欲しかったのか。夢の中でくるくると回っていた月餅を思い出すだに、その頭の中いっぱいに月餅を思い描いている犬が愛おしくなる。
 てなわけでちょっといたずらで月餅を棚から失敬した犬をぎゅうっと抱きしめちゃうという、実になんでもないエッセイである。
 そのなんでもないところがやはり微笑ましいのである。

 しかし、あんな甘い物は犬にはよくないと思うのだがどうか。

■本日の読書:『剣客商売 隠れ蓑』池波正太郎
 60を過ぎた老剣客である秋山小兵衛は悠々自適の生活をしている。
 ひたすら打ち込んで玄人の間で知らぬ者とてない達人ともなった剣の道場もたたみ、郊外に小さな家を建てて40も年の離れた女房をもらい、のんびりと暮らしている。
 この巻は、そうした小兵衛のおっとりとした暮らしぶりが中心となった話が多い。
「大江戸ゆばり組」などは、もう別にほうっておいてもよさそうななんでもない事件に対し、「たまさかには、こうした事件(こと)が起ってくれぬと」生き甲斐がないというのだから暇な老人というのは手に負えない。
 しかもいざ荒事になると鬼神のごとき活躍をみせるのだからこれはもう諦めてぶつくさ言いながら一緒に付き合うしかないではないか。
 なお、私はこの中では気のいい盗賊が出てくる「徳どん、逃げろ」が一番好きである。泣ける。

11月02日

 プラネテスのビデオを見る(一週遅れ)。
 作品もまあ、好きな部類なのだが、何よりオープニングとエンディングがいい。
 歌は酒井ミキオさんの「Dive in the Sky」と「Wonderful Life」なのだが、絵もロケット好きにはたまらん。ツィオルコフスキー先生とか、ライカ犬とか、歴代のロケットとか、ちょっと涙が出てきますよ。

■本日の執筆:『天の光はすべて星』龍の守護者ラスト・エピソード
 本ページの小説の部屋参照。
 これも、考えてみれば最初は「いかに萌えないメイド物を作るか」という所からスタートしたはずなのに、終わってみれば自分が一番萌えていてどうするという。
 いやもう最後なものですから、好きなようにさせていただきました。
 実は最初の予定では主人公たちはロシアのエネルギアにブースター付けて宇宙へ行くという展開も考えていたのですが、このネタはそのうちまたどこかで使おう。

11月03日

 姪の七五三である。
 しかしあいにくの陽気で、晴れ着をまとうにはちょいとばかり暑い一日であった。
 雨が降ったり止んだり。
 なかなかどうして、暖かいから良いとばかりは言えないものだ。

■本日の太平洋戦記2:一山いくらの戦艦

 気を取り直してプレイ再開。
 さすがにもう馴れた物である。
 まず南方攻略。油田地帯を制圧する。
 資源を運ぶための護送船団はできるだけ大きくし、護衛もたっぷりつける。
 護衛空母は必須。最初は艦隊駆逐艦を対潜水艦に用いるが、すぐに量産した海防艦へ切り替える。爆雷搭載量が少ない艦隊決戦に特化した重武装駆逐艦は片端からスクラップである。
「思えば日本の軍艦というのは試行錯誤の繰り返しじゃのぉ。条約でトン数を制限されたら、その中でできるだけ重武装を試みて。第四艦隊事件でトップヘビーの危険に気がついて。それでもぎりぎり搭載した魚雷もいざ開戦となると使い道がない」
「何を今さら。日清戦争の時からそうですよ。小型のフネしか買えなかったもんだからそれにでかい大砲を一門だけ搭載してみたり」
「黄海海戦か。1894年だな……わずか50年前か」
「むろん、そんなモノが実戦で当たるわけもなく。実際に勝利を決めたのは速射のきく小口径の砲でした」
 その前のリッサ沖海戦ではオーストリア海軍(あったのだそんなモンが)とイタリア海軍が文字通りの意味で激突し、衝角戦法(つまり体当たり)で装甲艦が沈むという冗談のような出来事も発生している。それが1866年。太平洋戦争からさかのぼっても百年とたっていない。
「そして今、戦艦の時代が終わる」
 ドッグで解体される扶桑と山城。
 資源が豊富なアメリカならいざ知らず。
 今の日本にとっては戦艦などでかくてかさばるだけのお荷物でしかない。ましてやアメリカが続々と建造している新世代の高速戦艦が相手では旧世代の戦艦などいいカモである。
 実際の太平洋戦争におけるこの二隻の戦艦の最後を思えば鉄くずとして再利用してもらえるだけまだしもであろう。
 海防艦であれば、資源を守るために戦う事ができる。
 航空機であれば、敵に一矢報いるチャンスが与えられる。
 だが戦艦ではダメなのだ。戦艦ではよくて敵の攻撃を吸収する盾にしかならない。
 そして戦艦をそんな風に使う贅沢は、日本には許されないのだ。
「フィリピンから帰還しだい、伊勢と日向も解体に入ります」
「そうか……」
 夕陽を浴びた二隻の戦艦は、それでもなお。
 砲身を雄々しく天へと向けていた。

11月04日

 きゃー
 ハードディスクが壊れたー
 物書きデータはMOにバックアップしてあるが……こいつは10月末だ
 ほかは全滅。

■本日の読書『超人日記1、2』山本貴嗣
 あたりまえの話だが、それでも本を読む。
 で、この作品であるが。今から20年ほど前の作品である。くそっ、3巻はどこへ行った。
 バカSFのコミック部門があれば、ぜひ一票を。
 山本貴嗣さんのSFに対する愛と怨念がたっぷり詰まっております。
 後いくたまきの「アブナーズ」とかな。「超能力光の名刺」(わたしはこーゆーものですー)とかは秀逸だった。

11月05日

 どたばたどたばた
 復旧ができないものかいろいろとやってみる。

■本日の読書:『黒蜘蛛島』田中芳樹
 ドラよけお涼がカナダで大暴れである。
 アイディアは、三流。
 文章は、とても読みやすい。
 キャラクターは、いつものキャラであるが、それが躍動感につながっている。
 演出は、くだらない。
 結論。もっと精進してくださいませ。田中芳樹先生ならば、もっと面白い物が書けると思います。

11月06日

 どたばたどたばた
 復旧をあきらめ、新しいハードディスクを用意する。

11月07日

 ハードディスクを交換する。
 設定やらなにやら大騒ぎである。
 メールとメールアドレスがぶっとんだのが実に痛い。
 この日記を読んだ人で私とメールのやりとりをしていた方はアドレス登録のためのテスト用のメールを私まで送っていただけるとありがたい。タイトルオンリーで中身はなくてもけっこうである。

11月08日

 フィットネスクラブに行くと大勢の少年たちがいる。
 修道中学、高校の水球部の子供たちである。着替える時からわいのわいのと大騒ぎである。人数は十数人なのだが、やはり子供たちがいるとだいぶ雰囲気からして違うものである。なお、水球であるが聞いた話では広島には修道高校の他に学院高校と県立工業高校のあわせて3校しかないそうである。
 まあハンドボールなどと比べても施設の利用などの面で確かにたいへんそうであるよな。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史124:兵士と銃後』
 20世紀。2つの世界大戦のあった時代。
●20世紀後半の世界あれこれ
▼アメリカ・オセアニア
1952年:マクドナルド第一号店。アメリカのマクドナルドというのも一度食してみたい。でかいらしいし。
1954年:世界初の事務用電算機。
1964年:大学で反戦運動。明記してないがむろんベトナム戦争であろう。全米に広がる。
1969年:人類、月に立つ。これが明記していないのはどういうことだ。
1971年:アメリカの郵便は郵政省から公社化。
1973年:石油価格高騰とインフレ。あの頃はすごかった。
1976年:アップルコンピュータ社、設立。わざわざ年表に一行さいてもらえるのがすごい。きっと年表の編纂者はマックファンだ。
1978年:フィットネスブーム。で、何が売れたかというとランニングやジョギング用のシューズが5500万足だそうで。なにこんなもん、現代に比べればどうということはない。
▼ヨーロッパ
1954年:世界初の原子力発電所をソ連が作る。
1957年:世界初の人工衛星スプートニクをソ連が打ち上げる。
1960年:イギリスの富の83%を上位10%の富裕層が所有。といっても、歴史をながめてこれが特にすごいとは思わないのだが。
1965年:ロンドンにミニスカート登場。といっても、今の女子高生のスカートにはかなわない。こないだ町を歩いていたら「わー、寒い」「コートがいるよねー」と会話をしていたが、そんな格好をしていれば寒いのは当たり前だ。ま、もっともこっちも偉そうなことは言えない。真夏にネクタイを締めるたびに何か間違ってると思うものな。
1970年:ポーランドで食糧不足や日用品の高騰で暴動が発生。思えばこのころから鉄のカーテンはぐらぐらと揺らいでいたのだ。
1976年:超音速旅客機コンコルド、商業飛行を開始。ごくろうさん。思えばおまえさんもよくがんばったよ。
1979年:イギリスで電話・テレビ・コンピュータを結ぶネットワーク、「プレステル・システム」の運用開始。今ではさーっぱり聞かないが、ちゃんと辞書をひくとビデオテックスサービスとして今でも英国の会社が提供しているらしい。すげーぜ、イギリス人。
▼西アジア・アフリカ
1956年:エジプト、スエズ運河の国有化宣言。戦争にもなったが結局エジプトのものに。力ずくが通用しない時代になってきたのだ。
1958年:モロッコ、一夫多妻をとりやめ、さらに女性に夫を選ぶ権利を与える。
1973年:アラブ諸国、産油量の切り下げでオイルショックに。
1979年:アフリカ難民会議。アフリカの難民を200万人と発表。今だとその何倍だろうか。
1984年:サハラ以南の1億5000万人が旱魃被害に苦しむ。
▼南アジア・東南アジア
1967年:フィリピンのミンダナオで日本向けのバナナの栽培がはじまる。バナナって、むかしは庶民にとってはちょっと高級なデザートだったんだよな。あの「バナナはおやつに含まない」というのもそういう背景があると知っているとなんとなく違って感じられるでしょ?
1974年:インド、核実験に成功。やはりなんといっても核は外交上において有効なカードなのである。むろん、使用しないことが前提なのだが。
1979年:内戦中のアフガニスタンからの難民、25万人を数える。ここはむかしからずーっとこうだ。
▼中国
1966年:文化大革命がはじまる。大騒ぎである。
1971年:ハリを使った麻酔が外科手術で使われる。さすがだ。
1979年:人口抑制のための「一人っ子」政策が始まる。合理的ではあるが、無届けの子供も増える。
1987年:人民日報紙が過熱する麻雀ブームに警鐘。今ではそれどころではないと思うとどことなくほほえましい気分に。
▼朝鮮・日本(20世紀でもこのくくりかい)
1955年:日本、トランジスタラジオの発売開始。
1958年:トヨタ自動車、アメリカ向け販売開始。
同年:東京タワー完成。
同年:チキンラーメン発売。
1961年:アンネ・ナプキン発売。
1964年:海外旅行を自由化。
同年:東京オリンピック
同年:私が生まれる。
1971年:銀座(!)にマクドナルドの第一号店。
1979年:ソニー、ウォークマンの発売開始。
1983年:東京ディズニーランドがオープン。ねずみー、ねずみー。

●兵士たちの戦争体験
 20世紀最初の世界大戦は塹壕戦であった。つまるところ穴掘って隠れて敵を待ち受けるのである。それでは戦争にならんので攻めるのだが、塹壕に隠れて機関銃を撃ちまくる防御側を相手に攻撃側はむちゃくちゃ損害を出したのである。この傾向は、すでに日露戦争で明らかになっていたのだが、第一次世界大戦はそれがさらに進歩したのである。
 だもので、スイス国境から北海沿岸まで総延長4万キロの塹壕が掘られ、戦争は攻めるに攻められないのでだらだらと続く実にうっとおしい物になった。戦争がうっとおしくなかった時代などそうはないと思うが。
 で、戦場の兵士を診ていた医者が「この戦争は兵士から見ると工業化された戦争だが医者から見ると神経の戦争だ」と言ったようにシェル・ショック、すなわち戦争で神経をやられた将兵が大勢でた。これは逆の見方も可能で、むかしの戦争ではそういうのはさっさと死んだか脱走したかしたのであろう。効率のよい軍隊と意外なことにそれまでの戦争よりも格段に手当がよくなった傷病兵への扱いが、この問題をクローズアップしたとも言える。
 第二次世界大戦になると、これが戦略爆撃などの民間人の虐殺にもつながってくる。総力戦においては兵士だけでなく銃後の民間人もまた、戦力であり戦争における攻撃の対象なのである。この記事を書いた荒井先生は何かそういう戦争のありように不満そうであるが、そもそも暴力で物事を解決しようというのにルールやへったくれなどありはしないのである。

●日本人捕虜の反乱
 太平洋戦争時、オーストラリアで発生した日本人捕虜の無謀とも言える反乱についての記事。日本人捕虜と一緒に、朝鮮人労働者も大勢捕まっているのが実にこの戦争らしい。捕虜になった時の訓練が足りないのはやはり問題だよな。

●死者の聖化と戦意の高揚
 といっても日本の話ではない。いや、日本でもやっていたが。
 第一次世界大戦が終わった後のドイツでの話である。ドイツでは「戦場では負けなかった」気分が強く、それをナチスがうまく利用したという話であるが、別にナチス以前のヒンデンブルク大統領の時代から、そういう傾向は強かったのである。そもそもヒンデンブルクがどこで活躍して大統領になるまでの信頼を得たかを考えてみればよろしい。
 死者を悼むのは、人間として当然のことである。
 それが戦死者ともなると、国家が仰々しく祭るのも当然のことであろう。なぜならそいつに「死ね」と命じたのはその国家なのであり、国家はその死が正当であったと国民を納得させる義務を持つ。
 だが、それと国家戦略とは別である。死んでいった者たちのために、すなわち「英霊の死を無駄にしないため」に国家戦略を誤ってはそれこそ英霊も浮かばれまい。国民に冷酷に死を命じるのであれば、国家の指導者には同じく冷静に自国が置かれた状況を判断する義務がある。失敗を失敗と素直に認められないようなら戦争をしてはいけない。

●第一次世界大戦と植民地
 第二次世界大戦のアフリカ戦役のゲームをプレイしていると、オーストラリア師団とか南アフリカ師団とかインド師団とか、大英帝国の兵員プールの大きさに感じ入ることがある。
 それは当然第一次世界大戦でもそうなわけで、イギリス軍950万人(くらくら)のおよそ1/4が植民地兵なのである。なお、ダントツでトップはインド人144万人である。
 まあこうした傾向は他の国にもあったのであるが。
 で、そうした戦争に参加させられた植民地の人々であるが、むろんあまりうれしくはなかった。というか、強制された人も大勢いたわけである。しかし、こうした植民地から兵員を送り出すというのはある意味、植民地の発言権強化にもつながったのではなかろうか。
 また、総力戦により宗主国が戦争に国力を傾注している間に、たとえばインドではタータを筆頭とする民族資本ががんばって綿布の生産額をイギリス製品の輸入額を上回るほどに増加させている。こうしたことが後々の独立へとつながっていったのである。

11月09日

 本棚が二つくる。
 友人が二人くる。
 でもって三人で、部屋の中にうず高く積み上げられていた本を片づけたのであるが、もう後から後から本がでるでる。
 あっというまに本棚はいっぱいになり、それでも片づかなかった本はしゃあないのでじゃまにならないように部屋のすみに平積みに積み上げる。
 昼にはじめて夜まで片づけにかかった。さすがに疲労困憊。

11月10日

 一晩たってもまだ疲労は回復せず。
 本のすべてが整理がつかなかったので多少なりとも鬱々としていたのだが物は考えようである。
 多くの本が本棚に整理されたおかげで部屋は広々としているし、新築以来、20年ぶりにのぞいた畳は青々としている。
 資料本はすべて本棚だから本を探し回って時間を無駄にすることもない。
 この状態を維持するためにも、読んだ本はちゃんとしまう、いらない本は捨てる。
 この原則を守らねばなるまい。

11月11日

 私の音楽に関するセンスはあまりたいしたものではない。
 歌も下手だ。そもそもあまり歌うということがない。
 しかしまあ、それでも人間「聞いて心地よい音楽」と「聞いていて不愉快な音楽」ぐらいの区別はつくものである。
 そんなわけで『斬魔大聖デモンベイン』のオリジナル・サウンド・トラックを聞きながら日記を書いているのだが、これはなかなか具合がよろしい。
 むろん、元のゲームでの盛り上がった記憶との相乗効果であろうが。

■本日の読書:『PressEnter■』ジョン・ヴァーリィ
 短編集『ブルー・シャンペン』収録。
 ある男が死ぬ。
 その男は、存在しない人間で、存在しない場所に住んでいた。
 男が存在する記録は世界のどこにもなかった。
 男の家の中はコンピュータで埋まっていた。男は凄腕のハッカーだった。
 ありとあらゆる情報が男の元にあった。世界中の金が男の物だった。
 男は自分の頭を銃で撃ち抜いて死んだ。
 男の使っていたコンピュータの画面にはただ一行。

    『PressEnter■』
    (Enterキーを押せ)

 男のコンピュータは厳重にプロテクトされていた。
 男は自殺したのではなく、殺されたのではないかと疑った刑事は、やはり腕利きの若い女性ハッカーを使ってそのプロテクトを破ろうと試みる。
 女性ハッカーは長い苦闘の末、プロテクトを解除する。
 そして、工具を使って電子レンジを改造し、自分の頭をつっこんで『チン!』と脳味噌をボイルする。
 残されたコンピュータの画面にはやはり、ただ一行。

    『PressEnter■』

 止めようとする主人公をふりきって刑事はEnterキーを押す。
 そうすると画面には、新しいメッセージが表示された。

    『You Looked』
      (見たな)

 そして……

 なんともこう、ホラー風味の一品である。

11月12日

 昨日ジョン・ヴァーリィをちょろりと久しぶりに読んだのは、むろんのこと日曜日に本棚が整理され、作者ごとに並べられたからに他ならない。雑誌も、バックナンバーをそろえて置いてある。
 3つの本棚をここまで整理できたのは、やはり2人の友人の助力に追うことが多い。むろんバイト代は出したが。
 思えば昼に整理をはじめて7時間。茶も出さなければ一休みもせずにぶっとおしで本の山と格闘したわけであるが、まことによく働いてくれた。「茶ぐらい出せ」とか「休ませろ」ぐらい言うかと思ったのだが。
 なに? そのくらい言われなくても自分からするものだと?
 ごめん、おじさんは集中すると周りの事が目に入らなくなるタイプなもので。この我が道を邁進、というか爆走する性格はなんとかせんといかんとは思うのだが。

11月13日

 bk1から文庫が10冊届く。
 インターネットの古本屋から本が3冊届く。
 ぶらりと散歩して雑誌を1冊買う。

 いかん。こんな事ではたちまち環境は悪化する。
 ひとまず、再読性の低い物から順に捨てる用意をせねば。
 そういえば唐沢俊一さんは本を保管しておく条件として、

『ダメな本ほど保管しておく』

 という独特の基準をあげておられた。良い本はそのうち再び巡り会う可能性が高いが、ダメな本はもう手に入らない可能性が高いからだそうである。
 さすがに私は本収集癖(ビブリオマニア)ではないので、ダメな本から捨てる。
 むろん、その基準はakagane-準拠で余人の関与するところではない。
 akagane-準拠では本は永久保管の他に、3年保管とか7年保管とかもある。

11月14日

 神魂合体ゴーダンナーの1話から4話までを見る。
 いわゆる、酒場でロボットオタクどもが即興で作り上げた馬鹿話を、そのままアニメにしましたという、そういう話である。
 結婚したばかりの旦那がダンナー、奥さんがオクサーというロボットに乗って合体するから「しんこん」合体という、もうタイトルからしてかなり馬鹿である。
 ちなみに旦那の方は5年前の戦いで恋人を失ってからは昼行灯になっており、それが奥さんの女子高校生(つまり5年前は女子中学生か……小学生っ?!)によって心の傷が癒されて再び戦いにのぞむという展開までがプロローグ。
 ところがぎっちょん、実はその死んだと思っていた恋人は5年前の戦いの時に敵の体内に取り込まれていて生きていたのを発見されるのである。
 4話までではまだ目覚めていないがそのうち目覚めるだろうし、そうなったらこれはもう修羅場以外の何物でもないわな。つーか、これって『君が望む永遠』?!
 たいへんこの先が楽しみである。世界各国の合体ロボットもむやみに熱いし。

11月15日

 どうもこのところ、肝臓のある右脇腹の下あたりに膨満感がある。
 医者いわく、脂肪肝なので内部からふくれているのだろうとのこと。
 痛いとかそういうのではないのだが、どうも具合がよろしくない。

■本日の読書:『歴史群像 No.62』
 戦略分析は『本土最終決戦』――"Downfall" of the Japanese Empire――である。
 これは、太平洋戦争末期、連合軍による本土侵攻作戦の計画と、それを迎え撃つ本土防衛戦略についての記事である。
 実になんというか、陰々滅々とした記事である。
 よく、日本人はまじめであるとか、体制に忠実だとか言われているが、そんなもん、平和な時とか満足にご飯が食べられる時である。
 日中戦争から続く長い戦いによって兵士の士気と規律は低下し、軍法会議で処刑される兵の数は確実に上昇。空襲が本格化する前の1944年7月の段階で、航空機工場の欠勤率は21パーセントにものぼる。食わんがための窃盗や暴行事件が後をたたず、国家を統制しようとする動きはさまざまな共同体のレベルで「顔役」を生みだし、賄賂が蔓延した。
 すでに、日本人は戦争に倦んでおり、その終わりを待ち望んでいたのである。
 だが、にもかかわらず日本軍はありったけの動員を行い、本土決戦に賭けた。
 これを愚かな行為と指弾するのはたやすい。だが、彼らは国家を守るという義務を課せられていた。軍隊の仕事は結局、そこに行き着く。国家の消滅となるかも知れない無条件降伏ではなく、何かこちらからも条件をつけて降伏を。そのためにはせめて一撃を相手にくわえて……彼我の置かれた戦略的環境を無視したあまりに甘い夢であるが、それ以外に頼るものが彼らにはなかったのである。
 しかし、その決戦を行うべき将兵の士気はもうどんぞこまで落ちていたのだ。
 軍紀、風紀に関する会議で、現場の状況が明らかになる。

「軍紀逐次弛緩。離隊逃亡が違法行為の6割」
「離隊の原因は食糧不足」
「特攻隊員の悪質犯罪」
「物欲、色欲に起因する犯罪の多発」

 まこと、戦争とは愚かな行為である。

11月16日

 フィットネスクラブで汗をかく。今日は夕方から行ったので割合に人が多かった。
 久しぶりに体脂肪を測定してみると以下の通り。

 前回(9/27)      今回
 ・身長166cm     ・同じ
 ・体重75.5kg    ・74.7kg
 ・脂肪率26.4%    ・27.4%
 ・脂肪量19.9kg   ・20.5kg
 ・標準体重60.6kg  ・同じ
 ・肥満度24.5%    ・23.2%

 微妙に下がっているようなそうでないような。しかしまぁ、6月とかは77kg台だったので下がっているのかな?
 まあダイエットなどというものはすべからくこんなもんであろう。やはり週に2回行かぬとだめかな。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 神々と王権』
 さあ、『生活』編を古代から20世紀まで読み終わったので、今度は『焦点』である。前回のように適当はやめてちゃんと古代から順に行こうね。

●むかしむかしの世界
▼地中海
 紀元前3000年頃:エーゲ文明発祥。
 紀元前2000年頃:クレタ文明発祥。
 紀元前1600年頃:ミュケナイ文明発祥。
 ……おかしいな。ミケーネ帝国がどこにも書いてないぞ。
 紀元前1400年頃:イベントで蛮族発生。クレタ文明崩壊。
 紀元前1200年頃:再びイベントで蛮族発生。ミュケナイ文明崩壊。
<紀元前1200年頃:「海の民」の活動が活発化。ヒッタイト滅亡。エジプトのラメセス3世が「海の民」を撃退>
 紀元前800年頃から:フェニキア人がカルタゴ建設。ギリシアでは各地にポリスが成立する。
 紀元前8世紀後半:ホメロスの「イーリアス」「オデュッセイア」の時代。英雄たちの黄昏。
 紀元前6世紀頃:7つの丘にローマが誕生。
 紀元前5世紀:ペルシア戦争、そしてペロポネソス戦争でポリスが弱体化。
<紀元前334年:アレクサンドロス大王の東征が始まる。ペルシア帝国を滅ぼし、西北インドまで侵攻。死後その帝国はディアドコイ(継承者)戦争を経て分裂する>
 紀元前3世紀:ローマ、イタリア半島を統一する。その後1世紀近くかけてカルタゴと覇権を争い、ついにカルタゴを滅ぼす。
 紀元前1世紀:カエサルによるローマの改革。以後、ローマは帝政へと移行。
▼シリア・パレスチナ・アナトリア
 紀元前2000年頃:あちこちで都市国家が成立。
 紀元前1750年頃:ヒッタイト王国おこる。
 紀元前1250年頃:モーセの出エジプト。
<紀元前1200年頃:「海の民」の活動が活発化。ヒッタイト滅亡。エジプトのラメセス3世が「海の民」を撃退>
 紀元前1000年頃:イスラエル王国成立。
 紀元前961年:ソロモン王が即位する。
 紀元前722年:アッシリア、イスラエル王国を滅ぼす。
<紀元前6世紀:ペルシアによるオリエント世界統一>
<紀元前334年:アレクサンドロス大王の東征が始まる。ペルシア帝国を滅ぼし、西北インドまで侵攻。死後その帝国はディアドコイ(継承者)戦争を経て分裂する>
 紀元前305年:アレクサンドロスの後継者によるセレウコス朝の支配。
 紀元前1世紀:ローマによる支配。
▼エジプト
 紀元前5000年頃:農耕・牧畜が始まる。
 紀元前3000年頃:エジプト統一。初期王朝時代。
 紀元前2550年頃:第四王朝がギザ3大ピラミッド建設。
 紀元前1650年頃:ヒクソスによる支配。
 紀元前1450年頃:トトメス3世の統治。アジアまで遠征。
<紀元前1200年頃:「海の民」の活動が活発化。ヒッタイト滅亡。エジプトのラメセス3世が「海の民」を撃退>
 紀元前671年:アッシリアのエジプト征服。
<紀元前6世紀:ペルシアによるオリエント世界統一>
<紀元前334年:アレクサンドロス大王の東征が始まる。ペルシア帝国を滅ぼし、西北インドまで侵攻。死後その帝国はディアドコイ(継承者)戦争を経て分裂する>
 紀元前305年:アレクサンドロスの後継者によるプトレマイオス朝の支配。
 紀元前31年:プトレマイオス朝滅亡。ローマによる支配。
▼メソポタミア・イラン
 紀元前5000年頃:バビロニアに最古の神殿。
 紀元前3300年頃:シュメール都市国家の成立。
 紀元前2000年頃:アッシリア王国の成立。
 紀元前1000年頃:イラン人がイラン高原に移住開始。
 紀元前900年頃:アッシリア王国の征服活動再開。
 紀元前612年頃:アッシリア王国滅亡。
<紀元前6世紀:ペルシアによるオリエント世界統一>
<紀元前334年:アレクサンドロス大王の東征が始まる。ペルシア帝国を滅ぼし、西北インドまで侵攻。死後その帝国はディアドコイ(継承者)戦争を経て分裂する>
 紀元前305年:アレクサンドロスの後継者によるセレウコス朝成立。
 紀元前248年頃:パルティア王国がおこる。
▼南アジア
 紀元前2400年頃:インダス都市文明栄える。
 紀元前1000年頃:鉄器の使用はじまる。
 紀元前800年頃:初期のブラーフマナ文献やウパニッシャド文献が残る。
 紀元前600年頃:貨幣の使用始まる。
 紀元前6世紀頃:ブッダ誕生。
<紀元前334年:アレクサンドロス大王の東征が始まる。ペルシア帝国を滅ぼし、西北インドまで侵攻。死後その帝国はディアドコイ(継承者)戦争を経て分裂する>
 よくここまで来たもんだ。
▼東アジア
 紀元前5000年頃:稲作文化始まる。
 紀元前2500年頃:中国で夏王朝おこる。
 紀元前1600年頃:殷王朝おこる。
 紀元前1000年頃:周王朝おこる。
 紀元前6世紀頃:孔子誕生。
 紀元前221年:秦の始皇帝による中国統一。
 紀元前202年:漢王朝による中国再統一。

 今日はこのへんで。

11月17日

 戦争において補給が重要であることは古今東西のあらゆる戦史が示す通りである。
 では、たとえば戦国時代(中国ではない、日本である)の補給部隊である小荷駄においてもっとも重要なのはなんであるか?

 答え:小荷駄の連中が補給物資(ほとんどは食い物)を猫ばばしないようにする事

 このあたり、人間の行動というのは実に正直である。

 ちなみに時代は下って太平洋戦争のガダルカナルの戦い。幾度かの手痛い敗北で兵力の逐次投入の愚をさとった帝国陸軍は、ガダルカナルへ兵員をどんどん送った。ただ、飛行場と制空権は敵の物であるから夜間に素早く揚陸できるように兵員だけを駆逐艦で鼠輸送(いわゆるトーキョー急行)したのである。
 結果、前線司令部(第17軍)が上陸した時に、そこで見たのは数だけ増えたがろくに給養ももらえず飢え衰えた将兵の姿であった。百武軍司令官は仰天して兵員より先に糧食と弾薬を送れと連絡したそうであるが、そんなもん司令官が行く前に誰か指摘してやらんかったんかいと言いたくなる。
 そういえば、映画『踊る大捜査線2』で「事件は現場で起きているんだ」とかいう台詞があるそうだが、これに代表されるように、日本人の組織はしばしば現場を重視する。現場の人間が何とかやりくりをして帳尻を合わせようとするのである。
 だが、これも善し悪しであろう。上述した駆逐艦による兵員輸送など現場の陸軍と海軍が何とかガダルカナルの兵力を増強しようと熱意と創意工夫をもって行動した結果である。
 その場合、兵員以外の補給は十分足りているのかとか。
 そもそも、今ある兵力と物資でガダルカナルへ補給線を引いていいのかとか。
 何よりかにより、ガダルカナルで戦うべきなのかどうなのかとか。
 そういうのは現場が判断できることではない。それらを判断するために後方に参謀本部なり軍令部なり大本営なりがあるのである。
 まずもってそういう上の連中がしっかりした見識を持って判断せにゃ、現場がなんぼがんばってもどうにもならないのだ。

11月18日

 今日は、資源ゴミの日である。
 よって、昨日までのうちに段ボールに詰め込んだ紙資源、すなわち樹木の死骸を5箱、収集場所へと運ぶ。思うに、この界隈で一番資源ゴミを出している家ではなかろうか、うちは。
 今回、資源ゴミの刑に処せられたのは古いゲームの数々である。本棚が2つ来たために箱入りゲームの多くがその寿命をまっとうしたとして資源ゴミとなったのである。
 フォーリナー、パールシード、カイゼルレギオン、トラベラー(中身なし)、トーキョーNOVA(ツクダ版)、学園パラダイス、探偵物語、クレギオンなどなど。
 クトゥルフ系やトラベラー系は中身だけ引っこ抜いて本棚に収容し、箱だけ処分した。
 これでミカン箱5つ分になったのだから、私もずいぶんと物持ちがよろしい。
 とにかく買う分だけ捨てていかんとあふれるのだからしかたがない。これが唐沢俊一さんぐらいになると、本を格納するためだけにアパートを借りたりするのだが。この道もまだまだ奥が深い。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史 神々と王権』(続き)

●王権と神殿
 最古の都市文明といっていいシュメールの王は、はたしてどうやって租税を集めていたのか。
 むろん、王自身も土地などの資産を持っていたわけであるが、碑文によると王は神々を祀る権限を持ち、その祭りに際しては市区や神殿から贈り物があったらしい。
 この贈答的儀礼が、いわゆる租税であったのだろう、というのである。なるほど、神様の利用方法の一つではある。

●ファラオの王権
 紀元前3000年頃に誕生し紀元前332年のアレクサンドロスの東征によって滅びたエジプトの王は何人いたか。
 おおよそ30ないし31の王朝があり、300人以上の王がいたとのことである。いやはや、歴史が長い国というのは。しかもまだ紀元前である。この後、プトレマイオス朝があって、ローマの支配はその後である。
 ここでは王は神を演じたり、人の代表を演じたりと忙しかったらしい。

●古代インドの聖と俗
 インドといえばカーストであるが、やはり紀元前1000年頃には4ヴァルナ(階級)の時代を迎えたらしい。この4つは、司祭階級バラモン、王侯・武士階級シュードラ、庶民階級ヴァイシャ、奉仕階級シュードラである。ここからだんだんと現代へと続くカーストが誕生する。
 司祭は王侯の上位であるが、やはりここでも相互に補完する関係にあり、バラモンの律法教(ダルマスートラ)には聖なる教えとして「司祭なくして王侯の繁栄なく、王侯なくして司祭の繁栄なし」とのたもうている。ちっともありがたい教えには聞こえないのだが気のせいだろうか。
 インドにおける初期の仏教も実はこの相互補完の関係を認めているというのは意外であった。いわゆる社会契約論的に、世の中を管理運営する役割として王侯があるので、庶民はそれに従うように。ただし王侯も庶民の生活を守るように、というのである。
 ただ、時代が過ぎるにしたがって王侯の権力の方が強化されたらしい事は、初代チャンドラグプタ王(紀元前300年頃)の宰相の「王の法は聖典の法よりも優先順位が高い」という言葉からも推測される。

●上帝と祖先神
 中国は殷の時代ともなると甲骨文などで記録が残る。それをみると神には上帝、自然神、祖先神の3種類があるらしい。上帝が一番エライが、これは人の手ではどうにもならない禍福なす神である。自然神は殷以外の一族が祀っていた神で、いわば神話体系に取り込むことで殷が上位に立ったわけである。そしてむろん祖先神は殷の一族の祖先である。上帝に取りなすためには、この祖先神を通じる必要があり、それゆえに殷の一族が指導者となったわけである。
 この上帝崇拝がしだいに衰えたのが殷の滅亡の原因であると記事を書いた江村先生は考えておられる。そして上帝による「天命」を奉じた周が諸部族を統合し、殷に代わって天下を治めたのだと。だがまあこのへんは、歴史は勝った側が記述するからなんとも言えない気がする。
 そして周が衰えた春秋戦国の時代になると、神ではなく恩義を与えてくれた人のために命を投げ出す人々の話が『史記』の遊侠列伝や刺客列伝に記載されるようになる。

11月19日

 送別会ということで、無料で飲み食いする。
 いや、飲んでいるのは烏龍茶ですが。肝臓も悪いし。
 食べているのもサラダですが。ダイエット中ですし。
 これから何をするかという事で、インターネット坊主が適しているという話になる。
 『銅大のRPGてんやわんや』は今日からやめて
 『銅大の聖なるサイト』にするのである。
 英語で言うと“Big Copper's Holy WebSite”である。
 嘘だと思ったら、サイトのタイトルを読んでみるとよろしい。
 ちなみに今googleでタイトルにHolyとWebSiteが入っているサイトを数えたら573件あった。これらとの差別化も図らねばなるまい。
 やはり、免罪符でも売るべきであろうか。1ページ1回100$で1ヶ月分の免罪が買えるのである。
 または懺悔を聞くというのもいいかも知れない。こちらは1wordにつき1$である。
 おお、さっそく懺悔が。なに? 寿下無寿下無……え? なんだって?

11月20日

 疲れた。

11月21日

 今日も疲れている。
 下痢気味。

■本日の読書:『モン・スール』きづきあきら
 病んでいる時には病んでいる物を読むのが吉。
 たとえば『観用少女(プランツ・ドール)』とかもいい。
 この作品もいい。

 父子家庭で育った兄と妹。
 ところが突然、父が失踪する。
 大学に入ったばかりで途方にくれた兄を、親友が励ます。奨学金をもらい、朝晩にバイトをし、なんとか大学に行きながら小学生の妹と自分を養えるようにしろと。

「心配すんな。オレの仕事は高給だ。イザとなったら出世払いOKの貯金箱がついてるぜ」

 親友に感謝し、家事全般をまめまめしくこなす妹を愛おしく思い、しんどいながらも幸せだとそう感じていた。
 その思いは、最悪の形で裏切られる。
 泊まり込みの短期のバイトから一晩早く帰った彼がみたものは。

 ベッドの中で抱き合っている親友と妹。

 そして彼は知る。

 父親はなぜ失踪したのか。
 妹は何を思い、親友と結ばれたのか。
 家族とは、なんなのか。

 最後に。
 一人消えようとする親友の思いをさとった主人公は妹に言う。

「あいつこのままもう会わないつもりだぞ。
 これがあいつの選んだ結論だ。
 お前はどうしたい」

 そして妹の出した結論と、兄としての主人公の答えは……

11月22日

 11/4にハードディスクがクラッシュしたおかげで『太平洋戦記2』のデータもなんもかも消えてしまい、やり直すのもなんかこー、気分が出ない。
 そこで、これまで積んでおいたゲームを引っ張り出してプレイしてみることに。
 『信長の野望 天下創世』である。パッチも先にあてたので前のような不手際はあるまいて。
 さて、初級編で武田信玄(晴信)でプレイしてみるのだが、これが意外と面白い。
 領地に田圃や牧場を作り、武家屋敷をそろえて兵士を増やす。
 増えた兵士で隣国に攻め入る。まずは史実に従って信濃統一である。信濃は小国が散らばっているので統一にはさほど手間取らない。
 問題は、こいつらを始末すると上杉謙信(長尾景虎)と領土を接するという事である。戦以外に興味がないこの男、敵に回すとおそろしく強い。かといってほっといて領土拡大されるとさらに手がつけられなくなるので、関東に討ち入った謙信を、北条と手を組んで撃退する。北条もほっとくと拡大するだろうが、今川と一緒で後回しにしてもそれほど脅威にはならないだろう。問題はとにかく謙信である。
 なんでこんな男がすぐ北にいるんだ。こっちは呼んでないのに信濃に攻め込んでくるし。
 相手は同数の兵士では武田信玄ですら打ち負かされるという戦場における最強武将である。時間切れ引き分けをねらうか、不用意に突出したところを取り囲んで袋叩きにするしか手がない。その点、武田は戦巧者な武将が多いのが救いである。
 西の方では三好や大友が領土拡大しているが、まああいつらはどうせ潰しあいをするだろうからほうっておいてかまうまい。
 上杉謙信を始末する良い方法は何かないものか……暗殺とかできないかなぁ。

11月23日

 本棚を整理した時に、本を作者別、シリーズ順に並べた結果、いくつかのシリーズで欠番がある事が判明している。
 たとえば眉村卓先生の『不定期エスパー』の4巻がないとか。そのうち古本屋で買っておかねばなるまい。
 今は亡きA.B.チャンドラーさんの『銀河辺境』シリーズにいたっては、穴だらけである。理由は分かっている。このシリーズ、高校を卒業する時にそれまでそろえていたのを全冊学校の図書室に寄贈したのである。で、その後で時々、むしょうに読みたくなって古本屋で買い直したり。
 だものでこのシリーズの『銀河私掠船団』は2冊あったりとか。つまり最初のと合わせると同じ本を都合3冊買ったわけで。何やってるんだか、本当に。
 そうした中、奇跡的に全冊無事であったのが『デュマレスト・サーガ』(E.C.タブ)である。第1巻が発行された(むろん飛びつくように買った)のが1982年で20年以上前である事を考えると、よくぞスターリンもかくやという私の粛正の数々を生き延びてきてくれたものだと感慨深いものがある。
 で、その第1巻の『嵐の惑星ガース』をちらちらとながめてSF気分を出していたのだが、この作品の主人公アールは実にトラベラーっぽくてよろしい。というか、この作品がトラベラーの下敷きの一つになっているのだが。下等(ロウ)の宇宙旅行である冷凍睡眠とかは、まんま二等寝台である。
 他にもこの作品には優れた演出がある。宇宙っぽいチープな食い物『基本食(ベイシック)』などその最たる物であろう。液体の合成食物なのであるが、いかにも安くてまずそうなのである。記述を引用しよう。

『その液体はブドウ糖の薄色がつき、ビタミン味がして、プロテインでねっとりしていた。』

 どんなんや。

『スペースマンは一日百二十ccの基本食で生きていられる。』

 いかにも安っぽい。

 これを冷凍睡眠から起きて、錆の浮いた船倉ですするのである。一度でいいから私もそういう場所ですすってみてぇ。

11月24日

 昨日のトレーニングのため、今日は身体のあちこちの筋肉が痛い。
 TVアニメ『バトルプログラマーシラセ』の1話(1〜3回)、2話(4〜6回)を見る。

 これがまた、ものすごいチープで低予算な深夜枠のアニメで、すさまじく倫理的に間違った方向へフルスロットルで爆走しているアニメである。

 主人公の白瀬慧はさえない青年だが実は凄腕のフリープログラマーで、バトルプログラマーシラセ、通称BPSとしてその道では有名な男である。
 だが日常生活においては完全なダメ人間で、姪(年上で既婚)が大家をしている安アパートで自堕落な生活を送っている。
 その白瀬のところにやってきてご飯を作ったりとかかいがいしく世話をしてくれるのが姪の娘(四親等)の美紗緒ちゃんである。小学校五年生。

 白瀬はそんな美紗緒ちゃんにベタ惚れなのだが、おまえ、親戚の女の子でしかも一回り以上年の離れた少女に何を懸想しているのだとか怒り出す人はこの作品を見てはいけない。

 もっとむちゃくちゃなアニメなのである。

 台所で背が低いから台の上に立って食事の世話をする美紗緒の、スカートの中をのぞこうと寝たふりをしてごろごろと近寄っていく白瀬も白瀬なら。

 それに気が付くと、何気なく背伸びをしてみせる(むろんスカートの裾は上がる)美紗緒ちゃんも美紗緒ちゃんである。しかも、その後すぐに振り返って「ねぇお兄ちゃん」と素知らぬ振りでのぞきをブロックするのだ。

 イロイロな意味で『魂がこもった』作品である事は間違いない。

11月25日

 どうにもだるくて集中力が続かない。
 夜、従姉がやってきて浄水器が健康にいいと力説して帰る。
 ふぅむ?

11月26日

 喉が痛く咳が出る。加湿器をつける。

■本日の読書:『マップス 1〜4』長谷川裕一
 元気がないので元気が出る物を読む。
 この物語は、女性の形をした(フィギュアヘッドのような、というべきか)宇宙船が現代の(といっても80年代の)地球にやってくるところから始まる、気宇壮大なスペースオペラである。
 とにかく序盤から飛ばしまくりの、大風呂敷を広げまくった物語は見事の一言。本人曰く、レンズマンをライバル視したという事で、なるほどむべなるかな。
 まあ中盤からはちょっと中だるみなのだが、とにかく1巻や2巻の話の濃密な事といったらない。
 惑星サイズの巨大な脳髄、伝承族。
 生命の断末魔をエネルギーに変換する、生贄砲。
 いずれも、一つ一つは『SFでは見慣れた』代物であるのだが、それを『凄い』と感じさせる演出が見事である。なんといっても、主人公が立派に主人公をしているのだ。
 これは長谷川さんの主人公にほぼ共通しているのだが、『決められた配役』が主人公には与えられる。つまり、成功も失敗も『ここまでは予定された通り』な部分があるのである。
 だが、そんな物に甘んじるようでは主人公ではない。
 だから主人公はその枠をうち破る存在でなくてはいけない。配役通りには決して行動しない。すべての予定を覆すイレギュラーなジョーカーこそが主人公なのだ。
 そう、最初の彼。
 役割を定められた彼の。

『今度生まれ変わったら……野球漫画描くから。そしたらマネージャー、してくれよ』

 あの情けなくもかっこいい主人公っぷりからすべては始まったのだ。

11月27日

 咳、さらにひどくなる。
 扁桃腺も腫れる。どうやら風邪の症状のようである。
 こういう日は、おとなしくしているに限る。

11月28日

 体調ぐんぐん悪化。
 病院でも風邪との診断で、薬を処方される。
 風邪といえば定番のPL顆粒。
 咳を鎮めるアストミン錠。
 鼻づまりや痰に効くムコダイン錠
 そして、抗生物質のジスロマック錠である。
 おとなしく寝ていよう。

■本日の読書:『嵐の惑星ガース』E.C.タブ
 生まれ故郷である『地球』を求めてさまよう流れ者のデュマレスト。その最初の冒険が惑星ガースである。
 このデュマレスト、実にタフな男である。このタフさは、決して持ち前の頑健さだけから来るものではない。その行動力と決断力こそが、デュマレストをしてスペースオペラきってのタフガイにしているのである。彼に比べたら、キムボール・キニスンなどただの育ちが良いだけのぼんぼんである。なぜなら、キニスンには『絶対の正義』というデュレリウム鋼ばりのバックボーンがあるが、デュマレストにはそんな物はない。彼を突き動かすのは、徹底したリアリズムである。
 さて、嵐の惑星ガースは半球を常に太陽に向けた自転周期と公転周期が一致した惑星であり、人々は黄昏地帯にへばりついている。なぜろくな生活圏もないこのガースに人が住んでいるかというと、ここで吹く『嵐』が人の精神に強く作用して様々な現象を引き起こすからである。だが、ガースはあくまで帰りの切符を持った旅行者のための惑星で、デュマレストのような流れ者には次の惑星への運賃を稼ぐあてもないどんづまりの惑星だった。
 このどんづまりの状態をいち早く見抜き、どうすれば良いか考えるのがデュマレストの強さなのだ。
 第一巻という事もあって、この後にもしばしば登場する主立った小道具や演出は一通り出てくる。特に、やたらと因縁がある宇宙的な組織、サイクランのサイバーと宇宙友愛教会のブラザーはいかにも対照的な感じで実によろしい。

11月29日

 体調は相変わらず悪い。
 その上、H2Aロケットが打ち上げ失敗したので気分まで消沈。
 寝る。

■本日の読書:『マップス 5〜9』長谷川裕一
 強い者が勝つ。あるいは勝った者が強い。
 ランチェスターの法則を持ち出すまでもなく、戦いはしょせん力学である。思いこみで勝てれば敗者はいない。
 皆、勝ちたいと思う。負けたくないと思う。それでも勝負はつく。敗者は出る。私はカープファンだし、広島にはカープファンが多いが、私たちがどれだけ望もうが実際には勝率五割をうろうろしてBクラス定着である。
 守るべき物が多い場合、それは弱みにつながる。日本帝国は広大な海上交通線を守らなければならなかったから、そこが弱点となり通商破壊戦に敗北した。大英帝国ですら、遙かに格下のドイツ海軍を相手に苦戦を強いられた。
 テロとの戦いもそうだ。自分の命すら守る必要がない自爆テロは、容易にテロ行為を成功させる。それに対して国民の生命と財産を残らず守ろうとするのがどれだけむちゃな事か。ユダヤ人とアラブ人の戦いをみても分かるだろう。
 それが現実である。

 だが、だからこそ。

 フィクションの世界では爽快な気分になりたいではないか。
 九分九厘負けのところから逆転するからこそ、愉快な気分になれるのである。
 が、まあ一つここに落とし穴があって。
 逆転することが分かっていては人間、うれしさも半減である。読者に「どうせ主人公が勝つんだから」と安心させてはいけない。
 そのための一番良い方策は、主人公をぼろぼろにする事である。完膚無きまでに叩きのめし、地べたに這いつくばらせ、そこから逆転させるのである。

 マップスもまあ、そういう話である。

 銀河とそこに住む生命すべてを『生贄砲』の弾薬とし、それでもって宇宙を消滅させようという『伝承族』。そしてその『伝承族』の一部でありながら反乱を翻した者たち。
 この二つの圧倒的な敵を前に、主人公たちはずたぼろにされる。
 で、そのずたぼろにされた主人公を助けるために活躍するのが、戦いにおいては路傍の石扱いである脇役の活躍である。
 そういう意味で終盤に主人公以上に重要な役割を果たすのが、ダメ超能力者のニュウ・エイブであり、最初は悪役(ヒール)として鳴らした武器商人ガッハ・カラカラである。
 特に意気消沈した味方をどやしつけるガッハと、最強の敵を相手に敗北を喫したリプミラを救い出すニュウ・エイブの勇姿はまさにこの作品最大の見せ場と言っていい。
 後うれしいのは、この物語では『さらわれるお姫様』役の地球と地球人が最後の最後でおいしいところをいただく部分であろう。
 一寸の虫にも五分の魂。
 小さかろうが弱かろうが蟷螂の斧だろうが。

 悟りもせず諦めもせずにあらがうところに、美しさがあるのだ。

11月30日

 ようように体力が回復の兆しをみせる。
 その結果、食欲も回復してきたわけで。
 そういえば、ちょっと前に鯉のヘルペスウィルスで大量死というニュースがあったが、実は私は鯉を食った事がない。いや中華料理(糖醋鯉魚(タンツーリーユイ)など)としてそれと知らずに食べた事があるかも知れないが意識しては食べていない。
 むかし、東京にいた時分も食べなかった。広島カープのファンとしては何か忌避感が働くせいであろうか。
 いや、それを言うとカープファンに限った話ではなく、西日本はあまり伝統的に鯉を食わないのではなかろうか。養殖されている鯉も、観賞用のいわゆる錦鯉が多く、茨城県の霞ヶ浦で大量死した食用のとは種類が違う。
 などと思っていやそれでも確認のためと思って日立の世界大百科事典をひいてみると、

『産地としては《本朝食鑑》(1697)が〈城州淀河を以て第一とす〉といっているように淀川のものがよいとされ,とくに〈車下(くるました)の鯉〉は絶品とされた。』

 なんと、淀川は食用鯉の産地だったのである。淀川の物をわざわざ江戸まで運んだりはしないだろうから、つまり西日本でももりもり食っていたわけだ。
 そういう事を考えていると、なんだか無性に鯉を食べてみたい気分になった。

 やはりほれ、体調はだいぶんに回復しているようである。

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