10月01日

 書類を整理しながらふと思う。
 たとえば企業や官公庁では、重要な書類はきちんと保管される。現代においても、やはり人間、ハンコを押して回る仕事はついてまわるのである。
 書類は廃棄する場合でもまずシュレッダーでみじんぎりにする。
 しかし、そこまで重要でない書類は、段ボールに詰め、ゴミ処分業者の手で焼却される。
 会社がビルを含めた敷地全体を保有している場合は、警固なセキュリティがあるが、テナントなどならビルのゴミは通常地下などの専門の場所に集積される。
 ここのセキュリティは、ビルそのもののセキュリティに比べると甘い。
 ふーむ。情報を得るためにゴミ置き場をあさるPCというのもなかなか面白い物がある。
 シャドウランよりも、サタスペあたりに向いた話になりそうである。

■本日の読書:『剣豪(ソードファイター)ゼロ 1〜3』増田晴彦
 いきなり宇宙人と日本人のサムライの真剣勝負からはじまるこの漫画。
 傑作かというとそりゃ微妙だが、気分良く面白い。宇宙だし。海賊でるし。ばんばん戦うし。立派にスペースオペラである。
 宇宙船が出るとそれだけで評価三割増しの私の言葉なので甘いところもあるだろうがキャラクターもいい感じなのである。
 大銀河連邦に地球が滅ぼされ、地球人が宇宙に散り散りになった遠い未来。
 サイコソードの日本刀を手に廻国修行を続ける新陰流の兵法者ゼロ=零が主人公である。
 とにかく斬って斬って斬りまくる。サイコソードの使い手同士が戦うと、そりゃもうビルは吹き飛ぶ、戦車は両断する、へたをすると電離層まで到達する剣の間合いであるからスナイパーで狙撃しようとしても返り討ちである。シールドをはった戦艦だって一刀両断である。
 その一方できっちりドラマの部分も描いていて、その斬りまくりの戦いの余波に巻き込まれて母親を失った宇宙人の少年が、ゼロを仇だと言って狙う場面もあるのである。
 自分のしてきた戦いとは何なのか。はたして本当に斬るべきものを斬ってきたのか。ここでゼロの出す答えがまたかっこいい。
 ただの豪快なだけの法螺話ではないのだ。

10月03日

 人生はいろいろとあるものである。
 山あり谷あり。

■本日の読書:『剣客商売5 白い鬼』池波正太郎
 剣客商売の登場人物は働き者である。特に弥七や傘徳といったご用聞きなどは、小兵衛や大治郎の親子にこき使われて朝も晩も悪党の尾行にあけくれている。
 そのため、しばしば、ご飯をぬくのであるが、その理由はちゃんとしていて「さ、飯でも食べながらゆるりと話を聞こうかい」という展開にもっていくためである。
 また、人と人との連絡手段が直接会話か伝言か手紙しかなく、携帯もメールもない時代のこととて、どうしても待ち合わせ場所が必要になる。
 その待ち合わせ場所として長時間いても問題がない場所といえばやはり小料理屋とかになるわけで。ここでも食事の場面である。
 私のようにダイエットしている人間には「ちょと」辛いものがある。

10月04日

 グリニッジ標準時に合わせて、グリニッジ標準人というのを考えてみた。
 これは、グリニッジさんというイギリス人のいる場所が世界の標準時間になるというものである。
 グリニッジさんが東西へ移動すると、それに合わせて全世界の時計が連動して時間を進めたり戻したりするのである。
 だもので、グリニッジの家は南北に長く。グリニッジさんの学校や職場は南か北に作られ、できるだけ時間の修正が少なくすむように努力がはらわれているのである。グリニッジさんは出不精であるが、一度だけ海外旅行を行い、その時は世界中が大パニックになった。
 そしておそろしい事になんとグリニッジさんは北枕で寝るのである。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史104 フロンティアと移民』
 なんやかやいいながら19世紀である。歴史と現在が混ざってくる頃合い。
 ちょうどこのあたりが面白いのだ。

●19世紀前半の世界
▼アメリカ・オセアニア
 ウェストポイントに合衆国陸軍士官学校設立。
 ミシシッピ川に蒸気船。ぽっぽー。
 ニューヨーク株式取引所が営業開始。
 初期の野球のイラストがある。審判はキャッチャーの後ろではなく右隣から見ている。
 モースの電信がボルティモア=ワシントン間での通信成功。
 カリフォルニアで金鉱発見。ゴールドラッシュ。
 セントルイス=カリフォルニア間の駅馬車は22日間の旅程で200ドル。
▼ヨーロッパ
 フランス、メートル法を施行。
 ロンドンでマダム・タッソーの蝋人形館が開設。
 ロンドンでガス灯が公開される。
 フランス人レニエール、レストランの案内書を刊行。その名も『食い道楽の暦』ナイスな訳だ。
 そのフランスで、料理に定価をつけたレストランが営業開始。それまでは時価かぁ。そりゃ食材の値段だって変動するしな。
 イギリス、最初のウェブスター辞典を刊行。
 アメリカで野球ならイギリスではラグビーが考案される。
 イギリス、ガスストーブが実用化。
 スティーブンソンのロケット号(列車だ)のイラスト。おお、かっちょええ。
 イギリスの化学者が摩擦マッチを発明。
 オランダではバン=ホーテンがココアの製法特許を得る。
 イギリスで世界最初の「糊付き」切手ペニー・ブラック発売。インターネットで調べると、参考カタログ評価額 未使用 $3,000  使用済 $180。意外と安い。
 ハンガリーのドナウ川に橋がかかり、城下町「ブダ」と商業町「ペスト」が合併してブダペストに。
 ロンドンで山高帽子が発明される。
▼西アジア・アフリカ
 オスマン帝国。赤いフェルトで円筒形のトルコ帽(フェス)を陸軍の制帽に。かっちょいいー。
 シリア、キリスト教徒の地位が向上。
▼南アジア、東南アジア
 インドでプランテーションが発達。
 シンガポール建設。地図を見るとあきらかな戦略拠点だ。
 キャッサバがアメリカから伝来して東南アジアに根付く。
▼中国
 清国、阿片を禁止。
 清国、キリスト教を禁止。
 阿片の密輸がどんじゃらほいと増える。
▼朝鮮・日本
 江戸、祭りで永代橋がおちて700人死亡。
 広島の塩田の浜子が賃上げを要求してストライキ20日間。町人強し。
 鼠小僧次郎吉、磔になる。
 天保の大飢饉。
 大塩平八郎の乱。

●西部の町
 フロンティアの定義:1平方マイルに1家族が住む。
 フロンティアの発達:
   まず、山男が入る
   公益業者、量子、商人、牧畜業者が入る
   開拓農民がやってくる
   開拓農民から農民が土地を買う
 詳しくはローラ・インガルス・ワイルダーの著作を読めと猿谷先生も書いておられる。
 インディアンは居留地におしこめられる。そこにも金などが出るとずかずかアメリカ人が入ってくる。強者と弱者。

●ハワイの日系人
 ハワイの人口約100万人のうち、25%が日系人といわれている。
 沖縄県知事が発行した渡航許可証の文面が愉快。
 「身長四尺八寸六分」というのは具体的だが、「面長」とか、はては「色黒」とか言われてもはたして区別はつくのかー?

●ジューヨーク
 ユダヤ人がニューヨークに集中して暮らすようになったのは、1880年からの40年で東欧から怒濤のごとく205万人の移民が来てからであろう。SF御三家のアシモフも、こうしてロシアからやってきたのだ。
 やがて彼らはアメリカの中でも独特の政治圧力団体へと成長する。

●遅れてきた人々
 最初のWASPの後に、どかどか移民がやってくるのであるが、移民同士でも差別がはじまるのはいたしかたなし。
 1900年のアメリカ人口7600万人。その後の10年間に813万人が移住。これはびっくり。しかも英語が話せず、宗教も違う。スラムができてそこに群れて暮らす。
 そしてそこからはい上がる者もでてきたのだ。

●凍土の開拓
 アメリカばかりではない。旧大陸ではシベリア開拓が行われていた。
 シベリアというと流刑囚をイメージするが、他にも国土開発のために農民が強制移住させられた。しかも員数あわせで老人や病人まで。そういう弱者の多くが死んだ。なんまんだぶなんまんだぶ。

10月05日

 今朝フィットネスプラザに行ったら、窓から大勢の家族連れが。
 見ると、『ディズニー・オン・アイス』の看板が。おそらくアリーナをリンクにしてディズニーのキャラクター達がスケートでダイナミックに動きながら様々な物語を披露するのであろう。
 なぜ具体的に描写できるかというと、私も見た覚えがあるのだ。家族連れで。もう──うわ、30年近く前の話だ。終わった後で、ドナルドダッグと握手してもらったのをうれしく感じたのを今でも覚えている。
 ディズニーそのものが好きかというと、必ずしも最近のディズニーの作品は好きではない。戦前のハンナ&バーベラが作っていたトムとジェリーの方がなんぼか好きである。いやああいうのを戦争しながら作って劇場で公開している国にケンカを売ってはいけません。
 『冬眠中はおしずかに』とか今みても大爆笑ものである。

 さて、ステッパーを踏みながら世界の歴史(こいつは元々週刊誌なので大きい上に薄いのである)をながめていたのであるが。114号の裏に愉快な絵と記事があった。
 『宮廷の婦人たちにかこまれたユージェニー皇妃』という作品とその由来の記事なのであるが。
 1855年のパリ万博に出品されたというこの19世紀の絵は、どこからどう見てもいわゆる『萌え絵』というやつなのだ。
 背景は庭園のようなのだが、着飾った美女たちはいずれも夜の社交のための服装でリアリズムなどどこか遠くに投げ捨ててあるし、また婦人たちの仕草一つ一つや服装がなんともこー、たまらん、という感じなのである。
 そして記事には、この絵描きの作品は『一般には非常に人気』であるが『美術通には評判が悪く、批評家……実物を見て描いた顔が一つもなく、華麗な衣装の下に人間の肉体があることがまったくかんじられないこの絵は、絵画のすべての法則に対する挑戦であると酷評している』とある。
 これを見て私は運動で出た汗を拭いながらにやにや笑いがおさえきれなかった。批評家としてはこんな大衆に媚びた作品がもてはやされるのが実に憤懣やるかたなかったのであろう。
 なるほどっ。なるほどなるほどっ。
 思うに、人間っていうのは歴史を通してそんなに変わっちゃいないのだ。
 そう、30年前に子供だった私が見たのと同じディズニーのアイススケート・ショーを今の子供たちがわくわくしながら見ているように。
 それだけの事が、やけにうれしく感じられた日であった。

10月06日

 定期健康診断。
 尿に蛋白が「+++」つまり非常に多いと出る。腎臓がいかんのかも知れぬ。
 無事な内臓はないのか、わしは。

■本日の読書:『覇者の戦塵1944 インド洋航空戦 上』谷甲州
 表紙絵は、インド洋を進む日本海軍の仮装巡洋艦「報国丸」。今回はこの船が大活躍であるから妥当ではあるが。
 架空戦記物の表紙としては渋いとか地味とかを通り越してこれはわびさびの境地ではないかと。
 内容もいつものわびさび谷甲州である。
 こないだまで、ニューギニアの方であれこれやっていたので、古くからの登場人物はあらかたあっちにいる。よって今回は全員が新キャラである。
 基本的に架空のキャラクターのようであるが(意外と実名かも知れぬ点が谷甲州テイスト)一人だけ歴史上の人物が参入している。
 第十五軍司令官、牟田口である。
 この人物についての後世の評価は、辛口から酷評までと基本的にマイナスなのだが、本作品においても「近代戦のなんたるかを理解できない度し難い愚か者」として描かれている。
 下巻ではどのくらい無茶な失敗をしでかすのか、たいへん楽しみである。
 元々、このシリーズでは日中戦争は不発に終わっており、ビルマあたりで戦争をする必要を日本軍はあまり認めていない。1944年初頭においても、タイ国境を守るのが仕事という感じである。
 が、アメリカやイギリスはそうは考えていなかった。
 蒋介石の国民党政府は共産党にじりじりと押されており、そのてこ入れを行うため、ビルマから延々と道路を中国へと延ばしているのが偵察機によって発見される。
 それどころか、この道路を使って物資を中国に送り、そこにB−29の基地を作ろうとまで画策してるっぽいのである。
 シリーズの前の方でウラジオストックからの本土爆撃をレーダーと連動した防空指揮によって迎撃しているから、B−29が相手でもそう簡単にはやられないだろうが、中国沿岸部に航空基地を作られて航路を封鎖されては日本は負けである。
 それにしても、登場する兵器は仮装巡洋艦、イ号潜水艦がまだ真っ当な方で、百式司令部偵察機、零式小型水上機、零式観測機……って偵察機ばかりやんかっ。
 意地でも派手な戦闘シーンは書きたくないのでしょうか、谷甲州先生。
 なお、百式は高度1万mを飛行する時に搭乗員が酸素瓶で酸素分圧をあげているのだが、それでも高度6千メートルなみの酸素しかないので頭がぼんやり、下手をすると意識混濁というぎりちょんぶりが丁寧に描かれている。
 これは気密コクピットへの伏線であろうか。
 なんにしても下巻が早く出て欲しい作品である。

10月07日

 夜、空を見上げるとおぼろ月。
 近くにあるはずだが、さすがに火星は見えぬ。
 そして窓の外には虫の声。もうそういう季節である。

■本日の読書:『剣客商売6 新妻』池波正太郎
 本作品のヒロインの佐々木三冬は、男装の女剣士である。
 主人公である秋山小兵衛の息子、大治郎に懸想していたのであるが、この巻においてめでたく結ばれる事になる。
 男装の女剣士というと古くからの定番アイテムであるし、それが男と結ばれるとなると『リボンの騎士』もかくやのいろいろなうれしはずかしエピソードがあるに違いないと考えるあなたは、この作品を甘くみている。
 もっと血なまぐさいに決まっているではないか。
 まず、三冬が背中を斬られて深手を負った女と出会う。そしていまわの際にアイテムを託される。
 そのアイテムを調べるとご禁制の品が。なんと相手は抜け荷をやっている密輸組織だったのである。
 秘密の漏洩を恐れる密輸組織は三冬を捕らえようとする。その時に、密輸組織だけあって江戸時代だというのに、薬品をしみこませた布で口を覆って気絶させるというハイカラぶりを見せる。
 なぜに殺さずに捕まえたかというと、実は冒頭で殺された女は幕府の隠密、つまりスパイだったのである。三冬もその仲間だと思われたのだ。地下牢に閉じこめて拷問の準備も万全である。
 一方で三冬をさらわれた大治郎は八方手を尽くして捜索を行うが、何しろ相手が相手なので奉行所の、つまり警察の仕事ではなく、公儀隠密、すなわち公安の仕事となっている。連中が人助けなどするはずもない
 そこで、三冬が捕らえられた密輸組織のアジトを突きとめた大治郎はすぐさま中に潜入し、適当に見つけた奴から順番に殴り倒して尋問をはじめるがらちがあかない。
 三冬の身を案じるあまり理性があっちにいっちゃってる大治郎、事もあろうに敵のアジトに火をつけると、その後は混乱に乗じて刀を抜きはなって部屋から部屋へと三冬を探し回り、その一方で邪魔する奴を片端から斬りまくる
 しかし、ダンジョンは巧妙に隠されていたのでアジトが全焼しても三冬は見つからない。その後で遺体捜索をしていた奉行所の連中がダンジョンへの入り口を見つけて奇跡的に無事だった三冬を救出する。いや、無事だったからいいようなものの、一歩間違えると思い人の手で焼き殺されるところである。
 なんかこう書くとむちゃくちゃ頭が悪い展開のように見えてしまうのだが、困ったことにこれが面白いのだ。
 おそるべし、池波正太郎。

10月08日

 「つるちゃんのプラネタリウム」というソフトがあって、これが実によくできたプラネタリウムのソフトなのである。
 対抗してソフトを考案してみた。誰か作ってみないだろうか。
 「ぺたちゃんのプラナリア」
 このソフトはスクリーンセイバーの一種である。だが、普通のスクリーンセイバーと違って、作業中も常時起動している。どういうものかというと、プラナリアが画面上を泳いでいるのである。
 邪魔であるため、マウスカーソルがこのプラナリアにぶつかる事もあるだろう。そうするとプラナリアはマウスカーソルによって抉られ、斬られてしまう。
 しかしそこはプラナリア。抉られても斬られても再生し、二つに斬ったら最終的には二匹になるのである。
 こうして、最初は一匹だったプラナリアがしだいにその数を増やし、中には奇形になったのもあったりして、そういうのが画面一杯にうじゃうじゃうじゃうじゃ蠢いているということになるのである。
 一度使ったら二度と使わない悪魔のソフトになると思うのだがいかに。

10月09日

 だるい。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史109 繁栄の町・貧困の町』
 19世紀ともなると、世界の各地に植民都市が誕生する。そこはまさに光と闇が混在する場所であったのだ。

●19世紀後半の世界
▼アメリカ・オセアニア
 反黒人団体クー・クラックス・クラン結成される。
 列車強盗第一号が発生する。
 合衆国で大陸横断鉄道が完成。直通列車も運行される。
 薬剤師のカレブ・ブラダム、ペプシ・コーラを製造する。
▼ヨーロッパ
 ロンドンで世界初の万国博覧会が開催。
 パリで世界最初の本格的百貨店ボン・マルシェが開店。
 ロンドンに世界初の地下鉄が開通。
 ドイツのマンハイムで、世界初のガソリン自動車が走行。
 スコットランドの『獣医』ダンロップ、自動車の空気タイヤの特許を取得。
 ロンドンで『切り裂きジャック』事件発生。
 パリ−リヨン間で世界初の国際自動車レース。
▼西アジア・アフリカ
 スエズ運河開通。工事人夫に駆り出されたエジプト農民の死者は計12万人とも。
 西アフリカの通貨タカラガイ、インド洋産のタカラガイが大量に輸入される事でインフレーションを起こす。
▼中国
 清の人口調査。4億3216万4047人。どひゃひゃー。
 日本から上海に人力車が入る。この文化は東南アジアにも広がり、シンガポールの人力車の写真が掲載されている。
 清国とアメリカ間で中国人移民制限条約。
 上海のパブリック・ガーデンに「犬と中国人入るべからず」の看板が。怒るよなー。これは。
▼朝鮮・日本
 横浜に牛鍋屋の先駆け。はて? 「先駆け」って、どういう意味かな。牛鍋だが牛ではなく豚だとか。それはないか。
 江戸で洋服裁縫業がはじまる。
 日本にパリから初めてバリカンがもたらされる。おおっ。丸坊主に。
 桜井女学校内に日本初の看護婦養成所ができる。
 日本人娼婦が中国。東南アジア方面へと進出。上海だけで600人。おそらく、日本人ヤクザかなんかが連れ込んだんだろうなぁ。
 三井呉服店、座売りをやめて新式の陳列方式をとる。

●湖岸の摩天楼シカゴ
 シカゴ。……といえばギャングを思い浮かべるのは映画に毒されているのか。
 ともあれ、この町の名前の由来であるが、なんでもインディアンな人の言語らしい。どれどれ……「野生のタマネギ」「スカンク」「刺激的な臭い」……町の名前としてはなかなかのモノではないか。
 シカゴ発展のきっかけとなったのは、運河によって中西部諸州の農産物の集積地としての役割を担うことになったからである。その後も鉄道網の要となり、発展を続ける。
 1871年に大火事で被害を被るも、その後の再建によって摩天楼を築き上げるなど、まあ、いい調子にいっている町というのはこんなものであろう。
 その後は、労働運動などで争乱が起こる。「ヘイマーケット虐殺事件」では、集会の解散を求める警官隊の真ん中で爆弾が爆発し、警官も発砲。双方あわせて14人の死者。

●上海の天国と地獄
 私などには香港は現実の町だが、上海、『魔都』上海は、何か幻想の町としてのイメージがある。もちろん、今日の上海は巨大都市ではあっても『魔都』ではない。
 そうであったのは19世紀から20世紀半ばにかけてである。
 1937年、日中戦争の勃発によって上海は楽園ではなく日本軍の占領地帯の中に浮かぶ町となる。その後、日本が降伏すると国民党政府が全上海を接収するが、それも長い話ではなく1949年、中国大陸は共産党によって支配されるのである。

●イスタンブルの商人往来
 かつて東ローマ帝国の首都、ビザンティンであった頃から、この町は商業の町であった。
 黒海と地中海を結び、ヨーロッパとアジアを結ぶここは要衝の地といって良い。コンスタンチン大帝はここを都とし、滅び行くローマ帝国の延命をはかったのである。
 その後、この地を支配したムスリムは自分たちがあまり商売向きの人間でないことをよく理解していて、イスタンブルの商売は多くアルメニア人、ギリシア人によって牛耳られていたのである。
 だが、しだいにムスリム系の商人たちが力を付けてくると、アルメニア商人達との間に軋轢も生じた。そしてイスタンブルは名実共にトルコ人の町となるのである。

●近代中国の犯罪と日常
 世界のどこにでもいる海賊は、むろんのこと中国にもいた。ただ呼び名は海賊ではなく海盗であったが。中には“海盗皇后”を首魁とする組織もあったという。
 密輸の世界では奇妙な符号がよく使われる。阿片の密売は“セリング・ティー(茶売買)”で人間の取引は“セリング・ピッグ”=「猪仔売買」と呼ばれた。これは最初苦力の輸出であったが、後に女を売るようにもなった。「猪花」売買である。
 後に阿片貿易は関税がかけられ合法化する。その時の名前は「洋薬」である。どことなく最後のイヤミのように感じる。
 中国というとやはり秘密結社であろう。清国においては大別すると、『青幇』と『紅幇』の二系統に分かれる。
 『青幇』は東部の大運河地帯などに勢力をもっていた。密貿易によって利益を得て、数を増やした。
 『紅幇』は長江流域に地盤を持っていた。移民社会で圧倒的な勢力をもっていた「天地会」などが一つにまとまり、海外にも分派が広がった。
 犯罪と反政府活動は仲がよろしい。どちらも当局からは弾圧される傾向にあるからである。孫文なども、「南洋は革命の策源地であり、華僑は革命の母である」と言っている。あ、いや、華僑が犯罪組織というわけではない。念のため。

10月10日

 友人のW君のところでアニメ版の月姫の第1話を見る。
 
 評価:びみょ〜

 斬って捨てるほどには悪くないのだが、ではだからといって誉められた出来かというとそうでもなく。
 とりあえず次回を見て判断しましょうか。

■本日の読書:『涼宮ハルヒの溜息』谷川流
 そういえば大学時代に谷川岳に登った事がある。もちろん冬ではなく夏である。まあどうでもよい事であるが。
 さて、本作品はどういうものかというとあれだ、藤子F不二雄さんの作品なんかでもある、「思った事がその通りになってしまうのだが本人にはその自覚はない」能力者の話である。
 へたな事を考えられると現実が崩壊してしまうので、周囲を宇宙人とか未来人とか超能力者がかためて、ご機嫌をとってなだめすかす必要があるわけで。まあそういうドタバタを楽しむ話である。

 問題はだな。

 そのドタバタがちっとも楽しくないという事だ。むしろうんざりする。
 結果としてハルヒ(その空想具現化能力保持者のヒロインだ)の性格の悪さだけがクローズアップして、読者としては主人公にこの女に現実というものを教えてやれという気分になる。
 現実がイヤなら現実の方を変える、というのではロクな人間にならんぞ。

10月11日

 広島では一週遅れの『機動戦士ガンダムSEED』がようやく、ようやっと、なんとかかんとか、先週終わり……あれって終わったんだよな? 今週からは『鋼の錬金術師』である。
 原作ファンとして第一話はきちんと見る。

 評価:まあこんなもんであろう。

 とりあえず第二話もちゃんと見ようかね。

■本日の『太平洋戦記2』:双発戦闘機の意外な使い道

 1943年1月。中国。

 300機の屠龍が頭上を埋め尽くす。
 中国軍兵士は掩体壕に身をひそめてがたがたと震えながら祈るが、急降下爆撃機が壕ごと兵士を生き埋めにし、壕から逃れた者も低空を飛び回る戦闘機の機関砲でミンチにされる。

「くそっ! 味方の戦闘機はどうしたんだ!」
「そんなもんとっくに後方へ逃げたさ! おれたちは生贄だっ!」

 中国河南省、鄭州(ていしゅう)。この交通の要衝を守る中国軍兵士にとっての味方は、航空機が飛べない悪天候だけであった。

「えげつない戦いやの〜」
「急降下爆撃機で掩体壕を破壊し、逃げ出したところを戦闘機で殲滅する。たいへん理にかなっていると思いますが?」
「いや、味方の兵士の損害がないのはええことじゃが。それにしても一方的な空襲にはなにかものすごく罪悪感を感じるのだが」
「ここまでもっていくまでに、こちらも数百機の損害を出しています。それとも史実通り、大陸での戦いには毒ガスを使用しましょうか?」
「わかったわかった。しかし、対B−17用に開発した屠龍に意外な使い道があったな」

 戦車の上面装甲も撃ち抜く37mm機関砲は、対地攻撃において遺憾なくその真価を発揮していた。

「次期主力のキ−102襲撃機も量産体制に入っています」
「はあん、それはつまりあれか、実際には量産されなかった機体か。型式番号だけで名前がないのも気の毒だな。じゃあ『旗龍』とでも名付けようか」
「了解です。それと、三式戦車の量産に目処がつきました」
「ようやくか」
「というか、むしろ戦車の運搬に目処がついたと言うべきでしょうか」

 開戦当初から保有している戦車運搬可能な揚陸艦2隻に、追加で建造された2隻が加わり、これで100両単位の戦車を一度に輸送する事が可能になったのである。

「戦車旅団の第一陣はシンガポールに向かっています。シンガポールから北上してマレー半島、そしてタイ領を奪還する予定です」
「結局タイはまたまた取られたからなぁ」
「シンガポールとパレンバンの確保が第一ですから。あんな資源もない国に同盟国面されても物資援助で貴重な船腹を取られるのがオチです」
「同盟国といえばドイツはどうしてる、ドイツは。1943年というとスターリングラードで第6軍が降伏している頃だが」
「はい。史実通り、敗戦へとひた走っているようです」
「つるかめつるかめ。ドイツが降伏したらソ連のスチームローラーはこっちを向くぞ。援助せんでええんかいの」
「またイ号潜水艦でも送りますか。前回は歩兵用のタ弾(成形炸薬弾)やUボート設計図などの技術援助をしてくれましたから」
「潜水艦か……まあ、太平洋ではあまり使い道もないしな。そういや、アメリカ太平洋艦隊はどうしている?」
「例の空母6隻の機動部隊と戦艦13隻の主力艦隊がトラックに来ましたが……」
「が?」
「空襲で上陸部隊を載せた輸送船を沈めたので帰っていきました
「わーっはっはっは。愉快よのぉ」
「しかし艦砲射撃でトラック環礁は焼け野原。空襲に向かった一式陸上攻撃機は7割を失いました」
「……笑い事じゃないな。どうするよ?」
「残った一式陸上攻撃機はどうせ標的になるだけですので本土に戻しました。代わりに新型攻撃機、銀河を生産して前線に配備しています」
「使えるのか?」
「さて、こればかりは実戦を経験してみませんと。それより銀河の護衛です。零戦21型では早晩旧式化します。かといって陸軍の双発戦闘機では」
「航続距離が足りない」
「はい。どうしても足の長い機体を開発しませんと。とりあえず零戦を改良して52型を……」
「烈風」
「は?」
「烈風がいい」
「……またですか。ですが今回はまかりませんよ。まず52型を開発しないと烈風は作れないシステムになっているんですから」
「ちっ」

 次にアメリカ太平洋艦隊が来寇するのはいつか。その時までに銀河は、烈風は間に合うのか。
 零戦52型ではどうも負けそうな気がするのだが。

10月12日

 ぷちっ。

10月13日

 朝だ。
 ……そして気がつくと、布団に倒れている私。
 パソコンの電源はつけっぱなし。アプリ動かしっぱなし。
 部屋の灯りもつけっぱなし。
 むろん、私はいつも寝る前にはアプリは終了させ、パソコンの電源はきり、部屋も消灯してから寝る。

 私にいったい何が起こったのか?

 想像するに、クスリであろう。
 私は毎食後2錠1カプセル。夕食後はこれにプラス3錠1カプセルを服用している。そして就寝前に睡眠導入剤1錠。
 合計10錠4カプセル。これでもだいぶ昔より減ったのである。
 ふだんはこれをきちんと定期的に服用しているのだが、昨日、ふと気がつくと薬を服んでいないのに気がついたのである。それも夜中に。
 これはいかんと、まとめていっぺんに服用したのである。
 自慢の知性はどうしたとか言われそうである。
 いや、私もまずいんじゃないかとは思っていたのだ。別に、飛ばした分は無視して1回分だけ服用すればいいじゃないかと理性が訴えたのをここに告白する。
 だが、好奇心の方が勝った。1日分を丸飲み。これはいったいどうなるのだろう。
 飲んでしばらくは特にこれといって何もなかった。が、一時間ぐらいしてどうも記憶がすっぱりない。
 その後すぐにダウンしたのか。
 それとも奇矯に走って夜の町を徘徊したのか。
 どこかで純白の吸血鬼を17分割したりはしてないのか。あ、眼鏡とると私は視力0.03だからそもそも町を出歩くわけにはいかんよな。

 いずれにせよここに硬く誓う。クスリのまとめ呑みはもう二度としない。
 人事不省で何やっても人生その分ソンである。覚えていないんじゃな。

 ……ああ、ジキル博士とハイド氏を読みたくなってきたぞ。

10月14日

 頭が痛い。
 クスリを一度に服用した副作用か?

10月15日

 頭痛続く。
 こらどうにもならん。

10月16日

 もうだめじゃー

10月17日

 体力、精神力ともにだいぶ底を打った感じがあり、少しもちなおしてきたか。
 軽いのいこうね、軽いの。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史114 旅行者と通信社』
 いよいよ旅が民衆の物となった時代である。RPGを遊ぶ人間にとっても実に役立つであろう。

●19世紀の世界
▼アメリカ・オセアニア
 探検家がオーストラリア大陸横断に成功。
 メルヴィル「白鯨」を発表。私は中学生で読んだがホモくさい雰囲気も味わいがあってよかった。
 アメリカ、10セントペーパーバッグが大流行。こうして虚構が真実になるのだ。
 マーク・トゥエインの「トム・ソーヤの冒険」が刊行。正直に言おう。読んでないし、アニメも見ていない。
 ドヴォルザーグの第9番「新世界より」ニューヨークで初演。
▼ヨーロッパ
 ベートーヴェンとかゲーテとかがいろいろやってる。わしは高尚なのは苦手なのじゃ。
 ベートーヴェン、「交響曲第9番」作曲。例外的に、わしはこれが好きである。曲が好きなのではない。歌が好きなのだ。
 大デュマ、「モンテ・クリスト伯」「三銃士」の新連載開始。
 ロンドンで初の万国博覧会。鉄と硝子で天蓋を覆った水晶宮は後々SF作家の心をくすぐらせることに。
 ミレー画「落ち穂拾い」絵はとんと分からぬのだが。これはいい。
 トルストイ「戦争と平和」、ドストエフスキー「罪と罰」、マルクス「資本論」、その他ぞろぞろ。
 こけの一念、シュリーマン、トロイアの遺跡を発掘する。こいつの脳味噌をかちわって中身を調べてみたい人は大勢いるだろう。なんかやばい脳内麻薬が出てたんじゃなかろうな。
 ニーチェ「ツァラトゥストラはかく語った」。向学心に燃える高校の時に読み、二度と哲学に手を触れないと決意した本。
 パリで浮世絵展。日本のものはいいものだ〜。そういや、マ・クベは浮世絵は集めてなかったのだろうか。
▼南アジア・東南アジア
 三国志演義、タイで翻訳。「サームコック」。さーむこっく、さーむこっく。うむ。なんか近しい感じが。
 ジャワ、ボゴール植物園開設。ヨーロッパの博物学者が出資したのかしら。なんにせよ、良いことである。
 シンガポール植物園開設。これは間違いなくイギリス人の造ったものだろう。
 フランス人博物学者、アンコール・ワットに立ち入り、ヨーロッパに紹介。地元の人はどうしてたのだろう。
▼中国
 なんというか過去の文書の編纂が目につく。悪い傾向だとは思わないのだが、ヨーロッパが虎視眈々と狙っている中で他にすることはなかったのかどうか疑問。
 イギリスの宣教師、「中国語辞典」を編纂。
 中国最初の留学生、渡米。こういう動きもあるにはあったのだ。
 清の庭園がイギリス・フランス軍によって破壊される。蛮族はこれだから。
 上海で初の外国映画上映。中国人による最初の雑誌が刊行。
▼朝鮮・日本
 十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」刊行。
 滝沢馬琴の読本「南総里見八犬伝」の刊行はじまる。
 杉田玄白「蘭学事始」を著す。
 伊能忠敬「大日本沿海輿地全図」を幕府に提出。
 歌舞伎台本「東海道四谷怪談」が完成。
 江戸に洋学所が設けられ、洋学研究と翻訳が行われる。
 札幌農学校が開かれる。「少年よ大志を抱け」である。

●団体なら安くなる
 トマス・クックという男がいる。とにかくベンチャーな事にかけては人一倍の馬力を持っていた。
 彼が目指したのは、団体旅行による、旅行の大衆化である。
 この頃になると、労働者はひたすらムチもって働かせればいいというもんではなくなった。適度に休ませてやり、リフレッシュさせてこそ労働意欲もわこうというものである。働けど働けど楽にならないのであれば手を抜くわな。
 でもって、クックは当時はハイカラであった鉄道の団体割引チケットを使って慰問旅行としゃれこんだのである。一方で貴族の庭園やコレクションを一般公開させるという観光資源の開発にもこれつとめた。
 この時代の宣伝用のチラシがいかす。巨大な羽根で空を悠然と飛ぶ熱気球や、すぐそこで火山が大噴火して溶岩が流れている場面や、硝子製のつりがねを海底に沈めて深海探検という……いや、これ、どう見てもウソやろうというのが堂々と一枚絵になっている。素晴らしい。
 なお、安くあげるというのは至上命題であるから、中には「月光の旅」というツアーもあった。つまり無蓋車に乗って、夜はそのまま満天の星空(ならいいが雨が降ったらどうする)の下で一夜を過ごすというものである。
 さらに、クックはクーポンにも手を出した。いわゆる宿泊券と食事券がセットになったホテル・クーポンで、クック商会の特約ホテルであればどこでも通用した。これにより、不慣れな外国語を使ったり、めんどうな両替などもなく、心おきなく旅が楽しめるというものである。
 これはやがて旅行小切手(トラベラーズ・チェック)へと変わっていく。

●海辺のにぎわい
 階級社会であるイギリスにおいては、同じ階級、なかんずく上流階級の紳士淑女というのは特別な場所で特別な出会いをするものである。
 18世紀には、バースやタンブリッジウェルズなどの温泉・鉱泉地(スパー)にリゾートが誕生した。
 19世紀になると、社交都市は海辺のリゾートへと変わる。イギリス人はどういうわけかこういう事に心骨を注ぐもののようでロイヤル・パヴィリオンとか、かなりまぁ、今の目ではどうかと思うような物を造るのである。
 そしてまた19世紀末になると、一般の行楽客の日帰りリゾートへとまあ姿を変えていくわけである。機関車万歳。文明開化万歳。
 しかし、イギリス紳士は負けてはいない。ついには大陸を渡り、フランスへと向かうのである。
 まだひなびた漁村にすぎなかったカンヌは、イギリスの政治家ブルアム卿が毎年冬になると滞在したことで一躍有名になったのである。他にもニース、イタリアのサン・レモなどがイギリス紳士のお気に入りであった。
 で、それがどうなったかというと、まあ、そういうことだ。

●絵はがき、写真帳にみる世界
 一枚の写真がある。オランダの海岸リゾートである。19世紀〜20世紀初頭であろうか。
 私は、最初にコレを見た時、どこのよその惑星かと思った。
 海岸は海岸である。砂浜に、大勢の人がいる。が、そこに置かれたあるアイテムが異様なまでのシュールさをかもしだしているのである。
 かごで編んだ円筒形を、縦に半分に切ったものを想像して欲しい。高さは人の顔ぐらい。中には椅子があり、人が一人座ることができる。
 なんのことはない、ただの日よけである。日よけである、の、だが。
 これがびっちり、砂浜に何百とある光景は、もう、異世界のワンシーンである。
 いや人間ってあなどれないなー。

●大衆新聞の誕生
 18世紀の新聞は部数も1000部単位であり、中身も経済や海外ニュースが中心で、投資家を相手にしていた新聞であった事は明らかである。
 これが大衆化するにあたっては、まず、挿し絵という目に直接訴えかける物が必要であった。さらに値段も安くし、かつ読者が欲しい情報を提供しなくてはならなかった。
 すなわち、株式がどうとか海外情勢がどうとかではなく殺人報道である。これもまた、当然ながら普通の殺人よりは猟奇殺人の方が好まれたのは言うまでもない。
 かくして大衆新聞はマスメディアとしてしっかりと根をおろしたのである。

10月18日

 この秋のアニメで『ガンスリンガー・ガール』が放映されたというのだが、まだ見ていない。
 原作を見ておらず、アニメの方を見た友人が、ぶーぶー文句を言うので笑って聞いてやる。
 彼に言わせると、この作品はウソ臭さで満ちているというのだ。

「考えてもみてください。子供を洗脳してサイボーグにして暗殺に使うメリットと、それが人々にばれた時のデメリットのどっちが大きいと思いますか。政府が総辞職するぐらいじゃすみませんよ。へたをするとイタリアという国そのものが揺らぎます。EUから除名されるだけじゃすみませんて」

 昨今は子供の人権に関しちゃ、うるさいからねぇ。
 しかしまあ、この作品に関しては、

   ・イタリアの町並みを使いたかった
   ・イタリアの銃を描きたかった ※これは間違い(10/19)
   ・いたいけな女の子に銃を使わせたかった
   ・救いのない話を書きたかった

 なので、私としては文句はないのであるが。
 つじつまなんぞ、ほっといても後からついて来るものである。
 アニメの方は知らないが、原作の第一話ではちゃんとローアングルからヘンリエッタのスカートの中も描いてあるし。
 世の中、変態と凝り性の境目がなくなりつつあるなぁ。

10月19日

 「太平洋戦記2」のバージョンアップをしたところ、何がまずかったのか、それまでのセーブデータをロードしても遊べなくなる。
 1943年の3月までのわしの苦労が〜〜〜〜〜
 どうも最近、星の巡り合わせがよろしくない。
 まあ、あのまま戦っていても負けていたような気もしないでもないが。

■本日の読書:「灼眼のシャナ III、IV」高橋弥七郎
 思うのだが。
 シリーズを長く続けるつもりなら、ローマ数字はやめた方がいい。なんとなればわかりにくい。銀河英雄伝説も6巻以降はアラビア数字だったぞ。そういやあれはイラストも途中で変わっていたな。
 ああいや、『ローマ人の物語』(塩野七生)はローマ数字でいいんだ。なんといってもローマ人の物語だからな。ローマつながりということで。
 さて、1巻、2巻となんかこー、歯切れが悪くも1冊ずつで話がまとまっていた本シリーズも、3巻からはいよいよ引き延ばしにかかり、1冊で終わってねぇ。3、4で1つの話になっている。
 しかも、悪役レギュラーらしきおっちゃんやら悪役組織やらが背後に見え隠れしてきて。
 風呂敷が広がってきたといえば聞こえはいいが、どうにも木に竹をついだ印象は否めない。
 一方で肝心要の主人公とヒロインの心の交流は初々しくも着実に進展しているようである。恋敵との戦闘の方が悪役との戦闘よりもよっぽど面白いのはこういう作品として正しいのかそうでないのか。
 さて、続きを読むべきかこのへんで切り上げるべきか。かなり微妙なラインである。

☆訂正:昨日の日記において、ガンスリンガー・ガールではイタリアの銃〜と書いたが、調べたところ、作品中で現用銃は使われているが必ずしもイタリアのベレッタではない事が判明。
 参照:ガンスリンガー・ガールの使用銃一覧

10月20日

 朝から胃液をはく。
 量は少ないのだが、たいへん気持ちが悪い。
 喉が焼ける。胃液が酸である事がよくわかる。
 ちょっと調子がよくなったと思っていたとたんにこれである。
 そういえば、以前に肝臓の検査があった後で、医者から

「肝臓の数値が悪いので、薬を処方しましょう」

 とか言われたのを思い出す。
 ……そういや処方されてないな、薬。
 まあそうでなくとも飲み過ぎな気がするので副作用があるようならちょいと考えるが。
 ともかく元気になったら病院へ行こう。(語義的に何かおかしいな)

10月21日

 ぐったり

10月22日

 少し元気になる。

■本日の読書:『朝日百科世界の歴史119 車と家電製品のある暮らし』
 ついに20世紀に到達である。いやー、人間の歩みっておもしろい。

●20世紀前半の世界
▼アメリカ・オセアニア
 1904年、セントルイス万博で、ドイツ移民の販売するハンバーグが好評。そうハンバーグはドイツなのだ。
 1912年、連邦政府職員、1日8時間労働に。当時の民間平均は10〜12時間だったのだ。
 1920年、合衆国で世界初のラジオ放送局が開局。
 同じ年に合衆国で禁酒法。どうかしてる。
 1930年、世界初のスチュワーデス登場。
 1938年、初のナイロン製品は……歯ブラシだった。
 1940年、ナイロン・ストッキングの発売開始。
 1942年、合衆国でガソリン、コーヒーの配給制度。翌年は靴とチーズも。戦争はこの豊かな国にもきっちり影響を与えているのである。
 1945年、砂糖をのぞいて全食品の配給制度が撤廃される。戦争は終わったのだー。
▼ヨーロッパ
 1901年、この頃のバクー油田(ロシアだ)は全世界の原油の半分を生産していた。
 1902年、フランス人、ブラジャーを考案。
 1918年、全世界でスペイン風邪が大流行。死者総計は2164万人。インフルエンザおそるべし。
 1923年、レーニン、アルハンゲリスク北西のソロベツキー諸島……つまりまぁあれだ。僻地にソ連初の強制労働収容所を設置。
▼西アジア・アフリカ
 1902年、ナイル川にアスワン・ダム建設。
 1929年、エルサレムの「嘆きの壁」をめぐって、アラブ人がユダヤ人を襲撃する。因果はぐるぐる。千年後もまだやってるんじゃないかと。
▼南アジア・東南アジア
 1907年、ハノイに福沢諭吉の慶應義塾にならって「東京義塾(ドンギン・ギマドック)」設立。
 1937年、タガログ語がフィリピンの国語に指定される。
 1943年、日本が「南方特別留学生」制度により、東南アジアの優秀な青年を日本に留学させる。なんかそれらしい事もやろうとはしていたのだ。
▼中国
 1902年、纏足禁止。まだやっとったんかい。
 1905年、科挙廃止。まだやっていたのである。
▼朝鮮・日本
 1903年、浅草に常設映画館、その名も『電気館』がオープンする。
 1911年、この頃からレコード・蓄音機が普及する。
 1914年、『読売新聞』に婦人欄。身の上相談とかはじまる。
 1918年、交通事故が増加し、交通専務巡査に100人を配置。……とゆーか、100人?!
 1927年、三越のファッションショー開催。
 1930年、銀座に濃厚サービスのカフェが進出。なんだ、その濃厚とかゆーのは。特濃牛乳?
 1942年、味噌、醤油、塩、ガス使用などなどが配給に。
 1945年、東京の人口は前年比30%に激減。戦争より何より、食い物がなかったのだろうなぁ。

●輝くアメリカ的生活
 20世紀といえばそりゃもうアメリカの時代である。女性のファッションは男のようになり、ダンス・ホールには「コルセット預かり所」ができ、そのうちそもそもコルセットがなくなってしまう。
 洗濯機が、電気冷蔵庫が、総菜屋やパン屋が、女性を家事から解放する。そして女性は社会に進出していくのだ。
 消費は美徳となり、たとえば1926年アメリカ銀行協会は自動車は現金で一括払いするもんだと言って、分割払いのための融資をしないように勧告を出して……10年もしないうちに分割払いのクレジットサービスを競うようになる。
 そして世の中はやかましくなる。物理的にも心理的にもそうだ。レコードとラジオが、「音」を、どこにでも持ち込むようになったのである。1927年シカゴのデンプシー対ダニーのヘビー級ボクシングの試合中継では全米で4000万人もの人がラジオにかじりついたという。
 そして映画の登場。1919年には815本もの映画が封切られる。毎週のように人々は新作映画を見るために映画館に足を向けたのだ。イギリスからチャップリンが来たのもこの頃である。

●欲望の全面開放へ
 1925年、1冊の本が大ベストセラーになった。『誰も知らない男』ブルース・バートン著。この著作ではイエスを偉大なビジネスマンとみなし、「業界の底辺から12人の男を拾い上げ、彼らをきたえ、世界を制覇する組織に仕立てた」と書いたのである。他にもイエスの宣伝広告の手腕を高く評価したりしている。
 こういう本が出たという事よりも、それを大衆がそのセンセーショナルな内容に喝采を送った、というのが20世紀という時代なのである。やはり「繁栄教室」のように金儲けをいかに行うかをレクチャーする(といううたい文句の)学校が大繁盛したり、世の中つまりは勝ったもんの勝ちであるという意識が強くなったのだ。
 そういう風潮を強めたのが新聞。雑誌。ラジオなどのマスコミと、そこに掲載される広告であった。
 ある防臭クリームは「女の本能が告げる」と大書きして「女の本能は、不快な汗の臭いを入念に避けなければならないと告げています」と述べ立てた。これは別になんでもよく、煙草も車も口紅もカツラもとにかく消費者の心をあおり立て、欲望を正当化してやればいいのだ。
 この風潮は加速しながら21世紀もなお続いている。はてさてどこまで突っ走るやら。

●竃の神の追放
 日本人にとって電化製品は、高度成長時代に家庭における三種の神器とまで呼ばれるほどになる。
 わけても電気炊飯器は、それがご飯という主食に関係するがゆえに、実に大きな影響を与えた。誰でもおいしく手軽にご飯が炊けるからだけではない。
 朝、勝手にご飯を炊いてくれるようになったからである。つまり、主婦は早朝から朝ご飯を作るのに起きだしてこなくてもよくなったのである。これはそれまでの倫理観を根底から揺さぶる大事件であった。
 主婦だって朝寝していい。これは日本の家庭において一つの隠れた革命であったと言えるかも知れない。

 なお、この先も延々と書いたのだが、いきなり日記が不正終了したので全部消えてしまった。書き直すのも面倒なので今日はここまで。

10月23日

 システムは安定稼働が一番である。
 よって、今日からは日記本文は秀丸エディタで書いて、それを日記アプリに貼り付けることにする。いやまぁ、秀丸のマクロでそのまま日記にしてしまえという考え方もあるだろうが、いろいろと使ってみたいではないか。

■本日の読書:『ダブルクロス・リプレイ 聖夜に鳴る鐘』菊池たけし/F.E.A.R.
 ダブルクロスにおいて、死は絶対ではない。とゆーか死ぬのはむちゃくちゃ簡単である。何しろ、肉弾戦タイプの主人公ケイト君のhpがわずかに14点である。
 14点! ドラゴンのブレスをくらったら一発で消し炭である。

 ……わかってる、ドラゴンはでてこない。少なくともルールブックにはない。

 かわりにTYPE-90、すなわち90式戦車のデータはある。こいつの120mm砲はドラゴンブレスに匹敵すると言ってもいいだろう。ダンジョンの奥底で悪の魔法使いが乗った90式がきゅらきゅらとキャタピラの音も勇ましく登場したら後ろも見ずに逃げる事をお薦めする。90式は車高も低いので狭いダンジョンのボスキャラとしては最適なのだ。

 ……話が微妙にずれた。

 ともあれ、ダブルクロスにおいてPCは割合にあっさりと死ぬ。
 そしてあっさりと蘇る。
 復活に金を取られる事もない。このお手軽さはカント寺院の生臭坊主どもにも見習って欲しいものである。
 そのPCにとって死よりも恐ろしいのがジャーム化である。
 わかりやすく言えば「あっちの世界に行って帰ってこられなくなる」わけで、イメージとしてはクトゥルフ神話技能が高くなりすぎてSANがなくなってしまったPCを想像していただければよろしい。

 ……なに、わかりにくいだと?

 なんにせよ、そのジャーム化を防ぐのがロイスである。
 なに? 今度はロイスってなんだと?
 ああもうっ、ええっとなっ、「縁」だ。人の縁。交響曲第九番の「歓喜の歌」にもあるだろ?

 Deine Zauber binden wieder
 聖なる力によって結びつけられ
 (中略)
 Alle Menschen werden Bruder
 すべての人は兄弟となる

 だが、そのロイスを失えば? 人とのつながりが断ち切られれば?
 そうだ。たとえどんなに強くとも、そのPCは失われる。
 それはダブルクロスにおいてhpを失うよりもはるかに恐ろしい事なのだ。

 さて、以上の事が、どうこのリプレイと関係するかは──

 読んでみてのお楽しみといこうではないか。

10月24日

 いきなり寒くなる。
 いや昨日あたりから寒かったのだが。朝晩は特に冷える。
 敷き毛布を出して寒さにそなえることにする。

■本日の読書:『鋼の錬金術師 6』荒川弘
 エドとアルの過去話。そして今へと続く因縁。
 人体錬成。禁断の秘技に足を踏み入れた兄弟を待っていたのは、待ち望んでいた母親の暖かい笑顔ではなく、
 冷たい方程式による
           『等価交換』
 だった。
 肉体を失い、目標を失い、途方にくれる兄弟に道を教えたのは──
 ……なあ。
 悪ぶってるがあんたむちゃくちゃエエ人じゃないか。マスタング大佐。
 「野心家」+「いい人」には死にフラグがついている気がするので、ホークアイ中尉が心配だなー。

■本日のゲーム:Fate/Stay NIGHT体験版(TYPE-MOON)
 きのこ節炸裂ーっ。
 体験版はオープニングだけ。
 それも主人公ではなくてヒロインの一人による、サブの視点。
 主人公に関する描写は、意図的に体験版からは削除されてるし。
 しかしそれでも、圧倒的なまでの『読め読め読め』パワーッ!
 いやあ、おそるべし。月姫。あ、ちがった聖杯戦争。
 むろん、音楽はなんかやっぱダメだとか。
 背景だけ突出して金と技術が注ぎ込まれているので、月姫と同じ立ちグラだとなんともいえぬ違和感がとか。
 凛ちゃんが配役を変えた秋葉と同じ俳優の子にしか見えないとか。だってグラフィックはともかく脳内音声まで同じ声(CV)なのですよ?
 いろいろと不安材料はあるのだが、こいつは買わないと損だあーっ。
 製品版は来年の一月とかいう話である。

10月25日

 日中は暖かい。

■本日の読書:『ガンダムと第二次世界大戦』鈴木ドイツ
 〜かくして、ジオン軍、ドイツ軍は戦い、敗れた〜
 というわけで、いわゆるガンダム関連商品である。内容についてはまあガンダムマニアにとってはいまさら新しい物ではなく、ガンダムのジオン軍とドイツ軍の関連づけをしてみましょうかねー、という作品である。
 買って損をしたとまでは言わないが、とっとこうというほどの資料価値もなし。
 しかし、本作においてIII号戦車がザクと相関にあるというのは良しとして、グフをIV号として扱うのはいかがなものか、と言わざるを得ない。たしかにTVではランバ・ラル以降、けっこうグフが出る場面があったがIV号に匹敵する使われ方をしたかというとどうだろうと思わざるをえない。
 ザクこそはジオンのバックボーンであり、あえてドイツ戦車と相関させるのであれば、III号とIV号をまとめてザク・シリーズとしてくくるのが妥当と思われる。
 ではグフは何になるかというと、グフの設計思想は対MS戦闘重視にあるのではないかと思う。すなわち、やがて連邦が繰りだしてくるであろうMSと戦えるようにグフを設計したわけで、私としてはIII号突撃砲という説をとりたい。
 なおドム/リック・ドムをVI号ティーガーゲルググをV号パンテルというのには異存はない。
 だが、ジオン軍の水陸両用MSについてドイツ軍と相関させるのを作者が諦めているのはおおいに不満が残る。私にもどう関連づけるかいい案はないが、むしろそれゆえにこそ、論理のアクロバットを駆使してドイツ軍と水陸両用MSを結びつけるというのがプロの仕事という物ではないだろうか。
 連邦軍の側ではガンダムをソ連のT−34戦車と結びつけるのは良い着眼点だと思う。「T−34ショック」はドイツ軍の戦車開発に大きな影響を与えている。ガンダムの戦果が異常なのはアムロがパイロットだからであって、セイラさんではさんざんな目にあっている。
 ジムがM4シャーマン戦車というのも妥当であろう。とびぬけた生産数、優れた品質とどこをとっても平均点な性能のM4はジムに相応しい。ボールがM8自走榴弾砲というのもいい。SU-76対戦車自走砲という案もあるとは思うが。
 なお、ビグザムを陸上戦艦ラーテと結ぶのはこれは私の予想外であった。後、ジオングを名前つながりで戦艦ドイッチュラントというのもなかなか味があっていい。

10月26日

 新そばのシーズンということで、トレーニングの後、先輩と「やぶ」でそばをすする。
 ずるずる。
 そこでちらしをもらったのだが、「新そばを囲む会」のご案内ということで、新そばざる盛りをおかわり自由というのだが。そばは腹一杯食うのが幸せなのかどうなのか。
 ちょっとびみょー。

■本日の読書:『いつでもどこでも忍2ニンジャ 3』阿智太郎
 副題が「日本の夏、血桜の夏」ということで実におろかしくてグッド。内容もばかばかしくてよろしい。
 やはり作家というのは書かねば上達せんものだなぁ。

■本日の読書:『変化の風』アイザック・アシモフ
 SF御三家といえば、アシモフ、クラーク、ハインラインである。私の脳内ではアイディアのアシモフ、サイエンスのクラーク、エンターテイナーのハインラインとして住み分けがなされているようである。ただ、ハインラインも初期はアイディア重視の作品があるし、クラークの『渇きの海』はエンターテイナーとしての傑作であると思う。
 さて、『変化の風』(こいつは短編集だ)であるが、いわゆる主人公が客を前に一人語りをして、それが進むにつれて驚愕の真実がっ! というやはりというかなんというか、アシモフらしい作品である。むろんオチはきっちりしている。
 なお、この本に収録されている『美食の哀しみ』は私が十八番としているRPGのシナリオネタである。どういうものかは読んで確認すべし。原題のGood Tasteという響きも好きなのだ。

10月27日

 ふと見ると、すっかり街路樹も色づいている。ああもうそういう季節なのだなぁ。

■本日の読書:『SFワンダーランド』スタジオぬえ
 いわゆる小さなポケットサイズの、「豆だぬきの本」である。
 むかーしむかし、私の蔵書の一冊であったのであるが、なんでも捨てる性格が災いして捨ててしまい、このたび、古本屋で買いなおした。
 元の値段350円。(1978年初版)
 古本屋での値段1500円也。
 あ、この巻末で紹介されてる「スーパーウェポン」という本の内容にすごい興味がわいてきた。

10月28日

 頭が痛い。
 しくしくと真綿で締め上げるように痛い。

10月29日

 でろでろ。

■本日の夢:カバ
 水田を走るカバ。
 カバの下顎は前にせりだし、刃のように鋭く稲穂を刈る。
 それを口で受けたカバはもしゃもしゃとコンバインのごとく穂の部分だけを食べて。
 残りを左右にぺっぺと吐き出す。
 そして水田を走るのである。
 どこまでも続く黄金色の風景。
 どこまでも走り続けるカバ。

■本日の夢:アルスラーンの時代
 アルスラーン戦記から数百年の後。
 西方のどっかの国の歴史家が、パルスの歴史を研究している。
「このアルスラーンという王を知っているかね」
 遊びにきた若者に歴史家は手ずから紅茶をいれながら問う。
「ああ、リチャード・バートン先生の著作ですね」
(それは千夜一夜物語だ)とツッコみながら夢をみている私。
「いかにもあのあたりの住人が好きそうな法螺話ではありませんか」
「いやそれがそうとも言い切れないのだ」
「といいますと?」
「アルスラーンが先王の血をひいていないのは事実だろう。むろん、平民とかいうのはウソだろうがね。私はむしろアルスラーン王の治世で起きたザッハークの乱に注目している」
「蛇の王様ですか。ばかばかしい」
 若者がそう言う。歴史家は紅茶に砂糖を入れる。
「や、すいません」
「なに、最近は砂糖もとんと安くなった。南方の農園経営がうまくいっているおかげだな」
「値段は下がるわ、関税はかかるわ、黒んぼどもはすぐ怠けるとかで、私の知っている農園主はぶうぶう言っていますよ」
「そういう時代の流れなのだろうよ。さて、このアルスラーン王だが、私はザッハークの一族の、すなわちパロス旧王朝の一族の出だとふんでいる」
「ははぁ」
「おそらくは、王朝が交代したあとも名家として扱われていたのだろうな」
「なるほど。しかしそうするとザッハークの乱というのは身内同士の争いとなりますが」
「だからこそだよ。身内で権力闘争ともなれば醜聞だ。いろいろと表沙汰にしたくない事もあるだろう。そこでザッハークは蛇王ということになって、絶対悪の対象として扱われたのだな」
「なるほど。解放王とかいう仰々しい名前の裏ではそういう醜い骨肉の争いがあったと」
「歴史とはそういうものだよ。紅茶をもういっぱいどうかね?」
「いただきます」

10月30日

 Fate/Stay Nightの体験版をプレイして思ったのだが、やはり一番大事なのは面白いかどうかなのだろう。
 独創的なアイディア、練り込まれた文章、優れた表現技法などなくとも、面白ければすべてオッケーなのである。
 では、誰がどのような物を、どういう風に面白いと感じるか。
 ここの見極めが重要なのだ。

■本日の音楽:「デモンベイン オリジナル・サウンド・トラック」
 長々と忘れていたがようやく取り寄せて、今聞いている。
 いや、ニトロプラスのゲームの音楽は良い。
 気分が盛り上がるというかやる気が出るというか。

10月31日

 小説におけるキャラクターの魅力というものについて考えてみよう。
 まず真っ先に思い浮かぶのは外見という視覚的に分かりやすい魅力である。美しいならそれはそれで良いし、これがアクの強い顔というのもそれはそれで味となる。
 しかし、「美しい」「怖い」だけではやはり小説としては片手落ちであろう。その美しさや怖さが演出につながらなくては読者の中にはぼんやりとした記号としての外見が残るだけである。場合によってはそれすら残らないかも知れない。
 菊池秀行の小説の主人公、ヴァンパイアハンター「D」はとてつもない美形であるが、その美しさは冷徹といってもいい態度や他人に対する無関心ぶりと結びつくことによって、はじめて意味を持つ。美しさもまた、その強さと同じく「D」が他人から隔絶した存在である事を示す記号として読者に認識されるのである。
 そして、物語のラストでしばしば「D」は生き延びた良き人に向かってかすかな微笑みを残して立ち去る。このかすかな微笑みこそが、最後の演出である。読者には「D」の微笑みなど分かりはしない。だが、非人間的なまでに超人である「D」が人との縁を結ぶ事で、何やら物語に心地よい余韻を感じる事ができるのである。

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この日記は簡単ホームページ日記で作成されました。