■銅大の読書万歳(7)
作品名:『まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます』
著者名:あさりよしとお
出版社:ノーラコミックス/株式会社学習研究社
ISBN:4−05−106222−8

 読書万歳で扱う最初の漫画である。
 それも、1巻から6巻まで出ている『まんがサイエンス』の中でもわざわざ
2巻である。
 なぜか?
 理由は簡単。
 私がロケットが大好きで。
 著者もロケットが大好きだからである。

 この本は、学研が小学生向けに発行している「科学」に連載している漫画を
まとめた物である。
 連載漫画の長所を生かして、ロケットの基礎から順に月ロケットまでが描か
れている。
 しかも、最後の最後には「ロケット好きの夢」ともいうべき代物まで飛び出
す。これが出た時、私は感動で涙が出た。

 まず冒頭の引用が泣ける。
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 わたしは、あらゆる面からこの問題を研究しました。
 そして
 砲弾を秒速1200ヤード(約11キロメートル)の速さで大砲から打ち出せば、
 その砲弾は必ず月世界に着くとわかりました。
 わたしは皆さんに、このささやかな実験を行ってみてはどうかと
 提案いたします。

 1865年発行 ジュール・ヴェルヌ「地球から月へ」より
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 この作品に登場して小学生の主人公たちにあれこれアドバイスをくれるツィ
オルコフスキーもゴダードも、オーベルトもフォン・ブラウンも。
 この本を読み、宇宙へ、月へ行ってみたいと。
 願ったのだから。

 本書の構成は以下のようになっている。

第一部:大気の外へ
「人工衛星は、なぜ落ちてこないのか」
「人工衛星の条件」
「人工衛星を飛ばすために」
「ロケットの完成」
「宇宙へ行くために」
第二部:宇宙へのとびら
「月へ行くために」
「月ロケット、サターン5型」
「月着陸!」

 漫画という視覚に分かりやすい物で表現している上、小学生向けに平易な言
葉が使われているので、実に分かりやすい。
 特に第一部は、宇宙ロケットの黎明期の人物をアドバイザーとして順々に登
場させて実験させることで「何が問題なのか」「どうすればそれをクリアでき
るのか」というのがきちんと説明されている。

 最初に登場するツィオルコフスキー先生なぞ、「わしゃ研究はしとったが…
本物のロケットは1個も作らなかったからなぁ」である。

 それでもなぜ、ツィオルコフスキー先生から登場させたか。

 男の子の主人公がようやく試行錯誤の上に作ったロケット(女の子のロケッ
トは一足先に宇宙へ行った)に乗る時に作中で次のやりとりが行われる。


「でも、本当にうまくいくのかなァ…」
「いくんじゃない?」
「…だってツィオルコフスキー先生はロケットを実際に作ったことないんでし
ょ? 無責任なこと言わないでよ!」
「でも、わしの考えたロケットは、さっき飛んだぞ?」(女の子のロケット)
「え!?」
「わしの時代…20世紀のはじめのころのロケットエンジンはまるっきりパワ
ーがなかった…それでいろいろ宇宙へ行くためのアイデアを考えておったのじ
ゃ」
 ひとつはエンジンをたばねる方法…
 そして、もうひとつは、ロケットを積み重ねる方法…
「結局、わしの生きているうちには、どちらも実現しなかったが…考え方は、
まちがってなかった」


 これである。
 これゆえにこそ、ツィオルコフスキー先生は「宇宙旅行の父」と呼ばれてい
るのである。


 さて、ここまで読んで宇宙やロケットに興味のない方はかなり辟易している
かも知れない。だが、逆にそういう方にこそ、この漫画は読んでいただきたい。
 職業作家、それもかなり人気の高い作家でさえも、この漫画に掲載してある
レベルの内容を知らないがゆえに恥をかくことがあるのだ。
 『終りなき戦い』の紹介で書いたように法螺を吹くのはかまわない。
 だが「知っていて、あえて嘘をつく」のと「知らないで嘘をつき、どうもお
かしいのでさらに嘘をつき続ける」のでは作品の質は雲泥の差となる。

 そして、宇宙やロケットについて充分な知識がある人も。
 もう一度、この本を手に取り、読んでみて欲しい。
 あなたの中の宇宙旅行への夢が、再びかきたてられる事だろう。

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