■銅大の読書万歳(58) 作品名:惑星カレスの魔女 作者:ジェイムズ・H・シュミッツ 出版:創元推理文庫 ISBN:4-488-70801-3 正直に告白しよう。 本書がかつて新潮文庫から出版された時に、購入したのは表紙のイラストが 宮崎駿さんだったからである。 しかしながら。 もしも今、私がこの本を二冊とも(そうです。同じ本と知りながら創元推理 版も買いました)なくした場合どうするか。 私は表紙がついていようがなかろうが、ためらわずに買い直すだろう。 それだけの価値が、この本にはあると思うからだ。 とはいえ。 題材がすごいっ! とか 驚天動地のどんでん返しがっ! とか 本に麻薬が仕掛けられていてつい次の頁をめくりたくなるぅ! とかいった もう、読まずにはいられない本というわけではない。 ネタは普通で。 キャラも普通で。 展開も普通で。 オチも普通である。 なるように流れていって、最後はなるようになっちゃうのである。読み手と してはただ、流されるがままにページをめくっていけばよろしい。 ただそれだけの事が、快感になるのである。 いったいどんな本なんだ、と不安に思っている諸兄のために、とりあえず、 この作品にレッテルだけでもはっておこう。 「癒し系スペースオペラ」(ぺったり) 物語は次のように始まる。 借金を返すために、商業宇宙船で商売の旅を続ける主人公のパウサート船長 は、無事、金もたまりはれて故郷へと凱旋する途中の星で。 惑星カレスの魔女(ウィッチ)と関わり合いになってしまう。 この三人の魔女、いずれも幼い少女たちであるが、それゆえに魔法の力(超 能力)の使いどころをしょっちゅう間違える。おかげでパウサート船長の生活 はしっちゃかめっちゃかにかき回される。商売の儲けもふいになる。あげく船 長は故郷の婚約者にも裏切られ、ただ一人失意の船出……とはならない。 三人の魔女の一人。10才のゴスが密航していたのである。 10才の少女というのは、おわかりいただけるかと思うが怖い物なしである。 それが10才の魔女ときた日には、地獄の閻魔大王だって避けて通るだろう。 その10才の魔女が、パウサート船長に堂々と宣言する。 これから自分がそばにいるから大丈夫だと。 どのくらいの期間いるのかというと、その答えがもうふるっている。 「わたしが結婚適齢期になる寸前までよ!」 「ああ、そりゃ、まあ……」 #男性諸君。この場合他に何が言えるかね?# 「わたしは全部決めたの」 「みんながカレスであなたに奥さんを見つけてやらなければいけない、と話を はじめたときからよ。わたしはすぐに、わたしがなるわ、って言ったの」 かくして、世の中にちょっとうといが掛け値なしに善人なパウサート船長と、 その『保護者』であるゴスによる、冒険の旅が始まるのである。 波瀾万丈、アクションシーン満載とは言わないが、レッテルで書いたように 『癒し系』であるため、安心して読む事ができる。 刺激の強い、とんがった作品ばかり読んで疲れた脳をリフレッシュさせるの に最適の一冊。 あなたの本棚にもどうだろうか。
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