■銅大の読書万歳(46) 作品名:『スポンサーから一言』 著者名:フレドリック・ブラウン 出版社:創元推理文庫SF ISBN:4-488-60504-4 SFの味わいを濃縮して感じるには短編がいい。 無駄な文章がなく。 こってりしたキャラクター造形もない。 ただひたすらに、 そしてシンプルに、 感じ取ることができるからだ。 センス・オブ・ワンダーを。 そして日本におけるその道の大家を星新一とするのであれば、 アメリカにおけるその第一人者はフレドリック・ブラウンだろう。 技巧派でありながら軽妙な語り口調。 意表をついた突飛なアイディアの数々。 驚くほどに星新一とフレドリック・ブラウンは似ている。 今回紹介する本のタイトルにもなっている短編、『スポンサーから一言』も、 星新一が書いたところでまるで違和感がない。 世界が戦争へと突入しようとしていた、そして酒場で喧嘩が、夫婦が破局を 迎えていたちょうどその時。 それぞれの現地時間で午後8時30分。 世界中のラジオ(この作品は1951年に書かれた。だがTVではやはりこ の味わいは出ない)がそれまでの放送を流すのを唐突にやめてこう言った。 「スポンサーから一言」 そして 「戦え」 一言。たった一言。 この、実に突拍子もないセッティングこそがSFのSFたるゆえんだろう。 ここで重要なのは技術的にそんな事ができるかどうかではない。 この放送が、世界にそして社会にどんな影響を与えるのか。 人は、こんな放送を聞いた時にどのような行動を取るのか。 そこにこそSFの、SFならではの視点がある。 それにしてもいろいろな意味で実に深い言葉ではないか。「スポンサーから 一言(A Word from Our Sponsor)」とは! え? それで人々はどうしたのかって? もちろん、あなたがこの放送を聞いた時に取る行動を選択したのである。
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