■銅大の読書万歳(45) 作品名:『プラネテス 1』 著者名:幸村誠 出版社:講談社 モーニングKC ISBN:4-06-328735-1 「お若い方 あなたが今いるここがどこか、ご存知ですかな?」 「え?」 「……ネイティブアメリカン自治区……」 「アメリカ合衆国?」 「ちがう? 北米大陸?」 「西洋?」 「地球……?」 「ふむ。そうでもあるがね ここも 宇宙 だよ」 ツボという言葉がある。 そこを押されたりはまったりすると、あっけなく泣いたり笑ったり、あるい は感動できたり思考停止になったりするアレだ。 そして、私にとって宇宙は。 そこを目指す人々は。 どうしようもなく“ツボ”なのである。 人類が核融合に電力の70%を頼るようになった未来。 月のヘリウム3をはじめとする資源を求めて、人類は宇宙へと進出した。 そんな中で増え続ける宇宙に浮かぶゴミ――スペースデブリ――を回収する 仕事をしているのが主人公たちである。 たかがゴミとあなどるなかれ。 秒速数キロメートルの相対速度で衝突すれば、ネジ一本ですら凶器と化す。 デブリの回収とは、そんな危険で苦労の多い仕事なのだ。 そんな宇宙で暮らす人々と、それにつきまとう様々なドラマを、作者の幸村 さんは丁寧に、しっかりとした考証の上で描いている。もちろんコミックにつ きものの誇張はあるが、決して荒唐無稽ではない。雰囲気的には谷甲州さんの 軌道傭兵シリーズが近い。 様々なトラブルや悩みを抱えつつも、人々は宇宙というフロンティアを目指 し続ける。そして人類は月だけではなく木星をも巨大な資源として利用し、さ らに遠くへと目指し続ける。 何のために? この問いに正しい解答はないかもしれない。 それどころか、白黒がはっきりする事すらないかもしれない。 単なるガキのエゴと思考停止なのかもしれない。 それでも。 宇宙は、やはり“ツボ”なのである。 私にとっても、そして彼らにとっても。
HomePageに戻る