■銅大の読書万歳(40)
作品名:『無伴奏ソナタ』
著者名:オースン・スコット・カード
出版社:ハヤカワ文庫SF
ISBN:4-15-010644-4

 SFは『短編』の文学でないかと思うことがある。
 これは長編がつまらないというわけではなく、SFの神髄ともいうべきセン
ス・オブ・ワンダーは他の要素をぎりぎりまで削り取った短編においてこそ、
もっとも美しく輝くのではないかと思うからである。だから、小説としては長
編の方が出来が良くとも、その中のSFとしてのきらめきは元となった中・短
編の方が良いという物も幾つかある。『アルジャーノンに花束を』もそうだし、
今回紹介する『無伴奏ソナタ』の中の『エンダーのゲーム』もそうだ。

 『エンダーのゲーム』の主人公のエンダーは11才の少年である。
 エンダーは他の子供たちが当たり前のように与えられるものを与えられない
で育った。親兄妹も、学校に行くことも、エンダーには無縁だ。彼はただ一点
において超人であることを求められ、選抜されたのだ。
 〈ゲーム〉に勝つこと。
 人類は異星種族との血みどろの戦いの中にあった。異星種族が攻めて来たと
き、人類は一世代分の若者を犠牲にしてそれをくい止めた。そして二度目に攻
めて来たときも、また一世代分の若者の命で戦いをしのいだ。
 そして人類は決意した。この戦いを終わらせることを。
 無数の宇宙船が作られ、一〇〇年の時をかけて敵種族の星へと向かった。到
着する一〇〇年の間に、それらの宇宙船を指揮する戦争の天才が出現すること
を期待して。
 そしてエンダーが現れた。
 11才のまだあどけない少年。だが、幼児の頃からの訓練と天性の才能でも
って人類に勝利をもたらすかもしれない少年が。
 時間はなかった。エンダーは過酷なスケジュールで戦争指揮官として鍛え上
げられていく。他の子供たちであれば全滅するようなハンデを与えられて〈ゲ
ーム〉へと送り込まれる。
 エンダーは勝ち、勝ち、そして勝ち続ける。
 もう大丈夫なのだろうか?
 彼こそが、求めていた人物なのだろうか?
 それは、実際の戦闘にならねば分からない。
 ただひたすらエンダーは〈ゲーム〉を戦い続ける。
 自分が守るべきもの全てから切り離されたまま。

 そして、エンダーにとって最後の〈ゲーム〉が始まる。

 なお、本作品には他に一〇の短編が収められている。
 SF的なスパイスとしては『猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた』
が。
 そして叙情的な余韻の残るSFとしては表題でもある『無伴奏ソナタ』が、
お勧めである。


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