■銅大の読書万歳(31)
作品名:『ブギーポップ・デュアル』1〜2巻
著者名:原案/上遠野浩平 作画/高野真之
出版社:電撃コミックス/メディアワークス
ISBN:4−8402−1526−X
    :4−8402−1705−X

 若手有望株の秋山瑞人さんと三雲岳斗さん、賀東昭二さんを紹介しておいて、
この人を紹介しないわけにはいきますまい。
 なにせ、売上は一番高そうだし。
 てなわけで、上遠野浩平のブギーポップ・シリーズの出番である。
 つーか、その中でもかなり異色作。コミックになったブギーポップである。

 別に、これは私がイロモノが好きだからというわけではなく。
 小説も含めた全てのブギーポップ・シリーズ中、一番面白いのが本作品だと
心から思うからである。ちなみに私の中での二番目はシリーズ第一作の『ブギ
ーポップは笑わない』である。

 これまでこの読書万歳で紹介してきた若手作家の秋山瑞人さん、三雲岳斗さ
ん、賀東昭二さんはいずれも職人肌の作家さんである。良い意味では安定して
いるし、悪い意味では先が読める。小説っていうのは、シェークスピアの時代
から比べても、それほどバリエーションが豊富になったわけではないのだ。
 ナニ? シェークスピアは劇作家だから小説ではなく戯曲だと?
 ええい、揚げ足を取るでない。

 だが、刺激に飢えた現代人はそれだけでは満足してくれない。
 かといって、入念な調査と凝ったプロットで大作を書くのは、名の売れたベ
テラン作家でないとできはしない。
 現代は何事もスピードと消費の時代なのだ。小説と作家もまたしかり。

 ここで登場するテクニックが『はったり』である。
 とりあえず、理屈よりも演出効果。
 忘れられるくらいなら相手の心を傷つけてでも記憶に刻め。

 しかし、それだけでは私の好みからはちとはずれる。やはり広げた風呂敷は
閉じてナンボである。
 ……話はまったく変わるが、『知性化戦争』のシリーズは大丈夫でしょうな?
デイビィッド・ブリン先生?

 閑話休題。

 この『ブギーポップ・デュアル』はとある学園で発生した連続する謎の事件
を扱っている。人類の運命がどーのとか、宇宙の謎がこーのとかという展開で
はまったくない。で、ナニが起こるかというと。

 “世界の敵”が現れるのだ。

 これこそが『はったり』のポイントである。コソボやカシミール、パレスチ
ナのような、そうでなくても暴力沙汰が発生する場所ではなく、本来は世界で
も最も平和な場所の一つであるはずの、現代の日本の学園でこともあろうに、
“世界の敵”である。
 『はったり』とはこうでなくてはいけない。

 そして、それに対抗して登場するのが、人の心の中から浮かび上がってくる
“不気味な泡(ブギーポップ)”。

 正体不明な“世界の敵”。

 そして、正体は明らかなのだがこちらも謎に包まれた“ブギーポップ”。

 現代日本の学園という、読者にとってリアルすぎるほどにリアルな場所で行
われる不条理な両者の闘い。

 だが、それは10年前にも行われた闘いでもあったのだ――

 そしてその結末は――

 読んでみてのお楽しみ。

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