■銅大の読書万歳(3) 作品名:『O.ヘンリ短編集 (一)〜(三)』 著者名:O.ヘンリ 出版社:新潮文庫/株式会社新潮社 ISBN:4−10−207201−2(一) 4−10−207202−0(二) 4−10−207203−9(三) 『最後の一葉』とか『賢者の贈り物』と言えば、誰しもが「ああ、国語の教 科書とかで読んだことがある」と答えるだろう。 そのぐらい有名なO.ヘンリの作品だが、根強い人気の原因はどこにあるの だろうか? まず『読みやすく分かりやすい』というのがあげられる。 これは重要なポイントである。 どんな作品でも、読んでもらえなくては意味がない。そして、読みにくい作 品をわざわざ読むほど、現代の読書人は本に飢えていない。 では、どうすれば読みやすく分かりやすくなるのだろうか? 簡単な事である。 登場人物の個性やその置かれた状況を作者の都合でコロコロ変えなければよ ろしい。それぞれの話に登場する人物は、置かれた状況においてその個性に合 わせた言動を取り、そして結末を迎えるわけだ。 「ナニを当たり前の事を」と思われるかも知れないが、それができていない、 あるいは途中で崩れてしまった作品も世の中には数多くある。特にシリーズ物 で。 具体的な例としては『聖刻群狼伝』と『聖刻群龍伝』がある。千葉暁さんの 著作で、中央公論社からC−NOVELSの新書として発行されている。 『聖刻群狼伝』がきちんとパターンを踏んで読みやすく分かりやすいのに対 し、『聖刻群龍伝』の方はどうにも話が散漫で読みにくくなっているのが分か るだろう。話はずれるが、個人的に千葉暁さんの作品は好きなだけに、もうち ょっと内容を絞り込んでいただければと残念でならない。 さらにO.ヘンリの作品の多くが『読後感が良い』というのも見逃せない。 やはり繰り返すが、現代の読書人の多くは読んだ後の後味が悪い作品をわざ わざ読みたいとは思わない。スティーブン・キングのようにその道の大家にな ったり、高見広晴さんの『バトルロワイヤル』のようにイク所までイッてしま えば話は別だが。中途半端はよろしくない。 その点で、O.ヘンリ短編集掲載の作品のほとんどは、市井に住む人々が一 所懸命に生き、そしてその行為が報われたり、または悪事のつもりが善行に変 わってしまったりして、それなりに爽快な終わり方をしている。 あなたがまだこの作品を読んでいないのなら、是非読んで、そして考えて欲 しい。どんな要素が、この作品群を面白くしているかを。
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