「魔獣の絆」遊び方講座:絆編


  このコラムは「魔獣の絆」をプレイするプレイヤーさんに、遊び方の指針を
 示すものです。
  必ず従わなくてはいけない決まりではなくGMや他のプレイヤーさんと楽し
 く遊ぶための提案ですので、肩肘はらずにお読みくださいませ。
 
  今回、解説をするのはP110からP119までの、「魔獣の絆」のルール
 のキモである「関係」から、プレイヤーの意志決定が大きく影響する、
 「絆」についてです。
 


1:PCとPCの「絆」

  「魔獣の絆」をプレイするにあたり、PCは積極的に「愛」と「罪」を得る
 必要があります。「愛」を得るためには「絆」の判定に成功しなくてはならず
 「罪」を得るためには「エゴ」の判定に成功しなくてはいけません。
  ここではまず、絆について解説いたします。
 
 
 人狼探偵「人狼探偵の大山健二だ」
 天使高校生「犬山?」
 人狼探偵「大山(おおやま)! 犬山でも大神でも犬神でもない!」
 天使高校生「冗談だってば。あたしは佐川千代でーす。降りた天使で、地上で
 は女子高生をやってまーす」
 健二「おれが一度死にかけてた時に、助けてくれたんだよな」
 千代「そっ。感謝しなさいよね」
 健二「感謝してるよ。だからバイトとして雇っているだろうが」
 《健二のキャラシートには[助手(死活)/千代]とある》
 千代(……もーちょっと、違う気持ちが欲しいんだけどなぁ)
 《千代のキャラシートには[彼氏(恋愛)/健二]とある》
 

 
  たいへん重要なことですが、P111「●絆判定」「絆」の判定は絆を結ん
 だ相手(PCでもNPCでもかまいません)からのお願いや命令を聞いたとき
 に行います。例外は、P111「C.エゴに流されるのを防ぐ場合」です。
  つまり──
 
 
 健二「おおい、すまんがこの報告資料。明日までにワープロしといてくれ」
 千代「(絶句)なんつー悪筆。字が汚いんだから、少しはパソコン勉強したら?」
 健二「うーん、パソコンもやってみようとは思うんだけどなぁ」
 千代「だけど?」
 健二「千代が、いてくれるからな。ついつい頼っちまうんだ」
 千代「……もう、しかたないんだから」
 《千代、[彼氏(恋愛)/健二]で絆判定。成功すれば「愛」を得る》
 

 
  ここでのポイントは、「愛」を得る千代ではなく、健二の方がアプローチを
 かけている点にあります。手間をかけている割には健二自身にはちっとも得に
 なってないようにも見えますが、さにあらず。
 
 
 寄生体(NPC)「んむふふふふぅ。それで終わりですかぁ?」
 千代「え? ……やだ、効いてない?!」
 GM「わはは。こいつのエゴは40点もあるのじゃあ」
 寄生体「わたしはぁ。つねづねぇ、天使の情報をぉ、喰らってみたいとぉ、
 思ってぇ、いたのですよぉぉぉぉ(ズリュズリュズリュズリュ)」
 千代「や、やだ! 来ないで!」
 《「愛」を1点消費して、割り込みによって大山に登場してもらう》
 寄生体「ふしゅるるるる───(ズゴン!)アグベバァァ!!」
 千代「…………!! 健二さん!!」
 健二「待たせたな、千代」
 

 
  情けは人のためならず。相手に「愛」を使ってもらうことで、美味しい場面
 での登場の手助けや判定のサポートをしてもらえるのです。(P120
 ●「『愛』はなにに使うか?」
参照)
 
  とはいえ、相手がいない事には絆はうまく働きません。そのためにもP117
 「▼絆の設定の書き換え」
は、絆の設定をセッションに合わせたものにするた
 めに必要不可欠な作業です。
  この時に注意する点として、絆判定に成功したいのであれば最低でも6レベ
 ル、可能であれば7レベル以上を割り振ることです。プレイ前には他のあまり
 重要でない絆を削り、プレイ中には愛を、プレイ後には人間経験点を費やして
 レベルを7以上にしていきましょう。
 
 
 大山「ええっと。おれの場合は、じゃあ[部族の仲間(血縁)]を削ろう」
 千代「あー、ひどいんだぁ」
 大山「……そういうお前こそ、[神(従属)]削ってるじゃないか」
 千代「んー、なんとなく」
 大山「なんとなくって、おい。いいのか? 人として……じゃなくて、天使と
 して」
 

 
  いいのです。むしろアーキタイプの初期設定にこだわるのは「魔獣の絆」の
 場合は危険ですらあります。自分がプレイしやすいように適当にいじくりまわ
 しましょう。
 
  また、P118のルール「▼PC同士の絆を結ぶ」は必ずプレイヤー間で充
 分に時間をかけて相談し、セッションシートに書き加えていくようにしましょ
 う。
  「魔獣の絆」は、自分のキャラに自己陶酔するゲームではありません。
  自分のキャラシートを見るのと同じくらい、他のPCやNPCとの絆を描い
 たセッションシートに注目し、互いの絆が有効に活用できるように遊んでみま
 しょう。
 
  きっとその方が、楽しくプレイできるはずです。
 
 


2:PCとNPCの「絆」

  PCと絆やエゴを結べるスタンドアロンなNPCは、そのセッションにおけ
 るPCの数と同じ数まで登場できます。
  このゲームの最適プレイヤー数がおおよそ3人から5人であることを考える
 と、だいたい4人までNPCが登場する可能性があります。
 
  NPCとPCがどのような絆を結ぶかはP114「▼人間が絆を“芽生えさ
 せる”」
P117「▼NPCの管理」に記載してあります。
 
 ◆NPCが味方/中立である場合
 
  プレイヤー側から積極的にアプローチをかけるのが良いでしょう。
  通常は、まぁ良い(信頼とか友情とか恋愛とか)方向の絆を結ぶか、中立な
 (契約とか仕事とか)方向の絆を結ぶのが一般的かと思います。
 
 
 千代「既に持っている絆を使うのも一つの手よね。あたし女子高生だから[学
 校の友達(共感)]5レベルがあるし。これをNPCの女の子に使えば判定も
 『愛』もいらなくて一石三鳥じゃない」
 健二「特にSAと深い関係があるNPCなら、シナリオに間違いなく絡んでく
 るから、絆は作っておいた方がいいぞ」
 

 
  絆を結ぶ処理では、人間側の能力値を使いますので、成功率はそれほど高く
 ありません。GMはシナリオによって、絆の設定にボーナスを与えるべきでし
 ょう。これはP114の欄外*13にも記載してあります。
 
  銅大版:ハウス・ルール
   SAの対象ないし、それに深く関与しているNPCとの絆の芽生え判定で
  は、自動的に能力値に+3の修正を得る。

 
 ◆NPCが敵である場合
 
  「魔物の絆」では、敵NPCとも絆を結ぶことができます。
  もしあなたが「敵と絆を結んでも無意味じゃん」とお考えでしたら、それは
 間違いです。というか、「敵だからこそ絆を結んでおくと面白い」と言ってお
 きましょう。
 
 
 健二「……あんたとは戦いたくない。頼む、ここはひいてくれないか?」
 GM「君とは[武人として認めている(思想)]の絆があったな。判定は……
 成功。では、エゴ[生命に死を与える(使命)]で判定……む、6ゾロで失敗
 しおった。しかたない」
 死神(NPC)「いいだろう。だが、生は死があってこそ輝くもの。いずれま
 た、時が満ちた時に──〈影渡り〉で闇に消える」
 健二「ふぅ。なんとか助かった……な」
 千代「今度だけはね」
 

 
  古来、敵役との精神的な葛藤というものは演出を盛り上げるために多用され
 てきました。「魔獣の絆」は、それをシステム的にサポートしているのですか
 ら、使わないという手はありません。
 
  一度負けた敵に対しては[恐怖]や[従属]の絆を。かつて共に戦ったこと
 がある敵に対しては[信頼]や[死活]の絆を。そして師匠や兄弟子であった
 敵に対しては[忠誠]や[好敵]の絆を。
 
  そんな絆があっては敵と戦う時に不便を感じるかもしれませんが、ここで
 他のPCとの絆や、エゴ、[罪]の出番です。
 
 
 吸血鬼(NPC)「ほぉ。30年前、わしに負けて逃げ出した犬コロが、性懲
 りもなく出てきおったか。下がれ! 貴様なぞのでる幕ではないわ!」
 健二「ああ、なんか負けそう……[敗北の記憶(恐怖)]で絆判定します。成
 功して[愛]もらってしまった。うれしくない」
 吸血鬼「くくく。さて、と。天使の血はさぞかし美味であろうな」
 健二「な・ん・だ・と?」
 《[助手(死活)/千代]で対抗の絆判定に成功。ここでも[愛]を得る》
 吸血鬼「む? なんだ、このプレッシャーは?」
 健二「千代には──あいつには手を出させねぇ!!」
 吸血鬼「くっ。邪魔だというのに。下がりおれっ!」
 健二「やかましいっ!! 今度はおれが、勝つっ!!」
 《再び絆判定に成功するが、エゴの[戦いたい(欲求)]で打ち消し[罪]を
 得る》

 

 
  どうですか? 普通に何の絆もついていない敵と戦うのに比べて精神的に盛
 り上がる上に、さらに[愛]やら[罪]やらを手に入れるチャンスまであるの
 です。
  なんともお得でしょう?
  まぁ、相手を倒してしまいますとP114「●絆がエゴになる」で、エゴ
 を得てしまいますが。それを[愛]で打ち消し、人間として一つ成長するのも
 物語的には美しいかと思います。
 
 
  このように、「魔獣の絆」は盛り上がる演出をするためのすばらしいツールが
 用意されています。馴れるまではちょっとたいへんでしょうが、こういう演出が
 好きな方にとっては、苦労の甲斐があることも、また間違いありません。
 
  ぜひ一度、お試しあれ。


 作成者:銅 大(アカガネ ダイ)


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