ネットやチャットで、「『魔獣の絆』のルールブックが読みにくい」という声
を聞くことがあります。
確かに、RPGのルールブックを最初のページから一字一句を追う形で読んで
いっては、分かりにくいのは確かですし、時間もかかります。
そこで、本コラムではルールブックの読み方を簡単に解説していきたいと思い
ます。万人向けとまではいいませんが、これまで何冊かRPGのルールブックを
お読みになった方であれば、この解説でかなり時間が短縮できるはずです。
用意するものは(当然ながら)「魔獣の絆」ルールブック1冊と、赤ボールペ
ン。そして、リラックスした気分と2〜3時間ほどのまとまった時間です。
よろしいですか?
それでは始めることにいたしましょう。
まずは目次を開いてください。
人狼探偵「……オープニングのマンガと、リプレイは飛ばしていいのか?」
天使高校生「んとね。あれはけっこう人によっスキキライが分かれるから。
好きな人はマンガだけでも最初に読んじゃってイイと思うよ。時間もかかん
ないし。でも、どちらかというと後から読む方がなんとなくナニやってるの
か分かっていいんじゃないかな?」
人狼探偵「ああ、ここで[愛]使ってるな。とか?」
天使高校生「そそ」
目次の中で、最初に遊ぶために必要となる章は、次の二つの章です。
◆ 第一章「キャラクターメイク」
◆ 第二章「プレイングルール」
ゲームマスターを志すのであれば、さらに次の章をチェックします。
(今回は、ここまでは解説しません。読む量も少ないですし)
◆ 第五章「マスタリング」
◆ 第七章「データ&シート」
さて、それでは章に入る前に──P24「世界観を理解する上で」をお読み
ください。半ページですので、すぐに読めるはずです。
人狼探偵「『エゴなくしては我にあらず。愛なくしては人にあらず』か」
天使高校生「エゴと絆が、このゲームで一番大事だってコトね。つまり、自
分のキャラに愛着を持って遊ぶのと同じくらい、他の人とのコミュニケーシ
ョン(会話や気配り)を大事にしなさいって、意味だと思うな」
人狼探偵「こらまた、ごついなぁ。何ページあるんだ?」
天使高校生「だから〜。全部読まなくてもいいんだってば」
最初にすることは、まずP29の「■作成の実例」をながめることです。
用語がたくさんあるので、訳が分からない部分もあるかと思いますが、気に
する必要はありません。
ようは、
◆PCは「人」と「魔」の二面性を持っていること。
◆能力値が【知性】【感情】【肉体】であること。
◆人間性がゲージになっており、0になるとゲームオーバーであること。
さえ、押さえておけばよろしいのです。
では続いて、P32からP65のアーキタイプを見ます。
人狼探偵「だぁ。ぜんぜん分からん。専門用語が多すぎるぞ」
天使高校生「あ、【業】は今は読まなくてもいいの」
人狼探偵「じゃあ、どこ読むんだ? ●変異 か?」
天使高校生「アーキタイプ名の下の背景と、四角枠内のコラム」
人狼探偵「なるほど」
はっきりいって、イラストをながめてコラムを読むだけで、ここは充分です。
時間の無駄ですから、この時点で業をながめるのはやめときましょう。
次に、P66からP68の「●職業パック」で、どんな「人間としての顔」が
あるかを見ておきましょう。これも、職業の名前だけでけっこうです。
人狼探偵「ぐぅ」
天使高校生「寝るなぁ!(スパーン!)」
人狼探偵「いや、おれ、文字が多いと眠くなるんだ。しかも、どこまで理解すれ
ば次読んでいいのか分からないしなぁ」
天使高校生「じゃ、順番にいきましょう。まず、マンガを読むの」
STEP1:マンガを読む
●P85:プレイ全体の流れ
●P88:プレイの具体的な進行手順
●P95:PCとNPCの関係とゲーム目的
●P103:判定システム ※重要※
●P109:戦闘の手順 ※重要※
●P119:エゴと絆 ※重要※
●P125:PCが持つ人と魔物の側面について
●P135:罪と愛、経験点などの事後処理について
人狼探偵「うむ、なんとなく分かったような。分からないような」
天使高校生「どこが分からないの?」
人狼探偵「まず、PCって、このゲームではどういう立場にあるんだ?」
天使高校生「じゃあ、P125のマンガを見てからP90を読んでみて」
このゲームにおけるPCがなぜ「半魔」であり、人と魔物の両方の存在を合
わせ持っているかについては、P90の「●PCの立場」に記載してあります。
人狼探偵「……つまり、おれたちって日陰モノなのか? 魔物としては半端も
ので、人間社会にも溶け込めない」
天使高校生「ピンポーン! 魔物としての強さ(エゴ)がないと生きていけな
いけど、かといって人間としての愛(絆)がなくては奈落落ちしちゃうわけ」
人狼探偵「で、プレイヤーはそういったジレンマを楽しむ、と」
天使高校生「そういうこと。で、次はP93を開いて」
人狼探偵「ん? イグノラントの役目?」
天使高校生「その下、その下」
このあたりから、赤ボールペンの出番です。この本では、「●」マークが、
ルールの「節」の切り分けとなっており、その節の中の書く項目が「▼」マー
クで表記してあります。ただ、「●」マークの位置は必ずしもページや段落の
先頭にありませんから(ビースト・バインドのルールの中で、実に残念な部分
の一つです)赤ボールペンで、重要な節の区切りには自分でラインを引いてお
き、後の検索に備えましょう。
P93「●SA(スピリチュアル・アンカー)」の概念は、PCよりもプレ
イヤーに向けられた仕掛けです。次にP132「●経験点」のルールを読んで
SAが経験点にどう影響するかを確認してください。
人狼探偵「PCの人間的側面を上昇させたければ、SAを成功させればいいん
だな。重要NPCを守ったり、魔物としての正体を隠したりして」
天使高校生「逆にPCの魔物的側面を上昇させたければ、逆にSAを失敗させ
たり、SAを達成するために多大な犠牲(大勢人が死ぬ、など)を払えばいい
わけ。秘密を知ったNPCを殺すとか」
人狼探偵「おいおい、いいのか? それで?」
天使高校生「その結果、PC間の対立が発生しても、それはそれで面白いもの
よ。だいたい、あたしと“魔界の王子”なんて、PCレベルでいえば、不倶戴
天の敵同士じゃない。でも、プレイヤー間の対立はダメよ」
人狼探偵「あくまでPCとプレイヤーは別ってわけだな」
「魔獣の絆」はけっこう、PCにプレイヤーがのめり込みやすいゲームでも
あります。「ああ、オレのキャラってカッコいい!」ってな感じで自己陶酔し
てしまうと、PC間の対立がそのままプレイヤー間の対立につながったりもし
ます。ご注意ください。
しかし、システムに習熟し、他のプレイヤーを楽しませる術に長けたプレイ
ヤー同士であれば、PC間の対立を演出するのは、実に盛り上がることでしょ
う。
ここで、実際にキャラクターを1人、作ってみましょう。
P28の「■キャラクターシート作成フローチャート」をながめながら、自
分の好みの人と魔の組み合わせを作っていきます。不明な用語はP28〜29
の記 入例やP80〜81の「用語」コーナーを見ながら書き移していってく
ださい。
そうそう、キャラクターシートは、カバーをめくると裏表紙にもありますの
で、そちらがコピーしやすいですよ。
人狼探偵「とかなんとかいいながら、この筆者、キャラシートはEXCEL
(表計算ソフト)で自作しちゃってるんだよなぁ」
天使高校生「GMとしてNPCやPCプレロールドするなら、そっちの方が楽
ですよー。倒したNPCの経験点は、魔物の方の経験点になりますから、あら
かじめ自動で計算できた方がいいんです(P74[NPCの作成]とP132
の[▼「大罪」魔物経験点の取得]参照)」
人狼探偵「んじゃあ、オレはだな。[死神]で[傭兵]にしておこう。おお、
なんか仲間だけ全滅して常に自分だけ生き残ってる、って感じでよろしい」
天使高校生「んー。ここは練習用だからなんだっていいけど、あんま、よくな
いよ。それって」
人狼探偵「なぜだ?」
天使高校生「PCってね。ほとんどの時間は人間の職業で生活してるの」
人狼探偵「それで?」
天使高校生「このゲームの舞台って、現代日本なのよ。旧ユーゴ連邦や旧ソビ
エト連邦でもなければ、アフリカのアンゴラでもないんだからね」
人狼探偵「おお、なるほど。傭兵だと確かに困るな……いっそ逆手にとってギ
ャグにしてしまうというのはどうだ?」
天使高校生「『トリガーマン』(火浦巧/ソノラマ文庫)みたいに?」
人狼探偵「いや、おれは『フルメタル・パニック』(賀東昭二/富士見ファン
タジア)の方を言おうとしたんだが……なぁ、お前、ホントは幾つだ? さら
りと『トリガーマン』なんてタイトルが口からでるのは、よほど年季の入った
SFファンだけ──」(スパーン、とハリセンで頭をはたかれる)
天使高校生「余計なことは言わないでよろしい!」
キャラクターの「表の顔」は、現代日本という舞台を念頭に置いた上で、で
きるだけ自分がロールプレイしやすいタイプを選択しましょう。このあたりは
GMのシナリオの傾向にもよるので、一概には言えませんが。
浪人生、フリーター、放浪者などはどんなシナリオにもたいてい積極的に参
入しやすく(仕事や学校で縛られていない)、かつ絆の総量もそこそこあるの
でオススメです。
人狼探偵「絆の総量? なぜだ?」
「魔獣の絆」遊び方講座:絆編をお読みください。
要は「愛」を得るためなのですよ。
人狼探偵「愛? ますます分からん」
天使高校生「じゃ、次に行きましょうか」
まずは、P120〜P121の「罪愛」を読んでください。[罪]と[愛]
が何に使えるかが、分かります。
人狼探偵「なるほど、他人のPCにがんばってもらうのが[愛]で」
天使高校生「自分のPCをがんばらせるのが[罪]というわけ」
続いて、罪や愛を得るための絆やエゴについての解説がしてあるのが、ルー
ルブックのP110からP119までの「■関係(Ego&Bind)」です。
ここに書いてある内容こそが「魔獣の絆」のルールの中核ですので、しっか
りお読みくださうい。筆者の「魔獣の絆」遊び方講座:絆編も、そのお手伝い
になるかと思います。
人狼探偵「む、とはいえ漫然と読むとしんどいな」
天使高校生「そういう時は、グループに分けるの」
基本的な判定について
●エゴ判定(P110〜P111)
●絆判定(P111〜P112)
天使高校生「ここまでがワンセット。で、休憩して」
人狼探偵「タバコ一服するか、コーヒーでも飲んでだな」
天使高校生「次が絆やエゴがゲームの中でどう変動するか、なの」
プレイ中やプレイ後における変動について
●エゴ/絆の発生と消失(P112)
→●エゴの発生(P112〜P113)
→●新たな絆の発生(P113〜P114)
→●新たなエゴ/絆の代価(P114)
→●絆がエゴになる(P114〜P115)
人狼探偵「ああ、なんだな。これで[愛]と[罪]や[人間/魔物経験点]の
使い方が一通り分かった気がする」
天使高校生「で、その次はGMさんだけ読んでおいてね。プレイヤーさんは、
慣れてからでいいから」
特殊な絆
●疑似絆(P115〜P116)
選択ルール
●選択ルール(P117)
天使高校生「ここからは、また全員が読んでおいてね」
人狼探偵「P118の表は、選択ルール用だが、PCの絆やエゴを変動させる
ときの参考になるぞ」
天使高校生「実際にサイコロ振って決めちゃうと、後で困る可能性あるから、
気をつけてね。迷った時にこそ、サイコロで決めないこと。たいてい後悔する
結果に終わるから」
●セッションの運営用ルール(P117〜P118)
人狼探偵「ところで」
天使高校生「なぁに?」
人狼探偵「おれたちは、人でもあり魔物でもあるわけだが。それを表現するの
が[人間性]パラメーターだよな? これって、具体的にはどーゆー意味なん
だ?」
天使高校生「じゃ、次のページを開いて」
P130〜P131の「■奈落」を読んでください。人間性が下がった場合、
どうなるのか。そして、人間性を回復するにはどうすればいいか、が書いてあ
ります。また、●暴走(P130〜P131)は、セッション中に発生する危
険の中では戦闘よりもよほど危険(シナリオ展開がワヤになったりする可能性
あり)ですので、しっかり読んで認識しておきましょう。
人狼探偵「そら、人前で魔物としての姿をさらせば、大騒ぎだよなぁ」
天使高校生「このゲーム世界だと、魔物狩りを専門にしている組織があったり
もするしね」
というわけで、そういったPCの魔物としての側面が暴かれたりしたらどう
なるかが書いてあるのがP122〜P127の「人魔」の節です。
●無数の大衆たちの目(P124)とかはけっこう面白いルールですので、
目を通しておきましょう。また、GMはシナリオの終わりで構いませんから、
魔物になった/魔物の力をPCが使った場合は、一回はこの判定をさせてくだ
さい。
人狼探偵「おい、どうでもいいがまだえらくたくさんページが残ってるぞ」
天使高校生「いいの、いいの。後はかいつまんで次の順番で斜め読みしておけ
ばOK。今すぐに覚えることはないって」
■死生(P128〜129)
ポイント:PCやNPCはすぐには死にません。死んでも復活できます。
敵NPCは「罪」や「愛」を使ってとどめをさしましょう。
●スタンドアロン/●クラード/●イグノラント(P91〜P93)
ポイント:重要NPC(スタンドアロン)とは絆やエゴを結べます。1シナリ
オに登場するスタンドアロンNPCの数はPCの数までです(P117)。
■判定(P96〜P102)
ポイント:斜め読みでけっこうです。ただしP101「▼達成値が同じだった
場合」は受動側有利だというところをお忘れなく。
天使高校生「筆者(銅大)は、実はこれまで2回プレイしてるんだけど、どち
らでも能動側有利だと勘違いしてたのよねぇ」
人狼探偵「そいつは、間抜けだ」
一緒に遊んだプレイヤーの皆さん、ごめんなさい。
■戦闘(P104〜P109)
ポイント:かなり抽象化された戦闘システムです。P106「●戦闘時の行動」
だけは覚えておきましょう。
■基本(P82〜P89)
ポイント:ゲームの始まりから終わりまでの流れを解説しています。
人狼探偵「あー、聞いていいか? なんで『■基本』を最後に読むんだ?」
天使高校生「んーとね。この解説は“RPGのルールブックをこれまで読んだ
ことがある”人を対象としてるの。だから、そういう人は用語やシステムが分
かってから、最後に確認のために読むのがいいんじゃないかなって、そう思う
わけ。“あ、ココのところ理解してない”とか分かるじゃない」
人狼探偵「リプレイやオープニングのマンガを後回しにしたのもそういう理由
からか。じゃ、まったくの初心者つーのはどうするんだ?」
天使高校生「今まで“RPGのルールブックを読んだこともプレイしたことも
ない”人の場合? それは……うーん……」
そいつは、ちょっと難しいので、パスさせてください。ルールブックを読ま
せるのではなく、一緒にプレイするだけなら、最初に示した、2章のあちこち
にちりばめられているマンガを一通り読んでいただければよろしいかと思いま
す。(というか、それ以上時間をかけても効率は上がらないでしょう)
その間に、GMがシナリオに応じて遊びやすそうなアーキタイプと職業を組
み合わせてPCを作り、慣れたプレイヤーさんが代わりにキャラクター・シー
トへ記入してあげてください。
ここまで読み終わったら、前に作ったキャラクターシートと、そのキャラク
ターの魔物アーキタイプのルールを読み直してみましょう。
そのキャラクターがどんな奴で、何ができるのか。前よりは見えてきたはず
です。絆は変動が激しい分野なので、エゴと業とでキャラの立たせ方を考えて
おきましょう。
人狼探偵「ええっと、そういやさっき[死神]のキャラ作ったんだよな」
天使高校生「表の顔は結局、どうしたの?」
人狼探偵「医者」
天使高校生「……なんというか……それってコワイよ……」
人狼探偵「大丈夫。Dr.秩父山みたいなキャラにするから」
天使高校生「よけいコワイ上に、若い人は誰も知らないわよ! はっ──!」
人狼探偵「ほほぉ。『若い人は誰も知らない』ねぇ……」
天使高校生「ううう……もう知らない!…………《天罰》!!」(P41参照)
〈〈〈〈 衛星軌道から「おしおきだべぇ〜」とビーム攻撃 〉〉〉〉
人狼探偵「うぎゃあああ!」
というわけで、今回はここまでといたしましょう。
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)