アルシャード用シナリオ
『背徳の実験』
■シナリオデータ
プレイヤー人数:4人〜5人
クエスターレベル:3(5まで可能)
時間:4時間くらい?
■ストーリー
帝国はトロンハイムの秘密研究所で、交雑によって生まれた赤ん坊を生物兵
器に育て上げる実験を行っていた。
だが、その実験には決定的な欠点が内包されていた。
生まれ出た生物兵器が暴走し、トロンハイムの町が火の海になるタイムリミ
ットが刻一刻と迫る。
PC達は研究を打ち砕き、町を救う事ができるだろうか?
町が炎上するか、あるいはその前にPCによって研究が打ち砕かれれば、シ
ナリオは終了となる。
■キャラクター作成
まずは各PCの背景設定について、地図の下にハンドアウトとして書く。
この背景設定は、おおむねクエストに沿った形でオープニングシーンの一部
を記述すればいいだろう。今回のシナリオでどんなキャラクターを演じればい
いのかプレイヤーに分かってもらうのがハンドアウトの狙いだ。
他にも次の3つがハンドアウトには設定してある。
・クイックスタート
・コンストラクション
・コネクション
PC間コネクションも忘れずに。
■オープニングフェイズ
●導入1:恋人を求めて
シーンプレイヤー:PC1
登場難易度:10
場所:L−1『ゲート』
PC1は恋人を求めて各地をさすらい、ついにここトロンハイムの町にたど
り着いた。ゲートには帝国兵(ゾルダート/モブ/10人)がいる。
町に入るには、ゲートを通過する必要がある。
ゲート通過方法は基本的に4つ。
・通行許可証:100G支払ってアイテムとして保有している事に。
・賄賂:【幸運】難10。不足分1につき賄賂10G支払う。
・強行突破:帝国兵をぼこぼこに。PC1は『お尋ね者』になる。
・口車:【意志】難12。失敗したら他の手段を選択。
どのような方法であれ、ゲートをPC1が通過したらこのシーンは終了であ
る。
PC1は『クエスト:恋人の救出』を得る。
※なお他のPCについて補足しておくとPC2とPC4は通行許可証を持っ
ている。PC3とPC5は持っていない。このシーン開始時点で『お尋ね者』
なのはPC3とPC5である。
●導入2:極秘任務
シーンプレイヤー:PC2
登場難易度:他PCは登場不可
場所:U−6『高級住宅街』
PC2は、会員制のクラブ(入会は紳士・淑女のみ)で、アルト・マッケン
ゼンと秘密裏に会う。
「貴公の噂は聞いておる。ウォンの切り札だそうだな」
マッケンゼンはPC2を値踏みするような視線を向ける。
【意志】難10。
・成功:「ま、お手並み拝見といこうか」
・失敗:「貴公が失敗しても尻拭いはできんぞ。いいな」
成功、失敗いずれの場合でもPC2は当座の活動資金として100Gを得る。
PC2は『クエスト:帝国の秘密実験データの奪取』を得る。
●導入3:赤ん坊
シーンプレイヤー:PC3
登場難易度:他PCは登場不可
場所:U−1『秘密研究所』
時間は1週間ほどさかのぼる。
PC3は、帝国の秘密研究所に忍び込もうとしたところを、警備の兵隊に見つ
かる。普段ならこんなへまはしないのだが、ここの兵士はやたらと士気と練度が
高いようだ。とにかく研究所内部を逃げ回っているうちに、カプセルを輸送中の
研究員と会う。研究員は悲鳴をあげて逃げだし、カプセルだけが残される。
カプセルの中にいたのは1才ぐらいの赤ん坊だった。
赤ん坊はPC3を見て、にっこりと微笑んだ。
気が付けば、PC3は赤ん坊を背中におぶって逃走を続けていた。
ここを突破すれば囲みを破って逃げ切る事ができる。そこに一人の若い将校が
いた。少佐の階級章をつけた眉目秀麗な青年将校は拳銃を構えて言う。
「こそ泥にしてはなかなか手を焼かせてくれる。だがここまでだ」
【反射】難10。
・成功:発射された銃弾をかわしざま、将校の脇を駆け抜ける。
・失敗:銃弾が当たる寸前。赤子が泣いた。同時に銃弾が弾き飛ばさ
れた。その隙に将校の脇をすり抜ける。
「なにっ?!」
驚く将校を後目に、PC3は脱出に成功した。
PC3は『クエスト:赤子を守る』を得る。
●導入4:闇の研究
シーンプレイヤー:PC4
登場難易度:12
場所:U−1『秘密研究所』
PC4は研究に一段落をつけて休憩室に行く。
そこにはコーヒーの紙コップ(完全に冷めてる)を手にした所長のアルティ
ナが宙をにらんでぶつぶつと呟いていた。
「うーん。やっぱ、ナンバー573が一番優良株だったんだけどなー」
ナンバー573というのは、ここで実験動物として扱われている子供の一人
で、一週間前に忍び込んだ賊によって奪われている。
「ナンバー454はもう廃棄処分にするしかないかー」
PC4はまるで物を扱うかのようなアルティナの言葉に、強い不快感を覚え
る。
そこへ、一人の青年がやってくる。研究員ではなく軍人。研究所の警備担当
のデーニッツ少佐だ。部下に対しては厳しいが余裕をもって接する彼も、アル
ティナの前ではまるで緊張してカチコチになる。研究所内で、少佐がアルティ
ナに惚れているのを知らないのは当の本人だけだ。
少佐は、今度の休日にアルティナを食事に誘おうとしているが、緊張で言葉
が回らない上に、アルティナが天然ぼけときている。
少佐を助けるか?
・助ける:「うーん。じゃあいいよ」アルティナは食事をOKした。
・助けない:少佐はがっくりとうなだれて立ち去っていく。
アルティナはその後で何事もなかったかのようにPC4に言う。
「ナンバー511に、自爆能力を植え付けてみましょう。来週の頭までに結
果を報告してくださ……して」
PC4は『クエスト:研究をやめる』を得る。
●導入5:反撃の狼煙
シーンプレイヤー:PC5
登場難易度:8
場所:L−3『スラム』
PC5は、スラムの中にある半ば朽ちかけた集合住宅に入った。
「お帰り。ちょうど良かった。さっきまで帝国兵があたりをうろついてたぜ」
少年=ティムが大人びた口調で言う。後ろで妹のニナがこくこくとうなずく。
シャードによって自我を得、帝国の研究所を脱走したPC5は逃走を続ける
内にスラムへと入り、そこでこのティムとニナの兄妹にかくまわれたのだ。
「そろそろ別のエリアに移った方がいいな」
だが、どこまで逃げても帝国の追っ手はかかるだろう。稼働状態にあるPC
5=ヴァルキリーはそれまでに貴重な存在であった。
PC5は『クエスト:研究所を破壊する』を得る。
※この導入5は、PC5がいない場合は省略する。
留意事項として、このシナリオのオープニングフェイズではPC間の結びつ
きが弱い点があげられる。導入1や導入5で、プレイヤーに積極的に登場判定
をうながして、結びつきの強化を図って欲しい。
逆に導入4で登場判定に成功したPCは顔を出すタイミングが難しいだろう。
PC2(エージェント)が馴れていれば、「私は研究所員に変装してます」
とかぬけぬけと言ってのけるだろうが、そうでない場合はGMが助け船を出し
てやるか、少佐とアルティナがいなくなった後で「ふ、そういう事か」などと
したり顔で物陰から登場させてしまおう。
■ミドルフェイズ
●シーン1:酒場にて
シーンプレイヤー:PC1
登場難易度:8(GMは全PCに登場をうながす事)
場所:L−4『ノルン』
「おう、(PC1の名前)じゃないかっ!」
トロンハイムのノルン支部となっている下町の宿屋で、宿屋の親父兼ノルン
支部長をしているサミュエル・グッドマンがうれしそうに声をかけてきた。
「久しぶりだなぁ。何だってこんな所まで来たんだ?」
GMはPC1に事情を簡単に説明させる事。(自分のクエストを理解してい
るかの再確認である)
「シリウスの娘かぁ」
グッドマンは難しい顔になる。そしてメイド姿の少女にコインを渡す
「エミリア、頼むわ」
メイド少女がうなずき、ジュークボックスに行って音楽を流す。ドヴェルグ
のハードロックが店内に鳴り響く。
「盗聴対策さ。毎日盗聴器を取り外すのも面倒なんでな」
グッドマンは声をひそめて言う。
「シリウスの娘が10人ばかり、帝国軍の施設に捕らえられている。名目上
は民間企業の研究施設って事になっているが、実際は帝国軍、いや、教会の
運営になっている。場所はここだ」
そういって、地図のU−1を指さす。
「だが、ここに忍び込むのは危険だぞ。帝国軍が少なくとも1個中隊は警備
にあたっている。指揮官も切れ者だという噂だ。それでもやるのか?」
GMはPCの決意を聞く事。
「もしお前さんがお尋ね者になる決意なら、脱出手段と隠れ家は用意してお
いた方がいい。エミリア、ちょっと店の方を頼む」
メイド少女が無言でうなずく。グッドマンはエプロン(花柄の刺繍)を外し
てPC(達)をL−7『一般人居住区』にある古びた建物に案内する。
「ここはちょっとした事情で住む人間がいなくなってる。隠れ家として使う
といい。ただ、あまり頻繁に使うと足が付くからな。他にもこういう所を用
意しておいた方がいい。金はかかるが安全には換えられないからな」
PC1はアイテム「隠れ家:一般人居住区/0」を得る。
「こいつは俺からのサービスだ。だが二軒目からは金を取るからな」
※隠れ家について
隠れ家はアイテムとして扱う。
記述は「隠れ家:(場所)/(修正)」となる。
(場所)は、その隠れ家がある場所。
(修正)は、その隠れ家が帝国に発覚するかどうかのチェックを行う時の修
正値である。隠れ家を1回使用する度に、+1される。
隠れ家が発覚したかどうかのチェックは、隠れ家を使用したシーンの最後に
GMが行い、2D6+(修正)が10以上で、その隠れ家は発見され使用不能
になる。(アイテムリストから消去する)
新しい隠れ家を購入するには、以下の場所で必要なコストを支払う。(1シ
ーン消費する)PCは複数の隠れ家を持つ事ができる。
・一般人居住区:ノルン(サミュエル・グッドマン):20G
・高級住宅街:高級住宅街(“するりの”ジム):40G
購入時に修正−2が得られる。
“するりの”ジムとコネクションを持つPC3のみ購入可能。
・スラム:スラム(“ティム&ニナ”):10G
購入時に修正−2が得られる。
ティム&ニナとコネクションを持つPC5のみ購入可能。
●シーンA:研究所潜入
シーンプレイヤー:GMの任意(登場シーンが少ないPC優先)
登場難易度:12
場所:U−1『秘密研究所』
シーンプレイヤーが研究所に潜入して情報収集を行うと宣言した場合は、こ
のシーンAとなる。
このシーンの手順は次の通り。
1)潜入チェック:失敗したら3)へ。
2)情報収集チェック:各PCにつき1回のみ
3)脱出チェック:成功したらシーン終了。失敗したら4)へ。
4)潜伏チェック:成功したらシーン終了。失敗したらもう一度。
1)潜入チェック
134ページの「隠密状態の発見」ルールを使用。ゾルダート(188ペー
ジ)の【知覚】対PCの【反射】で行う。同行者のPCのうち一人でも失敗し
たら、失敗となる。3)脱出チェックへ飛ぶ。
ただし、ミドルフェイズ開始時点では、PC4だけはこの潜入チェックを必
要としない。正規の研究所員のためで、辞めた場合はその限りではない。
そのため、PC4がシーンプレイヤーの場合は、この潜入チェックをパスし
て研究所に入り、それから登場判定を行うという方法も有効である。PC4が
何らかの方法で手引きをしたのだと考えそれらしい演出を心がけるとプレイが
楽しくなるだろう。(「こっそり裏口の扉を開けます」とか)
2)情報収集チェック
情報収集は、次の能力値を使用して判定する。
【知覚】:あちこち部屋をのぞいて回る。
【理知】:電子頭脳のファイルを調べる。
【幸運】:うろうろしてるとたまたま必要なデータが見つかる。
難易度は10+(警戒値)。警戒値については次の脱出チェックを参照。
チェックは各PCごとに行い、誰か一人でも成功すれば情報が1点もらえる。
ただし、複数成功しても1シーンに2点以上の情報はもらえない。
3)脱出チェック
134ページの「隠密状態の発見」ルールを使用。ゾルダート(188ペー
ジ)の【知覚】対PCの【反射】で行う。登場しているPCのうち一人でも失
敗したら、失敗となる。
脱出チェックに失敗した場合は、次の4)潜伏チェックを行う。また、警戒
値が1点上昇する(最大値+3)。加えて、登場しているPCはすべて『お尋
ね者』となる。
ミドルフェイズ開始時点では、PC4だけはこの脱出チェックを必要としな
い。正規の研究所員のためで、辞めた場合はその限りではない。
そのため、PC4がシーンプレイヤーの場合は、他のPCが『退場』する事
で、このチェックをパスするという方法が取れる。やはりそれらしい演出を心
がけると良い。(「おれが守衛に話しかけている隙に逃げろ」など)
4)潜伏チェック
あらかじめ用意しておいた隠れ家に逃げ込む:【反射】難10。
失敗したPCは、1ラウンド、帝国兵(ゾルダート/モブ/10人)と戦闘
になる。相手を全滅させる事が出来ても、次の追っ手がかけつけるので、判定
に成功するまで追いかけっこは続く。
戦闘不能になったPCは帝国軍に捕らえられ、U−3:帝国軍駐屯地にある
牢屋に入れられる。
この潜伏チェックを行った場合は、シーンの最後に隠れ家の発覚チェックを
GMは忘れないように。
●シーンB:教会潜入
シーンプレイヤー:GMの任意(登場シーンが少ないPC優先)
登場難易度:12
場所:U−5『教会』
シーンプレイヤーが教会に潜入して情報収集を行うと宣言した場合は、この
シーンBとなる。
このシーンの手順は次の通り。
1)潜入チェック:失敗したら3)へ。
2)情報収集チェック:各PCにつき1回のみ
3)脱出チェック:成功したらシーン終了。失敗したら4)へ。
4)潜伏チェック:成功したらシーン終了。失敗したらもう一度。
各チェックは、基本的にシーンAと同じとして扱う。
ただし、PC4がシーンプレイヤーの場合でも、潜入チェックや脱出チェッ
クが必要となる。
こう書くとなにやら悪い事ばかりのようであるが、警戒値は研究所とは別に
設定されるので、研究所の警戒が厳しくなったらこちらで情報収集を行う価値
が出てくる。
※情報点について
シーンAとシーンBでは情報を得る事ができるが、これは点数の形で表され
る。これを具体化すると次のようになる。
1点:研究所の全体構造
※潜入チェックで【反射】判定に修正+1
2点:研究所の警備状況
※脱出チェックで【反射】判定に修正+1
※シーンDのためのキーとなる情報
3点:クライマックスフェイズに登場する敵データ(ゲスト&クリーチャー)
※GMはデータを見せる事
※シーンEのためのキーとなる情報
4点:実験体の洗脳にサンプルBの戦闘コードを使用
※シーンCのためのキーとなる情報
5点:これまでの研究成果データ
※PC2のクエスト達成
6点:捕らえたシリウスの娘を監禁している部屋の鍵の暗唱番号
※ただし開けたら監視室にランプがつく>クライマックスフェイズ1へ
7点:爆発物保管所の鍵の暗証番号
※研究所を爆破する事ができる
8点:研究所のセキュリティ緊急停止コード
※クライマックスフェイズを端折る事ができる(端折らなくても良い)
たとえば情報1点を入手すると、シリウスの娘が監禁されている部屋も分か
る。
しかし、部屋はロックされていて中に入る事はできない。そのため、たとえ
ばPC1が研究所に潜入した場合、扉ごしに恋人と会話をさせるロールプレイ
を行うのも良いだろう。シリウスの娘は、PC1との間に子供を授かった事と、
その子供を実験材料として取り上げられた事を涙ながらに話すのだ。
●シーンC:サンプルB
シーンプレイヤー:PC4
登場難易度:12
場所:U−1『秘密研究所』
タイミング:情報4点を入手した直後
PC4は情報を調べて愕然とした。サンプルB、それはウェストリ王国の王
都であったハイ・ウェストリを廃墟と変え、今なお人をよせつけぬ地としてい
る古代の戦闘機械、バーサーカーの頭脳部分であった。
これを洗脳に使うのは危険すぎる。影響に未知の部分が多すぎるのだ。
アルティナにこの事を伝えると眼鏡少女は顔を曇らせてしゅん、とする。
「私もわかってるんです。けれども枢機卿からのご命令で……」
枢機卿と言えばこの町には一人しかいない。スマード枢機卿だ。
「2週間以内にプロトタイプ3体のデモンストレーションをしないといけな
いの。今のままだと命令には従順だけど戦闘兵器としては愚かすぎるのよ」
そのため、バーサーカーの戦術データをプロトタイプにダウンロードしよう
というのである。
PCがアルティナを説得しようとしても、アルティナの決意は固く、翻意さ
せる事はできない。
●シーンD:旧友
シーンプレイヤー:PC2
登場難易度:8
場所:L−7『一般人居住区』
タイミング:情報2点を入手した直後
PC2は警備についている兵士の配置の中に、懐かしい名前を見る。銅大三
郎(あかがねだいさぶろう)。ヤシマ国から来たサムライだ。大兵肥満でサン
グラスをかけている。
彼が住んでいる所を訪ねると、メイド服を着た可愛らしい男の子が出迎えて
くれる。どうやら趣味は相変わらずのようである。
「おう、(PC2の名前)ではないか。息災か? まあ上がって茶でも飲め。
それとも酒がいいか?」
そういう彼の腰の刀の柄には勾玉の形をした緑色のシャードが輝いていた。
クエスターである彼がなぜ帝国軍に荷担しているのかと聞くと大三郎は頭を
ぼりぼりとかく。
「わしは帝国は好かん。帝国軍も好かん。だが、あそこ(研究所)の警備を担
当しているデーニッツ少佐は若いが本物の武士(もののふ)だ。わしは、彼に
恩義がある。それを返すまではここにおるつもりだ」
そしてサングラス越しにも分かる鋭い眼光をPC2に向ける。
「もしあそこで事があらば、たとえおぬしでも斬らねばならん」
大三郎は、研究所でどのような実験が行われているのか知らない。PCが口
で説明しても、それだけでは納得しない。もしも、証拠となる実験の詳細につ
いての情報(情報5点)があれば、PCは大三郎を説得する事もできる。
●シーンE:サンプル奪還
シーンプレイヤー:PC3
登場難易度:場所による
場所:PC3が決定。本文参照。
タイミング:情報3点を入手した直後
GMはPC3に、赤子をどうしているか確認する事。
「足を洗った(堅気になった)友人の家に預けている」とか
「なじみの芸者に頼んで遊郭で世話をしてもらっている」とか
「自分の家で、自分で世話をしている」とか
決めてもらい、場所を確認する事。
そして、PC3が赤子と遊んでいると、事件は起こる。
帝国軍がPC3と赤子のいる家(建物)を包囲したのである。陣頭で指揮を
取っているのは、オープニングフェイズで会った帝国軍の少佐である。
「また会えたな。手荒な真似はしたくない。赤子(サンプル)を返してもらお
う」
周囲は十重二十重に囲まれており、通常の方法で隠れたり逃げたりする余地
はない。
GMはPC3にどう反応するか確認すること。
投降するのであれば、赤子は秘密研究所へ、PC3は帝国軍駐屯地の牢屋に。
抵抗するのであれば、デーニッツ少佐が立ちふさがる。少佐は、銃を構えた
部下に対し
「待て。赤子に当たる。ここは私に任せろ」
そう言って、剣を抜く。
「いつぞやのようにはいかんぞ。今度は本気でいかせてもらう」
デーニッツ少佐との戦闘に突入する。PC3は少佐とエンゲージしており、
周囲は帝国兵にブロックされている。
GMはここでプレイヤーに登場判定を行うかも含めた作戦タイムを与える事。
PCが総出で、加護を含めて全力であたれば少佐を倒すのは可能である。
(少佐はクエスターではないからブレイクしない)その場合、生かしておくの
か(手加減攻撃)、殺してしまうのか確認する事。
この後の物語のバリエーションを増やしておくためにも、少佐と正面から戦
うのではなく、PC3と赤子を何とか逃がす作戦をプレイヤーには考えてもら
いたい。GMは以下の情報をプレイヤーに伝える事。
・帝国兵の注意は内側(少佐とPC3)に集中している。
・帝国兵が乗ってきた軍用列車(都市内だけ走る路面電車だが)が近
くに止めてある。警備は1個分隊(ゾルダート/モブ/10人)。
・煙幕弾(シーンG:工業地帯参照)を使えば、この状態でも隠密状
態になれる。
「登場判定ででてきたPCが帝国兵の包囲の外側におり、PC3が赤子をそ
のPCに放り投げて、その隙に逃げる」
などとトリッキーな作戦をPCが思いついた場合でも、GMはそれを却下す
るのではなく、できるだけ能力値判定などで対処する事。
●シーンF:研究所移転計画
シーンプレイヤー:PC4
登場難易度:12
場所:秘密研究所
タイミング:研究所の警戒値が+3になった直後
アルティナがホールに所員を集める。そして硬い表情で言う。
「最近、この研究所に頻繁に外部からの侵入が謀られています。委員会はこの
事態を重く見て、研究所を都市の外、帝国の第457軍事基地に移転させる事
を決定しました」
ざわめく所員。当然である。彼らの家はこの都市にある。
「皆さんにも一緒に来てもらいます。これは委員会の決定事項です」
委員会──研究所を運営している組織。おそらくは帝国軍上級士官と教会の
幹部からなる。これに逆らって一民間人が無事ですむとは思えない。機密漏洩
を防ぐために牢屋に入れられるくらいならまだ幸いであろう。
「日時については決まりしだい連絡します。以上」
PC4が、これまでのシーンでアルティナと十分に仲良くなっているようで
あれば、解散した後で所長室にシーンを移してアルティナががっくりとうなだ
れる。PC4が励ますなりなんなりすると、
「私の事はいいの。でも、委員会では警備状態が不十分な事について、デーニ
ッツ少佐をつるし上げる発言ばかり相次いで。あの人だって、一所懸命にやっ
てるのに」
話をデーニッツ少佐に振ると、アルティナは少し頬を赤らめる。どうやら、
少佐のアタックで二人の仲もちょっとは進展したようだ。
●シーンG:トロンハイムの町
シーンプレイヤー:いろいろ
登場難易度:場所による
場所:いろいろ
トロンハイムの町では、研究所や教会で情報収集する以外にも、いろいろな
場所でいろいろな人間と会う事ができる。そのすべてをシナリオに記載する事
はできないので、主立った物を例としてあげる。GMはこれを参考にした上で
PCの行動に対応する事。
ちなみにトロンハイムの町の人口はおよそ100万人とする。
▼U−1:秘密研究所
NPC:アルティナ・スティーゲン/クルト・デーニッツ
条件:『お尋ね者』になっていない
情報収集以外で秘密研究所に来た場合、基本的には「丁重にお帰りいただく」
のが原則である。(PC4をのぞく)
アルティナやデーニッツ少佐に会うのであれば、彼らが仕事を終えて研究所
を出るまで待つのがいいだろう。
アルティナはまっすぐに高級住宅街にあるマンションへと帰る。途中で、夕
食のコンビニ弁当を買いに寄る。
デーニッツ少佐は帝国軍駐屯地にある士官用兵舎へと帰る。たまに一般人居
住区にある酒場に立ち寄る事がある。
仕事の事をのぞくと、二人とも気持ちの良い人間である。友人になるのも、
(正体や目的を隠せば)たやすいだろう。
ただし仕事の事に関しては、明確な目的意識を持っており、譲る事はない。
▼U−2:飛行場
NPC:リオン・ガーランド
条件:特になし
飛行場は頻繁に飛行船が離発着を繰り返している。そのうち半数が帝国軍の
飛行船である。
民間の飛行船置き場には、大手のゼネラルマテリアル社の飛行船にまじって
小さな個人所有の飛行船もある。その中の一機。尾翼に葉巻をくわえたミッキ
ーマウスを描いた飛行船が、元帝国軍パイロットのガーランドの機体だ。彼は
この機体を使って「逃がし屋」をしている。
ガーランドは陽気な悪党である。彼にとって「逃がし屋」は一種の冒険で、
スリルを楽しむのを主な目的としているところがある。
ガーランドは一人頭1000Gで、PC達を帝国の外へ脱出させてくれる。
(前金である)
▼U−3:帝国軍駐屯地
NPC:特になし
条件:『お尋ね者』になっていない(忍び込む場合をのぞく)
トロンハイムに駐屯しているのは、帝国軍第15装甲師団である。人員約1
万5千人。MP02型人間戦車480両を装備している。装備、練度、ともに
一線級の部隊である。本来ならば後方に置いておく部隊ではないのだが、帝国
内部の権力闘争の結果、教会を牽制する形でここに配備された。
当然ながら、軍の施設にまともな方法で入る事はできない。研究所や教会と
同じく、忍び込む手続きを踏む必要がある。
その上で、忍び込んだPCは以下の事ができる。
・捕まったPCの救出:【反射】難9『盗賊道具』ありで修正+1
・盗み:【知覚】難9『盗賊道具』ありで修正+1
『帝国軍制式装備』を1人分、盗み出す事ができる。
・破壊工作:【理知】難10
陽動作戦となる。次のシーンでの隠密行動に修正+1。
脱出する場合の手続きも、研究所や教会と同じ。ただし警戒値はない。
▼U−4:企業
NPC:アルト・マッケンゼン
条件:特になし
トロンハイムには帝国の主立った企業のほぼすべてが支店を置いている。ゼ
ネラルマテリアル社もその例にもれない。
そこの支社長であるマッケンゼンは、PC2の存在を知っている。(目的は
知らない)しかし、直接会社で会う事は好まない。できれば、会社の外、それ
も不特定多数の人間が集まるレストランやバーで会いたがる。
マッケンゼンはPC2に対し、できるだけの支援をするように上層部から命
じられている。(もちろん正式な文書などは使わずに)しかし、マッケンゼン
はPC2のようなエージェントを好いておらず、できるだけ関わり合いになろ
うとはしない。
マッケンゼンに会えるのはシーンプレイヤーがPC2の時だけである。
支援を要求するには、【意志】難10の判定に成功する必要がある。
どのような支援を、どれだけもらえるかはPCの要望を聞いた上でGMが判
断する事。PCのエージェントレベルまでの装備1つの貸し出し(シナリオ中
のみ)や、1万Gまでの現金の拠出であれば認めてもかまわない。
▼U−5:教会
NPC:スマード枢機卿
条件:『お尋ね者』になっていない(忍び込む場合をのぞく)
トロンハイム中心部には全高200メートルの大聖堂がそびえ立っている。
ここは、あらゆる意味でトロンハイムの権力と権威の中心である。教会とし
ての機能はもとより、市庁舎としての機能も、州都としての機能も合わせ持つ
のである。
この教会を支配するのが、スマード枢機卿である。高レベルのプリーストで
ある彼は、そのほとんどの時間を教会の奥まった執務室で過ごす。
教会に潜入するには、情報収集と同じ段階を踏む事。
その上で、潜入したPCは以下の事ができる。
・研究所のIDカード入手(1枚):【知覚】9
教会の人間のふりをして研究所に入る事ができるようになる。
※写真や網膜パターンなどが必要なので誰か一人固定。つまり、
一枚のカードを複数のPCで使い回す事はできない。
・証拠隠滅(1人):【理知】9
『お尋ね者』になっているPC一人の、犯罪者情報を抹消し、
『お尋ね者』でなくす。
脱出する場合の手続きも、情報収集の場合と同じ。
▼U−6:高級住宅街
NPC:“するりの”ジム
条件:特になし
トロンハイムは帝国の他の都市と同じく、1割の人間が9割の富を保有し
ている。いや、すべからく都市とはそのような物なのかも知れないが。
その1割に入っている人物の一人、ジェイムズ・ボリバー・ディグリッツ
男爵は社交界の伊達男として知られる。その彼の裏の顔が、大泥棒である事
を知る者は少ない。彼こそは名高きステンレス・スチール・ラット、“する
りの”ジムなのだ。
“するりの”ジムに会えるのはシーンプレイヤーがPC3の時だけである。
「やァやァ、(PC3の名前)ではないか。最近は帝国に喧嘩を売っている
ようだが、勝算はあるのかネ? 良いネズミは船から脱出するタイミングを
見失わない物だゾ」
“するりの”ジムからは、隠れ家を購入する事ができる。
「帝国と戦うからには良い道具がいるだろうサ。よし、職人を一人紹介しよ
う。彼ならばきっとお前さんの役に立つと思うヨ」
“するりの”ジムは、L−2:工業地帯にいる職人の“鉄腕”ファントム
を紹介してくれる。
▼U−7:リアクター
NPC:特になし
条件:潜入以外不可
都市の、最も高い位置にそびえ立つ白亜の塔。その中に、トロンハイムの
すべてのカバラを動かす、基幹(メインフレーム)リアクターである。ここ
にはサブシステムを含めて3基のリアクターが置かれている。
トロンハイムの命とも言っていいこの塔は、常時、機械兵士(マシーネン
ゾルダート)1個大隊(500名/第15装甲師団所属)とズィーガー1、
15体(教会所属)によって守られている。
また、何かあった場合にはすぐさま増援が急行する手はずになっている。
ここに忍び込むのはかなり困難(隠密行動に−3のペナルティ)が伴う。
また、中に入ったとしても出来る事というとテロぐらいしかない。(リア
クターを破壊する、または破壊すると脅して何か要求を出す)
それぞれのリアクターを守る防壁のhpは70点である。
もしも、リアクターの周囲の機器に細工をして、ある時間になったらシス
テムダウン(停電)するような仕掛けをほどこしたいのであれば、【理知】
で難易度15の判定に成功する必要がある。
問題は脱出チェックであるが、やはり困難(隠密行動に−3のペナルティ)
が伴う。
まぁ、ここに突入するくらいなら、いっそ機械兵士一個大隊を道連れに華
々しく散るというのも美しいと言えなくもない。
▼L−1:ゲート
NPC:特になし
条件:『お尋ね者』になっていない
トロンハイムの人口は100万人。その腹を満たすだけの食料が毎日毎日運
び込まれるのが、8つのゲートである。(MAPでは便宜上一つにしてある)
この8つのゲートの出入りには、常時、帝国兵が監視の目を光らせている。
出入りには通行許可証が必要である。しかし、帝国の都市の常として賄賂が通
行許可証の変わりをする事もしばしばである。
本シナリオにおいて、ゲートを通って陸路トロンハイムを脱出するというの
はあまり考えにくい(映画であれば飛行機で飛んで行くのがやはり場面的に見
栄えがする)のだが、飛行機は囮で実は陸路という選択をPCはするかも知れ
ない。
その場合は、ガーランドに相当する、陸路の逃がし屋をGMは用意しよう。
たとえばガーランドの従弟のドーランドとか。
▼L−2:工業地帯
NPC:“鉄腕”ファントム
条件:特になし
トロンハイムは工業都市でもある。大小無数の工場が、都市の下層部には集
中している。特に、マードック自動車工場は、農業用トラクターから人間戦車
まで、主に大型自動車を中心に幅広く生産している。
その中に埋もれるようにある、小さな町工場のファントム修理工場。ここの
主である“鉄腕”ファントムは昔気質の職人で、腕はいいのだが気に入った仕
事しかしない。おかげで経営はいつも悪いが、“するりの”ジムが裏から融資
を受けられるようにしている。
ここでは、盗賊が使うような品を作る事ができる。1シーンに購入できるの
はPC1人つき1品だけ。
・「盗賊道具」(105ページ)
・「煙幕弾」価格10。使い捨て。煙を放ち半径15メートル圏内
の全員を隠密状態にしてしまう。効果3ラウンド。
・「機械鼠」価格100。使い捨て。囮に使い、警報などを離れた
場所で動作させる。侵入時などの「隠密状態」に修正+1。
▼L−3:スラム
NPC:ティム&ニナ
条件:特になし
スラム街では、古い集合住宅や倉庫などが区画整理されずに残り、ごちゃご
ちゃとしている。ここにはおよそ10万人から20万人の住人が生活している。
ここに入った場合、スリやかっぱらいに出会う危険性がある。
【幸運】難10で判定し、失敗した場合は2D6Gを失う。
ティム&ニナとコネクションを持っているPC5は、ここで隠れ家を購入す
る事ができる。
スラム街の住人は多かれ少なかれ現状に不満を持ち体制に批判的であるため、
うまく扇動すれば騒ぎを起こす事ができる。
【意志】難10に成功すれば、騒ぎを起こして次のシーンにどこかへ潜入す
る時に隠密行動に+1のボーナスを得る事ができる。
▼L−4:ノルン
NPC:サミュエル・グッドマン
条件:特になし
ノルンのトロンハイム支部は、実際には一般人居住区のスラム街よりにある。
トロンハイムには比較的大きな帝国軍部隊が駐屯しており、周辺地帯の治安
維持にあたっている。そのため、ノルンに対する依頼も少なく、都市の規模か
ら予想されるよりははるかに少ない人数しかいない。
支部長のサミュエル・グッドマンは素行はあまり良くないが、その分フット
ワークが軽く、情報収集に関しては、なかなかの腕前の持ち主である。
GMは、必要とあればグッドマンを適当なシーンに登場させて、助言や忠告
をPCにさせて、シナリオの進行を助ける事。
また、ノルン支部では装備品、特に武器と防具をそろえる事ができる。
▼L−5:汚物処理場
NPC:特になし
条件:特になし
いわゆるゴミため。ヘドロやらゴミやらが渾然一体となっており、クリーチ
ャーなんかも巣くっている。そのため、ここには帝国軍もスラムの住人も近寄
ろうとはしない。
どこかに潜入して脱出チェックに失敗し、帝国軍に追われている場合も、こ
こに逃げ込めば、逃走に成功する。
そのかわり、瘴気にあてられたり、クリーチャーに襲われたり、ヘドロの中
に埋まったりというトラブルに見舞われる。
【反射】難10の判定に失敗したら、1D6+6(鎧その他無効)のダメー
ジを受ける。
▼L−6:帝国大学
NPC:ヨジフ・ゲッベルス
条件:特になし
帝国大学の例にもれず、トロンハイムの帝国大学でも、学生運動が盛んであ
る。トロンハイム大学ではプリムローズ系の派閥が3つに分裂しており、帝国
主義と戦うよりは派閥間で争う方が熱心である。
PCが何かの助力を得るには、こうした派閥間の力関係を見極めるのが重要
になってくる。
【理知】難(不明。実際には12だがプレイヤーには隠す)の判定に失敗し
た場合、PCはヨジフ・ゲッベルスの率いる派閥と手を組む事になる。ゲッベ
ルスは反帝国運動を指導しているが、その実は帝国のスパイであり、PCの行
動をこっそり帝国に伝える。PCの隠れ家一つが摘発を受けるか、PCの潜入
工作がサイコロの出目に関わらず失敗するかする。ただし、PCが帝国に捕ま
りそうになった場合はゲッベルスが助けてくれる。(これをできるだけ何度で
も繰り返す)
判定に成功した場合でも、あまり学生たちはPCの役に立たない。学生たち
は観念論をふりかざし、具体的な行動に出ないのである。
▼L−7:一般人居住区
NPC:特になし
条件:特になし
トロンハイムに住む人々の多くは、ここで生活している。上層にいろいろな
施設が作られていて日光も差す事はなく、生活環境は必ずしも良いとはいえな
いが、それでも農村で昔ながらのしんどい農耕生活をするよりは、都市で暮ら
したいという若者は多い。都市と農村では、現金収入もまるで違うからである。
秘密研究所で研究を続けている研究者の多くは、この一般人居住区で生活し
ている。PCの中には、研究者を拉致したりして情報を得ようと考える者もい
るかも知れない。しかし、個々の研究者は研究についてそれほどに詳しいわけ
ではなく、情報点を増やす役には立たない。
■クライマックスフェイズ
クライマックスフェイズにはおおむね3つのパターンが考えられる。
パターンA:情報6点を入手し、研究所に潜入してシリウスの娘たちを救出
する。
パターンB:枢機卿を前にしてのデモンストレーションにタイミングを合わ
せて、研究所を襲撃し、シリウスの娘たちを救出する。
パターンC:移転に伴い施設や人員の移動にタイミングを合わせて襲撃を行
い、シリウスの娘たちを救出する。
クライマックスフェイズに入るタイミングは、GMの判断に任せられている。
プレイ時間が短い、あるいはプレイ進行がもたついた場合、情報点が十分に
集まらなくとも、セッション終了まで1時間(余裕を見てできれば1時間30
分)になった時点で、クライマックスフェイズに入る事をおすすめする。
その場合、もっとも適切なのはパターンCであろう。これならば研究所に入
る必要がないからである。
●シーンA−1:救出
シリウスの娘たちが捕らえられている部屋には、3体のロボット兵器、ズィ
ーガー1(196ページ)がいる。これを無力化するパスコードは、情報8点
で手に入るが、GMは独自の判断で、このパスコードをデーニッツ少佐が変更
していた事にしても良い。
初期状態での、ズィーガー1とPCとの距離は10メートルである。筆者と
してはバトルテックなどのヘクスシートが手元にあれば使用する事をおすすめ
する。(1ヘクス=1メートル)
その場合、「至近」や「エンゲージ」の処理が難しくなるが、周囲6ヘクス
以内にいる場合はエンゲージしていると考えていいだろう。武器などの「至近」
は2ヘクス(2メートル)まで届くと考えれば無理がない。
ズィーガー1を倒すと、シリウスの娘たちと一緒に脱出する事ができる。シ
リウスの娘たちはモブとして扱う。ただし《獣化》と《人化》は全員できるも
のとする。
なお、情報が5点以下しかない状態でPC達が研究所に突入した場合、シリ
ウスの娘たちを捕らえている部屋の扉を破壊する必要がある。扉のHPは30
点として処理する。ブラックマジシャンの《ノック》が有効かどうかについて
は時計などを見てGMが判断する事。筆者は有効でも良いと考える。
適当なところで、いったんシーンをカットする。
●シーンA−2:脱出
研究所から脱出しようとしたPC達の前に、デーニッツ少佐が立ちふさがる。
初期状態でのデーニッツ少佐とPCとの距離は15メートルである。
この時の敵の戦力は、ミドルフェイズでのPCの行動によって幾つかバリエ
ーションが考えられる。
▼デーニッツ少佐
シーンEでデーニッツ少佐を殺している場合、このシーンそのものがない。
指揮官を失い烏合の衆となっている帝国兵はPCの敵ではない。脱出は成功
する。
▼アルティナ&その護衛のゾルダート3個分隊
基本的に、アルティナはデーニッツ少佐と一緒に行動する。
しかし、研究所が他に問題を抱えている場合(陽動作戦など)、二手に分か
れ、アルティナはこのシーンに登場しない。
また、PC4がアルティナと仲良くなっている場合には、アルティナは自衛
以外の行動を取らない。(デーニッツ少佐が危なくなった場合に加護は使用す
る)
ゾルダート(1モブ10名)はアルティナの命令がない場合はアルティナの
周囲から動かない。全体で1エンゲージと考える。
▼銅大三郎
このシーンでもっともキーとなるのが、大三郎が敵か味方か中立か、である。
大三郎は研究所での研究については知らないので、もし証拠(情報5点)を示
された場合、直接デーニッツ少佐と直談判しようとする。帝国に忠実な少佐は
大三郎と決別し、大三郎は腹を切って果てる。よってこのシーンには登場しな
い。
もしも大三郎を押しとどめる(【意志】で対抗判定に成功)事ができれば、
大三郎はPCがシリウスの娘を救助しようとするのを助ける。少佐がでてきた
場合には「ここは拙者に任せて先に行かれい」と言って、身体を張って少佐を
止めようとする。この場合、大三郎は少佐に殺される。PC達は研究所の脱出
に成功する。
大三郎に対し、PC(特にPC2)が何のアプローチもせずに放置した場合、
大三郎は敵としてデーニッツ少佐と共に現れる。
以上のように、最悪の場合、デーニッツ少佐、アルティナ&護衛、銅大三郎
がPCの敵としてこのシーンに登場する。GMはそのまま戦わせるのも良いし、
何らかの手加減を考えても良い。よくわからない場合はまずデーニッツ少佐を
登場させてPCと戦わせ、決着がついたところでアルティナを登場させてPC
と戦わせ、これまた決着がついたところで銅大三郎を登場させるかどうかを判
断すれば良いだろう。戦力の逐次投入という方法をとれば、初期状態のPCで
もけっこう勝てるものである。
●シーンB−1:デモンストレーション
スマード枢機卿を迎えて、『プロトタイプ』のデモンストレーションが行わ
れる時にシリウスの娘たちを救出しようとした場合、研究所の警備は一時的に
偏り(スマード枢機卿を重点的に守るため)、シリウスの娘たちの監視は、ズ
ィーガー1ではなくゾルダート(1モブ10人)3個分隊に任せられる。
それ以外はシーンA−1と同じである。
●シーンB−2:暴走
シリウスの娘たちを救出して脱出しようとした時点で、大きな爆発が研究所
を揺るがす。所員や警備兵が右往左往するので、このまま脱出するのは容易で
ある。
もし所員や警備兵を捕まえて事情を聞くなら、3体の『プロトタイプ』が暴
走を始め、研究所を破壊している事が分かる。
『プロトタイプ』の性能はアルティナやスマード枢機卿の想像を遙かに超え
た物で、護衛の兵士やズィーガーを瞬く間に殺傷・破壊する。すぐさま第15
装甲師団が出動するが狭い都市の中では人間戦車も思うようには戦う事ができ
ず、被害は広がる一方である。
『プロトタイプ』の暴走が始まった時点で、少佐やアルティナ、大三郎らは
瀕死の重傷を負う。(加護も使い尽くす)スマード枢機卿だけは脱出に成功す
る。
アルティナと話をする事ができれば、『プロトタイプ』はサンプルB、すな
わちバーサーカーに操られている事が分かる。サンプルBを破壊すれば『プロ
トタイプ』は停止する。
『プロトタイプ』のデータはリビングアーマー(197ページ)を使用する。
初期状態ではPCと『プロトタイプ』の距離は15メートルで、さらにその
向こう5メートルのところにサンプルBがある。サンプルBのヒットポイント
は10点である。『プロトタイプ』はとにかく近づく者すべてを破壊しようと
する。サンプルBを破壊すると『プロトタイプ』は活動を停止する。
『プロトタイプ』の暴走をPCが無視した場合、PCは無事に脱出する事が
できる。(帝国軍はPCどころの騒ぎではない)しかし、トロンハイムの町は
リアクターを破壊されるなどして、ほとんど半壊状態になる。
●シーンC−1:輸送
研究所の移転が行われる時を狙ってシリウスの娘たちを救出しようとした場
合、このシーンとなる。シリウスの娘たちは護送車両に乗せられて運ばれるの
で、それを襲撃する事になる。護送車両にはゾルダート(1モブ10人)1個
分隊が護衛についている。
狭い車内での戦いとなるため、初期状態でのゾルダートとPCの距離はない。
距離を置くと宣言したPC以外は全員がエンゲージ状態である。
●シーンC−2:逃走
シーンC−1は町中での襲撃となるため、必然的に帝国軍がPCの周囲に群
がる事になる。護送車両を走らせて無理矢理突破するためには【反射】難10
の判定に成功する必要がある。失敗するたびに、あちこちぶつかって、PC全
員、〈殴〉1D6のダメージを受ける。
暴走する護送車両に直接飛び乗ってくる可能性があるのは、デーニッツ少佐
と銅大三郎の2人である。この2人についてはシーンA−2を参照。
※赤子について
PC3が赤子をどうしているかはクライマックスフェイズの中ではあまり明
確にしない方がよろしい。研究所に忍び込む時に子供連れというのも妙な話で
あるからだ。ミドルフェイズからクライマックスフェイズに移行する狭間で、
ノルンのグッドマンに預けるかスラムのティム&ニナに預けるかすると良いだ
ろう。
この赤子以外の子供達(サンプル)については、残念ながら救出する術はな
い。培養や洗脳、武器の埋め込みなどが進行しており、すでに生体兵器となっ
ているからである。
■エンディングフェイズ
本シナリオにおいては、ミドルフェイズとクライマックスフェイズの展開し
だいで、エンディングフェイズがどうなるか予測がつかない所がある。
GMは生き残ったPC一人一人に、要望を聞いて、その後どうなったかを演
出する事。
筆者がもっともおすすめするのは、ガーランドが操縦する飛行船に乗ったP
Cとシリウスの娘たちが、自由へと飛び立つ場面でエンディングとし、さてそ
れから、個々人はどのように過ごしたか、という風に持っていくタイプである。
■NPCリスト
■アルティナ・スティーゲン(ゲスト)
種別:人間 レベル:10(ウィザード)
14才の天才少女。度の強い眼鏡をかけているので、そうでなくても大き
な瞳がさらに大きく見える。
好奇心旺盛で、何にでも興味を持つ。部下に対して厳格にあたろうとする
のだが、ついつい年長の人には敬語を使ってしまう。
白衣にスリッパでぺたぺたと研究所を小走りに歩き回る。で、こける。
体: 9/+3 反: 9/+3 知:12/+4
理:15/+5 意:15/+5 幸:12/+4
命:7 回:8 魔:12 抗:11 行:13
HP:26 MP:50
攻:〈殴〉−1
対:単体 射:至近
防:斬1/刺0/殴1
加護:
□バルドル □バルドル □オーディン
《魔法学》&《スペルコンバイン》:魔クリティカル10
《賢者の石》:[範囲](MP−3)
《パワースペル》:+1D6(MP−2)
《ロウ・ディスペル》:解呪5Lvまで(MP−2)
《ブレイクマジック》:呪破(MP−4)
《メディテーション》:MP2D6回復
《マジカルホリック》:バッドステータス無効(MP−1)
《ハイ・ディスペル》:解呪10Lvまで(MP−3)
《キャントリップ》:呪文2つ同時使用
《ブースト》:魔+3(MP−3)
《リフレクトマジック》:呪文はねかえす(MP−10)
■クルト・デーニッツ(ゲスト)
種別:人間 レベル:8(ファイター)
22才。帝国軍少佐。トロンハイム駐屯軍のうち、一個中隊を指揮して、
秘密基地の警護に当たる。
まだ若いが、実戦経験は豊富で部下の信任も厚い。欠点らしい欠点といえ
ば、アルティナに惚れている事ぐらいであろうか。傍目には一所懸命にアプ
ローチしているのだが、アルティナが天然にかわすので成就の見込みは今の
ところない。
研究所で行っている実験については任務と割り切っているがあまり彼の好
みではない。彼は軍務に誇りを抱いているのだ。
体:12/+4 反:12/+4 知:12/+4
理:12/+4 意:12/+4 幸:12/+4
命:10 回:10 魔:7 抗:9 行:8
HP:39 MP:22
攻:〈斬〉+7
対:単体 射:至近
防:斬3/刺3/殴3
加護:
□トール □トール □オーディン
《戦士の手》&《戦士の眼》:命中クリティカル10
《ヘヴィアーマー》:行動値修正
《猛攻》:ダメージ+1D6(MP−2)
《集中》:命+2(MP−2)
《なぎ払い》:範囲(選択)(MP−2)
《切り返し》:命1回だけ振り直し(MP−2)
■銅大三郎(ゲスト)
種別:人間 レベル:3(サムライ)
30才。クェスター。デーニッツ少佐に恩義があり、研究所の警備を手伝
っている。といっても、特にどこでどう、という警備をしているわけではな
く、そこらをぶらりぶらりと歩いているだけに傍目には見える。
ごつい顔と身体をしており、常に無精ひげを生やし、サングラスをかけて
いる。
体:16/+5 反:15/+5 知:12/+4
理: 9/+3 意: 9/+3 幸:12/+4
命:8 回:4 魔:3 抗:4 行:7
HP:25 MP:12
攻:〈斬〉+10
対:単体 射:至近
防:斬4/刺4/殴3
加護:
□タケミカヅチ □タケミカヅチ □トール
《戦士の手》:命中クリティカル11
《猛攻》:ダメージ+1D6(MP−2)
■リオン・ガーランド(エキストラ)
場所:飛行場
小型輸送機のオーナー兼パイロット。金さえ積めば(1人1000G)こ
っそり町から脱出させてくれる。鼻の下に髭を蓄え葉巻をくわえた陽気な男。
■アルト・マッケンゼン(エキストラ)
場所:企業
ゼネラルマテリアル社トロンハイム支社長。昔は長距離武装バスの警備隊
に所属していた。豪放磊落な男。
■スマード枢機卿(エキストラ)
場所:教会
トロンハイムから、帝国のこの州一帯を統括する行政官。秘密研究所の実
際のオーナーは彼である。今一つ信仰心が当てにならない帝国軍にかわって
教会直属の軍事組織(武装SSのようなものか?)を作ろうとしている。
狡猾で陰険な男。シナリオの黒幕。
■“するりの”ジム(エキストラ)
場所:高級住宅街
犯罪組織ナイトレイドの幹部で、トロンハイムの顔役。町では裕福なディ
レッタントのディグリッツ男爵として知られている。クールな伊達男。
■“鉄腕”ファントム(エキストラ)
場所:工業地帯
小さな町工場、ファントム修理工場の親父。偏屈で気に入った仕事しかし
ないが、腕は確かである。気むずかしい無口な老人。
■ティム&ニナ(エキストラ)
場所:スラム
スラムに住む10才ぐらいの兄妹。スリやかっぱらいをしながら生活をし
ている。親はいない。ティムは大人びた偉そうな口をきく。ニナは無口。
■サミュエル・グッドマン(エキストラ)
場所:ノルン
トロンハイムのノルン支部長。といっても部下は秘書一人。男色家でそれ
で問題を起こして左遷させられた。昼行灯だが恋に落ちると猛烈に仕事をす
る。自身も元ハンターで、身長2メートル、体重140キログラム。
■ヨジフ・ゲッベルス(エキストラ)
場所:帝国大学
帝国大学の学生で、プリムローズのメンバー。だがその実、帝国のスパイ。
小柄でアジテーションが得意。名前をゲッ“ペ”ルスと間違えると怒る。
■ヤーマ(エキストラ)
場所:秘密研究所
研究所に捕らえられている10人のシリウスの娘のうちの一人で、PC1
の恋人。PC1との間にできた子供を帝国に奪われている。
■ナンバー573
場所:任意
PC3がオープニングフェイズで拾った赤子。実はPC1とヤーマとの間
に出来た子供。幾つか強化器官に育つ「種」は植えてあるが、洗脳はまださ
れていない。
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)
HomePageに戻る