第13信


第13信

 翠さま

 命があるうちに手紙書くことにするね。
 なんかもう、いつ病院送り(最悪の場合死体安置所送り)になってもおかしくない、ってな状況になってきちゃったから。

 とりあえず、桜庭くんが蔵王山農工のバッヂ持ちで、そのバッヂをこちらの手に合法的(ホントか?)かつ穏便に保護するにはどうしたらいいかってみんなして悩んでる、ってとこまで前の手紙に書いたんだよね。

 あれ、悩む必要なくなっちゃった。
 バッヂね、白虎館の半ヤクザ連中の手に渡っちゃったから。
 白虎館の連中って、”勝つため”に”体と技を作りこんでる”のは事実だけど、それはそれとしてとんでもない奴も多いのね。ほら、こないだ四人掛かりで女の子ひとりどうにかしちゃおうとしたような(だから笑うなって。あたしじゃなかったらどうなってたと思ってるのよ)連中。下手したら、そっちのほうが主流かも。翠に云わせれば、
 「彼らは武術家だけど、武道家じゃない」
 とか、そういうことになりそうな。

 ま、そういうわけで、歴史的背景から行こうか(あるんだわ、そういうご大層なものが)。
 15年前、霞城の男子学生(……と、数名の女生徒)を二分した戦いが、市内を流れる馬見ヶ崎川の河原で繰り広げられたらしいの。
 というのも、15年前のべにばな国体が霞城(当時はまだ山形市だったけど)で開催された折、”勝つため”に全県から白虎館に集められた腕利き、いや、脳味噌筋肉野郎どもが、当時の”多少社会性に問題があったらしい”館長のもとで不良化し、他校をその傘下に収めたうえでカツアゲやら何やらを行ったのがきっかけとなって、霞城一・二・三高の”ナンバースクール”と、市の東西南北に配された灯女子・蔵王山農工・彰南・白虎館の”四方校”との間に対立が激化、ついには河原で(人死にまで出るような)決戦へともつれこんだ……という経緯があって。
 以来、ナンバースクールと四方校の間には、表立ってはいないけど確実な溝があるとかなんとか。

 この話、電光寺くんが、うちのとこの応援団長さんであるところの、日向日明(ひゅうが・あきら)さんから聞いてきたんだけどね*1。

 ついでに、各校の応援団は、そのとき一般生徒を抗争から守る目的で結成されたので、いまだに”護衛団”としての性格が強いのだ……とか。

 その話をしたときに、団長さん、さらに怖いことを云ってたのだそうだ。
 曰く。
 お前は自分の中に、何か異常な力があることに気付いたことはないか。今まで到底できなかったことが、いつのまにやらできるようになっていやしないか。
 最近、霞城の高校生の中に、そういう力を身につけてしまう者が増えつつあるのだ。
 それに気付くものもあり、気付かないものもある。気付かずに人を傷つけてしまうものが出る事態は避けねばならない。だが、もっと恐ろしいのは、力に気付き、そしてそれを悪用するものが出ることだ。
 ……といって、団長さん、白虎館の存在をほのめかしたんだそうだ。
 ついでに、三高の中にも力に目覚めたものがいるかもしれない。その人間にそれぞれ会って、話を聞いてみたいと思っているのだ……だそうで。マークされてるのは、他に葬くん、あと何かあたしも要注意人物になってるっぽかったけど……でも、聞いた限りの口調じゃ、ありゃ圏外だな。
 ……え、別のイミで要注意?うるさい、だまれ。

 でも、なんか”力”を持つ人間が増えたってのは事実らしいよ。水城さん(ほら、前に蛇にとっつかれてたオカルト美人のひとね)も、”見通しの力が強くなってきている”とやらで、葬くんとこに相談に来てたらしいし。……おだやかじゃないよねえ。

 あと、実は、もういくつか分かったことがあったんだけど、その話するには蔵王山農工でぶちかました大騒ぎの話を先にしないといけないんだわ。
 もう、死ぬほどうっとおしい話だから、さくさく行くわね。

 で、昨日の放課後の話。さっそく春奈ひきつれて蔵王山農工に「おさわがせしました」って挨拶しに行ったのよね。騒がされたのはこっちのような気もするんだけど、まぁここは表面だけでもアタマ下げて後腐れなくしといたほうがいいってことになったもんで。そのあといろいろと用事も抱えてたりしたもんで、もう、とっとと行ってとっととアタマ下げてとっとと帰ろう、としたら。

 がらがら、がっしゃあん。

 と、校門が閉まり。

  「ガッハッハッハ。かかったな」

  50年前の少年漫画だってやんないだろうって笑い声と一緒にあたしらの退路を断った……丹波猪志郎*2とそこの部員ども。ちなみに相撲部。嫌過ぎ。
 「バッヂのありかはどこだ。おとなしく教えるなり寄越すなりすればよし、さもなければ俺達が相手だ」
 やだ。あんたらの相手だけはやだ。
 「俺達だけでは不足か」
 充分過ぎます。
 「……ならば……」
 引き出される黒牛。首には墨黒々と”雷電号”の札。
 「この雷電号、餌はたっぷり与えてあるが猛々しい。心してかかれよ」
 ……誰もきいてないっつーの。
 「電光寺。お前には俺が相手させてもらう。最近は部員どもでは相手にならず、雷電号とばかり取り組んでいた。久々の人間相手、楽しみだな。お前なら俺を充分に満足させてくれよう」
 ……と云いざま、全員ががばりと学ランを脱ぎ捨て*3

 白フンドシ一丁x5。

 「……あの」
 思わず云ってやったわよ。
 「あたしら、相撲になんかぜーんぜん興味ないんでー、せめて女の子なりとも帰してもらえない?」
 「男女平等」
 こともあろうに、後ろでぼそりとつぶやいたのは日比野のアホだった。
 「あのー、じゃ、せめてTシャツなりとも着てくれない?」
 「まわしは相撲取りの正装なもんでね」
  ……って、目の前のがにやぁりと笑って掴みかかってきた。冗談じゃないわよう、せめて牛のほうと相手させてっ!!

 結果、丹波は電光寺くんにものの三撃で沈められ*4、あたしはというと上手投げはくらったものの、なんとか簪を叩きこんで反撃、身をもぎ離したところで、うまいこと戦線をすりぬけた日比野が校門を開けてくれたので、とっとと退散した。え、残り?冗談でしょ。逃げること以外頭になかったわよ。だってねえ、相手が相手よ。この場合敵前逃亡だろうがなんだろうが仕方ないじゃない!?それに、雷電号も実は尋常の牛じゃなくて、何やら毒息を吐くバケモノ*5だってことが判明したり。

 いやもう、校門が開いた途端にみんなしてとっとと脱出したもん。誰もあたしのこと責めたりなんかしなかったわよ。脱出して、それから話が大きくなる前に警察に電話して、怪我人を全て”暴走した雷電号の仕業”にして……というわけで、あたしらはスモウレスラーと戦ったことなどなかった、ということになったのだ。ああ暑苦しいっっ。

 三高に戻って、シャワー浴びて、ほかの連中は葬くん特製のそうめん(ここは、そうめんでしょう、やっぱり、ということになったのだ)を食してたんだけど、あたしと春奈と、それから素麺と薬味を整え終え、改めて見舞い料理を作り上げた葬くんは連れ立って、ちょっと出かけたんだ。葬くんが来るってんだから当然お見舞いで、それも春奈の妹さんだったんだけど、彼女、秋恵さんっていって、心臓悪くしてずっと病院にいるんだって(春奈が妹さんの分まで心臓持ってきちゃったんじゃないだろうか、とか一瞬思ったわ)。で、春奈が持ってくる学校の話をいろいろ膨らませて小説に書くのが楽しみなんだってさ。可愛い子だった。
 ……ちなみに、ここでわかった新たなる事実!!
 灰枝氏について秋恵ちゃんの曰く、
 「お姉ちゃんといちばん仲良しな人ですよね。だって、その人の話ばっかりするんだもの」
 ……と。ほおーーーーーお。そーゆーことかぁーって感じ。

 で、そこでね、灯女子の三年生の看護実習生、星明日香(ほし・あすか)さんって人と会ったの。すっごくきれいな人で、立ち居振舞いも上品な、ああ、素敵な看護婦さんだな−って人なんだけど、なんとなく、なんとなく、雰囲気に、険、というか、職業上の緊張じゃない、どっちかっていうとあたし達に似た、はりつめたものがある。秋恵ちゃんの担当さんだってことで、ちょっと話したんだけど、なんだかひっかかってさ。そしたら、あとで分かったんだけど、彼女もバッヂ持ちだったんだ。
 でも、そのときは何てこともなく(バッヂ持ちだとも知らなかったし)、三高に戻って。

 置いてきた連中はまだ素麺食べてた。でもって色々と駄弁ってたんだけど、急に、そういえば桜庭くんどうなっただろうってことになったの。で、電話したら、家にはいないって。で、これはひょっとしてヤバいんじゃないかってことになったの。だって、丹波は電光寺くんの三撃で沈んだってことは、普通に強いだけで、バッヂ持ちじゃない。それが、「バッヂを寄越せ」と、桜庭くんではなく、こっちに云ってきた……というのは、廉貞のバッヂは何物かに奪われたって話になるじゃない?

 夜にも関わらず、蔵王山農工に急行。あたしと電光寺くんとが校門近くに潜み、灰枝と千明ちゃんがそれぞれ単独で校内に。千明ちゃんは”先輩に会いに来た”って大義名分があるから、堂々と入っていったんだけど、
 ……じきに。

 「きゃーーーっ……へんたいーーーっ……ちかんーーーっ、たすけてーーーーーっ!!」

 って、すごい悲鳴と共に走り出してきて、そして助けようとする間もなく校門の外に消え去った。あたしら、しばしボーゼンとしてたんだけど、とりあえず守るべき対象はいなくなっちゃったからいいか(灰枝はひとりでなんとかするだろうし)ってので、引き上げることにしたの。

 訊けば、こういう話。
 機会科への渡り廊下を歩いていると。
 なんだか、コンッ……コンッ……という音がして。
 「なあんだ、電光寺じゃないのか」
 ってつぶやきが聞こえたんだそうな。
 思わずそっちを見ると、長髪の白ランが木刀を肩に担いで軽くはじきながら、インケンそのものって顔でにやりと笑ったんだって。で、千明ちゃん、反射的に逃げ出した。そしたらそいつ、瞬時に彼女の背後に踏み込み木刀を突き付けた……んだけど、そのときなんだか金属的な、有り体に云えば、鞘走る音が聞こえた、と。
 「そいつ、どんな奴?」
 「ヘンタイ、です」
 白虎館剣道部って、そんなんばっかりなのかしら。

 そうこうするうちに、灰枝から電話が入って、石化させられてた桜庭くんを無事救出したとのこと*6。何でも、例の山鹿氏のツレであるところの美人さん、菊瀬さんが石像の桜庭くんを前にしている現場を急襲、彼女を縛り上げた上で石化や中毒の解毒薬のありかだとか、彼らが錬金術とバイオテクノロジー(遺伝子導入とかなんとか。よくわかんないけど)を駆使した結果、怪しい生き物(黒いむく犬とか見ると死ぬニワトリとか気狂いウサギとか)を作り出したことだとかを吐き出させ、それで彼らは白虎館と手を組んでその力の傘の下であやかしい実験に邁進したかったのだとか、峠の黒犬は、実は少年院にはいかなかったものの彼らの手には落ちていた大神凱のナレのハテだとか、まぁいろんなことが明らかになったわけ。ちなみに桜庭くんのバッヂは菊瀬さんが既に白虎館のほうに渡しちゃったあとだった。

 他に、蔵王山農工には白虎館の連中が他にも(なんと柔道部だ。もういい加減にしてくれ)詰めているとか、いろいろと実質的に有難くないこともわかったんだけど。

 明らかになったところでこの手紙、終わりにしてもいいんだけど、今日もいろいろと分かったことがいくつかあったから、そこまで書いておくね。

 いち。
 春奈が”お手柄電光寺、悪徳相撲レスラー血まみれ!!”とか、とーんでもない新聞を作ってたところを灰枝と二人して急襲、騒ぎの拡大を事前に食い止めるのに成功。これは昨日の深夜の話。
 しかし、春奈ってば、よくあんな生物をカメラに収める気になったものだ。

 に。
 そして今日。電光寺くん、再び応援団に呼び出される。今度は副団長であるところの月城さんに。
 で、彼、のたもうたらしい。
 君達が蔵王山農工で起こした騒ぎ(たぶん昼間のほうだけだろうね。夜は……まぁ、騒いでたのは千明ちゃんだけだし)については、一部始終見せてもらった(だったら助けろよ、と思ったのは一応秘密だ)。自分自身、バッヂの話などは本気にしてはいなかったのだが、あれを見ては信じないわけにもいかない。
 バッヂが各校の間で不穏な動きをしている。話をまるごと信じるとすれば、あれは各校に一個ずつあるぶんにはいいが、そのバランスが崩れると、また15年前の悲劇が繰り返されてしまうかもしれない……。
 で、いろいろあったらしいんだけど、結局のところ、バッヂの行方は6つまでわかったの。ひとつはここ、ひとつは正院さん、ひとつは風祭くん(これは、月城さんは知らないことだけどね)、ひとつは灯女子の星さんで、彼女は白虎館に従っているらしい(これは月城さんの情報)。ひとつはもともと白虎館にあって、もうひとつは蔵王山農工にあったのを白虎館に奪われた。……あと、これは不確定情報で、彰南の土方武蔵(ひじかた・むさし)って男が白虎館の晨風と会談(!一国の首脳並みだわね)を持ったとか、同盟しようとしてるとか。これでこの土方ってのがバッヂ持ちなら七つ出揃うんだけどね。

 いや、数かぞえてる場合じゃない。つまりこれ、バッヂは白虎館のほうにじりじり引き寄せられてるってことじゃない。とにかくなんとかしなきゃ、ってんで、あたしら、動いた。

 あたしと日比野は、それぞれ正院さんと、鮎原雄のところに。バッヂの使用法を訊きにね。

 正院さんは、二高の薬草園で仕事してる最中だった。バッヂの使い方を訊いたら、
 「バッヂに対して……運命を受け入れること。その覚悟をすること」
 って、答えた。つまり、あたしたちが、鮎原兄弟が人間であることを保証したように、バッヂが自分の運命の一部であることを受け入れること……みたい。
 ほかにも、いろいろ教えてはもらったんだけどね。一高の(たぶんバッヂ持ち……というか、「持つべき人」か)長谷堂啓(はせどう・けい)って人が、せめてナンバースクールのバッヂ持ちだけでも連携するべきだと云ってる事とか、あと、すべての”駒姫”がバッヂ持ちになるわけじゃないとか。
 でもなぁ、なんか怒らせちゃうんだよなぁ、あたし、彼女のこと。たぶん、彼女はバッヂ持ちで、あたしはそうじゃなくって、だから彼女には、あたしなんて無責任にあっちこっち首突っ込んで回っているだけにしか見えないんだろうし(あなたのところの日向さんに任せて、余計なことしなければいいのよ。だいたい、あなた、”できることをしてるだけ”って、殊勝げなこと云って、この子(千明ちゃん。同行してたのだ)を巻き込んでいるでしょう、とまで云われてしまった)。
 わかるんだけど、わかるではあるんだけど、なんとかならないかなぁ……。翠だったら、どうする?

 あと、二高もいろいろときな臭いことが起こってるみたい。そうとう気が立ってたよ。
 なんてったって、正院さんに会おうとしたら、いきなり、すっごい背が高くてかっこいい人(腕に覚えあり、と見た)に、二度ほどくってかかられそうになっちゃったもの。上島巴(うわじま・ともえ)さんっていって、体格は翠と同じくらいかな、髪、ベリーショートにしててね、かっこいいんだけど、性格はどっちかっていうとあたし似らしい。こっちの言い訳もなにも聞く耳持たずでつまみ出しにかかられちゃったよ。そのたんびに、彼女の友人らしい妹尾さん(妹尾環(せのお・たまき)さん、というらしい)って小柄な人がすっ飛んできて抑えてくれて、どうにか事無きを得てるんだけどさ。

 日比野氏のほうは特に収穫なしだったらしい。鮎原くんいわく、自分はあのバッヂを使ってたというより使われてたって感じだからとかなんとか。

 こないだ病院で会って面識があるから、ってので星さんのほうに会いにいった葬くんがアタリだったみたい。
 星さんはとりあえず悪いことをする気もなさそうだし、ヒポクラテスの誓いにもナイチンゲール憲章にも忠実だし、特に危険はない……と。
 ただし、灯女子にしても、それなりの戦闘力は持ち合わせてるようで、帰りがけ、背後から、どうも外国からの留学生らしいお姉さん(No!振り向いちゃダメ!!って云われたので視認はしてないらしい)に銃つきつけられたり(たぶん。50m向こうから飛んでくる殺気、って云ったらそうじゃないかって思うの。刃物の殺気じゃなかったって云ってたし)して。星さんからも、そういうことがあるかもしれないから、そしたら決して振り向かずに、「星が、私の患者さんにも関わることですからここは手を控えてくださいと云ってました」って告げるように、って言われてたんだってさ。

 そうそう、バッヂがらみの黒幕ではないだろうとは思うけど、表向きの敵とちょっと会ったわ。あたしはニアミスだったけど。
 あっちこっちから帰ってきて、報告会やってるところで、ケイタイに薫子さんから連絡があってね。
 風祭くんの様子がおかしい、デート中に、急用ができたからバス停まで送る、って急に言い出して、結局バスに乗せられちゃったんだけど、あまりにも様子がおかしいから心配になった、と。

 全員青ざめて、即行動開始。大方彼のことだ、何か妙な殺気(つまり刺客であるところのどっかの高校生よね)を感知して薫子さんを帰したのだろうってんで、二手に分かれて荒事の舞台になりそうなところを一回りすることにしたわけ。
 で、結局先に晨風と対峙してる風祭くんを見つけたのは電光寺・灰枝・葬組。
 どうやら晨風は風祭くんにバッヂを差し出すよう迫り、風祭くんは断った……というところだったみたい。
 もっとも、あたし達の組がかけつけたときは、晨風は去ったあとで、そこには膝を蹴り割られた風祭くんとか投げ矢の刺さった灰枝とかが残ってるばかりだった。灰枝はあいかわらず懲りない男で、うむいい写真が撮れた、これで、”白虎館分裂!番外番を切り捨てる館長”ってな特集を組むのだ、とか、脂汗流しながら云ってたけど。

 他に、葬くんの云うには、晨風は、通常は目には見えないだろうが鴉天狗を供にしてた、とか。そういや、ここってば羽黒山目の前だし、天狗ならお膝元じゃない。彼もただ武術だけの人間じゃなかったってわけね。武術だけだって厄介だってのに。
 もう、やれやれって感じ。

 それはそうと、明日にでも、おばさまに”15年前の戦い”の話、聞いてみようと思うの。
 おばさまってね、けっこう年の離れた結婚なさってるから、実はそのとき丁度高校生のはずなのよ。しかも、ろくでもなく強いし。”数名の女生徒”に入ってる可能性、ものすごく高いもんだからさ。

 そんなところで、今日はここまで。
 ではまたね。

                                                      乱筆乱文失礼
                                                         暁  拝

翠さま  なんだかもう、死ぬかも。もしもあたしの訃報とか届いたら、この手紙証拠になったりしちゃうかも。もう、冗談じゃないって。




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