野望日記2003/10
2003/10/06 絶不調
いろいろあって嫌になった。
眠って目が醒めなければいいのに。明日なんて来なければいい。この夜の静けさの中でただずっと、じっと息を潜めている。
人を煩わせてまでここにいる必要はあるんだろうか。それでも、ここから居なくなろうとするだけで回りには迷惑をかける。親兄弟や仲間以外のしがらみのおかげでこの場所に居る。
ただ、それが「ここに居る」ことなのか、「ここに縛られている」ことなのか、まだわからない。自ら望んで、たゆたう世間に恐れをなして自分を舫ったはずなのに、今それに苦しんでいるのは果たして苦しんでいるのか。それともただ自分の方向がわからないのか。
人の縁がなければ多分、どこへでも行くことができる。けれど、今の僕をつないでいるのは愛でもなく、友情でもなく、責任感でもなく、人に迷惑をかけることへの恐怖だ。
なにか大義名分があればすぐにでも逃げ出すに違いない。
思えば、最初に意識的に逃げたのは高校の水泳部だった。きつくなったのと嫌な先輩が居たこと。そしてどうやっても伸びないタイムに自分の居場所がなくなっていったこと。大義名分は受験だった。当時、相棒の戸石に泣きついたのを覚えている。僕にとっては社会をまるまる切り離すような覚悟だった。水泳部である自分をなくしたら何も残らないと思っていた。
一人で居るのには耐えられない。何かに所属していないと安心できない。所属するものが保証する地位に安穏としていられる、その安心感をどうしても求めずにはいられなかった。
大学の部活を続けていられたのは多分、学生であることから逃げたせいだろう。だから、部活に行かないと僕は居場所がなかったのだ。
今、僕は翻訳の仕事を手伝わせてもらい、個人ではRPGを遊んでいる。これは今の仕事に対する明らかな逃げなのだと思う。
今の僕に、3級39俸をもらう資格はない。それだけの働きは多分していない。
自分の目から逃げることができれば少しは楽になるのかもしれないけれど、何よりも自分の目から逃げる術などあるはずがなく、常時後頭部から声が聞こえてくる。
「望まれていない、役に立っていない、荷物でしかない、名前だけでしかない、人一人の働きを果たしていない」
うるさいと答えることもできない。声を上げて反論すれば多分、周りの人はぽかんと僕を覗き見るだろう。わからないなりに遠巻きにするならまだしも、多分僕の耳に聞こえている声は周りの声に違いないのだから。よしんば、そう声に出していっていなかったとしても、僕の耳に聞こえる言葉を口にすればそのとおりだと認めるだろう。認めずにはいないだろう。
電話がかかってくる。上司、知人、友達や恋人と呼び得たものたちの言葉、電話口の向こうでいらついている言葉が聞こえる。その様子が見える。きっと僕は何かまずいことをしたに違いない。気がついていないだけできっと何かミスをしたに違いない。僕には何もできない。僕は何一つ満足にできない。
踵から、僕が抜けていく。すぅっと、僕を形成しているもの僕を立たせているものが抜けていく。僕の匂いだけが残った自動機関が皮膚の下でかろうじて僕の姿を留める。でもそれは反射を返すだけの機械でしかない。いや、違う。元から僕は自動機関だった。返した反応に何か答えようとしてモニタリングしていたのかろうじて自分といえるものだ。そしてそれが抜けていく。僕が僕の外で僕の応答を見ているけれどもうフィードバックは成り立たない。
砂がこぼれるように踵から僕が抜けていく。支えを失った僕に世界が倒れこんでくる。壁が空が山が家が車が柱が。僕の座る場所が吸い込まれていく。この絶望をしるすのにかかった時間が時計盤の奥から僕をあざ笑っている。こんなものを書き留めているのは悲鳴だろうが聞いて欲しいのだろうがその悲鳴をお前のことをあまやかしてくれるウェブの住人の目の届くところにおいて甘やかしてもらいたいという下卑た根性は透けて見えるのだ。
言葉は正しい、わかっている。僕の言葉はまだ正しいことを言っているたとえそれが聞くに堪えない罵詈讒謗であったとしても自尊心の絞りかすはまだ残っているのだ。自尊心から逃げることができない俗物ならば、俗物のままそこで生きてゆけばいいのだ。いつかお前は得意げに言ったはずだ、「この場所から飛び立つ翼などいらない、この場所にしがみつき生き抜くための牙と爪が欲しい」と。お前に翼は与えられなかった。牙と爪も与えられていないが芋虫のようであってもこの場にいることをやめさせることはお前にしかできない。
けれど、ここにいることも嫌だ。
だから眠ったまま目を醒まさないでいたい。続く夢の中であいつ達と遭い、そして話をしていたい。あこがれた連中に肩を並べる自分にはなれなかったから、そのそばにいるだけでいいからそのそばにいて話を聞くだけでいいから。ただ眠って目覚めずにいたい。
ただ眠って目覚めずにいたい。ただ眠って何も聞かずにいたい。ただ眠って何も見ずにいたい。ただ眠って何も思わずにいたい。ただ眠って明日のことを来月のことを来年のことを思わずにいたい。
2003/10/13 連休
というわけで、被害妄想まで出てきたようなのであわてて医者の予約を取り付け安定剤を追加する。トレドミンとレキソタンはいつもどおりでそれにパキシルとヒプノールが追加。
ヒプノールは初めてだけど名前からして眠剤だろう。
とめてくれたたっちー先輩の部屋でマシンロボレスキューと秋の新作とカレイド・ステージ第一シーズンのラスト2話を見る。幸せ。マシンロボレスキューのエンディングはぜひともカラオケで歌いたい歌だ。
まぁ、せっかくの連休だし、時間も少ないので掲示板で有志を募りAMC2003のテストプレイを企画、12日に実行と相成った。なお、手回ししてくれたみつまっ、および急な申し出にもかかわらず会場を提供してくれた神無月さんには感謝。
で、参加メンバーはウチのサークルの若手連中でガチのガチガチな人たちが来てくれた。様々に得ることが多いセッションであり、数多くの反省点も出た。役に立った。しかし、隣で見ていたなおなみさん曰く、
「コミューンがあると、なんかすごくそっけない話になるんだねぇ」
まぁ、そんなもんです。
その日は時間も遅かったので晩御飯を一緒に食わずに帰ることにしたが、わざわざ赤羽から下北沢方面に戻るのが億劫(日光へは北千住から)だったのでたっちー先輩のところに再び泊めてもらうことに。
ロマンシング・サガ2の七英雄戦を延々と見たりする。たっちーさんは現在最終皇帝のみでのクリアを目指しているのである。以前この人はラスト・ダンジョンから七英雄戦を最終皇帝一人だけでクリアしたのだが、今回は皇帝の代替わりイベントが可能になった時点で全ての継承対象者を殺して最終皇帝を引きずり出し、以降のイベントも全て最終皇帝一人のみで解くという苦行である。
はっきり言って馬鹿だ。
けれどこの人は第2次スーパーロボット大戦Gにおいてガン・イージに乗ったシュラク隊のみでヴァルシオンを倒すという離れ業をした人なので、もしかしたらやってくれるのかもしれない。
それにしても、線切りで七英雄あいてに4400ダメージ出すのはどうよ、と思った。
あと、畳の上で雑魚寝して毛布に包まってぼけっとロマサガ2の音楽を聴いているとつくづく学生のころと同じような時間を感じてしまい、もしかしたらまずいのかもしれない。
2003/10/24 頭痛
仕事があるにもかかわらず、本日は頭痛でダウン。
低気圧かと思ったけれど、どうやらパキシルの副作用の模様。仕方ないので連絡を取って横になっているととにかく眠れてしまう。気がついたら午後三時だった。もともとの疲れもある程度あったのかもしれない。
目を醒ましてから風呂に入り、うだうだと書き物をしたり読み物をしたりする。Monte Cookが自分の会社Malhavoc Pressから出したAlternative PHBであるところのArcanaUnearthedをちまちまと読んでいる。Alignment(属性) がなかったり、呪文に秘術・信仰の区別がなかったり確かにD&Dではないファンタシィっぽい。個人的には在来のモンクに相当するOathworn(誓願を纏う者)てのがいい感じ。16レベルで1d20の素手ダメージとか、誓いのためには最終的に息をする必要までなくなったりとどんどん人じゃなくなってゆく。
この間、官車を運転していたら突然ギアが変わらなくなってニュートラルのまま1速で固定されてしまった。
あせって近くの駐車場に入れたり修理工場の手配をしたりした結果わかったことはギアボックスの焼け付き。どうも林道を運転中に腹を打って、そのときに傷つき、少しずつオイルが漏れていたらしい。で、ギアが焼け付いて替わらなくなってしまった模様。
とりあえず、これで本署の車両経費のかなりの部分を自分が使ってしまってもう後がないわけである。
で、本日D16が焼きついてしまった。
心当たりとなることはいろいろあるけれど、どれも決定的な事実には程遠い。とにかく薬の副作用にしろなんにしろ頭痛だけではなくて、何かをしようという気すら起きなくなってしまっている。そしてずっと動悸が治まらない。目的のないくすぶるだけの焦燥感になぶられている感じだ。
とりあえず職場の相談は済ませ、仕事も何とかごまかしたけど産業医に見てもらってどのような結果になるものかわからない。
多分今の仕事に音を上げて、やめたいと思ってる自分がいるのだけど、やめた後どうなるものでもない自分には何もないことをほかならぬD16が良く知っている。
さてどうしたものか。
こうなってみると、この間の落ち込みはまだギアが嵌っていたんだなという気がする。何らかの焦り、苦しみがあってそれを文章にせずにはいられなかった。そういう形で外に出さずにはいられなかった。
けれど今は違う。
自分を見据える気にもならない。在る今を考える気分にもならない。
ただ、座っている。
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