英国日記


    教習日記から英国日記へ、果たしてD16は無事日本に帰国できるのか?

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    2000/03/07

     渡英当日。渡英に至るまでの手続きや準備が面倒で少しへこんでたが期日が迫るにつれ、期待感が育って行く。そんな中でついに渡英当日の朝を迎えた。朝七時起床、八時日暮里駅到着、8時15分のスカイライナーで成田へ。
     搭乗手続き等は何らネタになるような物もなく、順当に進行。少しギャラリーに申し訳ないみたいだ。フライト前に一応国内で連絡が付く人に挨拶の電話を入れる。こんな時に「もしもの場合」を考えてしまうのは神経質なんだろうか。
     機内は狭い。
     当然といえば当然なのだが、やっぱり狭い。まるで座り棺桶とか考えてしまう。やっぱりやばいぞ俺。フライトは12時間読む本は先輩から借りたちくま文庫の「アーサー王ロマンス」。この先輩のおかげでコーンウォール、ウェールズを回ろうと決意したような物。それまでは大英博物館だけ行ければいいかとか思ってたんです。
     ちっと喉が痛いのは花粉症のせいらしい。飛行機に乗るのは人生において6回目で、国際便は3回目それでも飛行機というでっかい機械の固まりの中にいると人間てすげぇとカンドーする。
     発進、一時間くらい読むと目が痛くなってきたので睡眠薬と酒を併用して眠る。3〜4時間ほど眠れたらしい。それでも起きたら暇だ。映画はチャーリーズエンジェルという美女三人が入れ替わり立ち替わりコスプレして事件を解決という胃Sにたまらないのを流している。12時間の間3〜4回かかっていたが、30分以上見る気になれなかったり。
     時刻表と地球の歩き方を出して旅行のプランを考える。行ってしまってから考えようと思ってほとんど何も決めてないのだ。

     大体三日分ほど考えたところでまた眠くなったので眠る。そうこうするうちに飛行機はこれまた順調にヒースロー空港に着く。入国手続きの際に身分を聞かれて「学生」と答えたところ、何を勉強しているのかと聞かれた。forestryと答えるとWoodcutterと問い返された。ごめんなさいこれ以上のことを答えるほどの英語力有りません。
     ヒースローからは地下鉄に乗り、ピカデリーサーカスへこれがいけなかった。いや、別に悪い訳じゃないんだけど、地下鉄って心の準備もないままにあの、ピカデリーサーカスの真ん中に放り込まれる。人、人、人。車、車、車で完全お上りさん状態である。
     とりあえずホテルにチェックインして(繁華街のど真ん中にあるホテルでした)荷物を置いて街へ。劇場が安いと聞いていたのでもっとも安い席を取る、7:45分からの回で10ポンド2000円しないのはやっぱり安いと思う。
     暇つぶしにHamleysというおもちゃ屋に行く。ここは全五階だてで全部がおもちゃだ。目当てはTRPGに使えそうな物。TRPGそのものを見ることができればそれに越したことはない。
     実際にはTRPG関連の商品は思ったより少ない、それよりはウォーハンマー(メタルフィギュアシミュレーション)の商品が多い。よくよく考えれば発売元であるゲームズワークショップはイギリスの会社だった。
     上から下まで流す。このときほどビンボー旅行であることを感謝したことはない。ゲーム用のメタルフィギュアとは別のいわゆるヒストリカルなメタルフィギュア、ソフビの動物(タコの出来とサイズがゲームにぴったり!)そして、鉄道模型と危険な代物の連続である。十分楽しんでしまってから出る。
     飯はホテルの近くのバーガーキングで済ます。
    「……安酒の味はどこも同じだ」
     先輩の書いた小説のフレーズを思い出す。次回からは地元物を食おうと決心する。薄暗がりにパブがあり、入ってみたい気もするが、少し気後れしてしまう。
     ロンドンの第一印象は石の町と言うこと。東京とかはコンクリートの街だがロンドンは石造りの街だ。町並みや細部の意匠が面白く見ていて飽きない。一定以上の高さの建物がないのがとても町並みを落ち着かせていると思う。こういう町並みを見ると、日本の町並みはいかにも雑然としているのだなと思う。好き嫌いの問題かも知れないが。

     劇場は素晴らしかった。見た劇は「オペラ座の怪人」だったのだが、もう少し内容をしっかり覚えてから望めば良かった。台詞は全然わかんないのである。みんなが笑っているところで笑えないと言うのはわりと悔しい物だ。
     僕の好きなクトゥルフの呼び声というゲームのシナリオにこの「オペラ座の怪人」をモチーフにした物がある。以前プレイしたことがあり、僕の好きなシナリオの一つなのだが今回実際の舞台を見てみて全然雰囲気を出せていなかったなと思った。少なくとも今あのシナリオをプレイすれば全く違った物になる気がする。そのくらい良かった。

     帰ってくると疲労困憊。
     とにかく日記だけ上げてあとはお休み。
     よし、寝るぞ。

    2000/03/08

     目が覚めてもロンドン。
     当たり前のことに感動してフロントにシャワーを借りる旨の電話を入れる(シャワー、トイレ共同なのだ)ぬるいシャワーを浴びて朝飯を頼む。ここは各部屋で食べる形式らしい。イギリスなのにコンチネンタルブレックファストでちと不満ではあるが良しとしておく。
     朝飯はオレンジジュースにパン二つ(うちクロワッサン一つ)マーマレードとジャムにリンゴが一個。それにインスタントのコーヒーとティーバッグがつく。青リンゴが美味しかった。
     食べたあとは荷物をまとめてチェックアウト。今日は大英博物館に行く予定。早く済んだらロンドン塔にも行こうと思う。
     泊まり場所を確保して荷物を置くために最初にロンドンのユースホステルに向かう。セント・パンクラスのユースホステルはもっとも新しいユースホステルで実際にこぎれいな作りだった。ドキドキしながらチェックイン。何とか通じるよ、すげー。
     荷物を置いて大英博物館へ途中道に迷いながらも大英博物館に到着。以下雑感。
    ・すげー、教科書に載っていた物の実物がある。(正直な感想)
    ・すげー、これが大英帝国の略奪の成果か(ひねくれた感想)
    ・Reading Roomに入ってみる。ここはかの南方熊楠が本を漁っていたところのハズ。直径30〜40メートルの円周状にずらりと書籍が並んでおり、天井は高く圧倒される。
    ・新しくできたGreatCourtは大英博物館の中庭をガラス天井で覆った物。遠近感が狂うような広さだった。先程のReading Roomも同様の感覚だった。
    ・アッシリア文明の遺物をみて、楔文字がぎっしりと埋め込まれているのを見てデザイン的にきれいだと思う。楔文字のようにシンプルなデザインでも、アステカの絵文字やエジプトのヒエログリフなどのように手の込んだデザインでも文字という物は並べられたときには美しさを醸し出す物らしい。
    ・それにしても壁の石像をはがしてまとめて持ってくるあたり、大英帝国もやりすぎだろう。
    ・ローマ文明の彫刻を見て、ピグマリオン・コンプレックスについて共感できた。確かに自分の理想の姿をあの彫刻に見出したらその思いから離れることは、難しいと思う。それくらい美しい。
    ・パルテノン神殿の説明に日本語ガイドがあったので思わず借りて聞く。やはり日本語があるとそれに頼ってしまう。借りた甲斐はあって何となく見ていた彫刻の細部の説明に結構恐れ入ってしまう。何事にも先達はあらまほしきことなり、とはこのことか。
    ・イスラムの工芸品は彫金に素晴らしい物があった、遠目に見ると気がつかないけれど、近くで見るとその高密度、細密な工芸に恐れ入る。
    ・新月刀(シミター)の実物を初めてみる。日本刀とは別の曲刀の美があった。先端部に若干の幅を持たせてあるのが美しい。もちろん、地肌への彫金細工もあったけれど、シルエットだけで満足してしまいました。
    ・風水盤を見つける。風水に相当する言葉はGeomancyだとか。
    ・教科書に載っている源頼朝の掛け軸を生で見る。

     その後、ユースホステルに戻り部屋にはいると日本人の先客。意気投合し買ってきたビールで一杯やる。向こうは既に一ヶ月近くヨーロッパを歩いてきたらしい。一番やばいのはスペインだとか。
     その後、酔いが回ったのですぐ寝てしまった。

    2000/03/09

     割と早めに目が覚めてしまい、家族へと絵葉書なんぞをしたためる。その後、ホステルの食堂でイングリッシュブレックファースト初体験。コーンフレイクスとトーストが同時に出るんですね。日本で食べるトーストとまるで違うんでなるほどと思いました。
     それから10:03パディントン発の列車に乗るためにチェックアウト。パディントン駅は大きなルーフの下にたくさんの列車のプラットホームが並んでおり、またしても遠近感の狂うような空間。この感覚は嫌いじゃない。目当てとしていた10:03の便はなぜだか知らないがやっていなくて仕方なく10:33の便に乗る。この調子だと今日中にランズ・エンド(「地の果て」) にたどり着くのは無理っぽい。
     そう、今回はコーンウォール地方にイギリスの南西端を見るために行くのである。それともう一つがフランスのモン・サン・ミシェルのイギリス版とも言うべき、セント・マイケルマウントを見ること。岬の先端に有って、満潮になると島への道が閉ざされてしまう僧院。もっとも自分にとってはセント・マイケルマウントは荒俣宏の「風水先生レイラインを行く」で紹介された、イギリスのセント・マイケルラインの端っこというイメージが強い。これは聖マイケルにちなむ僧院や遺跡が、一直線に連なっており、その方向は夏至の日昇方向に等しいという物。
     さて、列車は日本とは違いコンパートメント方式がメインで、向かい合った席の中央に割と大きめの机がある。席自体も体の大きいこちらの人に合わせてあるのか大きめで楽。これから長い移動だ。
     外に目をやる。
     ロンドンは少し走るとすぐに郊外になり、そして郊外はすぐに農場になる。あちこちにピンク色の花が咲いている。桜だろうか?しばらくすると、雲の切れ間に渡英して初めての青い空を見ることが出来た。
     そう言えば割とどうでもいいこと。
     列車の中のトイレに行き開高健の台詞を思い出す。ようやく腹の中にまでビザを押されたようだ。(注・その後、ペンザンスのホステルで食べたシリアルが繊維質だったせいか、日本の頃と同じに戻りました)。汽車の中で今後の予定を考える。楽しさと不安が同居する作業だ。以下のような感じ。

     3/09 ペンザンス移動、ペンザンス泊
     3/10 ペンザンス観光、ペンザンス泊
     3/11 カーディフへ移動、カーディフ泊
     3/12 カーディフ観光、カーディフ泊
     3/13 ロンドンへ移動、午後ロンドン見物
     3/14 ヘースティングスへ移動、午後観光、ヘースティングス泊
     3/15 カンタベリーへ移動、午後観光カンタベリー泊
     3/16 予備日、
     3/17 ロンドン観光、ロンドン泊  3/18 帰国当日
     そうこうするうちにペンザンスに到着。閉まりかけたツーリスト・インフォメーションでホステルへの道を聞く。途中一緒になった黒人の男性と一緒に途中までの道を急ぐうちに、森の中の瀟洒な建物につく。昔誰かの邸宅だったのだろうか。人を泊めるのだから当然なのだけれど大きい。
     レセプションのお姉さんはとても笑顔がすてきな女性だった。チェックインを済ませるとノートを渡される。見てみると日本語でここを訪れた人の感想が書かれている。なるほどね。
     ペンザンス周辺での観光について聞くと、なんと一番楽しみにしていたSt.マイケルマウントは土日はお休みと知る。大誤算であった。滞在を延ばそうかと思ったけれどそうするとペンザンスに4日もいることになる。ホステルはきれいで居心地はいいけれどもう少しいろんな所も見てみたい。感想ノートを見ると、ランズ・エンドの他にミナック・シアターという野外劇場、それとSt.アイヴスという港町の感想がみんな褒めているのでそこに行ってみることにする。

    2000/03/10

     朝ご飯。イングリッシュブレックファストは一杯のオレンジジュースと、ボウル一杯のシリアルから始まる。このとき、シリアルはたいていコーンフレイクか他の雑穀メインの物かが選べるようになっているのだけれど、雑穀のシリアル(ミューズリーといっていた)が美味しい。
     朝食になって周りを見ると、止まっている人の年齢は若者か老人かのどちらかのようだ。羨ましく思ったのが白髪のおじいちゃんがシマノの靴(サイクリング車のメーカー)にぴちっとしたタイツでサイクリングの準備をしている所。こーいうのっていいなぁ。
     オレンジジュースが美味しい。日本との差は主食にしているかどうかなのかなと思う。日本のオレンジジュースはやはりお菓子かそれと同様の扱いから抜け出ていないんだろうなぁ。
     このあと本式のイングリッシュブレックファーストでは目玉焼きとベーコン、豆とかのおかずが出る。あとそれとは別にトーストが食べ放題らしい。ところが今日は僕はチェックインの時にメニューを聞かれてフルーツマフィンとか答えた物だから、朝飯にタンパク質がないことに。しまった。
     仕方ないのでトーストで腹をごまかす。こっちのトーストは薄く、表面はカリリと中はふんわりと焼いてある。
     割とゆっくりと食べてしまったので9:20発のランズエンド行きのバスには間に合わないかな……。

     荷物を置いてホステルを出て、近くのバス停まで歩くと運良くほとんど待たずにバスがやってきてくれた。こちらのバスは乗るときに行き先を告げてお勘定を先に済ませる仕組み。何とかランズエンド行きのバスに間に合う。二階建てのバスだ!
     なんで二階建てなのかはすぐにわかった。郊外の農場に行くと低い生け垣がそれこそ果てしなく続いていて上の階ではないと何も見えないのだ。バスは細くて急勾配の道を進んでいく。時折ものすごい音を立てて道に張り出した枝がぶつかるのはご愛敬。
     そしてミナックシアターのあるPorthcarnoのバス停に着く。ここからも海岸が眺められていい感じ。やがてシアターへの入り口が見えてくる。駐車場には一二台の車が止まっており、老紳士が海を眺めていた。挨拶をすると身なりを見てハイカーと思ったのか話しかけてきてくれた。何でも、海岸に降りる方の道は口蹄疫の流行を防ぐため封鎖されているのだという。じゃあ、シアターへ降りることもできないのかと思ったけれど、幸いシアターの展示は空いていて1.5£払って展示と中に入ることが出来た。
     ミナックシアター
     まずは険しい岸壁と青い海、そして白い砂浜のコントラストに脱帽。中の展示は ここを作った女性ロウィーナ・ケイドの来歴や上演された劇の説明や衣装など。そこを抜けるとシアターへの入り口。歩いていくと……、見えた!
     断崖に張り出すようにして小振りの舞台があり崖の壁に観客席が刻まれている。観客席から舞台を見ると背景に翡翠色の海、そして泡立つ波飛沫。うぉおおお、カッコイー!!水平線は微かに煙っている。
     観客席の背もたれには上演された劇がセメントで記されている。これを見てTRPGのシナリオに使えると思ったり。(たとえば、かつて上演され、忌まわしい物として封印された劇の題名が塗り込められた漆喰の下から現れたり、とか。クトゥルフに使えそう)

     ミナックシアターからランズエンドまで歩く。一時間半くらいの行程。途中で暑くなったのでコートとフリースを脱いで歩く、歩く、歩く。
     地平線のこっち側からあっち側まで低い生け垣と農場が広がる。たまに水平線の向こうにクロイスターが見え、DiabloUの第一アクトはこの風景を元にしているのだなと思った。
     ランズエンド
     ランスエンドは何か懐かしい意味で観光地化されていた。日本語で案内文とか書いてあるし。
     風景は確かに絶景。高く切り立った崖に砕け散る波。春のやや鉛色をした海に、雲の切れ間から日の光が射し込んでくる。けれど、ミナックシアターの方が人が居なくて良かったかなとか思ったり。インスパイアされたのはミナックシアターの方。
     ここからペンザンスまで戻ってSt.Ivesという港町まで足を伸ばせるかと思ったが、のんびり紅茶なんか飲んでるうちにバスを乗り過ごす。次のバスは二時間後。
     仕方ないので二時間潮風に吹かれてボケッと海を見ていた。打ち寄せる波は一つとして同じ物はないんだなとか、雲の形が変わるのを見るなんか久しぶりだなとか。だって他にすることもないし、いかにも観光地ライクなアトラクションに入る気にもなれなかったし。
     何とかバスをつかまえてペンザンスへ。途中道筋にしれっとストーンヘンジがあったりして、びっくりした。
     結局ペンザンスについたのは17:00。もうちょい時間がありそうだったので、St.Ivesまで足を伸ばす。途中、バスに乗ってた子供がキックボードに上手に乗って帰るのを見て、こうしたボード類は石畳の文化圏でする遊びなのかなと思った。
     St.Ivesは瀟洒とか可愛らしいとか言う形容詞がぴったりする町。港まで降りて海の青さに驚く。予想に反してコーンウォールの海は青い。
     しばらく波打ち際のベンチで家族に手紙を書いたりして過ごし、それから突堤の先まで行ってみる。漁船の近くまで行くとようやく潮の香りがした。夕方6:00をすぎてもまだ明るく、緯度の高さを実感する。
     それから、意を決してパブに入る。ちょっと気後れする自分を励まして、
     "A pint of lager , please"通じた!ついでにここで晩飯をと思い、Cornish Pastryを注文する。
     いつものつもりでぐぃっと呷ると、側にいたいい顔した親父が、「ラガーは、ゆっくり飲むものだよ」と教えてくれた。片言の英語で話し、"I'm poor at English"と言うと「構わない、ここはCornishでEnglishじゃない」と来た。なるほどね。
     嬉しくなったので葉書を書いていると隣に座った二人連れが話しかけてきてくれた。なんの文字だと聞かれたので"Chinease letter"と答える。それからあれこれと話が始まった(と言っても片言だけど)
     二人はStephanとCharlieと言い沿岸警備隊の職員らしい。僕がこの町はgracefulだと言うとにっこり笑ってコークハイをおごってくれた。なんと御礼を言ったらいいかと惑っていると、"Just say thank you!"と言ってくれる。それから話は日本の酒(サキと発音していた)や東京について(名前だけ知っていたらしい)、どんな国なのかについて、どこを回ってきたのか等々を話した。特に熱く語ってくれたのが、Cornish Pastryについて。
     Stephanによると本当のCornish Pastryはうちで母親が作ってくれるのを食べるのが一番だが、ここのを気に入ってくれたのなら良かった。とか言う内容だった。(気がする、以上の会話の内容は所々筆者の思いこみがあるので鵜呑みにしてはいけない)
     素晴らしく楽しい時間だった。この町の人は旅人への接し方をよく知っていると思った。
     食べきれなかったチップスを包んで時間を聞く。帰りのバスにはギリギリ。何度も礼を言ってその場を辞しバス停へ。
     日が暮れている上に、気持ちよく酒が入っているのでは道を覚えていろと言う方が無理である。
     焦っていると行き違った老夫婦が助けてくれた。丁度帰り道だからつれていってくれると言う。やったね、運がいい。
    道すがらこの町のことについて話す。ご夫婦は以前オーストラリアに住んでいてそれからこの町に越してきたのだという。英語を褒めてくれたのでそれほどでもないと謙遜すると「私の日本語よりマシよ」と言われた。参った。
     何とかバスに乗りユースホステルへ戻る。スタッフに今日まわってきた所を話したら「盛りだくさんね」と言われた。そうかも知れない。
     明日はカーディフへ。がんばろー!

    2000/03/11

     なんだって昨日はイングリッシュブレックファーストじゃなくって、フルーツマフィンなんか頼んだんだろう。今日のはかりかりベーコンが美味しゅうございました。旅行中は朝がっちり食って、昼と夜は軽くと言う風になりつつある。
     9:55の列車に乗る。ヨーク行きとかなっているが途中、Bristol temple meeds駅まで行って乗り換えるのだ。
     途中、涙を呑んで諦めたセントマイケルマウントを眺める。いつか来てやるからな、待ってろ!
     とか思いつつ、本を読んだりして時間を潰していると雲行きが怪しい。いや、実際の天気はいつも曇り空でしょっちゅう雨なので雲行きが怪しいのはいつもの話。怪しいのは止まる時間になっても列車が止まらないこと。どうやら思っている列車とは違う列車だったらしい。あわてて降りたのはブリストルのとなりあたりにある大きな駅のBath.spa。慌てて駅員さんに聞いてカーディフ行きに乗る。
     カーディフの第一印象は洗練されていないロンドンという感じ。ペンザンスやコーンウォール地方の雰囲気に慣れた自分にとっては幾分かごみごみして汚く見える。寂れて見えるのは日曜の夜だからだろう(後から同じ頃に歩いたが、ウィークデイは賑やかだった。やっぱり日曜は寂れるらしい)
     ユースホステルに着く。これまでのユースホステルが余りにきれいで、こざっぱりとしていたせいで。普通のドミトリーがみすぼらしく思える。贅沢だぞ、自分。
     仕方ないので頭を切り換えて明日のカーディフ観光を考える。
     飯を外に食いに行くが、入ったパブは食べ物をやっておらず、マックで済ます。やっぱり日本と同じ味がしてゲンナリ。
     帰ってきてからドミトリーに戻る。このドミトリーは18人くらいが入れる部屋のようだ。今のところ荷物も含めて四人ぐらいが泊まっている。さっき受付に日本人らしい女性も居た。明日の朝には朝食であえるだろう。
     PCを充電しつつ今後の行程を練り直す。といってもあまり大きな変更は無し。
     やがて同宿の人が帰ってくる。なんと日本人の男性バックパッカー。いろいろと情報交換する。口蹄疫のせいで歩くとかが少なくて参っていると言っていた。

    2000/03/12

     カーディフは朝は晴れた物の昼から割と強い雨。
     今日はカーディフ市内の観光と言うことでカーディフ城を見に行く。建物自体は19世紀ビクトリア朝の税を凝らした建築だが、その基礎は古くローマまでさかのぼると言うから2000年を越す歴史である。ここはガイドの人が案内してくれる様式になっている。ヒアリングに集中しようとしたが最初ッから何言ってるかさっぱりわからない。って言うか何語ですかこれ?
     ウェールズ語でした。
     その後英語で話してくれたらどうにか要所要所は聞き取れる模様。所々のジョークがわからないのが悔しい。
     場内は寄せ木、彫刻、シンボリックな絵画や彫像、ステンドグラスで溢れている。荒俣宏の著作などが頭にあるからここのシンボルや彫像の奥に秘められた真意とかをついつい考えてしまう。場内には他にキープやローマ時代の城壁を保存した区画、イギリス軍の竜騎兵隊(銃器を併用した騎兵隊、ウェールズが本場、らしい)の博物館などがあるので行ってみる。
     キープはいわゆる天守閣。そこまでの会談は結構急で雨で濡れており怖かった。昇ってみるとカーディフ市内が見えていい気持ち。ついつい、押し寄せてくる軍勢を想像してみたりする。
     Queen's Dragoon Muesiamで竜騎兵の展示を見る。ファイアボールが炸裂したりする、ファンタジーでの戦場ではこうした騎兵の行動も参考になると思った。
     軍曹などについては専門書があるのでそちらに譲るとして雑感をいくつか。
    ・Dressed Swordと言うのがあった。華奢で金線の細工が施してありうつくしい。一方で実用としての剣の方は無骨で厚みもありかなり使えると思った。
    ・ヘルメットのことをポットというらしい。
    ・騎兵という物はイメージよりもでかくて恐ろしい物と判明。あんなのが列をなして突進してきたら歩兵は逃げるわな。

    その後、大通りに面しており、バスで見つけて目を付けていた、ホビーショップ、ゲームズワークショップのプロショップ、そしてマンガ屋に行く。ホビーショップではタミヤとハセガワの勢力に驚いた。訪れているところ、趣味が偏っているせいかもしれないがイギリスに渡ってから一番よく見た日本のメーカーはソニー、任天堂で次にタミヤ、ハセガワが来る気がする。片寄ってるね、うん。片寄ってる。
     ゲームズワークショップの店ではウォーハンマーのフィギュアが安くないかなと思ったのだけれどやっぱりこっちでも高い(一体2〜3£)から日本での価格も妥当なのだなと思った。
     マンガ屋の方はアメコミとマンガとアニメとアクションフィギュアとD&Dゲームの店である。そういやWoC以外のTRPGってイギリスじゃ見ないな。
     いろんなアニメが輸出されているのを知って驚く。獣兵衛忍法帖やXならまだしも、諸星大二郎の暗黒神話やTHE・八犬伝まである。マグマ大使新アニメ版まで有るのはどーゆーことよ。
     その後ケフェリー城に行こうとしたらバスの発着所が変わってて逃してしまう。仕方なくもう一時間カーディフ市内を回る羽目に。今度は路地に入ってみたりする。おおきななアーケードのマーケットがあったので入ってみる。町を歩いているときにはほとんど感じないけど、こうしてみると自分はいかにも異邦人といった気がして少々心細い。けれどこういう生活臭のする空間は嫌いじゃない。そういえば、このマーケットの中には本屋とかもあったのだけどホビーショップもあって中古のメタルフィギュアを安く売っていた。こういうのって日本でもないかなぁ。
     そうこうするうちに時間になったので15:00発の26番バスでケフェリー城へ。
     途中の道がやたら田舎道で心細さ増大。
     40分以上してからケフェリー城が見えてきてようやくほっとする。
     ケフェリー城は中世の城といわれて思い描く城そのもの城跡で周囲を水堀に囲まれておりとてもきれいだ。嬉しくなっていくつか写真を撮り、いざ中へ!

     閉館10分前でございました。
     仕方ないので帰りのバスを探す。バスの停留所が思ったよりわかりにくく、インフォメーションに聞かなければわからなかっただろう。
     帰って17:00。ホステルに帰る前におなかに物を入れておきたかったのでウェールズ料理を出すというパブを探してはいる。
    "What is the most typical wales food? "
     答えて指さしてくれた料理のうちもっとも安いのとスタウトを1パイント頼む。待つうちに出てきたのは長ネギの輪切りをチーズと一緒に散らした焼いたパン。まずくは無かったけど見たとおりの味でちょっと肩すかしを食った気分。その後家族に葉書を書いて日記を付ける。
     飲み終わったら帰るとしよう。

    2000/03/13

     カーディフを発つハズの朝。昨日の晩ユースホステルに日本人の団体が到着して少しはなした所によると口蹄疫の被害は湖水地方にまで及んでおりフットパスは全滅だったそうだ。
     今朝は昨日見つけていた、Cornish Bakehouseというベーカリーのコーニッシュパスティをお弁当に買って行く。渡してくれた袋を見たら、St.Ivesにあった店の支店で、僕は港で見つけたときに閉まってて悔しい思いをしたので、江戸の敵を長崎で討った気分。
     バス停に行くと日本人の二人連れ。結局一人も日本人に会わなかった日って無いんじゃないだろうか。
     昨日の恨みを晴らすべくケフェリー城へ。
     いい、すんごく、いい。カーディフ城がビクトリア朝の邸宅なのに対しこちらはあくまで中世、騎士がチェインメイルを来て殴り合ってた頃の城跡。ある塔は真ん中が割れて傾いている。案内ではピサの斜塔よりも傾きは急だとか。
     バリスタやトレブシェットなどの攻城兵器が展示してあり、ビデオで実際の使用の様子を説明している。楽しい。
     ゆっくり見て回った後城を出て堀の周りを一週。近くに小学校があるらしく子供の声が賑やかだ。海鳥もやって来ている。そう言えばカーディフは港町だった。
     近くのベンチに腰掛け弁当を食う。それからバス停へ再び先程の日本人観光客と会い大過なくカーディフの駅へ。
     これからロンドン・パディントン駅に向かう。つくのは16:30位のハズ。時間などを考えてナショナルギャラリーを覗くのが適当かと思ったが、16:30から無料の自然史博物館が一番良さそうだ。電車が入線。この列車の座席はコンパートメント式が少なくなっている。日本でもよくある形式の前の席に作りつけの机があるが丁度書き物や作業、食事をするのにいいスペース。ツーかなんで新幹線の机ってあんなに使いにくいのか。
     そう言えば今日は一日中晴れている。珍しい。
     ロンドンに戻ってからいそいそと閉館間際の自然史博物館に。
     ……しまった、ここはついでで来るような所じゃなかった。
     入ってすぐ目の前にあるディプロドクスの化石がでんとそびえ立っている。回れば、トリケラトプス、アンキロサウルス、アロサウルス、イグアノドン、パラサウロロフスetc.etc.恐竜化石のメジャー所が並んでいる。恐竜のコーナーだけでこの有様である。おもしろい!おもしろすぎる!感動している最中に無情にも閉館時間で追い出される。恐竜コーナーの出口付近で恐竜をモチーフにしたおもちゃと言うことでゾイドが並んでたのが笑えた。
     その後ふと思い立って、ロンドンの名所を宵闇の中訪れてみようと思い立つ。
     まずはトラファルガー広場へ。
     噴水とライオン像、そしてネルソン記念柱がライトアップされていて美しい。こうしたシンボリックな広場があるのはいいナァ。日本だとどこあたりになるのだろうか?結局自分は大きかったり、高かったり、広かったりすると嬉しいらしい。バカにしてたけど、いい所じゃないですか、トラファルガー広場。
     トラファルガー広場からテムズ川方面に向かって歩く。道のほとりに「シャーロック・ホームズ」なるパブがある。是非今回の渡英中に訪れておこう。
     テムズ川の川縁をビッグベンの方向に向かって歩く。正面にロイヤル・フェスティバル・ホールとBAロンドンアイとか言う大観覧車が光を放っている。しかし、僕にとっての圧巻はビッグベンだった。そそり立つ姿は荘厳で夜の闇によく映えていた。屋台で売っていた砂糖の衣をつけたピーナツを買って、歩く。
     ユースホステルにチェックインして(また日本人と相部屋)隣のパブへ。日本語のガイドブックを見ている女の子が居たので相席を申し込む。葉書を書くつもりだったがいろいろとイギリスの話をするうちに盛り上がる。同じユースに泊まっていることが判明。彼女はボーンマスに語学留学中の大学一年生でホームステイ中。見ていたガイドブックはパリの物でこれからユーロスターを使ってパリに行くのだとか。
     いろいろとイギリスの話を聞く。やはり旅行するのと生活するのとでは違うらしい。たとえば、ユースホステルで食べるようなイングリッシュブレックファストは特別で、普通の家ではシリアルとトーストくらいだとか、ゴミの分別回収がないとか、賃金格差がひどいらしいとか等々。
     話すうちビンボー旅行ゆえの食い物の悩みについて話す。すると、ケバブを紹介される。いや、なんかそう言った物があるのは知っていたが、よくわからなくて入っていないと言うと美味しいから買って来てみなと言われ、一緒に店に行く。
     串に刺した肉を炙っており、注文に応じて削いでくれる。最初はロンドンでどうしてトルコ料理とか思ってたが、割とあちこちにあったので既に定着したファストフードらしい。山盛りの肉と野菜で2.5£ほど。やすい、うまい、大きい。今度からこれにしよう。
     帰って、葉書書いて、シャワー浴びて、お休み。

    2000/03/14

     朝飯を食った後、ロンドンチャリングクロス駅からヘースティングスへ。途中の道はうつらうつらしてほとんど覚えていなかった。割と早く着く。
     ここは、ユースがわかりにくいところにしかなさそうだったので、B&Bに泊まる。ちょっとぜーたくである。更にここではドーバーソール、なる魚があるというのでそれも食べて見るつもり。と言うのも昨日のユースホステルのゴミ箱に入っていたガイドブックにヘースティングスのビストロが紹介されていたのだ。そのページはしっかり切り取って持ってきた。
     ヘイスティングスの第一印象は少し寂れた観光地という物。確かにシーズンオフでもある。
     まずは中心街のインフォメーションに向かいB&Bを探す。幸いわかりやすい英語で話してくれた17£ロンドンのセントパンクラスのYHが22.5位だったからこっちの方が安い。ありがたい。
     行ってみると割にきれいな部屋。オーナーも気さくな人のよう。
     荷物を置いてヘイスティングス城へ。自分はヘイスティングスの戦いは名前だけ知っている。何でも1066年にノルマンディの征服王ウィリアムが英国王ハロルドを討ち取った戦、だそうだ。  ヘイスティングス城は町を見下ろす丘の上にありケーブルカーを使って昇る。ヘイスティングス城の跡は崖の上。実は13世紀の崖崩れで土台ごと崩れてしまったそうだ。残った石組みを見つつ思いを馳せようとしたら、修学旅行中らしいフランス人の子供達がやってきて一気に賑やかになる。城跡には1066年の戦と城について説明するアトラクションがある。入ってみるが途中から耳がついていかない。もっと世界史勉強しておけば良かった。
     そのあと丘の上を散歩し、スマグラー・アドベンチャーというアトラクションへ。何でもここには聖クレメンツの洞窟という大きな洞窟があってかつて密輸や防空壕に使われたのだとか。このアトラクションは密輸についてその方法や生態について人形で示した物。割と生々しい。
     中の洞窟はかび臭く、雰囲気は満点である。まさにD&Dのダンジョン。展示は割と観光地のアトラクション臭く、懐かしい感じがする。楽しもうと思えば楽しめる作り。
     でてからぶらぶらと歩き、ベンチで海を見ながら葉書を書く。と、行き会った日本人らしい人と目が合う。話しかけてきた。
    "Japanese?""Yes"
     やれ嬉やと言うことで、一緒に腰を下ろし今見てきたスマグラーアドベンチャーや海のことを話す。相手の方は既婚者でアメリカのロースクールで留学中だとか。こちらにはロンドンの知人に会いに来たとのこと。
    「ここって魚が美味しいそうなんだけど、しってる?」
    「ガイドブックの切り抜きならありますけど……」
     と言うわけで二人で行ってみた。ところが示された住所の所はフィッシュアンドチップスの店。まさかここじゃないだろと思って聞くと、なんと目当ての店はつぶれたとのこと。。なんてこったい。
     仕方ないのであたりを周り、開いていたパブで魚料理を頼む。ちょっと豪華なフィッシュアンドチップスが出てくる。味は悪くない。
     食べながらいろいろと話す。大学のこと、就職のこと、留学のこと、楽しい時間を過ごした後食べ終わって席を立つ。おごってくれたのでありがたくゴチになる。  御礼というわけじゃないけれど駅まで送る。途中で同じ大学を出ていることが判明。何度も御礼を言った後別れる。
     そのあと、商店街で見つけていたゲームショップへ行ってみる。なんとマーシャルアーツグッズのコーナーがある。何となくオタクは格闘技に引かれるのはどこも一緒なんだなとか思ったり。
     品揃えはウォーハンマーとD&D、あ、サイオニクスハンドブックがある。しばし立ち読む。
     それから海へ。砂ではなく、砂利の浜。歩くと気持ちいい、波が寄せて潮がなる遠くに桟橋が見えるのでそこまで行き突端まで行く。城の下の崖が見える。イギリスの海岸は崖が多いと思った。ゆっくり歩いてきれいな石を捜す。おみやげだ。
     戻って晩飯を捜す。ドーバーソールを出す店を一軒見つけたが値段は時価!クレジットカードの力を借りるか本気で考える。開くまで時間があるので海岸のパブでラガーを半パイントのみながら葉書と日記を書く。

     時間が来たので行ってみる。まだ開いていない。その代わりもう一つの店を見つけた。ドーバーソールはあるかと聞いてみるとあるとのこと。おそるおそる値段を聞いてみる12£手のでない値段ではない。いいや、最後の贅沢である。いってしまえ!お店はアンティークの飾られた雰囲気のある店。一人で来る店ではないなぁ。飲み物はグラスワインをお任せにする。ちょっと辛口の白。パンが運ばれる。期待が高まる。やがて、来た!
     わぁ(ダブルミーニング)
     まず量に圧倒される。本当に魚が一匹両面焼いたのが、繰り返すが一匹である。25pはある。そして調理方法はムニエルのようだが味は素材の味を生かしていると言えば聞こえはいいが、素材の味しかしないとも言える。
     そして付け合わせの温野菜とこれも付け合わせのジャガイモ(蒸したのと焼いたの二種類ずつ)
     フィッシュアンドチップスの時も思ったのだけれど、なんでイギリス人はあんなにイモを食うのか(差別的発言)
     食す。
     まずくはない、が見たとおりの味で全部食べるうちに飽きが来てしまう。レモンがあって良かった。
     温野菜は美味しい。が、イモはどうしようもないので包んでもらう。
     イギリス料理がけなされているわけがちょっとわかった気がした。
     しめて、13.70£値段としては適当だと思う。

    2000/03/15

     B&Bの朝食初体験。カトラリーがきれいで、YHとの差を感じる。どんな物が出てくるのだろう。シリアルはコーンフレーク。焼きたてのベーコンエッグとソーセージ、トーストと伝統的なものが続く。
     同じB&Bにやはり日本人が泊まっていたことに気がつく。つくづく日本人と出会う旅だ。
     主人に別れを告げて駅へ。ここからAshford internationalへ行き、カンタベリーに向かう。列車に乗ると全席コンパートメントの上、向かい合わせの席の中央にドアがある。つまりドアだらけの列車だ。列車の中で不意に決心する。カンタベリーからロンドンに行こう。そして残りの日程を全部ロンドン泊まりにしよう。と言うのもSt.PancrassのYHが割と遅くまであいているからで、ギリギリまでカンタベリーを見てからロンドンに行きそして翌日ソールズベリ午前から昼にかけてストーンヘンジを拝みに行き、以降ロンドンに戻って観光というのも有りだと思ったのである。いや、積極的に善だろう。
     これなら諦めかけていたストーンヘンジにも行けそうだ。

     カンタベリー着、カンタベリー東駅はえらく寂しく一瞬降りる駅を間違ったかと思うほど。幸いイギリスの町は案内板が充実しているので、それを元に歩く。しばらく行くうちにカンタベリーの大聖堂が見えてきた。
     で、でかい。町のどこからでも見える。
     行く前にインフォメーション近くのカンタベリーテールズ博物館に行く。事前情報が多い方が楽しく回れるし、ここの説明は日本語があるらしい。
     中はチョーサーの作品に基づいて巡礼達の話を人形やスライドで再現するという物。全編の中から五編の話が再現されていた。個人的には粉屋の主人のちょっと下品な話が楽しかった。
     それから町に戻って時間を確かめる。ガイド付きツアーが14:00から行われるらしいとガイドブックなどで聞いていたのでそれまで昼飯を食べておこうと思ったのだ。ヘイスティングスの時と同様にガイドブックの切り抜きを持っていったのだけれど、閉まってました。このガイドブックの情報は首尾一貫しているところに好感が持てる。
     仕方なくパブを探すうちに、ゲームズワークショップの店を見つけろ。イギリスの主要都市には必ずあるみたいだ。ウォーハンマーをプレイしていた。って、平日の昼間なんだけどなぁ。プレイに使っているフィギュアが展示してあるフィギュアと同じくらいに精密に塗られておりかっこいい。店にはいると気さくに声をかけてくれた。よく見たら胸には漢字のプリントがある、オタクのまとうオーラは万国共通なのか。
     よさげなパブを見つけてはいり、メニューを見る。スープ・オブ・ザ・デイが一番安くて良いのだが、ステーキ&エール・パイというのがあり直感を刺激されたのでそれにする。
     これが大正解だった。多分エールで煮込んだんだろう牛肉とブラウンソースがパイで包んであり、グリーンピースとまたしてもイモが添えられている。で、美味しい。物が違うとは言え、ついつい昨日のドーバーソールと比べてしまう。
     食べ終わってカンタベリー大聖堂へ。外で拝観料を支払った後、そのままインフォメーションでツアーを申し込む。これが気が早かった。と言うのも中には日本語の案内テープがあったのであるしかも値段ちょっと安いし。
     ま、いいかと思う。その分いろんな事が聞けるんだし。
     中へ。
     天井の高さとその荘厳なたたずまいに呆然とする。いかなる思いがこの高みまで石を積み上げたのか。大きい、広い、高い。これだけの空間を中世に造っていた情熱と技術に言葉が出ない。
     荒俣宏の著作にあった一節「匠の技の王者としての石工」この言葉に納得する。確かに当時のエンジニアリング最大の技術が必要とされたろう。それを指揮した石工の親方は匠の王にふさわしい。
     で、ツアーが始まる「熱心」で「人の良さそうな」おばあちゃんである。
     しまった。
     説明が丁寧で長い、いや、積極的に長い。一日に三回くらいしか行われないわけがわかった気がする。
     熱心なのはわかるがおかげでテンポという物がない。向こうも立っているがこっちは荷物持ちで立っている。辛くなってくる。ちくしょー、これならテープで自分のペースで回れば良かった。
     そうこうするうちに同行の人々も何やかにやと理由を付けて抜けていく。当然だ時間を大幅にオーバーしているのだもの。もしかしたら俺も出ていっていいのかも知れないが、言い出せず結局最後まで。
     疲れてもう一度自分のペースで回る。回るつもりだったウエストゲート博物館は諦めようと思う。
     帰りにショップで良さそうな膝掛けを見つけ友人への土産と思って購入。クレジットカードの力を借りる結局現在40£ほど借りている。もう少しかかるだろうな、帰国までに。
     ロンドンに戻る。勝手に馴染み気分になったSt.PancrassのYHへ入る。
     またしても日本人と相部屋。結局この調子だと一度も日本人に会わなかった日って無いんじゃないだろうか。
     ちょっと話をした後洗濯物をランドリーに入れて上がるまでの間近くのパブでのみながら葉書を書く。都市部のパブは放って置いてくれるが少しよそよそしく感じる。少し寂しくなってきたのかも知れない。
     その後ケバブでも食べようかと歩くと中華料理屋を見つける。メニューの値段を見て日本に比べ安いなと思ったら脚と思われ招かれる。ここで断るのもなんなので入ってあらためてメニューを見る。む、イギリスの中華には汁ソバ系がないらしい。仕方ないのでチャーハンを頼む。そう言えば何日ぶりの米だろう。……九日ぶりだ。味はおもってたより普通に美味しい。ただしちょっと量が多い。
     帰ってきて洗濯物を乾燥機に入れてシャワー浴びて日記書いて今日はお休み。

    2000/03/16

    今朝は七時起床で大忙し。8:35ウォータールー駅発のソールズベリー行きに乗るのが目的。昨日YHで三日連続のチェックインが出来なかったのでチェックインし直し荷物をラゲッジルームに押し込む。そろそろおみやげで荷物を増やしてもいいかも知れない。
     8:35分の列車には余裕で間に合う朝飯を少し減らした甲斐があった。この列車はとてもきれいでトイレも整って清潔。日本ならグリーン車と言ったところ。偶然会った日本人と同席する。相手はヨーロッパをほぼ一周しているらしい。羨ましい。ソールズベリーからストーンヘンジへ同じコースを一緒に行く。
     昨日読んだ「地球の歩き方」にイギリスの鉄道は町のはずれにあると書いてあったので町に入ったときの薄ら寒い感じには慣れたけど、やっぱりもの悲しい感じがする。
     歩いてソールズベリーのインフォメーションにゆき、ストーンヘンジへのバスを聞きに行く。
     ストーンヘンジと口にした途端、
    "Stonehenge is closed.There is no bus"
     なにー!
     その後原因を聞こうと思ったのだけれど悲しいかな英語力が付いていかない。(そのあとSt.パンクラスのYHで人から聞いた話によるとやはり口蹄疫のせいだとか)  うおー俺の時間を返せー。仕方ないので高さではイギリス一のソールズベリーの大聖堂を見に行く。ソールズベリー大聖堂はカンタベリー大聖堂よりも小さく感じたがそれも比較級の話。やはり大きくて高い。中に入ると日本語のガイドブックがあるのでありがたく購入。先程の連れは外で見て歩くというので落ち合う時間を決めてから別れる。
     むー、しまった。もっとじっくり見たかった待ち合わせ時間が気になってあまりじっくりとは見られなかった。やはり旅は一人旅に限る。
     その後ロンドンに帰る。道中先程の連れといろいろと話す。日本のこと、旅のこと、人のこと。
     ロンドンで別れロンドンダンジョンへ。イギリス版お化け屋敷で観光アトラクションである。けれどこちとらダンジョンに付き合って14年、ダンジョンと名の付くものがあって潜らねばダンジョンマスターの名がすたる。
     中身は中世の拷問や疫病、英国史上の血なまぐさい事件の様子が生々しく再現されている。これから見に行く人もいるだろうから詳しく書くことはよす。ただ面白いと思ったことに、こちらでは臭いの演出も使われているということ。たとえば腐ったわらの臭いとか、火事のきな臭いにおいとか。これがなかなかに効果的なので何とかしてセッションに使えないか考察中。
     中ではあと、ジャック・ザ・リッパーについての怪談話があったりしたのだけれど英語がよくわからずちょっと不満。ま、仕方ないけど。
     なかなか面白かったです。ただ、9.5£は少し高いかも知れない。
     ここを見てからロンドン塔に向かう。いかにも中世と言った矢狭間に期待が高まる。入場料を払って中へ。あちこちに日本語の案内が併記してありありがたい。
     で、「ロンドン塔の囚人」と言うサウンドツアーが日本語であったので借りる。
     これが面白かった。
     自分はイギリスの歴史にそう詳しいわけではないから、こうした案内があるとないとではまわってるときの感動が違う。しかもCDなので自分のペースで行けるのがありがたい。中でも気に入ったのはヘンリー八世の二番目の妻、アン・ブリンのエピソード。死地にあってなお、国王の正義と国民の幸を祈った姿に、王族の責任と矜持を見た思いがした。しばし、刑場の露となって消えたレディに思いを馳せる。
     中はインスピレーションの連続だった。
     とてもここには書ききれない。
    ・トレイダーズゲート(裏切り者の門)をくぐる囚人達のビジョン
    ・矢狭間から覗く外堀。番兵達の狭い部屋
    ・漆喰で固められた石壁
    ・ホワイトタワーから脱走を試みた幾人もの囚人達の語り
    ・ブラディタワーにおけるサー・ウォルター・ローリーの家族達との生活
    ・「塔の王子達」の物語
    ・ビューチャムタワーに囚人達が刻んだ刻印
     等々。
     ところが重大なことを忘れていた。閉館時間が迫っていると言うこと。そして自分のもう一つの目的、ホワイトタワーの武器類の展示である。それを見ずには帰れまい。
     急いで行く前に宝物室の展示を駆け足で通り抜ける。わぁ、これも凄いよぅ。泣きながら「アフリカの星」の前を通り抜け、武具室へ。わぁ、フィールド・プレート・アーマーですよ!エッチングの施されたプレートアーマー。美しく力強くそして思ったよりも大きい。じっと見ていると悲しいことに閉館時間。泣く泣くロンドン塔を後にする。
     さて晩飯。
     目当てにしていたパブ・シャーロックホームズへ。えらく込んでいて一階は飯を食うどころか立つところさえなさそう。二階のレストランの方はなんかだらけた感じがして不穏に感じたのでここでの晩飯をあきらめ、明日のランチにかけることにする。
     そのままピカデリーサーカスに行き、野望の一つを果たさんとする。開高健の著作にあった、「Sun(イギリスの大衆新聞紙、日本の東スポみたいなもの)のお色気ページにフィッシュ&チップスを入れて食べる。こうすると冷めない。(Timesとかだとあっという間に冷めてしまうのだとか、ま、洒落ですね)」である。
     まず新聞のスタンドに行きSunを探す。無い。その代わりというかドイツ語、ロシア語各国語の新聞がある。聞くと売り切れたのとのこと残念だが、フィッシュ&チップスだけを食べることに。何!4.50£!高ッ!ただの魚のフライとイモの揚げたのがなんでそんな値段なんだよ?一瞬聞き間違えたかと思って値段表見たけどそう書いてある。ますます許せない。
     怒りながら詰め込む。本当に魚のフライとイモだよなぁ。これ、それ以上でもそれ以下でもないよなぁ。
     その後はテムズ川沿いにもう一度ビッグベンの音を聞きに行く。記憶を補強して少しでも長くこの思い出を心にとどめておきたい。
     記憶だけは、なくさない。
     その後は、ウォータールー橋からセントポール寺院を望んで今日はパブによらず帰る。ウォータルー橋の上は風が冷たかった。
     帰ってから日記を書いて同室の日本人の子と情報交換をし、ストーンヘンジが口蹄疫によって封鎖されたらしいことを聞く。話していると彼がトマスクックの時刻表を持たないことがわかったので今日で使わなくなったトマスクックを渡して上げる。列車の思い出はブリットレイルのチケットにしよう。

    2000/03/17

     朝、目を覚まし身支度してYHに今夜の分をチェックインする。結局同じ部屋同じベッド。最初から三泊させろよ。No, 3daysとか言ってたくせに。
     9:00の開場前にロンドン塔へ。並んでいると割と早くから人が並んでいる。
     入場、親の敵をとるように見まくる。宝物庫なんぞ何度往復したことか。以下雑感。
    ・プレートアーマーには全面に細かく彫金がしてあるのがあってファンタジーRPGなら呪付だなぁとか思ったり。
    ・重騎兵とかクロースヘルムに3/4アーマーだったらしい。
    ・シンプルな表面もいいよなぁ。
    ・ジョウスト用アーマーは左半身を顔も含めて覆う。
    ・鎧が王族の体に合わせられたものだとしたら、王族というのは本当にでかい人間達だったのだなあ。
    ・子供の鎧が展示してあったかわいい。八歳児用のフィールド・アーマー
    ・草擢と脛楯が一体化した形式が多い。そのままブーツに繋がる形式もある。
    ・ブーツ部の鎧を脱いで皮ブーツを履くこともあったらしい。
    ・サーベルは思ったよりでかかった(1520年代)作りは割と対したことない。
    ・ロングボウって太いんだね、握りの所直径3cmくらいあるよ。鏃もでかい。3cmから5cmはある。
     十分堪能した後ロンドン塔を後にしてパブ・シャーロックホームズへやっぱり混んでいる。もーいーや。別のレストランを見つけ本日のパイを注文する今回はチキンとマッシュルーム。ちょっと量が多くで呆然。やっぱりイモだよ、イモ。イギリス人はビーフィーターなんかじゃねぇ、ポテトイーターだ。もっとも今日はこちらにも備えがある。こんな事もあろうかと朝のうちに「Sun」を購入しておいたのだ。
    これで開講健先生のアレができる!怖いもの無し!!というわけでチップスだけ包んで持って行く。
     それからはおみやげを買いに行く。
     まずは大英博物館に。最初は父への土産に大英博物館のパンフレットを買うつもりだったが、日本語で書かれた、「大英博物館のAtoZ」と言う本があり中身がかなりよさげだったのでそれを購入する。ちょっと高かったのでクレジット力を借りる。日本に帰ってからもぴーぴーだな、こりゃ。
     ついでに自分への土産と思って近くのForbidden Planetなるオタクショップで(全英チェーンらしい、カーディフにもあった)でPHBの二刷りを買おうと思ったが、なんと1刷りしか置いてない。ちくしょーめ。
     あきらめて大判のフロアプラン(3rdパーティが出してた)を買う。
     後はフォートナムメイスンに行き紅茶を買っておみやげ終了。
     それからのこりの時間をナショナルギャラリーへなかなかに楽しめたが、もっと素養があれば違ったと思う。
     以下雑感。
    ・キリスト教の初期絵画と言うかイコンはそのシンボル度の高さ(持物による列聖の判別など)や色彩の豊かさが仏教の曼陀羅に通じるんじゃないかと思ったり
    ・中世宗教画はその象徴体系による意味の深さがすごい。
    ・Carlo Criuelliとか言う作家のミカエル像が自分の中の天使像に近く印象深い。
    ・印象派の風景画は、いいなぁ
     終わった後はロンドン最大のおもちゃ屋ハムレーズにまわってみる。が、ここでは既にPHBが品切れ状態。仕方なく気になっていたタコのミニチュアを買う。今度ゲームで使おう。
     その後はピカデリーサーカスでエロスの足許に腰掛けて人混みの中、チップスを食う。さすがにねーちゃんの神通力も通じず冷めてしまっていた。
     しばらくぶらぶら歩いて3度目の正直。シャーロックホームズへ。やった、空いてる!
     中でラガーを頼んで葉書と日記を書く。途中からはシードルに変更。美味しい。内装の写真や説明書きを楽しく読んだ後外へ。テムズのほとりを歩き、ビッグベンの鐘の音を聞くためにしばし立ち止まる。
    やがて九時の時報を聞いてから列車に乗りユースへ。途中牛乳とケバブを買い晩飯にする。
     今夜がイギリス最後の晩である。

    2000/03/18

     いよいよ帰国の日。
     長いようで短かった旅も終わり。
     慣れっこになったSt.パンクラスのYHの飯を食べ、最後の観光地、シャーロックホームズ博物館へ。ベーカーストリートの駅を降りる。マダムタッソーの看板はでているけれどシャーロックホームズ博物館への看板はでておらず多少難渋。見つけてみたが開館時間にはちと早かった。
     そこで近くの公園でアヒルを追っかけたりして時間を潰す。やがて九時半の開場。
     中は割と狭い造り。原作通りだから当然かも知れない。狭い下宿とかいってたしな。
     暖炉の奥で石炭が燃えている。その隣には化学実験の机。確かに良くできている。ソファーに座り全体を見渡すと確かに依頼人のような気分になってきた。
     階上、ワトソンの下宿には話の小道具が置いてある。残念なことに個々の話のディテールを忘れてしまっており、小道具に覚えはあっても話に結びつかない。残念。
     更に上の階。ハドソン婦人の階には名場面の蝋人形による再現。イギリス人は蝋人形が好きだな。いまいち安っぽい。「まだらの紐」のヘビが思い出したように動く。なんだかナァ。
     このこぢんまりとした博物館は1時間もしないでまわりきってしまったので階下で絵葉書をかい、名刺をもらって帰る。
     ピカデリーサーカスでヒースローターミナル1,2,3に到着。でてからどのターミナルに行けばよいのか知らないことに気がつきインフォメーションで尋ねるなんと一つ前のヒースローターミナル4でした。南無。
     急いで戻って空港のターミナルビルに。
     帰国前に家族に電話をかける。と、ここでちょっとおっかないことが。クレジットカードでかけた後いくらかかったか表示されるのだがどうしても7£に見える。……マジ?高々1分30秒ですぜならいままでの電話代いくらになってるの?来月の請求が怖い……。少し暗い気持ちになってチェックイン。何とか乗れました。
     後は日本に戻るだけ。

    まとめ

     さて、以上を持ってD16の渡英日記は終わり。今のところは余韻に浸っていたいのと、研究室の仕事がちょっと洒落になんない事に気がついたので、詳しいまとめは別の機会。もしくは直接あったときにでも酒の話で済ませたい。
     ただ、最後にこれだけは書いておかないと。
     旅の目的の一つに、旅先の出来事を帰ってきて話すと言うことがあると思う。そのために人は旅先で普段とは違う生活をしたり普段とは違うものを見たりしようとする。
     もちろん、誰に何を言うでなく旅をする。ただ放浪をすると言うのも旅の形としてありだし、それはそれであこがれないでもないのだが、少なくとも今回D16は「何かネタになることはないか」と思いながら旅をしていろんな事に鼻をつっこんで見たのは事実だ。つまりこの旅が僕にとって実り多いものになったのは、実はこの日記を読んでくれる皆さんのおかげであるとも言える。
     だから、旅の終わりに僕は、やはり話を聞いてくれた皆さんに御礼を言いたい。
     ありがとうございました。これからもよろしく。

     両手一杯の感謝をこめて。

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