TRPG.NET > シナリオ > 千字 > 2000年 >
PCは冒険の途中、小さな村に立ち寄ることになる。その村では最近になって近隣にゴブリンが出没するようになったと村人が話しているのをよく耳にしている。
話によると、村人の中にはゴブリンに襲われてケガをしたものもいるらしい。 村人たちはPCたちが冒険者であることを知ると、ゴブリン退治を依頼してく る。貧しい彼らのことである、報酬と言うにはささやかな金額を提示してくれ るが村人の眼差しは真剣である。
実際に調査をしてみると、確かに村のそばの高台に粗末な砦が築かれている。 近くまで近寄ることができそうだが、見張り塔が立っていて不用意に近付くこ とは危険かと思われる。しかし、ふと気がつくと、圧倒的な数のゴブリンの戦 士たちに完全に包囲されてしまっていることに気付かされる。
ゴブリンの戦士を率いている長老と思われるゴブリンが言うには、彼らは望 んでここに居を構えているわけではないという。人間たちとのいざこざも彼ら が砦に近付きすぎたために、威嚇のために石を投げたりしただけだという。彼 らは元ある住処に帰りたいだけであり、そのために協力してもらえれば元の住 処に帰ると長老は約束する。
話を聞いてみると、ゴブリンたちの集落は水辺に近く、数週間前にリザード マンの集団に襲撃を受けたという。彼らは命からがら逃げ出し、この地で反攻 の機をうかがっているという。また、リザードマンは内陸への侵攻(この周辺 である)も考えているようで、ゴブリンの斥候によってリザードマンの偵察隊 が目撃されていると教えてくれる。
果たして、PCは彼らの話を信じるのか、それともゴブリンの策略と一笑に付 してゴブリン退治を敢行するのか。選択権はPCにある。
ゴブリンの言うことが本当に信用できるのかどうか、これを議論するために プレイヤー間で話し合い、調査の必要がある。村人に冷静になってもらえば、 ゴブリンの「襲撃」の実際がどういったものかを知ることもできるであろう。 もし、パーティが村人を見捨てたり、ゴブリンを退治して満足し立ち去ると、 数週間後に強力なリーダーに率いられたリザードマンの襲撃によって村は壊滅 する。
このシナリオ中ではゴブリンを人間やドワーフなど同じ亜人間の一種として 登場させています。ゴブリンの扱いがどちらかというと妖精的なシステムでは うまくこのシナリオが機能しない場合があります。
同様に、ゴブリンを妖精(妖魔)の一種と考えているプレイヤーが多数を占め ていると、シナリオがうまく進行しません。そうしたプレイヤーが多数いる場 合には予めGMがゲーム開始前に各種族のイメージ作りを手助けするような適切 な助言をしてください。