千字シナリオ:正義の名のもとに。

作者
Novita
題名
正義の名のもとに。

冒険者の一行は、山間の小さな村にやってくる。そこは名も知らぬ忘れ去ら れた神を信仰する神官が支配する村だった。神官は邪悪な者をこの世から駆逐 するとの神託を受けており、村のそばにあるゴブリンが住むという洞窟を襲撃 する計画を立てていた。戦闘経験のない村人だけの襲撃では心もとないという ことで、神官は冒険者一行を雇いたいと申し入れる。

ゴブリンの住む洞窟のそばで野営をしている折、一行は怪我をしたゴブリン の子供を見つける。見るからに弱々しく、怯えきったその姿に、一行は哀れを もよおし、ゴブリンの子供を逃がしてやることにする。

もともとその村の周辺の森では山の幸が豊富で、ゴブリンが里に下りてくる ようなことはなく、警戒しつつも比較的平穏を保っていた。そのため村人の中 でも今回の襲撃に異を唱えるものもいる。神官はそういった村人を異端者と罵 り、時には強力な呪文をかけて村人を強制的に襲撃に駆り立てる。

洞窟の周辺では、ゴブリンの群れが平和に暮らしている様子を見ることがで きる。神官は襲撃の開始を声高に叫ぶと先陣を切って洞窟へと乗り込んでいく 。神官の武器と魔法は強力で、ゴブリンの一団はなす術もなく倒されていく。 あまりに一方的な殺戮に、一行には嫌悪感がこみ上げてくる。

殺戮が終わったその時、先刻のゴブリンの子が姿を現す。神官はゴブリンの 子供を捕らえて村に連れ帰り、生贄として捧げようと言い出す。

このシナリオでは性格の解釈が問題になります。

特にこれといったエンディングは決めていませんが、最終的にゴブリンの子 を生かすか殺すかがシナリオの焦点になるでしょう。無論洞窟襲撃の際に神官 を攻撃することも出来ますが、彼の力は非常に強大です。

お勧めのエンディングとしては生贄の儀式の最中にゴブリンの子を逃がして、 神官を倒す、といったところでしょうか。その際なるべく村人を傷つけないよ う行動すべきでしょう。

神官の意見に賛同して虐殺の限りを尽くしてもいいのですが、その場合この シナリオは何の変哲もないただの戦闘に終始してしまうでしょう。

どちらのエンディングを迎えてもかまいませんが、ゴブリンをただのモンス ターではなくて、人間と同様に生活を営む生き物として捉えるといいと思いま す。


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