天羅万象掛け合い:暴走編 LOG 015

天羅万象掛け合い所:暴走編の1999年05月17日から1999年06月21日までのログです。


99年06月21日:23時04分30秒
彼の見た物、その指摘 / ジョーカー
 「変なこと、しなかったでしょうね?」
 
 視線がちょっと痛い。でもめげない誠一郎。
 
 「したよ。いいや何もしてない。―信じたい方を信じればいい」
 
 人は所詮、相手が何を言おうと自分が信じたい物を信じる物だ。
 
 「何をしたかと問われれば…可愛い寝顔を拝見させて貰ったかな?
 それが『変なこと』になるのかどうかは知らないけれど。
 起きちゃったんだよねぇ、実に残念だ」
 
 しれっと、何のてらいも無く言ってのける。これが誠一郎という個性の一面。
 
 「それ以外の事は…少なくとも『僕は』してないよ」
 
 ただ意味ありげに笑う。こまちを見つめて悪戯っぽく。
 
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 「氷室。あたしの頭に、何かついてない?」
 
 どうやらこまちが気付いたらしい。誠一郎に問い掛けてくる。
 
 「うん、付いてるよ」
 
 事も無げに彼は言う。正確には付いている、のではなく付けたのだ。
 
 「春だし、風流を気取ってみるのも悪くないと思ってね」
 
 言葉だけでは何が何だか良く分からない。…意識してそう言っているのだが。
 その視線の先にあるのは…一本の桜の小枝。その小さな枝一杯に桜の花を咲かせている。
 山を降りて来る時、見つけたのだ。道端に落ちていたこの小枝を。風に負けたのか
 それ以外の要因か。詳しい事は定かでは無かったけれど、誠一郎をそれを拾い
 …今はこまちの髪に差し込んである。ただ、風流だと感じた物を使っただけだから
 花言葉まで気を使う余裕は無かったが、淡い桜色の花弁はこまちの髪の色に良く栄えていた。
 
 誠一郎 こまちに向かって
99年06月21日:21時41分42秒
「眠り姫のお目覚め2」 / みだれかわ枕
(一人称単数)
 
 
「どうやら酔いも目もはっきり醒めたみたいだね。残念」
 残念? とんでもないこと言うわね。
「ええ、おかげさまで、ね」
 氷室を睨みながら、むっくと起きあがり、手から眼鏡をひったくり、
「変なこと、しなかったでしょうね?」
 あらためて、睨み付けた。
 答えはだいたい予想つくけど、ね。
 
 ……
 そっか、氷室がうちまで送ってくれたのか。
 ん? あたし寝てたんだから、背負ってきたってコト?
 体重、増えてなくて良かった。
 ……そうじゃなくって!
 あの、あったかい感じ、もしかして、氷室に背負われてたから、だから気持ちよかったんだ……
 って、おいおい、なに考えてるのよ、あたしは。
 
 眼鏡を掛け直して、軽くのびをする。
 ん〜、まだお酒が残ってるかな?
 あれ? 何か頭がかゆい?
 なんだろ?
 わかんないけど、何か頭についてるのかな?
「氷室。あたしの頭に、何かついてない?」
 
 
 こまちから、誠一郎へ。
 
 
 ★ ★ ★
 
 もちろん『鏡のない部屋』への伏線です。
 こまちの髪についている『モノ』については、お任せします(笑)
99年06月21日:02時31分45秒
運び手の答え / ジョーカー
 「ふぅ、うぅん……」
 
 どうやらこまちが起きたようだ。寝たまま彼女がのびをする。
 寝起きの仕草はどことなく猫を連想せる。大きさは違えどよく似ている。
 ジュリアを肩に載せながら何を言うともなく、誠一郎はこまちの意識がはっきりするまで待つ。
 ただ
 
 「……もしかしてあれ、お酒だったの、か……ん゛……またやっちゃったって
 コトかぁ……もうお酒なんか、飲まないんだから……」
 
 目をこすりながらのこの台詞にくすくすと笑う。
 なにせこまちは酒を飲む度に―少なくとも誠一郎が記憶している限りでは―
 これを口にして、そしてその甲斐無くまた同じ事を繰り返すのだから。
 
 「あれ? 眼鏡、ないや……」
 「ねぇ、氷室。あたしの眼鏡、見なかった?」
 
 眼鏡を探しながら誠一郎が目に入ったらしい。ぼんやりと聞いてくる。
 どうもまだ寝ぼけているらしい。だが
 
 「それと、質問その2。氷室、どうしてここにいるの?」
 
 言っている内に目が完全に覚めたらしい。更にはある程度酔いも抜けたようだ。
 睨み付けてくる眼には平時の強さが戻ってきていた。
 
 「覚えてないのか?こまちが花見の席で酔って寝ちゃったから僕が送ってきたんだよ」
 
 実際は誠一郎もつられて寝てしまったのだがそれは敢えて言わない。
 
 「で、眼鏡の件だが酔った時に外れて落ちたから無くさないように僕が持ってるよ」
 
 軽く胸ポケットを叩くとフレームがその存在を主張する。
 流れるような動作で眼鏡を抜き出し、それを差し出しながら誠一郎曰く
 
 「どうやら酔いも目もはっきり醒めたみたいだね。残念」
 
 具体的何が、は口にせずただ笑う誠一郎だった。
 
 誠一郎  こまちに向かって
99年06月20日:19時31分46秒
「眠り姫のお目覚め」 / みだれかわ枕
(一人称単数)
 
 
 暖かい。
 なんでだろ?
 胸とかおなかのあたりに感じる、この暖かさは。
 なんだろ?
 ああ。
 もしかして、誰かがあたしを背負ってる?
 だあれ?
 はずかしいじゃない。いい歳して。
 あ。
 でも、まあ、いいか。
 暖かいし。
 
 でも、誰?
 
 
 なんだか、体が火照った感じ。
 熱があるとか、そう言うんじゃないけど。
 何かぼーっとする。
 ええと。
 あ、そうそう、お花見してたんだ。
 で、脇にあったDrink飲んで……
 あれ?
 そのあと、よく覚えてない。
 あれ?
 
 
(三人称単数)
 
「ふぅ、うぅん……」
 聞き方によっては色っぽい声が、誠一郎の背後、ベッドの方からする。
 眠り姫のお目覚め。
 横になったまま、こまちは軽くのびをする。
「……もしかしてあれ、お酒だったの、か……」
 むにゅむにゅと目をこすりながら、呟く。
「ん゛……またやっちゃったってコトかぁ……もうお酒なんか、飲まないんだから……」
 きっとこれから一生言い続けるであろう誓いを述べて、こまちは枕元を探る。いつもはここに眼鏡を置いている。
「あれ? 眼鏡、ないや……」
 あたりをきょろきょろと見渡す。
 見あたらない。
「ねぇ、氷室。あたしの眼鏡、見なかった?」
 言ってから、気付く。
「それと、質問その2。氷室、どうしてここにいるの?」
 にらみつけるように、ベッドに寝たまま、そう言った。
 
 こまちから誠一郎へ
 
 
 ★ ★ ★
 
 ん〜、修羅場。
 がんばれ、誠一郎(笑)
99年06月20日:17時06分02秒
眠り姫の帰還、彼女の居場所 / ジョーカー
 「ちょっとワンちゃんの様子見てくるわね。こまちちゃんは……三階のお部屋につれていってあげてくれるぅ?」
 
 「分かりました」
 
 誠一郎の歩みは惑い無く、ゆっくりと階段を上っていく。
 ただ無言。
 彼を先導するようにジュリアが音も無く階段を駆け上がっていく。
 居間、台所等のある二階を過ぎ、個々の部屋がある三階へ。
 足が止まる。垂れ下がったこまちの三つ編みが揺れる。其処は彼女の部屋の前。
 
 「入るよ」
 
 敢えて断る。答える者は夢の中なれど。
 小さな金属音を立ててノブが廻る。ドアが微かなきしみを上げて開いていく。
 部屋の空気が外に漏れる。含まれる物は…匂い、だろうか。
 人が使う部屋には使う人間の匂いが刻まれる。言葉で言い表すことは難しい
 けれど特有の『匂い』。
 
 「ああ…こまちの部屋だ」
 
 記憶に残る部屋の位置よりも。見覚えのある部屋の内装よりも。
 その『匂い』が何よりもこの部屋の主が誰なのかを主張する。
 それが実感となる。
 
 「…此処がこまちの居場所か」
 
 するりと部屋に滑り込んだジュリアが物問いたげに誠一郎を見上げる。
 
 「にゃあ」
 
 鳴き声が誠一郎を促す。
 
 「そうだな、いつまでも突っ立っていても仕方がないか」
 
 ベッドに歩み寄り掛け布団を引き剥がす。
 後ろを向いてこまちを降ろし、きちんと寝かせてやる。
 相変わらずの寝顔に軽く笑うと掛け布団を掛け
 誠一郎はゆっくりと部屋を見回す。
 
 「変わってないな…この部屋は」
 
 どこか、どこか彩りに欠けた部屋。
 何がどうと言う訳ではない。部屋の様子は各々の人間で違う。
 細かな差異を言ったら切りが無い。それでもこの部屋は誠一郎の直感に
 そう訴える物がある。直感だけに言葉に出来ないのだが。
 
 「…」
 
 漠然とした視線が部屋を一周した処で気付いた事がある。
 鏡が無いのだ、この部屋には。鏡は人や物を写すだけでは無い。
 何よりも写った人の想いを映す。ジュリアを抱き上げ誠一郎はその眼を覗き込む。
 映るのは、静かな表情をした誠一郎。
 
 「ジュリア、こまちは……何に自分を映すんだろうな」
 
 誠一郎
 
 おまけ
 「ごめんなさいねぇ、ワンちゃん〜! あんよ拭かないと、おうちに入らないなんて、お利口さんねぇ……」
 
 と、聖が店から出てくる。
 
 「ウォン!」
 
 我が意を得たりとばかりに彼は吼え、尻尾を激しく振る。
 その動作に合わせて首輪に付けられたタグが揺れる。
 其処には
 
 Caesar とあった。
99年06月20日:07時13分42秒
「恋は音速! ――脚の推理――」 / みだれかわ枕
(三人称単数)
 
 
「どうした?」
「ごらんなさいな、エド。おうちの前に……」
 帰宅の途にあった老夫婦が、自宅の前まで来ると、大型犬が所在なげに立ちつくしていた。
「クゥゥン……」
『彼』の前には、大きな風呂敷包みがある。
「あら、この風呂敷……うちの荷物のようですわよ?」
「ほう……たしかに、そうだな」
 
 実は、セントラルタウン夫妻(エドワードとミチコ)がシーザーに会ったのは、これが初めてだった。
 
「ふむ……と言うことは、誰かがこの犬に使いを頼んだ、ということだな」
「お利口ねぇ」
 ミチコが頭をなでてやると、シーザーは軽く右前足を上げた。
「あらあら、そんなに嬉しがらなくても」
「いや、違うな」
 どうやら、エドワードが『推理モード』に入ったらしい。
「違う?」
「『彼』を見ろ。しっぽを振りながら、右前足を上げている。うれしいのなら、しっぽを上げればそれで用は足りるはずだ」
「エド。あなたはいつも考えすぎです」
「いや、そんなことはない。何気ない動作が、殺人事件を解決する手がかりなのだ」
 何時何処で起こった殺人事件なのだろうか。
「ふむ……少々泥で汚れているな」
「クゥン!」
 さながら、
「そうです!」
 とばかりに、シーザーが吠えた。
「ということは、犯人は外で犯行を……」
「くうぅうん……」
 どうやら否定の意味の、鳴き声。
「エド、もしかしてこのワンちゃん、脚を拭いて欲しいんじゃないかしら?」
「クゥン!」
 今度は(おそらく)肯定。
「いや、しかし、現場の保存は捜査と推理の基本……」
 そのエドワードの言葉に、ミチコとシーザーは顔を見合わせ、
「あらあら」
「クゥゥン」
 ため息(のようなもの)をついた。
 
 その時である。
「ごめんなさいねぇ、ワンちゃん〜! あんよ拭かないと、おうちに入らないなんて、お利口さんねぇ……」
 濡れ布巾を持った聖が店の中から出てきた。
「あら、お父さん、お母さん、お帰りなさい」
 
 
 少しだけ時間は戻る。
 
 ずれてしまった背中のこまちを背負い直しながら、誠一郎は聖に、
「もうちょっと、もうちょっとだけこまちの家が遠ければ良いのになって思いましたよ」
 と、軽く答えた。
 その拍子に、
「うにゅう?」
 こまちが意味を成さない寝言を呟いた。
「あらまあ。でも、遠いとその分、大変よぉ?」
「なにせこんな機会は滅多に無いですからね」
 笑顔で誠一郎。
「うふふ。こまちちゃんが聞いたら……喜ぶわねぇ、きっと」
 七年前も、同じような答えを、初対面の少年が言ったような気がする。
 聖は、七年前と変わらない言葉に、安心した。
「にゃあ」
「あら、ネコちゃん。ワンちゃんは、どうしたの?」
 ジュリアがひょいっと玄関に上がると、フローリングに猫足スタンプがいくつか押された。
「まあまあ。ちゃんとあんよ拭かないと、ダメよぉ」
 聖はジュリアを抱えると、台所へ行き、布巾で彼女の脚を拭ってやった。
「うにゃん」
 いやがるような素振りを見せたジュリアは、脚を拭き終わったと見るや、さっさと飛び降りた。
「ワンちゃん、来ないわねぇ」
 重箱抱えたシーザーが来ないので、聖はつまらなさそうに呟いた。
 どうやら、脚を拭くのが楽しかったらしい。
「ちょっとワンちゃんの様子見てくるわね。こまちちゃんは……三階のお部屋につれていってあげてくれるぅ?」
 そう言って、聖は玄関の方へ向かった。
 
 聖から誠一郎へ。
99年06月19日:00時49分10秒
時の流れは幸不幸で速さが変わる / ジョーカー
 「あらぁ、まこと君じゃないのぉ。どうしたの? お花見じゃなかったかしら?」
 
 いつもののんびりとした調子で話し掛けてくるのは誰でもない大町聖。
 こまちの―若すぎて一目でそう分かる奴はいない―母親。
 
 「ああ、聖さん。こ…」
 
 僅かに言い淀む。辺りは朱に染まっている。
 
 「んばんわですね、もう」
 
 まぁそう言う事だ。
 
 「まぁ。こまちちゃんは居眠りさんになっちゃったのねぇ
 とりあえず、中に入るといいわねぇ。こまちちゃん、重くはないけど、大変だったでしょお?」
 
 聖が戸を開け、誠一郎を招き入れる。
 
 「軽かったのは言うまでも無いんですけど、大変でもなかったですね。むしろ…」
 
 手を使わず―なにせ塞がっている―多少不作法に靴を脱ぎながら誠一郎は笑った。
 
 「もうちょっと、もうちょっとだけこまちの家が遠ければ良いのになって思いましたよ」
 
 こまちを背負い直しながら勝手知ったる他人の家とばかりに迷い無く歩く。
 
 「なにせこんな機会は滅多に無いですからね」
 
 振り返った誠一郎は愛嬌たっぷりにウインクをして見せた。
 
 誠一郎  聖に向かって
 
 おまけ
 誠一郎と聖の後ろではシーザーが立ち往生していた。
 その頭に座っていたジュリアはさっさと玄関に上がる。
 
 「ゥォン」
 
 恨みがましそうな声でシーザーは吼える。
 彼は足が汚れているので上がれないのだ。
 人(?)をさっさと置いて上がってしまったジュリアに
 対する抗議だったが彼女は一顧だにせずに同居人に
 付いていってしまう。
 
 「クゥゥン…」
 
 くわえていた重箱入りの風呂敷包みを玄関に下ろしながら寂しそうなシーザーだった。
99年06月18日:10時29分34秒
「恋は音速!――時は巡り、繰り返し、それでも君はそこにいる――」 / みだれかわ枕
(三人称単数)
 
 
 春の陽は意外と早くおちる。暖かな橙色の光が、惜しいくらいだ。
 誠一郎がこまちを背負って、山道を下っていく。
「なぁ…」
 なんとなしに、背中の『お姫様』に声をかけてみる。
「ん……」
 かすかないらえ。だが、起きたわけでもなさそうだ。
「起きたのか?」
 返事は、ない。
 そのまま、誠一郎は商店街への道を、急ぐわけでもなく、歩いていく。
 春の陽は意外と早くおちる。暖かな橙色の光が、惜しいくらいだ。
 
 
 ある晴れた春の日、少年は見たことのない少女に出会った。
 彼女は少年をにらみつけると、 "Go over there!"(あっちにいきなさいよ!)
 いきなり叫んだ。
 言葉は分からない。だが、だいたいの意味するところは分かった。
 そして少年は、あっちには行かなかった。
「そっちが、行けば?」
 少女は少し面食らったような表情になり、あっちには行かなかった。
 何をするでもなく、二人は大きな桜の木の下で座っていて。
 やがて、眠ってしまった。
 少年が目を覚ましたとき、少女は彼の肩を枕にして、眠っていた。
 起こそうとも思ったが、気持ちよさそうに眠る少女を見て、少年は、声をかけるのをためらった。
 そして少年は、他に何も思いつかず、少女を背負って歩き出したのだ。
 
 
『オプト・オーマチ』の前まで来たとき、誠一郎の見慣れた人物が、玄関先を掃除していた。
 長いブロンドの髪を軽く束ねて、鼻歌混じり(ただし音程は外れていた)でほうきを軽やかに操っている。
「あらぁ、まこと君じゃないのぉ。どうしたの? お花見じゃなかったかしら?」
 そこまで言って、こまちの母、聖は誠一郎が背負っている一人娘に気がついた。
「まぁ。こまちちゃんは居眠りさんになっちゃったのねぇ」
 店の引き戸を開け、誠一郎を招き入れる。
「とりあえず、中に入るといいわねぇ。こまちちゃん、重くはないけど、大変だったでしょお?」
 
 聖から、誠一郎へ。
 
 ★ ★ ★
 久しぶりの聖さんです。
 なお、こまちが音痴なのは、聖さんの子守歌で育ったからです(笑)
99年06月18日:03時42分26秒
春の日差し、夕刻の風 / ジョーカー
 花見が終わり、参加者達はそれぞれの家路へと着き。その場に残されたのは
 誠一郎とこまちとジュリアとシーザーの二人と二匹。シーザーは同居人を
 守るように側で伏せ、ジュリアは我関せずと蝶を追い掛け、あるいは寝る。
 
 そしていつしか日も暮れていく。
 
 満開の桜が紅く染まり始めた頃、裏山の木々を抜けてきた風が誠一郎の頬を撫でる。
 夕方も近くなり、風も多少の冷気を帯びている。それはちょうど良い目覚ましとなったようだ。
 
 「ん…………」
 
 うっすらと誠一郎の目が開く。半分閉じたままで彼の目は周囲を眺め状況を把握する。
 
 「寝ていたのか…僕としたことが」
 
 欠伸を一つ、更にのびを一つ…しようとして膝に重量を感じることに気付く。
 当然、それはこまちであり腕が誠一郎の胴に回されているのも元のままだ。
 
 「あーー(なんでこまちが此処で寝てるんだ?そもそも今日は何があったんだっけ。
 気持ちよさそーに寝ちゃってまぁ。確かこないだこまちの家で森野さんが花見を
 しましょーって。しかも眼鏡もしてない。で、日曜に花見を健司の家の裏山でー
 珍しい。明日は休日だったっけ?で、それが今日だったよな。んーーっと
 神坂さん連れてきてー斜六が乱入してきてー)」
 
 かなり支離滅裂である。さっきからぴくりともしてない辺りが
 外見から分かる内面の変化だろうか。内心の動揺を口に出すほど
 可愛げのある性格はしていないのだ。
 
 閑話休題
 
 同居人が起きたことに気付いたのだろう。シーザーの耳がぴくりと動き
 顔を上げる。同時にシーザーの頭の上で惰眠を貪っていたジュリアが落ちる。
 
 「で(森野さんが酔っ払って寝て、気がつけば港野さんまでー
 にしても無防備な奴だなぁ。更にこまちと神坂さんが張り合うように酔っ払って…
 頭痛て。で、明が火に油を注いで………あとで制裁だな。
 もうちょっと警戒すべきだよな。それとも信頼されているって事かね。
 …で、最終的にこうなったわけだ)」
 
 雑念なども交えながらようやく思考が現在に立ち戻ってくる。
 さすがに遅くなってきている事だし、これ以上寝こけていたら
 風邪を引くだろう。もう既に朱が支配する時間帯になっている。
 まずは帰る用意。なるべく起こさない様に、壊れ物を扱うようにして
 腕を外し、こまちの持ってきた荷物―重箱―をまとめる。手で持つとなると
 こまちを運べないのでシーザーに持たせる事にする。
 
 「さてと」
 
 相変わらず目の覚めないこまちを前に誠一郎は肩を鳴らす。
 起こして送っていく事も考えはしたがあまりにも気持ちよさそうに寝ているので
 それも気が引ける。やはり当初の予定通り背負って送っていく事にする。
 
 「では姫様、お手を拝借…と」
 
 誰も見ておらず聞いてもいないだろうが、それでも誠一郎はいつもの自分を崩さない。
 両腕を首に回させ、こまちを背負って立ち上がる。背に掛かる確かな重み。
 そして
 
 「軽くなったよなぁ、こまち」
 
 と誰にともかく漏らす。懐かしむような顔をして山道を下っていく。
 
 「あの時も結局、こうやって帰ったんだよな…」
 
 誠一郎の目は今でなく、遠い昨日を見ている。背に掛かる重み、体温
 そして紅く染まる空はひどくあの時を彷彿とさせる。
 
 「あれは四年の時だからもう…七年も前になるのか」
 
 小学校の高学年程度では男女の体格差はさほど無い。むしろ女子の方が
 体が大きい事もある。その時との比較だ。さすがに感覚も違う。
 今では20cm違う身長も当時は大して変わらなかった。それでも
 やはり、こうやって背負って帰ったのだ。脳裏に浮かぶのは当時の自分達。
 
 「なぁこまち。変わったよなぁ、俺も、お前も」
 
 その姿は当惑を覚えるほどに今とは違う。顔の造作、髪の色。そういう物は変わってない。
 違うのは身に纏う雰囲気、そういった物だ。
 
 彼との出会いは彼女を変えたのかも知れない。だが同時に、彼女との出会いは…
 やはり彼を変えたのだった。
 
 「なぁ…」
 
 また声を掛けようとした矢先。
 
 「ん…」
 
 背中でこまちが身じろぎをする。
 
 「起きたのか?」
 
 穏やかに問う。だが答えは無い。あるいはただの寝言だったのかも知れない。
 ただ、それを最後に。誠一郎は特に何を言うでもなく、ただゆっくりと、静かに
 大町家への家路を辿っていった。
 
 誠一郎  こまちにむかって
99年06月17日:13時25分18秒
浅月家 / RWAK
一方、こちらは浅月家。
(忍、遅いなぁ・・・・
 今日、花見にいくっていってたけどどうしたんだろう?)
居間の時計を見ながらどこかそわそわしているのは、忍の姉の優である。
肩下まである長めの髪、少し大き目の眼鏡。どこか愛敬のある顔立ちをした女性である。
忍とは違い、性格はおっとりとして女らしい。少々のんびりやなのはご愛敬である。

プルルルルルルル・・・・
電話が鳴った。
「あ、私が出るね。」
優が電話を取る。
「はい、浅月です。
 ・・・・・はい。はい。
 ・・・・そうですか。ご迷惑をおかけします。
 はい。それでは、忍をよろしく頼みます。ありがとうございます。
 それでは、失礼します。すいませんでした。」
チン。

電話の後、優は両親に忍のことを報告する。
「・・・・・忍、友達の家で寝ちゃったんだって。
 で、その家の人がご厚意で泊めて下さるそうなの。
 忍、明日の朝には帰ってくると思うわ。」
しかし、両親は何の反応も示さない。
「・・・・ふぅ。」
両親の様子を見て、小さくため息を吐く優。
まだまだ、優の苦労は続きそうである。
99年06月17日:12時19分02秒
お見舞い・8 / 少年が1番!!
「・・・もう随分経ってないかい?」
「そうでもない」
心配顔の父・雅治に、何度目かの答えを返す由希。

「・・・親父は心配性だ」
「これが由希ちゃんなら、父さんは何も言わないよ」
「訂正するーー親父は直樹にだけ甘すぎる」
雅治は穏やかな笑みを浮かべると、

「直樹くんは僕に似て優しいですから」
「そして、親父に似て女に弱い」
「・・・酷評ですねえ」
歯に衣着せぬ言い方は、誰に似たのだろう? 雅治はそんなことを思いながら
言葉を続けた。

「それにしたって、もう女の子1人が出歩いていい時間じゃありませんよ。
ご家族の方も心配しているだろうし・・・」
「分かった」
由希は足早に居間を出ると、2階の直樹の部屋へ向かった。


「直樹。入るぞ」
ノックもなしにドアを開け、由希は中に入った。そして、安らかな寝息を立てている
2人を見つめ、かすかに苦笑する。

「やれやれ」
ベッドにもたれかかるようにして眠っている忍をそっと抱き上げ・・・そこで動きが
止まった。
彼女をどこに寝かせる?
直樹の部屋は論外だし、雅治だって断るだろう。困ったことに、この家に由希の部屋は
ない(帰ってくる度に埃じみた部屋で寝たくなかったのだ)。大抵、居間のソファーで
眠れば十分だったから、彼女自身、気にもしていなかった。

(そうか。我が家には女性の住む空間がないーー母も私もいないのだから、当然だが)

(なら、どうする?)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「ーー1つだけ、あったか。安全な部屋が」
そう呟くと、すたすたと直樹の部屋を出て、向かいの部屋のドアを開けた。
次男・大貴の部屋だ。・・・確かに安全かもしれないが。
既にベッドから転がり落ちている大貴をそのままに、忍をベッドに寝かす。
大きめのものだったのが、今回は幸いしたようだ。

(大貴は馬鹿だから風邪はひかない。よし、これでいい)

(後は・・・電話番号が分かれば・・・)
忍を起こさないように気をつけながら、彼女の持ち物を確認する由希。
何となく怪しい。
しばらくして、由希は財布の中に挟まれた紙切れを見つけた。なくした時のためだろう、
電話番号に加えて住所も書いてある。そしてーー名前も。

「浅月、忍・・・」
どうやら弟が気にしている「大町さん」ではなかったらしい。それにしては、眠ったまま
手を握りあっていたが。

(大町某と浅月忍か・・・。一応、覚えておいた方がよさそうだ)
メモを弄びながら、由希は階下へと降りていった・・・。


99年06月16日:14時52分47秒
夢の中で / 少年が1番!!
熱い・・・。
姉さんにからかわれたからではないと思うけど、食事の後、また熱が
上がってきた。
こういう時は寝てしまうに限る。そう考えて、眠ったのに・・・。
熱い・・・。
身体中が火照ってきて、自分が本当に眠っているのかどうなのかも
分からない。時折、目を覚ましてはまた眠る・・・その繰り返しだ。
だから、その頃にはもう、僕は自分が起きていたのか・・・それとも
夢の世界に足を突っ込んだままだったのか、覚えていない。
ただ・・・。
ひんやりとした手が、僕の手を握ったのが分かった。

(由希姉・・・?)
ぼんやりとした意識が、ほんの少しだけはっきりとする。

「こうするとね、安心して眠れるんだよ。
 ・・・あの人が教えてくれたの」
小さな、もしかしたら幻聴かもしれないほどの、囁き。

(誰・・・?)
初めて聞く声。初めて触れる温もり。
靄のかかったままの視界に、見たことのない女の子の顔が
入ってくる。優しそうな表情・・・。
まるで似ていないのに、なぜか僕は死んだ母さんのことを
思い出していた。

(やっぱり、夢、かな・・・)

99年06月16日:14時22分14秒
お見舞い・7 / RWAK
「部屋のドアに、名前を書いたプレートあるから・・・行っていいよ」
「あ、はい。わかりました。」
とことことこと歩いて、直樹の部屋の前に立つ。

コンコン。
軽くノックしてみたが返事が無い。
コンコン。
再度ノック。
やはり、返事はない。
どうしたのかと思い、少しだけドアを開けて中を覗く。

部屋の中では、熱が出たためだろう、直樹が苦しそうに眠っていた。
それを痛々しげに見ていた忍だが、何を思いついたのか、ゆっくり静かに部屋の中へ入っていく。

そっとベットの横に座り、直樹の手を優しく握る。
「こうするとね、安心して眠れるんだよ。
 ・・・・・あの人が教えてくれたの。」
保健室で純が手を握ってくれた時のことを思い出しながら、そっとつぶやく。
まるで我が子を見守る母親のようなやさしい表情で。

しばらくして・・・・・
直樹と共に、忍も眠りの世界に落ちていった。
99年06月16日:13時27分08秒
お見舞い・6 / 少年が1番!!
玄関を上がってすぐ、忍を待ち受けていたのは、

「うわー。カッコいいねーちゃんだあ!」
という無遠慮な声。見ると、2階に続く階段から、好奇心むき出しの顔が覗いている。

「大貴! さっさと寝なって言っただろ」
「ちぇ〜っ。ボク、ガキじゃないのにさあ」
「・・・私は寝ろって言ったんだよ?」
凄味のある言葉に、次男・大貴は引き下がることにしたようだ。忍に無邪気な笑みを見せた後、
階段を駆け上がって行った。

「ごめんね。うるさい弟で」
相変わらず、感情に乏しい由希の口調。お世辞にも愛想がいいとは言えない。

(さて・・・一応、親父にも会わせておいた方がいいか?)
だが、余計に気を遣わせるのも事実。

(よし。親父には事後承諾だ。彼女の帰りにでも会わせよう)
一度決めると、由希の行動は早い。性急すぎるという噂もあるが。
忍を見やり、短く告げた。

「部屋のドアに、名前を書いたプレートあるから・・・行っていいよ」
軽く顎をしゃくって見せる。上へ行け、ということなのだろう。しかし、とても客に
対する態度ではない。

高城由希から、忍へ


99年06月16日:12時38分47秒
お見舞い・5 / RWAK
直樹の姉だろうと思われる人が、説明してくれる。
「たいしたことないよ。あの子、いつも大きい行事の前になると、体調崩すんだ。今日は特別落ち込んでるみたいだけどね」
特別落ち込んでる?
そんなに花見を楽しみにしてたんだ。
果たしてまったく面識の無い自分でよかったんだろうか。
とはいえ、あの他の面子の状態では忍しかいなかったことは確か。

「・・・どう? 様子、見て行くかい?」
「あ、はい。ご迷惑をおかけします。
それじゃ、失礼します。」
一礼した後、きちんと靴をそろえて忍は家に上がった。


忍から、高城由希へ
99年06月16日:12時21分44秒
お見舞い・4 / 少年が1番!!
「あ、悪いね」
少女から容器を受け取りつつ、由希は礼を言った。

「あの・・・それで、直樹君の具合はどうなんですか?」
上目遣いで、そんなことを尋ねてくる。しかも、「直樹君」ときた。まあ、この場合、名字で
呼ぶと紛らわしいだけだからかもしれないが。

(ふうん。でも、ま、面白そうではあるね)
珍しく由希は、この成り行きに興味を持った。そもそも弟には恋愛経験が不足していると、以前
から思ってもいたことだし。

「たいしたことないよ。あの子、いつも大きい行事の前になると、体調崩すんだ。今日は
特別落ち込んでるみたいだけどね」
そして前髪を掻き上げながら、言葉を続ける。

「・・・どう? 様子、見て行くかい?」

高城由希から、忍へ


99年06月15日:23時10分09秒
帰途 /斜六 / SYN
「では皆様、御達者で〜」
 さわやかな大声で帰ることを宣言した後、リアカーを曳く斜六は、通りすぎる数人に声をかけていた。
 
To誠一郎
「今日はあんがとな。大町にもお礼をいっておいてくれ。じゃな〜」
 
To瑠璃
「互いにいい写真撮ろうな。じゃ、また学校で」
 
To虎次郎
「クラス、2−Aであってるよな? じゃ、学校で」 ------------------------------------------------------------------------------------
 ということで帰還〜。
 静月は酔いが醒めるまで森野家に置いておいた方がいいですね。きっと。多分。
 
 純に対する台詞との重さのギャップがスゲェ。
99年06月15日:23時07分13秒
昼下がりの黄昏 /斜六 / SYN
「あの……森野さんのこと、リヤカーに乗せるんですか? わかりました」
 斜六の台詞に上の空で答え、純は華奢な見かけを裏切って、危なげなく若葉を持ち上げ、リアカーに乗せた。
 それだけならまだしも、忍が立ち去った方をじっと見て、なにやら謝っている様子。
「…………。静月ちゃんも“眠り姫”だと思うのだがなぁ(^^;」
 無意識恐るべし(笑)
 斜六も、その光景を見なかったことにして静月をリアカーに乗せる。
 パンパンっと手についた埃を払うフリをして、大仰に背をそらしながら腰を叩く。
「うむ、ご苦労であったぞ。少年。ほいじゃぁまた、学校で会おう」
 えっらそーにそういうと、
「このみに実。行こうか」
 と言ってリアカーを曳いて行く。
 
 二歩進んでから立ち止まり、純へ言った。
「少年。眺めているだけでは物語は進まないよ。君だって、登場人物だからな。言いたいことはその場で言った方がいい。結果、どうなるかは考えずにね。後で後悔するよりは、マシだよ」
 ちょいと自嘲気味の、真面目な目をしている。で、またいつものふざけたような態度に戻ると、
「ま、聞き流しておいて。それじゃ、今度こそホントに。“また今度”」
 手をひらひらさせて、去っていった。
斜六より純へ
------------------------------------------------------------------------------------
 ってかんじ。
 
Toせりざわさんへ
 ナニもしないならこのまま次の書き込みへ移ります。
 割り込むようでしたらそれ相応に修正します。
 
 今日のチョイネタ
『純に催眠術をかける:「お前は男の中の男。言うなれば The漢。さぁ、胸をはって男らしく生きろ」』
99年06月15日:17時24分45秒
はじまりの予感 / せりざわ
「少年、森野に見とれるのはいいが、見物料がわりにおちびちゃんたちの面倒も見てやってくれ。……森野もきっと感謝するぞ」 胸の中で寝息を立てている若葉にすっかり気を取られていた純を斜六が現実に引き戻す。「あ、、、あの、、、」すっかり当惑している純。無理もない。
 純の見ている間に、斜六がなべの材料を運んだ森野家のリヤカーの方に向かっていた。それが何を意味しているのか、はじめは分からなかったのだが、、、、
 「そうね・・・いい点数稼ぎだと思うわよ?」
 純の側で忍の声。微妙に・・・・声が震えているのが分かった。慌てて忍の方に向きかえる純だったけれど、「浅月さんだっけ?ちょっといいかな?」春香に呼び止められた忍の表情は一瞬のうちに変わっていて、そのことを窺い知ることは出来なかった。
 (「・・・僕、浅月先輩のこと、怒らすようなこと、、、、しちゃったんだ、、ごめんなさい!」)純は心の内で忍にわびていたが、何をしたのかはまったく分かっていなかったのだ。まったく、人のことには良く気がつくくせに自分のこととなるとまったく分かっていない純。こういう人物が一番、損をする。
 「少年、出番だ。眠り姫を運んでオッケーよ」斜六がリヤカーをこっちまで引っ張ってきていた。
 忍のことを気にしていて、あまり斜六の行動が気にならなかったらしい。
 「あの、、森野さんのこと、リヤカーに乗せるんですか?わかりました」
 斜六にあからさまに気の向いていない返事をすると、、
 
 純は腕の中で眠る若葉を、そのか細い腕で一気に抱き上げ、そしてリヤカーへと乗せたのだ!純の細い体はその時、まったく危なげがなかった。
「浅月先輩、、、ごめんなさい・・」 桜の園から立ち去ろうとする忍の背中にそっと声をかける純だった。
 
99年06月15日:16時14分03秒
お見舞い・3 / RWAK

「あ、夜分すみません。
あの、直樹君と同じ学校のものですけど、今日のお花見に直樹君休んじゃったので、これ持ってきました。」
そう言って、容器(とは言っても中身は花見の食事のあまり物)を差し出す。
酒が残っているためか、未だに態度が女の子している(笑)

「あの・・・それで、直樹君の具合はどうなんですか?」
少し上目遣いに、心配そうに聞く忍。
なんか、勘違いされそうな態度だ(笑)
99年06月15日:15時56分28秒
お見舞い・2 / 少年が1番!!
「おや、こんな時間にお客さんかな?」
高城家の主・高城雅治(たかしろ・まさはる)は読みかけの本から視線を外し、
玄関の方を見やった。
やや童顔気味だが、実は45歳。中学の教師で、国語を担当している。
「いいよ、親父。私が出るから」
長女・由希がそう言って椅子から立ち上がると同時に、小さな影が彼女の脇を走り
抜けて行く。
次男の大貴(だいき)である。現在、小学3年生。兄の直樹と違って、いかにも
やんちゃそうな少年だ。

「ボクが出る!」
「あんたはとっとと寝な。ガキがいつまで起きてるんだか」
大貴の頭を小突きながら、由希は玄関へ向かった。覗き穴を見ようともせず、あっさり
ドアを開けた。かなり不用心だが、彼女は空手三段の腕前に加え、実戦経験も豊富である。
しかし。
さしもの由希も、少しばかり驚いた(無論、表情にはまったく出なかったが)。

「・・・誰?」
思い切り無礼な台詞を呟きつつ、来訪者を一瞥する。
年の頃は、おそらく15,6。直樹と同じくらいだろう。ショートカットの髪がよく似合って
いる少女だ。化ければ、男と言っても通用するかもしれない。
(・・・酒、飲んでる?)
かすかなアルコール臭を嗅ぎ取り、由希は心の中で首を捻った。別に未成年が酒を飲んだことを
どうこう言うつもりは彼女にはない。
考えているのは、別のこと。
(どう考えても、直樹の客か。あいつに女友達がいるなんてね・・・それとも、これが例の
「大町さん」か・・・)
沈黙。
じいっと少女を見つめたまま、由希は考え込む。
高城由希。またの名を沈思黙考の女という・・・。

99年06月15日:13時46分59秒
お見舞い・1 / RWAK
忍が純に対して、ちょっと問題のある発現をした後・・・

「浅月さんだっけ?ちょっといいかな?」
参加していた女性(多分明の知り合いだろう)に呼び止められた。
「帰り、手空いてるよね?
今日、熱出してこれなかった子がいるんだって。
その子の知り合いの子みんな酔って倒れてるし、男連中はみんな誰かは込んでかなきゃならないみたいだから・・・・
で、これ持っていってもらえる?お見舞いがてらに。
2年生だって聞いてるから、同じ学年でしょ?お願い。」
と、さっき残り物をつめていた容器を一つ渡された。
「あ、いいですよ。で、住所はどこです?」
と二つ返事の忍。
住所を書いたメモをもらって、そそくさと帰り支度をする。
「という訳だから、森野さんよろしくねぇ〜」
と、一言だけ純に告げて去って言った。

「えっと・・・・・ここかな?」
高城家の前に立つ忍。
「高城・・・・うん、間違いない。」
ぴんぽ〜ん!
高城家の呼び鈴が押された。
99年06月15日:13時08分35秒
その頃、高城直樹は・・・。 / 少年が1番!!


「・・・最悪だ・・・」
直樹は天井を見上げたまま、そう呟いた。
明かりはついていなかったが、暗闇に目が慣れてしまったのだろう。それほど見づらくはない。

「いつも、こうなんだよな・・・」
彼は生まれつき身体が弱い。特に遠足や修学旅行といったイベントのある時に限って、熱を出して
しまったりする。
これまでは半ば仕方ないと諦めていたが、今日は違っていた。ひどく悔しくて、寝つけない。


「・・・大町さん、どうしてるかな・・・」

「ーー直樹。入るよ」

「!?」
不意に部屋の戸が開いて、光が差し込む。その数秒後には、部屋全体が明るくなった。直樹は
たまらず目を閉じていた。

「まだ起きられない?」
再び目を開けた時、そこにいる女性を見て直樹は驚きの声をあげた。

「由希姉!? なんで・・・?」
部屋に入ってきたのは、直樹の姉・由希(ゆき)だった。
直樹とは似ていないが、美人の部類に入るだろう。背中まで伸ばした黒髪は癖一つなく、艶やかだ。
その硬質的な美貌とは正反対に、白のシャツと男物のジーンズという色気のない格好をしている。

「別にあんたの顔を見に帰ってきたわけじゃないよ」
無造作に言い放つと、由希は椀の乗ったお盆を差し出した。

「・・・お粥。親父が食べろって」

「うん」
直樹は身体を起こし、お盆ごと手にとる。湯気が鼻を刺激し、胃は空腹であることを今更ながら
思い出して小さく鳴った。

「いただきます」

「さっさと食べなよ。洗うの、私なんだから」


「・・・ねえ、直樹」
由希が口を開いたのは、直樹がお粥を食べ終わりかけた頃、10分以上経ってからのことだった。
彼女は無愛想で、口数も少ない。それは家族に対しても同様だ。直樹は慣れっこになっていたので、
黙々と食事を続けていたが。

「・・・なに?」

「大町さんって、誰?」

「!?」
ちょうど最後の一すくいを口に入れたところで、その一言は効いた。吹き出してしまうことは
なかったが、何度か咳き込んでしまう。

「ゆ、由希姉、なんで!?」

「あんた、独り言の声が大きすぎるんだよ」
にこりともせず、由希は答えた。

「彼女?」

「違うよっ」
姉の言葉は端的で、直樹は思わず赤くなった。

「ふーん」
素直な反応を見せる弟の顔を一瞥し、由希は言葉を続けた。

「ま、気をつけなよね。あんた、自分でも分かってないみたいだけど、惚れっぽい性格
してるんだから」

「そ、そんなことないよ」
そう反論しながら、図星を差されたような気分になる。由希とは10歳も年が離れており、
身体の弱い母の代わりに面倒を見られたこともあって、直樹にはとても太刀打ちできない。

「なら、いいんだけどね」

「・・・いつ帰るの?」

「明日にはもう出るよ。今日だって取材の途中に寄っただけ」
由希はジュニアノベルズものの小説家だ。普段は、この間まで家族で住んでいた名古屋の
マンションで悠々自適の生活を送っている。

「そっか・・・」

「じゃ、ゆっくり休みな。大町さんに会いたいんだろ?」

「由希姉っ!!」

こうして、高城家の夜は更けていくのであった。


99年06月15日:11時48分07秒
ようやく復活・・・しかし / 少年が1番!!
結構時が流れたかと思いきや、花見が終わったばかり(笑)。
これは登場するしかないでしょう。

99年06月15日:00時55分18秒
/ 月夢
「やーれやれ、しょうがない、帰るか」
 春香と瑠璃を見送り、秋月に事情を説明してから荷物を持つと、めんどくさげに山を下りようとしてふと目を留める。
(あれ?)
 誠一郎とハリーとみゃあとこまち………妙な違和感、
(まあ普通じゃない人間の群のような気はしないでもないけど)
 まあ、そういう違和感もあるが……会話と光景と何かが・・・思わず頭の仲で繰り返す。
(……………………………………………なんで鍵がいるんだ?)
 誠一郎の家の鍵が何故いるかである。
(………………………………………………………………こまち先輩高く買ってくれるかなあ?)
 火事場にガソリン注ぐようなことを考える明であった。
99年06月14日:18時36分37秒
「Love be the sound speed !――春の太陽、春の風――」 / みだれかわ枕
(一人称単数)
 
 夢を見てる。
 はぁん?
 夢を見てるのを認識してるってコトは、やっぱり夢見てないんじゃないかなぁ。
 あ、でも、夢だわ。
 うん、そう、夢。
 そうでもなきゃ、こんな事、あるわけない。
 
 だって。
 あたし、氷室に抱きついて寝てるもの。
 氷室はあたしの髪をなでながら、うとうとしている。
 太陽の光が暖かい。
 そよ風が気持ちいい。
 春の太陽、春の風。
 
 何か、既視感(デジャ・ヴ)。
 前にもこんな夢を……
 ん?
 あれは夢じゃないや。
 日本に来て、三年目の春。
 初めて氷室にあったとき。
 そう。
 あのときも、こうやって二人で寝てたんだ。
 何でだったろう?
 よく覚えてないや。
 今度氷室に聞いてみよ。
 あいつなら、覚えてる。
 
 こまちから、誠一郎へ。
 
 ★ ★ ★
 
 あとはこまちを送っていただいて結構です。
 大町家に着いたら、聖さんたちのお出迎えがあります。
 全国1億3千万のおっとりお母さんファンのみなさま、ご期待下さい(笑)。
 
 ……そうか、1ポイント先取か(笑)。
99年06月14日:11時57分38秒
浅月 忍 / RWAK
皆が帰り支度をはじめた頃・・・・
「お開き」を宣言した当人は積極的に後片付けを行っていた。
残り物をどこにあったのか容器に詰め、全員に配っている。
これから飲み直す人はおつまみにでもしてくれということらしい。
・・・・中に鍋の具が混じっているのは酔ったご愛敬ということにしておこう(笑)

鍋の中を奇麗にしたあたりで、斜六がリアカーを取りにいこうとする。
斜六が言った一言が聞こえる。
「少年(←純のこと)。森野に見とれるのはイイが、見物料代わりにおちびちゃんたちの手伝いでもしてやってくれ。
……森野もきっと感謝するぞ」

「・・・・そうね。いい点数稼ぎだと思うわよ?」
少し笑みが強ばっているような気がする。
でも後悔はしてない、と思う。
99年06月14日:02時35分16秒
宴の後、彼の見る夢 / ジョーカー
 誠一郎は落ちた眼鏡を拾い胸ポケットにしまう。
 
 「えへへへ……まことちゃん……」
 
 そう言って抱き付いてくるこまちの髪を手櫛で漉きながら彼の顔は穏やかだった。
 もう片方の側には美亜が人事不省の様子だ。夢でも見てるのだろうか?
 
 (…こんな風に人の温もりを身近に感じるのは久しぶりだな)
 
 取り留めも無く昔の事が思い出される。誠一郎が今の誠一郎という人格を
 形成するまでに起きた様々な事柄が。それはけして楽しい思い出ばかりでは無かったけど。
 
 (その積み重ねの上に今の僕がいる)
 
 ならば。それはやはり良い思い出だったと言えるのだろう。
 
 (それにしても……)
 
 欠伸を噛み殺す誠一郎。
 
 「なんだか気持ちよさそうに寝ているから僕まで眠くなって来ちゃったな」
 
 はっきり言って酒豪―高校生でこれは自慢にならないが―である誠一郎も
 なんだかんだ言って結構飲んでる。酔っ払うほどでは無いがほろ酔い加減。
 春の陽気に腹八分目。これに酒が入れば眠くもなろうという物。
 
 そこへ忍と春香の提案。
 
 「そーですね、送るなりなんなりするにせよ責任はきちんと取ります」
 
 返事…なのだろうか?なんか微妙にずれてる気がする。呂律はしっかりしてるのだが。
 
 「はふぅ」
 
 再び欠伸。
 
 「あーえっと。……」
 
 辺りを見回して言い淀む。言いたい事を纏められないようだ。
 やはり酔っているせいか。額に手を当てること数秒。
 
 「そうそうハリー」
 
 「ん、なんだ?」
 
 持ち込んできた多量の酒瓶を纏めていたハロルドが振り返る。
 
 「悪いんだけど僕はこまちを送らないといけないんで、持ってきた食器類とか頼めるかな」
 
 片手で拝みつつ誠一郎が言う。
 
 「しょうがない奴だな。まぁいいだろう。で、Miss神崎はどうするんだ?」
 
 「うーん、幾ら何でも酔っ払ってる人を二人も同時には送れないから…
 そうだね、重ね重ね悪いけど神崎さんもお願い」
 
 と言って誠一郎は両膝を塞がれた状態でポケットを探る。
 多少苦労しながらキーホルダーを取り出すとそれを放る。
 
 「これ、うちの鍵ね。送っていってあげて…ふぁ」
 
 三度欠伸。だが本来花見の席で紹介したように美亜が春夏秋冬に
 住み込みしているのならば誠一郎が自宅の鍵を渡す必要は何処にも無い。
 その矛盾は事実と建前の食い違いから来る物だが、誠一郎は矛盾を
 提示してしまった事に気付いていない。彼らしからぬ落ち度だと言える。
 
 「おい、誠一……?」
 
 それを指摘しようとしたハロルドだったが、彼が見たものは桜に身を預け
 既に眠りの園に落ちた誠一郎の姿だった。両膝に少女達を乗せた
 些か苦しい状態ではあったけど。
 
 「……ふぅ。ま、良い夢でも見るんだな、誠一郎」
 
 多少呆れたように溜め息を付くとハロルドは弟子と少女達を起こさぬように
 静かに片付け、美亜を担ぎ上げる。音を立てず、揺らしもせず。
 ただ、車へと向かいながらこう呟いた。
 
 「まずは彼女の先制点か。点差をひっくり返すのは難儀だぜ?お嬢ちゃん…」
 
 その面に微かな微笑を浮かべ、異国の喫茶店主は静かにその場を去っていった。
99年06月14日:00時37分08秒
帰り支度 /斜六 / SYN
 忍と春香の提案もあって、やかましかった花見もお開き。それぞれに帰り支度を始めている。が、始めることができない人物も数名、いた。
 
「こりゃあ見事に寝てるな……」
 早々とつぶれてしまった森野若葉と港野静月。離れて置いておくと片づけの邪魔になるので若葉を静月のそばへ運んである。目は、さまさなかった。
 斜六と森野姉弟があきれ顔でそれを見る。ちなみに白石純は若葉だけを見ている。(と、思う)
〈力持ちの森野がつぶれていて、森野家はおちびちゃん二人だけ。……手伝うしかないよなぁ。幸い、男手はあるみたいだし、オレひとりでやるってハメにはならんな〉
 と考えて、自分の荷物を若葉と静月が寝てるところへ持ってきた。
「ふむ……。森野妹、弟、静月ちゃんと森野はこれ(リアカー)に積んでいきゃあイイよな?」
 姉弟、顔を見合わせて、互いにうなずく。
「「うん。それでいーとおもうよ、すけろくにーちゃん」」
「なぁ、何度もいうけどさー、オレは“斜六”であって“助六”じゃないんだけど……」
 さすがに、小学生くらいの子供にいわれるのは堪えるらしい(笑)
「「おねーちゃんだって呼んでるんだからいーじゃん。ね? すけろくにーちゃん」」
 斜六、敗北感たっぷり。
「わかった、もうイイ。じゃぁ、オレはリアカー持ってくるから、細かいモン集めといてくれ」
 で歩き始めようとして気付くのは、若葉のそばにいる純。
「少年(←純のこと)。森野に見とれるのはイイが、見物料代わりにおちびちゃんたちの手伝いでもしてやってくれ。……森野もきっと感謝するぞ」
 最後の一言は“ニヤリ”笑いだったが。
 
【if 純が何も答えない場合】
「……ま、いいか」
 ちょっと無視された形になって寂しかったが、ちょいと肩をすくめてリアカーの方へ歩いていった。
 
【続き】
「よっ、と」
 リアカーを運んできた。
 森野姉弟をして細々と鍋、コンロ、皿、材料を入れてきたタッパーウェア等を積み込み、人二人分くらいのスペースが余る。そこに斜六の荷物から引っぱり出した寝袋を広げて敷く。
「少年。出番だ。眠り姫を運んでオッケーよ」
斜六より純へ
-------------------------------------------------------------------------------------------------
 というわけで、行動開始。
 さぁ、純君の返答は如何に?!(笑)
99年06月13日:17時39分40秒
花見の終わり / 月夢
「春香さーん、片づけ終わりました」
 立つ鳥後を濁さず、しっかりきっちり飲み食いした後を片づけて、明が春香に告げる。
「よし、じゃあ、上がりかな、で、そのあたりの寝ているのは先ほどの分担通りそれぞれちゃんと面倒見るように」
 酔ってマグロのように転がされている存在を指さして春香が言う。
「はーい、じゃ、解散、お疲れさまでした、また縁があった飲みましょ」
 いつのまにやらなぜか仕切っている春香が花見の終わりを告げるとそれぞれが荷物を持って三々五々に分かれる。
「春香さんこれから仕事?」
「うーーん、用事ちょっと済ませないとね……もう消火されたらしいから連れていっても大丈夫だろうし」
「消火?」
 明が聞き返すと春香が小さくため息をつく、終わったとはいえ花見の雰囲気を壊さないように周りに聞こえないように注意しつつ。
「ちょっとね、あきちゃんこの後どうする?」
「マスターはこの後藤寺さんとかと飲むつもりみたいなので・・・・・・どうしようかな、と思ってますけど」
「悪いけど家にいて、少し話在るから」
「わかりました」
「お願いね………瑠璃ちゃん」
 春香は明に告げてから瑠璃のほうに歩いていく。
「・・・・・・・・・・・・・まさかねえ」
 どう言っていいかわからず明がため息をつく。
「参ったなあ、こういうの得意じゃないんだけど」
 
 
 ということで春香は瑠璃連れてさっさと抜け出して瑠璃の家のほうにまわるんで、その後の展開はtomyさん後よろしく。
99年06月12日:10時43分40秒
瑠璃 / tomy
「……わかった。それなら『信用』できるようになったら、また考えてくれ。写真の出来がどうだったか気になるけどさ、しゃぁないよな。加藤さんに信用されるよーなコト、ぜ〜んぜんやってないしな」
助六先輩は苦笑すると軽くため息をついた。

……………?
私はその台詞に何か違和感を感じた。…けど、それが何なのかまではわからない。

「とりあえず、ちゃんととっておいてね、約束だよ」
続けてそう言って、助六先輩は私にメモリカードというものを渡した。…どうもフィルムの代わりようなものみたい。

「わかりました。保存しておきます。…『信用』できるようになるか、渡すかどうかは、また別問題ですけど。では、結果がわかった時に、また」
私はそう答えると、助六先輩との話しをきっぱりと打ち切った。

瑠璃から助六先輩へ


それから少しして、春香さんが携帯電話に出るために席をはずす。助六先輩と2人でお酒を飲むような気分でもないので、私は桜の中をしばらく散歩することにした。


(……………そういえば、さっき感じた違和感は何だったのかな?)

私は散歩の道すがら、先ほどの違和感に思いを巡らす。

(…………………………………あぁ、そっか。写真の出来じゃなかったんだ。助六先輩が“綺麗”って言ってたのは)

…ていうことは、“綺麗”なのはモチーフってこと?

(tomy:難易度を3に上げて、動揺するかどうかチェック。意志力は8の中級で…また5成功。まだ平然)

頭の中に桜の花びらに囲まれた自分の姿をイメージしてみる。
「………悪趣味」
私はそうつぶやく。
………もしかすると確かに“綺麗”なのかもしれない。自分でも顔立ちは整っている方だと思う。でも私はそのイメージに一片の魅力も感じない。なぜなら…そこには大切な何かが欠けている、“あの時”失われてしまった、…はずだから。アルバムを見比べて、自分でもわかってるもの。

「…余計に負けられない」

…そんな写真を望む人には。


「全く無粋な電話だわ」
私が席に戻るのと同じぐらいに、春香さんがそんなことを言いながら帰ってくる。

そして、春香さんが2度目の電話から帰ってきた頃、花見はおひらきとなった。

「そうね、そろそろ上がりかしらね。半分つぶれてるとなると続けるというのも何だし、飲み足りなければ場所変えましょ、マスターのところなり店長のところなり騒ぐ場所はあるし」
「私も急な用事が入ったのよ。ま、私の都合はともかく、春とはいえ日が落ちてくると冷え込むしね、酔った子たちここらに放り出しといて風邪引かれても困るでしょう。飲むにしても酔ってる子たちどうにかしてってとこでしょう、と言うことでそこら辺のちゃんと送って行きなさいね、何かあったらあなた方の責任ね」

(…私は、どうしようかな。春香さん忙しいみたいだし、でもそういえば春香さんのマンションのキッチン片付けられなかったし、ここも片付けないといけないだろうし、それに…)
色々考えたけど、結局春香さん次第という答しか出てこなかった。

tomy:遅くなってごめんなさ〜い(T入T)
99年06月07日:23時23分35秒
春香 / 月夢
「そうね、そろそろ上がりかしらね」
 二度目の電話から戻ってきて春香が言う。
「半分つぶれてるとなると続けるというのも何だし、飲み足りなければ場所変えましょ、マスターのところなり店長のところなり騒ぐ場所はあるし」
 お祭り好きな春香としては珍しくさっさと切り上げに入るのを明が怪訝そうに見ると、春香は携帯を指さし、
「私も急な用事が入ったのよ」
「ああ、なるほど」
「ま、私の都合はともかく、春とはいえ日が落ちてくると冷え込むしね、酔った子たちここらに放り出しといて風邪引かれても困るでしょう」
「さいですね」
 まあ、酔っぱらいなんてほっとくと辺り構わず寝るもんだし。
「飲むにしても酔ってる子たちどうにかしてってとこでしょう、と言うことでそこら辺のちゃんと送って行きなさいね、何かあったらあなた方の責任ね」
99年06月07日:14時30分35秒
浅月 忍 / RWAK
「あの・・浅月先輩。僕で力になれることなら・・」
木漏れ日に映える、凛とした純の顔。
少し、息を呑む。

「あの、ね。」
−私のこと、森野さんのことどう思ってる?−

そう聞こうとした。
でも・・・・

「しぃーらぁーいーしぃー!」
がばっと、若葉が純に抱き着いた。

さすがにこれにはびっくりし、そして気勢をそがれた。
しばしの沈黙。そして・・・・

「もう!」
突然忍が立ち上がる。

「あの、すいませ〜ん!
 お酒飲めない人が倒れてきてるんで、そろそろお開きにしませんか?」

忍が、ちょっとむくれた顔で全員に呼びかけた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
キャラ側からの花見終了を呼びかけてみました。
ちょっと強引、ですか?(^^;
99年06月07日:01時01分54秒
夢うつつ。過去も未来も盃の夢(みゃあ) / Karma
 当の本人は、といえば、すっかり夢うつつのもよう。
 自分がいかに重大な事を防いだか、これでは覚えているかどうか。
 まぁ、覚えてたら覚えてたで、一騒動あるだけかもしれないが。
 
 


 夢
 夢の中
 幼いころ、誰かと交わした約束
 それは、少女の支えになった
 少女自身も、記憶の影に隠してしまったけど・・・・
 盃に満たされた霊薬がそれをひととき深淵から浮かび上がらせる
 ほんの一時・・・・・・・・
 
 (ああ、そうだ・・・・あのときやくそくしたんだっけ・・・・)
 幼いころ、誰かと交わした約束
 (そうそう、ふたりでいっしょにかくしたんだ・・・・・あれを・・・)
 大切な絆をなくさないようにしまった二人だけの思い出
 
 夢の中
 焦るように“何か”を探す
 (そうだ、この場所、この庭、この木のうろに、しまったんだ!)
 木のうろから、“何か”を取り出す
 (良かった・・・・まだあったよ・・・・あたしと・・・・の約束の品が)
 それを両手で握り締めるように持って、振り返る
 (ほら!・・・・・・あったよ!!)
 その視線の先には・・・・・・・・・
 
 
 溶暗
 


 
 
 全ては酒が見せた幻か?
  
 
 
#あ〜しんど(笑)
#なんか久しぶりに書いたせいか、微妙にやりにくいっす。

#ま、とりあえずはこんなとこです。
#ぼかして書いても、みんな知ってるかもしれないけど(苦笑)
99年06月06日:01時20分26秒
前回の書き込み「おね(中略)なの」の追記 /斜六 / SYN
「とりあえず、ちゃんととっといてね、約束だよ」
 と言って、斜六はメモリカードを差し出した。
斜六より瑠璃へ。「おねがいその二」
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 そういえば前回の書き込みだと、まだ問題のブツを瑠璃ちゃんに渡してなかったんですよ。
 だもんで、その追加。
 
 それと、前回、瑠璃の台詞で拡大されているところがありますが、心の中で一段階小さい文字にしてください。私の打ち間違いです。
99年06月03日:01時59分12秒
「麻摘敬一」NPC化について / SYN
 了解しました。
 まぁ、損な役割を振ることに……なるんでしょうかね。
99年06月03日:01時49分25秒
麻摘君について / MARS
 ではNPCとして登録させていただきます
 好きなだけもてあそんで下さい(笑)
99年06月03日:01時13分08秒
MARSさんへ /「麻摘敬一」使用許可申請について / SYN
 新任陸上部顧問「麻摘敬一」をNPCとして私がちょっとした役を割り振ってもよいか? ということです。
 ログをざっと見た限り、MARSさんは「麻摘敬一」をNPCとして公開してはいないようでしたので、『使用許可申請』と書きました。
 
 花見が終わったあと、家達斜六は加藤瑠璃との写真の勝負をします。そのさい、小イベントを瑠璃とは関係ない位置で起こそうと思うのですが、その計画中、MARSさんのキャラ「麻摘敬一」を使用したく思いました。
 基本的に「陸上部の顧問として生徒を使う」位のことしかする事はありません。設定に深く関わるであろう行動はとることは無いと想定しています。
99年06月01日:23時27分59秒
桜の中で見る夢は(若葉) / Dr.李
 喧騒がまるで海の波のように聞こえる。
 誰かの声がきこえる・・・。
 
 あぁ、白石かぁ・・・。
 
 何かに怒っているような声。
 
 へぇ、やっぱり男の子なんだなぁ・・・。
 
 視界が暗転する。
 「森野さん、僕強くなったよ!」
 「あれ、白石。ここは?」
 普段かよってる道場だった。
 目の前の人物はいつの間にか空手着を着てる。
 「じゃぁ、とりあえず10枚からね。」
 「ちょっと白石、無理だっていきなりやったら拳を傷めちゃうよ。」
 だが、目の前の人物はあっさりと割ってみせた。
 
 「しぃーらぁーいーしぃー!」
 すごっぉーい、ほんとにわったんだぁ。
 思わず駆け寄って抱き上げる。
 あいかわらず軽いのにねぇ・・。
 瓦十枚も割るなんてすごい!
 今度は二十枚ね!
 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ちょっと若葉が現時点で白石を見る夢というのが思いつきませんでした。
 あいかわらず、ぶっとんだ思考回路の娘ですね。
 
99年05月27日:17時41分14秒
勘繰り / せりざわ
「ごめんなさい。
 言い訳かも知れないけど、あれがお酒だって気付かなかったの。」
 ・・・ごめんなさい?
 ・・・・気がつかなかっ「たの」?
 忍からコップを手渡され、若葉を挟んで座る忍の変化を純は見過ごさなかった。
 言葉遣いが変・・
 そして何より・・・こちらに向ける忍の様子が・・・変わってる。
 
 そう言えば・・・こんな感じの忍の表情、どっかで見たことがあった・・
 ・・・そう、先日の保健室での出来事だ。
 (そうか・・浅月先輩・・何か心配事があるんだ・・)
 ”あたるとも近からず”の答えをえた純は、
 そっと、眠る若葉から、忍へと視線を移す。
 「あの・・浅月先輩。僕で力になれることなら・・」
 チョットだけ凛、とした純を桜色の木漏れ日が照らし出す。
 そして、、
 しぃーらぁーいーしぃー!
 若葉が純に抱き着いて、、何も無かったように純の胸の中でふたたび寝息を立て始めた。
99年05月25日:06時12分39秒
「Love be the sound speed !――ミルクを入れたダージリン――」 / みだれかわ枕
(三人称単数)
 
 


 大町小町と氷室誠一郎が出会ったのは、小学校4年の時。
 こまちが日本にやってきたのは小学校1年の夏。
 その間、こまちはどこにいたのか。
 この街にいたのだ。
 だが、誠一郎に会うことはなかった。
 なぜなら、こまちはいわゆる、不登校児だったから。
 
 それがある春の日、激変する。
 こまちはある少年とともに学校に通うようになる。
 The girl meets the boy.
 その時にもう、始まっていたのかも知れない。


 
 
 誠一郎が美亜とこまち、二人の頭を抱える。
「なーにやってんだか」
 本人は、答えるどころではなかった。
「きゅうううううう」
 視界が回転している。いきなり――はたから見れば、見え見えの動きだったのだが――飛びつかれたのだ。酔いも手伝って、三半規管がぐるぐるする。
「あ、あんた、なにすんのよぉおお」
 美亜に対する抗議。
「まことちゃんもやめてってばぁぁあああ」
 誠一郎に対する抗議。
「きゅうううう……」
 だが、酔いが一気に回る。
 こまちの視界が、ミルクを入れたダージリンのように、混濁する。
「まことちゃん……」
 
 
 いつもかけている眼鏡が落ちている。
 美亜の足下だ。
 眼鏡の持ち主の素顔は……意外と普通の顔だった。
 だが、おそらくここにいる全ての人物が、こまちの素顔なぞ見るのは初めてだろう。
 見たことがあるのは……
 
 
 自然とこまちの両手が、誠一郎の腰へ動く。
 そのまま、抱きつく。
「まことちゃん……」
 起きているのか寝ているのか。
 こまちは
「えへへへ……まことちゃん……」
 抱きついたままだった。
 
 
 こまちから誠一郎と美亜へ
 
 ★ ★ ★
 
 こんなモノでどうですか?
 こまちが3年間、どうして学校にも行かなかったのか。そのあたりは、いろいろ考えてみて下さい(笑)
 
 あと、こまちのすっぴんが普通(笑)ってのは、お許し下さい(一部眼鏡ファンの方々)(笑)。
99年05月21日:09時39分10秒
電話 / 月夢
 酔っぱらいは程良く酔い、水でも飲んでぢゃないかと思うペースで飲んでる連中も多少は酔い始める頃、春香の携帯が鳴る。
「こんな無粋なものおいてくれば良かったわね」
 こんな山奥までつながるあたり根性のある電波である、一瞬電源切ってやろうかとも思うが春香は何となく出る気になると立ち上がる。
「ちょっと失礼」
 花見の席をはずれ声の届かないところまで行ってから携帯をつなぐ。
「もしもし」
『ああ、やっとつながった、春香先輩ですか?』
「中君?なに急に?」
 仕事の後輩からの電話に、見えないだろうが、露骨に春香が嫌な顔をする、こんな日に働かされる気など更々ない。
『ええ、ちょっと春香先輩探してたんですよ』
「なに?編集長の脱税でも見つかった?それとも本社に火でもつけられた?」
『冗談言ってる場合じゃないんですよ、ちょっとさっき知り合いから連絡まわってきて』
「まわってきて?」
『火事が起こったらしいんです』
 そんなこと新聞屋に持って行けと言いそうになるところ春香は何かが引っかかり聞き返す。
「どこで?」
『それが……』
 住所を聞いてすっと春香の表情が真剣になる。
「確認は?」
『報道関係の知り合い当たって連絡回してもらってますんですぐとれると思います』
「大至急お願い、わかったら、本当だろうが違おうか連絡頂戴」
『は、はい、わかりました』
 携帯を切って春香が少し考え込んでから席に戻ってくる。
「全く無粋な電話だわ」
 
99年05月20日:11時21分05秒
二人の距離 / RWAK
第二次KK会戦と第一回誠一郎争奪杯が一応の集結を見せようとしていたその頃・・・・

木陰の下で若葉を見守る純に近寄っていく人影があった。
忍である。手には3つコップを持っている。
少しばかり足元がふらついてるのは今だ酔っている証拠である。

「はい。これ、スポーツドリンク。」
コップを2つ純に渡す。
「森野さんが目を覚ましたら飲ませてあげてね。
お酒を飲んだ後は水分を補給した方がいいから。」
微笑みながらそう言うと、自分は若葉を挟んで純の反対側に腰掛ける。

「・・・・・ごめんなさい。
 いい訳かもしれないけど、あれがお酒だって気がつかなかったの。」
先ほどのお酒の件を純に謝る。

若葉を挟んだ純との距離。
近いようで遠いこの距離が、今の二人の距離なのだと感じながら・・・


忍から純へ
99年05月17日:02時31分14秒
おねがいっのダメですの念押しなの /斜六 / SYN
「そんなの……。そんなの、信じられるわけないじゃない」
 瑠璃は、そうつぶやいた。少し、泣きそうな声になっていた。いつものキッパリとした調子のない、弱々しい声。
 斜六は驚いた。想像もしなかった表情だし、ひどく淋しそうな、悲しみにあふれた声。
 わずかな間のあと。また、キッパリとした口調に戻り、こう言った。
「………………とにかく、ダメです。……処分するとまでは言いませんから」
 
 そうまで言われたらしょうがない。
「……わかった。それなら『信用』できるようになったら、また考えてくれ」
 ここまではわりとまじめな声だった。少なくとも、写真は返して欲しいし、瑠璃がこう言っている以上、斜六はその言葉を信じるしかない。
「写真の出来がどうだったか気になるけどさ、しゃぁないよな。加藤さんに信用されるよーなコト、ぜ〜んぜんやってないしな(苦笑)」
 でも、ふざけていったりすると、瑠璃ちゃん怒るような気はする。だがしかし、少しふざけて気分を高揚させないとやりきれない面も、ある。
「……はぁ〜あ(ため息)」
 やっぱり未練はあるらしい(笑)
「とりあえず、ちゃんととっておいてね、約束だよ」
斜六より瑠璃へ。「おねがいその二」
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 キャラデータを見直してて気付いたというのは秘密です(笑)>瑠璃の「設定」
 もっとも、言わせるつもりの台詞だったんで『ニヤリ』としただけでしたけどね(笑)
 
 にしても、瑠璃ちゃんったら『ときP』が43……。うらやましいなぁ(笑)
 
 もしかして他のキャラの設定刺激してばっかり?
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