天羅万象掛け合い:建国編&戦乱編 LOG 006

天羅万象掛け合い所:建国編&戦乱編の1998年02月22日より1999年07月18日までのログです。


99年07月18日:22時43分21秒
魂達の会合 / ジョーカー
 「まず現状の説明だが…それを把握していない者は?」
 
 志誡がぐるりと皆を見回す。
 手を挙げる者はいない。ただ苫基がぽつりと言う。
 
 「一応の説明をしてからの方が軍議は円滑に進むと思うが?」
 
 「もっともですね。では新しい情報を含めざっと説明をする」
 
 志誡が了承すると安堵の気配が幾つか伝わってくる。それでも不安だった者達がいたのだろう。
 
 「簡単に説明すると静狭間で九道殿の軍と敵の先陣そして後続の赤備えが
 戦っている内に、彼らの別働隊が街道を廻って州俣を押さえ、現在其処を中心に
 敵が集結している状態だ。これによって幾つかの問題が発生した。
 まず第一に冬峨北部は中央部との連絡を絶たれた事。
 第二に州俣に備蓄してあった珠及び糧食を押さえられた事。
 第三に元より北部の街道の交接点である州俣を占拠された事で
 北部の軍勢を集結させるのも難しくなった事だ」
 
 淡々と志誡は現状を述べていく。
 
 「敵の一陣と第二陣である赤備えは指揮系統が違う。一陣の大将は静狭間の戦いで
 討ち果たされたようだから、今州俣で行われているのは赤備えを中心とした再編成だろう。
 これが終わると恐らく奴らは横臥山に籠もった九道軍に対し陣地を築き
 更に北部の兵力が集結するのを防ぐために兵を派遣するはずだ」
 
 そこまで言った処で言葉を切る。情報が理解されるのに十分な時間を与えるために。
 その志誡の袖を引く者がいる。それは横に立つ双華…ではなく彼ら二人の後ろに隠れていた深薙。
 
 「ねぇしかい兄さま、どういうことぉ?」
 
 舌っ足らずに首を傾げる。よく分からなかったらしい。その齢が六歳というのでは…無理も無いだろう。
 
 「そうだなぁ」
 
 威厳すら湛えていた志誡の顔が深薙に向かうと年相応になる。
 
 「簡単にいうとみんなが通る道を通せんぼされちゃったから皆が集まれなくって
 その人達は僕らが集まれないように意地悪して来るって事かな」
 
 膝をかがめ、目線を合わせて志誡は簡単な説明をする。
 それを見ると志誡がこの幼い少女を大切に思っているのが良く分かった。
 
 「いじわるしちゃいけないよね。みんな一緒にいたいのに」
 
 「そうだね、だからそれが分かってる深薙は偉いよ」
 
 志誡が優しく頭を撫でる。
 
 「えへへ」
 
 深薙が嬉しそうに笑う。その深薙を後ろから双華が抱え込む。
 
 「いい子ね、深薙ちゃん」
 
 見ただけで分かる。二人がこの小さな妹を大事にしていることが。
 深薙は双華に任せ、志誡は皆に向き直る。瞬時にして表情から
 甘さが消える。その変化は豹変と言っても良い。
 
 「つまりはこの状況を打開するためにこの軍議はある。
 皆の意見を聞きたい」
 
 そうやって志誡は居並ぶ一同に水を向けた。
 
 志誡  皆に向かって
99年06月05日:01時31分21秒
九道 / MARS
 「まあ‥‥せっかく開けたのだからそう焦らなくても良いだろう?」
 ゆっくりと瞳を閉じる。
 「ただ俺にあるものは何かを言うことはできる。」
 「それは人を殺める力と人の心を読む力‥‥そして故郷と友‥‥そしてそれを護りたいという心だ‥‥」
 そして微かに沈黙が辺りに漂う‥‥長い間淀んでいた空気のように‥‥
 「力を貸して欲しい‥‥この国を護るために‥‥」
 どこからか風が微かに吹き始める。
 「俺には多くの人の力が必要だ‥‥俺にその力をまとめられるかはわからん‥‥だが‥‥その為にたとえこの身が砕けたとしても‥‥」
 ふと九道は目を開ける。
 「俺はそれを成し遂げる‥‥」
 ‥‥‥‥鋭い目がふと優しげに揺れる。
 「どうか‥‥あなたの力を貸していただきたい‥‥」
 そして眼光が戻ると、九道は魔人の前に跪き頭を大地へとたたきつけた。 
 
99年05月25日:00時45分41秒
返事 / Karma
 
 <月代家の千里殿、綾香殿>
 
 <<ここに>>
 
 二人が声をそろえて応える。
 いくら年端も行かぬ子供といえも、一群の支えとなるヨロイ乗り、公の場で醜態をさらすほど愚かではない。
 
 
 
 そして、軍議がはじめる・・・・・・・
99年05月24日:23時11分21秒
会合の刻 / ジョーカー
 #オフィシャルでは否定されてしまった明鏡同士の遠隔接合ですが
 『やっちまったものは仕方がない』ということでルールには多少
 目をつぶって貰うことにして、続きを書くことにします。(笑)
 
 外界ではまさに真夜中に差し掛かった頃。
 新たに明界に魂が接合してくる。その数三つ。
 儚げという印象を受ける十代半ばの少女。
 その少女に縋り付くようにしている十も行かない幼い少女。
 そして全身に無数の傷痕を浮かべた、大人びた十代半ばの少年。
 
 <皆、よく集まってくれた>
 
 それが彼の第一声。
 
 <知っている者が多いとも思うが改めて自己紹介しよう。
 私は暁城で客将の身分となっている武島志誡という。この度の
 取りまとめを勤めさせて貰うことになっている>
 
 それは歳とは不相応に威厳の籠もる、『上に立つ者』の声だった。
 
 <この者は私の妹の双華>
 
 後ろに控えていた少女が皆に軽く礼をする。
 
 <そして暁城領主、暁城 霧秦殿のご息女深薙殿>
 
 人見知りをしているのだろうか?彼女は双華の後ろから顔を覗かせると
 すぐに引っ込めてしまう。それを見て志誡、双華の両名は柔らかな笑みを漏らす。
 
 <些か緊張しておられるようだな>
 
 笑いながらそう言うと志誡は他の者の名前を呼び上げ始める。
 
 <田辺家の轟丸殿>
 
 如何にも元気そうな少年が答える。
 
 <はいっ!>
 
 <琶孔家の鷹丸殿>
 
 冷静さを保とうとしていた少年が多少、どもりながら答える。
 
 <は、はい>
 
 <磯城家の智丸殿>
 
 知的な雰囲気の少年がそれに答える。
 
 <はい>
 
 <…夕凪の苫基殿>
 
 一人異彩を放っている大柄な壮年の男性がそれに応じる。
 
 <応>
 
 <銕家の梓殿>
 
 先程まで綾香達と話していた少女が答える。
 
 <此処に>
 
 <月代家の千里殿、綾香殿>
 
 志誡  千里、綾香そしてこの場にいる者達へ
 
99年02月22日:20時12分19秒
横臥の魔神 / Dr.李
 「何かが足りぬ事は理解できる。だがそれが何は分からない……」
 彼は興味をなくした。
 所詮、力一辺倒の男。
 自分を使うことはかなわない。
 「ならば、我を忘れ、扉を閉めるが良い。」
 彼は再び眠りに落ちようとしていた。
99年02月22日:09時48分46秒
【横臥山】九道よりの返答 / MARS
 「何かが足りぬ事は理解できる。だがそれが何は分からない……」
 九道は迷うことなく素直な気持ちを言葉に表す。
99年02月22日:00時26分49秒
横臥の魔神・3 / Dr.李
 「九道よ・・・。」
 彼は深く呼びかける。
 「お前には、足りないものがある。それが何かわかるか?」
 
99年02月17日:22時29分43秒
【横臥山】回答 / MARS
 深い沈黙が過ぎる……
 九道は目をつぶりこれまでの光景を一気に蘇らせる。
 「俺はこの大地から生まれやがてこの大地に返る……ただ……大地は俺達の悲しみも喜びも知らない……」
 そこでいったん言葉を切る……
 「俺は生きて行く限り、友とその喜びと悲しみを共にしたい。
 誰かの手で揺るがされることのない生を望んでいる。
 そして、そうした生をできうる限りの人に手に入れる機会を与えたい……」
99年02月17日:13時56分58秒
魂の息吹・・・・・・・・刻限 / Karma
 <何でも敵方には精強で知られる赤備えがいるとか。九道様の軍も退けたそうですし…>
 
 <まぁ、だからこそ我らが緊急に集められたんでしょうけど。>
 余り何でもないように梓の呟きに答える。
 その余裕は、戦場の現実を知らないヨロイ乗りがゆえのものか。
 
 <そろそろ刻限のようですわ。皆さんお集まりのようですし、参りませんか?>
 少し、微笑んだ感じで、梓に問い掛ける。
 
 
 
#“参る”という表現は主観的な表現です。
#実際の相対距離は変ってないけど、用は精神の接続の問題なのかな?
99年02月14日:22時33分59秒
横臥の魔人・2 / Dr.李
 「九道・・・。」
 九道の問いには、答えず、目の前の男の名をつぶやく。
 「己が己であることを自覚できるものはそうはおらまい。
 だが、己はどこからきてどこにいくのだ?」
 
 「彼を動かすための鍵のようですね?
 祖父もこのことについては何も語ってはくれませんでした。
 九道殿、ここはしばらく問答するしかないようですね。」
 俊景が苦笑して言う。
 
99年01月28日:06時23分26秒
魂の交流 / ジョーカー
 <無理も無いですね。今までの冬峨内での小競り合いとは違い
 国同士の本格的な戦ですもの。緊張なさるのが当然…>
 
 綾香について詳しく知っている訳では無いからだろうか、梓の解釈はややずれていた。
 正確には彼女はじれていたのだが…分かるはずもない。
 
 <何でも敵方には精強で知られる赤備えがいるとか。九道様の軍も退けたそうですし…>
 
 つい先程、綾香を緊張していると評した梓だったが本当に緊張しているのは
 彼女であるようだ。面と向かって魂を接している千里にはそれがよく分かった。
99年01月27日:23時23分54秒
魂のふれあい / Karma
 
 <こんにちわ、月代の綾香様、千里様ですか?私、銕(くろがね)の梓と申します>
 容姿から判断するに彼女の方が多少二人よりも年長のようだ。
 
 <今、この場には女の子は私たちしか居ないようですし、会合が始まるまで
 少しお話でもしませんか?>
 
 <千里、任せた。>
 そっけない感じで綾香が千里に向かって念を送る。
 もともとこういったことは苦手なのだ。
 
 <申し訳ありませんわ、梓姫様。姉は合戦前ですこし苛立っているようですの>
 少し苦笑したような感じで、千里が梓に返事を返す。
 
99年01月26日:22時14分42秒
【横臥山】九道の返答 / MARS
 「そはなんぞ」
 九道は答えを導き出すことをためらった……
 「オレが何者かを問うのか?……」
 それは自身への問いかけである。
 冬峨の将で1万ほどの兵を率いる者で有り、守るものを持つ者……
 大切な者を失った者……鬼……漢……サムライ……
 どれも九道であり、九道の全てではなかった。
 「オレはオレだ……名を問うなら九道と答えよう……それがオレの名だ。
  他に問いがあるならば答えよう……しかしその前に……お前の名は何だ?」
99年01月23日:16時43分36秒
会合の前の僅かな一時 / ジョーカー
 刻限に近くなると幾つかの魂が続々と明界に接合してくる。その様子は実に様々だ。 
 明界にあって目を閉じたままの落ち着いた雰囲気の少女。
 一人座禅を組んで瞑想をしている壮年の大柄な男性。元気を
 全身から発散させている少年。知的な雰囲気の少年。冷静さを装おうとして
 緊張を隠し切れていない少年等。
 
 綾香と千里を含めて七人の魂がその場に集まっていた。
 刻限まではもうしばらくの猶予があるようだ……
 
 そんな折り、目を閉じたままの少女が二人に話し掛けてきた。
 容姿から判断するに彼女の方が多少二人よりも年長のようだ。
 
 <こんにちわ、月代の綾香様、千里様ですか?私、銕(くろがね)の梓と申します>
 
 閉じたままの目はしかし彼女達を正確に捉えているようだ。
 丁寧に挨拶をしてくる。
 
 <今、この場には女の子は私たちしか居ないようですし、会合が始まるまで
 少しお話でもしませんか?>
 
 浮かべた笑みは同性から見ても充分に魅力的な物だった。
99年01月15日:23時10分07秒
中天に在りし蒼輝の光 / Karma
 月が中天にかかりしころ・・・・・
 
 「姉様、本当にあってるんでしょうね?」
 「千里だって、あの紋を見たじゃない。大丈夫だって。」
 「・・・・・・はいはい」
 
 2人は自分のヨロイに乗り込み、明鏡に魂をおとす。
 <姉様、動くのは無しだからね!>
 <判ってるわよ、それぐらい。>
 <ならいいんだけど。>
 
 そして・・・・・・・時を待つ。
99年01月14日:00時39分58秒
書状 / ジョーカー
 二人が―訂正、片方だけが―意気消沈して自室に戻ってくると
 部屋の中央に書状が一枚落ちていた。
 
 刻まれた家紋は武島菱。
 
 蒼き輝きの中天にありし時に
 
           月の姫君方へ
 
 ただそうとだけ記されていた。
99年01月12日:00時43分53秒
北の地にて / Karma
 
 暁城の領内にて。
 
 「むぅ・・・・・・・出陣はまだか!」
 年の頃は12、3であろうか。一人の少女がヨロイの周りを苛立たしげに歩いている。
 服装から見てヨロイ乗りであろう。元気そうな表情は、彼女が活発な性格である事を示している。
 
 「しかたないじゃないの姉様。出陣したくとも今のところ敵は無し。」
 返事をしたのは先ほどのヨロイ乗りの妹であろう少女。年の頃はまだ十はいってないとみえる。
 両の手で、鍵細工のようなものをいじっている。目の光が年より大人びているのは、姉の制止役をしていたからであろうか。
 
 「南の方にはいるんでしょ。じゃあ、ヨロイでそこまでいけばいいじゃない。」
 姉の方が、いいことを考えたかのように言う。
 「単騎で行ける距離じゃないわ。」
 冷静に妹の方が対応する。
 「じゃあ、陣をたてて進軍すれば・・・・・・」
 「陣をたてるには大殿様の認可が必要でしょ。」
 「・・・・・・・・・・・・・千里ぉ!」
 「・・・なに?綾香姉様?」
 「・・・・・・・・・何でもない。」
 
 完敗であった。
 
 仕方ないので、綾香は自分のヨロイの方に行ってしまった。
 
 
 一人の家来が千里の方に来て、何か耳打ちする。
 そのあとで千里が綾香の方に歩きながら微笑みながらいう。
 「姉様、良い知らせと悪い知らせとあるわ。どっちから先に聞く?」
 「・・・・・・・良い知らせ」
 「わかったわ、じゃあ良い知らせから。横臥山に行ってた方々がこっちまで戻ってくるの。手勢や糧食の補給みたい。」
 「・・・・て、ことは・・・・」
 「出陣が近いわね。」
 「・・・・・・・・で、悪い知らせってのは?」
 「それまでこっち側は待機。おとなしくしてろって」
 
 「・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・確かに悪い知らせ・・・・」
 
 出陣まではまだ先が長そうである・・・・・・
 
 
 
#PLより
#さてと、動きが見えてきたので、予定(って言ってもだいぶ前だけど)通りに投入開始します。
99年01月11日:01時27分30秒
出立の時 / ジョーカー
 「御兄様。はい、もう大丈夫です。暫く休みを取りましたから」
 
 涙の跡の残る顔で、それでも気丈に答える双華。
 
 「そうか、なら良い。顔を洗ってこい。暫くしたら出るぞ」
 
 ややぶっきらぼうに志誡が言う。敢えて涙に触れないの不器用ながら気を使っているからか。
 
 「はい。……出る、とは?」
 
 「先の戦いで残念な事に北部と分断されてしまったからな。
 『穴』を無理矢理空けて暁城(北部)に戻るんだ。兵を纏め上げるつもりだ」
 
 曇天の空を見上げながら志誡が言う。その先にあるのは遠く離れた暁城の地か。
 
 「また、戦うのね…」
 
 ぽつりと俯きがちに双華がこぼす。
 
 「ああ、そうなる。戦わなくて済むのなら俺もそうしたい。だが降りかかる火の粉は
 払わなくちゃな。…いつもの事だが済まない。出来ることならお前を戦わせたく無いんだが
 虎蘭や俺にはお前が必要なんだ…」
 
 志誡の顔は見えなくとも苦渋に満ちた声で心情はよく分かる。
 
 「ううん、いいの。これは私が望んだ事。選んだ道なんだから。
 御兄様ばかり戦わせるなんて。…それに深薙ちゃんみたいな
 小さな子まで乗っているのに一人だけ隠れている真似なんか出来ない。
 私、其処まで恥知らずじゃないわ。でしょう?兄様」
 
 その声は大きくはなかったが、しかし力強い物だった。
 
 「そうだな、そうだった」
 
 振り返った志誡はいつもの志誡に戻っていた。
 
 「それで何時出発するの?」
 
 「伯父上から頼んだ物が届き次第出発するつもりだ」
 
 それを脇から鳴き声が遮る。
 
 「シカイ、モウトドイテル」
 
 「ああ、もう来てたのか。御苦労だったな椿丸」
 
 「コノテイド、ラク、ナモノダ。デ、ウケトレシカイ」
 
 その足に掴んでいた包みを志誡に渡す。
 
 「それは何兄様?」
 
 双華の問いに志誡は少し笑って答える。
 
 「隠し玉とささやかな贈り物だよ」
 
 その笑いは年相応の茶目っ気に溢れていた。
 
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
 戦の汚れを綺麗に落とされ、兵装の換装、荷物の括り付けなど
 全てが完了した『虎蘭』が志誡と双華、椿丸の前にそびえている。
 
 「滞り無く完了しました、若」
 「うむ、御苦労」
 
 志誡の返事は短く、直ちに『虎蘭』に乗り込んでいく。
 
 「有り難う、頭領」
 「いいえ、この程度のこと礼を言われる程のことでも御座いませんよ。
 御武運をお祈りしています。向こうに行きましたら磯城様によろしくと
 お伝え願えますか」
 「ええ、伝えておきます。では…」
 
 しばし会話してから『虎蘭』へと向かう双華。この辺り性格の違いが出ている。
 
 「『虎蘭』、また戦いになるけどよろしく頼むわね。私も兄様も頑張るから」
 
 『虎蘭』の毛皮に頬をすり寄せて呟くと双華も同様に乗り込む。
 鉢金を付け、胎児のような姿勢になって魂を明鏡に落とす。
 入るやいなや志誡の“声”が明界を伝わってくる。
 
 <準備はいいか?>
 <はい、大丈夫です>
 <よし、『虎蘭』起動!>
 
 閉じられていた目が開く。毛皮の下で筋肉が脈動を始める。
 先程までの肉の塊が命を宿し、巨大な虎となる瞬間だった。
 そして巨大な咆哮を横臥山に響き渡らせると『虎蘭』は悠然と砦を出立していった。
99年01月02日:00時20分17秒
横臥にねむる魔人・1 / Dr.李
 横臥山の地下に続く階段である。
 倉庫があり、牢があり、そしてそこに扉があった。
 
 「ここです。」
 道案内の兵士が言う。
 ここにいるのは、俊景と九道とこの兵士だけだ。
 「当時の記録によれば、ここに封じられてるのは金剛機のようですね。
 ただ、いかに金剛機といえども何故に封じられたかが分かりません。」
 そう言って、兵士に合図をする。
 ゆっくりと扉は開かれた。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 彼は眠っていた。
 遠くで何か声がする。
 自分を呼ぶ声。
 自分に絶大な信頼を、そして最大の信用をもって接してくれた人物の声である。
 だがその人物は、すでにない。
 すべてはうたかたの夢の中。
 
 「姫・・・。」
 彼はつぶやく。
 
 扉が開かれる。
 彼が必要とされるとき、常に開かれる扉だ。
 彼が見た者は、三人の人影だった。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「そはなんぞ?」
 そこにいたのは黒いヨロイ武者とでも呼べそうなものだった。
 右手に白熱掌。
 左手に十字の槍。
 それだけだった。後は大柄な人間と変わらない程度の大きさしかなかった。
 そして聴いてきた。
 「そはなんぞ?」
98年12月23日:01時38分53秒
九道/舞台は再び横臥山………包囲より10日目 / MARS
 「………戦いは……他人に頼るものじゃない……と思っていたのにな……」
 ふと殺気をゆるめて改めて俊景を見返す。
 「………いつの頃からかな……最近は、ここにいる者達全て、特にお前に頼り切っている……」
 自嘲気味な笑いを浮かべる
 「それでいいのか時に不安になる………しかし………国を作り……国を治める戦いは……俺一人ではどうしようもない……」
 自嘲の笑いはきえ決心した顔が再び戻る。
 「ただ………最近分かったことがある………俺は俺の成すべき事をすればいい……そしてそのすればいいことを……俊景よ俺に示してくれ……」
 周りの光景がもう一度流れ始める
 はらはらと降る雪……そしてたかれる薪の音………
 「これから先………俺が成すことは正義であるか悪であるかは関係ない……そんなものは後の世の者が決めればいいことだ……ただ……この国を……ここに暮らす者を守ること……ただそのことだけを考え……俺に道を示してくれ」
 瞳は未だに狼の瞳である……ただ、そこには獣だけが宿す純粋さが宿っていた。
98年12月21日:00時17分23秒
工房にて / ジョーカー
 「さて、一気に二つ片付けましょうか……」
 
 深呼吸をしながら崇楽斎が呟く。
 彼の前にあるのは見事な細工が施された弓と砲弾の形をした物。
 弓は金のみならず珠で象眼がなされた、豪華な作り。砲弾の方は
 大きさからしてヨロイ用の物のようだった。
 
 「死響、集中したいので物音を立てたり声を出したりしないで下さいね」
 
 やけに神経質に崇楽斎が注意する。
 
 「ああ、構わないが……」
 
 死響が戸惑ったように同意する。それを確認すると崇楽斎は懐から
 包みを取り出し中から小さな方形の紙(?)を取り出す。
 そして一息にそれを口に放り込んだ。
 
 「………ふうっ、ふうっ」
 
 暫くして顔が上気し始め、呼吸が荒くなる。背中や額にもびっしりと汗が浮かび出す。
 先程から崇楽斎はただ座しているだけだというのに。
 
 「ふうぅぅぅぅ」
 
 一際長く息を吐くと筆を取り上げ、勢いよく滑らせ始める。
 その様は先程にも増して鬼気迫る物があった。
 
 そして瞬く間に半刻(一時間)が過ぎた……
 
 「……よし…っと」
 
 ようやく筆を休め、汗を拭う。この小一時間で彼は汗だくになっていたが
 顔は満足げだ。どうやら思い通りの物が出来たらしい。
 
 「終わったのか?」
 「ええ、ようやく終わりましたよ」
 「結局なんだったんだ?」
 「いえ、二つばかり式札を作る必要があったんですが私の力だけでは
 足りなくてね、薬の力を借りたんですよ」
 
 多少自嘲気味に笑う。今、崇楽斎が使ったのは婁寿と呼ばれる薬で
 式を打つ時に力量以上の物を打てるようになる物だ。高価であり
 何より副作用の存在する物だったが、要求を満たす式札を打つためには必要だったのだ。
 
 ピイィィィィィィーーーーーーーーー!
 
 誰かを呼ぶように甲高い口笛を吹く。そしてそれに応えたように
 窓の外から力強い羽ばたきが聞こえてくる。
 
 「ヨンダカ、スーラク、サイ?」
 
 工房に飛び込んできた猛禽はぎごちないながらも人語を口にした。
 
 「ええ、呼びましたよ」「喋る鳥とはまた面妖な」
 
 片方の返事ともう一方の驚きが重なる。
 
 「妖か?この鷲は」
 
 横目で死響が問う。
 
 「いいえ。蟲を宿す事で言葉を話せるようにしたんですよ。
 歴とした……というには少々変わってますが別に妖でも何でもありませんよ」
 
 平然と崇楽斎が応える。
 
 「で、こいつの名前は?」
 「ツバ、キダ」「椿丸と言います」
 
 今度は一羽と一人の声が重なる。
 
 「そうか、俺の名は死響。よろしくな、椿丸」
 
 軽く手を上げて挨拶をする。
 
 「ヨロ、シクナシキョー。――デ、ヨウハ、ナンダ?」
 
 こちらは軽い羽ばたきを答えとし、崇楽斎に矛先を変える。
 
 「子供達に届けて欲しい物があるんですよ。これです」
 
 と、纏めた先程の作業の成果を見せる。
 
 「ワカッッタ。デド、コニイル?」
 「そうですね、私の考えでは恐らく横臥山でしょう。其処にお願いします」
 
 其処に怪訝そうに死響が口を挟む。
 
 「何でだ?出ていったのはあの鬼神の直轄だろう?先陣の奴らに負けはしないだろうに。
 なんで戻ったところの横臥山なんだ?」
 「先陣だけなら確かにそうでしょうね。でもその次に詰めてきているのが赤備えですから」
 
 死響の顔が僅かにひきつる。
 
 「連中が?しかし、なんにせよ間に合わないはずだろう?」
 「それが普通の連中ならば、です。なにせ左衛門佐さんは型破りですから。
 何でも山を越えるそうですよ。彼らならやってのけるでしょう。
 そして九道殿達の兵は予期せぬ方角から奇襲を受けることになります」
 「……あの霊峰をか?無茶な連中だ…。で、あんたはなんでそれを知らせないんだ?
 不意打ちを喰らったら拙いだろうに。志誡達も、あんたの殿様も行っているんだろ?」
 「奇襲を受けたとしても私の子供達はそれくらいでへこたれるほど柔じゃありません。
 悠々と無傷で帰ってきます。それに大体、もう間に合いませんよ」
 
 事も無げに言い捨てると包みを椿丸に掴ませる。
 
 「では、頼みましたよ」
 
 羽ばたきを答えとして椿丸は北に向かって飛び立っていった。
98年12月01日:22時32分53秒
確認 / Dr.李
 結構待ちましたが、なんのリアクションもありません。
 参加希望の方、参加する気がなくなったと思ってもよろしいのでしょうか?
 
 こちらか、もしくは雑談の方へ意志を表明してください。
 こちらも進めていいか迷っています。
98年11月13日:02時12分38秒
冬峨のとある場所にて / ジョーカー
 時は暫く遡る。
 
 「なぁ、崇楽斎。あんた何作っているんだ?」
 
 部屋の壁に寄り掛かった男が不思議そうに問う。
 其処は様々な道具―鑿やら錐やら木槌やら―多様な材料―木や鋼等々―が
 乱雑に転がっている部屋だった。工房というのが一番近いだろうか。
 問いを発した男は歳の頃二十代後半。野生の獣のような敏捷性と
 岩をも砕きかねない剛力を秘めた均整の取れた体付きをしていた。
 身のこなしからも何らかの武芸を心得ていることが感じ取れる。
 問いを受けたのは工房の真ん中で先程から 木を削り鋼を打ち
 筆を振るっている男だった。歳は……よく分からない。
 一見して三十代半ばに思えるのだが、前後十五年以内なら
 どの歳でも通りそうであった。白衣に身を包んでいたが
 その着物も作業のせいでどことなく薄汚れていた。
 名を崇楽斎という。
 
 「分かりませんか?」
 
 筆を硯に浸しながら崇楽斎は問いを返す。
 
 「分からんね」
 
 返答は極短い。
 
 「そうですか。困りましたね」
 
 大して困って無さそうに言うと黙々と作業を続ける。
 壁際の男が説明は無いのか?と聞こうとした矢先
 崇楽斎が唐突に口を開く。
 
 「ちょっと頼まれ物を、ね。作っている…最中なんですよ…っと」
 
 作業と平行して口を開いているためどうも途切れ途切れだ。
 
 「頼まれ物?」
 
 怪訝な口調。それも当然か、結局何を作っているのかが分からないのだ。
 
 「ああ、ちょっと待って下さいね。今ちょうど詰めなので…」
 
 細心の注意を払って手元の物に墨で何やら紋様のような物を書き込んでいく。
 邪魔をするまいと思ったか壁際の男も口をつぐんで作業を見守る。
 
 「……っと。はい、出来ましたよ」
 
 最後にびっと筆を走らせ文字を書き込む。少し崩れていたが
 その字はそれぞれ喪瑤、朽棄、飢沙と読めた。喪瑤は頑丈そうな手甲
 朽棄は無骨な脚甲、飢沙は要所が鋼板で補強された一着の着物だった。
 そしてそのどれもがびっしりと紋様で埋め尽くされている。
 
 「はい、どうぞ」
 
 出来た物を無造作に壁際の男に手渡す。
 
 「これは…?」
 
 「貴方が私に頼んだ物ですよ。忘れましたか?」
 
 「いや、それは確かに頼んだがこれは成功報酬じゃ無かったか?」
 
 「仕事をしてから渡すより、先に渡して確実に仕事をして貰う方が
 効率が良いじゃありませんか」
 
 事も無げに言うと今度は別の作業を開始する。
 
 「俺がこれを持って逃げ出す可能性は考慮しなかったのか?」
 
 品々を身に付けながら男が問う。それは誂えたように
 ―誂えたのだから当然だが―腕や脚にしっくりと馴染む。
 
 「私がそれだけ貴方を信用している、という事ですよ、死響。
 …最も逃げ出した場合のこともきちんと考えてはいますけど」
 
 穏やかに微笑んだ崇楽斎の表情は表面的な物とは裏腹に
 背筋が凍るような物を潜ませていた。幾多の修羅場をくぐり抜けた
 筈の死響をも冷や汗をかかせるような何かが。
 
 「まぁ仮定の話は脇に置いておきましょう。
 議論しても詮無いことですし」
 
 冷気は一瞬にして霧散し、またいつものつかみ所の無い雰囲気に戻る。
 
 「そうだな。請け負った仕事はきちんとする主義だから
 所詮は取り越し苦労だろうよ。……俺もあんたは敵に回したくないからな」
 
 無意識に安堵の息をつく死響だった。
 
 なんか長いなぁ。ブランクが長かったから溜まってんのか?
98年11月12日:01時51分07秒
横臥山にて(武島) / ジョーカー
 「伝えておきましょう、我が殿に。
 では失礼致します。」
 
 不敵な笑みを浮かべ志誡は部屋を静かに去っていった。
 
 同刻・別の一室
 
   休息のために宛われた一つの部屋。そこで一人の少女が眠りに就いていた。
 整った顔立ち、夜の闇よりも黒い髪、肌理の細かい肌。歳の頃は十代の半ばだろうか。
 あと二三年経てば絶世の美人になることが約束されているような少女だった。
 何時止むとも知れぬ喧噪が眠りを破ったのだろうか。少女はゆっくりと身を起こす。
 少女の名は双華と言った。彼女はつい一刻ほど前まで兄と共にヨロイを駆り
 戦場を駆け巡っていた。それを思い出したのだろうか、自らを抱きすくめるように
 肩を掴み、微かに震える。その様はとても弱々しく儚げだった。
 
 「………」
 
 俯いていた顔が上がり、寝床を抜け出すと障子に歩み寄る。
 音も無く開いた障子の前に広がるのは忙しく働く人々。林の隙間に見え隠れする小動物達。
 そして曇天の空を飛ぶ一羽の禽。双華の目に映る物は僅かな羨望、そして悲しみ。
 
 「獣も禽も、草木も人も。誰もが皆生きるために必死になっているだけなのに
 なぜ人の行いだけはこんなにも愚かしく感じるのでしょう……」
 
 外に背を向け、静かに座り込む。
 
 「分からない。私には分からない…なぜ、何故こんなに不完全な……お父様…」
 
 顔を手で覆い、声も立てずにすすり泣く。ただ静かに。それは誰の耳にも届かない声。
 少なくとも人の耳には。
 
 羽音がした。力強く風を叩く音。自らの力で天を舞う禽。その羽ばたきの音だ。
 
 「ソーカ、ナクナ。ソーカ、ナクナ」
 
 抑揚も音韻も滅茶苦茶な声。まるで人の言葉を話せない者が無理に話そうとしているような。
 双華の俯いていた顔が上がる。
 
 「椿丸?」
 
 それが声の主の名前。開け放たれた障子の間から入ってくるその姿は猛禽の姿。
 立派な成鳥の鷲が嘴を開くと漏れ出てくるのは先程のような声。
 
 「ソーカナ、クナ。ナクトシー、カイカナシム。ス、ラクサ、イカナシム。
 ツバキモカナシーイ」
 
 実にぎこちない。聞き取りにくいこと夥しい。だがそんな事が想いを伝えることの妨げになるだろうか?
 
 「ごめんなさいね、心配をさせてしまって」
 
 そして表情を和らげた双華が椿丸の翼を撫でながら言ったその時、襖が静かに開く。
 
 「……双華、具合はどうだ?」
 
 労りの声の主は双華の兄、俊景への報告を終えた志誡の物だった。
98年11月02日:20時31分55秒
俊景 / Dr.李
 「かまいませんよ。」
 こちらもあっさりという。
 ひきこもってまだ一日。
 いくら自信があっても、ここには近づいてこない。
 奇襲も考えられたが、足場固めを考えるなら、それはない。
 なら、包囲ができる前に、援軍を呼んでもらうほうがいいし、
 そうするべきだろう。
 
 手駒は有効に使うべきだ。
 
 一瞬でそこまでの判断をしたわけではない。
 あらかじめ考えていたことだった。
 いくつかの選択肢のうちの一つとして。
 
 「暁城殿によろしく伝えてくだされ。
 仁科は感謝していたと。」
98年10月30日:00時39分16秒
志誡 / ジョーカー
 「例を欠くような真似をして申し訳ない。私は暁城の客将、武島志誡と申します」
 
 きびきびとした動作で頭を軽く下げるとすぐさま言葉を続ける。
 
 「手短に申し上げます。赤備えは冬峨中央部と北部を分断する位置に陣を敷きました。
 仁科殿、九道殿の軍がさしあたってこの横臥山に籠もる以上、今の赤備えの動きは止められません。
 ですが放っておけば北部一帯の冬峨軍は各個撃破の憂き目に会うのみです。
 最終的に兵力の一極集中をする際にそれでは駒を欠くことになります」
 
 其処で一端言葉を切り、俊景を真っ向から力の籠もった目で見据える。
 
 「ですから、私が直接北部に戻り後詰めが到着する前に兵を纏め上げてきます」
 
 それには陣を敷いている赤備えを突破する事が前提であるにも関わらず、志誡は平然とした物だった。
 
 志誡  俊景に向かって
98年10月26日:21時04分33秒
俊景 / Dr.李
 「今を去ること35年前。
 我が祖父が真那の昌雪殿と戦った時のことでしてね。
 不幸にも冬峨は分断。
 祖父はこの地に籠城する羽目になりました。」
 言葉をきる。
 九道の殺気をどこ吹く風と流しながら、言葉を続ける。
 「その時、祖父はこの城の中で魔人を見たらしいですよ。
 真那の金剛機と戦いつつ、当時の赤備えをも寄せ付けなかったって言う剛の者だそうです。
 理由は分かりませんが、その戦の後、再びこの城で眠りについたらしいですがね。」
 そこまで言って九道を見る。
 「いま手のものに探させてます。
 祖父が言ったからには実在するのでしょう。
 問題は見つけた後なのですがね。」
 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 直さん、金剛機の準備はできてます?
 書き込み始めてくれてかまいませんよ? 
98年10月26日:20時39分45秒
九道 / MARS
 「…………」
 しばしの間、沈黙が流れる……
 「良いだろう……お前の話に無駄はないからな……ただ……隠し事はするなよ……」
 あくまでも抑えているが、声に無意識の殺気が混ざる……
 もちろん、友である男にむけた殺気ではない。
 しかし、それは知らぬ者には畏怖を感じさせずにはいられない雰囲気である。
98年10月26日:20時14分33秒
仁科三郎俊景 / Dr.李
 「私は暁城の客将、武島志誡と申す者。火急の用にて軍目付殿にお取り次ぎをお願いしたい」
 
 覇気のある声です。
 武島の血はとだえていませんね。
 
 心の中で感想を述べる。
 同時に表情で合図をし、察した榊がふすまを開ける。
 「軍議中なれどお話をお聞きしましょう。
 私が、仁科俊景です。」
 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「俊景……軍議を開く……兵卒に至るまで集めておいてくれ……」
 凄惨な目をした九道が俊景に言う。
 
 やれやれ、余裕のない目ですね。
 窮地に陥れば、多数よりも1人でいることを好むのは今も昔も変わりませんか?
 
 さて?
 武島殿もそろそろ動き出せるであろうし、
 南からの増援もそろそろでしょう。
 あとは・・・、この横臥山に来たもう一つの理由を動かすことにしましょうかねぇ。
 
 「九道殿、その前にお話がありますが・・・、お時間かまいませぬか?」
 
 
98年10月19日:22時33分59秒
建国編参加のみなさま&新規参入希望のみなさまへ / Dr.李
 建国編・戦乱編長い間止まってます。
 しかしながら、興味を持たれておられる人がおり、参加希望の方も出て参りました。
 意図的に止めてましたが、そろそろ書き込みをはじめようかと思っています。
 しかしながら
 ”このままでは進めにくい”
 等の意見もありますし、実際何らかの理由でこれなくなった人を無視して始めようとしてるのも事実です。
 ですから、後、一週間待ってください。
 その間、みなさまの意見を聞いたり、キャラクターの紹介などに当てたいと思います。
 また、反対意見もあるかと思います。
 その場合、明確にその理由を述べてください。
 その上で、参加者の多数決を取りたいと思います。
 
 ご意見お待ちしております。
98年10月17日:17時01分06秒
九道 / MARS
 横臥山に立てこもり10日の時が過ぎた……
 大きな衝突はないものの確実にため込まれた食料はヘリ、精神もそれに伴いすり減っていった。
 「俊景……軍議を開く……兵卒に至るまで集めておいてくれ……」
 この10日の間に九道の目は国をまとめるために戦っていたときの凄惨な色を取り戻していた。
 それは人が持つ瞳ではなく……むしろ獣………狼の瞳であった。
98年10月14日:23時02分44秒
参加希望に関して / MARS
 基本的にどの程度の強さなんでしょうか?
 ちなみに九道は16の4の高速です。(最大)
 さらにその上でどのような立場をご所望なんでしょうか?
 その上で返事をしたいと思います。
 最も私が責任者ではないので、即答は控えさせていただきます。
98年10月13日:04時41分41秒
建国編に参加したいんですが・・・ / 直
>建国編、読ませていただきました。
>My金剛機−作成点多くて、強いですが−をお話にいれたいのですが、どうでしょうか?
>よろしければMARSさんがよいといってくださればすぐにでも入らせて頂きます。
>だめなときはだめ、と 言ってください。

> FOR MARSさん FROM直
98年05月09日:00時50分36秒
風は吹き始める / Karma
 「そ、じゃあそれまで暇だな。」
 紅天がそのことばを聞いて、自分の荷から何か取り出そうとする。
 「誰か一緒に吸う奴いねぇか?」
 言葉とともに取り出したのは水ギセルと阿片の包み。
 
 「あ、あたしはパス。あれ吸うと妙なもの見るんだもん。」
 葛葉が言葉を返す。
 「わたしもいらない、すいたければ勝手に吸っていろ。」
 リアラが自分の大鎌を砥ぎながら答える。
 
 「何だ付き合いわりーな、おまえら。幽夜、お前は?」
 「わたしもいりませんよ。私は『そんなもの』では酔えませんからね。」
 「わしはもらおうかいの、少し疲れておるのでな。」
 泰岩が紅天に答える。
 「何だよ、泰岩。てめえ、自分の分はどうしたんだよ?」
 「さっさと吸い尽くしてしもうたわい。」
 笑いながら答える。
 
 
 鳥のようなモノが8人の上に舞い降りる。
 「おや、隊長。そろそろ本隊が到着したようですよ。行かなくていいんですか?」
 それを見て、幽夜が人影に向けて尋ねる。
 
 「そうだな、お偉いさんに報告に行ってくるか。」
 
 そういって人影が姿をかき消す。痕跡すら残さずに・・・
98年04月30日:01時13分57秒
血風の吹き始め / Karma
 「ん?あれは何だ?」
 見張り台に立っていた兵士が街道を見る。
 ここは冬峨の東の境。
 しかし街道に変化はない。
 「気のせいか・・・・」
 
 その瞬間
 
 斬!
 
 兵士の首が体から離れていた。
 それと同時に八つの影が砦の中に入り込んでいく。
 
 それが悲劇の始まりだった。
 半刻もしたころ、砦は屍であふれかえっていた。
 
 「うわああぁぁぁっっ」
 兵士が逃げるように門の方にかけていく。
 「ほらほらほらぁ、どうしたどうした!まだ終わっちゃいないだろぅ?」
 それを追いかけるように人影が歩いていく。小柄なようだが、左右の腕の長さが違うのはなぜだろう?
 「ひいぃぃぃぃぃ!」
 逃げる兵士の前に別の人影が見える。
 「た、助けて・・・・」
 兵士は目の前の人影に助けを求めようとする。
 
 「残念だったな。わたしはそんなに酔狂ではない。」
 目の前の人影が無造作に兵士に大鎌を振るう。
 兵士の首が飛ぶ。
 
 「リアラ。手出しするんじゃねぇよ。これで三十人目だったのによう。」
 後ろから来た人影が前の人影に声をかける。
 「うるさい、紅天。もう他の者は済んでいるんだ。さっさとしないか。」
 「はいはいわかったよ。まったくお前は楽しもうとしないのかよ。これだから『人』じゃないやつは・・・・」
 それを聞いたリアラが紅天の首に鎌を突き付ける。
 「そのことを二度と口にするな。貴様の首をなくしたくなかったらな。」
 「わかったよ。ところで、生きてるやつは?」
 首に突きつけられた鎌を気にする風もなく紅天がリアラに尋ねる。
 「無しだ。」
 「ちぇ、つまんねーの。それで隊長は?」
 「他の者と一緒に外にいる。わたしが貴様を探してこい、といわれたんだ。」
 「そりゃご苦労さんなこって。」
 
 二人が外に出ると、そこには人影が五つあった。
 
 「リアラ、おかえり。」
 忍び装束に身を包んだ少女が気楽に呼びかける。
 「葛葉、俺には挨拶はなしかよ。」
 紅天が不満そうに尋ねる。
 「あんたなら、幽夜が呼んでいたよ。左近の調子が知りたいんだって。」
 「左近なら問題ねぇって。」
 
 「そういう問題じゃないだろ?自分の得物の手入れぐらいしなよ。」
 葛葉のそばにいた女サムライが紅天に叱責する。
 
 「氷冴は心配症なんじゃよ。しくじって死ぬのは奴なんだから気にする事じゃないじゃろ。」
 キセルをふかしておった坊主がからかうように口を挟む。
 「泰岩!奴一人のせいで任務に支障が出ては困るから私は言っているのだ。」
 氷冴がむきになって答える。
 
 「まあまあ、お二人ともそこらへんにしておいてはどうですかな?」
 両袖の中で何かを弄びながら若い男が仲裁をいれようと口を挟む。
 「幽夜。で、何のようなんだよ。手短に頼むぜぇ。」
 紅天が幽夜の顔を見て不機嫌そうに尋ねる。
 「いや、うまく動いたかどうか気になったものですから。問題無いのならいいですよ。」
 「ならいいんだけどな。お前の事だからまた新しい何かを組み込むのかとおもって不安になったんだよ。」
 「それはまだありませんよ。」
 
 「どうでもいいが、そろそろ隊長が来るぞ。」
 一人だけ話に加わらず、自分の銃槍の手入れをしていた男がその場にいる全員に声をかける。
 「相変わらず、辰螺って無口だよねぇ。もう少し愛想よくすればいいのにさ。」
 葛葉が何気なく尋ねる。
 「任務に無駄口は必要ない。」
 「はいはいさいですか。あ、隊長が来たみたいだよ。」
 
 葛葉の声とともに、人影が現れる。
 その瞬間、全員が新しく来た人影の方を見る。
 
 「ご苦労だったな。本隊は予定通りに侵攻中だ。次の任務は本隊が到着次第決定される。それまで休憩だ。」
 その人影が全員に言う。
 その姿は暗くてよく判らない。
98年04月26日:18時11分19秒
横臥山にて / ジョーカー
 「四半刻で修理を終わらせろ。減った分の蟲は補充しておけ、それから故障している竜砲の換装、珠、式弾の補充もだ!」
 
 『虎蘭』から降りるとすぐに暁城から付き従ってきたヨロイ鍛冶達に矢継ぎ早に指示を出す志誡。
 強行軍だった筈なのだがその疲れをおくびにも見せない。双華は既に陣屋で休息を取っているのだが。
 指示を出すとヨロイ鍛冶の頭領を呼び付け、相談を交える。
 
 「これから単騎で出るつもりだ。予備の珠、式弾、蟲の餌を用意して置いてくれ」
 「畏まりました。ですがどちらへ?」
 「兵を掻き集めてくる。遅れを取ったが手を拱いてはいられん。軍目付殿にも話は通しておく」
 「御武運を」
 「有り難う。…それから『八重桜』を外して『龍爪』を二門搭載してくれ」
 「『龍爪』を、ですか?」
 「大軍を相手にする気は無いから大火力はいらない。弾数も多くはないしな。
 一門あれば充分だ。駄賃に潰してくるから『龍爪』があると便利だ」
 「あれは元々そういった目的で作った訳では無いのですが……殿が嘆かれますぞ」
 「その方が性に合うんだ。大体使い方なんて創意工夫次第じゃないか」
 「はぁ…畏まりました」
 「では任せたぞ」
 
 相談を終えると志誡は暫く姿を消す。次に現れた時は通りすがりの士官に話を聞いていた。
 
 「軍目付殿は何処に?」
 「仁科様でしたら夜霧の間にて軍議中で御座います」
 「分かった」 
  --------------------------------------------------------------------------------
 ”何をねらってる、鴛夜?”
 
 俊景が疑問を浮かべた時だった。
 
 「私は暁城の客将、武島志誡と申す者。火急の用にて軍目付殿にお取り次ぎをお願いしたい」
 
 年若い者のそんな声が部屋の外から聞こえた。
98年04月02日:09時47分46秒
蒼馬(真っ赤) / MARS
 まるで顔中を朱で塗ったかのように赤面する蒼馬
 『あ・・・やっぱり言葉通じてねえや・・・』
 そのときシイラの歌うような可憐な声が響いた・・・
 「シイラ」
 蒼馬はじっとシイラの顔を見つめる・・・
 そしてはっと気付き顔を伏せる・・・
 「・・・・あ・・・ありがとうシイラ」
 そして次に蒼馬が顔を上げたとき・・・彼の顔には屈託のない笑顔が戻っていた
98年04月02日:01時22分58秒
君の名は・・・ / ハリ=ハラ
(ん・・・だいぶ良くなったかな?)
 
 くっつけていた額を離す。
 まだ熱は在るものの、昨日に比べればずっと良い。
 
「あ・・・コホコホ・・・ご・・・ごめん・・・せ・・・咳が止まらないんだ・・・」
 
 蒼馬が咳き込む。
 言っている事は解らないが、とりあえず咳が止まらないらしい。
 喋る声にも、かすれが入っている。
 
(どうしよう・・喉に効く薬は・・・)
 
 以前教えてもらった薬草の類を思い出しながら、当てはまるものを考える。
 大体、森の何処に何が在るかは分かっている。
 食事の用意が済んでから採りに行けば良い。
 
「あ・・・あのさ・・・君の・・・名前・・・なんて言うんだい?」
 
 そう考えて、食事の支度に戻ろうとしたとき、蒼馬が声をかけてくる。
 様子からすると、なにかを尋ねているらしい。
 
(なんだろう・・・?)
 
 言葉が通じないと、こういう時に困る。
 とりあえず、何を尋ねたのか思い浮かべてみる。
 助けた理由・・今の状態・・あとは・・・
 
(名前・・かな?)
 
 胸元に手を当て自分を指しながら歌うように声を出す。
 
「シイラ・・・」
《シイラ・・・》
98年03月31日:21時09分16秒
蒼馬 / MARS
 視界がシイラの顔で埋め尽くされる。
 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
 心臓がフル回転して鼓動を紡ぎだしていく・・・
 「あ・・・コホコホ・・・ご・・・ごめん・・・せ・・・咳が止まらないんだ・・・」
 シイラの顔につばを飛ばさないように顔を逸らす。
 しかしそれだけではなかった・・・まともに顔を見れないのだ・・・・
 「・・・・ごめん・・・俺・・・・君に酷いことして・・・それなのに・・・それなのに君は・・・ありがとう・・・・」
 思い切ってシイラに顔を向ける・・・
 「あ・・・あのさ・・・君の・・・名前・・・なんて言うんだい?」
 『な・・・何でこんなに胸が高鳴るんだ・・・俺・・・彼女のこと・・・す・・・好きなのかな?』
98年03月31日:00時56分01秒
こっつん / ハリ=ハラ
 気持ち良さそうに歌を歌いながら、蒼馬の食事の支度をするシイラ。
 ふと、蒼馬の視線に気がつくと一旦その手を止め、微笑みかける。
 
 《目が覚めたのね、蒼馬・・・》
 
 心に、シイラに『声』が響く。
 “心話”と名付けたのは誰だろう?
 シイラの心が、蒼馬の胸に染み込んでくる・・・
 
 《調子はどう?随分顔色は良いけれど・・・》
 ソウマの脇に、シイラが腰を下ろす。
 その髪も、その瞳も、その唇も・・・
 昨日とは違い、はっきりと見ることが出来る。
 
 《ちょっと顔が赤いけど・・・。熱はどう?》
 細い指が、蒼馬の頭にかかる。
 髪を優しく撫で付けるように・・・
 
 こっつん・・・
 
 そのまま、蒼馬の額と自分の額をくっつける。
 きらきらした瞳で蒼馬を見つめたまま。
98年03月30日:23時41分56秒
蒼馬 / MARS
 蒼馬の半濁した意識の中に歌声が聞こえる・・・
 それは懐かしく・・・とても愛おしい歌声・・・
 「・・・・・ん・・・」
 うっすらと目を開けると何かをしているシイラが目に映る・・・
 かすかに香る香り・・・おそらくは何かを調理してるのだろう・・・
 彼女からこぼれる歌声が頭を締め付けるような痛みを和らげてくれていた・・・
 ドキドキ・・・ドキドキ・・・
 蒼馬の脳裏にシイラの悲しい顔・・・安らいだ寝顔・・・そしてまだ見ぬシイラの表情が渦を巻く
 『な・・・何を俺はドキドキしてるんだ?・・・まるで・・・初恋でもしてたガキの頃みてーじゃねーか・・・』
 それは紛れもなく恋の始まりであった・・・
98年03月09日:01時02分09秒
「ひねもすゆらりゆらりかな」 / みだれかわ枕
「でも……でも……」
 幼子のように涙を流す夕林。
「えう、ぐじゅ、ひゅす……」
 何か言いたいらしいが、言葉になっていない。
 
 ゆらり。
 ようやく死ぬときの苦しみから開放された魂魄が、一つ一つ、高く上がっていく。
 仏法の修行を積んだ者たちの目には、その様子が見えたことだろう。
 ゆらり。
 ゆらり。
 
 夕林の、涙で曇った目にも、先ほど手当てをしていた兵の魂魄が天に昇っていくところが映った。
「……ごめんなさい、ごめんなさい。あなたを助けること、出来なくて……」
 呟いた夕林に、その魂魄は、振り返ったように揺らめき、そして、消えていった。
 
 
 夕林
98年03月08日:22時06分47秒
幻夢は誘う / Ray
 建国編(鴛夜サイド)も進めましょうか。
 でも、そう簡単に休息を与えたりはしませんよ、マモルさん。(笑)
 まあ肉体的には休んで頂くとして、守矢の“甘さの残る”精神の方には謹んで『愛の鞭』(苦笑)を進呈致します。
 
 まどろむ守矢の肩に季節外れの蝶が舞い降りた事に、沙雪が気が付かなかったのは、決して故無き事ではなかった。
 肩口にとまった白い小さな蝶は、一瞬の後には宙に溶け込む様に消えてしまったのだから。
 
「蝶は死者の魂が姿を変えた物……確か、そんな伝説の記述も在ったな……。」
 呟く鴛夜の貌には、昏い笑みが張り付いていた。
「今は良い夢を観るが良い。……死者が誘う血の夢を。
 粗鉄は鍛えられて始めて鋼と成り得るのだから。
 私が必要とする物は、脆い鋳鉄でもなければ、容易く曲がる軟鉄でもない。
 芯は別としても、鍛え抜かれた鋼の刃こそが必要なのだ……“とうが”に対する為には、な。」
 
 守矢に憑いた式は、与えられた命令に忠実に従い、その夢を塗り替えて行く。
 つい先日鬼籍に加わった亡者達の、怨磋と怨念に満ちた幻夢は、少年の想いを確実に『計算され尽くした暴走』へと導く。
 目覚める事も叶わず、ただ眠り続ける守矢の苦悩はしかし、傍らの沙雪にすら届く事は無かったのだった。
 
98年03月06日:23時02分59秒
九道 / MARS
 「・・・・」
 返らぬ答え・・・それが答えだった・・・
 「・・・・すまない・・・どうかしていたようだな・・・これでは将として失格だ・・・今の言葉・・・できれば聞かなかったことにしてくれ・・・」
 後悔と共に自分への憤懣がたまる・・・
 九道はそのまま開けた場所へと移動する・・・
 そして・・・誰もいない森で立ち止まる・・・そして少年のころを思い出す・・・
 
 「・・・なぜだ・・・なぜあんたは・・・」
 「迷うのはよしなさい・・・迷いは結局大きな損害を出すだけ・・・たとえそれが同族を見殺しにする結果になっても・・・それで目的を果たせるならなら見捨てなさい・・・・」
 「でも・・・もしかしたら・・・」
 「もしかしたらは・・・ないのよ・・・」
 
 そのときの彼女の悲しい目が、今でも九道の心に鮮明に浮かび上がる・・・
 「そう・・・もしかしたらはない・・・俺は・・・迷っちゃいけないんだ・・・それが多くの血の上に成り立つものだとしても・・・」
 『分かっている・・・でも・・・』
 いつまでも決意と迷いが堂々巡りしていく・・・
98年03月02日:00時31分35秒
柴宗 / ジョーカー
 脇で休みを取っていた柴宗が口を開く。
 
 「人に限らず生ける者は戦うことで初めて生きていく事が出来ます。
 それは同族同士の戦いに限りません。飢えとの戦い、荒れ地との戦い
 あるいは獣や日照り洪水等。それがどのようなものであれ、戦いを避けることは出来ないのですよ。
 生ける者が戦うことをやめた時とはすなわち、死を迎える時なのですから。」
 
 漂う物は諦めだろうか。それとも悟りだろうか。
 
 「人同士の戦いもそうです。沢山の人が居れば、その数だけの利害が生まれます。
 もちろん戦いが無い方が良いに決まっています。しかしいつでも皆が納得できる回答が
 出てくるとは限らないのです。それを端的に解決する手段が戦です。
 最も原始的な力と力のぶつかり合いによる解決です。つまり究極的に
 戦の回避というのは不可能に近い物なのです」
 
 柴宗の目はついと負傷者達が寝かされている陣幕へ泳ぐ。
 
 「しかし、起きてしまったからと言ってそれを放っておけるでしょうか?
 例え、戦が避けられず、人が死に至る事を完全に防ぐことは不可能だったとしても
 努力することで少しでも冥土に旅立つ人の数は減るのです。
 夕林殿が手伝ってくれて本当に助かりました。貴方のお陰で大勢の人が
 命を取り留めたのですよ。例え、戦を止めることが出来ないとしても
 私は自分達がやったことが無意味だとは思いません」
 
 それは夕林だけでなく自分に言い聞かせているようでもあった。
98年03月01日:23時30分39秒
九道 / MARS
 「俊景・・・思っていた以上に状況は絶望的のようだ・・・」
 九道は羅刹からの書状を読み判断を下していた・・・
 「本来ならこんな戦い方をするような人間じゃない奴らが集まりすぎてる・・・北も東も・・・西もな・・・」
 敵の指揮官の中には彼が今まで合ってきた人間も多い・・・
 「この戦いはどこの国にも利はない・・・冬峨は落ちるかもしれんが疲弊した三軍にこの国を治める器量はない・・・となれば事実上冬峨は元の無法地帯に戻る・・・そして兵力を疲弊した三国共に滅亡の道が待っている・・・それを知りながら敵はなぜ攻めるのか・・・」
 表情はあくまでも平穏である
 「そこでだ・・・俊景・・・俺は羅刹に降伏を進めるつもりだ・・・もちろんただというわけではないが・・・反対するか?・・・」
 声音も変わらないが・・・言っていることは暴言に近い・・・
 「三国の内一国だけでも力の差ができるなら後の二国は引くはずだ・・・勝てる可能性があるかないかを判断できんほど馬鹿ばかりではあるまい・・・」
 (たとえその代償に俺の命を求められても・・・)
 「問題はこの三国の内でどの国に降伏するかだ・・・今は赤備えが仕える国・・・武島殿がおられた・・・あの国が政治的には不安定だ・・・旨くすれば政治的な主導権が握れる可能性がある・・・」
 (最もその手腕があるのは羅刹ではないがな・・・)
 「まあ・・・あくまでも表面上は講和し同盟を組んだとお題目をつけてだが・・・そうしなければ離反する者も多いだろうからな・・・」
 (どう判断する・・・俊景・・・)
 あくまでも冷静に判断しているように話しているが九道自身の心はかなり揺れている・・・
 絶望的な抵抗を続けていくよりはという考えであるが・・・
 完全に弱気になっている・・・ 
98年03月01日:04時24分18秒
/ マモル
 守矢は、母に甘えた記憶とが少ない。
 もともと体の丈夫な人ではなかったし、守矢自身も白樹勢の数少ないヨロイ乗りとして幼い頃から忙しい身であったから。
 それだけに、その記憶は鮮明だ。「それ」を心の糧として戦ってきたといっても過言ではない。
 
 沙雪に唐突に抱き寄せられた瞬間、守矢はなぜかその記憶がうっすらと甦った。
 張りつめていたものが、なにかゆるんでしまったようだ。体が楽になる。
 (沙雪って、いい匂いがする…。なんだか、母上に抱かれてるみたいだ…)
 そのまま目を閉じて、体を沙雪にあずける。
 不意に、父とともに敵の手にかかって死んだ母のことが思い起こされて、目の端から涙が一条の線となってこぼれ落ちた。
 
 「…かあさま」
 
 無意識に小さくつぶやいた。そのつぶやきが聞こえたのか、沙雪は首をかしげる。
 しかし守矢の目の端を流れる涙を見つけると、なにも言わずに守矢を再び静かに抱きよせた。
 
 白樹滅亡以来、休まることのなかった少年の心は静かにまどろみへと落ちてゆく。
 だがそれさえも、この後に待ち受ける激動へのつかの間の休息に過ぎなかった。
98年02月28日:00時35分09秒
「阿鼻叫喚の女法師」 / みだれかわ枕
 九道の悩みを知ってか知らずか、夕林はいまだに留まっていた。
 もちろん、彼女には『戦を止める』という、そのことしか頭にない。
 そのために、いろいろとやってみるつもりだったのだ。
 だが。
 もとより、ここは戦場。
 戦端が開かれれば、あっという間に怪我人でいっぱいになる。
 そして、夕林は怪我人を見て、それを放って、自分の為すべき事を出来るような人間ではなかった。
 あの川岸で、九道が夕林に言ったことは、事実だったのである。
 
 
「息が無いっ!?」
 太股に大きな怪我を負い、担ぎ込まれた男の周りは、騒然としていた。
 出血が激しい。まだ止まっていない。
「ええと、足、縛ってください。もっと、きつい方が、いいですぅ」
 処置に当たっているのは、夕林。
 ここしばらく、彼女は治療するか、寝ているか、食事をするかしか、していなかった。
 一通り治療が終わり、一息ついて、さて、戦を止めようかと思うまもなく、怪我人が担ぎ込まれる。その繰り返し。
 ここ数日、夕林は顔も洗ってないのではないだろうか。
「これ以上は縛れませんよ!」
 夕林の助手をつとめる男、叫ぶ。
「ええとぉ、それじゃ、蟲をお願いしますぅ。私は、癒しの法術を使いますからぁ!」
 助手は、ささやかながら、蟲を扱うことが出来た。彼の手から、傷口へ直接、再生蟲が入れられる。そこに、夕林の法術。仏の力を借りて、生の力が注がれる。
 処置は速やかに行なわれた。
 だが、ここまでの出血が激しすぎた。
 間に合うだろうか。
「助かってください、お願いだからぁ!」
 
 もはや、手後れだった。
 
「杏里さん……私、この戦が、何とか止められないかと思っていたんです。みんなが、笑顔で、生きていけるように」
 夕暮れの中、夕林は、ぽそぽそと口を開いた。
「でも、実際には、全然そんなこと出来なくて……こうやって、人が死んでいくの、見ることしか、出来ないんでしょうか?」
 涙が、流れつづけていた。夕林は、ほとんど毎日のように泣いていた。
「私、あの人に約束したんですぅ。自分のやり方で、戦を止めるってぇ」
 少し、間。脳裏に、別れ際の九道の顔が浮かぶ。
「で、全然駄目でぇ……戦って、戦でしか、止めらんないんですか? こんなに人が、死ぬのにぃ!」
 
 夕林から、杏里へ
 
 
 天然ボケ対決も、いいかなぁと思うのですが、さすがに話が進まないと困るので――二月近く、止まってる(笑)――少しシリアスめに行ってみましょう。もちろん、天然ボケ対決もあきらめたわけではありません(ニヤリ)。
#あくまで野望ですが、夕林、杏里に加え、『暴走編』の大町聖さんも交えた、
#『三大天然ボケ大決戦』も、いつかやってみたいなぁと(笑)
##こうしてみると、私のキャラって、ボケ役多いな……
98年02月27日:21時08分11秒
俊景 / Dr.李
 「して、若君。赤備えにはどう対処するおつもりで。」
 聞くのは仁科の老将、高田信正である。
 「別にない。」
 にっこりと微笑む、俊景。
 「若君・・・」
 苦笑を浮かべる高田信正。
 「しかし、このままではまずいと思います。」
 青年士官・榊 桂。
 「左様、分断されかねません。」
 同じく青年士官・馬光 隆光。
 
 「まあ、聞きなさい。私は先陣が赤備えだと思ってました。ですが来たのは別の将。
 赤備えは第2陣。これはおかしいと思いませんか?」
 顔を見合わせる仁科の将
 「そしてあの奇襲。あの山を越えるには地図が必要です、それも必ず。
 そして手の者から鴛夜が動いていると言う報告。
 出来過ぎてますね。」
 始めて微笑みが消える。
 「赤備えはほっておきます。かの国でおそらく追い落としが始まるのもそう遠くはありません。
 私たちは、赤備えに対して牽制をおこない、足止め、もしくは侵攻を遅らせます。
 それで十分なんですよ。」
 ゆっくり深く何かを見通す。
 「三ヶ国は同時に動いているはず。我々は大きく後れをとり、じわじわと消耗させられるでしょう。
 それを防ぐためにもまず戦力の一極集中をおこない、会戦でけりを付けなければなりません。」
 扇子をぴしっとしめる。
 「おそらくそれが鴛夜のねらいですね・・・。」
 将達は主君の顔をまじまじと見つめる。
 「それがなぜ・・ねらいなのですか、若君」
 高田信正が質問を出す。
 「おそらく、”駆神機”による4カ国崩壊でしょう。ですがまだ・・裏がありますね。さすがにここからは分かりません。
 あるいはこの情報こそが、私を惑わす罠とも考えられますからね。」
 その鍵をにぎるのは”守矢”。
 
 珍しく、険しいものを目に浮かべる、数年前に聞いたあの男の哄笑が頭の中に響く。
 
 ”何をねらってる、鴛夜?” 
98年02月27日:17時02分34秒
九道 / MARS
 「ふぅ・・・・」
 無意識にため息が鼻から抜ける・・・
 ほとんどが馬の上か立っているかで常人ならばすでに疲労で倒れているだろう・・・
 しかし、九道が疲れるとは異常である・・・
 ほぼ1月の間まったくと言っていいほど休息をとらずにいても平然としていた九道がため息を付く・・・
 この姿を兵達に見せれば士気の低下に繋がるだろう・・・
 「ダメだな・・・まだ・・・今は・・・」
 また立ち上がり物資の移送や見張りの割り当ての指示を素早く済ませていく・・・
 「・・・・一通り・・・終わったな・・・割り当て通り見張りに付け!!また任に付かない者は休め!!休むことも戦いのうちだ!!」
 「応!!」
 指示されたとおりに兵達が流れていく・・・
 「・・・・・・・俺も休むか・・・・」
 そういいながら用意された寝所に行き休息をとる・・・・ 
 『・・・・俺がやってきたことは間違いか?・・・結局大きな不幸を呼ぶだけなのか?・・・どうすれば良いんだ・・・レナ・・・』
 眠れずぎゅっと髪飾りを握る・・・
 『・・・いいや・・・迷っちゃいけないんだ・・・俺が今迷えば結局今までのことが無駄になるだけだ・・・今は目の前の敵を倒すことだけを考える・・・目の前の敵を・・・・』
 フイに気配を感じる九道・・・
 「・・・・・」
 「九道様・・・羅刹様より北は任せたとの知らせが参りました・・・・」
 「っで?・・・」
 「今我が国は三方より攻められているため援軍はほぼ見込めません・・・」
 「何?・・・・なるほど・・・ますますやっかいだな・・・」
 「それと赤備えに関する情報が・・・」
 「なんだ・・・・」
 「赤備えは全て傭兵に御座います・・・それと内部で少々騒ぎがあったようです。」
 「・・・・騒ぎか・・・」
 「何でも脱走兵が出てその処断に不和が生じたようです・・・」
 「原因は何だ・・・」
 「何でも士官の一人と被害者側の尼僧・・・いえ女法師が脱走兵を処分することに反対したそうです・・・」
 「なるほど・・・待て・・・その法師の名は?」
 「確か夕林と申したそうです・・・・」
 「夕林が・・・何で・・・」
 「その法師はその後赤備えと行動をともにしているそうです。」
 「・・・本当か?」
 「ハイ・・・少なくとも赤備と共にあることは・・・」
 『どういうことだ・・・夕林が間者?・・・馬鹿な・・・俺は・・・でも・・・あの子も人だ・・・違う・・・俺は・・・俺は・・・人を信じることもできなくなったのか?・・・』
 深く思い詰めた顔になる九道・・・
 「どうかなさいましたか?」
 「い・・・いや・・・」
 『冷静に考えろ・・・間者である可能性がないわけではない・・・だが俺はそう感じなかった・・・自分を信じられなくなったらおしまいだ・・・今は自分を信じよう・・・』
 心を落ち着け疑惑を振り払おうとする・・・しかしどうにも拭えない想い・・・
 「・・・それで・・・守矢の方は・・・・」
 「・・・申し訳有りません・・・こちらはまったく・・・」
 「・・・分かった・・・そうだ・・・芙蓉はどうした?たまには俊景に会いに行けと伝えておいてくれ・・・」
 「・・・かしこまりました・・・」
 『・・・俺は・・・結局二人をつなぎ止められなかった・・・いや・・・これは俺が望んだことなのかもしれないな・・・だが・・・裏切られた気分だ・・・身勝手だな・・・俺も・・・』
98年02月22日:20時11分04秒
もうしわけない / ハリ=ハラ
 建国編の方だが、獅明が乱入しそうな気配を見せる事で書き込みを停止させてしまっていたようで申し訳ない。
 あれは本当に「気配」だけなので、気にせずに若い二人は続けてくれたまえ。(笑)
 
 次に、獅明や鴛夜が動く時は、出発の時となるでしょう。
98年02月22日:20時01分39秒
シイラ / ハリ=ハラ
「ん・・・」
 
 蒼馬が再び横になってからしばらく後
 シイラは、ゆっくりと目を覚ます。
 
「・・・・・・」
 
 しばらく、状況を掴めていないらしく、ボーとしている。
 どうも、最後のころの記憶はないらしい・・・
 しばらくボーとしてから、慌てて飛び起きる。
 
 横では、蒼馬が寝息を立てている。
 顔色も、昨日よりはずっと良くなっている。
 どうやら薬が効いたらしい。
 
(よかった・・・・)
 そう思って起き上がろうとした時、自分にも布団が掛けてあった事に気づく。
(これは・・・?)
 少女が用意したものではない。
 となれば・・・・
(ソウマが?)
 
 どうやったかは、少女には解らない。
 でも、きっと自分が寝ている間にソウマが掛けてくれたのだろう。
 
(嬉しい・・・)
 自分に掛けられていた布団を、きゅっと抱きしめて顔をほころばせる。
 寝ている自分を気遣ってくれるような人であった事が何より嬉しかった。
 優しい人であってくれた事が何よりも嬉しかった。
 
 蒼馬を起こさないように静かに立ちあがると、食事の用意を始める。
 焚火に薪を足し、川から水を汲んでくる。
 乾かしておいた蒼馬の着物をたたんだり、新たな薪を拾ってきたり。
 もろもろの作業を手際よくこなすシイラの口から、いつしか歌が流れ出す。
 当人も、思わず口ずさんでいるのだろう。
 
 楽しそうに歌を口ずさみながら、シイラは食事を整えていった。
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