天羅万象掛け合い:修羅刀編 LOG 006

天羅万象掛け合い所:修羅刀編の1998年10月02日から1999年04月07日までのログです。


1999年04月07日:12時26分01秒
散りたる羽は・・・ / 夜光
 「ち、人間ってのをやめてよ。悪夢に魂を売って。楽しい地獄にまできてみてもよう。
  俺はここまでの奴ってことだったのかよ」
  その顔はすでに死人のそれ。全身の血は流れ出し。戻ることを知らない。
  目の前に佇む麗人はこゆるぎもしていないというのに自分はこのざまだ。情けなく
 て笑いが込み上げてくる。
  手を無理に曲げてみるが。自在に動いた死車は空回りをし、何も巻き取らない糸
 車のようにそこにぽつんとある。
 「やっぱり、怪物ってやつはいるらしいな、ええ」
  力もこもらずまるで吐息をはくような言霊。
 「全員突撃!!ここでうごかなけりゃ、後で死ぬか今死ぬかの違いだぞ!!」
  魂を解き放つような大音声。その声は兵士の中に眠っていた狂気と恐怖を引き出
 すには十分だった。
  さらに、自分の命をもかけた行動が伴ってはなおさら.....
  
  そして、彼は 根の国へと旅立とうとしていた。ちぎれた翼をともに。
 
 
 サムライ 絶地
1999年03月26日:02時40分28秒
玄業 / 月夢
(ちっ)
 もう何度舌打ちしただろうか玄業はいらいらした様子を隠さずに町中を歩く。
(全部予定外だ)
 状況は玄業にとって予定外なほうへと進み続けている。亜夜と接触をとり導くだけの簡単な仕事のはずがいまでは動きもままならない。
(くっ、このままでは私はまるで無能ではないか)
 式を使ってかろうじで亜夜と町の様子をつかんではいるが陰陽師が一人のこのこと気軽に歩ける状況ではない。
(どうする?誰か私の弾よけとなる物が必要だ、適任は?)
 式を周囲に展開させる、南雲、鰐裔の兵はすでに戦闘の狂気に酔っていてどうにも成らない、まだ冷静さを残している連中もいるがそう言う連中のほうがより危険であることは言うまでもない。
(となると近くで、どちらにも属さないもの・・・・やつらか)
 先ほど亜夜と一緒にいた子供と何故一緒にいるのかわからないが仲間らしい二人。
(迷っている暇はないな)
 式を使い道を選ぶと玄業は足早にその3人の見えるところまで歩いていき呼びかける。
「おい、そこの物立ち!こっちだ!くだらん戦に巻き込まれて命を落としたくないならな!」
1999年03月18日:23時11分44秒
風向き / tomy
図でも想像のつくように、風は南東からは北西に向かって吹いています。つまり燃え広がる方に(爆)
1999年03月18日:23時01分34秒
越影と捨丸 / tomy
「ふむ。どうやら予定外の因子が入り込んだ様です。捨丸様の出陣を早める必要があるやも知れませぬ。御準備を」
越影が捨丸に向かって優雅に言う。

「は、はいっ。では直ちに」
幾分緊張しながら捨丸は越影に言うと暗堵丸に乗り込んでいった。
「さて、絶地がみごと使命を果たせばよし、さもなくば…」

越影は戦場の方に目をやり、いつの間にか近付いていた黒雲に気付く。
「…おや、今雨に降られては困りますよ」
越影が苦笑して言うのと同時に、雲はかき消すように消えていった。
1999年03月18日:22時36分00秒
修羅刀に操られしもの / tomy
(あつい…どうしたんだろう)
街は火を放たれ燃えていた。
だが、その思考も砂浜に書いた文字が波に侵食されるようにかすれてゆく。

(火…邪魔だな)
男が手元の刀を振る。
すると男の周囲から建物が倒れてゆく。

(それに…どうして誰もいないんだろう)
人気のない街。
そして男の進む道には、いつのまにか赤黒いしみができている。
だが、彼がその理由を思いつくことはない。

(早く…いきなきゃ。…父様に、この刀を…)

tomy:え〜、このままだとらちがあかんので状況を悪化させました(爆)

放たれた火矢と修羅刀の進行により鬼3人の退路は断たれようとしています。脱出組にもあまり時間は残されておりません。
選択はお早めに。
 □□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□火***
□□□□□□□□*亜**□
火□□□□□□修**火□□
火火□□□◎□□□火火火□
 □□□□□□宿□□□火
 火火□□□□□□☆□軍軍
  火火□火火□□□軍軍軍軍軍
    □□火火軍軍軍×軍軍軍軍
 軍軍    軍軍軍×迅×軍軍軍軍
軍軍軍軍× ×軍軍軍軍×軍軍軍軍軍軍
軍軍軍××炎××軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍
軍軍軍軍×××軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍
軍軍軍軍軍×軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍軍

1999年03月12日:19時07分08秒
Break out / せりざわ
 目の前の自分の打った式がかき消されていく・・・
 それは凶にとって始めて見る出来事だったのだ。
 そんなことが・・・凶の顔から見る見る精気が失われていくのがわかった。
 符に、ただの紙切れになってしまった式札の一点をみつめ、、
 軍の中へとかききえて行った・・・
 だが、呆然としていたのは一瞬のことだった。
 天狼が一振するごとに上がる兵士の断末魔の声が凶を現実に引き戻す。
 おびえた目でこちらを見る少年・・・そしてその背後から切付けてきたいきり立つ兵士!!
 「あぶない!」とっさにアレスに飛びつき、間一髪のところで無事。
 しかし、凶の右脚を刀が捕らえ、、、、地が吹き出ない。
 切り裂かれた傷口から黒光りする何かが見えた・・・
 「君!大丈夫ですか!」
1999年02月26日:13時35分54秒
天狼 / つきなみなつき
「逃げられないなら……立ち向かうまでです!」
 雷の轟くような音が響き渡り、凶の打った式が実体化する。
(っ!!)
 すぐ隣の男が陰陽師だと知って、太刀筋が一瞬乱れる。
 動揺を沈めようとした刹那、その式が弾け飛んだ。
(童子か!?)
 果たして少年は、陰陽師に怯えた視線を向けている。

(……今は、眼前の敵に向かえ!)
 現出した式が次の瞬間には吹き飛んでいたことで、兵士達は二重に狼狽している。
 彼らが反応するよりも早く、天狼は彼らを斬殺していく。蒼装束が、兵士達の血で紅く染まっていく。
 自分たちを取り囲む半円が広がったところで、天狼は一度動きを止めた。
 少年が、そして陰陽師がどう動くかを見据えるために。
1999年02月25日:01時29分38秒
琴音 / 月夢
「…………の状況におき我が軍としては………」
(軍をいくら派遣したとしても無駄でしょうね)
 軍議の末席に形式上身を置きながら琴音は皮肉に考える。
(修羅刀の怖さを知らない兵をいくら並べても餌になるだけ、せめて修羅刀の怖さをわかるものを前線に送って指揮を執らねば無駄に兵を削ることになるでしょうに)
 延々と続く説明と話し合いを半分聞き流しながら琴音はこの国を形作った4人の将に目をやる。
(兵を引き真っ先に先陣を切っていたものたちが………老いたと言うことですか)
 琴音は冷たく評してちらっと外への扉に目をやる。意見を求められる立場でもなければ軍略の才もない琴音がここにいる意味はない、折を見て席を立っても誰も気にしはしないだろう。
(亜夜さんだけでも迎えに行くとしましょう……まだ死んでもらうわけには行きませんから)
 すっと琴音が立ち上がると何人かの視線が琴音に集まる。
「軍議最中に申し訳ございません、気分がすぐれないので少し風に当たって参ります」
 元々あまり丈夫には見えない琴音の言葉に、最初からなにも気にしていないこともあってほとんどの人間が納得して軍議へと戻ると琴音は静かに部屋を抜ける。
「さて、私自身が迎えに行くのが一番確かなのでしょうが、まだ修羅刀と直接会うのは避けたいですね」
 勝てるかどうかなどは考えるまでもない、手があるならとっくにその手段をとっている。
「香様でもいらしたら迎えに行っていただくのですが……やはり私が出向くしか在りませんか」
 味方がいないというのはこういうときに問題が出てくる。
「あとはその場にいる毛色の変わったものたちをどう使うかですね……」
1999年02月20日:23時35分15秒
/ ジョーカー
 「…いいだろう」
 
 僅かな間を置き炎が応える。
 
 「だが俺はあくまでも手助けするだけだ。
 俺はお嬢ちゃんの腕となり脚となる。
 しかしどのように、どうやって避難させるか。
 考えるのはお嬢ちゃんの役目だ。
 それを忘れるな」
 
 
 *遅れてすんません。
1999年02月17日:22時41分41秒
アレス / MARS
 アレスは凶の打つ式に恐怖を感じた。
 それは、反射的なもので、すでに生理的と言ってもも良い。
 「君!僕たちが時間稼ぐからその間に早く逃げて!」
 そう凶が告げるのが耳に入らなかった。
 そして次の瞬間にはその式が消滅していた。
 「あ………」(ビクゥ)
 陰陽師の前でこの力を放ってしまったことをアレスは強く後悔した。
 おそるおそる凶の方へと視線を向ける。
1999年02月10日:23時00分08秒
アゲハ / 狂兵
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 沈黙の時が流れる。しかし、今のアゲハにとって、無駄に使ってよい時間は残されていなかった。
 
 「・・・・・・わかりました。なら、炎さん。あなたも手伝って下さい」
 瞳に意志の力が宿る。
 「これから、町の人達を避難させます」
 
 
 PS.アゲハがこの事を言い出したのは、戦闘が起こるより前。
 街の人達が誰も気づいていない段階だという事にして下さい。
 そうしないと、ただの天然ボケ娘になっちゃいますので(笑)
1999年02月10日:20時07分42秒
亜夜 / tomy
迅雷の命が戦場の中で燃え尽きようとしていたその頃、亜夜は満身創痍で倒れ伏していた。
(…駄目。…倒れてくれない)
亜夜は修羅刀を手にした男に幾度となく傷を負わせた。その中には明らかに致命症と思える手応えのものがいくつもあった。だが…男は倒れない。もはや生きているのが不思議なぐらいにボロボロに傷つきながらも、男は街に向かう足取りを止めることなく亜夜の太刀をはね除け続けた。
すがのは、1発男に銃槍をたたき込むと、どこへともなく身を潜めた。まだ修羅刀に狙いを定めているのかも知れないし、逃げ去ったのかも知れない。

………………

(……あの男と修羅刀はどこ?)
いつの間にか亜夜の視野から男と修羅刀が消えていた。もしかすると意識を失っていたのかも知れない。
「…いけない。追わないと」
気力をふりしぼり起き上がる亜夜。だが焦る心とは裏腹に、体はノロノロとしか動いてくれなかった。

tomy:ってなわけで修羅刀は街(正確には少女が暴走をした場所)へ向かっております。街の皆さんお気をつけて。
1999年02月10日:18時52分46秒
刹那の攻防 / ジョーカー
 絶地の殺気が収束していく。狙いは……首!
 
 「これも受けきれるかい!!」
 
 叫びが炎を打つ。応えるのは言葉にならぬ呼気。
 
 「ふっ!」
 
 身体は迫る切っ先から退く…いや更に踏み込む!
 右腕は掬い上げるように拳ではなく掌を上に動く。
 
 ヨロイの足音のような重い音と柏手のような乾いた音が同時に響いた。
 その音は一瞬の静寂を生み出し、其処に炎の言葉が流れた。
 
 「受ける事は出来ずとも…逸らす事なら出来なくは無い」
 
 と……
 
 #重い音は震脚、乾いた音は掌が下から打ち上げた音です。
 #しかしこうやって一撃一撃をやり取りするのって凄い久しぶりのような。(笑)
 #少なくとも僕は。
1999年02月08日:10時59分42秒
Murder dolls / せりざわ
 「お前も、巻き添えになりたくなかったら・・・いや」
 男がすらりと抜き放った刀に、燃える街が映し出される。
 「もう、巻き添えになりかけだな・・訂正する。死にたくなければ、逃げろ」
 あたりを見回せば、すでにもう囲まれている。
 燃える街から雲霞の如くに湧いてくる兵士の目にすでに理性は感じられない。
 「どうやら・・・すでに見逃してはくれないみたいです・・・」
 兵士たちはすでにいきり立ち、もはや目の前のものを切れればそれでよくなっていた。
 「逃げられないなら・・立ち向かうまでです!」
 そう言い放つと懐から式札を取り出す。
 雷の轟くような音が響き渡り、凶の打った式が実体化する。
 その姿は人にして人にあらず。翼をもって空を飛ぶもの。
 「君!僕たちが時間稼ぐからその間に早く逃げて!」
 
 
1999年02月06日:14時35分44秒
出会い、そして / つきなみなつき
 目の前の少年はまだ沈黙したままだ。言い過ぎたか、と微かに後悔もする。
(さて、どうしたものか……)
 と、その時。
「戦場って、戦がおきてるんですか!どこでですか!」
(……また、妙なヤツが)
 心の中で天狼は嘆息する。この場所でまだ、そんな呑気なことを言い出す輩がいるとは。
「すでにそこかしこから兵が入ってきているさ。……見ろ、炎だってあがっているだろう。
 お前も、巻き添えになりたくなかったら……いや」
 腰の打刀を、ゆっくりと抜く。
 彼の両の瞳は、その場にやってきた兵士たちに注がれていた。
「もう、巻き添えになりかけだな」
 左手で刀を握り、空いた右手で耳のあたりを軽く掻く。
「訂正する。死にたくなければ、逃げろ」

天狼より アレス、凶へ
1999年02月06日:11時02分01秒
Triangle Destiny / せりざわ
 「おうたくーん!はがねくーん!」
 応太を呼ぶ凶の声は、すでに枯れ始めていた。
 「華月」に相変わらず答えはなく、不安が心を支配する。
 先程から、街には不穏な空気が流れている。いやな予感が、ふっ、と心に走って無理矢理それを否定する。
 「応太くん、、、鋼くん、、、」
 一人言に答えるものはなく、ただいやな空気をはらんだ風が凶の言葉を奪い、髪を撫でていった。
 三つ目の角を曲がる。
 さて、この通りを探すのはこれで何度目だろう。応太と鋼のいないことはわかっている。それでもすこしでも、ほんの少しでも可能性があればそれにかけてみたい・・・
 いないことはわかっているけど・・・・
 
 そんなおりに凶の目が一人の少年を捕らえた。
 蒼い装束に身を包んだ精悍な男性に襟首をつかまれている。
 こんな時じゃなかったら、少年を助けてあげるんだけど、今は応太君を捜すのが先決。
 「ごめんなさい。こんな時じゃなかったら助けてあげるんだけど、今は僕の友達を探してるんだ。ほんとにごめんね」
 心のうちに謝っているつもりだったが、つい口が開いて言葉が出ていた。
 二人を遠巻きに立ち去ろうとした時に、蒼い装束の精悍な男から意外な言葉を聞いた。
 
 
 
 
「どこへ向かうつもりだ。そっちは戦場だぞ」
 戦場・・・戦が起きてる!応太くん!鋼くん!
 一抹の不安が心を切り裂き、凶の心が悲鳴を上げる。
「戦場って、戦がおきてるんですか!どこでですか!」
 常時冷静な凶が、これほど動揺したのは久しぶりだった。
すっかり動揺したことがありありと分かる顔で、凶は蒼装束の男に声をかけた。
1999年02月01日:11時33分55秒
再飛 / 夜光
  炎の強烈な一撃がその身を襲う。その左の腕が見事な切り口を
 残し中に舞う。
 「ち!」
  迸る血を気にする事もなくその身をかがめる。相手の一撃を無
 防備に食らいかねないほどに。
 (あっちは片手でこっちは腕一本。分が悪いねどうにも....)
  その口元に諦観とはまた違う種類の笑みが浮かぶ。
  全身のバネとサムライに宿る飛翔能力。そのすべてをかけ下か
 らすくいあげるかのごとく体が伸び上がる。
 「これも受けきれるかい!!」
  常態では考えられない加速感が絶地の体を襲う。だが、それすらも....
 
 PL:今度は白兵【知覚】で急所狙いといきます。
   腕がおちたので致命傷にダメージいれてサイコロ+2!!
   ”気合”でかわすか、受けて力の差をみせるか!。楽しみなとこ
  ろです。
   絶地はNPC扱いなので”気合”は割り込み専用です。では〜。
1999年02月01日:06時11分28秒
激突 / ジョーカー
 (捨て身か。ならばっ…!)
 
 山颪のように降り下る絶地に炎は叫ぶ。
 
 「腕の一本はくれてやる!」
 
 槍のような突進に左腕を楯とする。その勢いを受け止める代償として
 血は飛沫、肉が裂け、骨にまで食い込む。その刹那、力と力が拮抗し動きが止まる……
 
 「やるなぁ…悪くない。お返しだ食らえっ、砕!!!」
 
 雄叫びと共に左腕を犠牲にして力を溜めていた右腕が唸りを上げる。
 弧を描くように軌跡を残し、炎の右拳は絶地の一瞬の隙を縫い肩口に吸い込まれた。
 
 *処理的には必殺の一撃と判断したので必殺の一撃で対応しました。
 攻撃の順番が前後してますが気にしないで下さい。(笑)
1999年02月01日:05時26分18秒
炎の意志 / ジョーカー
 「ああ出来るだろうさ。一人なら確かに雑作もない」
 
 それは豪語でも無く虚勢でも無く。ただそうと確信している
 それが当たり前であるかのような物言いだった。
 
 「だが、一人で逃げてどうする?それで何になる。
 忘れたか『俺はお嬢ちゃんを守る者』だという事を」
 
 静かな、だが力強いその言葉。例えるなら山のような決して揺るがぬ存在。
 そして炎の意志もまた同様に揺るぎそうに無かった。
 
 「契約が交わされ、報償も受け取った以上俺はそれを守り
 お嬢ちゃんを守る。相手が人であろうが魔であろうが、な」
 
 その謎めいた言葉は何を意味するのか。何を予見しているのか。
 ただ吹き込む血の匂いと煙を乗せた風だけが二人の間を流れた。
1999年01月31日:22時48分40秒
嵐を呼ぶ迅雷 / Dr.李
 「見つけた・・・。」
 とりあえず指揮官を撃ち抜く。
 それで充分だ。
 恐怖に駆り立てるというやり方はうまいやり方だ。
 その恐怖を逆に利用されない限り。
 戦場での狂気は、歯止めがない。
 まして、死の恐怖に脅える敵。
 背後の敵に脅える連中は、引っかけやすい。
 その素地が充分にできているから。
 
 銃槍はばらし、遊撃戦を仕掛ける。
 所々、意図的に油を流し、撃ち、移動し、そして撃つ。
 油に風上から火をはなち、混乱に拍車をかける。
 進むも恐怖、退くも恐怖。
 「敵が、混じってる。銃槍隊に気をつけろ!」
 そう、たまに叫びながら、敵を撃つ。
 遊撃にまわってる銃槍隊を見ていたから、言える言葉だ。
 同士討ちが始まるのもそう長くはない。
 指揮官を撃ち殺しておいたのはそのためだ。
 
 「しくじったよなぁ。」
 迅雷は燃える街を見ながら、壁にもたれる。
 火が、周りに燃え広がっている。
 「これじゃぁ、もう、うごけねぇよなぁ。」
 脇腹から血が流れる。
 目の前にはサムライ。
 額には一発の弾の後。
 
 「さすがにサムライってのは、つえぇぇなぁ。」
 銃槍ではしとめる事はかなわなかった。
 そのために横腹に深く傷を負うことになった。
 「全く、弾がもったいねぇとか思うんじゃなかったぜ。」
 周りにも火が来たようだ。
 木がはぜ、熱い空気が流れてくる。
 
 「亜夜さん、うまくやんなよ。俺が時間を稼いだからさ。
 そんで・・・ごめんよ、酒、飲めそうにないや。」
 ゆっくりと目をつむる、まるで眠るように。 
 

 迅雷 享年20才
 その名の如く駆け抜けた人生であった。
1999年01月31日:02時14分28秒
琴音 / 月夢
「強い力は強い力を、血は血を、魔は魔を呼びます」
 城の廊下でぽつりと呟く。
「血と狂気と怨念と………そこに同じ魂を一滴」
 どこか遠くを見つめたままで口ずさむように一言、また一言。
「集えし血がなにを産むか……」
 ふっともとの無表情に戻ると振り返る。
「参りましょうか、事後承諾でしょうが形式的にもお話を聞きませんと」
1999年01月30日:12時42分53秒
蒼装束の男、天狼 / つきなみなつき
(っ! この少年は!)
 少年の襟首をつかんでいた手が、徐々に引き剥がされていく。彼の変貌と共に。
 驚愕。まさかこんなところで「同族」に出会うとは。
「でも……たとえ無駄と分かっていても、何もせずに逃げるよりましです。」
 完全に腕が離される。
「大丈夫です。まだ僕は死にたい訳じゃないですから…無駄死にをしたりはしません。」
「そうか」
 少年の微笑を鋭い視線で見つめながら、天狼は襟首をつかんでいた腕をさする。
 別に痛みがあるわけではない。気分的なものだ。
 考える。
 この少年の「力」がどの程度の水準のものなのか。それはまだ分からない。
 これから巻き起こる破壊の嵐を耐えきることが出来るものなのか。それはまだ分からない。
 考える。
 天狼は、少年の言葉は危険だと感じた。
 出来ることなら、この少年を死なせたくはない。無意識の内に彼はそう考えていた。
「童子。それでもお前が吐いているのは戯れ言だ。
 無駄死にをしたりはしない、だと? では『無駄でない死』とは何だ? そも、『死』に価値などあるのか?
 自己満足の内に死ねれば、お前は充足するのか?
 安っぽい、餓鬼らしい考えだ。
 『死』は『死』でしかない。それ以上でもそれ以下でもないさ。
 死んだ人間がそれ以上何かを為し得ることなど出来ない。
 死にたくないのなら、必定の死が待っているところに足を向けるな。一目散に逃げろ」
 また少し、気の流れが変わっている。また新たな殺気が、この街を蝕み始めている。
「何かをしようとするには、遅すぎるのだ。
 今更何か出来ることをなど、考えるな」

天狼より、アレスへ
1999年01月29日:23時34分20秒
迷い / MARS
 『どうしよう……ここで立ち止まってるわけには行かないのに……』
 アレスはここで力を解放すべきかを迷った。
 「じゃあ、この腕を振り払えば……いいんですか?」
 心を決めて力を解放する。
 『多分この人も悪い人じゃない……』
 予感が胸をよぎる。時間が余り無い……
 「もし、この腕を振り払っても彼を助けられないかもしれません……
 たとえ、この世界を支配する力を持っていても救えないものがあります。」
 アレスの力が天狼の腕をゆっくりと引き剥がす。
 同時にアレスの髪と瞳が金色に染まり始める。
 「でも……たとえ無駄と分かっていても、何もせずに逃げるよりましです。」
 完全に腕がアレスから離れる。
 「大丈夫です。まだ僕は死にたい訳じゃないですから…無駄死にをしたりはしません。」
 天狼に向かい、アレスは軽く微笑む
1999年01月29日:18時01分51秒
蒼装束の男改め「天狼」 / つきなみなつき
「僕は人が死ぬことが怖いんです。できうるなら誰も死んで欲しくない……」
 自分を振り仰ぐ少年が、真摯な瞳で貫いてくる。
「たとえそれが不可能でも……自分と関わった人だけでも救いたい……」
 想いが伝わってくる。この少年の心からの想い。
「少しでも助けられる可能性があるなら諦めたくないんです。」
 襟首を捕らえている自分の腕に、少年の手が回ってくる。
「傲慢かもしれません……世間知らずといわれるかもしれません……
 愚かなことかもしれません……
 だけど……自分の気持ちに嘘はつけないし、自分を嫌いになる生き方だけはしたくないんです。」
 決して生半可な感情ではない。はっきりとした意志だ。だが、
「その生き方自体には賛同する……だがな童子。
 傲慢だ。
 今この状況で、お前に何が出来る? 俺の手さえ払いのけられない細腕で、何が守れる!?
 助けたい人がいる。ではそいつをどうやって助ける!?
 ここには、力の無い人間に手心を加えてやるような奴はいない。
 戯れ言だ。諦めろ。そして一刻も早くこの街を逃げ去れ」
 天狼は心の中で苦笑する。こんな子供一人に、自分はなぜこうも熱くなっているのだろうか。
(……ああ、そうか)
 少年は、遙か昔の自分の姿だ。里を焼け出され、それまでの全てを失う一瞬前の、自分の姿だ。
 少年の襟首から、手を離す。
「立ち去れ。全てが終わってから、そいつの骨でも拾いに来い。
 童子。お前に出来るのは、それくらいだ」

 天狼より アレスへ
1999年01月29日:10時09分35秒
別働隊 / 夜光
 「二番隊続け!」
  大音声と共に指揮官の声がこだまする。
  一番隊を率いる絶地とは別に側面からの陽動をねらった隊であるのだが、
 絶地の隊が炎と言う化け物に止められたため、結果的に街への突撃の一番槍
 をとってしまった格好になる。
 「奪い、燃やせ。住民はすべて殺して良い。従わぬものに生かしておく価値
 はない!」
  それはどう考えても非常識な言葉であるのだが。彼らにはそれを考える余
 裕はない。かかっているのはみずからの命なのだから。
  そして、この街を焼き落とす事自体が恐怖を用いた戦略の一つである事な
 ど彼らには知る由も無い。
  そして、街に悲鳴と業炎が広がっていく。
  少しずつ、しかし、確実に.......
 
 
1999年01月29日:01時02分42秒
アレス / MARS
 「どこへ向かうつもりだ? そちら側は戦場だぞ」
 呼び止められ襟首を掴まれる。
 「せ……戦場……」
 誰と誰とが?どうして?そんな疑問が浮かぶがやはり、 予感が当たっていたことを確認する。
 「………そこに……助けたい人がいるんです。僕は、その人のことを知らない……」
 ふと、迷いがよぎる。
 「だけど決して悪い人じゃない……そんな気がするんです。」
 しかし、それが確実な信念に変わる。
 「たとえ、多少の縁でも死んで欲しいとは思わないでしょ?」
 真摯な瞳が蒼装束の男へとむけられる。
 「僕は人が死ぬことが怖いんです。できうるなら誰も死んで欲しくない……
 たとえそれが不可能でも……自分と関わった人だけでも救いたい……
 少しでも助けられる可能性があるなら諦めたくないんです。」
 ゆっくりと男の腕を掴む……
 「傲慢かもしれません……世間知らずといわれるかもしれません……
 愚かなことかもしれません……
 だけど……自分の気持ちに嘘はつけないし、自分を嫌いになる生き方だけはしたくないんです。」
 穏やかだがしっかりとした意志が表情に現れた。
1999年01月28日:22時57分34秒
アゲハ / 狂兵
 「炎・・・さんでしたね」
 額にうっすらとあぶら汗を浮かべながら、アゲハが語りかけた。
 「ここ、戦に巻き込まれます。早く脱出しないと・・・」
 それだけ言うと、ゆっくりと立ち上がる。
 「蟲達が騒いでいるんです。だから、ここに戦が起こります」
 「他の人達にも伝えないと・・・・早く逃げなさいって・・・」
 徐々にではあるが、蟲達が落ち着きつつある。それに同調して、アゲハの体調も回復していく。
 
 「炎さんも逃げて下さい。ここにいたら危険です。あなた一人ならきっと無事に逃げおおせるでしょう」
 アゲハは、身支度を済ませると、炎の目を真っ直ぐ見ながらそう言った。  
  
1999年01月28日:18時11分54秒
蒼装束の男 / つきなみなつき
「お前は、誰だ?」
 この場の雰囲気におよそそぐわない、少年。
 誰かに付き従っているようにも見えない。
 身なりは良くはない。決して身分のある人間ではないだろう。
 だが、彼に何かを感じさせる、一種の気品があった。
 彼の求めるものを少年は持っていない。普段ならそれだけで興味を失ってしまうはずなのだが。
(この少年には、何かがある)

「………すいません……少し急いでいるんです。お話は後で……」
 ふと気付く。先刻感じた「気品」の消失。今は本当に、只の童子にしか見えない。
 それでも、彼のその少年への関心は萎えなかった。
「待て」
 それは、同時に自分自身への呼びかけでもあった。
 少年の足は、あの「気」の方向へと向かっているではないか!
 腕が走らせ、少年の襟首をつかむ。
「どこへ向かうつもりだ? そちら側は戦場だぞ」

蒼装束の男より アレスへ
1999年01月28日:00時12分46秒
アレス / MARS
 『何だろう……この胸騒ぎ……』
 ふと、アレスの脳裏に昔の風景が浮かぶ。
 それは、彼を実の息子のように育ててくれた女性が殺される所……
 一番見たくない風景……
 『誰かが死ぬ?………そんなの……やだ……』
 何かを感じるようにアレスの足は迅雷たちが軍勢を迎え撃っている場所えと導いていた。
 そして、想いが知らず知らずのうちに漏れ出す。
 『誰も……死なないで……』
 黒い瞳が黄金色に染まる……
 足早に急ぐアレスに声が不意にかけられる。
 「お前は、誰だ?」
 蒼い服を着た男がアレスを見据える……
 「え?」
 驚きとかすかな恐怖心がないまぜになる。
 血の臭いと懐かしい臭い……
 それがアレスの脳裏をかすめる。
 『もしかして……この人も……』
 ふと自分が力を制御していない事に気付き、アレスは急いで心を静めた。
 金色に染まった髪や瞳が元の漆黒へと戻る。
 そして今まで響いていた心の共鳴や運命の律動が途絶えた。
 「………すいません……少し急いでいるんです。お話は後で……」
 警戒心を露わにし、男の横をすり抜ける。
 
 
 つきなみなつきさんへ
 よろしければアレス君を引き留めてやって下さい。
 これでおくれて迅雷の死体とごたいめーんといきたいのでよろしくお願いします。
 まあ、同族と言うことでよしみに
1999年01月27日:11時44分36秒
落雷 / 夜光
 「疾!!」
  掛け声とともに天空よりその体を翻す。その両の手に握られた
 死の歯車が風を裂き迫る。
  大地に叩き付けられる事を恐れぬ半ば捨て身の戦法。
  だが、それすらもこの目の前の魔物に通じるか否か.....
 (情けねぇ事に。策の一つも思い浮かびやしねぇ)
 
 絶地より 炎へ
1999年01月27日:06時32分31秒
写し身の炎 / ジョーカー
 戻ってきた炎は先程と同じように窓枠に腰掛け、しばし瞑目する。
 だがそこでアゲハの状態に気付いたようだ。片目を開けて尋ねる。
 
 「どうした。…具合でも悪いのか?」
1999年01月27日:06時27分13秒
戦場の炎 / ジョーカー
 舞い上がった死の鳥を炎は平然と見つめる。
 
 「立ち止まる事が許されないのであれば、踏み越えてみせるがいい。
 飛んでるだけでは俺は殺せんぞ。さぁ、こい!」
 
 挑発を仕掛ける炎は尚も構えもせず、だがいい知れない恐怖を感じさせる気配だけはじりじりと増していった。
1999年01月26日:21時35分46秒
迅雷 / Dr.李
 少しばかり考えちがいをしていたようだ。
 迅雷は心で思う。
 彼はこの場でほんの少し時間を稼げればそれで良かった。
 そう、亜夜が修羅刀とやらに出会い、回収するまでの時間を稼げればそれで良かったのだが・・・。
 
 状況はそれを許さないほど悪化しているらしい。
 考え違いを訂正する。
 一・人間相手の戦じゃない。
 二・自分の銃槍ではこの軍を止めることは不可能。
 三・すでに手遅れ。
 
 ここで再び彼は選択を迫られることになった。
 一つ、意地でもここで軍を止める。
 二つ、状況が変わったことを亜夜に知らせて逃げる。
 
 迅雷は冷静な男だったが、一つだけ欠点があった。
 彼は意地っ張りであったのだ。
 
 「しょうがないか。」
 あどけない顔だった。
 年齢相応の顔なのだろう。
 それに戦うことを決意した娘の気持ちを踏みにじる事は避けたかった。
 「亜夜さん、やっぱりおれは大馬鹿だ。」
 
 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 迅雷の死亡が確定しました。
 異論などがありましたらどうぞ。
1999年01月26日:19時58分57秒
Re:つきなみなつきさんへ質問 / つきなみなつき
月夢さんへ
>「蒼装束の男」の問いかけは誰か特定の人物へのものでしょうか?
うーん、特に誰かに向けてというつもりはないです(^^;
誰でもいいので相手してやって下さい(苦笑)
1999年01月25日:23時09分13秒
つきなみなつきさんへ質問 / 月夢
 「蒼装束の男」の問いかけは誰か特定の人物へのものでしょうか?
 もしくは返事を希望している相手がいるのなら教えてください。
1999年01月25日:21時01分51秒
アゲハ / 狂兵
 「膳をさげてくる」
 そう言って、炎と名乗る男が部屋を出ていった。
 「ふぅ・・・」
 思わず、安堵の息が洩れる。
 『炎』・・・・得体のしれない青年であった。年齢的には、自分と大差ないように思えるが、
 まるで、自分とは存在感の大きさが違う。
 (人間としての度量が違うのだろうか)
 そうも思える。
 
 炎の言を信じるならば、あの青年は、自分に危害を加えるどころか、
 自分を護ってくれるらしい。なんとなく信頼出来る気はするが、その理由がわからない。
 自分は、どこぞの金持ちという訳でもなければ、名代の娘という訳でもない。
 多少人よりも目を引く器量だとは思うが、絶世の美女という訳でもない。
 自分を護ったとしても、彼が得られるモノは無いのだ。
 『無償で働く』これが、今のこの世の中にあり得ないものだという事は、今まで旅をしてきて身にしみて理解している。
 (それでは、一体、彼は私を護る事で、何を得られるのだろうか・・・)
 
 そう言えば、彼が言った事で一つ、気になることがあった。
 
 ・・・・・誰が依頼をしたのか・・・・・
 
 彼は『紅揚羽に頼まれた』と言っていたしかし、蟲にそんな知能は無いはずだ。
 
 ・・・・アゲハは知らない。自らに宿る者がどのような者なのかを・・・・
 
 突然降ってわいた、これらの疑問を問いただす事も出来ず、悶々としていたアゲハは、
 炎が部屋を出ていった瞬間に、緊張がとけてしまったのだった。
 安堵すると、心にゆとりが戻って来た。そして、
 (これ以上、疑問を内にためておくのは止めよう。炎が部屋に戻って来たら、どうゆう事なのかを問いただそう)
 と、心に決めた。
 
 暫くして、足音が近づいて来た。彼が戻って来たのだ。 (よし、訊いてみよう!)
 と、その時、自分の体の奥底から、数多のざわめきが聞こえてきた。
 全身に走る、悪寒、虚脱感、吐き気・・・・・・・
 それは、蟲からの警告。
 (まさか・・・・これは・・・)
 何度か経験したざわめきだった。これから何百、何千の命が消えていく。その前兆・・・・。
 
 (間違いない・・・・戦が起こる・・・ここに!)
  
1999年01月13日:16時29分27秒
補足(^^; / つきなみなつき
最後の「蒼装束の男」はセリフではなく状況(?)です。
見にくくしてしまってすいません(^^;
1999年01月13日:16時26分49秒
動く / つきなみなつき
「これは……!」
 突如として己の全身を襲う、冷たい感覚。
 彼は息をのむ。このような冷気を撒き散らすような存在が、この街にいるというのか。
「凶が招くは妖(あやかし)か。それとも、これが伝え聞く『修羅刀』か?」
 とっくに捨てたと思っていた感情が、じわりと、心の奥に湧いてくる。
 だが、彼の意思はそれをいとも容易く握りつぶした。
「……見せてもらおう。お前が『何』なのか」
 駆ける

 切れ長の瞳が、流れる光景の中に人影を留める。
 先刻の冷気の主、とは違う。だが、何故この街にいるのか、興味が湧いた。
 足が、止まる。

「お前は、誰だ?」

「蒼装束の男」
1999年01月13日:15時28分16秒
虎狼 / 夜光
 「敵、なんてなまやさしいものかよ。化け物が」
  冷や汗がぽたりと地をぬらす。万騎を屠り、天来の死神と呼ばれる”サムライ”の絶地
 をしてこのありさま。他の兵は恐怖に凍り付き、馬は恐怖のあまり動くことさえできぬ。
  だが、それも長くは続くことはない。
  彼らには別種の呪いがかけられていたのだから。
 「立ち止まることはゆるされちゃいねぇんだよ。今はな!!」
  絶地がその言葉と同時に再びサムライ化を始める。
  それを景気に兵達の間に恐怖と狂気の鎖に縛られた激情が現れる。
 「いくぜ.....」
  絶地の顔に壮絶な笑みが浮かぶと同時にその姿は天空へと再び舞い上がっていた。
 
 絶地 より 炎 へ
 
  
  
1999年01月13日:14時46分57秒
触れ得ざる者 / ジョーカー
「答えなくとも分かっているだろう?敵さ」

だがその手に刃は無く、空虚なまでに闘気も殺気も放たれてはいなかった。

「お前達のせいで泣く者がいる。憤る者がいる。
それは同様に悲しみ、怒りもするだろう」

乾いた風の中でただ佇むその姿は目の錯覚なのではないかと思わせるほどに実在感が無い。

「己が無力に泣き、無法に憤り、見知らぬ
他人の死を悲しみ、死をもたらした者に怒りを感じる者が」

その瞳は目の前の男を写しているようで全く別のものを見ている。

「だが誰かを憎む姿は見たくない。絶望する顔は
もう飽きた。恨み言は聴き疲れた」

青年といっても通る容姿が生に疲れた老人の空気すら漂わせる。

「ならばそれの原因を無くしてしまえば良い。
簡単だろう?」

雰囲気が一変する。風になびく髪が風に逆らってなびいた様に感じる。
地に落とす影が深く、そして濃くなっていく。

「小手先で封じた所で畏れは消えない。隠せはしない」

茫洋とした目の奥に何か奇妙な光が見えはしないだろうか?

「帰るがいい、此処より先は踏み入れる事を許さぬ」

その静かな宣言をもって全てが凍り付く。表情を失った兵達の動きも何も。
空行く鳥も風すらも。面と向けられてはいない街の守備兵までも。

炎 より 絶地及びその場の全て

ルール的には妖力の畏怖に準じます。
強度は5から7程度だと思って下さい。
実際には暗示と相殺されて3から5程度でしょうか。
1999年01月13日:10時00分56秒
死人の陣 / 夜光
  どこかから聞こえる太鼓の音色。
  おびえる兵達もその”正気”を失っていく。喜怒哀楽恐の五情を失っていく。
 「すすめよ」
  どこか冷たく、興ののらない声。それは足踏みを繰り返す兵達に向けたもの。
 「何者だ?貴様」
  空を飛ぶ翼をその背にしまい、闇見る瞳が睨み付ける。
 
 絶地 より 炎 へ
 
 「苦戦しているようじゃないか」
  どこか朗らかな顔で前線を見る男が一人。
  どこにでもあるような着流しに、ろくに櫛もいれていない長髪。
  ほやほやした雰囲気はおよそ戦場ににつかわしくない。
 「嵐武様」
  たしなめるように声を発するのはまだ幼いがしっかりした雰囲
 気を宿す武家の子供らしきもの。
 「ああ、私の役目は分かっているさ。けど、この程度の楽しみは
 あってもいいとはおもわないかい?」
  朗らかに問い返す。男。少年はやれやれ、といった風情でため
 息をつく。
 
  そして、彼らは戦場となっている場所からそれほど離れた場所
 にはいなかったのだ。
 
 PL:絶地は戦場にでているひとは絡んでも全然問題なし。
   で、下のほえほえ兄ちゃんですが。
   よかったらかまってやってください(笑)
1999年01月12日:17時31分12秒
「それ」を求めて / つきなみなつき
「……戦、か」
 到着したばかりの街を満たす振動と混乱を感じて、気怠げに呟く。
 それ自体に興味はなかった。
 所詮、「ヒト同士」の争いごと。いつもの自分なら素通りするか、
戯れに刀を振るっていただろうか。
 だが、その日の彼には別の思惑があった。
「凶は新たな凶を呼び寄せる……見定めるか」
 額に手を当て、薄く笑う。蒼色の頭巾を通して、伝わる、尖った感触。
 異様な男であった。
 顔以外の肌を全て覆う、蒼を基調にした余裕のある服装。
 頭巾からあふれる、白髪の交ざった黒い長髪。
 そして、腰に差した打刀にはあまりにそぐわない、背中の太刀。
 
 たたずむ「蒼装束の男」
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「オニ」のサムライです。ただし、外見ではサムライに見えません。
 (見える場所には珠が配置されていないです)
 ある「刀」を求めて旅をしています(修羅刀とは違いますが(笑))。
 名工(ですよね?)玄屋を訪ねて街にやってきたら、既に進軍が始まっていた、というトコロです。
 修羅刀の噂も聞いており、もしかすると自分の探している刀かもとは思っています。
 それではよろしくお願いします>皆様
1999年01月12日:14時28分17秒
死人の陣 / 夜光
  そいつらに個々の意志というものは感じられなかった。
  どこか虚ろな瞳は何も映すものではない。ただ、死を運ぶこと。滅びをもたらすことを思う。
 「大将はどこだ?」
  迅雷の発したその言葉が彼らのその変容をもたらした。
  それまではどこの戦場でもみかける指揮のそこそこ高い兵の集まり。訓練はされているものの
 戦場の熱気に浮かされた病人のような兵達。けれども、それががらりと変わる。人形のように冷
 たい瞳と静寂。
  兵達の視線が一様に迅雷を見つめる。
 「進め」
  どこからともなく聞こえる指揮をする何者かの声。
  それはまるで亡者の行進のようであり。
  戦場の狂気とはまた別種の狂気がそこには宿っている気さえする。
  兵達は。
  立ちはだかるものを排除する。
  それがたとえ何を意味しようとも。
 
 第一歩兵隊 より 迅雷たちへ
1999年01月11日:02時51分38秒
/ ジョーカー
 その声に応える者はなく、ただ奇異な目で炎を見るのみだった。
 
 「ええい、その様な者に構うな!とっとと街を制圧するのだ!!」
 
 大声を張り上げ騎馬武者が叫ぶ。それに突き動かされ、一団の騎馬隊が
 炎の脇を駆け抜ける。いや、駆け抜けようとした。
 
 「意に介さぬか、それも良い」
 
 呟きが漏れ、炎の腕が霞む。
 三丈ばかり行ったところで馬が悉く足を折り、横倒しになる。
 当然、乗る者は投げ出され酷く身体を打つ。辺りにはうめき声が溢れた。
 
 「無視出来ぬようにしてやればいいだけの事だ」
 
 ぐるりと見回すと兵達は怯えたように一歩、二歩と後ずさる。
 得体の知れない相手だ、無理も無い。
 
 「腑抜けばかりか……」
 
 無造作に言っただけにその言葉は痛烈に響いた。
 だが尚も動く物はいない。奇妙な静寂がその場を満たした。
 
 「ならば其処の蠅、お前は知っているか?」
 
 上空を我が物顔に飛ぶ絶地の耳にその声は間近で発されたように聞こえた。
1998年12月22日:10時04分19秒
亜夜 / tomy
「………動いてる?」
修羅刀の気配が、式で飛んだ程ではないにせよ、動いていた。
「嫌な予感がします。急ぎましょう」
すがのにそう言って駆け出す亜夜。
そして…

亜矢から、修羅刀とそのおまけ(爆)へ
tomy:とりあえず、次は双方が視野に入ったところまで進めましょう。
1998年12月14日:20時30分51秒
運び手 / Dr.李
 迅雷は物心ついたときに、自分の両親と村をなくした。
 それ以来、彼が親父と呼んだのはただ一人であり、それ以外に肉親と呼べる者はいない。
 長きにわたり戦場を歩いた。
 親父と一緒に。
 彼にとって、戦場は懐かしい場所であるのだ。
 たとえどんなに惨劇の中心でも。
 
 親父が死に、彼の手に銃が残った。
 彼の相棒は、物言わぬこの人殺しの道具だけだった。
 
 戦場で名をあげたことはいくらでもある。
 彼は自ら名乗りを上げたことはないが、彼を見たものは、全員がこう呼んだ。
 迅雷と。
 
 「今、軍が動いた。一隊だな。」
 陣形を観ればそれが分かる。
 「ジィさん知ってるかい?
 サムライってのは、たしかにつえぇ。
 サムライはあくまでも一個としてのサムライさ。
 軍には出来ねぇもんなんだよ。」
 おもしろくもなさそうに、彼がつぶやく。
 「おそれを知らない奴は死ぬだけさ。
 そしてサムライって奴はそれだけ、殺しやすい。
 金剛機とかとは違うよ。」
 
 前の方で不思議と響く声が聞こえる。
 「大将は誰だ?」
 
 「言って出てくるようなら、ほんとのバカだろうぜ。
 得体の知れねぇやつに正々堂々かかってくる奴が、住民を皆殺しにしろなんて命令受けるわけねぇ。
 くるなら・・・。」
 眼を細める。
 「つぶすだけだけどな。」
1998年12月11日:00時47分43秒
陽炎 / ジョーカー
 まさに戦端が開かれ二三の首が飛び、十数人の男達が珠に倒れた時だった。
 
 風が吹いた。
 
 攻め寄せる軍勢の真っ向から埃を含んだ風が吹き寄せ、サムライや騎馬武者達、珠兵そして歩兵達の顔を叩いた。
 それはほんの一刹那の間。それこそ僅かに瞬きを一度する程度の短い間だったが彼らの目を閉じさせた。
 そして開いた目に映るのは一人の男だった。この殺気立った雰囲気の中で
 身に寸鉄帯びないこの男は異彩を放っていた。
 
 一瞬の硬直を経て斬り掛かる襲撃者達。それが変わっていようがなんだろうが
 味方でない者は敵。ならばそれは殺してもよいのだ。彼らの思考は単純で率直だ。
 だがその思惑は思うままには成されなかった。
 
 振り下ろされた刀は空を切った。馬上から突き出された槍は大地を穿った。
 眉間を射抜かんと放たれた珠は遠く背後の家屋に穴を空けた。ただそれだけだった。
 
 刀を、槍を、銃を手にした者達は夢想したに違いない。血を噴いて倒れるその男を。
 避ける素振りも見せず凶器に身を晒したのだ。そうなるのが当然の筈だった。
 だが事実がそれを否定する。男は何事も無かったように歩き続ける。
 まるで彼らが斬り掛かったのが幻や陽炎であったかのように。
 
 「大将はどこだ?」
 
 喧噪の中で男の声は不思議とよく響いた。
1998年12月09日:10時59分13秒
悪夢来れり / 夜光
  それは恐れるべきものだった。
  それは人の手になるものとは信じられないものだった。
  闇を、悪夢をその身に宿している。
  戦乱に惹かれ、戦乱を糧とする。
  かつての南雲の魔物を作り出したもの。そのもの。
  『修羅刀』それがかの刀を表す言葉。それ以上の言葉は必要
 無い。その名にふさわしくないものではないのだから。
  だが、何故今なのだ?何故今ここなのだ?
 
 (僕は何をしているんだろう)
  少年は自分の心に問い掛ける。
 
 殺せ....奪え.....滅ぼせ....
 
  そんな意志がどこからか伝わってくる。
 (ああ、そうだ、これを父様に届けなきゃいけないんだ....)
  うつろな瞳にうつるのはうつろな夢だけ。
  その体は生きてはいない。
  そう生かされている。
  修羅刀によって。
  彼の名もかつてはあったのかもしれない。
  けれどもそれは意味を持たない。
  命を持たぬ修羅刀の操り人形。
  それが今の彼だった。
  そして『彼ら』はみつける
 「あそこにいけば誰かに連絡がとれる....」
  あそこにいけば多くの心を貯えられる
  
  それは次第に街に近づいていた。
 
 修羅刀とそのおまけ(爆)より 亜矢たちへ
1998年12月09日:10時21分25秒
攻め寄せる軍勢 / 夜光
  それは街を攻めるには十分すぎる軍勢であった。
  普通であるならば駐屯し拠点とすることのできる街をそう簡単に手放すことはない。
  多少頭のきれる人間が指揮をとっているならばなおさらのこと。
  だが、その軍勢は街を占領しに来たのではない。
  街を破壊しに。死と嘆きと絶望と炎を街に満たそうとやってきたのだ。
 「こ、この街は俺達が守るんだ!」
  威勢の良い声が聞こえる。だがその手は震えていて足元もおぼつかない。
 「嘘だ、こんなの信じられるかよ!」
  男達は恐怖に飲み込まれている。
  迫り来る騎馬に。空を駆けるサムライに彼方から狙い撃ちされる銃声に。
  数倍する数の軍勢。逃げたところで誰もそれを攻めはすまい。それは人と
 して当然の選択でもあるから。
  だれしも自分の命は惜しいものだ。
  だが、彼らは逃げなかった。いや逃げることができるなど誰も信じなかっ
 た。だからこそ、剣を槍をもって戦いに望む。少しでも長く愛するものたち
 が生きてくれることを祈って。
  だが、その程度の覚悟では目の前の現実は破れない。
 「騎兵隊はこのまま街の中心を押さえろ!歩兵隊は封鎖を開始。珠兵隊は『各
 自の判断』で援護!!。サムライ衆.....遊んできやがれ!!!」
  大音声が響く。同時に街を守備していた兵の一人が首を跳ねられる。
 「いつまでものうのうとくらせると思ってたあまちゃんどもがぁぁぁ!」
  高空からの死の雨が降る。
  こうして、後に悪夢と呼ばれる戦争の本当の開幕を告げる鐘は鳴り響いたの
 である。
 
 軍勢より 迎え撃つ方々へ
1998年12月08日:21時35分35秒
戦を先駆ける嵐 / Dr.李
 それは、銃と呼ぶには異形だった。
 長さは持ち手の背丈のゆうに2倍。
 口径は、普通の銃の3倍。
 銃口からは、螺旋の刻み。
 普通のモノより遥かに大きく、遥かに無骨だった。
 
 「こいつは特別製でね、じぃさん。」
 淡々と言いながら、屋根の上に陣取る。
 「普段は2つに分割しておける。
 しかもそれぞれ別の銃としてだ。
 だが一つにまとめてしまえば・・・並のヨロイなら一撃さ。
 もっとも、一撃でしとめれなかったことがないわけじゃない。
 いいヨロイにいいヨロイ乗りが乗っていればそれだけ難しい。」
 そう言いつつ、屋根にねっころがって空を見る。
 「大軍を迎え撃つには不適切な武器だよ。
 だから、大将や、軍団長クラスのみをねらうのさ。」
 にっこりと笑う。
 「変なものだろ、俺は昨日まで、誰に対してもなんの感情も抱かなかった、でもな、家族を取り戻したいっていうあの娘の気持ちには答えてやりたいんだ。
 だから・・・。」
 じいさんはここまででいいぜ、そう言おうとした。
 「あっしもね、にぃさんみたいな人嫌いじゃないですぜ。」
 境弦はこう言った。
 「ご心配なく、危なくなったらずらからせて頂やす。」
 
1998年12月08日:20時08分29秒
/ ジョーカー
 朝食も終わり、アゲハと茶を飲みながら炎はふと顔を上げた。
 
 (軍気が近付いてきている……)
 
 大軍と言うほどではないがこの小さな街を蹂躙するには充分な数。
 この街が行軍の進路に当たることは知っていた。確か……鰐裔の軍だったか。
 つい昨日まではどうでもいいことだった。雑兵が幾ら集まろうと
 自分を捕らえることは叶わぬし、そもそも捕らえねばならぬ必要もない。
 街の人間が略奪に会い、あるいは望まぬ死を迎える事があったとしても
 枝葉末節、炎には関わり知らぬ事だった。
 
 (だが、この娘はそれを悲しむのだろう)
 
 それは確信に近い物だった。狼藉を働こうとした男達の死すら厭う彼女の心。
 街の民が例外である筈が無い……
 
 「膳を下げてくる」
 
 ただそうとだけ言い残し、炎は部屋を出ていく。
 暫くするとまた戻ってきた。何事も無かったように。
 
 そして同じ頃。
 打刀も下げずに一人街路を行く炎の姿があった。
 その足は軍気の立ち上る方、今まさに鰐裔の軍が進軍してくる方角に向かっていた。
 
 「さて、あの若僧と爺はどうしているか…?」
 
 僅かに興味深げな光を目に宿し、炎はそんな独白を漏らした。
1998年12月08日:16時43分39秒
亜夜 / tomy
「こっちです」
すがのにそう言いつつ、暁光とおのれの感覚から、修羅刀の来る方に向かう亜夜。 そうする内に、街の端までたどり着く。
そして…

tomy:夜光さん、状況説明はお任せしました(爆)
1998年12月04日:02時48分01秒
亜夜、すがのの返事を聞く / tomy
「そうさねぇ。じゃぁ、あんたにつきあうことにするよ。」
「一応、まだ前金はもらってないけれど、私を雇うって話は継続中だからねぇ。
 あとは、あんたが金を出すか出さないか、さ。」

「…そう、ですか。わかりました。前金、お支払いします」
ためらいながら答える亜夜。修羅刀との戦いに他人を巻き込む事には、あまり気が進まなかった。だから珠を渡しながら、続けて言った。
「戦いに必要ですし、珠を10個預けます。余りは返してもらわなくて構いません」
破格の報酬と言える。それも真面目に戦わない方が珠を節約でき儲かるのだ。言外に『無理に戦わなくて良い』と言っているようなものであった。
「…では、行きましょう、すがのさん。迅雷さん、境玄さん、行って参ります」

亜夜から、すがの、迅雷、境玄へ
1998年12月01日:22時43分06秒
すがの(代理) / Dr.李
 彼女は悩んでいた。
 何を?
 これからのことを。
 である。
 
 昨日からの出来事は彼女の予測を遥かに越えたものだった。
 迅雷は、誘いに乗らないし、カモはネギを背負ったままどこかにいってしまいそうだった。
 怪しいじじぃは、迅雷についていくと言った。
 
 だったら?
 
 「そうさねぇ。じゃぁ、あんたにつきあうことにするよ。」
 そう言って、席を立つ。
 「一応、まだ前金はもらってないけれど、私を雇うって話は継続中だからねぇ。
 あとは、あんたが金を出すか出さないか、さ。」
 
 言ってることは傭兵にありがちだが、
 心の底では、亜夜が死んだら背中の刀をちょうだいしてずらかろうというのは、
 彼女の考えそうなことであろう。
1998年11月03日:02時07分20秒
亜夜 / tomy
「あなたは本当にいい人なんですね。でも…、馬鹿です、あなたも」
泣きそうな、でも穏やかな表情で亜夜が迅雷に言う。

「私の用時はできる限り早く済ませます。ですから…、なるべく無理はしないで下さい」
それこそ無理だと言う事は亜夜にもわかっていた。でも言わずにはいられなかった。
「一緒にお酒を飲みましょう、…必ず」

「…あなたがたはどうされますか?」
すがのと境玄に向かって問う。
「あたしは旦那にもう少しおつき合いしますぜ」
境玄はそう答えた。そしてすがのは…

亜夜、すがのの答を待つ

tomy:枕さ〜ん。すがのの回答よろしくお願いします〜。
1998年11月02日:16時30分41秒
燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らず / 夜光
  研ぎ澄まされた一撃。
 「無駄!!」
  金剛機の放つ一撃を無駄と言い放ち受ける。逆手が血飛沫をとばす。腕一本犠牲に
 金剛機の一撃を受けきる。
 「気合いがたりねぇよ......お前!!!!!」
  大音声とともに両の刀を振り下ろす。陰陽の二刀は深々と金剛機に突き刺さる。だが、
 同時に捨て身の一撃はそれにふさわしい代償を彼に与える。その腕に受けた一撃が更
 に彼の体にめり込む。逃れられない傷。
  「……来臨、急急如律令!」
  初めて聞く金剛機の声。そして感じる念。
  乱糸の背に恐怖が走る。いや、この感覚は死に神の笑い声ににている。
  体内で実体化する式。だがそれは実体化すると同時に彼の体をむしばむ。
 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
  絶叫がほとばしる。最後の力をこめて背中の翼をはためかせる。その翼も顕現
 した式にむしばまれている。
 「俺の翼を奪うのか!、俺の翼を.....ならお前も翼を失え!!!」
  一刀。陽刀を引き抜きその背の翼を切り裂く。その逆の腕は傷つきながらも金
 剛機をはなさない。
  そして彼は.....大地の鎖にその身をとらわれる。翼を失った鳥の宿命故に。
 
 彼 VS 鳳堂 乱糸
1998年11月01日:22時26分16秒
鳳たちの舞 / Ray
(……来るか!)
 防御を棄ててまで、ただ一撃に賭けるサムライが“彼”に迫る。裂帛の気合と共に。
「ここはとおせないんだよ!」
 並々ならぬ決意と気勢。護るべきものを持った漢の姿。
(だが……僕にも譲れない理由はある)
 もう一人のサムライが“彼女”の方へと向かうのが判る。それを止める為にも、ここで手間取る事は出来ない。
 相手と同じくただ一撃の真っ向勝負……共に空を翔ける術を持つ以上、限られた時間の中、採り得る手段は他に無い。
 勝算はある。先制の一撃にて全てを決する……その為の秘策が。
 
 世界が色を失い……それと共に時の流れは緩やかな物へと変化する。
 いわゆる『高速機動状態』に移った“彼”の主観は、圧倒的に増大する情報量の処理過程をその様に捉えていた。
 熱く、と同時に冷たく研ぎ澄まされた感覚は、周囲の状況とサムライの動きの全てを把握し、それに対処してゆく。
 そして“彼”は、双の刃の太刀筋の微妙な差から、相手の目論見すら看破してのけた。
(腕一本を犠牲にして、残る本命を叩き込む……完全に捨身で来るか!)
 相手を殺す事への躊躇。さながら夢の中に在ったヨロイ乗りの頃にはついぞ覚えの無かった感情が、意識下で軋みを上げる。
 もはや躊躇する暇は無い。だが識域下の軋みは、その一撃を僅かに、だが確実に鈍らせる事となる。
 それがもたらす諸々の結果も知らぬまま、“彼”の一撃は確実にサムライを捉えていた。
 そして……。
 「……来臨、急急如律令!
 
“彼”VS 鳳堂 乱糸
1998年10月28日:12時08分46秒
翔昇鳳(かけのぼるおおとり) / 夜光
  背の翼に風を乗せる。
  両側に広がる見事な紅の翼はまさに鳳凰を思わせる。
  その手に握られる二振りの刀。陰陽刀が陽光を跳ね返しその姿をあたりに示す。
 「あいつを今おこでやらせるわけにはいかねぇんだよ」
  その言葉が、その思いが彼の力を倍加させる。ぎりぎりの間合いしかなかったも
 のを間に合わせる。相手が警戒するくらいには。
  重力の法則に従い下降していた相手が空中にとどまる。その姿は巧妙に折り重
 なった木々に隠されていたが、乱糸の知覚を妨げるほどではない。その姿を見る事
 もできる。隠された腕に仕込まれた翼による滑空と停止。それは一瞥しただけでわ
 かった。
 「小細工無用」
  姿勢を多少直すと舞い降りる相手に向かう。加速は未だ衰えず、質量も十分。剣の
 腕前も並ではなく。その手にしたる刀も生なかのものではない。
  一撃にかける。この一撃が無意味に終わればその後はわからなくなる。少なくとも
 彼には理由がある。仲間を守るという理由が、だからここは引くわけにはいかないのだ。
  裂帛の気合いとともに今、鳳(おおとり)が空に向かう。
 「ここはとおせないんだよ!」
  その声は誰に届いたか。
 
 
 ”彼”VS 鳳堂乱糸
1998年10月25日:23時53分47秒
そして“死”は舞い降りる / Ray
 随分とご無沙汰でした。時間的にはかなり遡ってしまいますが、ご容赦の程を……。
 
 
 翔ける――空を翔ける――。霧状の式にて視界を閉ざし、木立の上を翔ける。
 二人のサムライを足止めし、未だ名も知らぬ女性――傀儡――を助ける。それこそが“彼”が己に課した使命。
 だが、“彼”の足下で急速に霧は晴れようとしていた。気体化している式自体が破壊されたのだ。
 “彼”が期待していたより随分と反応が早い。
(この手の闘いに余程慣れている、と言う事か……)
 緋翼と呼ばれていた今一人のサムライは、“彼”の放った朽木に気を取られていた。
 不意を突けるかも知れない状況ではある――だが。
(もう一人の相手の状況判断が早い。こちらに引き付けられず、“彼女”が狙われたら……護り切れない。ならば……)
 一瞬の思考――そして行動。
 ぶぁさっ!!!
 音を立てて“彼”の背が膨れ上がり、弾ける様に開くと、起動した“副椀”が姿を現す――風を孕み、風を掴む異形の“翼”が。
 骨格自体が軋み声を上げつつ、その姿態を変えゆく。
 手近な大枝を蹴り折り行き足を止めると、降り注ぐ枝葉を遮蔽として舞い降りる――彼を待つ闘いの場へと。
 
 “彼”vs鳳堂 乱糸
1998年10月25日:05時12分56秒
放浪者・迅雷 / Dr.李
 「俺はとめたぜ?」
 迅雷が苦笑いを浮かべる。
 「修羅刀ってのと戦うつったって、普通の刀じゃねえんだろ。
 悪いが、俺はつきあってらんねぇ。」
 そういって腰を上げる。
 「だが、家族を取り戻すために戦うってところは気に入ったぜ。
 どこまでできるかわからねえが、時間を稼いでやるよ。
 いいかい、時間はあまりねぇ。
 俺も、あんたもな。
 もし、お互い命があったら・・・。」
 帽子を刷り上げ、亜夜に笑いかける。
 「いっしょに酒でも飲もう。」
 
 迅雷
 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 はーい、軍隊足止めに行きます。
 命かけてます。
 死ぬ可能性大(笑)
1998年10月19日:12時03分40秒
捨丸 / 捨丸
「捨丸様。まだあなた様がでていかれる場面ではございません。これはまだ戦と呼べるものではございませんから」
「あなたはこちら側の切り札の一枚です。効果的に出陣してもらわねばなりません」
「それまでは、我らにお任せを....」

「わっ、わかりました。それでは僕はそれまで暗堵丸のそばで待機しています。」
そう言って物見の塔を降りようとした捨丸だったが、ふと立ち止まり越影に問う。
「あのっ、あれは何でしょうか?」
地平の果てにぼんやり見える影…、それは緋翼の骸とそれに突き立った修羅刀を、未だ運び続ける式の姿だった。

捨丸から越影へ
1998年10月17日:17時15分07秒
アレス / MARS
 「ん………んん………」
 アレスが目を覚ますと、さわやかな緑の香りが辺りを漂い朝露の冷気に包まれていた。
 「こ………ここは………」
 顔を上げ辺りを見渡せば少女と話した森であった……
 「……………寝て………たのか……」
 ぞくりとアレスの背筋に得体の知れない恐怖が這い上がってくる。
 「何………何なんだ………」
 アレスは我知らず、その恐怖の元へ駆け出していた……
 森を抜け……街へと……
1998年10月14日:12時45分02秒
亜夜 / tomy
「力なんかじゃありません。私の望みは。それに…、『得られなくても失われることがない』のでもありません」
ここまで言うと伏せていた目を、まっすぐ迅雷に向ける。

「今、やっと気付きました。私はもう失っているんだって事に。取り戻したいと思ってることに。…家族を」
自分の口で認めた瞬間、亜夜の目から涙が溢れる。

「…私、馬鹿ですね。今までこんな簡単なことに気付かなかったなんて」
言いながら亜夜は生まれて初めて笑みを浮かべる。…引きつったような自嘲の笑みを。

「相談にのっていただいてありがとうございます。みなさんは逃げて下さい。私は戦います。妹を取り戻すために、修羅刀と。
 もし今駄目なら百年待っても多分同じ、そんな気がするんです」
亜夜から迅雷をはじめとする宿の人達へ

tomy:“制止は推奨”ということで、亜夜は残ることになりました(爆)。これからアクション難しくなりそうだけど(自爆)。
1998年10月11日:23時33分20秒
放浪者・迅雷 / Dr.李
「…わからない。
 …逃げたら得られないものがあり、戦えば失うかも知れないものがある。どちらも大切なもの、多分、命より。あなた達なら、どうしますか?」
 
 「今はそんなことで悩んでる時じゃねえんだが・・・。」
 だが迅雷は、亜夜の眼を観てしまった。
 本当の迷い、それも恐ろしく大切なものに対する迷い。
 「・・・・俺の親父が言ってた言葉にな。
 ”身にすぎた力は持つもんじゃねぇ”
 ってのがあるんだ。
 聞いたときにゃぁ、なんのことかよくわかんなかったんだがな。
 最近分かるようになった。」
 そう言って、宿の中に入り、どかっと腰を下ろす。
 「いいかい、亜夜さん。
 人間ってのは弱い生き物なんだ。
 ちょっとした事でも死んじまうし、強い武器をもったら、その武器の力を自分の力と混同しちまう。
 そんで結局武器の力に振り回されたり、自分を見失って自滅しちまう事も珍しくねぇんだ。」
 自嘲気味に苦笑いを浮かべる。
 「亜夜さん・・・あんたの悩みってのがとてつもなく重いもんだってのは、分かるぜ。
 でもな、あんたの言う得られるものってのは、あんたに扱えるものなのか?
 あんたが失うかもしれないって言ってるものは、自分の命以上の者なんだろう。そう言うものを失いたいと思ってるのか?
 違うだろう?
 いいかい、得られなくても失われることがないなら逃げればいいんだ。
 いつかまた、それを得る時は必ず来る。
 あきらめなけりゃな。
 だが・・・・・戦って、失ってしまえば取り返しがつかねぇんだ。
 これが俺の答えだよ、亜夜さん。」
 そう言って眼を隠すように帽子を目深にかぶり、うでを組んだ。
 
1998年10月11日:02時37分23秒
玄業 / 月夢
 遠くから迫り来る人の群、玄業が舌打ちする。
「聞いていないぞ、鰐裔の軍だと」
 亜夜たちとの接触をめいじられはしたがその際にこのことについては説明を受けなかった。
「早すぎる………このことに気づかなかったとでも言うのか?あの連中が?」
 それはあり得ない、その気になれば彼らに見えないものが存在するのか怪しいようなものたちなのだ。
「自分で何とかしろということか?それともこれも計算のうちとでも」
 あたりはすでにざわつき始めている、確かにこれなら偶然を装って接触を取る機会は増えたかもしれない。だがそれにしても危険度が高すぎる。
「ちっ……所詮駒の安否など気にはしないか」
 苦々しげに呟くと玄業は式札の準備をする。
「まず身の安全の確保ぐらいはさせてもらうぞ、それぐらいの権利はあるだろう」
 
  
 ということで玄業は適当に混乱になって偶然を装って接触できるまで待機してます。
1998年10月11日:00時42分58秒
奈菜 / 月夢
 女中がとんとんと軽快に階段を上り一つの部屋の前に立ち止まる。
「奈菜さん、入りますよ」
 返事を待たずに女中が扉を開く。一瞬ぞくっとするような寒気が走る扉ただ一つで遮ったそこだけ空気が変化する。
「なんだい?」
 壁に背をもたれかけ、肩口に七尺刀を乗せている奈菜が顔をあげる。ぎらぎらした鋭い目、少なくとも目は死んでいない、むしろあのときよりも鋭い。
「なんだいじゃないですけどね………空気こもっていますよ」
 その奈菜の目の前を素通りして窓を開く、大の男でも避けそうな奈菜の様子に微塵のおびえも感じていない。
「あいつら………なにものだい?」
 奈菜に背を向けている女中の方を向かずに奈菜が尋ねる。
「怨麗……もと南雲の姫にして現在鰐裔を動かしている人間の一人です」
 よどみなく女中が答える。
「本業は陰陽師とのことですが色々謎の多い方ですね……ただ言えることはもし斬りたかったら鰐裔の城に乗り込むしか有りません」
「男の方は?」
「あちらはもっと謎ですね、たしか蛛王と呼ばれていましたが、数年前に壊滅したとある傭兵団の長がそんな名前だったはずです」
「壊滅?」
「率いていた人間が死んだとかで壊滅したそうですよ」
 つまりは蛛王が死んでいるという噂があることを指し示している。
「生きてるぞ」
「同一人物かどうかはわかりませんから、ただ同名で一番有名な人間だというだけです」
「そうか………」
「現在はどこにいるかもわかりませんよ」
 聞かれる前に女中が答えると奈菜が無言で立ち上がる。
「いいさ、少なくとも片方は居場所が分かってるんだ」
「なにする気です?」
「なめられっぱなしっていうのはあたしの性に合わなくてね」
「無駄ですよ、一人で城が落とせるなら南雲だって苦労しませんよ」
 そっと奈菜の腕をつかんで女中が諫める。
「城落とすんじゃない、一人斬るだけだ」
「そこまでたどり着くには千の屍を積み上げてもまだ足りませんよ」
「試してみるさ、駄目なら万の屍積み上げてやるさ」
 奈菜が腕をふりほどこうとするが女中は放さない。
「無理ですよ、ただの雑兵だけじゃないんですよ、サムライもいればヨロイもある、金剛機だって準備があるはずなんですよ」
「全部斬る」
「落ち着きなさいって」
 両腕で奈菜の腕をしっかり抱きかかえて女中が奈菜の歩みを止める。
「一人で斬れる数なんてたかがしれていますよ、権力も兵力も力であることには変わりないんですから」
「それでも不可能じゃないだろ?現に怨麗ってやつは権力と兵力の壁があっても南雲を追われてるじゃないか?」
「あれは……不可抗力ですよ、おとしたほうが……」
 言いかけて女中が口をつぐむ。
「落とした方が?」
 先を促すと女中が困った顔をする。
「なんだったんだ?」
「………人外だったんですよ」
 女中がため息をついて答える。
「南雲陥落の昔話は知っているでしょう?あれに出ている南雲の美しき剣鬼は実際の人物ですよ、そして実際の南雲の元領主の首を取ったのも彼女です」
「鬼か?」
「さて、詳しいことは何とも言えません、なにぶん古い話ですからね」
「でもそいつが何者であってもやったことは事実なんだろ?」
「個人の力ではありませんよ、組織と周到な作戦と………そして一本の刀があったからです」
「刀?」
「そう、修羅刀と呼ばれる刀です」
「修羅刀?」
「そう、聞きたいですか?」
 女中が奈菜の腕を放すとにっこり微笑む、奈菜は逡巡するが好奇心が勝ったかもとの位置に座り直す。
「ではお話ししますわね、南雲の昔話を………」
 
 
 ちょっと奈菜の現在状況をまとめるために書いています、現在奈菜は宿屋の2階にいる状況です。
1998年10月07日:18時54分46秒
亜夜 / tomy
「かなりやべぇ、この街からとっととずらかろうぜ。」

「主を伴わぬ刃が近付きつつある」
「備えよ」

「…わからない」
迷いをあらわにつぶやく亜夜。
逃げるべきか戦うべきか、亜夜にはわらなかった。
今が修羅刀から沙夜を取り戻す機会であるのは間違いない。だが、もし修羅刀に取り込まれてしまったら、…今度は自分が沙夜達を殺してしまう事になるかも知れない。

亜夜には選べなかった。だから問うた。
「…逃げたら得られないものがあり、戦えば失うかも知れないものがある。どちらも大切なもの、多分、命より。あなた達なら、どうしますか?」

亜夜から宿の人達へ
1998年10月05日:14時20分45秒
「老」 / 夜光
  一通の書簡が届く。
 「至急、急使をを用立てい」
  老の声ががらんとした部屋のうちに響く。
 「は」
  その老の命を予期していたかの如く男が動く。男が部屋をでていくのを見送ると、
 老は腰にたばさんでいた筆を抜き放ち中空に文字を描く。
 「天意光臨」
  急激な紗の集中による爆音が鳴り、老の目の前に異形のけれどもそれ故の美しさ
 をまとうものが現れる。式と呼び慣わされるもの。陰陽術を用いるものが使う芸術
 品にして道具。
 「サムライ隊に知らせよ。動いたとな」
  その言葉と同時にそれは外へ飛び出す。異形の姿を誇らしげに大空へと飛ぶ。
 「予期していたより早い。さて、砦は間に合うかの」
  そういうわりには老の顔は明るい。まるでいたずらの種をみつけた子供のように。
 「老兵はなかなかしなんものじゃよ」
 
  
1998年10月05日:14時11分21秒
「越影」 / 夜光
 「捨丸様。まだあなた様がでていかれる場面ではございません。これはまだ戦と呼べるものではございませんから」
  そう言いながら笑う越影の姿はどこか子供っぽく。優しげでさえある。
 「あなたはこちら側の切り札の一枚です。効果的に出陣してもらわねばなりません」
  その瞳にかげりのようなものが浮かぶ。それは迷いか?
 「それまでは、我らにお任せを....」
 
  物見塔にて 越影 より 捨丸へ
1998年10月04日:03時02分46秒
琴音 / 月夢
「鰐裔の軍が?」
「はい、亜夜殿が滞在していた街へ侵攻をかけました………故意だとは思えませんが、あまりにも時期が悪いですな」
 その報告を聞いて琴音が珍しく感情を露わにすると舌打ちする。
「くっ、余計な手間を……それで亜夜さんはいまどこに?」
「最後に報告があったときはまだ町中でしたが」
 琴音と亜夜の間に距離がある分どうしても報告には時間のずれが生じてしまう。
「一刻前の情報ですら当てにならないと思われますので何とも、ただまだ様子を見ていますので見失うことはないかと」
 わかっていたことを改めて聞かされると琴音は唇を噛みしめる。
「いかがなされますか?」
「…………」
 即座に返答ができない、ほうって置いても手元に収まると思っていた駒の1つが予想外のことで手元から滑り落ちそうになっているのだ。
「ご友人が心配でしたらご自分で行かれますか?」
「友人?」
「違うのですか?」
 重ねて聞かれて琴音がふっと、ほんの一瞬だけ迷うような表情を浮かべる。
「友、というには打算の入りすぎた関係ですね………もっともだからこそ彼女を無事に保護する必要があるのですが」
 その言葉を口にしたとき琴音はいつもの表情へと戻る。
「少し早いですが彼女を呼び寄せましょう、亜夜さんと接触を取ってください、私の名前と書状をもってこの南雲までの道案内をお願いします」
「あなたは?」
「私はこの地から離れるわけにはいきません」
 迷いのない返事。
「老の元にはどうせ報が入っているのでしょう、遠からず兵が派遣されるはずです私がそのことに口を出す筋ではありません、必要なことはそれまでに鰐裔に亜夜さんが抑えられることがないように気をつけてください」
「わかりました」
 一礼をして琴音の前から気配が消える。それを見送ってからしばらくして琴音が呟く。
「友人ですか……そう呼ぶのもおこがましいでしょうね」
 
1998年10月03日:20時56分29秒
暁光 / ジョーカー
 刃の鳴る音と共に“声”が亜夜の頭に響く。
 
 「主を伴わぬ刃が近付きつつある」
 
 告げるのは事実のみ。そして浮かぶ情景は修羅刀を身に突き立てたまま
 巨鳥の背に乗り、空を行く若いサムライの姿。視点はサムライを一周すると
 巨鳥の進行方向へ急速に移動し、やがて街が見え、さらには亜夜達が
 泊まっている宿、屋根に登っている迅雷の姿を映し霞のように消え失せる。
 
 「備えよ」
 
 刃の鳴りは治まらない。激しくはない。
 だが僅かに、微かに。引いては押し寄せる波のように。
1998年10月02日:22時08分33秒
嵐の勇者 / Dr.李
 「すげぇ音だな、その刀。」
 めざしをばりばりと喰いながら、迅雷が聞く。
 「おまけにさっきから、首の裏がちりちりしやがる。
 やべぇことが近づいてきてるってことだな。」
 ずずっと味噌汁をすする。
 
 「どれ、ちょっくらみてくらぁ。」
 そういうと、扉からで、素早く近くの建物の屋根に登った。
 
 今はまだ彼方、鋼鉄の風が近づき来るのがみえる。
 「おいおい、謎の小娘の次は、なんの変哲もない町に攻めてくるごろつきの群かよ。」
 にやりと笑う。
 「でも、この予感はそんなものじゃないよなぁ。
 もっと、こう本質的にやべぇものだ。」
 
 さてどうするか?
 町を占領したいならさせればいい。
 旅の傭兵を目くじら立ててまで追いかけはせんだろうし。
 ・・・・・・・・・・・・・・亜夜か。
 あの娘はまずいよなぁ。
 絶対人の目に止まる。
 目立つ。
 見つかる。
 世間知らずみたいだしなぁ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すがの。
 どこにおいといても生きて帰ってきそうではあるが。
 だからといって任せたの一言じゃ人情にかける。
 境弦のじじいはだいじょうぶだろ。
 少し尋問されて終わりだ。
 
 さてどうする、迅雷?
 
 まだやばいものの正体はわからんし、あの軍隊もやばそうだ。
 こっちの守備兵が動くかどうかはわからんが、期待できんしな。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・逃げよう。
 
 決断は迅速かつ果敢におこなうべしというのが彼の今まで生きてきた教訓であった。
 素早く屋根から降り、宿の中に向かう。
 「かなりやべぇ、この街からとっととずらかろうぜ。」
 
 宿の中の人々へ
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