これは、もともと、Q&Aとして寄せられた質問ですが、少しばかり分量が多くなりますので、それに対する回答も含め、統合的な説明を行ないましょう。
内容は、『ロードス島ワールドガイド』にあるものと、だいぶかぶります。また、「アクレラスト/ロードスにおける」法則であることは、頭においてください。歴史の試験には使わないほうがいいですよ(笑)。
なお、本文に入る前に、第1原則をあげておきます。
「ここに書かれたものは基本であり、国や地方によって例外がある」
いきなり石を投げられそうですが(笑)、こう言うしかありません。たとえば、草原の国ミラルゴでは、ここに書かれたほぼすべてが適用除外になります。
そうしたそれぞれの国の独自性については、各ワールドガイドの記述を参照してください。
それを踏まえてもらった上で、説明していきましょう。
各王国は世襲の王をいただき、それに領土を持って仕える貴族たちによって構成されます。領土を持つ貴族は、領主(ロード)、上級騎士などと呼ばれ、一般に爵位を持っています。爵位は、公候伯子男に大別されます。一般に、最上位の爵位である公爵という名称は王族が用い、王都を除く主要都市とその周辺を領土としています(ゆえに後述しますが、多くは非世襲です)。最下位の男爵位では、一つの砦と村とを納めている程度の者がごろごろしています。
ただし、爵位と領土が完全に一致するとは限りません。戦争で領土を失った者や、名誉としての地位しかない爵位を継承した者、逆に、領土を拡張して爵位から考えられる以上の領土を得ている者などは大勢います。
国王や、それぞれの領主は、騎士を配下としています。領土を持たない騎士は、自分の仕える主君から俸給などを得ています。
領土を支配する領主は、その領土内においては、強い自治権、自決権を持っています。いかに国王といえど、それらの領土をかってに分割したり、他者に与えたりすることはできません。
視点を変えれば、国王とはその国内においてもっとも勢力の強い貴族であるとみなしてもよいほどです。
基本的に、それぞれの家系において、次のようなツリーが形成されています。
| 爵位を持つ当主 | ――より低い爵位を持つ後継者(当主となったら、当主の爵位を後継し、自らのものは、さらにその後継に) | |
|---|---|---|
| ――より低い爵位か騎士位を持つその他の兄弟 | ||
| ――より低い爵位か騎士位を持つ当主の兄弟 | ||
| ――より低い爵位か騎士位を持つ、甥(+姪)たち | ||
| ――より低い爵位か騎士位を持って仕える傍系/家臣団 | ||
なお、これはかなり大きな家系の例で
男爵――後継者(騎士あるいは見習い)
で、終わってしまっている、へっぽこ(笑)もありえます。
このツリーは家系ごとに独立しています。ツリーの頂上に国王がいて、ピラミッドを形成しているわけではありません。
日本人なら、江戸時代の幕藩制を想像してもらうのがよいかもしれません。
ゆえに、家柄、領土などによって、その家系での騎士の数は上下します。名家であれば、当主のみならず、一族の多くが騎士位を得ますが、下級騎士では当主のみということは十分にありえます。
一族が伝える「より低い爵位」は、一族の領土から抜き出す形で選ばれます。たとえば、大阪府伯爵の一族に茨木市子爵がいて、さらに中穂積男爵がいるという感じです。どんどん分家して領土が狭くなっていくのを防ぐため、これは1代限りです。また、大阪府伯爵領における大阪市のような大事な場所は、直轄されるか、せいぜい、当主後継者が子爵となるという形で保存されます。
……まれに分家して新しい家系も誕生するんですが(笑)。このへん、人間関係のどろどろも影響しますので、万事システマチックにはいかないものです。
このことからわかるように、爵位は世襲されるとは限りません。今の例なら、大阪府伯爵位は世襲ですが、中穂積男爵位は、一族の誰がなるのかは当主の考え(あるいは、政争)しだいです。王族がつく公爵位は非世襲となる理由がこれです。
なお、当主後継者は、長男が基本ですが、状況(当人の能力や政争の結果)しだいでは、弟(まれに姉妹)や、あるいは、当主の弟などが継ぐケースも多々あります。
※参考例
「混沌の夜明け」シリーズと「赤い鎧」シリーズに登場するギューゼルバーン家の場合、
カイリル――エイク
――弟(氏名不祥)――ポール
というツリーなんですが、エイクが混沌の地に行ったきりで(笑)、結局、ポールが当主の座を(カイリルから直接)継いだという設定になっています。
……あっと、まだ正式は継いでないんだった。エイクが帰ってくるという望みを捨てきれてないのな、一族は。
誰を騎士として認めるか、それは国王または領主の裁量です。基本的には、騎士/貴族の家系の男子でなければ認められません。ただし、国によっては女性の叙勲も行なわれます。女性の叙勲が認められていない場合、家系の存続のためには養子などの手段に頼らざるを得ません。
騎士/貴族の家系以外からの騎士叙勲が、その功績(や国王、領主への心証)によって行なわれることもあります。「バブリーズ」のアーチー、「混沌の夜明け」のプライアなどがそれに該当します。こうした特別な叙勲は、1代限りで、領土や爵位が継承されることはないのが通常です(領土を他者に分割すれば、それだけ自分の勢力を弱めるのですから)。
しかし、本当に大きな功績を挙げたときなど、継承権も伴って騎士/貴族位が与えられる可能性もゼロではありません。特に、戦争で勝ったときには、新たな土地が手に入るわけですし。
叙勲は比較的若い時期にも行なわれます。15〜17歳はありふれているとは言わないものの、決して珍しいものではありません。
たとえば、「ロードス島伝説」のファーンの場合、父親の引退によって、当主となりました。若くとも、その家を背負って立つ以上は、騎士位(あるいは爵位)を持っていなければならない、この理由で17歳のときには叙勲しています。
一般に、王国軍隊は次のような構成を取ります。
騎士団
――近衛騎士隊
――正騎士団
――騎士隊
正規兵隊
民兵隊
傭兵隊
騎士団は、騎士団長(将軍)によって統率されます。規模によっては、いくつかに分割され、それぞれが将軍位を得ます。
この騎士団こそが、戦争の花形です。一般に、後に述べる正規兵隊、民兵隊などは、直接戦闘にはあまり参加しません。傭兵隊は、積極的に戦闘参加しますが、これに高い地位や目的を与える国家はまれです。
騎士団は、さらに騎士隊に分割され、それぞれ上級騎士である騎士隊長によって統率されます。一騎士隊の規模は百騎程度です。下級騎士が能力によって騎士隊長に登用されるときは、同時に、より広い封土を与えられ、上級騎士に任じられるのがふつうです。騎士隊の構成は政争に関する人間の思惑によって定められ、公爵など、きわめて地位の高いものは、直属の騎士だけで騎士隊を構成していますが、そうでないものだと、わざわざ近親のものを分割して配分したりもし、かなり流動的です。戦争において大戦力を投入する必要があり、かつ、将軍が指揮を執れない場合には、投入された騎士隊の隊長の中から臨時の将軍が選ばれます。
騎士団の中で、近衛騎士隊は国王の直属の配下たちです。家柄や能力、また、国王からの信任の厚さによって、騎士団の中から登用されます。近衛騎士位を練綿と世襲している名門も少なくありません。規模は百騎から二百騎程度です。
近衛騎士隊は、国王の直属であるために、騎士団長の配下にはありますが、直接の命令を受けることはありません。統轄するのは近衛騎士隊長です。
正規兵隊は、騎士とともに戦う歩兵の集団で、人数的には騎士団の数倍に達します。兵士たちは、それぞれの領主(騎士)に仕える者たちで、その騎士の配下として軍に参加します。騎士がそれぞれの騎士隊に配属された後、その騎士隊に従う数百人規模の大部隊を構成することになります。これは、すべて騎士隊長の命令に従います。直属の騎士が、戦闘に関して彼らに命令を下すのは危急の場合に限られます。
戦争において、兵士はそのすべてが直接戦闘要員となるわけではありません。戦いは騎士の見せ場であり、その突撃を防ぐための歩兵槍要員や弓兵隊を除けば、多くが兵站に従事します。
民兵隊は、一般市民の中から有事において徴用される兵士です。ふだんは、自分の仕事を持ち、それに従事しています(正規兵が公務員である消防士、民兵は地域の消防団と考えればいいでしょう)。
こうした民兵の徴用もまた領主が行ないます。戦いにおいては、正規兵隊と同様の扱われかたとなります。
傭兵隊は、金で雇われる兵隊で、人数の不備を補うために使われます。戦争においては、あまり重きを置かれる戦力ではなく、主力である騎士や正規兵を温存し、細かな仕事を行なわせるために使う国家や騎士が多いようです。
このほかに国家によっては、特別な戦力を持つことがあります。ヴァリス(呪われた島)の神官戦士団などが有名です。
騎士の人数は、状況によって激変します。平時においては、アラクラストの大国で万を越え(人口の100分の1をごく大ざっぱな目安にしてください)、呪われた島各国で数千というレベルです。
しかし、一度、戦争が起こったなら動員戦力を増強するために、通常とは掛け離れた叙勲が行なわれます。このため、平時の1.5倍〜2倍、ときにはそれを越えて規模はふくれ上がります。
一般に、騎士の家系に生まれ、騎士を目指すものは数年の見習い期間を別の騎士のもとで過ごし、そこで騎士道などを身につけ、ようやく叙勲します。
誰が誰の見習いにつくか。それは、それぞれの騎士/貴族の話し合いによって決定される種類のものです。家系の中で調達することもあれば、人脈を広げることを念頭において、他の貴族に仕えさせる者もいるでしょう。
誉れの高い騎士であれば、複数の見習いを同時に得る可能性も存在します。逆に、そうした名誉に恵まれず、人脈のあてにもされないような騎士では、見習いを乞われることもないでしょう。
上級騎士(領主)は、国政にも参加します。誰がどの役職につくかは、これは政争の結果しだいです。役職が世襲されることはあまりありません。そんな慣例ができたとしたら、そろそろ王権が危ないかもしれません。
どんな役職が存在し、どのような権力を持っているかは、国しだいです。
ただし、いかに、大臣たちがいても、最終的には国王の決定が絶対となります。大臣たちの意向をどこまで無視できるかというのは、これは、国王とそれぞれの貴族の力比べに帰する問題です。