血塗れの十字架
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君は攻撃を避けようとした。しかしできなかった。
ザンッ!
月狩人と名乗る女の微笑みと、剣が放つ光が君の視界をよぎる。
右足の付け根に衝撃を感じた。
君は目を落とし自分の脛から大量の血が吹き出すのを見る。
「うふふ、そうそう簡単には殺さないわよ」
タッ、と軽快な足さばきで君から離れ、女は言った。
よく見ると、女の胸元には小さなロザリオがきらめいていた。
「たくさん血を流してもらわないとね。自分がいつも犯している罪の重さを、それでやっと思い知るでしょうよ」君は彼女の言葉を最後まで聞かずに、きびすを返してまた走り出していた。
傷から流れ出る血ととともに恐怖が――忘れかけていた恐怖が沸き上がってくる。
自分はここで殺されるのか? 化け物になってしまったがばっかりに……。こんな誰もいない路地裏でムーンハンターに殺されて野良犬のような最期を迎えるのか。
「まあ追いかけっこ? いいわね。逃げられるかしら? だって――」
と、後ろから追いかけてくる足音が一瞬消えた。横を何かが通り過ぎたような……風?
彼女は信じられない身のこなしで、君の側面にあった木箱を踏み台にしてキレイに空中で宙返りした。そしてこともなげに君の目の前に着地する。
「――ほぅら。わたし身軽なのよ。あんたよりも数倍ね」
君は足を止めざるを得なかった。相手の顔をじっとみる。どうすべきかゆっくり対策を練りたいところだが、そんな時間彼女はくれないだろう……。
どうする?
「あんた美人なのにどうして月狩人なんか……?」
と聞いてみる。
「俺は殺しても死なないぞ!
殺れるもんならやってみろ!」と逆ギレする。