アリス・ザ・フェアリーワールド
心の本1
|
「だからさー、そんなんじゃないって」 男は、石造りの壁に手をついて、もう片方の手で無造作に髪をかきながらうつむいた。長い栗色の髪が揺れる。 「そんなんじゃないってどういう事?だって、二人で歩いてたじゃない。私には、買物に行くだけだ、ってソルキは言ったくせに」 女性は、目に半分涙を浮かべながら目の前のソルキを睨み付けている。ソルキの話は全く信じていない様子だ。 「ラーナ。信じてくれよ。何だったら、テスティアと話すかい?」 ラーナは首を振った。 「勝手に勘違いして、わがままばかり言うなよ!じゃあ、好きにすればいいだろ」 そう言った時、教会の鐘が鳴った。 「遅れるから、先に行くぞ。ラーナも早く来いよ」 そう言うと、ソルキはさっさと先に行ってしまった。 (こんなんじゃ、授業に出れない・・・) すると、ラーナは、校舎ではなく、大学の門に向かって歩いていった。大学に在籍している生徒の数は、知識の都として名高いホーロッグといっても数百人である。敷地は広いといっても、授業も始まっているし、途中で人に会う事もないだろう。そう思いながら、ラーナは、とぼとぼと歩いていた。 |