アリスの世界では、日々の生活とは、どのようなものでしょうか?
アリスの世界で暮らす人々は大きく分けて三種類の人々がいます。貴族、農民、市民です。
アリスの世界は、封建主義という治世制度で治められた国が数多く存在している世界です。ルウム地方は、国同士の大きな争いはほとんどありません。戦争は、国を荒らし、世界を荒らす行為である事から、イヴァンの子同士の戦争は、イヴァンの神々の神殿は否定しています。また、アリスも戦争などは起こらない様に行動しています。しかし、国境の境や、国を治めている同士でのイザコザは無くなりません。争いは、人の子が持つ因果のようなものですし、全ての争いに関われる程、アリスの数もいなければ、イヴァンの神の神殿も力を持っているわけではないからです。
人が争いを求めるのは、オーガンの血のせいだとふれ回る聖職者も居ますが、多くの聖職者はイヴァンさえもアリスを殺された事からオーガンと争った事から全ての存在は争いに関する因果を持っていると考えています。
国には一人の国王がいて、国を治めています。しかし、たった一人で国を治める事はできませんから、国王は貴族を任命し、自分の国の領土を問題無く治める代わりに、その領土の収穫物を税金として貴族が手に入れる事を認めています。税金の一部は、貴族の手から国に納められます。
貴族には位があり、位が高い貴族ほど、基本的には広い領土を持っており、そして力を持っています。力の持っている貴族は、広い領土を守る為に、自らの領土を位の低い貴族に分け与え、領土を守らせています。力の弱い貴族は、領土から取れる税金の一部を報酬として衛兵を雇うのがせいぜいでしょう。位の低い貴族の中には、騎士として国王に仕える兵士となっている人間もいます。
貴族のほとんどは、領土の中に邸宅を構え、普通の人々と共に生活はしていません。領土内の農民から税金を集金し、同じ貴族同士で普通の農民達が手のでない生活と優雅な暮らしの中で日々を暮らしているのです。しかし、彼らは何もしないで金を得ているわけではなく、領地内の問題を取り仕切り、税金に関して、そして貴族社会で生きる・・・・・・つまり政治を行って生きているのです。貴族の中には、領土内の野盗の存在や収穫物の少なさによる税金の減少などに困っている人々もいます。
農民は、自分達が住んでいる領土を治める領主に対して、住んでいる土地、農作物を耕している土地を借りている代金として収穫物を毎年の収穫物の刈り入れの後に税金として払っています。日の出と共に農作業に出て、日の入りと共に自分達の住んでいる家に帰るという生活を生涯続けるのです。税金を多く払い、土地を買い受け、自由農民となると納める税金も減り、幾ばくか裕福な暮らしもできるようになりますが、ほとんどは質素な暮らしをしています。
街に住んでいる市民は、農作業をしてはいませんが、農民と同じく街に住む為の税金を、街の領主に支払っています。街に住んでいる人間は、全員、何がしかの商売に携わっている事がほとんどです。同じ商売に携わっているものは、『組合(ギルド)』と呼ばれる組織を作り、協力して商売を営んでいます。商売人が多い商売(交易商人など)によっては、同じ街に複数の同じ商売に関わるギルドが存在する場合があり、そこでの対立もあります。
アリス・ザ・フェアリーワールドでは、暦は、一年は360日、一ヶ月は30日、そして一週間は7日間です。一日は24時間で、一時間以内の短い時の単位は、半刻(30分)だけで、1分以下の時間の単位は存在しません。
ルウム地方には四季が存在します。しかし、ルウム地方の南方は、暖かく冬でも雪が降ることは稀です。逆に北のヘルカンナ山脈付近では、冬は雪に覆われ、周囲から隔絶されてしまう地域となります。
人間の寿命は、病気や栄養の問題から50年前後が普通ですが、貴族や誓約者は、それよりも長く生きる事が普通です。特に誓約者は、アリスの力によって100年近く生きる事が普通になっています。普通の人間で100年近く生きるのは本当に稀です。
アリスの世界でもルウム地方での一般的な人の生涯とは以下の様なものです。
ルウム地方では、一般的に子供が生まれると、その子の未来の幸せを願う誕生の祝いを行い、そして両親が子供の名前を名付けます。子供は、両親の仕事を手伝ったり、神殿の神官に勉強を教えてもらったりしながら大きくなります。その過程に於いて、子供達は、成人となった後に自分が生きる糧となる事柄に習熟する努力をします。
15歳となると、子供達は毎年の終わりに、神殿において『審問』と呼ばれる儀式を受けます。これは、イヴァンの神々の神官が、その年に15歳を迎える少年・少女に対して『イヴァンの子』である心を問われる問答です。過去は、魔法の力で行っていたとされるこの『審問』ですが、今では、何らかの特別な魔法や奇跡の品が無い限りは、神官が心の力を使って問うものとなっています。
『審問』において、イヴァンの子の血よりも他の血が強い者は『オーガンの子』もしくは『テリエラの子』と呼ばれます。『審問』において『オーガンの子』か『テリエラの子』であると告白した者と神官によって認定された者は、生涯保護され神官と共に暮らします。これはアリスに対する邪悪な行為をさせない事が目的です。保護は審問を行った神官の責任の下で行われます。
『審問』というのは、人々にとって人生上、最も重要な事柄の一つであり、神官も厳格さを要求されます。(審問を偽る事は、大きな罪です)
過去、子供達が『オーガンの子』や『テリエラの子』であった場合、アリスに対して邪悪な行動を起こさないようにと殺された時代がありました。イヴァンの神々は、オーガンの子やテリエラの子であっても、アリスに対する心が異なるだけで、それ以外に関しては全く変わらないと教えています。
彼らを保護する事は、アリスを守る事と、『オーガンの子』や『テリエラの子』を守る事でもあるのです。一人以上の『オーガンの子』や『テリエラの子』を保護している神官は、『守護官』と呼ばれます。
大きい街であれば、『オーガンの子』と『テリエラの子』が住んでいる地区があります。そこへ住む事を守護官が提案し、共に旅をするという事もあります。しかし、中には『審問』を逃げ出したり、『守護官』から逃げ出す人間も存在します。
この『審問』を終えると、子供は成人として認められ、一人で生活をする事を求められます。多くは、引き続き親と共に暮らしますが、成人として個人としての考え、意見を尊重されるようになります。
そして、村の場合は20歳になるまでには男女は結婚をします。街の場合は、もう少し遅いですが、20代前半には結婚するのが普通です。
結婚に関しては、『お互いを守り、支え、そして生涯暮らしていく』という事で男女が共に生活し、暮らす事とされています。結婚に関しては、お互いが愛し合っているという事は重要な事ですが、『愛とは何か』という事は、とても説明が難しい事であります。
自分が思っている愛と相手の愛が違う場合は、それほど珍しい事ではないからです。ですから、結婚に関しては『お互いを愛する事』では無く、『お互いを守り、支え、そして生涯暮らしていく』事を重要とするべきだとイヴァンの神々の神官は教えています。
浮気に関しては、許されない事とされています。また、離婚も余程の理由が無い限り、認められていません。結婚をした男女の間には子供が生まれ、子供が成人するまでにしつけを教える事は両親の務めです。
おおよそ50歳に近づくと、多くの人間は死を予期します。もちろん、それよりも早い人は居ます。長生きする人は、100歳近くまで生きますが、それはとても稀です。
イヴァンの神々は、人間は死ぬと、魂は、死後の世界である『元界』に行くと教えています。『元界』では、人間、動物、植物の魂が存在し、『最初の方』がいると言われています。
人は、生前の罪の重さによって『元界』の炎に焼かれます。これは、とても苦しい事です。そして、炎によって罪が浄化された後、人は自分が望む存在に生まれ変わる事が出来るとされています。
自分が望む存在とは、人間、動物、植物です。人間の中では、更に『イヴァンの子』、『オーガンの子』、『テリエラの子』を選ぶ事が出来るとされていますが、イヴァンの子は、普通は、そのままイヴァンの子に生まれ変わるのを望みます。アリスと共に生き、世界を癒す事を望むのです。
人間が死ぬと、その遺体は火葬にされます。聖なる炎によって肉体が焼かれる事によって魂が『元界』の元に赴くと信じられています。遺体が焼かれた後、その灰や骨などは壷に入れられ埋められます。そして、墓が立てられるのです。
強い心残りや妄執を残して死んだ場合、聖なる炎に焼かれても魂が『元界』に還らず、この世界に残る事があります。この魂を指して幽霊と呼びます。
アリスの世界は、心の力が強い世界です。人間は心を読む力を持っており、その為に私達とは幾分違う文化を持っています。以下では、ルウム地方の普通の文化に関しての説明をします。
ルウム地方の多くの場所では、『むやみに人の肌に触れる事』は、失礼な事とされています。これは、人の肌に触れる事は、人の心を知ろうとする事に繋がるからです。
イヴァンの神々の神官は、『人の心をむやみに知ろうとしない事』と教えています。また、『むやみに相手に心を伝えろと迫る事』も行わないようにと教えています。
人の心を知りたいと願ってしまうのは、人間の弱さであると言われています。つい、人の心を知ってしまう事もあるでしょう。しかし、『人の心を知った場合、それを他人に漏らす事』は、禁じられています。イヴァンの神々の神官は、他人人の心を知ってしまった時は、『まず、心を読んだその人が、次に全ての人々が幸せに、豊かになるように行動しなさい』と教えています。
また、人を愛するという事は、現在の世界でも難しい事ですが、アリスの世界でも難しい事です。戸惑い、羞恥、疑いなどが関与する事ですから、相手を愛していると言ってもむやみに相互に心を伝えたりはしません。逆にそれができるカップルは本当に幸せなカップルといえるでしょう。アリスの世界では『知ろうとする』か『伝えようとする』かしなければ心は伝わりません。愛しているといってもそれを積極的にするかどうかとは別なのです。
商人は、人の心を知って、それで自らの利益にする事から、卑しい職業とされています。しかし、村に商品を運ぶ交易商人の場合は、自らの肉体を使って様々な場所に商品を送り届けようとする『心を知るだけではない』商売をする事から尊敬されています。
貴族も人の心を知る事で、仕事を行っている人ですが、その権力と能力を己の為にだけ使った場合は人々から嫌われ、領民の事も考えた仕事を行った場合は尊敬されます。貴族は、通常はめったに領民の前に姿をあらわしません。
イヴァンの神々の神官は、人の心を知り、全ての人が幸せに暮らせるようにとイヴァンの神々の言葉を伝え、子供達に勉学を教え、人々の悩みを聞く人達です。イヴァンの神々の神殿は、人々の憩いの場にもなっており、神官の手には負えない状況を他人に頼む場合も多々あります。
一般的な村とは人口がおおよそ数十人から数百人まで幅広く存在します。千人を越えた辺りから街と呼ばれるようになる場合もありますが、その境界は曖昧です。全ての村は、取りまとめ役の村長がいるのがほとんどです。それとは別に、その村がある領地を管轄とする領主(貴族)が存在します。
村では、ほとんどの住人が農業にて生計を立てています。収穫の時期は、一年で一度、秋の時期です。村の男達は、多くの作物を得られるようにレキス神に感謝をしながら、毎朝日の出と共に農作業に出かけます。そして女達は、村で必要とされる仕事(家庭の仕事)を一日中行います。女達はまた、生活で必要となる服や物なども自分達で作ります。子供達も物心ついた時から人手として家での何らかの仕事の手伝いをするのが常識です。昼頃になり、男達は手を休め、女達が作る昼食を食べに戻ります。
村といっても大抵の場合は、石と泥で作られた一階建ての家が所々に立っており、その合間に畑がある場合が多いです。農作業は人間の肉体労働で全て行う為、そんなに広い地域を耕す事は出来ないのです。そして、村の場所によって家が密集している場所があり、広場などがあります。
昼食を食べ終わるとそのまま日の入りまで仕事を続けて家に帰ります。夕食を家族と共に食べると、油も貴重な物なので明かりは早く消して寝ます。雪解けの時期から秋の収穫が終わるまで、この生活が延々繰り返されるのです。森や山に近い村の場合は、狩人が獣を狩って、獲物から取れる油や毛皮、肉などを他の村人と物々交換する事で生計を立てています。
秋の収穫が終わると、取れた収穫のかなりの量を税として領主に納めます。そして、残った収穫物で一年を過ごします。余った収穫物は街に売り捌く商人が買い取っていきます。それゆえに、収穫が終わって村で開かれる収穫祭は村人全ての喜びでもあります。また十分な収穫が取れない場合でも税が減る事はまずありませんから、冬を越し、飢え死にしない為にも収穫は大事です。そして、多くの収穫は日々のたゆまぬ仕事から生まれるのです。
こうした事から、村で生活をする人達は、一般に村で作れない品物などの入手は、行商人の存在に頼っています。また、事情がある場合には、街まで旅をしてそうした品物を手に入れます。
多くの村は、大きい街から馬で半日以内に行ける場所にあるのが普通です。それより離れている村の場合は、いざという時の問題などを想定して各種の蓄え、問題に対処できる若者を育てたりしています。
人の通行が定期的にある街道に近い村の場合は、村人の中でそうした旅人や商人を相手にする宿屋を営んでいる人もいます。酒場は村が大きい場合はともかく、小さい場合はそうした宿と一緒になっている事がほとんどです。
一般的に街と呼ばれる場合は、人口が数千人から大きい街になると数万人にもなります。貴族である領主が街を取り仕切っています。全ての街に住んでいる人は毎月の単位で領主に税金を払っています。(村と異なり街では毎月が多いです)税金を払う事によって、人々は街に家を構え、領主が派遣する衛視達に治安を守ってもらえる権利を得ます。宿暮らしの人は税金を払う必要はありませんが、その分、宿は税金を含んだ宿賃を取っています。
街に立ち並ぶ家は、大抵は一階建てから二階建ての石やレンガ造りです。通りは街によって舗装されていたり舗装されていなかったりします。例えば、ルウム地方アルバーム王国の知識の街と呼ばれるホーロッグは、古代の砦を利用して作られた街であり、地面は舗装され人口は街の周辺を合わせて7万人を数える大きな街です。家を構えた人々は、それぞれ手に職を持っていたり、知識を持っていたり、商才を持っていたり……何らかの『商売』を営んでいて、それで金を稼ぎ、日々の糧を得ています。少ない労力で多くのお金を稼げる人は、更に多くの金額を稼いだり、働かなかったりと様々です。
街は大きくなっていくと住んでいる人々の貧富の差が激しくなってきます。大抵は、貧富の差によって異なる区域に住んでいます。そして、貧しい者が集まる区画は治安が乱れ、住む人間が減る事から税金が安くなりという悪循環を繰り返し『スラム』と呼ばれる地域へとなっていきます。そして、裕福な人間や貴族達は、治安の良い綺麗な場所に住む事を望み、そうした場所は税金が高くなってお金を持ち大きな家を構える人間達が住む区画が出来ていきます。商売などが行われる店が集まる市や歓楽街などはまた別の地域となっています。
街では、人々は日の出から活動を開始するのは村の生活と同じですが、夜は街の人間の為の酒場などがあったり明かりなども日の入りから灯す時間も村に比べると長い為、街に住む人間は村に住む人間に比べると夜更かしです。それでも日の入りから数時間もしてしまえばベッドに入る事がほとんどでしょう。