アリス・ザ・フェアリーワールドの舞台となる世界は、ゲームを遊んでいるプレイヤーである私達の世界で考えると、おおよそヨーロッパ地方の13世紀から15世紀あたりの文明・文化背景に近いです。
広大な森に平原、なだらかながら力強くたたずむ山脈が周囲を取り囲み、街では様々な職業の人々がひしめきあい、街の周囲には、牧畜や狩り、田畑仕事で生計を営む農家の方々がのどかに暮らしています。しかし、そんな世界にも様々な冒険が隠されています。プレイヤーが操るキャラクター達は、そんな日々の生活の隙間に詰まっている冒険に関わる事となった人々なのです。
アリス・ザ・フェアリーワールドの世界では、未だ『火薬』、『蒸気機関』、『印刷技術』は、発明されていません。人々の暮らしは、未だに農耕、手作業が中心の生活です。
『船舶技術』に関しては、基本ルールでサポートしているルウム地方では、周囲に航行可能な大地が無いので、かなり遅れています。
アリス・ザ・フェアリーワールドの世界では、知性を持った人型種族の99%が人間です。
残りの1%は、世界でも数少ないですが、空を飛ぶ事ができる羽を持った人型種族や極寒の人が足を踏み入ることが出来無い山脈の奥地に独自の文明を持って住む雪原人種などがいます。彼らは、人目を離れて過ごしているので、普通の人が人間以外の知性ある人型生物と出会う事はまずありません。
また、普通に生活している人はそうした存在を認めようとはしません。見かけても、自分が理解できない怪物扱いする事が多いでしょう。イヴァンの神々は、彼らは『最初の方』が死んだ時に生まれた、動植物の一分類としています。
人間も全ての大地と海を未だ踏破したわけではありませんので、未だ知られざる知的生命というのも存在します。
人間の中でのイヴァンの子、オーガンの子、テリエラの子の比率ですが、ルウム地方では、暮らしている95%以上の人間がイヴァンの子です。これは、世界の他の地方と比べると遥かに高い確率です。ルウム地方以外での確率は、その地方によって千差万別に偏るようです。
アリス・ザ・フェアリーワールドの基本ルールでは、世界の中でもルウム地方という場所をサポートしています。
ルウム地方は、南に突き出た形をした半島で、周囲の蒼海は常に荒れている為、余程腕に自信がある船乗り達も沿岸を超えて航海をしようとはしません。しかし、別の地方から荒れた海を越えてこの地方にやってきた人々は口を揃えて言います。『なんて美しい自然が残る地方なのだ』と。ルウム地方は、世界の中でも秀でて人界の大崩壊から早く復興している地域です。それゆえか、他の地方よりもアリスの存在数は群を抜いて多いとされています。
ルウム地方の北は、天にまで届くと言われる険しいヘルカンナ山脈が連なっており、その山脈を越えて北から訪れた人間も、そして山脈を越えようとして帰って来た人間も居ません。(一説によるとヘルカンナ山脈には恐ろしい魔物が住んでいるとさえ言われます)また、ヘルカンナ山脈が海と接する両端の海は、特に荒れていて、今までに越える事が出来た船乗りは居ません。北の険しい山脈と荒れた海という自然環境ゆえに、ルウム地方は周囲から孤立した地域になっています。
外洋交易に関しては、荒れた蒼海の海流の特性から、他の地方からルウム地方へ訪れる場合、ルウム地方より優れた他の地方の船舶技術を持ってしても十隻に一隻が訪れる事に成功するぐらいです。逆に、ルウム地方から他の地方に向かうのは、そんなに難しい事ではありません。(ルウム地方の船舶技術では難しいのですが)それゆえ、他の地方の多くの商人がルウム地方を訪れようとしています。その多くは、蒼海に消えながらも商人達は、ルウム地方を訪れています。
ルウム地方の広さは、南端から北端まで街道を利用して何事も無く旅が出来た場合、徒歩で一ヶ月と少し。西端から東端までは、最も距離のある北方で、徒歩で二ヶ月ほど、半島の中頃で一ヶ月ほどです。ルウム地方は、基本的に平和な地域であり、ルウム地方の所要な都市の間には、駅馬車も走っています。馬車や馬の場合は、大体、徒歩の半分の日程で旅をする事が出来ます。
ルウム地方に存在する国々は幾つかありますが、最も大きい国は、南端のアルバーム王国です。首都アルバームは、ルウム地方で蒼海に面する都の中で最も繁栄しているとされており、芸術の都の二つ名でもってルウム地方に知れ渡っています。また、アルバーム王国の北東部には、ルウム地方最大の古代遺跡を利用して作られた街ホーロッグが存在し、ルウム地方最大の大きさの大学がある事から、各地から知識を求める人々が集まってきます。
ルウム地方の国々は、ここ数百年来、大規模な戦争を起こした事はありません。しかしながら、国同士の政治的な衝突から戦争が起こると懸念された事は幾度もあります。
ルウム地方には、幾つかの国々以外に、大きな森や北のヘルカンナ山脈周辺などに独自の文化を持つ人間の集落も存在します。これらは、特にいずこかの国に所属しているわけではなく生活を続けています。
ルウム地方の外の地方の人間は、『来訪者』と呼ばれます。ルウム地方の外では、人間の中の『イヴァンの子』の比率は、ルウム地方と比べ低いと伝えられています。また、『イヴァンの子』、『オーガンの子』、『テリエラの子』はお互いに争っているそうです。
ルウム地方を訪れる事のできる運の良い『来訪者』は、現在、殆どが『イヴァンの子』です。ルウム地方に『来訪者』が訪れた初期には、『オーガンの子』や『テリエラの子』が居ましたが、彼らが引き起こした様々な事件からルウム地方の国々は『オーガンの子』と『テリエラの子』の来訪を禁じています。
海流の影響から『来訪者』がルウム地方を訪れる場合には、半島の南端に到着します。半島の南端で最も多く『来訪者』と取り引きをしているのは、アルバーム王国の芸術の港町アルバームです。
神話において、『最初の方』とその子供達と共に暮らしていた『世界そのものたる存在』であったアリス。『神界の大崩壊』を経て、世界に復活している彼女の欠片は、妖精と呼ばれますが、それよりも愛情と敬意と共に『アリス』と呼ばれる事が一般的になっています。
アリス……彼女達は一体どういう存在なのでしょう。イヴァンの神々の神官は、彼女達は、人間によって支配される存在ではなく、人間が命を懸けて守る存在なのだと教えています。この世界の最も純粋な力に魂を得た存在であるアリスを越える力は、この世界には存在しません。しかし、彼女らは、その未成熟な魂ゆえに己の力を自分で完全にコントロールできないのです。
アリスにも格と階層があり、格が上がるほど、その潜在能力は高く、己の力のコントロールも上手いとされています。現在、わかっている最も格の高いアリスは、[エレンセス]と呼ばれ、格が低いアリスは[フォーセス]と呼ばれています。アリスは、大きく分類して、格が13段階、種別が4種いると伝えられていますが、定かではありません。同じ格、同じ種別であっても、その個別の魂の差ゆえアリスの性格などは異なります。
アリスの格は、生きた年齢によって左右されると言われていますが、イヴァンの神々の神学者に言わせると、それだけではないようです。イヴァンの子には、アリスの明確な格を感知する事はできません。おぼろげながら、あのアリスより、こっちの方が格が上のようだ、という事を心で感じる事ができます。神学者達はアリスを格で呼ぶ事がありますが、これは文献と比べて暫定的に呼んでいるに過ぎません。
アリスの種別もイヴァンの子は、外観からは察知する事ができませんが、性格、そして能力から類推する事は可能です。
アリスは、自分以外のアリスの格と種別を察知する事ができます。しかし、人間が呼び習わす格でお互いを呼ぶ事は多くありません。
種別によるアリスの分類は以下の通りです。
| スペーシア (スペード) |
性格の傾向 | 気が強く、意志の強くボーイッシュで男勝り |
| 司る側面 | 世界を破壊する力/現象の排除、仲間のアリスの外敵からの防衛 | |
| 力 | 歪みの察知、害意の察知、偽りのものの察知 | |
| 誓約者に良く求める事 | 強さ、勇気 | |
| クラリス (クラブ) |
性格の傾向 | 理知的で慎重、思慮深い |
| 司る側面 | 世界を活性化させ、人々が幸せに暮らせる知識の収集 | |
| 力 | 人間を超える知識の記憶 | |
| 誓約者に良く求める事 | 思慮深さ、知恵 | |
| ハーティア (ハート) |
性格の傾向 | 臆病で弱気ながらも強い潜在能力を持つ |
| 司る側面 | よどみない循環の保護、環境の浄化 | |
| 力 | 自然ならざる力の浄化(ただの怪我とかは治せない) | |
| 誓約者に良く求める事 | 真面目さ、清廉潔白さ | |
| ダキア (ダイヤ) |
性格の傾向 | 天真爛漫で自由奔放 |
| 司る側面 | 人々の和解、平和の促進 | |
| 力 | 物事に宿るかすかな過去を読みとる | |
| 誓約者に良く求める事 | 優しさ |
格による分類は以下の通りです。(現在、格によるアリスの明確な違いは分っていません)
| 第一位 (A) |
エレンセス | |
| 第二位 (K) |
カリアンダ | |
| 第三位 (Q) |
サリムア | サリムアより格の高いアリスは、人界の大崩壊より後、未だ目撃記録無し。 |
| 第四位 (J) |
ジネット | |
| 第五位 (10) |
ウィレーン | |
| 第六位 (9) |
トルーティ | 生まれてから約500年以上の時を過ぎたアリスと言われる。 |
| 第七位 (8) |
ミュート | |
| 第八位 (7) |
レーニャ | |
| 第九位 (6) |
イズラナ | |
| 第十位 (5) |
ラース | 生まれてから約100年の時を過ぎたアリスと言われる。 |
| 第十一位 (4) |
マリーニ | |
| 第十二位 (3) |
アクレイム | |
| 第十三位 (2) |
フォーセス | 生まれてから数年しか経っていないアリスと言われる。 |
| ()内は、ゲームにおけるアリスのカードの数です。 | ||
通常、アリスは、身長40から50cm程、人間で言うと5〜15歳ぐらいの外見特徴を備え、個体毎に異なる様々な羽を生やした姿である事が多いと言われています。羞恥心はあるらしく、彼ら独自の魔法能力で生成された洋服を身に付けています。ほとんどが女性形態ですが、極まれに男性形態のアリスも目撃されています。(確率は、100人のアリスがいたら1人ぐらいがそうであるか……というぐらいです)
彼女達がどうやって生まれるのかは詳しくは知られていませんが、数少ない伝承や伝聞では、「光が集まり、輝いたかと思うと、そこにはアリスがいた」や「石が二つに分かれたかと思うと、そこにはアリスがいた」など様々なようです。
この世界に存在するアリスの数は、そんなに多くはありません。昔は、今よりもアリスの数は多かったと言われますが、『人界の大災厄』の際に、多くのアリスは、この世界から姿を消し、未だ復興しつつある大地と共にアリス達自身も『復活』している最中です。
世の人の約100人に1人が『アリス』を見た事がある人達です。(これは、世界の平均で、大きな街に行けば、見た人の確率は上がり、小さな街や村だと逆に少なくなります)誰とも癒しの誓約をしていないアリスを見た事がある人間は、10000人に1人程です。(これも世界の平均です)
ルウム地方では、この比率はいささか異なります。世界の中でも復興が早いとされるルウム地方ではアリスの数も多く、ルウム地方の人の10人に一人は『アリス』を見た事があります。これは、ルウム地方が限られた狭い地域という事も影響しています。そして、癒しの誓約を誰とも交わしていないアリスを見た事がある人は、1000人に1人程です。単純に考えて、人口密度に対するアリスの数がルウム地方は10倍近くあるという事なのです。
大きな大都市では、神殿の力もそれなりに強く、外敵からアリスを守る力も強い為、アリスの数も多く、ほとんどの人が神殿に赴き、アリスと会う事ができます。イヴァンの子にとって、アリスと出会う事は、魂が求め、心和み、落ち着ける事なので、神殿の来訪者はとても多いです。大都市では、アリスと誓約を結んだ人は、およそ500人に一人といった割合です。(10万人規模の大都市では、アリスと誓約を結んでいる人間は、200人ほどいる計算になります)
アリスと『癒しの誓約』を結ぶ事は、『アリスと共に生き、アリスを守り、世界を癒す事』です。生まれてから100年も経っていなく、今まで人間と接触した事のない、イヴァンの子と癒しの誓約を結んでいないアリスは、魔法的に強大な力を持っていますが、人間で言うなれば、6〜8歳ほどの知能しか持っておらず、人間が喋る言葉も理解できません。全く、誰とも接触せずに100年以上の年を経たアリスは、やはり人間の言葉を喋れませんが、魔法的な力が強くなり、そして知能は上昇していきます。知能が上昇したアリスの中には、人間との誓約に対して「品定めをする」アリスも存在します。
人間と接触のした事の無いアリスと癒しの誓約を結ぶ事は、そのアリスと心を通わせ、永遠の誓いをする事であります。癒しの誓約を結ぶ時、アリスは、イヴァンの子の心を感じ取り、その誓いが真実であって心が通じ合えば、癒しの誓約は実際に結ばれます。癒しの誓約が結ばれると、アリスは、『癒しの誓約を結んだ人間の知識』を自分の物にします。そして、彼女達は、人間の言葉を喋れるようになり、そして『人間の世界』を知るのです。
アリスと癒しの誓約を結んだ人間は、イヴァンの神々の神殿によって手厚く保護をされます。誓約を結んだ人間のアリスに協力を得た力は、その人の『才能』であると考えられます。この世界では、世の天才の多くは『アリスと癒しの誓約を結んだ人間』です。天才自体の数は、当然ながら少ないのですが。また、誓約者が、『アリスと共に生き、アリスを守り、世界を癒す事』という事に心から背かない限り、アリスとの癒しの誓約をアリスから破棄する事はありません。
ちなみに『アリスを守る』というのは基本的には肉体的よりも精神的な事(共に生きる)を意味します。しかし、世にはアリスにとって危険は多く、アリスと誓約を結ぶ人間が全て肉体的戦闘力に優れているわけではありません。その場合、神殿から『聖護』と呼ばれるアリスと誓約者を守る聖なる騎士が護衛として共に生活をする場合があります。『聖護』は、イヴァンの子にとってとても名誉ある職業でもあります。
アリスの寿命は、人間より長く、大抵のアリスは、癒しの誓約を保ち続けたイヴァンの子の寿命の死を看取る事になります。癒しの誓約を結んだイヴァンの子の寿命を、アリスは、少しばかり延ばす事ができますが、生まれたばかりで初めて癒しの誓約を結んだアリスで、種として100年が限界の人の寿命を20〜30年延ばすしかできません。ちなみに、この世界での平均寿命は、病気に対する手段の少なさ、摂取している栄養の少なさから40年から50年ほどです。
老化をアリスの力で延ばしていた場合、老いる時は突然にやってきて、それはとても早いです。(アリスと癒しの誓約を結んだイヴァンの子は、100歳であっても外見的には50歳程度です)その後、そのアリスは「癒しの誓約を結ばないアリス」となりますが、大抵は『自分が新たな癒しの誓約を結ぶのにふさわしいと思うイヴァンの子』と出会うまで、一人で行動をします。年が100歳を越え、知識と魔力を持つアリスは『共に生きる』とするに足る人間を求めますが、それ果たす事ができる人間は数少ないのです。毎年、イヴァンの神の神殿は、存在を把握していたり保護しているそんなアリスに対して、『一角の人物』と見定めた人間との出会いの場を用意します(拒否するアリスも当然います)。これは、『出会いの儀』とよばれる儀式です。
過去、世界に存在した『最初の方』とその三人の子供達、その中でも現在の世界に住む人間のほとんどは、『イヴァンの血』を最も濃く受け継ぐ人達です。彼らは、『イヴァンの子』と呼ばれます。
『オーガン』や『テリエラ』の血を受け継ぐ人々と、『イヴァン』の血を受け継ぐ人達の間には、長い戦いの歴史がありました。それは、かの恐ろしい『人界の大崩壊』を生み出す事にもなったのですが、今でもアリスを巡って紛争は絶えません。ただ、現在では、大きな紛争というものが起きる程、オーガンの子もテリエラの子も存在しないのですが。
『イヴァンの子』が、他の人間達との差異を最も明確にしているのが、『アリス』への情動です。イヴァンの子である人間は、魂からアリスという存在を信奉し、彼女達を守護する事を心に願っています。しかし、彼らの血が、オーガンの子やテリエラの子に近い程、その心に抱かれるアリスの感情は薄れていきます。
そのアリスへの感情は、『イヴァンの神々』という神達を信奉する神殿によって保護されています。この世界で通常、『神殿』と言う事は、『イヴァンの神々の神殿』を意味します。神殿は、イヴァンの子で構成されるどの国も保護し、そして各国に存在する神殿全てが集まった時の力は、この世界のどんなに大きな一国をも凌駕します。それは、全てのイヴァンの子達が信奉し、保護しているからです。
『イヴァンの子』と他の人間を明確に分ける身体的特徴はありません。しかし、『オーガンの子』や『テリエラの子』の中でもアリスを取り込んだり、アリスを殺したりした場合には、それを現す身体的特徴が現れます。
ルウム地方において、人々の多くは白人種ですが、地域によっては褐色の肌や黒人種も居ます。肌の色や髪の色と『血』の種類とは関係無いとされています。『来訪者』の場合は、肌や髪の色は、ルウム地方よりもバラエティに富んでいるようです。
この世界には現在、三種類の人間が居るとされています。歴史が語る「最初の方」の三人の子供達がそれぞれ創造した人間達。姿形は似ていても、その魂からの欲求の違いによって三種の血に分けて区別されるのです。イヴァンの子、オーガンの子、そしてテリエラの子です。
彼らが持つ『魂からの欲求の違い』、とは『アリスに対する欲求の違い』と同じ意味となります。
イヴァンの子は、アリスを守り、この世界そのものと考えて共存する事を望みます。オーガンの子は、アリスを『消費するもの』と考え、世界を消費し、アリスを我が力とする事を考えます。テリエラの子は、アリスを『必要が無いもの』と考え、世界に依存しない人間の生活、そしてその為へのアリスの拒絶(彼らにとって、拒絶とは殺すと同義語です)を考えます。
現在、ルウム地方では、存在する人間のほぼ99%は、『イヴァンの子』です。しかし、オーガンの子やテリエラの子も、その存在を隠して街に住んでいると言われています。イヴァンの子の世界において、オーガンの子やテリエラの子である事が発覚した場合、隠れてアリスへの邪な活動を妨げる意味で、神殿によって『保護』される生活が始まります。アリスへの魂からの欲求以外は、普通の人間(イヴァンの子)と全く変わらないとされていますが、やはりイヴァンの子から見れば、あまりに異なるアリスへの感情の為、偏見や差別はあります。あからさまな偏見や差別から彼らを守る事も神殿の『守護官』と呼ばれる人間の使命でもあります。
現在、世界に住んでいるイヴァンの子には、少なくともオーガンの子の血やテリエラの子の血も混じっています。それは、神界の大崩壊の後から始まったと言われている『子孫繁栄』からです。オーガンの子とイヴァンの子の子供や、オーガンの子とテリエラの子の子供、そしてそのまた子供と、どんどんお互いの血が混じっていった為です。しかし、人界の大崩壊の直前では、各々の血に連なるもの以外との結婚は禁止されていたと伝わっています。
この事が何を示すかというと、イヴァンの子の中から時として『イヴァンの子の血よりも、ほかの二種の血の方が強い子供』が生まれる事があります。その子供は、イヴァンの子の両親を父に抱いていても『オーガンの子』や『テリエラの子』とされます。アリスに対する凶行がなければ、成人の際に神殿によって行われる『審問』にてアリスへの感情を推し量られます。審問は、古来では神具や奇跡の力によって行われるものでしたが、現在ではそうした奇跡の技が失われ、神具もとても稀少となった事から神官の言葉による審問でなされる事がほとんどです。イヴァンの子から生まれたオーガンの子やテリエラの子は、『変わり種』と呼ばれます。
生まれた時からではなく、途中でイヴァンの子以外の人間になってしまう事はあるのでしょうか?答えは、『あります』です。非常にアリスに対する感情が変化してしまうような外的(環境)要因の結果、体に流れる『イヴァンの子』以外の血が強くなってしまう人間もいると言われています。
村での『審問』において『オーガンの子』もしくは『テリエラの子』とされた人間は、『守護官』によって保護されます。これは、その人間がアリスに対する邪な行動を起こさない為であり、他の人間から守る為でもあります。『守護官』は、『審問』を行った『神官』がなりますが、アリスと誓約を結んでいる神官がなる事はありません。それは、双方にとって辛い事になる事が解っている為です。
成人になるまで、イヴァンの子として育った人間の多くは、自分が『オーガンの子』もしくは『テリエラの子』であった事に悩み、傷つきます。それを救うのは『守護官』の大事な役割でもあります。多くは、『守護官』と共に生活をする道を選びますが、中には『審問』や『守護官』から逃げ出してしまう人間も居ます。(これは罪となります)
街において『オーガンの子』もしくは『テリエラの子』の人間は多くなる為、保護されている生活区域が存在します。その区域は、『守護区域』と呼ばれています。生活水準は、特に周囲に比べて低いわけではありません。
『守護区域』の境界の守りに関しては、『守護官』ではなく、その領地の領主が派遣する衛兵が行います。『守護区域』の人間が許可無く外に出ない事と、イヴァンの子が無闇に『守護区域』の人間を攻撃する事から守る為です。『守護区域』の人間が外の区域に出る時の保護、『守護区域』の外の人間との交流、そして生活に関する悩みの解決を円滑に行えるようにするのは『守護官』の役割です。
村の『守護官』は、村で生まれた『オーガンの子』や『テリエラの子』に村での一人の生活より、街の『守護区域』での生活を提案する事があります。
例を上げますと、アルバーム王国ホーロッグ(周辺区域の人口含めて約7万人)にて、『守護区域』には約600人の人間が住んでいます。そして、境界の守りには衛兵がおり、約20人の『守護官』が『守護区域』に住んでいます。
アリス・ザ・フェアリーワールドの世界には、『イヴァンの神々』という存在がいて、イヴァンの子の崇拝の対象となり、生活の規範になっています。
イヴァンの神々は『イヴァンの子の神々』と呼ばれる事もありますが、世の人々は『イヴァンの神々』と呼び習わす事が多いです。『イヴァンの神』と呼ばれる事もあります。イヴァンの神々の神殿の神官、司祭と呼ばれる方の中には、『イヴァンの子の神々』という呼び名を好む人もいます。そうした方々は、大抵は、自分の信仰するイヴァンの神に加えて、『イヴァン』そのものに対しても深い信心を抱えている人がほとんどです。
イヴァンの神々の生誕は、『神界の大崩壊』までさかのぼります。イヴァンの神々の神殿では、イヴァンの神々は、『神界の大崩壊』の時に、我ら人間を守ろうと尽力したイヴァンが、私達を生かした後、力尽き、そして分かれた生まれた存在であると伝えています。イヴァンの血を最も色濃く受け継ぐイヴァンの子は、イヴァンの末裔たるイヴァンの神々を『敬う存在』とし、その教えを『受け継ぎ広めるもの』としています。
イヴァンの神々を敬い、神殿という存在が生まれたのは『神界の大崩壊』直後のイヴァンの神々が、この世界に影響を及ぼし、自分達の子達に幾ばくかの力(奇跡と呼ばれています)を貸し与える事ができた頃と言われています。その時、神々は時には自ら地上に降り立ち力を行使できたと言われていますが定かではありません。しかし、『人界の大崩壊』によって、イヴァンの神々は、私達の世界に関与する術を失いました。今では、イヴァンの神々の神官であっても『奇跡』を起こす事はできませんが、その教えは今でも受け継がれています。
イヴァンの神々は、その数がはっきりと分かっていません。現在、神殿に伝えられているイヴァンの神々の数は、40神と言われていますが、諸説様々です。52神いるという者もいれば、もっと数多くいるが、力が強いわけではなく、イヴァンの子たる人間が感知できないだけだ、と語る者もいます。
イヴァンの神々、そして神殿の教えの根底に流れるものは、『イヴァンの子として、アリスを救い、そして世界を敬い、時と共に世界を癒し生きる事』です。イヴァンの神々の全ては、その教えを伝えており、イヴァンの神々の中で、その実践として特定の分野に関する努力を伝えています。
イヴァンの子は、全てのイヴァンの神を敬っていますが、イヴァンの神々の特に一神の教えを実践しながら人々に伝えようと努める人達が居ます。その中でも敬虔に神に使える生き方を選んだ人は神官と呼ばれます。イヴァンの神々の神官同士は、お互いの教えの根底に流れるものは同じという理解がある為、特に神官同士で争う事はありません。
ルウム地方にて多くの信者を集め独自の神殿などを各地で構えているイヴァンの神は四神います。それぞれの神と司るものは以下の通りです。
ラガン神:調停
ラガン神は、『調停』を司るイヴァンの神であり、正しい物事の見極め、そして正しい力の行使を教え伝えています。レキスの神官達は、厳格な人が多く、ルウム地方で起こる様々な揉め事の調停者として忙しい日々を送っています。
レキス神:農業
ルウム地方で最も多くの信者が居るとされているのが『レキス神』です。レキス神は、『農業』を尊ぶイヴァンの神であり、その伝える所は、『世界と共にあり、そして壊す事の無い共存の生活』です。レキスの神官達には、大地を傷つけずに農業を営む術が、代々伝えられています。
フローリア神:心愛
フローリア神は、『心愛』を司るイヴァンの神です。フローリア神は、人と人の愛情は心から生まれ、愛を大切に育む事で日々の生活が満ち足りて生きられると伝えています。フローリア神の神官は、ルウム地方の悩む人々の良き相談役として日々を過ごしています。
サージェン神:生死
サージェン神は、『生死』を司るイヴァンの神であり、私達が住む世界から死後の世界である元界に間にあると言われている『鏡の門』を守っていると伝えられています。人々が逃れられない死を必要以上に恐れる事無く、日々を大切に生きる事。そして、元界から生まれる新しい生命を尊ぶ事をサージェン神の神官達は教えています。
ルウム地方を離れた場所では、地方によって特に敬われているイヴァンの神は異なるようです。
アリスの世界は、『心の世界』です。人間は、自分の心を伝えたり、相手の心を知る力に長けています。その力に長けた人物の前では、人間は心を偽る事ができない世界なのです。(この世界では、むやみに人の心を知ろうとするのは無作法とされますが)しかし、この世界で心を自由に偽れる存在がいます。
それが『偽りのもの』です。彼らがいつから存在しているかは分かってはいません。しかし、『神界の大崩壊』で世界が壊れた隙に乗じてこの世界にやってきたと言われています。彼らは、『最初の方』と『アリス』に属する存在ではなく、この世界の外の理から現れたものと言われています。
彼らは、幽霊みたいな捉えどころの無くこの世界に存在しています。しかし、人間や他の動物に乗り移ったり、力を持つ偽りのものとなると、外見的には全く人と変わらない姿を持つ事ができます。彼らの精神は、私達に理解する事が難しく、私達と異なる倫理観を持っています。(どのような倫理観であるかは、偽りのものによって様々であるらしいのです)しかしながら、彼らの求める物はで決まっている事があります。それは、『人々の心が歪み、挫かれ、砕けるのが見たい』という欲求です。
ある偽りのものは、小さな動物に乗り移って、小さな悪戯を繰り返しました。ある偽りのものは、国の王に乗り移ってその国を混乱に陥れました。
偽りのものに乗り移られる事に抵抗するのは、難しい事とされています。偽りのものは、人間に乗り移った後、無理やり意のままに乗り移った人間を行動させるのではなく、その人間が抱いている小さな我が侭であったり、勝手であったり、社会で許されない事柄を増大させて成そうとします。偽りのものが乗り移った人間は、偽りのものの力で自分の心を偽る事ができます。つまり、他の人間に、真の感情が理解される事はないのです。
彼らはその存在ゆえに『悪魔』と呼ばれる事もあります。
神殿は、『偽りのもの』を『人間社会と世界に害を為す悪しき存在』として、発見次第、排除しようとしています。世で起こる様々な事件(大きなものから小さなものまで)は、オーガンの子やテリエラの子に起こされるものもありますが、偽りのものによって引き起こされるものもあります。
人に乗り移った偽りのものは、アリスによって聖別された聖水によって人の体から追い出す事が可能です。姿を現した偽りのものは、物理的な手段で退治をする事が可能です。人間の強い意志の力が『偽りのもの』を倒すともいわれています。
ルウム地方では、他の地方からやってきた人の話によると、『偽りのもの』の力は強くないそうです。様々な心を操ったり、偽ったりしますが、物理的な強い力を持つ『偽りのもの』はルウム地方ではほとんど見られません。多くの神官や研究者は、この原因がどうしてだか日夜考えていますがはっきりとはしていません。
現在、全てが謎に包まれている『人界の大崩壊』から約1000年の時が過ぎています。人界の大崩壊以前の建物や遺跡は、その多くが大崩壊時、そしてその後の歴史によってほとんど失われてしまいました。今でも人界の大崩壊以前の遺跡が見つかる事がありますが、ほとんど盗掘されてしまっています。誰にも盗掘されていない数少ない『生きている遺跡』には様々な財宝と隣り合わせに危険が満ちているとされています。
遺跡やたまたま残されている資料から現在、歴史家は人界の大崩壊以前の人々の生活と大崩壊が起こった理由に関して調べていますが、明確な解答を出せた歴史家はいません。今の所、そうした歴史家の間でほぼ定説とされているのは、『人界の大崩壊以前の世界は現在よりも魔力に満ち、人間は魔法という不思議な力を操る事が出来、神の声とその力すら現世に具現化せる事が出来た。しかし、オーガンの子の大勢力によるアリスへの迫害を通じ、彼らは自分達の大地自体を何らかの方法で破壊してしまったのだろう』という推論です。
『人界の大崩壊』が、実際にどういったものだったかはわかりませんが、大地のほとんどは引き裂かれ、地形も変わり、今でも過去の爪痕を残した大地が存在しています。現在では、人々はそうした地に住むのを避け、大地が再び力を取り戻すのを辛抱強く待っているのです。
そんな人々を人界の大崩壊以降、長く苦しめているものがあります。『歪み』と呼ばれる、人界の大崩壊の時に大地を引き裂いた力が細かくなりながらも未だこの世界に残っているとされる一種の超常現象です。
『歪み』は、例えば、発光現象、落雷の集中化現象、建物内の暴風現象……様々な現象が存在しますが、はっきりしているのは、それが通常では起こらない異常な自然現象であるという事です。超常現象とも呼ばれますが、アリスの世界では人々はその現象を恐れをこめて『歪み』と呼びます。様々な事件の発端になりますが、時折、この『歪み』のおかげで命を長らえたという場合もあるようです。