5−2:世界の歴史
イヴァンの神々の神殿では、各神殿とも世界の成り立ちを、大筋として以下の様に人々に教えています。
最初に『最初の方』と呼ばれる存在がいました。『最初の方』は、世界に己だけという孤独から逃れる為に三人の子供達を創造しました。その子供達が、『オーガン』、『テリエラ』、そして『イヴァン』と呼ばれる三つの存在です。
その後、『最初の方』と三人の子供達が、まだ世界にただ四つだけの存在として過ごしていた中、『アリス』と名乗る『世界そのものたる存在』が彼らと出会います。『アリス』は、自分達以外の存在を知り、世に存在するのは自分だけという孤独への絶望と別れを告げる事ができました。『テリエラ』は、『アリス』を『不運を運ぶもの』として忌み嫌い、共に過ごすのに拒否の意志を表しましたが、他の三人の同意を見て、シブシブと同意しました。
五つの存在は、長い間、幸せに暮らしていましたが、変化の時がやってきました。『最初の方の死』です。それは、世界における初めての『死』でした。『最初の方』が死んだ後、その肉体は、様々な動物や植物となって世界に散ったと言われています。
『最初の方』の死を嘆き哀しんだ三人の子供達は、その淋しさを少しでも紛らわす為に、自分達を創造した『最初の方』と同じ事を行いました。そして、私達、『人間』が生まれたのです。この時、三人は、お互いに自分の力だけを使って『人間』を創り出しました。世界には、『三種類の人間』がいたのです。当時の人間は、私達よりも不思議な力に満ち溢れ、私達の持ってはいない様々な力を持っていたとされています。
この時、『アリス』には、新しい命を創造する力はありませんでした。それゆえ、『アリス』は、彼らの所業をただ見ていました。しかし、いつしか彼らを見つめる目は、たった一つの存在だけに注がれるようになっていきました。『アリス』は、『イヴァン』に恋をしたのです。そして、『イヴァン』も『アリス』に好意を抱いており、二人は愛し合うようになりました。
『イヴァン』と『アリス』は、世界で初めて愛し合った二つの存在でしたが、その愛が幸せで続く事はできませんでした。『アリス』を愛していた『オーガン』が、『アリス』と『イヴァン』の二人の愛に嫉妬し、『アリス』を独占しようとするあまり『アリス』を殺してしまうという許されざる凶行を犯してしまったのです。『イヴァン』は、『オーガン』を憎み争うようになり、『テリエラ』は、全ての元凶は『アリス』にあると信じ、『アリス』を呪いました。
『アリス』は、『世界そのものたる存在』です。そんな彼女が死んでしまった為、世界は壊れてしまいました。『神界の大崩壊』と呼ばれる出来事です。その世界に住んでいる三人の子供達、そして創造された人間も無事ではありませんでした。三人の子供達は、そのままの肉体を保つ事はできず、幾重もの存在にその姿を変えました。『イヴァンの子の神々』、そして他の二人の子の神の誕生です。そして、人間達は、ほとんど死んでしまいました。
|
最初の方
|
アリス
|
||||||
|
↓(創造)
|
↓
(死) |
↓
(死) |
|||||
|
オーガン
|
テリエラ
|
イヴァン
|
|||||
|
↓
(創造) |
↓(死)
|
↓
(創造) |
↓(死)
|
↓
(創造) |
↓(死)
|
||
|
オーガンの神々
|
テリエラの神々
|
イヴァンの神々
|
|||||
|
オーガンの子
|
テリエラの子
|
イヴァンの子
|
植物、動物達
|
アリス
|
|||
しかし、本当に一握りの人間達は、生き残ったのです。それは、世界が完全には死ななかったからです。『アリス』は、完全に死んだわけではなかったのです。そして、『最初の方』の三人の子供達も幾重にも分かれた存在としてこの世界に残り、彼らは『神々』と人々から呼ばれるようになりました。三人の子供達が創造した人間達は、互いに愛し、子供をもうけ、子孫を残す事でその数を増やしていきました。世界は、傷つきながらもゆっくりと復興をしており、平和な日々が続きました。
その平和は、世界の各地で『アリス』が現れる様になってから激変しました。神々は、それぞれの『アリス』への思いを具現化する為に、最も自分達の血が濃い人間達に命じ、神々同士、そして人間同士でアリスを巡って争うようになりました。
その時、世界に最も数多くいた人間は、『オーガンの子』と呼ばれるオーガンの血を最も濃く継いだ人間達でした。オーガンの子達は、アリスの力を用いて享楽的に暮らす事を望み、その方法を模索しました。テリエラの子達は、人々へのアリスの影響を一切与えない為に、人々とアリスの接触を、アリスを殺す事で根絶しようと行動しました。そして、イヴァンの子達は、世界と共存し、アリスを受け入れ、共に暮らす道を選びました。
神々同士、人同士の争いは激しく、今よりも魔法的に進んだとされる文明は、世界を容易に変容させるだけの力を持っていたのです。最終的にその力は、『人界の大崩壊』を引き起こしました。それがどのようなものかは今の世には伝えられてはいませんが、『神界の大崩壊』に勝るとも劣らない出来事だとだけ伝えられています。
人界の大崩壊から約1000年近く経った現在、世界は未だ荒れ、神々は我々への直接的な介入の手段を失い、人間は魔力を失い、歴史と知識を失いました。しかし、今、世界には、イヴァンの子達が最も多く暮らし、私達は、過去の過ちは二度と繰り返さない事を願い、そして暮らしています。今、緩やかな復興で世界の各地でアリスが姿を見せ始めています。
私達は、この世界でどう、生きる事ができるでしょうか?
|
「最初の方」の来訪
|
神々と生活を共にして過ごした魔力に溢れた幸せな時代。 |
| 「最初の方」の子供達の生誕 | |
| 「アリス」の来訪 | |
| 「最初の方」の死 | |
| 「人間」の誕生 | |
| ↓ | |
|
「神界の大崩壊」 |
|
| ↓ | 世界の魔力は大きく失なわれ、生来の魔法の技も多く失ったが、神々の力の恩恵とアリスを使った「オーガンの技」により繁栄をした時代 |
| 「人界の大崩壊」 | |
| ↓ | 世界の魔力、神々の力の恩恵、生来の魔法の技もほぼ全てを失ったが、アリスの少しづつの復活と幾ばくかの神々の恩恵にて慎ましく暮らしている時代 |
| 現在 | 人界の大崩壊から約1000年の時が過ぎている。 ルウム地方では、現在、復興暦910年として人界の大崩壊より910年経っているとされているが定かでは無い。 |