ようやく全員が揃い、パーティは始まりました。
 トマスも招待されており、姿を見せています。
 カボスたちはニキータに、彼女の背丈程もある大きな熊のぬいぐるみをプレゼントします。


GM 「あったかいものって聞いたんで…気に入ってもらえたかな?」
ハンス そこでカボスの弟妹は怒るわけだな。「兄ちゃん、こんなのくれたことない」って。
GM 「お、お前たちにはこの間あげただろう。ブリキのネズミの人形を。ネジまいて走るやつ」 (笑)
スコット ニキータはどんな風?
GM 初め、驚いたような顔をしますが、みんなの微笑みに囲まれて、涙をためて喜んでますね。 「ありがとう…ホントに、ありがとう」
スコット よかった、よかった。


 そして、パーティは大変にぎやかになりました。ネーブル家の次男マンゴーが得意のトランペットで今年 のクリスマスフェスティバルのテーマソングをかき鳴らしたり、お決まりのカボスのドジがあったり、ハン スの哀しい(笑える)身の上話があったり…楽しいパーティです。


トレイシー 「どう、ニキータ。楽しい?」
GM 「うん、とっても嬉しい。こんなの初めて…でも、ママもいればもっと良かったのにな…マ マ、どうしてるんだろ?」


 やがてパーティーも終わり、ニキータは練習の疲れからか、その場で眠ってしまいます。カボスが、ニキ ータをベッドまで運びました。
 と、その時…


GM カボスがニキータを連れて部屋を出て少し後、外で何かが弾けたような音が響きます。どう も、銃声のようですね。続いて女性のものとおぼしき悲鳴が夜闇を切り裂きます。
ハンス おっと!?
トレイシー あら?
スコット ん?
GM 「なんだ!?」と警備の兵は銃を抜き、駆け出してゆきます。と、ここで知覚の÷3判定をし てください。
ハンス (ころころ)…失敗…(ころころ)…WOLも失敗。
スコット …全然ダメ。
トレイシー (ころころ)…あ、成功した!
ハンス 凄ぇ…確率3%くらいなのに。
GM ならトレイシーさんは背後に気配を感じます。
トレイシー 振り向きます。
GM そこには一人の女性が立っています。髪型こそ違いますが、トレイシーさんにそっくりです。
トレイシー あ、あの人は…ニキータの…
スコット あの人だ…街中で見た。
GM その女性はトレイシーをみて、「なるほど、偶然とはいえ、確かにそっくりね。目立たない よう、少し顔のつくりを変えていたのだけれど…」と薄く笑い、そして変装を取ります。そこには、さっき までトレイシーに瓜二つの顔だったのが信じられないくらい、別人の顔が現われました。目付きの鋭い顔が。 その女性は言います。
「あなたたちには、迷惑をかけたようね。でも、それももうないわ。ニキータは連れてゆくから…」
トレイシー 「どういうことですの? あの子は今は私たちが預かってるんです。ただ、『連れて 帰る』だけでは渡すわけにはいきませんわ」
ハンス 「そうだ、事情を説明しろ」


「聞くと…死ぬわよ」
 ポツリと、女は言った。
 脅しではない。言葉に無用な感情はこもっていなかった。ただ、天気の話でもしているかのような…それ だけに、かえってその言葉に真実の重みが感じられた。
「とにかく、今のままじゃ危険なの。ニキータもあなたたちも。悪いことは言わない。あたしたちのことは 忘れて、いつもの生活に戻ることね」


トレイシー 「忘れろだなんて…随分と、人の心を簡単なものだと思ってらっしゃるのね」と腹立 たしそうに言います。
GM 「単に信用できない、というだけよ。ヴァルモン海軍もあんなチャチな手にかかるようだし ね」
スコット じゃ、さっきの銃声と悲鳴は…


「そう…あたしの仕業。これじゃ、ヴァルモンの力もたかが知れてるわね」
 女は鼻で笑う。
「そうでもないわよ」
 カボスがニキータを連れて消えたドアの向こうから、声がかかる。
 ドアが開き、そこに姿を現したのは、誰あろうフェリエ少尉その人だった。
「随分と人を信用しないのね、ブリギッダ・フェルナンド」
 女――ブリギッダは、少し唇を歪めただけだった。
 フェリエはハンスたちに視線を向け、
「皆さんにもお話しましょう。こちらのブリギッダとニキータの関係、そして、なぜ私たち軍が関与してい るのか、も…」


 フェリエ少尉は(全てではありませんが)真相を語ります。
 ブリギッダがその世界では名うての殺し屋だったこと。5年前にみなしごを拾ったこと。それがニキータ であること。そのことがきっかけになってブリギッダが所属していた組織を抜けたこと。そしてその組織に 追われていること。


トレイシー なるほど…それで、「ママ」はいるけど「お家」がないんだ…。
スコット それに、「あったかいもの」も。
GM ブリギッダは諦めたように口を開きます。
「あの子は…あたしの子じゃない。あたしも身篭もったことはあるけど、組織に堕ろさせられた…そんなこ とはどうでもいい。とにかく、あたしが無駄にこんな街に居続けてるのは…この街のクリスマスイベントを 聞き付けたから…ニキータに、クリスマスを祝ってやりたかったんだ。人並みに、でいい。ささやかで構わ ない。あの子との、別れの前に…」
トレイシー 「別れ、ですって?」
GM そこまで言ってブリギッダはしゃべりすぎたか、というような顔をします。
「だが、ここまで話が大きくなった以上、長居は無用。私はニキータを連れ、この街を去る」
ハンス 「それは解った…だが、またどうして軍が絡んでくるんだ?」
GM 「それは私から」とフェリエさん。
「彼女、ブリギッダ・フェルナンドはフィラムの諜報局所属の殺し屋でした。さっきも言ったように、既に 組織は抜けましたが…ニキータのクリスマスを祝ってやりたいというのは本当のようです。それまでの間、 自分が追っ手を引受け、我々にニキータの保護を依頼してきたのです。ニキータに、普通の生活をさせてや る、という条件付で。これがネックでしてね。ただ守だけならば基地の最も警戒厳重なところにかくまって いればいいんですが、こと普通の生活、となりますと我々軍人はとことんダメでしてね。そこでカボスさん のところにお願いにあがったわけです」
ハンス 「まいったな、どうも余計なことをしたみたいだな」
GM 「ここ数日の何件かの殺傷事件は、すべてブリギッダとフィラムからの追っ手の間に起こっ たいさかいによるものです。ですから、軍の上層部から手を回して、警察の方も動かないようにしてもらっ ているのです」
ハンス 「そうか…しかし、せめて彼女が劇の公演を終えるまで、待ってもらえないか?」
トレイシー 「あの子とっても頑張って練習してるんです。ホントに楽しみにしているみたいで」
スコット 「今ニキータからあれを取り去ったら、きっと彼女からクリスマスを取り上げることに なってしまいますよ」
GM …ブリギッダは思案しているようです。でも、やがて決意したように顔を上げます。「そう か…わかった。その公演の当日…イブまで私は姿をくらまそう。影で奴らを引き付け、ニキータに被害が及 ばないように、な」
 言うが速いか、ブリギッダは立ち去ります。
ハンス 「おい! …あ〜あ。となると、我々の仕事はニキータを守ることか」
トレイシー 「そうね」
スコット 「ね、フェリエさん」
GM 「なんでしょう?」
スコット 「あの依頼…タダで引き受けたんですか?」
GM フェリエさんは苦笑します。「さすがに鋭いですね。無論、私どもも何もなく動いたりしま せん。ブリギッダは交換条件に、フィラムの機密を教える…と持ちかけてきました」
スコット やっぱり。
GM 「事情は全て解っているつもりです。彼女に、ニキータに…思うままのクリスマスをすごさ せてあげてください。もちろん、我々海軍も最大限バックアップさせていただきます」
ハンス 「はい!」(敬礼)
GM そして、フェリエさんも姿を消します。
 ニキータは…静かな寝息をたてています。


 翌日、22日。
 ブリギッダとの接触が感付かれたのか、PCたちの周囲が不穏になってきます。フィラムのスパイたち が、いよいよ表立って動きだしてきます。実際に警護のヴァルモン兵たちとの間に戦闘が発生したことも ありました。  その煽りを受け、トレイシーが肩に流れ弾を受け、スコットが騒ぎで落ちてきた植木鉢を食らい、ハンス は顔のそばを銃弾がかすめたため、その衝撃波で気絶した(笑)。
 ま、そんな騒動もありましたが、特にこれといった事態の進展もなく、その日は終わります。
 もちろん、ニキータはこの日も劇練習に出かけていました(よほど嬉しかったらしく、熊のぬいぐるみを 抱えたまま)。トレイシーたちのケガは、彼女を守るために負ったものなのでしょう。
 そして23日。


GM 今日も張り切ってニキータは劇練習に出かけます。今日はリハーサルがあるということで、 張り切りようもひとしお。例のぬいぐるみを抱え、一路練習場へ。
トレイシー ついていきます。
ハンス オレも行こう。休みを取ったからな、12万3〇〇〇ケルンの高い休みを(笑)。
スコット ボクもついてきます。公演前に劇の話の筋が知れたら嫌だとか、言ってる場合じゃない (笑)。
GM では、みなさん一路バーモント劇場へと。ま、リハーサル自体は熱の入った激しいものだっ たんだけど、特に何事も起こらず、練習はとどこおりなく終了しました。
スコット 早いな〜。
GM 無駄ははしょれるのがTRPGのいいところ。
 で、リハーサル終了の声を聞くと、団長のボール・バーモントが皆さんのもとにやってきます。「こんに ちは」
ハンス 「やぁ、どうも」
GM 「いや、しかし正直言って驚きましたよ。実質五日間ですからね…もちろん粗捜しをすれば いくらでもありますが、これだけの期間でなんとかモノになった…実際天才としか言いようがありません ね。できればこのままウチの団員として迎えたいくらいですよ」とボールは笑います。
トレイシー 「でも、親御さんとの兼ね合いもありますし…」
GM 「そうですなぁ。公演が終わりしだい、私が親御さんのところにご挨拶にうかがわねばなり ませんな」
スコット あ、それはマズいんじゃ…
トレイシー 「え、ええ…あの、ニキータは私の遠縁の親戚でして…その…それに、やっぱり子ど もは親と一緒にいた方がいいと思いますの」
GM 「ごもっともです。あのくらいの年代は、いちばん家族の愛が必要な時期ですからなぁ」
ハンス 「そうですねぇ」といなしいなし…(笑)
GM と、その時。もう聞き慣れてしまった音、銃声が響きます。
スコット またか〜。
GM 銃声は一発ではなく複数です。それに応じて練習場内の明かりがパン、パン、パンと次々と 落ちてゆきます。練習場内は大騒ぎです。ほとんど明かりの消えてしまった場内に、黒ずくめの人間が傾 れ込んできます。暗いので正確な人数は判然としませんが、10人前後だと思われます。
 混乱の中、トマスの絶叫が響きます。「ニキータ!」
スコット ヴァルモン軍は何してるんだ!?
GM もちろん、警護をしていたネイビー(海軍兵)たちも、ジョン・カーライル少尉の(笑)指 揮のもと、応戦に出、練習場は一気に修羅場と化します。
ハンス 敵が撃ってくるわけだから、その銃の火が見えるよな。じゃ、そこ目掛けて…
GM 基本的に両軍とも銃機の使用はありません。当たり前だけど、ハンスの方法じゃ敵味方の判 別がつかないし、それに誰に当たるかも解らないから。
トレイシー 「とにかくニキータを守りましょう!」
スコット 「わかった!」


 ハンスは警棒を抜き、やみくもに応戦。一人を打ち倒します。
 トレイシーはニキータがいるとおぼしき方向へと走りだします。
 スコットは灯りを求め、右往左往。


スコット ランプを発見! 点ける。
GM スコットのランプに照らしだされた練習場内には、既にニキータの姿は見当りません。もち ろんフィラムのスパイたちの姿も。
ハンス げ? じゃ、オレがのばしたのは…
GM もちろん海軍兵士だ。(笑)
ハンス わぁ、「ごめん、ごめん!」
スコット 兵士も中にはドン臭いのがいるんだなぁ。
ハンス やはり先に外に出るべきだったか…


 だが、いまさら方法論の欠点を悔やんでみても、後の祭り。
 ネイビーたちとともにPCたちも練習場の外に飛び出します。
 しかし、結局取り逃がしてしまう。
 フィラムのスパイたちはまんまとニキータ拉致に成功したのである。


ハンス 「どうするんです、カーライル少尉!?」
GM 「むむむ…こうなっては仕方がない、機密が漏れるのはマズいが、とにかくあの娘の行方を 追う! 者ども、散れ!」「はい!」と、兵士たちはそれぞれに走りだします。…しかし、一向に進展はあ りませんね。ま、当然といえば当然で、戦闘が本職のネイビーたちに情報収拾がそうそうできるワケもない ですからね。
ハンス なんせ指揮とってるのがジョンだからなぁ。(笑)
スコット らしいなぁ…。
GM そこへ話を聞き付けてフェリエさんも現われます。
ハンス ああ、救いの神に見える。「少尉、実は…」
GM 「事情は聞きました。情報部員を野に放ちましたから、おいおい敵の足取りはつかめるでし ょう。それより、基地に捜索本部を設置しました。みなさんそちらに移動してください」と、てきぱきと 指示を飛ばします。
 とそこへ、ふわりと影が舞い下ります。
ハンス 誰かな?
スコット 名前なんだっけ…そう、ブリギッダ!
GM ご名答。「やはり信用できなかったわね」
トレイシー 「すみません〜」
ハンス 「なんせ、相手はプロなもんで…」
GM 「海軍さんもプロのハズだけど…」とブリギッダはフェリエさんを見ます。フェリエさんは その細い眉をしかめて、「責任は取るわ」
ハンス どっちかっつぅと、ジョンのせいなんだけどなぁ。(笑)
スコット 苦労してるね〜。
GM 「ま、あたしも連中がこんなに派手な手段に出るとは思わなかったけど…」とブリギッダも 悔しそうです。
スコット そもそも、ニキータを誘拐した理由が見えてこないんだけど?
ハンス そりゃ、ブリギッダをおびき出すためだろ。


 一行は捜索本部へと移動します。
 じりじりしながらも時は過ぎてゆきますが、やがて情報が飛び込んできます。
 フィラムのスパイたちは教会に立てこもっているということです(ハンス「そういえば、教会の そばでどうのって言ってたな…」)。
 それは、何もヴァルモンの情報部員が優秀だったためでも、フィラムのスパイたちがボンクラだったた めでもなく、そのスパイたちからの声明発表(もちろん公のものではありません)が、あったためです。


GM その内容は、やはりブリギッダに出てこいというものですね。もちろん、ブリギッダは応じ るつもりです。
トレイシー 「でも、行ったらブリギッダさん、殺されてしまいますわよ」
ハンス 「しかし手をこまねいているわけにもねぇ…」


 困りまくる一行。
 そうこうしているうちに、夜も白々とあけてしまいました。
 フィラム側の指定した刻限は午後8時…半日の猶予しかありません。
 しかし、強行突入の作戦しか思いつかない…。
 ちなみに、ニキータ主演の劇公演の開始時間は午後7時…実質の刻限である。
 刻々と時間だけが過ぎてゆく。
 すると、突然トレイシーが何かを思いついたように、基地を飛び出していった。しばらくして戻ってきた トレイシーの髪は、バッサリと切り落とされていた…。


一同 おおっ!(感嘆)
トレイシー 「もう、ニキータとは他人のような気がしないから…」
GM 確かに腕の立つメイクさんが手を施せばトレイシーがブリギッダに化けるのに難はないです ね。
スコット 「ちょっと、それはいくら何でも…囮ってことでしょ?」
トレイシー 「かまわないわ。確かに危険は危険だけど、私は何かを得るためには危険を冒さなけ ればならないこともあると思ってるの」
ハンス 「『虎穴に入らずんば虎児を得ず』…か」
トレイシー 「ニキータに最高のクリスマスを贈ってあげたいの。そのためなら、多少の危険は覚 悟の上です」
ハンス 「わかりました、このハンス。行けるところまでお供しましょう! な、スコット!」
スコット え、あ…「はい」


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