2002.1.11.

 その話は「あるところに男と犬がいて」 という文句で始まり、「彼らはいつまでも幸せに暮らした」 という文句で終わる。途中で3回ほど感動的なシーンがあり、1回だけアクションシーンがある。ロマンスのようなものはほとんどない。人は1人も死なないが、死を暗示するような描写はいくつかある。この前の日曜日とその前の日曜日を使ってぼくが書いた話で、題名はまだ考えていない。

 この物語は少しばかり長すぎるので、ここに載せるつもりはない。ここは長文を載せるにはあまり適さないスペースであるように思う。それに実際のところ、その話は読んでいてあまり面白いものではないのだ。男と犬が何となく旅に出る話なのだけど、彼らはなにも救わないし、好奇心がとくに旺盛なわけでもない。話の中の物事はたいてい未消化、未解決のまま終わる。

 載せるつもりはない、とは言ったものの、せっかく書いたのだから本当は見てもらいたいのだ。でも長い。だけど見てもらいたい。そこで、雰囲気だけ味わってもらおうと思う。これからぼくが物語の鍵となるものについて簡単に紹介するから、それを読んで物語の大体を感じ取ってほしい。もしこれを読んでどうしても本編が読みたいと思ったら、メールを送ってください。その時は前向きに検討したいと思う。


老人について。
 男と犬は旅の途中、幾度となくその老人と出会う。彼はとぼけたことばかり言い、日に焼けていて、しわだらけだ。わけのわからないタイミングで登場し、好き勝手なことばかり言って去っていく。彼との旅、そして彼との別れというものが、この話のテーマにつながっているような気もするのだが、ひょっとしたらそんなことはないのかもしれない。よくわからない。

標識について。
 あるいは標識がこの物語の方向を決定づけていると言ってもいいかもしれない。作中人物のほとんどはこの標識をひどく重大なものとして受け止めている。特に老人はこれを異常なほど気にしていて、彼がそれを見逃すことはない。それはいつもいつも標識らしい姿形をしているわけではなく、時にはウサギだったり、またあるときには潜水艦だったりする。

虹について。
 驚くべきことに、男と犬は虹を見たことがない。それだけならまだしも、虹というものに関して致命的な勘違いをしている。男は虹を7色の首を持つドラゴンだと思っている。犬は虹を老人と標識の間にできた子供の名前だと思っている。彼らは旅の途中で虹を見かけるのだが、それが虹だとは夢にも思わなかったので、それをアルパカだと思った。もちろん、彼らはアルパカも見たことがなかったのだ。

クリスタルについて。
 標識を発見するのに威力を発揮するこの鉱石は、老人の宝物である。老人はこれを若い頃、ロック鳥の巣の中で手に入れた。ロック鳥というのは、「アラビアンナイト」などに出てくる、ものすごく大きな鳥のことである。水晶はこの物語の世界では非常に貴重なもので、これに比べればオリハルコンのほうがまだありふれている。ちなみに、オリハルコンというのは軽くて固い幻の金属のことである。

科学者について。
 この青年は大学を優秀な成績で卒業したあと、自分の知識と技術を世の中の人のために役立てようとして旅に出た。彼は親切だし頭の回転も速いのだが、ちょっと神経質なところがある。彼はこの物語に出てくるものの中では例外的に標識を重要視していない。だから老人は彼のことをあまり信用しない。「いい奴なんだが」と老人は言う。「標識を信じないようではなあ」

宇宙船について。
 犬はそれを遺跡の中で発見した。その宇宙船にはキッチンがあるのにトイレがなかった。男と老人はそれを不思議に思ったが、どのみちその宇宙船は壊れていたので問題はなかった。この宇宙船をもとに科学者が作ったのが宇宙ロケットで、宇宙ロケットにはキッチンもトイレもついていた。さらに犬の希望により、犬小屋も設置されることになった。

キウイジュースについて。
 男と犬はこれに目がないのだが、科学者はキウイジュースなど非科学的だと思っている。つぶつぶが多いというのがその根拠だ。ただし、さすがにそれがおいしいことは彼も認めている。宇宙ロケットの燃料はキウイジュースが予定されていたが、もったいないのでガソリンになった。それによく考えたら、そんなものでロケットが飛ぶわけがないのである。

パラドクスについて。
 男と老人は8km離れた場所から向かいあって、同時に時速4kmで歩きはじめる。犬は男と一緒に出発し、時速12kmで走り出す。犬は老人に出会うと向きをかえて男のほうに向かって走り、男に出会うとまた向きをかえて老人のほうに向かう。こうして犬は男と老人の間を往復し続ける。男と老人が出会うまでに、犬はどのくらい走るのか。そして、男と老人が出会ったとき、犬はどちらのほうを向いているだろうか。



 長くなりそうなのでこの辺にしておくが、大まかな雰囲気はつかんでもらえたと思う。あと、大体どんな話なのかもわかったかもしれない。

 それから、この設定を使って物語を書いてみたいと思った人は、どうぞ遠慮しないで書いてください。著作権はフリーです。



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