2002.3.3.


 空に、海に、光に溶けるあの魚は、青く、透明で、キラキラと光っている。

 だけど、あなたたちには想像もつかないだろう。その魚が、どんなに青く、どれほど透き通り、如何に輝いたか。そしてそれがどのような冒険をしたのか。

 だからぼくが歌うのは、その魚―――流れるような青くて美しい体、小人たちの織った不思議の網さえすり抜ける 幻みたいに華麗な泳ぎ、一枚一枚の鱗が まるでいくつもの星のように輝き飛び跳ねる―――そのすべてなのだ。


 けれどもぼくが弦を爪弾こうと楽器に目を落とした瞬間、歌の中の、ぼくの心の中の魚はつるりと泳ぎだし、ちゃぽんと青に飛び込んで、溶けていなくなってしまった。 残されたのは、鱗がたった一枚。

 そして魚はそれっきりわずかな音も立てなかったので、ぼくにはついに魚が飛び込んだのが空だったか海だったかわからなかった。




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