| 2001.6.6.21:32 |
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その黒猫はぼくの目の前を、いま、まさに、横切ろうとしていた。 黒猫が目の前を横切ると不吉だ。 こんなことは誰だって知ってる。 もちろんぼくだって知っている。 具体的にはどんなことが起こるのかわからない。 わからなくたって、不吉なんてイヤだ。 こいつに目の前を横切らせちゃいけない───。 ぼくの本能がそう告げている。 わかってるさ。 (勝負だ、黒猫!) こうしてぼくと黒猫との戦いの火蓋は切って落とされたのだった。 黒猫の目が光った。 その目は夕闇の中にぼんやりと輝き、まるで「おまえを不幸にしてやるニャア」と言っているようだった。 これはぼくの思いこみではない、ということをはっきり言っておきたい。 なぜならその黒猫は、ぼくと目が合うやいなや、すかさずぼくの目の前を横切ろうとしたからだ! ぼくは慌てて、横を向いた。 これが“黒猫が目の前を横切ると不吉だ”という、有史以来人々を悩ましつづけてきた大問題に対抗する(じつに効果的な)防御法なのである。 ───人類の英知万歳! しかしぼくが横目で黒猫を確認すると、ヤツはさっきの場所から一歩も動いていないことがわかった。 どうやらぼくの目の前を横切ることを未だあきらめていないらしい。 それどころか、明らかに決意に燃えた目をしている。……ような気がする。(横目で見てるからよくわからないけど) 今度は黒猫、横にまわりこんでまで目の前を横切ろうという構えだ。 しかし問題ない。なにも問題はない。 ぼくもかつては“三国一の知将”と呼ばれた男だ。猫ごとき、この灰色の脳細胞の相手ではない。 ぼくはすかさず、うつぶせになった。 これが“黒猫が目の前を横切ると不吉だ”という、有史以来人々を悩ましつづけてきた大問題に対抗する(完全にして確実な)防御法なのである。 ───勝った! というわけで、5日間ほど外でうつぶせになっていました。非常に苦しい戦いでした。勝てたからよかったけど。 しかし、そのせいでこのように更新が遅れましたことをお詫び申し上げます。 申し訳ありませんでした。 |