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女王はマントを翻し、塔の螺旋階段を足音も高く駆け下りて行く。それはもう、実に凄まじいスピードだ。カツンカツンという足音がカカカカカカカカカカカカカカカと聞こえるほどの速度だ。白くて細くて色っぽい足が、10本にも20本にも見えるほどの勢いだ。彼女をそれほど駆り立てているのは、急がないとパーティーに遅れてしまう!という、ただそれだけの気持ちだけだったのだが、それも無理はなかった。なにしろ、この城に人がやってくることなど非常に稀であったし、パーティーとなると、これはもう何十年も昔のことだったからである。
転がるように階段を降りていく女王は、その瞳を爛々と期待に輝かせていた。人々の声、楽しい食事、愉快なダンス!ああ、早くこの階段が終わらないかしら、と彼女は思う。人々は喚声を上げて私を迎え、私は久しぶりに温かい食事をとる。そのあとはみんなで踊るのだ。またこんな日が来るとは思わなかった──!
長い階段がやっと終わった。広間へと続く扉からは、柔らかい光と人々の笑いさざめく声が洩れていて、女王をより一層興奮させる。扉を恐ろしい勢いで開き……というよりぶち破り、女王はパーティー会場に飛び込む。その姿を見て、人々は喚声を上げた──驚愕と恐怖の叫びを。
蜘蛛の女王は、あまりの驚きに悲鳴を上げることしかできない着飾った人々の群れをうれしそうに眺め、あっという間にそのうちの数人を掴み取ると、さも美味そうにボリボリと頭から齧り出した。我に帰った人々が慌てて逃げ出すと、女王は出口という出口に糸を吐いて逃げ道を塞ぎ、ぴょこんぴょこんとおどけたように飛び跳ねながら人々を追いかける。
そして、「ああ、本当に楽しいこと……!」と感極まって呟くのだった。
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