太陽と鰐と星の為の芝居
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20040926


 エイシャムはある晩、恐竜に苦しめられる遠い王国を夢に見た。狡猾で邪な表情を浮かべた九頭の竜と、その脅威に震える美しい姫を。猛る鬼神を百煉の刀で屠り、唸る魂魄を七宝の笛で鎮めたこの英雄は、夢から醒めるとすぐさま準備にとりかかった。彼は二角の冑に魚鱗の甲を身につけ、銅八重の盾と鬼殺の鈿剣を手にとって、撫霊の笛竹を懐に忍ばせると、まだ夜も明け切らぬうちに、日に千里を駆ける愛馬ウッカに跨り、一人ひっそりと邸を後にした。

 ろくに休みもとらぬまま、エイシャムと彼の赤い馬は不滅の輝きを放つ北の瞳星を目指し、一目散に夢の王国へと向かった。彼らはあたかも熱沙に吹く燃える風のように、一晩で五の集落と二つの町、四つのオアシスを駆け抜け、眼前に立ち塞がった三匹の怪物と十一人のアサシンを、怒れる神の雷槌さながらに打ち滅ぼした。そうして三昼夜、射放たれた矢の如く北方へと進むと、やがて天土や鳥獣の容子が彼らの知るものとはだいぶ異なるものになって来、さしもの偉大な英雄と忠実な駿馬にも疲労の色が見え始めた。

 しかしエイシャムは一向休息を取る気配も見せず、いまだ意気衰えぬウッカを駆り先を急いだ。彼の霊感は目的の地が近いことを告げていた──同時に、別の予感をもこの英雄は既に感じ取っていたのだが──からだ。

 その夜、霊感は荒廃した城に綣局を巻く八叉のくちなわの姿をとって現れた。獰猛に牙を軋ませる竜に、人馬は躍りかかった。九つの首が一つ落ち二つ落ち、夜も終わりを告げようとする頃には、最も邪悪な一つを残すのみとなった。やがて闇に赤月が翻り、とうとう竜が地に倒れ伏すと、国民はみな歓喜の声を上げた。国民は口々に国と姫を首尾よく救った一人と一頭の英雄に感謝の気持ちを浴びせたが、彼らに必要なものは何よりも休息であることを見て取ると、すぐに城の一室と厩を用意した。戦いで疲弊したエイシャムたちは謹んでそれを受け、それぞれ寝台と寝藁に身を横たえると、あっという間に眠りに落ちていった。一方、王国は竜から解放された喜びに沸き返り、いつ終わるとも知れぬ宴が国のそこかしこで行われたのだった。

 その晩、エイシャムはなにもかもを飲み込む深海の闇鯨に悩まされる小さな島々を夢に見た。多くの戦士たちが鯨に立ち向かったが、みな鯨が持つ混沌の胃袋に飲み込まれた。島の人々は英雄の助けを待っていた。エイシャムを除いては誰もこの怪異に打ち勝つことは出来そうになかった。そこで彼は目覚めるや忽ち驚異の武具に身を包み、既に疲れなど微塵も感じさせぬ愛馬に跨ると、一人こっそりと城を後にしたのである。

 


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気の遠くなるほど広大な鳥男と青銅の姫 あるいは古城のパーティー問答滑稽話ここには本来古櫃




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