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◆扶桑武侠傳◆

北海陰風動地来 明君祠上望竜堆 髑髏尽是長城卒 日暮沙場飛作灰 −常建

 そもそもこの武侠とは、一言で言えば武術を修め、義に生きるヒーローのことです。あえていうなれば、中国風西部劇と言うところでしょうか。 映画「英雄」などがこの世界観に近いといえます。いやむしろ、この扶桑武侠傳と言う作品はあの映画をどこまでも再現することを目的としているのです。

 扶桑武侠傳の世界で特に重要視しているものをあげると、「哀しさ」と「美しさ」となります。生き様ゆえに葛藤し、戦わなければならない武侠たち。 この世界はほかの多くのゲームとは異なり、モンスターなどは存在しません。 それゆえ、敵も心を持った人であり、しかも話の通じる、それでいて運命ゆえに分かり合えないものとして描かれます。 そのため、その死も、軽んじられるよう物では決してないのです。これがこの作品の持つ、「運命の哀しさ」です。

 また美しさに関しては、なんといっても武侠達の超人性が強く描かれており、空中を走るかのごとく跳びまわる武侠の姿が印象付けられています。 また、この作品では情景をコントロールするルールが存在します。多少使い方に難度はありますが、 うまく描くことができれば嵐の中での武侠たちの戦いを映画的演出でもって描くことができます。

 判定ルールは類を見ないトランプとダイスが共存するルール。このルールは幾分難解で、簡単に理解できないところがあります。 確かに一度やってみればそれほど複雑、と言うわけでもないのですが、それでも一般的なゲームに比べればかなり難解な部類に入ります。 ただ、このルールが、この世界を再現するために全力が注がれている、と言うのは間違いありません。

 この作品は超人を描くものでありながら、勧善懲悪の物語ではありません。因果応報、まことこの世は救われぬものなのです。

タイトル: 扶桑武侠傳
制作: 小林正親
発行: 新紀元社
ページ数: 200ページ
定価: 4000円
出版年: 2005年
ISBNコード: 4-7753-0396-1