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◆ダブルクロス The 2nd Edition◆

ダブルクロスは一見何の変哲も無い現代社会の裏側を舞台にし、レネゲイドと呼ばれる未知のウイルスによって超常の力を身に付けてしまったオーヴァードと呼ばれる超能力者をPCとするシステムです。端的に言えば炎を出したり、雷を出したり、獣化してみたり、人外の身体能力を発揮してみたり、そういう現代異能力モノを再現することに特化したシステムと言えるでしょう。

本作品においてその能力は半端な一般人が努力しようが束になろうが話にもならないほど強力無比なものです。
ですが、このレネゲイドの力には致命的な落とし穴があります。一定以上にウイルスに侵食されるとウイルスが引き起こす衝動に乗っ取られる形となりジャームと呼ばれる人ではない化け物へと変貌してしまうのです。ジャームとなってしまった者はもう元の人間に戻ることは出来ません。この一点を代表にこの人には過ぎた超常の力は往々にして様々な歪みと悲劇をもたらします。
自身も徐々に非日常的な存在へと変貌しつつも日常的な生活や人間関係に依存し、人間であり続けることを選ぶダブルクロスと呼ばれたオーヴァード、それがPC達です。彼らはジャーム化の危機とウイルスの引き起こす衝動に耐えながらレネゲイドが引き起こす非日常的な事件、ひいてはウイルスのもたらす運命そのものと戦い続けるのです。

ここからはやや私見になりますが、このゲームの魅力はPCとPLの感情をシンクロさせやすいことにあると思います。
このゲームでは侵食率と呼ばれる件のウイルスに侵食されている度合いを示す数値によってジャーム化してしまうか否かのボーダーが定められています。無論、力を行使し事件に首を突っ込むほどにそれは高くなっていきこれが上がることで力そのものもまた強くなっていきます。またPCにとっての執着、大切な存在との絆はロイスと呼ばれるもので表現され、それはそのままエンディング前に上がった侵食率を下げてくれるPLにとっても非常に大切なものです。
このボーダーラインの具体的な数値化とその上昇が絶妙のバランスでありクライマックスに近づくに連れて高まるジャーム化への恐怖、PCが感じるロイスが大切な存在であるという想い等をPLは侵食率という数値を介してダイレクトな形でシンクロすることが出来るのです。
余分かもしれませんが舞台が現代であるということ、PCたちのメンタルが決して超人ではないことも共感しやすい一因かも知れません。

データ的にはほぼありとあらゆる超人的な行為は侵食率との等価交換によって成立し、強力な能力であればあるほど上昇する侵食率もまた高いというのが一般的なシステム。戦闘中などリスクとリターンの配分を常に考える必要があり慣れていても、あるいは慣れてくるほど余計に思考時間を取るゲームと言えます。
個人的にはそれがまたたまらなく好きなのですが。ですが人によってはこの侵食率を根幹に据えたシステムによるストレスが気に入らないかも知れません。本当の意味で楽しむには慣れが必要かも知れませんし、けして初心者向けではないと考えています。
それでもそのストレスを乗り越えた先に見えるものはそのPCがそれだけの思いをしても護りたいもの、そして戦う理由。それにシンクロしたときの快感は他のゲームには味わい難い魅力があると確信しています。
いかがでしょう?現代超能力モノ、ダークヒーローっぽい感じをやってみたいなら是非ともお勧めのシステムです。

制作: 矢野俊策/FEAR
発行: 富士見書房
ページ数: 240ページ
定価: 4000円(税別)
出版年: 2003年2月
ISBNコード: 4-8291-7531-1