第1回STFコンベンションで行なわれたシナリオで配布されたプロローグ文章です。
もっと見たい人は、”久音のホームページ”に行きましょう。
予告 〜 島原の乱
寛永14年10月25日、圧政とキリシタン弾圧に耐え切れなくなった島原の農民が 一斉蜂起、領主松倉重政の居城島原城を襲撃、それに呼応するように天草でも蜂起、 寺沢氏の富岡城を襲撃。対する幕府は、板倉重昌を司令官に任命し九州諸藩の兵4万5千を派遣。 幕府軍襲来を知った一揆軍は、廃墟と化していた原城に立てこもり、これに対抗、 甘く見ていた幕府軍を撃退、板倉重昌をも討ち取る。 幕府はさらに老中「知恵伊豆」松平信綱を派遣。松平信綱は一揆軍に解散を求めるものの一揆軍これを受け入れず、 翌寛永15年2月27日に始まる幕府軍12万5千の総攻撃の前に、一揆軍3万7千は皆殺しで鎮圧された。 これが、世に言う「島原の乱」である。
幕府の命令で、キリスト教布教のためにはるばる異郷の地に訪れていた宣教師たちは 日本の外へと追放された。 一人の宣教師が、去り際に、一つの≪予言書≫を残していった。 『空が焼け、海が荒れ狂い、人々が絶望の淵に追いやられし時、 聖なる地≪アマクサ≫に、聖なる御子降臨し給うであろう。 御子は、十字架を掲げ、人々を永遠の楽園に導くであろう。 ≪セイハイ≫の奇跡は、必ずや御子と共に訪れん―――――』 原城は、三方を断崖絶壁の海に囲まれた自然の要塞、打ち捨てられたる城であった。 その原城から、海を望む青年。海上に朧に霞んで島―談合島―が見える。 青年の名は、益田時貞――天草四郎その人であった。 「奇跡は、≪セイハイ≫の奇跡は、本当に起こるのだろうか」 その顔に、憂いが満ちる。 原城に立てこもりし、一揆軍の指導者的立場にいる小西行長家臣たちは、確かめるように訊いた。 「伴天連殿、約束は守っていただけるのでありましょうな」 伴天連は、ワイングラスを揺らしながら、 「もちろんでありんすよ」 にやりと笑った。 家臣たちが闇の中に消えたあと、一人残りし伴天連のその顔に、酷薄な笑みが刻まれた。 伴天連の背後の闇が踊る。そこには、二人の≪天使≫が立っていた。 「それでは、≪セイハイ≫の儀式を始めるでありんすか」 闇の中に、伴天連の笑い声がこだましていた。 江戸城の奥にて、天海は、闇を見つめていた。 その瞳は、今を映さず、過ぎ去りし時を映す。 赤く燃え盛る炎。すべてを燃やし尽くす炎。炎の中で死にゆく多くの人々。 「≪あの男≫を蘇らすわけにはいかないのだよ」 背後から幕府を突き動かし、大軍を投入する。 ようやく復活の兆しを見せ始めた天台宗比叡山は、静かに、勢力を拡大すべく、胎動を始めていた。 「それに、≪セイハイ≫だ。あれだけは、なんとしても手に入れねばな」 天海は、我知らず、にやりと笑みを浮かべていた。 絶壁の上にある原城からは、生活の匂いを感じさせる煙が上がっていた。 数多くの村から村ぐるみでやってきて、城の中に立てこもり、もはや後戻りできぬ異常なる生活を続けていた。 風の具合によっては、子供たちの遊び戯れる笑い声が聞こえてくる。 『知恵伊豆』松平信綱は、城の中で生活している人々を思っていた。 「なぜ、投降しない。投降しなければ、どうなるのか、わかっていないのか」 幕府軍内の軍議は、総攻撃、老若男女皆殺しに傾き始めていた。 島原藩藩主松倉重政は、頭を抱え、もだえ苦しんでいた。 「私が悪いわけでない」 「ほほう、悪くはないんですか」 「私は幕府の命に従っただけだ」 「幕府が怖かったからでしょう。だから、媚びるように、言われるがままだったのでしょう」 「父が手に入れた折角の地位を失うわけにはいかなかったのだ」 「己の私利私欲のために、多くのキリシタンを雲仙の火口に投げ込み、 農民が到底払えないほどの年貢を納めさせ、自分はのうのうとその農民たちに 作らせた城の中で暮らしていたというわけですか」 「私が悪いわけではない」 「ですが、このような事態になった今、どうなってしまうかは、おわかりでしょう?」 「私が悪いわけではない!!」 「私の言う通りにしなさい。さすれば、貴方は救われます」 徳川忍軍を統べる服部半蔵が、闇の中から染み出すようにその姿を現わした。 「難攻不落の城と化した原城を内側から落として見せましょう。なにしろ奴らは、 烏合の衆。『無理なりキリシタン』などと呼ばれているキリシタンではない者も多くおります。 そやつらをそそのかせば、内部崩壊も容易いものと存じます」 現われた時と同じように、その姿は闇の中に溶けるように、消えていった。 遥か遠くにあるはずの幕府軍の陣内がよく見えた。 磔になっている女性の姿が、はっきりと見えた。 「は、母上」 天草四郎は、動揺を隠し切れなかった。 柳生新陰流柳生十兵衛三厳は、崖の上から静かに成り行きを見守っていた。 「これが、予言書……≪末鏡≫に記されていたことなのか。ならばこの先何が起こるというのだ」 「むろん、楽しきことですよ」 「ぬわっ、お、おぬしはー!!」 目の前に、二刀流の老人が立っていた。 凄まじいほどの剣気に圧倒される。 「あ、貴方は!?」 だが、老人の瞳は何も映してはいない。 そこにあるのは、吸い込まれそうな虚無しかなかった。 上空を見上げると、暗く澱んだ雲の下に、黒い大きな影が無数に浮かんでいた。 「あ、あれは何だ!?」 伴天連は、上空を指差して、高らかに、嘲笑った。 「我が国最強の無敵航空師団でありんすよ」 「お、お前は!? し、しかし、お前は、死んだはずでは」 男は、狂ったように笑った。 「私があの程度で、死ぬとお思いですか。私は死にません。死ぬわけにはいかないのですよ」 禍禍しき気が暴風となって荒れ狂う。 その手には、≪セイハイ≫が、あった。 「天台宗と伴天連の争いに参加しない話はないであろう」 陰陽師は、言った。 「なんとしてもここで恩を売り、朝廷に対するお金の支給をアップし、堂上人の生活に潤いをもたらさなければならないのだぁ。 それは、つまり陰陽寮の予算アップ、私の給料アップにつながるのだぁ」 「え、≪セイハイ≫を求めてるんじゃないんすか?」 「あーあー、そーいやそんなのもありましたね」 絶壁に大きく亀裂が走っていく。原城の下から、巨大な姿が現われ出でようとしていた。 「な、なぜあんなものがここにあるのだ!?」 すべての現実を薙ぎ倒し、戦乱の行方は大きく変わろうとしていた。 「ば、幕府はあんなものまで、この戦に投入するというのか。一体どういうつもりなのだ」 「大きな戦乱はこれ以後起きそうもありませんからね。ちょうどいいテストですよ。幕府の力を九州の外様に見せつけるね」 「奴を止めろ! なんとしても食い止めるのだ!!」 「こ、これが末鏡に記されていた≪セイハイ≫の力なのか!?」 暗雲を切り裂き、一条の神々しい光が、地上に降り注いだ―――――― 予言書≪末鏡≫……天草四郎時貞……≪セイハイ≫という言霊………… 統べての答えは天草にある 貴方は今、時の涙を見る――――――
警告: この予告編は筆者が勝手に書いたものなので、GMはこの予告編には一切関知しておらず、 当日実際のシナリオがこの予告編の内容と≪大幅に≫違ったものであっても、当局は一切責任はとりません。悪しからず(笑) 緊急告知: 日本史に疎いGMは、日本史に関連したネタを求めております。そこで、皆様に≪予告編≫の募集をいたします。 GMのことなど一切関知せずに、無責任に多いに腕を振るった作品を期待しております。 「次の予告編を書くのは貴方だ!!(かもしれない)」 (できれば、シナリオにしやすい話がいいです:GM談) 以上、GMからの戯言でした。
[参考資料] 高校の時の教科書。 堂々日本史(NHK) 魔界転生