「駆け出しの冒険者」
パーティ結成?
どきどき・・・にゅう〜、落ち着いて・・・これから私は冒険の第一歩を踏み出すのですから・・・
あっ、こんにちは、私の名前はエティエンヌ・リル・ルーザ、賢者の学院で学んでいる魔術師です。といってもまだまだ腕は未熟ですけどね。
今、目の前にはここオランで「冒険者の店」として名高い「古代王国への扉」亭の扉があります。
え?冒険に出た動機ですか?研究の為にしばらく冒険者として生活していこうと思ったのですよ。
その研究とは「グラスランナーはどうして魔法を使えないのか?」というものです。その原因が分かれば魔法の源であるマナの本質の解明にも役立つだろうし、グラスランナーのあの莫大な精神力の謎も分かるかも知れないんです。世間ではあの「お気楽な性格」が原因だと言われてますが、私には何か他の・・・・・・・っと今はそんなことはどうでもいいですね、中に入らないと。
どんっ!!
「・・っと、すいません」
ちょうど私と同時に入ろうとした人が五人もいて、入り口で詰まってしまいました。
「あっ、お先にどうぞ」
「いえいえ そちらこそどうぞ」
「僕は最後でいいよ」
「私も後でいいが」
「誰でもいいから早く入ろうぜ」
「じゃあ俺様から入ろう」
ガヤガヤガヤ・・・・。譲り合いになり、なし崩し的に団子状で店に入りました。店には数人の客がいましたが、冒険者はいないみたいです。
主人が・・・確か名前は「ラウダさん」でしたっけ・・・私達を見て声をかけてきました。
「・・・見たところ冒険者志願みたいだけど、仲間なのかい?」
みんないっせいに首を振りました。
「そうかい、しかし君達六人は人数も構成もパーティとして、ぴったりみたいだな。これも縁だと思って組んでみたらどうかな?一人じゃ冒険は難しいぞ」
確かにパーティを組むのは冒険者の常識です。私は他の五人を見渡しました。
譲り合いの中、最初に店に入った人はマイリーの神官戦士でした。あんなに自信に満ち溢れた態度をとるなんて、それなりの腕前なんでしょうね。
もう一人の人間の男性も戦士のようです。地方の村から出てきて一攫千金を目指して冒険者になろうってところですかね、なかなか抜け目が無さそうです。
ちょっと変わった格好の私と同い年くらいの女の子もいました。蛮族の出身みたいですけど、あんまり野蛮な感じはありません。
エルフもいました。私はエルフを見るのは初めてです。美形ですけどなんか目つきが悪くひねくれた印象です。「高貴な森の妖精」のイメージとはちょっと違いますね・・・街に出てくるエルフはたいてい変わり者だとも聞きますしね。
後、グラスランナーの男の子もいました。仲間にグラスランナーがいれば大いに研究がはかどるに違いありません。それにグラスランナーは盗賊として優秀な素質を備えているとも言いますしね。
周りの人もお互いに値踏みして色々と考えているようです。
「確かにパーティを組むことによる利益は大きいな」
「俺も盾になる戦士が欲しいな・・・」
「私も仕えるべき勇者を探していたところですわ。」
エルフと蛮族の女の子が神官戦士を見ています。確かに彼は体格もいいし強そうです。でも「盾」って・・・・。
「仲間は多い方が楽しいしね!」
やっぱりグラスランナーの基準はそこですか。
とにかくみんなパーティを組むことに異存はなさそうです。
「どうやら組むことにしたようだな。まあ難しく考えることもない。もし気に入らなければ別れてもいいし、気が合えば続ければいい」
満足そうな笑みを浮かべてラウダさんが言いました。
「そうですわね。私はマイリー神官のダーナ・レガリアと申します。よろしくお願いしますわ」
蛮族の女の子が自己紹介の口火を切りました。
「俺様はラハード・ザ・ミッシェル。覇王を目指している。剣での戦いは任せてくれ」
覇王って・・・・この神官戦士の人ちょっと危ないんじゃ。まあ剣の腕に自信があるのは事実みたいですけど・・・まあ本当に危ない人だったら別れればいいですしね。
「私の名はビネガー・ド・フランス。一攫千金を目指して冒険に出た。こう見えても親が学者なので知識には自信がある」
もう1人の男の人が自信ありげに言いました。冒険には学者の知識も色々と役立つでしょう。それに腰に下げている剣も使えるようですし。
「俺はルイン。見ての通りエルフで得意技はこれだ」
と手のひらに光の精霊の「ウィル・オー・ウィスプ」を出しました。なるほどエルフの得意な精霊魔法ですね。
「僕はパーン。パーン・ミル・ピーナっていうんだ。よろしく!」
グラスランナーの男の子が元気よく言いました。
「私はエティエンヌ・リル・ルーザといいます。エティと呼んで下さい。古代語魔法を少々扱えます。皆さんよろしくお願いしますね・・・特にパーン君」
「えっ、なに?」
「ちょっと私の研究に協力していただきたいんですよ。別にそんな危ないことはしませんから、安心してください。」
これは本当。別に解剖するわけじゃないし、ちょっと話を聞かせて欲しいだけなんですけど・・・でもパーン君はちょっと怖くなったみたいでじと目で後ずさりしました。
その様子を見てラウダさんは
「うんうん、こうやって新しい冒険が始まるんだよな。まあ宿帳に名前を書いてくれ。私が君達に『冒険者の心得』を教えてやろう、冒険者というものはだなぁ・・・・」
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど・・・・・・・・・・。
ラウダさんの「冒険者とは」の話が延々と続きました。最初は熱心に聞いていましたが段々退屈になってきました。あっ、ラハードさんなんか寝てるし。
退屈だから店の中を見てみると・・・やはり昼間だけあってお客は少ないですね。私達の他には商人風の人が二人と執事風の男性が一人。商人は冒険者と色々取引する為にここにいるんでしょうね。執事風の人は何の用事があるんでしょうか?なんか気のせいか時々こちらを見ているような気もしますし。
「・・・というわけでこれからうちの店を拠点にがんばってくれ」
あっ、やっと話が終わりました。最後に自分の店の宣伝をするところはさすがです。
とにかく やっと話から解放されて丸テーブルに腰を落ち着けることができました。気のせいかみんな少しぐったりしているようです。私は学院の講義でこういうのは慣れてるから平気ですけど。
「ねぇねぇ、あの執事風の人がさっきからこっち見てるよ」
小声でパーン君が私たちに囁きました。どうやらパーン君も気づいてたみたいです。
パーン君の言葉でみんなが注目するのとほぼ同時に執事風の人が私達のテーブルに近づいてきました。
初仕事?
「すいません、冒険者の方とお見受けしましたが」
執事風の人が見た目どおりの丁寧な口調で言いました。
あっ、これはもしかして「冒険の依頼」というやつでしょうか。もしそうならこれが私の「冒険者への第一歩」となるかもしれません。どきどき・・・・少し緊張してきました。
「そうだが、あんたの名前は?」
ラハードさんは全然緊張していないみたいです。仮にも覇王を目指すと豪語しているだけあってすごく堂々としています。
「申し遅れました、ボフィンといいます。実は私のご主人であるアーセル伯爵様から依頼があるのですが・・・・。是非ご主人様に会っていただけないでしょうか?」
そういってボフィンさんは私達の顔色をうかがいました。
思った通り仕事の依頼のようです。
「分かりました。とにかく会ってみましょう」
あっ、初めての依頼に興奮して 思わずみんなの了解を得ずに答えてしまいました。みんなの意見はどうなんでしょう?私はみんなの顔を見渡しました。
「そうだな、懐も寂しいしな」
ビネガーさんはニヤリと笑いました。
「そうですわね、冒険者としての第一歩ですから話を聞いてみたいですわ」
わわっ!第一歩なんて言わないほうが・・・・と思いましたが、ダーナさんの言葉にボフィンさんの表情は明るくなりました。
あれれっ?新米冒険者なんて分かったら不安になると思ったんですけど・・・・。そんなに簡単な仕事なんでしょうか?
「僕も文句はないよ」
「俺様も異存はない」
「話を聞くぐらいいいんじゃないか?」
どうやら みんな乗り気のようです。
それを見てボフィンさんは嬉しそうに言いました。
「ご主人様に会っていただけるのなら今すぐにでもご案内します」
こうして私たちは冒険者への第一歩を踏み出したのです。
ボフィンさんの案内でオランの街中にある館に着きました。どうやらここにアーセル伯爵がいるようです。「伯爵」というから豪邸を想像してたんですけど・・・・・・「館」と言うよりむしろ「家」といった感じです。おまけに手入れも行き届いてないようで、所々傷んでます。
「ご主人様、冒険者の方々を連れてきました。さっ、皆様奥へ」
ボフィンさんはノックしながら家に向かって言いましたが、奥からは何の返事もありません。
でもボフィンさんは気にした様子もなく、私達は応接間のような部屋に通されました。
「へぇ〜これが人間の家かぁ・・・暗いなぁ、カーテン開けようかな?」
「勝手にそんなことしたらダメですよ」
私はすかさずパーン君の襟首を掴みました。パーン君は恨めしそうに私を見て呟きました。
「むぅ、なんか暗いのヤだな・・・」
確かにパーン君の言う通り昼間だと言うのにカーテンが閉められていて薄暗くて落ち着かないです。でもカーテンを閉めているのには何か理由があるかも知れませんし、勝手にいじるのはよくないです。
しばらくすると奥の扉が開いて猫背で白い髭を蓄えている老人が入ってきました。たぶんこの方がアーセル伯爵でしょう。
「狭いところですまないね。冒険者と言うのは君達だね?」
驚くほどしわがれた声です。確かにかなりの年齢のようですけどそれにしてもひどすぎるような・・・・。
「はい。あなたはアーセル伯爵ですね。」
「ああ、わしはアーセル伯爵・・・・いや、今はもう伯爵ではないな」
ビネガーさんの言葉に伯爵は苦笑したように思えました。薄暗くてよく表情が見えないのではっきりとは言えませんが・・・。でも今は伯爵じゃないってどういうことなんでしょう?
「わしは西方にある国の貴族だった。今はもう捨てたがな・・・・」
言いながらをアーセル伯爵は私達の向かいの椅子に座りました。
何か事情がありそうなのでこれ以上突っ込まないでおきましょう。
・・・あれっ?なんか変わった匂いが・・・・?
「あの、香水か何かつけてます?」
私の問いにアーセル伯爵は満足そうに
「気づいたかね? これはわしの好きな匂いでな」
私の知らない匂いですね、西方のものなんでしょうか?なんか変な匂いです・・・・。
「仕事の内容は?」
香水には興味が無さそうにラハードさんは言いました。
そうそう、それを聞かないと。でもこの家を見るかぎりたいした依頼は期待できなさそうです。
「君達にある剣を探して欲しいのだ」
「もしかして魔法の剣ですか?」
確かに物によっては何万ガメルもする魔剣だったら冒険者を雇っても手に入れる価値はあります。
でも私の問いに伯爵は首を横に振りました。
「魔剣かどうかは分からないが価値があることは確からしい。どうもわしの三代ほど前はこのオランの近くに居を構えていたらしい。そして家宝とも言われる剣をある場所に隠したらしいのだ。理由は分からんがな」
「家宝の剣」ですか、それなら魔法がかかってなくても美術品としての価値もありそうです。
「その剣のことを知ったわしは一目見ようと、老いた体に鞭打ってオランまでやって来たのだよ」
そうですか・・・・。
でもご先祖様が剣を隠したのは何か理由があったんじゃないでしょうか?呪われてるとか・・・・。でもどんな剣なのか興味はありますね。
「その剣の特徴は?」
ラハードさんはこの仕事に乗り気なようです。やっぱり戦士ですから剣には興味があるんでしょうね。
「剣の特徴は分からないが、ある場所なら分かっている。この依頼受けてくれるのかな?」
「「依頼料は?」」
二つの声が綺麗に重なりました。パーティを組んだばかりなのにビネガーさんとルインさん息がピッタリです。
二人の問いにアーセル伯爵は顔を曇らせました。確かにこの家を見る限りたいした依頼料は払えなさそうです。
「あまり手持ちはないのだが・・・・剣を見つけることができれば一人200ガメル払おう。しかし、もし見つけることができなかったら1ガメルも払うことはできない」
「「必要経費は?」」
本当にこの二人、息があってますね。
「必要経費は100ガメルまでだな。それ以上は無理だ」
伯爵はため息をつきました。
依頼料はあまりいいとは言えませんが、剣の場所も分かっているようですし楽な仕事になりそうです。まあ、初心者冒険者の私達にはふさわしい仕事といえるでしょう。
「まあこの程度だろうな」
「俺様の初仕事として申し分はないな」
「俺も別にいいぜ」
ビネガーさん、ラハードさん、ルインさんはうなずきました。三人とも受けるつもりのようです。
「僕は受けたいね、好奇心がうずくよ」
典型的なグラスランナーの思考ですね、パーン君。
「人が困っているのですから、助けたいですわ」
ダーナさんはとても優しい人のようです。戦神マイリーとはいえ、さすが神に仕えている方は違います。
私達の様子を見てアーセル伯爵は言いました。
「依頼を受けてもらえるようだね。では君達を信用して隠されている場所を教えよう。ここオランから半日ほど西に行った所に廃墟がある。そこに剣が隠されているはずだ。」
意外と近いんですね。これは思った以上に簡単かも知れません。
「廃墟にはおそらく何も残ってないだろうが、一番奥に祭壇がある。その祭壇を動かすと地下への階段が出てくるはずだ。わしはここまでしか知らない、後は君達が探索してくれ」
「他の冒険者がすでに入って、その剣を持っていったということもあるんじゃないか?」
ルイン君が私の思ったことを口にしてくれました。もしそうだとしたら私達ただ働きになるんでしょうか?
「そうかもしれないな・・・・その場合はそれなりの証拠を見せてくれれば報酬は払おう。だがわしの調べたところによると、鍵というかコツがないと地下に下りることができないので、あまり心配することはないと思う」
アーセル伯爵は言いました。伯爵自身あまりそういう心配はしてなさそうです。よほど難しいコツがあるんでしょうか?
「君達も冒険者なら分かると思うが依頼を破り、持ち逃げしようなどという気を起こさないようにな」
「そんなこと思っていませんよ」
ビネガーさんはムッとして言い返しました。
伯爵も無け無しの(だと思われる)お金を払って依頼してるんですから用心深くなるのも分からなくもないですけど・・・・。
「期限は特にないが、あまり遅くならないようにしてくれ」
伯爵は言いました。
「そうですね、では明日にでも出発します」
そう言って私達はアーセル伯爵自身に見送られてこの家を後にしました。
出発!
私達が「古代王国への扉」亭に帰ってきた時にはもう夕暮れ時で冒険者風の客がちらほら見うけられます。
「ねえ僕、お腹すいたんだけど。とりあえずご飯食べない?」
パーン君の提案に反対意見はなく私達は夕食を取ることになりました。
「おっ、さっきの新米冒険者じゃないか、仕事が見つかったのか?」
まだそれほど忙しくないのか、ラウダさんは食事中の私達に声をかけてきました。
「うん。アーセル伯爵って人の頼みで仕事で西の廃墟に行くことになったんだけど、何か知らない?」
パーン君、食べながら話すのはお行儀悪いですよ。
「アーセル伯爵というのは知らないが、廃墟と言うのは多分あの廃墟のことだろう・・・・知ってるよ。今は建物も壊れてしまっているがな。まあゴブリンが住み着いているかもしれないが駆け出しの君達にはちょうどいいんじゃないか」
ラウダさんの言葉には馬鹿にしたような響きがありません。他にも必要な保存食の量等を教えてくれました。本当に私達のことを考えてくれているようです。
「先輩の冒険者にも聞いてみたらどうだ?エールの一杯でもおごれば快く答えてくれるぞ。情報を集めるなら他にも色々あるがな」
ラウダさんはそう言ってカウンターに戻っていきました。
「そうだな、情報を集めるのに越したことはない。こういった冒険者同士の付き合いも必要だろう。パーン、お前は別の所で情報を集めてきてくれ」
ビネガーさんはそう言ってラウダさんにエールを注文しました。
「うん、わかった。じゃあちょっと出かけてくるね」
パーン君はご飯を食べ終わるのと同時に「古代王国への扉」亭を出て行きました。多分行き先は盗賊ギルドでしょう。・・・・でも盗賊ギルドまで聞きに行くようなこともないと思うんですけど。
パーン君が出ていった後、私達は近くにいた冒険者に近づいて行きました。にゅぅ、ただ情報を聞くだけなのに緊張しちゃいます。私、うまく話せるでしょうか?
「ちょっと聞きたいことがあるんだが・・・・。まあこれは私達のおごりだ」
私の心配など知らずにビネガーさんはエールをその人達の前に置くと、空いている席にスッと座りました。
ルインさんもラハードさんも続いて空いてる席に座りました。もう椅子は残ってなかったので、私とダーナさんは他のテーブルから椅子を持って座りました。
「おっ?すまねえな。ありがたく頂こう。で、何が聞きたいんだ?」
その先輩冒険者は遠慮なくエールを手に取りました
「西に廃墟があるだろ。そこについて何か知らないか?」
ルインさんが尋ねると、その先輩冒険者は「ああ、あのことか」とエールを飲みながら言いました。
「あそこには俺も昔行ったもんだ。見つかった頃は地下があるとか騒がれもしたが、結局見つからなくてな、行っても何もないと思うぜ。まあ、あんたらみたいな駆け出しには釣り合ってるよ」
むっ、なんかヤな言い方。でもラハードさん、そこまで露骨にムッとした顔しなくても・・・・。
「最近ゴブリンが住み着いたとかいう話は聞いたことはないか?」
ビネガーさんは別に気にしてる様子もなく尋ねました。
「さあ、そういう話は聞いたことがないが・・・ああいう奴等はどこにでも住み着くからな。俺が答えられるのはこれくらいだ、仕事がうまくいくといいな、がんばれよ」
ふぅん。意地悪な人達かと思ったけど 励ましてくれている様子を見るとそうでもなさそうです。結構いい人なのかも。
その言葉にダーナさんは微笑んで答えました。
「ええ、あなた方もうまく行くことを祈っています」
私なんか緊張しちゃって全然会話には入れなかったのに、みんな堂々と渡りあっててすごいです。思わず尊敬しちゃいました。
「やっほー、ただいまー」
客が本格的に増え始めた頃パーン君は戻ってきました。
「どうだった?」
「いやぁ、あんまり収穫はなかったね。ただ西方にアーセルという貴族がいるのは本当みたいだけど・・・・」
どうやらアーセル伯爵のことを聞いてきたみたいです。
「そうか・・・・」
ビネガーさんはパーン君の報告を聞いて何か考えているようです。
「ビネガーさん、アーセル伯爵がどうかしたんですか?」
思わず私は尋ねました。伯爵に何かあるんでしょうか?
「いや、何でもない。ただ、ちょっと気になることが・・・・」
「おーい!!そこの兄ちゃん達、ポーカーでもしねえか!!」
隣のテーブルの人達が手を振っています。
「おっ、賭け事か?いいねぇ。私も入れてくれ」
あっ、ビネガーさん話の途中なのに・・・嬉々として向こうに行っちゃいました。でも気になることって何でしょうか?
「ちょっと早いですけど、明日に備えてもう寝ますわ」
ダーナさんは二階に上がって行きました。
そうですね、私も研究のレポートを書いたらさっさと寝ましょう。
明日は初めての冒険です。うまく行きますように・・・にゅう。
「うぅ・・・頭が痛い・・・・」
「昨日は飲みすぎたな・・・・」
今私の前には頭を抱えてうずくまっている人が二名います。
冒険の前の日にそんなにお酒を飲みますか、普通・・・・・。
「まったく、ビネガーさんもルインさんもこれから冒険に出ようというのになんということですか」
ダーナさんの口調は怒ってるというより呆れ返っています。
「おいおい、初めての冒険に出るんだろう。大丈夫か?」
「あぁ・・、なんとか大丈夫だ」
ラウダさんの言葉にルインさんはあまり大丈夫でなさそうに言いました。
「まあ 君達が行く廃墟はここから半日の所にあるから、廃墟で二日過ごすとしても四日で帰れるだろう。だから 保存食は五日分用意しておいた。値段は105ガメルだ。あっそうそう、二日酔いに効く薬草をおまけしてやろう」
そう言ってラウダさんは私達に保存食の入った袋を渡してくれました。
「うぅ・・・・おやじ、すまんな・・」
ビネガーさんも本当に苦しそうです。
本当にこんな調子でうまくいくんでしょうか?私の心は不安に揺れるのでした。
私達は教わった通り、オランの西の門から伸びている街道を行き、少し外れた所にある森に入って行きました。確かこっちの方に遺跡があるはずです。
それほど深い森ではなく、獣道もあったので迷う心配はなさそうです。森って思ってたより静かですね。私達の足音がとても大きく響いているように思えます。
てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごそごそっ・・・・・・・・・・・・ん?「ごそごそっ」?
「何かいますわ!!」
ダーナさんの叫びと同時に茂みから三匹の大きな蜘蛛が現れました。口を不気味に動かしながら私達の方に向かってきます。どうやら空腹のようです。
「ジャイアントスパイダーです!糸を吐いてきますが、それ以外に怖い攻撃はしてこないはずです!!」
私の言葉が終わるか終わらないかってうちにパーン君はすばやくダガーを抜いてジャイアントスパイダーを切りつけました。ダガーが刺さってグシャっと体液が吹き出しましたが、非力なグラスランナーの一撃ではそれほどダメージは与えられなかったようです。
「こいつっ!」
ザッ!と音を立ててビネガーさんが地面を蹴りました。バスタードソードが唸りを上げてジャイアントスパイダーに・・・・・当たらずに地面に突き刺さりました。
「くっ、やるな!!」
頭を抱えながら言ってます・・・・あのラウダさんから貰った薬はまだ効いてないようですね。
「俺様に任せろ!!」
ラハードさんのグレートソードがジャイアントスパイダーの頭上に振り落とされます。
ずしゃっ!!!!
すごい!!ジャイアントスパイダーは真っ二つです。本人がいうように剣の腕は確かなようです。
向こうではダーナさんが一匹引きつけてくれてます。
・・・・・すると後一匹は・・・・・・・・・わわっ、こっちに向かってきてます。
「うわっ!!」
あっ、私ではなくルイン君の方に行きました。
ルイン君も体術の心得はないようでまともにくらってしまい、腕に深々と牙が食い込んでいます。
「くそっ、光の精霊よ!!」
ルイン君の叫びでウィル・オー・ウィスプが現れ、ジャイアントスパイダーに向かって行きました。ウィスプが当たってルイン君から少し離れましたが、まだまだ動いています。
とにかく、このままではルイン君が危ないです。えとえと・・・エネルギー・ボルトの呪文を・・・・、ああっもう落ち着かなくては。
・・・・わたわたわた・・・・・・・・・・・・・・・・
「えーっと・・・・万物の根源たるマナよ、光の矢となり敵を貫け!」
・・・・・・しーん・・・・・・・・・。
あれっ?失敗ですかぁ?!あぁやっぱりぃ!こんなにあせってちゃ失敗するのは当然ですぅ!!ああ、私のバカバカバカ!!
「大丈夫!?」
何時の間にかパーン君がこっちに来てくれて、言葉と同時にジャイアントスパイダーの頭にダガーを突き立てました。さすがのジャイアントスパイダーもあれだけ正確に頭をやられたら 動かなくなりました。
向こうでもビネガーさんが最後の一匹を倒したようです。
「ルイン君、傷は大丈夫ですか?」
私は近寄りながら尋ねました。傷は思ったより深そうです。
「私が癒しの呪文を・・・・」
ダーナさんの癒しの呪文で見る見るうちに傷が治っていきました。どうやら心配する必要はなかったみたいです。神聖魔法もすごいものです。
「さあ まだまだ先は長いですわ。行きましょう」
ダーナさんはみんなの方を見て言いました。
またテクテクと森の中を進んで行きました。みんな前よりも周りを警戒しながら進んでいます。
「あれっ?」
「ダーナさん、また敵ですか?」
私の言葉にみんなは周りをキョロキョロ見回しました。
あっ、当のダーナさんは地面を見ています。
「いえ、そうではないんですけど・・・・・・地面を見てみると最近つけられた足跡があるんですよ。それも私達が向かっているのと同じ方向に・・・・」
森の木こりさんでしょうか?
「誰の足音だろう。確かに気になるな・・・・」
ビネガーさんは地面をじっと見つめています。
「まあ気にしてもしょうがないよ、サクサクっと行こう!」
「そうですね」
パーン君の言う通りです。考えるにも材料が少な過ぎますし・・・。気にしててもしょうがないですよね。
家宝の剣?
「ここが例の遺跡か・・・・本当に何もなさそうだな」
そうなんです。例の遺跡に着いたんですけど・・・・ラハードさんの言う通り、これがもうほとんど壊れていて柱や壁が残っているだけという状態。蔦なんかも生えちゃってるし。本当にこんな所にお宝があるなんて誰も思わないでしょうねぇ。
「ねえねえ!これがアーセル伯爵の言ってた祭壇じゃないかな?」
パーン君が手を振ってるすぐ横ににそれらしい祭壇がありました。
「これを動かせばいいんだろ」
そう言ってビネガーさんがアーセル伯爵に教えられた通り、祭壇を動かすとガガガっと壊れそうな音を立てて下への階段がポッカリ現れました。
「よし行こうか。」
ラハードさんが先頭になり階段を降りて遺跡の中に入っていきました。
遺跡の中の壁は所々にちょっとひび割れがあり、寂れている感じです。しばらく行くと左手と正面に扉がありました。正面の方はちょっと大きめの両開きの扉です。
「僕に任せて」
パーン君は扉の前に行き、慣れた様子で耳をくっつけたりノブを調べたりしました。
「あ、やっぱり。これ迂闊に開けると針が飛び出してくるよ」
「パーン、解除できるか?」
「余裕余裕♪」
ルイン君の問いに答えながら 針金でノブをカチャカチャといじっています。
「よし、もう大丈夫」
「じゃあ開けるぞ」
そう言ってラハードさんが扉を開けると中にはポツンと鉄製の箱が1つだけ置いてありました。あからさまに怪しいです。
「なんだ、あれは?」
「えっ?ちょっと!!」
ラハードさんは私が注意するより早く箱を開けようとしました。
がきんっ!!
いきなり箱がラハードさんに噛み付こうとしました。でもラハードさんはかろうじて避けたようです。
「あれは チェストイミテーターといって宝箱にそっくりの怪物です。箱の中から腕を出して攻撃してきます!!」
「そういうことは もっと早く言ってくれ!!」
ちょっと、ラハードさんが言うひまもなく勝手に近づいたんじゃないですか!
チェストイミテーターはなかなか手ごわかったですけど、所詮六対一ではかなうはずもなく私達の圧勝に終わりました。
バキバキっと音がして動かなくなった箱の中からキラキラと光る物が・・・・・・・・。
「なんだなんだ?」
ルイン君はすばやく近寄って、光っている物を拾いました。ラウダさんの薬が効いてきたのか二日酔いはすっかり治ったようです。
「おおっ、300ガメルほどあるぞっ!それと青い宝石が!」
「おや、それは魔晶石だな、かなり小さいものだが。」
ルイン君の持っている宝石を見てビネガーさんは言いました。
「へえこれがあの魔晶石ですか」
魔晶石って魔法を使う時に精神力の代わりに使える石ですよね。へえ・・・、初めて見ました。
「もうここには何もないようだよ」
パーン君はチェストイミテーターの残骸を調べてたみたいです。
「そうですね、もう先に進みません?」
ダーナさんの言葉にみんな賛成し、この部屋を出て奥にある扉へ向かいました。
「この扉には罠はないと思う。鍵はもう開けたよ。でもさっきみたいなことはしないでね、ラハード」
扉を調べた後にパーン君はラハードさんを睨みながら言いました。でも言っちゃ悪いですけどグラスランナーに睨まれてもあまり怖くありませんね。
「ああ、さっきはすまなかったな。まぁ誰にでも失敗はあるもんだ。そんなことよりも扉を開けるぞ」
もう少し申し訳なさそうな態度をとってもいいと思うんですけど・・・・ラハードさんっていつでも堂々としてますね。
扉の中の部屋は比較的広く、奥の方に何やら装置のようなものがありました。
手前の床には50cm四方の箱があって、上にコインを入れるような細い穴があります。
「貯金箱みたいですわね・・・・」
みんなが思っていたことをダーナさんが言いました。そうです、これはどう見ても貯金箱です。
そしてその後ろには貯金箱よりも大きい長方形の穴がポッカリと開いています。
底の方をランタンで照らしてみると、穴のそこにはすっぽり収まった鉄製の箱がありました。
あれっ?よく見ると貯金箱に下位古代語で何か書いてあります。
「『宝を欲すれば、それに見合うものを・・・・』」
私はみんなに分かるように読み上げました。
「・・・・やっぱり貯金箱にお金を入れろということでしょうか?」
「そうだと思うが・・・・」
ビネガーさんは自信無さそうに答えました。
ためしに私は1ガメル銀貨を貯金箱に入れてみました。
チャリーン・・・・・・ズッ・・・・。
んっ?少し貯金箱が沈んだような・・・・・。もうちょっと入れてみようかな?
チャリンチャリン・・・・・・・・・・ズズッ・・・・・・。
「エティさん、どうやらお金を入れると穴の奥にある箱が上がっているようです!」
穴の奥をランタンで照らしながらダーナさんは叫びました。
なるほど、お金を入れると貯金箱が沈んで向こうにある箱が浮かび上がってくるというわけですね、なるほど。
チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ズズズズズズズズズズズズッ。
みんなでお金を出しあって入れていき、合計550ガメル入れるとようやく穴の中から箱が出てきて取れるようになりました。
「これでもし箱の中身がたいしたことなかったら怒るぞ、俺は」
ルイン君には300ガメルほど入れてもらいましたしね。
「とにかく、開けてみよう」
「わっ!!勝手に開けちゃダメだってば!!」
パーン君は慌ててラハードさんを制して、宝箱を調べ始めました。ラハードさん、さっき失敗したばかりなのにちっとも懲りてないんですから。
「おっ、これは不用意に開けるとガスが吹き出す仕掛けだね。まぁこんなの僕にかかれば何でもないけど・・・・っと、もう大丈夫。鍵も開けたよ」
ピンと音がして箱が開いていきます。中には綺麗に装飾されたブロードソードが一本入っていました。これがアーセル伯爵が言っていた家宝の剣でしょうか。
「ちょっと見せてくれ」
ビネガーさんはその剣を手にとってしげしげと眺めてます。
「やはりな、この装飾はすべてイミテーションだ」
「何っ!それは本当か?」
「ああ、間違いない。しかも実践向きに作られているわけでもないからせいぜい100ガメル程度の価値しかないだろうな」
ラハードさんはガックリと肩を落としました。
あっ、本当ですね。確かによく見たらかなり安物です。
「安物であっても依頼を果たしたことに違いはないのですから気にすることはないと思いますわ」
ダーナさんがみんなを励ますように言いました。
「でも、あのじいさん『こんな安物は家宝じゃない』って駄々こねて報酬を渋ったりしないだろうな」
ルイン君の言葉にみんな不安な顔をしました。
いや、いくらなんでもそんなことはないと思いますが・・・・・・。
「でも確かにこの廃墟にある剣はこれだけなんだから、安物でもこの剣は家宝に間違いはないと思うよ。」
パーン君の言う通り、この廃墟にはもう他に行く所もありません。これが唯一置いてあった剣なのですから、やはり家宝の剣でしょう。
でもこれが家宝の剣なんて期待外れでしたね。みんなも拍子抜けして遺跡を後にしました。
依頼完了?
訂正。遺跡を出るともう夕方になっていたので、夜にあの森を抜けるのは危険だということで、遺跡で一泊してから遺跡を後にしました。
「家宝の剣なんていうから、俺様はもっとすごい物を期待していたのに・・・・・・・」
「まったく、あのじいさんの先祖は何を考えてこんな剣を遺跡に隠したんだか・・・・・」
ラハードさんとルイン君はまだブツブツ言ってます。
まあ、その気持ちは分かりますけどね。私も「家宝の剣」なんていうからもっとすごい物を期待してたのに・・・。まあ、剣を貰えるわけではないんですけど。
「みなさん、おしゃべりしている場合ではありませんわ」
ダーナさんは緊張した様子で武器を構えました。
ベキベキベキッ!!
木々の間から枝をなぎ払いながら一頭の巨大な熊が出てきました。確かあれは・・・・・・
「グリズリーです!なかなか強敵ですよ、油断しないでください!」
「てぇーい!」
掛け声とともにパーン君のダガーが一閃しました・・・・がグリズリーの厚い毛皮に阻まれてしまいました。グラスランナーの筋力ではグリズリーに傷を負わせることは難しそうです。
続いてビネガーさんもバスタードソードを振りかぶり・・・サクッとグリズリーの横の地面をえぐりました。
「くそっ、やるなっ!!」
・・・・今のはグリズリーが避けたのではなくビネガーさんが足を滑らせたように見えたんですけど・・・・・・。昨日の二日酔いがまだ残ってるんでしょうか?
「がおぉぉぉぉぉ!!」
グリズリーがラハードさんに向かって突撃してきました。
「うわぁぁぁぁ!!」
グリズリーの攻撃は意外に素早く、ラハードさんはまともにグリズリーに掴まれ、噛み付かれてしまいました。血がダラダラと流れています。遠目に見てもかなりの深手だということははっきりと分かりました。
「ラハードさん!!」
私は無我夢中でエネルギーボルトの呪文を唱えました。
無心に唱えたのが良かったのか、魔法の矢は真っ直ぐにグリズリーに飛んでいきます。
けど、グリズリーにはまだまだ倒れる様子はありません。ああっ、早くしないとラハードさんが・・・・・・・・。
「闇の精霊よ!!」
ルイン君が叫ぶと、黒い光の塊(黒い光って言う表現は変かもしれませんが)がグリズリーに命中しました。闇の精霊シェードです。
このルイン君の一撃でグリズリーはズズーン!と音を立てて後ろに倒れました。
前に倒れていたらラハードさんは下敷きになっていましたね、危ない危ない。
「大丈夫ですか?今、呪文をかけますわ」
ダーナさんの呪文のおかげでラハードさんの傷はすぐにふさがっていきました。
パーン君はルイン君の方に寄って来て、
「それにしても あの熊を一撃で倒すなんてすごいね、ルイン」
「まあな。動物は精神力が少ないから、シェードのような精神攻撃はよく効くのさ」
なるほど、精霊魔法も便利ですね。古代語魔法では精神を攻撃する魔法なんて無かったです。
「・・・・この熊、かなりいい毛並みをしているな・・・・・・・・・・」
ビネガーさんはいきなり言いました。視線の先には気絶して動かなくなっているグリズリーがいます。
はぁ・・・・・・、まあ確かに綺麗な毛並みですけど・・・・・・・・・・。
「ああ、この毛皮・・・・いくらかで売れそうだな。傷もほとんどついてないし・・・・・・」
ルイン君もビネガーさんと同じ方向を見ながらぼそっと呟きました。
へっ!?毛皮を持って帰るんですか?別にそんなことしなくても・・・・・・。グリズリーは気絶してるだけで、まだ生きているんですけど・・・・・・。
「いけませんわ!無益な殺生は避けるべきです!」
ダーナさんの口調は今までに聞いたことのないくらい強い口調です。
「でも、結構いい値で売れそうだが・・・・・」
「戦利品ということでいいじゃないか」
二人はまだグリズリーを見ています。まぁ今回の仕事でかなりお金が無くなりましたから無理もありません。
「・・・・・・本当にそんなことするんですか・・・・?」
ダーナさんが静かに言いました。表情は私の方からはよく見えません。
一瞬シーンとしましたが、すぐに二人はガクガクとうなずきました。
「・・・・いやぁ、ほんのお茶目な冗談ですよ。なあ、ビネガー君」
「・・・・あっ、ああ。もちろんですとも、ねえルイン君」
なんか二人とも言葉遣いが変わってますけど・・・・・・・・。
「分かってくれたんですね、ありがとうございます。さぁ、そうと決まればグリズリーが目を覚まさないうちに出発しましょう」
と言って私の方を向いたダーナさんはいつも通りの微笑を浮かべました。
「僕、ルイン達に賛成しなくてよかった・・・・・・」
ポソッと言ったパーン君の呟きが私にははっきりと聞こえました。
この後は何事も無く、私達は無事オランの街にたどり着くことができました。
オランに着いてから私達はすぐアーセル伯爵の家に向かいました。伯爵は本当に報酬を払ってくれるんでしょうか?
「(トントン)、アーセル伯爵、冒険者の者ですが・・・・・・」
あれっ?誰も出てきません。中に人がいないんでしょうか?
「おーい!!家宝の剣を持ってきたぞー!!!」
わわっ!ラハードさん、そんなに強く叩いたら扉が壊れちゃいますよ!!
でも こんなに強くノックしても返事はありません。
「留守なんでしょうか?」
私の問いにみんなは首をかしげました。
「鍵が開いてますわよ」
ダーナさんはそう言ってみんなを見渡しました。
勝手に入っちゃっていいものなんでしょうか?どうしましょう・・・・。
「鍵が掛かっていないんなら入っていいんじゃないの?僕は親からそう教わったよ」
パーン君は同意を求めるようにみんなの顔を覗きこみました。
そうですよね、鍵が掛かってないのは勝手に入ってくれっていうことですよね。
私は自分にそう言い聞かせました。
「じゃあ、開けるよ」
誰もパーン君の言葉に反対しません。
扉を開けると中は薄暗くシーンと静まり返っています。
「おじゃましまーす」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムグムグ・・・・・・・・・・・・・・
あれっ?今何か聞こえたような?応接間の方でしょうか?
「応接間の方から何か聞こえませんか?」
私達が応接間に行ってみると、声の正体が分かりました。執事のボフィンさんが手足を縛られ猿轡をされて床に転がっていたんです。
「大丈夫ですか!?どうなさったんです?」
私はダガーで縛っている縄を切りながら尋ねました。
「はっ、はい。それが強盗が押し入ってきて、ご主人様がさらわれてしまいました!お願いします、助けてください!!」
ボフィンさんはすがり付いてお願いしました。大変です、すぐに助けにいかないと!
・・・・・・・・・・・でも、こんな いかにもお金のなさそうな家に来る強盗って?それにいったい何のためにアーセル伯爵をさらっていったんでしょう。
「それは別の報酬を貰いましょうか」
「そうだな」
「「「「「へっ??」」」」」
一瞬、ボフィンさんを含む全員の目が点になりました。あっ、ビネガーさんとルイン君を除いてですけど。
「・・・・・は、はぁ、分かりました。報酬は十分な額を支払いますので・・・・」
ボフィンさんは呆けた表情で答えました。
「十分な額とは?その辺はキチッと決めおいた方がいいと思いますが。」
「まあ必要経費550ガメルと、あと食費だな」
「はぁ・・・・・・分かりました」
ボフィンさん、完全に二人のペースに押されています。
「まあまあ、それは後でいいから強盗の話を聞かせてよ」
目が点状態から一番早く回復したパーン君が二人を無視してボフィンさんに尋ねました。
ボフィンさんは地獄に仏というようにパーン君にしがみつきました。
「昨夜遅くのことです。ご主人様の悲鳴がして、私が声のした部屋に行くと、突然後頭部に衝撃が・・・・・・気がつくと縛られて猿轡をされていました。ただ、賊どもは私が気がついていることに気づかなかったようで、話をしながらご主人様を連れて行きました」
「その話とはどういう内容ですか?」
ダーナさんはボフィンさんに尋ねました。
「はっきりとは聞き取れませんでしたが、賊どもが『光と闇』亭にいるということを話していました。賊は四人組みでそのうちの一人は大男で両腕に剣が交差している刺青をしていました。後一人は小男で髪をそっていました・・・・報酬は十分な額を支払いますのでお願いします!!」
ボフィンさんは今にも泣き出しそうな表情です。
でもビネガーさんとルイン君は冷静に計算しています。
「一人捕まえるごとに100ガメルで四人だから400ガメルだな。それに必要経費550ガメルを加えて・・・・・・」
「いいかげんにしてください!人の命がかかっているんですよ!!」
私は喉が潰れるんじゃないかと思えるほどの大声で怒鳴りました。いくらなんでもひどすぎます。・・・・こんな人が仲間なんて・・・・・・・・。
みんなは私の叫びにびっくりして言葉を失ってます。
「わたたたたたっ・・・・!!」
この気まずい空気をぶち壊すようにパーン君が声をあげました。ボフィンさんが縛られていたロープの残骸に絡まってます。さっきから何かごそごそしてると思ったら・・・・・・・・・・
「もう、何やってるんですか」
ダーナさんがパーン君に絡まってるロープを解こうとしました。よほど複雑に絡まったのか、解くのに手間取っているようです。
「すいません、思ったより絡まっていますわ・・・エティさん、手伝ってくれません?」
「あっ、はい。」
私もパーン君の傍に寄り、絡まっているロープを解こうと手に取りました。
「そっちじゃなくてさぁ、こっちの方を解いてくれないかなぁ」
パーン君がロープの端の方を手に持って私の前に差し出しました。そのロープの先にはボフィンさんが縛られたとき作られたと思われる結び目があります。
・・・・・あれっ?この結び目って・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・。
私が二人に問い掛けるような視線を送ると、二人は私の目を見て微かにうなずきました。・・・・・・・・・なるほど、そういうことですか。
「ふぅー、やっと解けたよ」
パーン君はそう言って立ち上がりました。
「あんまりイタズラをしてはいけませんわよ」
ダーナさんはパーン君をたしなめるように言いました。
「ゴメン、ゴメン。そんなことより伯爵を助けに行こうよ。早くしないと手遅れになるかもしれないよ」
「そうです。早くしてください!!」
ロープを解いてる間、ボーッとしていたボフィンさんも思い出したかのように騒ぎ出しました。
「俺達は『光と闇亭』の場所を知らないんだが・・・・」
ルイン君はボフィンさんの方を見て言いました。
「宿の場所は知ってます。今から地図を描きますので・・・・・・」
と言ってボフィンさんは羊皮紙を取ろうとすると、ビネガーさんはその腕をグッと掴んで言いました。
「いや、それよりも直接案内してもらった方がありがたい。地図だと迷う可能性もあるしな」
有無を言わせない非常に強い言い方です。
「は、はぁ。宿の前までなら案内しますが・・・・・・・・」
「それで十分だ。じゃあ早速案内してくれ」
人質救出?
半ば強制的にボフィンさんに道案内をさせ、オランの街中を歩いて「光と闇」亭に着きました。
「光と闇」亭は通りを中に入った所にあって、人通りはあまりありません。
「ここが『光と闇』亭です。それでは私はこれで・・・・・・」
ボフィンさんはそそくさと 私達から離れようとしました。
「待ってください!一緒に伯爵を助けないといけませんわ」
ぐゎしっとダーナさんがボフィンさんの腕を捕まえました。
「この老いぼれに何をしろというのですか!?」
ボフィンさんは困った顔でダーナさんを見ました。
「もし強盗が力づくで抵抗してきた場合、私達は戦いで手が一杯になると思うのです。あなたが伯爵を助け出さなければ一体誰が助けるというのですか?」
私も必死にボフィンさんを説得しました。そう言われるとボフィンさんも引き下がれないのか。しぶしぶついて来てくれました。
「マスター、客の中に両腕に剣が交差した刺青の男と髪をそっている小男がいる四人組はいなかったか?」
ルイン君は「光と闇」亭のマスターに尋ねましたが、マスターはチラッと目を向けただけで何も言わずコップを拭いてます。
「まぁ、そう言わずに・・・・・・・・」
そう言ってルイン君はマスターの前に数ガメルほど置きました。
「・・・・・・3号室にいる」
マスターはこちらに目を向けずに、ボソッと言いました
「邪魔したな、マスター」
ルイン君もマスターを見ないで答えました。
私達は3号室の前まで来ました。ビネガーさんが私達の方を見て口の前で人差し指を立てました。なるほど、静かにしろということですね。
「(コンコン)昼食の時間ですが」
ビネガーさんは扉をノックして言いました。
「誰ですか?」
扉の中から聞こえた声は若い男の人の声でした。結構いい声です。
「ですから、店の者です。昼食をお持ちしました」
ラハードさんがそう言って扉を開けようとしました・・・・が、鍵が掛かっていています。
「誰だっ!?二人の声がするな」
今度は別の人の声がします。扉の向こうで一瞬にして殺気が生まれました。
あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!!ラハードさんのばかぁ!!
こんな小さな宿屋で二人で昼食を持ってくるわけ無いじゃないですか!!それに鍵を掛けているのは当然じゃないですか!
「何の用ですか?正直に事情を話せば扉を開けていいですが?」
最初に聞こえた方の声が言います。
ボフィンさんは顔を青くして冷や汗をかいてます。ここはどうやって切り抜けたらいいんでしょうか。
「アーセル伯爵の事だ!」
ラハードさんは扉に向かって言いました。今回ばかりは正直に言った方がよさそうです。
「アーセル伯爵?何の事ですか?」
扉の中から答えてきました。
「とにかく話がしたいのですが・・・・・・」
ビネガーさんは丁寧な口調で言いました。
「嘘をつく相手をそう簡単に信用できませんね。・・・・では一人だけ入ってきてください」
私達は顔を見合わせました。どうしよう・・・誰が行けばいいんでしょうか?
「仕方ない、私が行こう」
ビネガーさんはそう言ってノブに手を掛けるとスッと部屋に引き込まれました。
大丈夫でしょうか?中で戦っている様子はありませんから、殺されてるって事はないでしょうけど・・・・・・・・・・。ボフィンさんは顔面蒼白です。ソワソワして落ち着かない様子で、チラチラと扉の方を気にしています。
「どうしたんですか、ボフィンさん?」
「あっ。いえ、別に・・・・・・・・・・」
私が声を掛けるとボフィンさんはビクッとして答えました。冷や汗だらだらです。
しばらく私達はジッと待っていました。
あっ、やっとビネガーさんが出てきました。
「どうだった?」
ラハードさんが心配そうに声を掛けます。
やはり 多少は自分せいだと思って気にしてるんでしょうか?
「ああ、うまく話せたと思うが・・・・」
と言ってチラリと後ろを見ました。
「奴はボフィンじゃありません!変装しています!!」
ビネガーさんが後ろを見るのと同時にいきなり一人のハーフエルフが浮かび上がってきました。
「ボフィンは悪人だ!!」
ビネガーさんの叫びと同時に、ボフィンさんは舌打ちをして変装のメーキャップを取って逃げ出しました。
「たぁー!!」
パーン君はボフィンさんめがけて、思いっきり飛び込んでタックルをしました。
ずざざざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
しかし、一歩及ばず顔から思いっきり床にスライディングしてしまいました。
「うにゅうぅぅ〜・・・・・・」
パーン君、鼻を擦りむいて痛そうです。ボフィンさん許すまじです。
ボフィンさんはパーン君を避けて、階段を駆け下りていきます。ようし今度は私が・・・・・・・・・・・・・・・・
「眠りをもたらす安らかなる雲よ・・・・・・・・・」
スリープ・クラウドの呪文です!
これがまともに効き、ボフィンさんは階段をゴロゴロと転げ落ちていきました。あっ、下でぴくぴく痙攣してます。
「・・・・・・ははっ・・・・・・ちょっとやりすぎちゃいましたかね?」
私はボフィンさんを見下ろしながらぼそっと呟きました。
私達はボフィンさんを引きずりながら アーセル伯爵の家へ戻って来ました。まさか 宿屋で尋問するわけにもいきませんしね。
「くそっ!うまくいくと思ったのに・・・・・・」
ボフィン(さん付けはもう要らないでしょう)は悔しそうにうめいています。
「ほう、何がもう少しだったのか最初から説明してもらおうか・・・・・・」
ラハードさんがグレートソードでボフィンのほっぺたをペチペチと叩きながら言いました。
ボフィンは怯えながらラハードさんを見上げています。
「あの遺跡であんな装置を見つけて・・・・貯金箱の下で金を取れるようになっているんだよ。それで変装してボフィンとアーセル伯爵の一人二役で・・・・・・」
段々とラハードさんの手に力がこもってきてペチペチがベチベチになってきてます。あっ、ちょっと手元が狂ったのかボフィンのほっぺたにうっすらと赤い筋が・・・・・・。
ひいぃ!っとボフィンは情けない悲鳴を上げました。
「ほぉぉ・・・で、何でそんなことをしたのかなぁ?」
パーン君がニッコリ笑いながら言いました。けど目は全然笑っていません。それにしても、グラスランナーでもこんなに怖い声が出せるものなんですね、私初めて知りました。
「いやぁ、初心者冒険者を騙して小銭を貰って、なおかつ世間の厳しさを教えてあげようかなぁと・・・・。あ、あんた達から頂いた授業料は返すからさ・・・・・・」
パーン君の笑顔につられたのか、ヘラヘラと言いました。
ほほぉう、どおりで初心者だと分かってもイヤな顔をしなかったわけです・・・・・・・・・・
「で、返してくれるだけですか?私達に『こういうことをするとひどい目に会う』ということを教わった授業料を払わないのですか?」
そう言って、私は思いっきりボフィンを睨みました。私達を騙したとあればそれなりの報いを受けてもらいませんとね。
あっ、またラハードさんの切っ先が頬を薄く切りました。
「ひぃぃ、頼む助けてくれ!隣の部屋に箱がある、それを持っていっていい、他にも俺が持っている物は全部渡すから!!」
箱はすぐに見つかりました。中には350ガメルと高価そうな指輪が1つありました。
「なっ、それを全部やるから見逃してくれ!!もう二度と悪いことはしないから!!」
ボフィンは必死に訴えています。
「私達が貯金箱に入れた金は?」
そう言ったビネガーさんの視線はバジリスクよりも強烈です。
「いや、それは・・・・・・借金を返すために・・・・・・・・・・・」
ボフィンさんの声は今にも消えいりそうです。
「じゃあ消すか・・・・」
「消す」=「殺す」という事でしょうね。
ルイン君は小さいけど迫力のある声で言いました。
その言葉を聞いたボフィンは今にも泣きだしそうな表情です・・・・・・・・訂正、本当に泣いてます。大の男がそんなに泣かなくても・・・・・・まぁ、これだけ脅されたら無理もないですかね。
「もういいじゃありませんか。反省しているみたいですし」
ダーナさんはルイン君とボフィンの間に割って入りました。
確かに小心者の小悪党みたいだし、ここまで脅しておけば、もう悪さもしないでしょう。
「そうだね、もういいと思うよ」
パーン君はそう言いながらボフィンの服ををごそごそと探っています。
「あっ、これは僕が貰っておくね。」
ボフィンの服からダガーを取り出しました。なかなか上質な物です。ボフィンはガックリと肩を落としました
「・・・あぁ・・・・こんな奴等を騙すんじゃなかった・・・・・・しくしく・・・・」
そうですよ、私達を騙そうなんてそうはいかないんですから!!・・・まぁ、最初は全然気づかなかったですけどね。
エピローグ
「私は最初から怪しいと思ってたんだ」
私達は「古代王国への扉」亭で夕食を取っているところです。あれから 私達はデュークさん達―――「光と闇」亭にいた四人組のリーダーです―――にちゃんと謝りに行って少し休んだので、もうすっかり日は暮れて、店内も冒険者であふれかえっています。
「いつから気づいていたんですか?」
私の言葉にダーナさんもうなずきました。
「私もそれが知りたいですわ」
私達の言葉にビネガーさんはエールを飲みながら答てくれました。
「まぁ、しいて言うならボフィンがここで私達に依頼をしてきた時からかな」
「へぇ、どうして分かったんですか?」
あの時、何も怪しい所は無かったように思うんですけど・・・・・。ダーナさんも分からないみたいです。
「私達に直接依頼してきただろう。普通、冒険者への依頼は冒険者の店に仲介してもらうだろう、お互いに詐欺を防ぐためにな。それに貴族なんていう人種となれば尚更冒険者を信用しないだろう。」
へぇ・・・・確かに言われてみれば・・・・・・・・・・。
「それに、ついさっきまで宿の親父に『初心者講習』を受けていた冒険者なんぞに依頼しようとする貴族がいたら見てみたいもんだ」
そう言ってビネガーさんは笑いました。
私もその辺は変だなぁとは思いましたけどね。
「そんなに前から気づいてたのかぁ、僕も何か怪しいとは思ってたけど・・・・確信したのはあのロープの結び目を見たときだね。あれは『自分で自分を結んだとき』にできる結び目ったからね」
そうでした。結び目がおかしいことに気づいたパーン君は私達に知らせようとして、あんな風にロープに絡まってくれたんです。
私はそこで初めてボフィンの狂言ということに気づいたのです。
「最初からうすうす気づいていたと言っても確証がなかったからな。だから反応を見る意味で別報酬を要求したりしたんだ」
そうですか、そんな意味が・・・・・・・・
「俺は気づいていたわけじゃなかったが、何か考えがあっての事だと思ってビネガーにあわせたというわけだ」
ルイン君はビネガーさんのことを信頼していたのですね。それなのに私は・・・・・・・・・・・・・・・
二人はわざとお金に意地汚いふりをしてたんですね。
「そんな考えがあったとは知らず・・・・・、怒ったりしてごめんなさい」
私はルインくんとビネガーさんに深々と頭を下げました。
「私も二人のことを疑って・・・・・本当に申し訳ありませんわ」
ダーナさんも本当に申し訳なさそうに言いました。
「なんだ、みんな『光と闇』亭に行く前には気づいていたのか。それなら俺様に一言言ってくれてもよかったのに・・・・・・」
いや、だってラハードさんに言ったら、私達が気づいたことがボフィンにもバレバレになってしまうじゃないですか。
「『敵を騙すにはまず味方から』っていう諺もあるしね」
おぉ、ナイスフォローですパーン君。
「まあ、それもそうか・・・・」
ラハードさんはしぶしぶ納得したようです。
「まあ、そんな話はそれくらいにして、今回の分け前はどうするんだ?」
ルイン君は嬉しそうに今回稼いだお金をジャラジャラっとテーブルの上に出しました。
「ボフィンから貰った金は350で・・・・指輪は650で売れたから、今回の儲けは1000、それに六人分の宿代の240を払って760ガメルだな。これを六人でどう分けるかだが・・・・・・」
ビネガーさんは真剣にお金を見つめています。
「単純に六等分でいいんじゃないのか?迷うことなんてないだろ」
ラハードさんは不思議そうに言いました。
「ちょっと待て!俺は貯金箱に300ガメル払ったんだぞ!俺が一番多く貰うのが筋ってもんだろうが」
ルイン君は大声で言いました。
「いや、今回ボフィンに騙されなかったのは私がいたからだ。よって私もそれなりのものを貰う権利があると思うが」
ビネガーさんも負けじと自分の権利を主張しました。
ラハードさんは呆然としています。
「いや、やはり一番金銭的に貢献した人が多く貰うべきだ」
「そんなことはない、第一私がいなければこの金は手に入らなかったはずだ」
二人の視線に火花が飛び散ります。ラハードさんの意見はすっかり無視されてしまいました。
・・・・・・・・やっぱりこの二人お金に意地汚いのは演技じゃなかったんでしょうね。ボフィンの時だって実は本気で・・・・・・いえ、そんなことありませんよね。
ちなみにやはり金銭的に負担が大きかった人に恵んであげるのがいいだろうということで、ルイン君に160ガメル、残りの五人は100ガメルになりました。
こうして私達の最初の冒険は幕を閉じました。今度はもうちょっとまともな冒険をしてみたいです、にゅう〜
完