第6回 『目線』



「君たちはとある遺跡へとつながる洞窟の入り口にいる。早速分かれ道になっている。右、左だ。さあどうする?」
「うーん・・・、とりあえず左に行こうか。よし、左」
「しばらく行くと、行き止まり。何もないようだ」
「うん、じゃあ右へ。こっちだったんだな」
「右へ行くとまた行き止まり」
「なんじゃそりゃ?」
「戻ろうとすると落とし穴があった。みんな落ちてしまうね。えーっとダメージは・・・、あ、みんな死んじゃったね」
「こらー!!」
ここまでひどいのはなかなかないでしょうが、GMをしているときになかなかPCが思った通りの行動をとってくれない事ってあります。そういうときって困りますよね。一体どうしてこういうことになってしまったんでしょうか。

今回の例では、GMは地面の足跡に気づいて欲しかったようです。本当はこういうプレイを予定していたようで・・・
「洞窟の前に来た。道は二手に分かれているね。どうしよう?」
「GM、その遺跡って、今までに探険されているの?」
「そうだね、結構有名な遺跡。冒険者の力試しに使われることも多い」
「よし、それじゃあその道に残っている足跡を調べよう。どんな感じかな?」
「左は両方向の足跡。右には行きの分の足跡しかついてない」
「よし、じゃあ左だ。左は帰ってきた人間がいるということだし、右は誰も帰ってこないということだからおそらく罠があるんだろう」

実際こんな風にはなかなか行かないだろうというのはみなさんにも分かってもらえるかと思います。なぜなんでしょうか? また、こういう風に進めていこうと思ったら、どうしたらよかったんでしょう?

GMはシナリオ全体を把握しています。そのため、ある場面から次の展開は当然分かっています。しかしプレイヤー、PCは違います。次に何が起こるか、全く予測できていません。まさに「右も左も分からない」状態です。そのときに、ただ漠然と「こういう状況」と言われても、そこから一体どうしたら、何をしたらいいのか分からないでしょう。GMとPCの大きな違いはそこです。シナリオに関する情報量が全く違うのです。

そこで、プレイヤーにメッセージ、ヒントを送ることになります。今回ならば地面に関する描写を詳しくしてやることです。
「洞窟の前に来た。二股に分かれている。どうしよう」
「どうしようって・・・。洞窟はどんな感じ?」
「自然にできたって感じかな。地面は少し軟らかい土で、後ろを振り返ってみると君たちの足跡もかなり鮮明に残っている。他の冒険者たちも多数挑戦したらしく、足跡は結構残っているね」
「足跡かあ・・・、よし、それじゃあ足跡をチェックしてみよう」

これならPCたちも足跡をチェックするのに気づいてくれるのではないでしょうか。少し露骨すぎるように思えるかも知れませんが、これくらいやらないと、気づいてくれないことはままあります。

町中でよく見かける看板。これも注意を引くためのものです。印象的なキャッチフレーズや奇抜な構図、配色などが目にはいることがよくあります。これも、商品をよりよく見せるため、お客さんに多く見てもらうためにかなり極端な表現をしています。GMからの情報はいわばPCへの看板とも言えるのではないでしょうか? 町中の看板から、PCへの情報の与え方なんかを考えてもおもしろいと思います。

前回のテーマにもありましたが、表現はかなり「極端」にしないといけません。中途半端な表現だと気づいて欲しいところを素通りされたり、どうでもいいところをしつこくこだわられたりします。よく「メリハリ」という言い方をしますが、シナリオを考える際にもこれは肝心でしょう。マスタリングという点ではどこまで詳しく説明するか、ということです。

前回と似たようなテーマでしたが、重要なことなので今回も取り上げてみました。みなさんも、何か気をつけている点などあれば、教えて下さい。

それではまた次回です。