第4回 『GMの話芸』
今回は、GMをするときにある意味一番大切になってくる「話す」ということにスポットを当ててみたいと思います。
GMは、プレイヤーに対していろいろな情報をいろいろな形で伝えないといけません。
そのときに伝え方・話し方を少し考えてみると、より臨場感のあるマスタリングができるのではないでしょうか。
話し方を考えるといってもいろいろあると思います。
状況を説明するときに暗い部屋や墓地なら少しおどろおどろしく話すなどいろいろあると思いますが、みなさんがすぐに思いつくのは「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)による口調の使い分け」だと思います。
例えばPC(プレイヤーキャラクター)との会話で考えてみます。NPCの商人とPCとの会話で、
「おじさん、最近景気どう?」
とPCに話しかけられたとします。このときに
「うーん、まあふつうかな? で、いったい何の用なんだい?」
標準語でと答えるのも良いんですが、
「せやなあ、こんなご時世やろ。さっぱりわやや。せやさかいさっさとしてや。なんや?」
と関西弁を使った方が、より「商人らしさ」が出るかと思います。登場する商人の性格にもよりますが、僕はだいたい商人はこてこての大阪弁をしゃべらせるようにしています。
ほかにも、荒くれ者の戦士なら口調は荒くなるでしょうし、その逆に冷静沈着な魔術師やプリーストならやや丁寧な言葉遣いになるでしょう。女性や子供ならややトーンを高く、老人ならゆっくりしゃべる、というのも一つの使い分けでしょう。と、ここまでは考えずとも結構自然にできているものです。
シナリオを作るときにある程度NPCのイメージはわいているものですから、口調は結構特徴的になっているものでしょう。問題は、「内容に差をつける」ということです。
「朝六時頃、携帯電話で話しながら長髪の黒ずくめの男がアタッシュケースを小脇に抱えて店を出た」という状況をNPCが説明するときのことを考えましょう。非常に冷静で賢い人なら全てのことを覚えているでしょうし、伝えられるでしょう。しかし、これが子供だったらどうでしょう。
「あさはやくねぇ、黒いおじさんが何か持ってお店から出てきたよ」
くらいの情報しか伝えられないでしょう。お年寄りなら
「あれは六時頃じゃったかのぉ。ワシが散歩しておったら、独り言をぶつぶつ言いながら黒ずくめの女があるいとったわ」
という感じではないでしょうか。かなりのお年寄りなら携帯電話は知らないでしょうし、視力的にも劣るでしょうから長髪の男を女と見間違えるのもありえるはなしです。
盗賊仲間から情報を仕入れるとしたら
「六時頃、あそこの店からスヌークが出てきたらしい。おそらく取引だ。何のかって? そこからはまた別料金だ」
と、支払った額に応じて情報量を変えるくらいのことをするといいと思います。結局、NPCの性格や知力、立場に応じて話す内容や口調に注意すると、より臨場感が増しておもしろくなると思います。
こういったことを仕事にしている人がいます。落語家です。落語を聞いているとよく分かるのですが、落語家は、登場人物の口調というものを非常に大事にしています。
というのも落語は一人で演じるものですから、全員が同じ口調で話していては誰が話しているのかが分からなくなるからです。さらにはシーンによって口調も変えますし、会話のところで
「すんまへん、ご隠居。いてはりますか?」と落語家が右を向いて話し、次の瞬間、
「おお、せいやんか。ようきたな、こっち入り」と左を向いて話しているのを見たことがある方は多いと思います。首振り、というやつです。
落語家は口調の他に顔の向きで話者を使い分けているそうです。
GMをする際の参考になるところが非常に多いので、GMをこれからしてみようという人には、ぜひ落語を見ておいて欲しいと思います。
ということで、なんだか落語の宣伝みたいになって終わってしまいましたが、いずれにしても、GMとプレイヤーをつなぐのは結局「話す」ということなので、GMをするときには「話し方」をちょっと考えてみてはいかがでしょうか?
それではまた、次回です。